JP3529664B2 - アルミニウム合金溶加材 - Google Patents
アルミニウム合金溶加材Info
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Description
割れ性に優れたアルミニウム合金溶加材に関する。
学機器などの各種構造物にAl−Mg系合金(AA50
52、5454、5083、5086等)が用いられる
ようになった。そして多くの場合、これらの構造物では
溶加材(溶接棒および溶接線)として比較的Mg量の多
いAA5356、5556、5183を主として用いた
溶接施工がなされる。
5556、5183合金は、強度に優れ、耐食性も優れ
ているため、母材としてAl−Mg系合金を用いた場合
の溶加材に適している。しかしながら、母材よりも強度
の低い溶接部に応力が集中し、経時変化した時の耐応力
腐食割れ性の点で、まだいくつかの問題を残している。
例えば、溶接直後の耐応力腐食割れ性は優れていても、
一般的な耐久年数10年以上の経時変化を想定すると、
応力腐食割れの原因といわれているβ相(Mg 2Al3)
は、室温でもMg含有量が多いほど粒界への析出は速
く、かつ析出量も多いことから耐応力腐食割れ性が懸念
され、このため塗装や陽極酸化処理による防食技術で補
っているのが現状である。
でしかも経時変化しても耐応力腐食割れ性に優れた溶加
材を提供することを目的とするものである。
するために、本発明者等が種々実験検討を重ねた結果、
耐応力腐食割れ性の向上にはMgを減量し、さらに耐応
力腐食割れ性向上のためにはZnを添加し、Mgの減量
による強度の低下はMnの増量とCrの添加で補うこと
によって、高強度を損うことなく耐応力腐食割れ性の向
上が図れることを見出し、この発明をなすに至った。
力腐食割れ性に優れたアルミニウム合金溶加材は、Mg
3.0〜4.0%、Mn1.1〜2.0%、Cr0.0
5〜0.25%を含有し、さらにTi0.01〜0.2
5%、B0.001〜0.10%、Zr0.03〜0.
30%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がA
lおよび不可避的不純物よりなることを特徴とするもの
である。そして、請求項2の発明では、アルミニウム合
金に前記各成分のほかに、さらに0.3〜1.8%のZ
nを含有すること特徴とするものである。
ついて説明する。 Mg:Mgは強度向上に有効な元素であるが、耐応力腐
食割れ性を低下させる元素でもある。Mg量が3.0%
未満では継手強度が不足となり、一方4.0%を超える
とβ相が粒界に連続的に析出する傾向となって耐応力腐
食割れ性は低下する。したがってMg量は3.0〜4.
0%の範囲内とした。 Mn:Mnは強度向上に有効な元素である。1.1%未
満では継手強度が不足し、2.0%を超えると鋳造時に
Al−Mn−Fe系の粗大な化合物が生成して熱間およ
び冷間加工性を阻害する。したがってMn量は1.1〜
2.0%の範囲内とした。 Cr:Crは強度向上に寄与するが、0.05%未満で
はその効果は小さく、0.25%を超えると粗大なCr
系化合物が生成して熱間および冷間加工性を阻害するの
でCr量は0.05〜0.25%の範囲内とした。 Ti、B、Zr:これらの元素は溶接部の結晶粒の微細
化を通じて強度向上に効果があり、一種または2種以上
を添加する。その場合Tiが0.01%未満、Bが0.
001%未満、Zrが0.03%未満では上記の効果が
得られず、Tiが0.25%を超えると初晶TiAl3
が生成し、Zrが0.30%を超えると粗大な化合物が
生成されてそれぞれ強度を害し、Bが0.10%を超え
ると上記の効果が飽和する。したがって、これらの元素
の添加量は、Tiは0.01〜0.25%、Bは0.0
01〜0.10%、Zrは0.03〜0.30%の範囲
内とした。 Zn:Znは経時変化により、Al−Mg−Zn系の微
細析出物となって粒界・粒内にランダムに析出し、粒界
に連続的に析出しようとするβ相を不連続化することに
よって耐応力腐食割れ性の向上に寄与する元素である。
ただしZn量が0.3%未満ではAl−Mg−Zn系の
微細析出物の分布密度が少なすぎてその効果は小さく、
1.8%を超えるとAl−Mg−Zn系の微細析出物の
分布密度が飽和してその効果も飽和する。したがってZ
n量は0.3〜1.8%の範囲内とした。以上の各元素
のほかは、基本的にはAlならびに不可避的不純物とす
る。なお不可避的不純物としてはSi、Fe、Cu等が
含有されることがあるが、SiおよびFeは0.4%以
下、Cuは0.3%以下であれば、この発明の効果を損
なうことはない。そのほか、鋳造時の溶湯酸化を防止す
るために、Beを0.0008%以下添加することも許
容される。
いて説明する。先ず、前述のような成分組成の合金をD
C鋳造法(半連続鋳造法)やホットトップ鋳造法(気体
加圧式半連続鋳造法)で鋳造し、熱間加工前に450〜
580℃×1hr以上の加熱処理後、熱間押出し加工に
より円形断面形状とする。この場合の加熱温度は450
℃未満では熱間加工性が劣り、580℃を超えると共晶
融解の恐れがあるので加熱温度は450〜580℃の範
囲内が好ましい。さらに、熱間押出し加工材を冷間抽伸
加工と中間焼鈍を繰り返して、所定の寸法形状に加工し
溶加材(溶接棒および溶接線)とする。この場合の冷間
抽伸加工は10〜50%の加工率を目安とし、加工硬化
による破断を避けなければならない。そして中間焼鈍は
冷間加工性を向上させるために行う軟化処理であり、3
20℃未満では再結晶しないので軟化し難く、500℃
を超えると粗大結晶化して冷間抽伸加工中に粒界破断の
恐れがある。したがって中間焼鈍は、320〜500℃
×0.5〜5hrとするのが望ましい。上記の製造方法
以外に、溶湯から直接溶加材を製造する方法として知ら
れている一般的連続鋳造法(プロペルチ法、SCR法
等)やOCC法(大野式連続鋳造法)があるが、これら
の方法によっても本発明の溶加材の特性は変わらないの
でこれらを用いても差し支えない。
9.7%地金を用いてSiは0.1%、Feは0.2%
とした)の合金について、常法に従ってDC鋳造法(半
連続鋳造法)により鋳造し、直径80mm、長さ200
mmの鋳塊を得た。得られた鋳塊に対し、熱間加工前に
530℃×2hrの加熱を行った後、直ちに熱間押出し
加工して直径10mmの押出し材とした。その後30%
前後の冷間抽伸加工と400℃×2hrの中間焼鈍を数
回繰り返し、直径1.6mmの溶接線を得た。
表2に示す成分組成の5083−H321の厚さ8mm
の板をX開先加工して母材とし、表3に示す条件で表側
1パス、裏側1パスのMIG溶接により溶接継手(溶接
材)を得た。
よる引張強さを調べ、さらに応力腐食割れ試験による割
れ寿命を調べた。なお耐応力腐食割れ性に関しては、溶
接直後では応力腐食割れ感受性は低く、経時変化によっ
てβ相(Mg2Al3)が粒界に析出し、応力腐食割れ感
受性は高まることが一般に知られている。そこでこの実
施例では溶接継手に対し、約10年後のβ相の析出状態
に相当する120℃x7日間の熱処理を施すことによっ
て応力腐食割れ感受性を高めた状態とし、その状態で応
力腐食割れ試験を実施した。またこの応力腐食割れ試験
はNaCl水溶液中での引張りによる応力負荷(溶接金
属部および熱影響部を含めた)を行うとともに、耐応力
腐食割れ性を比較的短時間で評価するために試験片に直
流5mA/cm2 の電流を流すことで粒界腐食を促進さ
せる方法、すなわち陽極電流付加引張方式で行った。な
お負荷応力は溶接継手材引張強さの40%とした。その
結果を表4に示す。なお、引張試験の破断位置および応
力腐食割れ試験の割れ位置は、ともに溶接金属部であっ
た。
範囲内の成分組成の溶加材を用いてMIG溶接した溶接
継手No.1〜5は、比較例の溶接継手No.6〜8と
比べて、強度は同程度の高強度を示し、しかも耐応力腐
食割れ性は格段に向上していることが明らかである。こ
れに対して比較例であるNo.6はTi、B、Zrのう
ちの1種または2種以上を含有しないため結晶粒が粗大
化し、強度が低く、また耐応力腐食割れ性も低下してい
る。またMgあるいはMn量がこの発明の範囲から外れ
るNo.7,8も耐応力腐食割れ性が大幅に低下してい
る。
の発明によれば、強度は従来から知られている5356
や5183合金の溶加材並みに高強度で、しかも耐応力
腐食割れ性は5356や5183合金の溶加材よりも格
段に優れた安全性の高い、高強度耐応力腐食割れ性アル
ミニウム合金溶加材を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg3.0〜4.0%(wt%、以下同
じ)、Mn1.1〜2.0%、Cr0.05〜0.25
%を含有し、さらにTi0.01〜0.25%、B0.
001〜0.10%、Zr0.03〜0.30%のうち
の1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可
避的不純物よりなる強度と耐応力腐食割れ性に優れたア
ルミニウム合金溶加材。 - 【請求項2】 さらに0.3〜1.8%のZnを含有す
ることを特徴とする請求項1記載の強度と耐応力腐食割
れ性に優れたアルミニウム合金溶加材。
Priority Applications (1)
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JP10196399A JP3529664B2 (ja) | 1999-04-09 | 1999-04-09 | アルミニウム合金溶加材 |
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JP2000288773A JP2000288773A (ja) | 2000-10-17 |
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1999
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