JP3529910B2 - 航空機の前縁構造及びその製造方法 - Google Patents
航空機の前縁構造及びその製造方法Info
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Description
翼、尾翼、エンジンカウル・インレット部等の前縁部に
採用される強化繊維樹脂の防氷構造に関する。
ウル・インレット部、昇降舵、方向舵のホーンバランス
先端部等の前縁には、エンジンコンプレッサ等から高温
のブリードエアを導いて前縁部の内部空間室に流通させ
るような防氷構造が採用される。このような前縁構造と
して、例えば米国特許5,011,098号とか、米国
Reg.Number:H648とか、米国特許4,738,41
6号とか、特開昭61−94898号のような技術が知
られている。そして、米国特許5,011,098号の
場合は、前縁部の構造として、外皮の裏側に内皮と隔壁
を取り付けて暖気室を形成するとともに、内皮の断面形
状を凹凸部が繰り返される凹凸状にして複数の整流壁
(凸部)で仕切られる複数の暖気通路(凹部)を形成す
るようにしている。
は、例えばエンジンカウル・インレット部の前縁構造に
関し、外皮の内部に、隔壁を結合せしめたフランジ部品
を結合し、このフランジ部品の一部に暖気通路となる波
形部を形成するようにしている。また、米国特許4,7
38,416号、及び特開昭61−94898号の場合
も、外皮の前縁内部に暖気室を形成し、この暖気室に導
いた暖気を外皮の裏面に沿って流動させるような技術を
開示している。
な前縁部の防氷構造において、外皮の裏側に内皮と隔壁
を固着して暖気室を形成する際、例えば外皮と内皮と隔
壁がアルミ合金等の金属素材であるような場合には、内
皮等を結合するためのリベット等の結合部品が外皮の外
側表面に露出し、前縁部の外表面に沿って流れる空気抵
抗が増えるため、空気抵抗を一層減らして空力特性の向
上を図ることが望まれるところである。またリベット等
の結合部品は重量増加を招くため、部品削減による重量
の軽減が望まれるところである。また、前縁防氷部に高
温の暖気を流通させた際に外皮が熱変形すると前縁部の
気流が乱れるため熱的強度の高い構造が望まれるところ
である。更に、結合部品用の貫通孔等を無くし、耐クラ
ック破壊、耐腐食性等の特性を向上させることが望まれ
るところである。
ば、結合部材が外皮表面に露出するような問題はなくな
り、空気抵抗も少なくなるばかりでなく、熱膨張係数も
小さいため(例えばアルミ合金の熱膨張係数は23であ
るに対して、CRFPは3〜5)熱的強度も高くなって
好都合であるが、例えば強化繊維樹脂の外皮と内皮等を
夫々別個に形成して接着剤等で接合して一体化するよう
な方法は、夫々別個の成形型が必要であり、費用と手間
がかかるという問題があった。また、接合部の一部を接
着する代りにシールするようにしても、シール作業の手
間がかかり、シール剤によって重量増加を招くという問
題があった。そこで、強化繊維樹脂を用いた航空機の前
縁構造において、外皮と内皮等を強固に接合し、しかも
製造が簡単で低コストの製造方法が望まれていた。
本発明は、請求項1において、外皮と内皮と隔壁で囲ま
れる前縁部の内部空間を暖気室として形成し、この暖気
室に複数の整流壁で仕切られる複数の暖気通路を形成す
るようにした航空機の前縁構造において、外皮と内皮
は、整流壁を介してビスマレイミド変性樹脂或いはポリ
イミド系樹脂からなる強化繊維樹脂を一体に接合硬化さ
せて成形するようにした。そして、このように強化繊維
樹脂の外皮と内皮とを一体に接合硬化させることで、外
皮と内皮の接合部は自己接着力により強固に接合され、
接合部の信頼性が向上する。また、シール剤を使用しな
くても外皮と内皮の二重壁の気密性が確保され、シール
剤による重量増加を招かない。また、請求項2では、外
皮と内皮と前方隔壁で囲まれる前縁部の内部空間を暖気
室として形成し、この暖気室に複数の整流壁で仕切られ
る複数の暖気通路を形成するようにした航空機の前縁構
造において、前記外皮と内皮は、前記整流壁を介して強
化繊維樹脂を一体に接合硬化させたものであり、前記内
皮の後方には後方隔壁が設けられ、この後方隔壁と前記
前方隔壁によって暖気排出室が区画形成され、この暖気
排出室に入った暖気が翼端の排出口から大気に放出され
るようにした。
囲まれる前縁部の内部空間を暖気室として形成し、この
暖気室に複数の整流壁で仕切られる複数の暖気通路を形
成するようにした航空機の前縁部の製造方法において、
前縁部の形状を模した工具に外皮となる未硬化状態の強
化繊維樹脂製の第1積層体を位置決めし、この第1積層
体の内側面上に暖気通路と整流壁を形成するための櫛歯
状の形状保持具を位置決めするとともに、この形状保持
具の上に内皮となる未硬化状態の強化繊維樹脂製の第2
積層体を位置決めし、形状保持具の歯溝内に第2積層体
を入れ込んで整流壁となる部分を成形した後、この上を
真空バッグで覆って内部を真空引きするようにした。そ
して、これを加熱・加圧し整流壁を介して第1積層体と
第2積層体を一体に接合硬化させ、形状保持具を引き出
した後、形状保持具の歯のない付根部で成形された第2
積層体の平坦部に隔壁を接合するようにした。そして、
請求項4では、請求項3記載の航空機の前縁部の製造方
法において、櫛歯状の形状保持具を、歯のない付根部と
歯のある歯形部とに分離するようにした。
第2積層体との中間部に挟み込んだ形状保持具の歯溝内
に第2積層体の一部を入れ込んで整流壁となる部分を成
形し、真空引きによって整流壁の先端を第1積層体に密
着状に当接させ、これを加熱・加圧すれば整流壁と外皮
(第1積層体)が一体に接合硬化する。そしてこの後、
櫛歯状の形状保持具の歯のない部分で成形した内皮(第
2積層体)の平坦部に隔壁を接合して暖気室を形成すれ
ば、暖気室の気密性を確保するため隔壁の接合部を凹凸
状にする必要がなく、単に平坦にすれば良いため成形容
易である。また請求項4のように形状保持具を歯形部と
付根部に分離すれば、第1、第2積層体が硬化した後、
形状保持具を引き出す際に原形を保ったまま引き出すこ
とが出来、その後何回も繰り返して使用出来る。これに
対して分離しない場合は形状保持具を破損させながらで
ないと引き出すことが出来ない。
囲まれる前縁部の内部空間を暖気室として形成し、この
暖気室に複数の整流壁で仕切られる複数の暖気通路を形
成するようにした航空機の前縁部の製造方法において、
前縁部の形状を模した工具に外皮となる未硬化状態の強
化繊維樹脂製の第1積層体を位置決めし、この第1積層
体の内側面上に前記暖気通路を形成するための形状保持
具と、この形状保持具の端部に嵌め込まれた断面コの字
型の未硬化状態の強化繊維樹脂の整流壁を複数並べて位
置決めするとともに、この形状保持具の上に内皮となる
未硬化状態の強化繊維樹脂製の第2積層体を位置決めす
るようにした。そして、この上を真空バッグで覆って内
部を真空引きし加熱・加圧することで前記整流壁を介し
て第1積層体と第2積層体を一体に接合硬化させ、次い
で形状保持具を引き出し、第2積層体の所定部に隔壁を
接合するようにした。
維樹脂の整流壁を端部に嵌め込んだ形状保持具を第1積
層体と第2積層体の間に挟み込み、真空バッグで真空引
きすることで、整流壁と第1積層体及び第2積層体を密
着状に当接させ、加圧・加熱すれば外皮(第1積層体)
と内皮(第2積層体)が整流壁を介して一体に接合硬化
する。
ーンゴムとするが、このシリコーンゴムは、シロキサン
結合の繰り返し(Si-o)nを主鎖とし、側鎖にアルキ
ル、アリール基等を持つ重合体であり、耐熱性に優れ、
硬化した積層体との離脱性も良好な弾性体である。そし
て、このシリコーンゴムは引張ると幅方向の寸法が縮
み、抜き勾配がなくても硬化した積層体から抜け出るこ
とが出来る。
て添付した図面に基づき説明する。ここで図1は本発明
の航空機の前縁構造の第1例を示す斜視図、図2は同断
面図、図3乃至図6は同第1例の前縁部の製造方法を示
す工程図である。航空機の主翼等の前縁部には氷等が付
着するのを防止するための防氷構造が採用され、この防
氷構造は、例えばエンジンコンプレッサー等から引出さ
れた温度の高いブリードエアを、外皮で囲まれる前縁部
の内部空間部に導き、外皮の裏側に沿って流動させるこ
とで外皮の表面温度を高め前縁部表面に氷等が付着する
のを防止するようにしている。
体の前縁部をビスマレイミド変性樹脂/炭素繊維複合材
からなる強化繊維樹脂にて成形しており、その形態の第
1例は、図1、図2に示すように、上記強化繊維樹脂か
らなる外皮1の内側に同強化繊維樹脂からなる内皮2と
前方隔壁3が設けられ、この外皮1、内皮2、前方隔壁
3によって暖気室4が区画形成されている。また、内皮
2の後方には後方隔壁5が設けられ、この後方隔壁5と
前方隔壁3によって暖気排出室6を区画形成するととも
に、この後方隔壁5の後方の室を温度緩衝室7として区
画し、この後方の温度緩衝室7内に外気を導入して翼の
後方部に内装したインテグラルタンク等の過熱を防止す
るようにしている。
隔壁3を境にして前方の暖気噴出部4aと後方の暖気通
路部4bに分けられ、前記暖気噴出部4a内には、ブリ
ードエアを流通させるピッコロチューブ8が収容され、
このピッコロチューブ8には多数のエア噴出口8a(図
1)が設けられている。また、前記内皮2には、複数の
整流フィンF、…が突設されたフィン形成部2aと、外
皮1と所定間隔を保持した平坦部2bが設けられ、前記
整流フィンF、…は内皮2を翼幅方向に所定間隔置きに
暖気通路部4b内に突出させて形成されている。そし
て、この整流フィンF、…の先端部が外皮1に対して一
体に接合硬化されるとともに、暖気通路部4bの空間部
を複数の暖気通路T、…に仕切っている。そして、前記
前方隔壁3は、内皮2の平坦部2bに接着して固定され
ている。
8aから噴出した高温のブリードエアは、暖気噴出部4
aから暖気通路部4bの暖気通路T、…を流動し、暖気
排出室6に入った後、翼端の排出口から大気に放出され
る。そしてこのように前縁部の外皮1の内面に沿って高
温のブリードエアを流動させることで、翼前面に氷等が
付着するのを防止する。
3に基づき説明する。まず、図3(A)に示すように、
前縁部の形状を模した前縁スキンツール型10に対し、
例えば炭素繊維にビスマレイシド変性樹脂を含浸させた
複合中間材料を積層した第1積層体としてのシート状の
アウタースキンプリプレグ11を位置決めする。このア
ウタースキンプリプレグ11は、予め所定のサイズにセ
ットされて適当な粘着性と柔らかさ、なじみやすさが与
えられており、前縁スキンツール型10に押し付けるこ
とで型面に粘着し、型面形状に倣って成形される。
ウタースキンプリプレグ11の上下傾斜面に、形状保持
具としての2枚のシリコーンゴム製のシリコーンブロッ
ク13、13を位置決めする。このシリコーンブロック
13は櫛歯状をしており、歯のある歯形部13aがそれ
ぞれ外側になり、歯のない付根部13bがそれぞれ内側
になるような姿勢でアウタースキンプリプレグ11上に
片面側が押し付けられるとその位置に粘着する。尚、本
実施例ではシリコーンブロック13は破線で示す位置で
歯形部13aと付根部13bに分離されている。
ーンブロック13、13の上面に第2積層体としての2
枚のインナースキンプリプレグ12、12が位置決めさ
れる。このインナースキンプリプレグ12もアウタース
キンプリプレグ11と同じ炭素繊維にビスマレイシド変
性樹脂を含浸させた複合中間材料の積層体であり、適当
な粘着性と柔らかさ、なじみやすさが与えられるととも
に、その幅は、シリコーンブロック13の幅とほぼ同一
幅か或いはそれより幅狭にしている。そしてこれを上か
ら押え付けることでシリコーンブロック13上に粘着さ
せる。
シリコーンブロック13、インナースキンプリプレグ1
2が積層されると、図4に示すように、シリコーンブロ
ック13の歯溝とほぼ同形状の複数のシリコーンブロッ
ク14、…をインナースキンプリプレグ12上から歯溝
内に嵌合させ、インナースキンプリプレグ12の一部を
歯溝内に入れ込む。そして、この入れ込んで形成された
凸部を整流フィン部12a、…として形成する。次にこ
の上から全体を真空バッグ17で覆い、この真空バッグ
17内を減圧する。すると、積層されたプリプレグ1
1、12の内部の空気が脱気され、前縁ツール型10に
対しても正確になじみ、しかも整流フィン部12a、…
とアウタースキンプリプレグ11が密着する。
ーブに入れて、所定の加熱・加圧パターンで加熱・加圧
を行うことによって硬化させる。すると、アウタースキ
ンプリプレグ11は硬化して外皮1なり、インナースキ
ンプリプレグ12は硬化して内皮2となり、整流フィン
部12a、…は硬化して整流フィンF、…になるととも
に、これら外皮1と内皮2は整流フィンF、…を介して
一体に接合硬化する。そして、整流フィンF、…と外皮
1の接合部は自己接着力によって強固に接合する。その
後、シリコーンブロック14、13を取り除くが、外皮
1と内皮2で挟まれるシリコーンブロック13は、予め
破線に示す位置で付根部13bと歯形部13aに分離し
ておけば、歯形部13aは外側に向けて引き出し、付根
部13bは内側に向けて引き出せば原形を保ったまま引
き出すことが出来る。また、シリコーンブロック13は
引張れば幅方向の寸法が縮まるという性質を有するた
め、抜き勾配がなくても容易に引き出すことが出来る。
分は暖気通路T、…となり、また、シリコーンブロック
13の付根部13bに対応する部分の内皮2には平坦部
2bが成形されるが、図5に示すように、この平坦部2
bに前方隔壁3が接着等にて固着される。すなわち、こ
の前方隔壁3は予め別工程で成形硬化させられた複合材
料であり、例えば両端部で内皮2に固着されるリブ1
5、15にも固着される。そして、このように前方隔壁
3を平坦部2bに固着することで、前方隔壁3の接合部
を単純な平坦面にすればよく製作容易である。
ように、外皮1と内皮2は整流フィンF、…を介して強
固に接合され、二重壁の気密性が確保されるとともに、
シール剤等が不要なため重量増加を招かない。しかも内
皮2の成形型が不要なため安価である。
第2例について図7乃至図11に基づき説明する。図7
(A)に示すように、前縁部の形状を模した前縁スキン
ツール型10に対し、所定のサイズにカットされた第1
積層体としてのアウタースキンプリプレグ11を位置決
めしセットする。次いで図7(B)に示すように、この
アウタースキンプリプレグ11の上下傾斜面に、形状保
持具としての矩形状のシリコーンブロック13、…と断
面コの字状の整流フィンプリプレグ16、…を順次並べ
て位置決めする。この際、1枚のシリコーンブロック1
3の片側端部には、断面コの字状の整流フィンプリプレ
グ16が1つづつ嵌め込まれており、この整流フィンプ
リプレグ16が嵌め込まれたシリコーンブロック13を
長手方向に沿って並べてゆき、上下面に2列にセットす
る。
列のシリコーンブロック13、13の上から第2積層体
としての2枚のインナースキンプリプレグ12、12を
位置決めする。このインナースキンプリプレグ12の幅
は、シリコーンブロック13の幅からはみ出すことのな
いような幅とし、上から押え付けてシリコーンブロック
13と整流フィンプリプレグ16上に粘着させる。
バッグ17で覆い、この真空バッグ17内を減圧する
と、各プリプレグ11、12、16内の空気が脱気さ
れ、アウタースキンプリプレグ11と整流フィンプリプ
レグ16の当接面、及びインナースキンプリプレグ12
と整流フィンプリプレグ16の当接面は密着する。そし
て、各プリプレグ内の前縁ツール型10ごとオートクレ
ーブに入れて、加熱・加圧を行えば、アウタースキンプ
リプレグ11は硬化して外皮1となり、インナースキン
プリプレグ12は硬化して内皮2となり、整流フィンプ
リプレグ16、…は硬化して整流フィンF、…となり、
これら外皮1と内皮2は整流フィンF、…を介して一体
に接合硬化する。しかも外皮1と整流フィンF、…、及
び内皮2と整流フィンF、…の接合部は自己接着力によ
って強固に接合する。
くが、この際、シリコーンブロック13は外側方向に向
けて引張れば幅方向に縮んで原形を保ったまま円滑に引
き出すことが出来る。そして、図10に示すように、こ
のシリコーンブロック13を抜き出した箇所が暖気通路
T、…として形成される。その後、図9に示すように、
内皮2の所定位置に予め別成形された複合材からなる前
方隔壁3が接着等にて固着され、両端部が内皮2に固着
されるリブ15、15によって支持される。
図11の通りであり、前記第1例の場合と同様、外皮1
と内皮2は整流フィンF、…を介して強固に接合されて
いるため、二重壁の気密性が確保されるとともに、接合
部の信頼性を高くすることが出来る。しかもシール剤等
が不要なため重量増加を招かず、内皮2を成形するため
の成形型が不要なため安価である。
スマレイミド変性樹脂を採用した理由は、吹き付けられ
るブリードエアの温度が180℃前後であるのに対し
て、この高温下での物性を満足する複合材樹脂として、
ビスマレイミド変性樹脂(硬化温度180〜190℃)
とポリイミド系樹脂(硬化温度370〜400℃)が考
えられ、このうちポリイミド系樹脂は、繊維と樹脂が別
々にしか入手出来ないのに対して、ビスマレイミド変性
樹脂はプリプレグ状態で入手可能で、且つ硬化温度がポ
リイミド系樹脂より低いため設備コストがより安価に済
むからである。勿論、実施の形態に限定されるものでは
ない。また、適用箇所も主翼に限定されるものではな
く、その他、エンジンカウル・インレット部の前縁部、
エンジン・サポートアーム部の先端部、水平・垂直尾翼
前縁部、昇降舵、方向舵ホーンバランス先端部等にも適
用可能である。
は、請求項1のように、外皮と内皮と隔壁で囲まれる前
縁部の内部空間を暖気室として形成し、この暖気室に複
数の整流壁で仕切られる複数の暖気通路を形成するよう
にした航空機の前縁構造において、外皮と内皮を、整流
壁を介してビスマレイミド変性樹脂或いはポリイミド系
樹脂からなる強化繊維樹脂を一体に接合硬化させて成形
するようにしたため、外皮と内皮の接合部は自己接着力
により強固に接合され、接合部の信頼性が向上する。ま
た、シール剤を使用しなくても二重壁の気密性が確保さ
れるため、シール剤による重量増加を招かない。また、
前縁部を強化繊維樹脂で成形しているので、結合部材が
外皮表面に露出するような問題はなくなり、空気抵抗も
少なくなるばかりでなく、熱膨張係数も小さいため熱的
強度も高くなって好都合である。更に、請求項2のよう
に、内皮の後方に後方隔壁を設け、後方隔壁と前方隔壁
によって暖気排出室を区画形成し、暖気排出室に入った
暖気を翼端の排出口から大気に放出させるようにすれ
ば、前縁部の外皮の内面に沿って高温のブリードエアを
流動させ、翼前面に氷等が付着するのを防止出来る。
ように、第1積層体と第2積層体の間に櫛歯状の形状保
持具を挟み込み、形状保持具の歯溝内に第2積層体を入
れ込んで整流壁となる部分を成形した後、この整流壁と
なる部分の先端を第1積層体に密着させて接合硬化させ
るようにすれば、各パーツごと成形して組み立てる方式
に較べて、内皮を成形するための成形型が不必要であ
り、しかも容易に且つ安価に製造出来る。この際、請求
項4のように、形状保持具を歯のない付根部と歯のある
歯形部に分離すれば、硬化後引き出す際に原形を保った
まま引き出すことが出来、繰り返して何回も使用出来
る。
部にコの字状の整流壁を嵌め込んだものを並べて第1積
層体と第2積層体の中間部に挟み込むようにしても、外
皮と内皮が整流壁を介して一体に接合硬化され、接合部
の信頼性をあげることが出来る。また、請求項6のよう
に、形状保持具をシリコーンゴムとすれば、引張って抜
き出す際に幅方向の寸法が縮み、抜き勾配がなくても硬
化した積層体から抜き出すことが出来、作業性が良い。
図
皮を入れ込む状態の説明図
図
…暖気室、4b…暖気通路部、10…前縁スキンツール
型、11…アウタースキンプリプレグ、12…インナー
スキンプリプレグ、12a…整流フィン部、13…シリ
コーンブロック、13a…歯形部、13b…付根部、1
6…整流フィンプリプレグ、F…整流フィン、T…暖気
通路。
Claims (6)
- 【請求項1】 外皮と内皮と隔壁で囲まれる前縁部の内
部空間を暖気室として形成し、この暖気室に複数の整流
壁で仕切られる複数の暖気通路を形成するようにした航
空機の前縁構造において、前記外皮と内皮は、前記整流
壁を介してビスマレイミド変性樹脂或いはポリイミド系
樹脂からなる強化繊維樹脂を一体に接合硬化させたもの
であることを特徴とする航空機の前縁構造。 - 【請求項2】 外皮と内皮と前方隔壁で囲まれる前縁部
の内部空間を暖気室として形成し、この暖気室に複数の
整流壁で仕切られる複数の暖気通路を形成するようにし
た航空機の前縁構造において、前記外皮と内皮は、前記
整流壁を介して強化繊維樹脂を一体に接合硬化させたも
のであり、前記内皮の後方には後方隔壁が設けられ、こ
の後方隔壁と前記前方隔壁によって暖気排出室が区画形
成され、この暖気排出室に入った暖気が翼端の排出口か
ら大気に放出されることを特徴とする航空機の前縁構
造。 - 【請求項3】 外皮と内皮と隔壁で囲まれる前縁部の内
部空間を暖気室として形成し、この暖気室に複数の整流
壁で仕切られる複数の暖気通路を形成するようにした航
空機の前縁部の製造方法において、前縁部の形状を模し
た工具に外皮となる未硬化状態の強化繊維樹脂製の第1
積層体を位置決めする工程と、この第1積層体の内側面
上に前記暖気通路と整流壁を形成するための櫛歯状の形
状保持具を位置決めする工程と、この形状保持具の上に
内皮となる未硬化状態の強化繊維樹脂製の第2積層体を
位置決めし、形状保持具の歯溝内に第2積層体の一部を
入れ込んで前記整流壁となる部分を成形する工程と、こ
の上を真空バッグで覆って内部を真空引きする工程と、
これを加熱・加圧し前記整流壁を介して第1積層体と第
2積層体を一体に接合硬化させる工程と、前記形状保持
具を引き出す工程と、前記形状保持具の歯のない付根部
で成形された第2積層体の平坦部に前記隔壁を接合する
工程からなることを特徴とする航空機の前縁部の製造方
法。 - 【請求項4】 請求項3記載の航空機の前縁部の製造方
法において、前記櫛歯状の形状保持具は、歯のない付根
部と歯のある歯形部とに分離されたことを特徴とする航
空機の前縁部の製造方法。 - 【請求項5】 外皮と内皮と隔壁で囲まれる前縁部の内
部空間を暖気室として形成し、この暖気室に複数の整流
壁で仕切られる複数の暖気通路を形成するようにした航
空機の前縁部の製造方法において、前縁部の形状を模し
た工具に外皮となる未硬化状態の強化繊維樹脂製の第1
積層体を位置決めする工程と、この第1積層体の内側面
上に前記暖気通路を形成するための形状保持具と、この
形状保持具の端部に嵌め込まれた断面コの字型の未硬化
状態の強化繊維樹脂の整流壁を複数並べて位置決めする
工程と、この形状保持具の上に内皮となる未硬化状態の
強化繊維樹脂製の第2積層体を位置決めする工程と、こ
の上を真空バッグで覆って内部を真空引きし加熱・加圧
することで前記整流壁を介して第1積層体と第2積層体
を一体に接合硬化させる工程と、前記形状保持具を引き
出す工程と、前記第2積層体の所定部に前記隔壁を接合
する工程からなることを特徴とする航空機の前縁部の製
造方法。 - 【請求項6】 請求項3乃至請求項5記載の航空機の前
縁部の製造方法において、前記形状保持具はシリコーン
ゴムであることを特徴とする航空機の前縁部の製造方
法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22822295A JP3529910B2 (ja) | 1995-09-05 | 1995-09-05 | 航空機の前縁構造及びその製造方法 |
US08/711,678 US5807454A (en) | 1995-09-05 | 1996-09-04 | Method of maufacturing a leading edge structure for aircraft |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22822295A JP3529910B2 (ja) | 1995-09-05 | 1995-09-05 | 航空機の前縁構造及びその製造方法 |
Publications (2)
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