JP3527862B2 - 燃料噴射装置及び内燃機関 - Google Patents
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- F02D41/20—Output circuits, e.g. for controlling currents in command coils
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Description
めの複数のコイルを備えた電磁式燃料噴射弁に係り、弁
体を駆動する技術に関する。
と呼ぶ)は、その内部のコイルに通電することにより発
生した磁気力でプランジャを吸引し、弁体を弁座から引
き離すことによって弁体と弁座との間の燃料通路を開
き、燃料噴射孔から燃料を噴射する構造を有する。この
ようなインジェクタには、弁体を弁座に押し付けるよう
に付勢する手段としてリターンスプリングが設けられて
おり、コイルへの通電が中止されるとプランジャに対す
る磁気吸引力が減衰し、弁体と弁座との間の燃料通路が
閉じられる、すなわち弁が閉じられる構造になってい
る。
ルA及びコイルBの2つのコイルを設け、開弁動作時の
通電開始から一定期間はコイルAとコイルBの両方に通
電し、一定期間経過後はコイルAへの通電を停止してコ
イルBのみに通電する電磁式燃料噴射弁が開示されてい
る。
0号公報の電磁式燃料噴射弁では、コイルA及びコイル
Bの2つのコイルの特性については十分な配慮がなされ
ておらず、開弁動作の高速応答性を確保しようとすれば
開弁状態を維持するために必要な起磁力を得ることが難
しく、開弁状態保持時の安定性を確保しようとすれば開
弁動作の高速応答化、すなわち吸引力の応答性の改善に
限界が生じてしまう可能性がある。
を流れる電流値の積で与えられる起磁力の時間変化率が
大きい第一のコイル(コントロールコイル)と、この第
一のコイルよりも起磁力の時間変化率が小さい第二のコ
イル(ホールドコイル)とを有したインジェクタについ
て、開動作初期段階ではコントロール及びホールドコイ
ルの両方のコイルに同じ向きに磁束が発生するようにバ
ッテリ電圧を印加し、大量の起磁力を短時間に投入して
開弁させ、開弁後はホールドコイルのみにバッテリ電圧
を印加するように制御することにより、保持に必要な起
磁力のみを投入して安定保持することにより、システム
コストの増加なく、高い噴射率、広いダイナミックレン
ジを達成可能な電磁式燃料噴射弁について特許出願を行
っている(特願平10−57699号)。
い、インジェクタの作動燃圧は高くなる傾向である。す
なわち、弁体の保持に必要な力も増加する。このような
状況においては、ホールドコイルに大きな電流を流す
か、巻き数を増大して起磁力を増加する必要がある。し
かしながら、大きな電流を流すと発熱量が増加する恐れ
が好ましくない。特にインジェクタがバッテリ電圧など
低電圧で駆動されると、発熱量(電力)は、バッテリ電
圧とコイル電流の積で表され、例えば電流を2倍にする
と発熱量は2倍となり温度上昇も2倍となる。また、ホー
ルドコイルの巻き数を増加するとそのインダクタンスは
巻き数の二乗で増加する。例えば巻き数を2倍にすると
インダクタンスは4倍となる。インダクタンスが増加す
ると保持のための電流の立ち上がり、立ち下がりに時間
遅れを生じダイナミックレンジ拡大を可能とする高速な
弁体駆動が不可能となる。
作状態に対して望ましい特性の駆動力を発生可能にする
ことにある。
に、本発明では、電磁式燃料噴射弁に起磁力の時間変化
率が大きい第一のコイルと、この第一のコイルよりも起
磁力の時間変化率が小さい第二のコイルとを備え、開弁
時の開動作では、少なくとも第一のコイルに電流を流
し、開弁保持状態では、第一のコイルと前記第二のコイ
ルとを直列に前記電源に接続し、前記第一のコイル及び
第二のコイルに開動作時よりも小さな電流値の電流を流
すように通電を行う。
弁体がシ−ト面に着座した状態からそのストロ−ク一杯
まで変化する(開く)までを言い、その後の開弁状態を
保持する開弁保持状態と区別する。また、開動作を特に
開動作初期段階とことわる場合もある。
施例について説明する。
面図とインジェクタ10のコネクタ部6を図面の左方向
(コネクタの接続端面側)から見た図とを示している。
図2は(a)にインジェクタ10内に設けられるボビン
に巻装されたコイルを側方から見た外観図を示し、
(b)に(a)のボビンを図面上方(弁軸心に沿う方向
において燃料噴射孔の反対側(上流側))から見た図を
示している。図3はインジェクタ10の等価回路モデル
を示す図である。
タ10の構造を説明する。本実施例のインジェクタ10
は、燃料ポンプで加圧された燃料が供給されており、弁
体を成すボール弁16とノズル側に形成されたシート面
(弁座面)4との間で燃料通路の開閉を行い、シート面
4の下流側に形成された燃料噴射孔5からの燃料の噴射
量を制御している。ボール弁16はプランジャ15の先
端に取り付けられており、シート面4の上流側には燃料
に旋回力を付与する燃料通路17aが形成されたスワー
ラ(燃料旋回素子)17が配設されている。このスワー
ラ17により燃料噴射孔5から噴射される燃料の微粒化
が促進される。
インジェクタ10には第一のコイルであるコントロール
コイル11と第二のコイルであるホールドコイル12が
設けられている。これらのコイル11,12が通電され
ると磁束が発生し、コア13、ヨーク14とプランジャ
15を磁路として通り、コア13、ヨーク14とプラン
ジャ15との間に吸引力が発生する。これによりプラン
ジャ15及びボール弁16が図では上側(シート面4か
ら離れる向き)に変位し、燃料はシート面4とボール弁
16との間に開かれた燃料通路を通って燃料噴射孔5か
ら噴射される。またインジェクタ10には、コントロー
ルコイル11とホールドコイル12による吸引力が無い
ときは、プランジャ15及びボール弁16をシート面4
に押し付けて閉弁するように、付勢手段が設けられてい
る。本実施例では付勢手段としてばね部材であるリター
ンスプリング18を設けている。
コイル11とホールドコイル12はボビン7に巻かれて
いる。コントロールコイル11の両端はボビン7を貫通
し、ロングターミナル33,34を経由してコネクタ上
側に導かれC+端子、C-端子となり、ホールドコイル12
のの両端はボビン7を貫通し、ショートターミナル3
1,32を経由してコネクタ下側に導かれH+端子、H-端
子となっている。H+、C+端子に正の電圧を加え、H+、C
-、をバッテリのマイナス端子につなぐとコントロール
コイル11とホールドコイル12に等しい向きの磁束が
発生するように、2つのコイルの巻き方、配線が決定さ
れている。
タ10のボール弁16を駆動する駆動手段は、コア13
にコントロールコイル11とホールドコイル12が巻き
付けられた等価回路で示すことができる。以下、配線、
電流の向き等を説明するときには、図3の等価回路モデ
ルで示すことにする。
つのコイルを備えている。第一のコイルであるコントロ
ールコイル11は、起磁力の立ち上がり特性を最大限考
慮する必要があり、開弁状態を維持するために必要な起
磁力を発生し続けることについては、第二のコイルの補
助的な役割を担う。一方、第二のコイルであるホールド
コイル12は、コントロールコイル11によって開弁状
態がある程度確保された時点で、単独で或いはコントロ
ールコイル11と共に、開弁状態を維持するのに必要な
起磁力を発生できれば良いので、高速な立ち上がり特性
については配慮する必要が無い。
11とホールドコイル12とは、それぞれ異なった電気
特性を持つように構成されている。コントロールコイル
11は巻き数(インダクタンス)が少なく、電気抵抗が
小さい。これに対してホールドコイル12は巻き数が多
く、電気抵抗が大きい。さらに詳細には、コントロール
コイル11はホールドコイル12に対して線材の長さを
短くかつ断面積を大きくしており、電気抵抗が小さくな
っている。
12が、それぞれ閉弁・開弁・開弁保持・閉弁の各段階
においての役割が違う。コントロールコイル11は、本
実施例においては、主として開弁初期状態で使い、開弁
保持状態ではホールドコイルの補助として使うコイルで
あり、ホールドコイル12は主として開弁保持状態での
使用を意図したコイルである。以下、それぞれの電流特
性の違いを述べる。
きの、コントロールコイル11とホールドコイル12に
流れる電流特性を時間経過と共に示した図である。前述
のようにコントロールコイル11は巻き数が少なく抵抗
が小さいため、短い時間で大きな電流値に到達すること
ができる。一方ホールドコイル12は巻き数が大きく抵
抗が大きいため電流値が収束するまで時間がかかり、さ
らにその収束値もコントロールコイル11に比べて小さ
い。一方、図4(b)は、それぞれのコイル11,12
がインジェクタ10の磁気回路に及ぼす起磁力応答を示
した図である。起磁力はコイル巻き数と電流値の積で表
され、磁気吸引力に直結した物理量と考えられる。図4
(a)に示したようにコントロールコイル11に流れる
電流は急激に立ちあがるが、巻き数が少ないため起磁力
の収束値はホールドコイル12に比べて電流値の差ほど
大きくない。逆にホールドコイル12の起磁力応答はコ
ントロールコイル11に比べて鈍い。
グ18によるセット荷重と、加圧された燃料による燃圧
がボール弁に働くため、開弁保持時に比べ大きな電磁吸
引力が要求される。電磁吸引力が、これらの力に打ち勝
つ大きさに到達した時点で、初めてプランジャ15が変
位を始める。従って、電磁吸引力を発生するのに必要な
時間は、開弁遅れに影響を及ぼすため、出来るだけ短く
する必要がある。
巻数で起磁力を稼ぐよりも電流で起磁力を稼ぐほうが効
果的である。通電時間も開弁までの短時間に限られ、発
熱の影響が出難い。コイルの巻数が少ないほうが、イン
ダクタンス及び内部抵抗が少なくなり電流が流れ易くな
る。すなわち、ピークホールド方式に用いられるような
コイルの特性が望ましい。また、電流の流れ易さは、イ
ンジェクタ内のコイルのみならず、駆動回路側の内部抵
抗、スイッチングデバイスの抵抗、電圧降下にも影響さ
れる。このため、駆動回路側の内部抵抗、スイッチング
デバイスの抵抗、電圧降下は極力小さくする必要があ
る。
小さな起磁力で弁体を開状態に保持できる。これは、開
弁により燃料が噴射されボール弁16の前後で圧力がバ
ランスし、燃圧による力が小さくなると同時に、コア1
3、ヨーク14とプランジャ15のエアギャップが小さ
くなるため、空間ギャップの磁束密度が上昇し起磁力を
有効に使えるためである。しかしながら、高噴射率、微
粒化の促進のため高い燃圧が要求される際は、開弁保持
のためにも比較的大きな起磁力が連続して必要となる。
量)は印加電圧と電流値の積となるため、インジェクタ
の温度が上昇するため、インジェクタの耐熱容量を大き
くする必要も生じてくる。例えば開弁用に望ましいコイ
ルに連続で電圧を印加することは過大な電力が投入され
ることになる。開弁状態を保持するための電流の上限は
耐熱範囲内に限られることになる。このため開弁状態を
保持するためのコイルには、必要な起磁力をこの上限電
流で割った値の巻き数が必要となる。しかしながら、コ
イルのインダクタンスは、巻き数の二乗で増加する。従
って、閉弁時の応答遅れを短縮するためには、巻き数は
ある程度の増加に留め、開弁時に用いたコイルに、開弁
時より少ない電流を通電し、保持のための起磁力を補っ
てやれば良い。
施例の燃料噴射装置の回路配線構成を示す図である。
ントロールコイル11に短時間、大きな電流を流し、保
持時には、ホールドコイル12に電流を流すとともに、
コントロールコイル11にもホールドコイル12と同じ
電流を流すような構成となっている。
12による機能分担により、コイル巻き数やコイル抵
抗、線径などをそれぞれの機能に最適化することが可能
になる。
0とその駆動回路100とを備えて構成される。場合に
よっては、噴射タイミングを制御する制御回路を含めて
もよい。また、通常、制御回路はエンジンコントローラ
(エンジンコントロールユニット:ECU)1内に設け
られる。
リ電圧Vbが供給されており、エンジンコントローラ
(エンジンコントロールユニット:ECU)1からの噴
射指令信号に基づき、コントロールコイル11、ホール
ドコイル12への通電制御を行う。インジェクタ駆動回
路100には、コントロールコイル11への通電制御を
行うコントロールコイルトランジスタモジュール110
と、ホールドコイル12への通電制御を行うホールドコ
イルトランジスタモジュール120とがある。それぞれ
のトランジスタモジュール110,120は、パワート
ランジスタ111、121とサージアブソーブドダイオ
ード112、122で構成されている。
子は、バッテリ2のプラス端子に接続されている。コン
トロールコイル11のもう一端(C−端子)とホールド
コイル12の一端(H+端子)は、接続されるととも
に、コントロールコイルトランジスタモジュール110
を介して電源のグランド側に接続されている。ホールド
コイル12のもう一端(H−端子)は、ホールドコイル
トランジスタモジュール120を介して電源のグランド
側に接続されている。以下、コントロールコイル11に
流れる電流をIc、ホールドコイル12に流れる電流をIh
とする。
オフしたときの各モードでの回路構成、各コイルに流れ
る電流を模式的に示す。
オフの状態である。コントロールコイル11、ホールド
コイル12とも電源側のグランド(マイナス側)に接続
されず、回路はオープン状態である。従ってコントロー
ルコイル11、ホールドコイル12ともに電流は流れな
い(Ic=Ih=0)。
20がオフの状態である。図のようにコントロールコイ
ル11のみが電源側のグランドに接続され、クローズ状
態となる。コントロールコイル11は上で述べたとおり
低抵抗でかつ巻き数も少ないため、短時間に大きな電流
が流れ、起磁力が急速に投入可能である。
にオンである。この場合、コントロールコイル11とホ
ールドコイル12が直列接続されクローズ状態となると
同時に、コントロールコイル11とホールドコイル12
の接続点がグランドに接続されることになる。すなわち
ホールドコイル12と、極めて線路抵抗の小さいライン
が並列に繋がることになる。上述のようにホールドコイ
ル12の抵抗は比較的大きいため、コントロールコイル
11を流れた電流のうちほとんどが、コントロールコイ
ルトランジスタモジュール110を流れることになる。
従って回路構成は(b)と異なるが起磁力投入効果とし
ては(b)とほぼ等しいと考えられる。
なモード(b)あるいは(c)が適している。ここで留
意しなければならないのは連続時間である。(b)
(c)ともにコントロールコイル11に大電流が流れる
ため、これらのモードは短時間に留めておく必要があ
る。
11とホールドコイル12が直列接続でクローズ状態に
なる。このためコントロールコイル11とホールドコイ
ル12には等しい電流が流れる(Ic=Ih)。電流値は、
バッテリ電圧をコントロールコイル11とホールドコイ
ル12の抵抗値の和で除した値となる。ホールドコイル
12の巻き数と抵抗は、コントロールコイル11よりも
大きいため、電流はほぼホールドコイル12の抵抗で決
定される。
る。比較的巻き数の多いホールドコイル12に電流が流
れて起磁力を稼ぐと同時に、巻き数の少ないコントロー
ルコイル11にも電流が流れる。ホールドコイル12に
のみ通電している場合に比べても、合計では大きな起磁
力を投入することができる。
1とホールドコイル12とを直列に接続しておき、開弁
初期時には電源電圧がコントロールコイル11にかか
り、開弁保持状態では電源電圧が直列接続されたコント
ロールコイル11とホールドコイル12との両端にかか
るように駆動回路を構成することにより、駆動回路の構
成を簡単にして、開弁動作と開弁保持動作とをより確実
に行うことが可能になる。
クタ駆動方法を示す。
イル側には噴射指令信号(Ti)の間、ホールドコイルト
ランジスタモジュール120をオンしつづけ、噴射指令
信号が立ち下がると同時にホールドコイルトランジスタ
モジュール120をオフする。一方、開弁初期Tc(<T
i)の間のみ、コントロールコイルトランジスタ110
をオンにする。従って、開弁初期Tc(<Ti)は図6のモ
ード(c)となる。このためコントロールコイル11に
大電流が流れることになり短時間に大きな起磁力を投入
し開弁を促進する。一方、Tc以降ではコントロールコイ
ルトランジスタモジュール110のみオフとなり、すな
わち図6のモード(d)となり、コントロールコイル1
1とホールドコイル12の両方に電流が流れ、ホールド
コイルのみに通電している状態に比べ、大きな起磁力が
投入でき、高燃圧に対しても安定した保持が可能とな
る。
ホールドコイルトランジスタモジュール120はオフと
なり、図6のモード(a)となる。回路はオープンし、
コントロールコイル11、ホールドコイル12への通電
は停止され、弁体は速やかに閉弁動作を開始するように
なる。
コイル12の間に相互インダクタンスが形成されている
場合に起こる相互誘導現象、また、本発明における改善
方法について示す。図7と同様にトランジスタモジュー
ルをオン・オフした場合、 Tc(<Ti)の間にコントロ
ールコイル11の電流が大きく立ち上がる際に、ホール
ドコイル12に逆向きの起電力が発生する。これは相互
誘導と呼ばれ変圧器などに発生する磁気現象と同等のも
のである。このような起電力が発生すると図5に示すホ
ールドコイルトランジスタモジュール120のサージア
ブソーブドダイオード122を経由し電流が電源グラン
ド側から流れることになる(a)。この電流はホールドコ
イル12を端子H−からH+の方向(電圧印加時と逆方
向)に流れ、磁気回路に発生する磁束を弱める働きがあ
る。この電流は、コントロールコイルトランジスタモジ
ュールを経由し電源グランドに流れ込む。 Tc(<Ti)
のときこの逆電流を容認すると実質上の開弁時の投入起
磁力が低下し、開弁遅れ、弁体保持不良が発生する可能
性がある。
うに順方向のみの通電を可能とするダイオードを挿入す
れば良い。ホールドコイル12に流れる逆電流は無くな
り、電流の順方向の立ち上がり特性も改善される。
調整したいときは、ダイオ−ドと並列に抵抗を挿入し、
この抵抗値により逆電流の量を調整しても良い。
巻き数が少なく短時間に大電流を流せて高速応答可能と
いう特性をコントロールコイル11に持たせるととも
に、小電流で安定した吸引力を得られる特性をホールド
コイル12に持たせる。開弁初期にはコントロールコイ
ル11に主に通電し、開弁保持時にはコントロールコイ
ル11とホールドコイル12を直列に接続し等しい電流
を流す。開弁動作及び開弁保持状態の各段階において、
理想的なコイル特性に理想的な通電方法を組み合わせ、
高燃圧等に対しても安定した保持を実現でき最適動作を
可能としている。
駆動燃料噴射装置の動作を示すものである。高電圧イン
ジェクタにおいては、一つのコイルで開弁動作と開弁状
態を保持する必要があるため、それぞれの段階において
理想的なコイルの特性を得ることが難しい。例えば、開
弁動作時の応答性を良くするように本実施例のコントロ
ールコイル11と同様に巻き数を少なく、抵抗を小さく
すると、保持時に大電流を継続して流す必要があり、発
熱が多くなる。逆に、巻き数、抵抗を本実施例のホール
ドコイルと同様にすると、開弁が出来ないか、開弁遅れ
が非常に大きくなる。このため、両方の妥協点でコイル
を設計せざるを得ない。
圧VHH(>>VH)を昇圧回路202を用いてバッテリから作
り、コイルに印加して急速に電流を立上げて開弁させ
る。開弁後はバッテリ電圧VL’(<<VHH)を直接印加して
も電流が流れすぎるため、電流制御回路203でスイッ
チングをし、電流値を保持限界で一定にするように電流
制御が加えられる。昇圧回路202と電流制御回路20
3の回路規模は大きく、従来のエンジンコントロールユ
ニット内に配置することは困難である。このため、高電
圧駆動燃料噴射装置においてはインジェクタ駆動回路2
10はエンジンコントローラ(エンジンコントロールユ
ニット:ECU)201と別置きされている。別置きす
ることにより、インジェクタ駆動回路210はケースが
必要となる。また、エンジンコントローラ201からの
信号のやり取りをするためにハーネス204、コネクタ
205が必要となる。また、電流制御回路駆動時のスイ
ッチングノイズでエンジンコントローラ201あるいは
ラジオ等に影響を与えないように高価なシールド線を使
う必要が生じてくる。
の燃料噴射装置の駆動回路の規模は、基本的にはパワー
トランジスタ2個で構成されたON/OFF回路であるために
非常に安価であるとともに、コンパクトである。さらに
スイッチング動作を必要としないのでノイズも発生しな
い。したがってエンジンコントローラ(エンジンコント
ロールユニット:ECU)1内にインジェクタ駆動回路
100を内臓することが可能である。
本実施例の燃料噴射装置とのコスト又はサイズを比較し
たものである。昇圧回路及び電流制御回路を廃止するこ
とができ、回路規模を小さくするとともに、ケース、ハ
ーネス、コネクタなども不要となり大幅なコストダウン
及び小型化が可能である。
関の実施例を図10を用いて説明する。本実施例の内燃
機関は、燃料を噴射する燃料噴射装置(電磁式燃料噴射
弁1010,駆動回路1100)と、燃料噴射装置に燃
料を供給する燃料供給手段(燃料ポンプ1030,フィ
ードポンプ1040,高圧プレッシャレギュレータ10
50)と、燃料噴射装置で噴射された燃料を内部で燃焼
させるシリンダ1060と、このシリンダ内で往復運動
するピストン1070と、シリンダ1060内に空気を
吸入する吸気手段1080と、シリンダ1060内の混
合気に点火する点火装置1090と、シリンダ1060
内から排気する排気手段1110と、吸気手段(吸気
管,バルブ等)1080、排気手段(排気管,バルブ
等)1110、点火装置1090及び燃料噴射装置を制
御するエンジンコントロールユニット1とを備えてい
る。また、バッテリ電圧Vbが駆動回路1100に供給
されている。
1040により燃料ポンプ1030に導かれ、チェック
弁1120を経由しインジェクタ1010に加圧された
状態で供給される。エンジンコントローラ1は、各種セ
ンサ情報から噴射タイミングと噴射量を決定し、噴射信
号をインジェクタ駆動回路1100に出力し、インジェ
クタ1010は駆動回路1100により駆動されて燃料
を噴射する。本実施例は筒内噴射エンジンで説明した
が、他の種類のエンジンに用いることができるのはもち
ろんである。
状態の各段階において、理想的なコイル特性に理想的な
通電方法を組み合わせ、高燃圧等に対しても安定した保
持を実現でき最適動作を可能としている。
後、再び閉弁するまでに、それぞれの状態に対して理想
的なコイル特性に理想的な通電方法を組み合わせ、高燃
圧等に対しても安定した保持を実現でき弁体を最適駆動
することにより、広いダイナミックレンジを安定して実
現する燃料噴射装置を安価に提供することができる。
て説明しておく。インジェクタ及びその駆動回路方式と
しては、サチュレーティッド方式(電圧駆動)とピーク
ホールド方式(電流駆動)が良く知られている。
ル巻数も多く、駆動電流は、弁体がリフトを終了しても
増加を続け、コイル内部抵抗及び、駆動回路内の抵抗に
よって制限される飽和電流値に近づく。回路インピーダ
ンスは、ピークホールド方式に比して高く、インダクタ
ンスの影響により、コイルに流れる電流の立上りはゆる
やかである。コイル内部抵抗及び、駆動回路内の抵抗を
調整することにより飽和電流値を適当に設定しておけ
ば、電流制御回路の必要も無く、安価に構成できる。
が少なく、回路インダクタンス、インピーダンスが低
く、開弁時の電流立上りは、サチュレーティッド方式に
比して速い。しかし、このままでは過電流が流れる可能
性があるので、駆動回路内に電流制御機構を設け、全リ
フト後は、開弁保持に必要な値に電流を制限する。
率、広いダイナミックレンジを達成するためには、電流
の応答性が高いピークホールド方式を採用する場合が多
い。また、昇圧回路により高電圧を作り、インジェクタ
に投入することにより短時間に電流を強制的に流し込
み、開弁立上り特性を改善することが可能である。ま
た、閉弁時には逆にこの高電圧を印加し閉弁特性を改善
することが可能である。
のコイルを備え、理想的なコイル特性に理想的な通電方
法を組み合わせ、高燃圧等に対しても安定した保持を実
現でき弁体を最適駆動することにより、広いダイナミッ
クレンジを安定して実現する燃料噴射装置を実現でき
る。
を示す図である。
巻装されたボビンの外観を示す図である。
回路モデルを示す図である。
起磁力応答特性を示す図である。
配線構成を示す図である。
である。
ジェクタ駆動方法を示す図である。
オード挿入状態でのインジェクタ駆動方法を示す図であ
る。
噴射装置の構成、コスト及びサイズの比較を示す図であ
る。
ある。
リ、10、200…インジェクタ、11…コントロール
コイル、12…ホールドコイル、13…コア、14…ヨ
ーク、15…プランジャ、16…ボール弁、17…スワ
ーラ、18…スプリング、6…コネクタ、31、32…
ショートターミナル、33、34…ロングターミナル、
7…ボビン、100…インジェクタ駆動回路、110…
コントロールコイルトランジスタモジュール、111…
コントロールコイルパワートランジスタ、112…コン
トロールコイルサージアブソーブドダイオード、120
…ホールドコイルトランジスタモジュール、121…ホ
ールドコイルパワートランジスタ、122…ホールドコ
イルサージアブソーブドダイオード、202…昇圧回
路、203…電流制御回路、204…ハーネス、205
…コネクタ、210…高電圧駆動回路。
Claims (6)
- 【請求項1】電磁式燃料噴射弁とこの電磁式燃料噴射弁
を駆動する駆動回路とを備えた燃料噴射装置において、 前記電磁式燃料噴射弁に、起磁力の時間変化率が大きい
第一のコイルと、この第一のコイルよりも起磁力の時間
変化率が小さい第二のコイルとを備え、 前記駆動回路に、前記第一のコイル及び第二のコイルに
電流を供給する電源と、前記第一のコイル及び第二のコ
イルの前記電源への接続を切り替えるスイッチ手段とを
備え、 開弁時の開動作では、少なくとも第一のコイルに電流を
流し、 開弁保持状態では、前記第一のコイルと前記第二のコイ
ルとを直列に前記電源に接続し、前記第一のコイル及び
第二のコイルに開動作時よりも小さな電流値の電流を流
すようにしたことを特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項2】電磁式燃料噴射弁とこの電磁式燃料噴射弁
を駆動する駆動回路とを備えた燃料噴射装置において、 前記電磁式燃料噴射弁に起磁力の時間変化率が大きい第
一のコイルと、この第一のコイルよりも起磁力の時間変
化率が小さい第二のコイルとを備え、 第一のコイルの一端は駆動回路の電源のプラス側に接続
され、第一のコイルのもう一端は、第二のコイルの一端
に接続されるとともに、第一の通電をオンオフするスイ
ッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側に接続さ
れ、第二のコイルのもう一端は、第二の通電をオンオフ
するスイッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側
に接続され、 開弁開動作初期段階では、少なくとも第一のスイッチ手
段をオンにし、少なくとも第一のコイルに電流を流し、
その後、第二のスイッチ手段のみオンにし、第一及び第
二の両方のコイルに電流を流すように制御することを特
徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項3】電磁式燃料噴射弁とこの電磁式燃料噴射弁
を駆動する駆動回路とを備えた燃料噴射装置において、 前記電磁式燃料噴射弁に巻き数の少ない第一のコイル
と、この第一のコイルよりも巻き数の多い第二のコイル
とを備え、 第一のコイルの一端は駆動回路の電源のプラス側に接続
され、第一のコイルのもう一端は、第二のコイルの一端
に接続されるとともに、第一の通電をオンオフするスイ
ッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側に接続さ
れ、第二のコイルのもう一端は、第二の通電をオンオフ
するスイッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側
に接続され、 開弁開動作初期段階では、少なくとも第一のスイッチ手
段をオンにし、少なくとも第一のコイルに電流を流し、
その後、第二のスイッチ手段のみオンにし、第一及び第
二の両方のコイルに電流を流すように制御することを特
徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項4】電磁式燃料噴射弁とこの電磁式燃料噴射弁
を駆動する駆動回路とを備えた燃料噴射装置において、 前記電磁式燃料噴射弁に線材の断面積が大きい第一のコ
イルと、この第一のコイルよりも線材の断面積が小さい
第二のコイルとを備え、 第一のコイルの一端は駆動回路の電源のプラス側に接続
され、第一のコイルのもう一端は、第二のコイルの一端
に接続されるとともに、第一の通電をオンオフするスイ
ッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側に接続さ
れ、第二のコイルのもう一端は、第二の通電をオンオフ
するスイッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側
に接続され、 開弁開動作初期段階では、少なくとも第一のスイッチ手
段をオンにし、少なくとも第一のコイルに電流を流し、
その後、第二のスイッチ手段のみオンにし、第一及び第
二の両方のコイルに電流を流すように制御することを特
徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項5】電磁式燃料噴射弁とこの電磁式燃料噴射弁
を駆動する駆動回路とを備えた燃料噴射装置において、 前記電磁式燃料噴射弁に端子間の電気抵抗が小さい第一
のコイルと、この第一のコイルよりも端子間の電気抵抗
が大きい第二のコイルとを備え、 第一のコイルの一端は駆動回路の電源のプラス側に接続
され、第一のコイルのもう一端は、第二のコイルの一端
に接続されるとともに、第一の通電をオンオフするスイ
ッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側に接続さ
れ、第二のコイルのもう一端は、第二の通電をオンオフ
するスイッチ手段を用いて駆動回路の電源のマイナス側
に接続され、 開弁開動作初期段階では、少なくとも第一のスイッチ手
段をオンにし、少なくとも第一のコイルに電流を流し、
その後、第二のスイッチ手段のみオンにし、第一及び第
二の両方のコイルに電流を流すように制御することを特
徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項6】燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記燃料
噴射装置に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料噴
射装置で噴射された燃料を内部で燃焼させるシリンダ
と、このシリンダ内で往復運動するピストンと、前記シ
リンダ内に空気を吸入する吸気手段と、前記シリンダ内
の混合気に点火する点火装置と、前記シリンダ内から排
気する排気手段と、前記吸気手段、排気手段、点火装置
及び燃料噴射装置を制御するエンジンコントロールユニ
ットを備え、前記燃料噴射装置に電磁式燃料噴射弁とこ
の電磁式燃料噴射弁を駆動する駆動回路とを備え、前記
電磁式燃料噴射弁に燃料噴射孔とこの燃料噴射孔の上流
側に弁座とこの弁座との間で燃料通路の開弁を行う弁体
と前記弁体の駆動力を発生するためのコイルとを備えた
内燃機関において、 前記電磁式燃料噴射弁に起磁力の時間変化率が大きい第
一のコイルと、この第一のコイルよりも起磁力の時間変
化率が小さい第二のコイルとを備え、第一のコイルの一
端は駆動回路の電源のプラス側に接続され、第一のコイ
ルのもう一端は、第二のコイルの一端に接続されるとと
もに、第一の通電をオンオフするスイッチ手段を用いて
駆動回路の電源のマイナス側に接続され、第二のコイル
のもう一端は、第二の通電をオンオフするスイッチ手段
を用いて駆動回路の電源のマイナス側に接続され、開弁
開動作初期段階では、少なくとも第一のスイッチ手段を
オンにし、少なくとも第一のコイルに電流を流し、その
後、第二のスイッチ手段のみオンにし、第一及び第二の
両方のコイルに電流を流すように制御することを特徴と
する内燃機関。
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