JP3527359B2 - 歯の表面改質剤 - Google Patents

歯の表面改質剤

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JP3527359B2 JP15631696A JP15631696A JP3527359B2 JP 3527359 B2 JP3527359 B2 JP 3527359B2 JP 15631696 A JP15631696 A JP 15631696A JP 15631696 A JP15631696 A JP 15631696A JP 3527359 B2 JP3527359 B2 JP 3527359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯または義歯(以
下、これらを総称して「歯」という)の表面に塗布して
歯表面を処理し、歯の撥水撥油性、耐酸化性、耐酸性、
潤滑性等を向上するのみならず、処理速度を極端に短縮
改善する、特定のシランカップリング剤を有効成分とし
て含有する歯の表面改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】シランカップリング剤は通常、種々の用
途、例えば、ガラス繊維強化プラスチックスの製造、歯
科治療等の用途に供されている。
【0003】ガラス繊維強化プラスチックス(GFR
P)製造に際しては、ガラス繊維表面を改質し、ベース
ポリマーとの接着強度を向上することに用いられてい
る。この場合、ガラス繊維表面とベースレジンとの接着
性を向上するために、ガラス繊維の処理表面に重合性基
を付与することに重点が置かれる。
【0004】ここで使用されるシランカップリング剤と
しては、例えば、CH2 =CH−、あるいはNH2 −C
2 −CH2 −CH2 −のような反応性基を有する次の
化合物が挙げられる。
【0005】
【化3】CH2 =CH−Si(OCH3)3
【0006】
【化4】 NH2 −CH2 −CH2 −CH2 −Si(OCH3)3
【0007】
【化5】 ClCH2 −CH2 −CH2 −Si(OCH3)3
【0008】
【化6】
【0009】
【化7】NH2 −CH2 −CH2 −NHCH2 −CH2
−CH2 −Si(OCH3)3
【0010】これらのシランカップリング剤で改質され
たガラス繊維表面には重合性基あるいは反応性基が付与
されるため、ベースレジンとの接着性が向上することに
なる。
【0011】一方、CH3 −Si(OCH3)3 、CH3
−CH2 −CH2 −Si(OCH3)3 等の不活性なアル
キル基を有するシランカップリング剤で改質されたガラ
ス、金属等の表面は、撥水性、潤滑性、光沢保持等の性
質を付与されることになる。
【0012】しかし、上述の炭化水素系シランカップリ
ング剤で改質された表面は耐酸化性を有せず、さらに、
耐酸性、耐水性等も低い。これは処理層内のシロキサン
ネットワークが加水分解を受けることに起因している。
【0013】また、炭化水素基で覆われた表面では、そ
の表面自由エネルギーが大きく、撥油性を発現すること
は不可能であって、油性の汚れを防止することはでき
ず、このため、この種のシランカップリング剤は歯科治
療、とりわけ、歯の表面改質剤としての使用には不適で
ある。
【0014】歯科治療用のシランカップリング剤として
は、従来、主としてCH2 =C(CH3)COO(CH2)
3 Si(OCH3)3(3−MPSと略称される)で表され
るものが用いられている。
【0015】例えば、虫歯部分の削除後に詰めるコンポ
ジットレジン(シリカ粒子等の無機微粒子をフイラーと
して含有する樹脂)では、フイラーの樹脂への接着強度
増強のために、フイラー表面にあらかじめ3−MPSを
コーテイングして表面に重合性官能基を付与することが
行われている。
【0016】さらに、上述の3−MPSは破損した義歯
の修復にも用いられ例えば、これを義歯の破断面に塗布
して接着修復に供されている。また、これは義歯製造の
際にも、接着強度増強のために用いられている。
【0017】しかし、口腔内は高湿度で温度変化があ
り、さらに摂食時の高い咬合圧や就寝時のブラキシズム
(歯ぎしり)等の応力が加わる過酷な環境にあるため、
コンポジットレジン修復物は長期にわたる装用中に機械
的強度が低下する。その原因は、処理した炭化水素系シ
ランカップリング剤がその処理界面および処理層内で加
水分解を起こし、シロキサンネットワークが切断される
ためである。したがって、耐用年数の長いシランカップ
リング剤の出現が待たれていた。
【0018】そこで、本出願人はシランカップリング剤
として、一般式
【化8】Cn 2n+1−(X)−SiR3-m m 〔式中、Xは(CH2)w またはC6 4 (CH2)w 、w
は1〜5の整数、Rはアルキル基、nは1〜20の整数、
mは1〜3の整数、Lはハロゲン原子、水酸基、アルコ
キシ基、アシルオキシ基を示す。〕で示される化合物を
用いた歯用表面改質剤をすでに特許出願中である(特開
平6−157318号公報参照)。
【0019】この表面改質剤は従来の炭化水素系シラン
カップリング剤の潤滑性、撥水性に加えて、耐酸化性、
耐酸性、耐水性、撥油性、付着防止性、耐摩擦摩耗性お
よび耐熱性が高く、上述の公知技術に存する欠点を大き
く改良したものである。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の特開平
6−157318号公報に記載される表面改質剤は処理
時間が2時間も必要とするものである。このように長時
間を要する処理は口腔内での治療の場合には、患者にと
って体力的にも精神的にも困難を与えるものであり、治
療時間(処理時間)の短縮化が求められていた。
【0021】そこで、本発明の目的は歯の治療、とりわ
け口腔内での治療に当たり、歯の撥水撥油性、耐酸化
性、耐酸性、潤滑性等を向上せしめることはもちろんの
こと、処理速度をも極端に短縮改善し、上述の公知技術
に存する欠点を改良した歯の表面改質剤を提供すること
にある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明によれば、歯表面と反応するNCO基を有す
るフッ化炭素基含有シランカップリング剤を有効成分と
することを特徴とし、さらに、これによって得られる表
面改質剤を歯に塗布して表面処理することを特徴とす
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に詳述す
る。
【0024】本発明で用いられる歯表面と反応するNC
O基を有するフッ化基含有シランカップリング剤は例え
ば一般式
【化9】Cn 2n+1−(X)−SiR3-m (NCO) m で示されるシランカップリング剤であって、Xは(CH
2)w またはC6 4 (CH2)w 、wは1〜4の整数、好
ましくは2であり、Rはアルキル基であって、例えば、
メチル、エチル、プロピル、ブチル基等であり、nは1
〜20、好ましくは3〜20の整数であり、mは1〜3の整
数のものである。
【0025】この化合物の具体例としては、例えば、X
=(CH2)2 、R=CH3 の場合を中心にして例示すれ
ば、次のものが挙げられる。
【0026】フッ化炭素鎖が直鎖型のもの。
【0027】
【化10】 CF3 (CF2)9 −(CH2)2 −Si(NCO)3
【0028】
【化11】 CF3 (CF2)7 −(CH2)2 −Si(NCO)3
【0029】
【化12】 CF3 (CF2)5 −(CH2)2 −Si(NCO)3
【0030】
【化13】 CF3 (CF2)3 −(CH2)2 −Si(NCO)3
【0031】
【化14】 CF3 (CF2)9 −(CH2)2 −SiCH3(NCO)2
【0032】
【化15】 CF3 (CF2)7 −(CH2)2 −SiCH3(NCO)2
【0033】
【化16】 CF3 (CF2)5 −(CH2)2 −SiCH3(NCO)2
【0034】
【化17】 CF3 (CF2)3 −(CH2)2 −SiCH3(NCO)2
【0035】フッ化炭素鎖が末端分岐型のもの。
【0036】
【化18】(CF3)2 CF(CF2)7 −(CH2)2 −S
i(NCO)3
【0037】
【化19】(CF3)2 CF(CF2)5 −(CH2)2 −S
i(NCO)3
【0038】
【化20】(CF3)2 CF(CF2)3 −(CH2)2 −S
i(NCO)3
【0039】
【化21】(CF3)2 CF(CF2)7 −(CH2)2 −S
iCH3 (NCO)2
【0040】
【化22】(CF3)2 CF(CF2)5 −(CH2)2 −S
iCH3 (NCO)2
【0041】
【化23】(CF3)2 CF(CF2)3 −(CH2)2 −S
iCH3 (NCO)2
【0042】上述のフッ化炭素基含有シランカップリン
グ剤は溶媒中に濃度0.00001%〜100%(重量)(溶媒
に溶かさず、そのまま)の範囲内で自在に溶解せしめ
て、本発明にかかる歯の表面改質剤を製造する。なお、
本発明ではこのシランカップリング剤は反応速度が高い
ので、従来のものと異なり、アンモニア、酢酸等の反応
促進剤を必要としない。
【0043】ここで用いられる溶媒としては、フッ化炭
素基含有シランカップリング剤を溶解せしめ得るもので
あれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、ア
ルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化
水素類等を挙げることができる。
【0044】上述のようにして得られる本発明にかかる
歯の表面改質剤は歯の表面に塗布して表面処理し、歯表
面に該表面改質剤を結合せしめることにより、歯表面を
改質する。
【0045】この塗布方法としては、歯の表面に上述表
面改質剤をハケで塗布し、あるいは歯が小さい場合に
は、これを上述表面改質剤中に数秒〜数分間浸漬する方
法が用いられ、重合してシロキサンネットワークを構築
して歯表面に塗膜を形成する。
【0046】上述の本発明にかかる歯の表面改質剤はこ
れを歯の表面に塗布して表面処理を行う際、処理速度
(処理時間)が数秒〜数分と極めて短縮され、歯科治療
の際の治療時間が短縮される。
【0047】さらに、上述の表面改質剤は撥水撥油性、
耐酸化性、耐酸性、潤滑性をも極めて高く向上せしめ、
これにより食物、歯垢、食品中の色素の歯表面への付着
防止、歯表面への細菌の付着防止、酸による虫歯の抑制
を達成し、この結果、虫歯や歯周病の予防効果、汚濁防
止効果、酸化防止効果、潤滑効果を充分に達成する。
【0048】さらにまた、上述の表面改質剤は従来から
使用されている炭化水素系シランカップリング剤を用い
て製造したコンポジットレジンも、撥水撥油性の高いフ
ルオロアルキル基で覆うことになり、したがって、この
コンポジットレジンを加水分解から保護して表面への汚
濁抑制効果を維持する。
【0049】また、一般に保険治療で用いられるプラス
チック製義歯は食べ物(例えば、チューインガム等)が
付着しやすい欠点があるが、義歯表面を本発明の歯の表
面改質剤で処理することにより、潤滑性が向上し、上述
の付着しやすい欠点を改良する。
【0050】〔発明の実施例〕以下、本発明を実施例に
よって具体的に詳述するが、本発明はこれら実施例によ
って範囲が限定されるものではない。
【0051】実施例1 本発明にかかる表面改質剤について結合性ならびに撥水
撥油性試験を行った。
【0052】試験は次のようにして行った。顕微鏡用ス
ライドガラスをC1021−(CH−Si(N
CO)で示されるフッ化炭素基含有シランカップリン
グ剤の3ミリモル/l CFClCFCl溶液(本
発明表面改質剤)に浸し、これを2分間、47℃にて
熱還流する。その後、表面改質されたスライドガラスを
取り出し、CFClCFClにて充分に洗浄する。
また、10ミリ角(厚さ0.6ミリ)のシリコンウエフ
アについても上述と同様にして改質処理を行った。
【0053】得られた試料のうち、シリコンウエフアに
ついてFT−IRを用いた差スペクトル測定を行ったと
ころ、1100〜1200cm-1付近にC−F伸縮振動に由来する
吸収が見られたことから、使用したフッ化炭素基含有シ
ランカップリング剤がシリコンウエフア表面に結合して
いることが明らかである。
【0054】また、上述の表面改質されたスライドガラ
ス表面について接触角測定を行ったところ、この表面は
水に対して114°(未改質ガラス歯8°)、オレイン酸
に対して82°(未改質ガラス歯12°)の接触角を有して
おり、高い撥水撥油性を示している。
【0055】実施例217−(CH−Si(NCO)で示され
るフッ化炭素基含有シランカップリング剤の3ミリモル
/l CFClCFCl溶液(本発明表面改質剤)
を用いて結合性ならびに撥水撥油性試験を行った。ま
ず、顕微鏡用スライドガラスをこの表面改質剤に浸し、
2分間、47℃にて熱還流する。その後、表面改質さ
れたスライドガラスを取り出し、CFClCFCl
にて充分洗浄する。また、10ミリ角(厚さ0.6ミ
リ)のシリコンウエフアについても上述と同様にして改
質処理を行った。
【0056】得られた試料のうち、シリコンウエフアに
ついてFT−IRを用いた差スペクトル測定を行ったと
ころ、1100〜1200cm-1付近にC−F伸縮振動に由来する
吸収が見られたことから、使用したフッ化炭素基含有シ
ランカップリング剤がシリコンウエフア表面に結合して
いることが明らかである。
【0057】また、同様に表面改質されたスライドガラ
ス表面について接触角測定を行ったところ、この表面は
水に対して110°(未改質ガラス歯8°)、オレイン酸
に対して77°(未改質ガラス歯12°)の接触角を有して
おり、高い撥水撥油性を示している。
【0058】実施例313−(CH−Si(NCO)で示され
るフッ化炭素基含有シランカップリング剤の3ミリモル
/l CFClCFCl溶液(本発明表面改質剤)
を用いてフッ化炭素基含有シランカップリング剤の結合
性ならびに撥水撥油性試験を行った。まず、顕微鏡用ス
ライドガラスをこの表面改質剤に浸し、2分間、47℃
にて熱還流する。その後、表面改質されたスライドガ
ラスを取り出し、CFClCFClにて充分洗浄す
る。また、10ミリ角(厚さ0.6ミリ)のシリコンウ
エフアについても上述と同様にして改質処理を行った。
【0059】得られた試料のうち、シリコンウエフアに
ついてFT−IRを用いた差スペクトル測定を行ったと
ころ、1100〜1200cm-1付近にC−F伸縮振動に由来する
吸収が見られたことから、使用したフッ化炭素基含有シ
ランカップリング剤がシリコンウエフア表面に結合して
いることが明らかである。
【0060】また、同様に表面改質されたスライドガラ
ス表面について接触角測定を行ったところ、この表面は
水に対して108°(未改質ガラス歯8°)、オレイン酸
に対して73°(未改質ガラス歯12°)の接触角を有して
おり、高い撥水撥油性を示している。
【0061】実施例413−(CH−Si(NCO)で示され
るフッ化炭素基含有シランカップリング剤の3ミリモル
/l CFClCFCl溶液(本発明表面改質剤)
を用いて結合性ならびに撥水撥油性試験を行った。ま
ず、顕微鏡用スライドガラスをこの表面改質剤に浸し、
2分間、47℃にて熱還流する。その後、表面改質さ
れたスライドガラスを取り出し、CFClCFCl
にて充分洗浄する。また、10ミリ角(厚さ0.6ミ
リ)のシリコンウエフアについても上述と同様にして改
質処理を行った。
【0062】得られた試料のうち、シリコンウエフアに
ついてFT−IRを用いた差スペクトル測定を行ったと
ころ、1100〜1200cm-1付近にC−F伸縮振動に由来する
吸収が見られたことから、使用したフッ化炭素基含有シ
ランカップリング剤がシリコンウエフア表面に結合して
いることが明らかである。
【0063】また、同様に表面改質されたスライドガラ
ス表面について接触角測定を行ったところ、この表面は
水に対して105°(未改質ガラス歯8°)、オレイン酸
に対して63°(未改質ガラス歯12°)の接触角を有して
おり、高い撥水撥油性を示している。
【0064】実施例5 試料として以下に示す各種歯科用材料を用いて本発明表
面改質剤の表面改質試験を行った。試験は以下の「処理
A」および「処理B」により処理後の試料の接触角θ
(度)を測定することにより行った(1μlの水および
オレイン酸により測定)。水に対する接触角θの測定結
果を表1に、また、オレイン酸に対する接触角θを表2
に示す。
【0065】使用する歯科用材料はいずれも1200番まで
研磨された平板であって、次のものである。 1.エンデュラ硬質部(色番E1)。 2.エンデュラ硬質部(色番E2)。この材料のベース
レジンはウレタン系、フイラーはSiO2 である。 3.床用レジン(松風アーバン#C3)。 4.ライトフィルII−A(色番E1)。前歯の虫歯の
穴に直接詰めるもので、ベースレジンはウレタン系、フ
イラーは主にSiO2 である。 5.ライトフィルII−P(色番AH)。奥歯の虫歯の
穴に直接詰めるもので、ベースレジンはウレタン系、フ
イラーは主にSiO2 である。 6.PMMA(ポリメチルメタクリレート)。この材料
は入れ歯の床用レジンとして用いられる。
【0066】また、試験は次の「処理A」および「処理
B」の試験方法に準じて行った。
【0067】〔処理A〕C1021−(CH2)2 −SiC
3(NCO)2の3ミリモル/l CF2 ClCFCl2
液に試料として上記1〜6に示される歯科用材料をそれ
ぞれ室温で1時間浸漬し、新しいCF2 ClCFCl2
で洗浄後、室温にて一晩自然乾燥する。
【0068】〔処理B〕C1021−(CH2)2 −SiC
3(NCO)2の3ミリモル/l CF2 ClCFCl2
液に試料として上記1〜6に示される歯科用材料をそれ
ぞれ47℃で2分加熱還流し、新しいCF2 ClCFCl
2 で洗浄後室温にて一晩自然乾燥する。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表1および表2より、改質される試料によ
り多少のバラツキはあるものの、水およびオレイン酸に
対する接触角はいずれも極端に増大しており、本発明表
面改質剤におけるフッ化炭素基含有シランカップリング
剤の高い表面改質効果が見られる。
【0072】実施例6 フッ化炭素基含有シランカップリング剤としてCF3(C
2)n −CH2 CH2−Si(NCO)3(n=3、5、
7または9)を用い、このカップリング剤のCF2 Cl
CFCl2 溶媒中の濃度に対する改質表面の水およびオ
レイン酸の接触角変化を測定し、結果を図1に示した。
図1において、実線は水、鎖線はオレイン酸のそれぞれ
接触角変化である。
【0073】図2は図1の低濃度領域の拡大図面であ
る。図1、2から従来のフッ化炭素基含有シランカップ
リング剤は30ミリモル/l溶液が好適であったが、本発明
にかかるフッ化炭素基含有シランカップリング剤では3
ミリモル/lという低濃度でも改質表面の接触角は十分に
高くなることがわかる。
【0074】実施例7 実施例1で表面処理されたガラス表面を熱濃硝酸に最大
120分浸漬した場合の表面接触角の変化を測定し、結果
を図3に示した。図3中、実線は水、鎖線はオレイン酸
に対する接触角を示す。図3から、熱濃硝酸に120分浸
漬しても改質表面の接触角の低下はほとんど見られず、
極めて高い耐酸化性表面を構築することがわかる。
【0075】実施例8 実施例1で表面処理されたガラス表面を熱濃塩酸に最大
120分浸漬した場合の改質表面の接触角変化を測定し、
結果を図4に示した。図4中、実線は水、鎖線はオレイ
ン酸に対する接触角を示す。図4から、図3の硝酸に比
べて僅かに接触角の低下が見られるが、生活上、これほ
どの強酸性条件は存在しないので、耐酸性も十分に高い
ことがわかる。
【0076】実施例9 入歯の汚れで悩んでいたヘビースモーカーの総入歯を用
いて汚濁抑制効果を検討した。入歯の右下4本の臼歯表
面をC1021−(CH2)2 −Si(NCO)3の3ミリモ
ル/l CF2 ClCFCl2 溶液を用いて1分間隔で2
回ハケ塗りすることにより改質した後、口腔内に装着
し、4ケ月間通常使用した。4ケ月後、未改質の左下4
本の臼歯と比較したところ、未改質臼歯は褐色に着色し
ていたが、改質臼歯は全く着色せず、本シランカップリ
ング剤の汚濁抑制効果と改質効果の長期持続性が確認さ
れた。
【0077】実施例101021−(CH2)2 −Si(NCO)3の3ミリモル/l
CF2 ClCFCl2 溶液を用いて改質されたスライ
ドガラスをインクジェットプリンターヘッドに装着し、
クリーニング操作を10,000回行った。このクリーニング
操作はヘッドに乾燥固化したインクをクロロプレンゴム
にて剥ぎ取る操作で、10,000回の操作はこのプリンター
の寿命に相当する過酷な操作条件である。この過酷な操
作後もガラス表面のインクに濡れ易くなる部分(表面か
ら本表面改質剤が剥がれたことを意味する)は0%であ
った。このことは本発明処理剤で改質された表面は強固
な結合を形成し、かつ、高い潤滑性を発現していること
を示している。
【0078】実施例11 本発明表面改質剤の処理時間(改質時間)について、公
知の表面改質剤との比較の上、以下の実験を行った。本
発明の表面改質剤としてはC1021−(CH2)2 −Si
(NCO)3の3ミリモル/l CF2 ClCFCl2 溶液
(本発明溶液)を用い、また、公知の表面改質剤として
は既述の特開平6−157318号公報に記載されるC
1021−(CH2)2 −Si(OCH3)3 の3ミリモル/l
CF2ClCFCl2 溶液(公知溶液)を用いた。
【0079】まず、本発明溶液20mlに数滴の水を添加し
たところ、瞬時にして白色沈澱を生じた。次いで、これ
に対して、公知溶液20mlに、同様にして数滴の水を添加
したところ変化なく、本発明溶液のように白色沈澱は生
じなかった。このことは本発明溶液は物質表面の水酸基
あるいは吸着水と瞬時に反応するが、公知溶液ではこの
ような反応を起こさないことを示唆している。
【0080】このことを図5および図6を用いて詳述す
る。図5は本発明溶液についての処理時間(改質時間)
(分)とガラス表面の接触角(度)との関係を表したグ
ラフであり、図6は公知溶液についての処理時間(改質
時間)(分)と、ガラス表面の接触角(度)との関係を
表したグラフである。
【0081】本発明溶液では、図5に示されるように、
接触角が一定になる時間が非常に短く、ほとんど瞬時に
表面が改質されている。すなわち、本発明溶液は口腔内
の歯の治療を施す際に、ほとんど瞬時に反応が完結して
表面に結合し、シロキサンネットワークを形成する。
【0082】なお、図5において、nはCF(C
)n−(CH−Si(NCO中、CF
の数を表す。nが大きいほど改質表面の接触角は高い。
【0083】一方、公知溶液では、図6に示されるよう
に、接触角が一定になるまでに約2時間を要している。
すなわち、公知溶液は口腔内の歯の治療を施す際に、反
応が完結して表面にシロキサンネットワークを形成する
までに2時間もの長時間を要することになる。
【0084】
【発明の効果】本発明の表面改質剤は歯の表面処理に用
いられ、この処理により、撥水撥油性、耐酸化性、耐酸
性、潤滑性を極めて高く向上することが可能であり、食
物、歯垢、食品中の色素の付着防止、酸による虫歯発生
の抑制効果を発現する。さらに、本発明の表面改質剤は
処理速度が極めて速く、したがって、歯の治療、とりわ
け、口腔内での治療の場合、処理速度が短縮改善され
る。これらの効果は歯みがきのできない幼児や寝たきり
の高齢者等に対しても福音をもたらすことが可能とな
る。このように、本発明は口腔内全般の健康維持に極め
て有意義な表面改質剤を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明表面改質剤のシランカップリング剤濃度
(mM)と接触角(度)との関係を表したグラフであ
る。
【図2】図1のグラフの低濃度領域の拡大グラフであ
る。
【図3】本発明表面改質剤で表面処理されたガラスの熱
濃硝酸への浸漬時間(分)と接触角(度)との関係を表
したグラフである。
【図4】本発明表面改質剤で表面処理されたガラスの熱
濃塩酸への浸漬時間(分)と接触角(度)との関係を表
したグラフである。
【図5】本発明表面改質剤(本発明溶液)についての処
理時間(改質時間)(分)とガラス表面の接触角(度)
との関係を表したグラフである。
【図6】公知の表面改質剤(公知溶液)についての処理
時間(改質時間)(分)とガラス表面の接触角(度)と
の関係を表したグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯表面と反応するNCO基を有するフッ
    化炭素基含有シランカップリング剤を有効成分とし、前
    記シランカップリング剤が一般式 〔化1〕 C2n−(X)−SiR−m(NCO)m 〔式中、Xは(CHまたはC(C
    、Wは1〜4の整数、Rはアルキル基、nは1
    〜20の整数、mは1〜3の整数を示す〕で示されるフ
    ッ化炭素鎖が直鎖型または末端分岐型のフッ化炭素基含
    有シランカップリング剤であることを特徴とする歯の表
    面改剤。
  2. 【請求項2】 請求項1のシランカップリング剤が濃度
    0.00001〜100%(重量)である請求項1に記
    載される歯の表面改質剤。
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