JP3522506B2 - 酸素燃焼バーナと該バーナを持つ燃焼炉 - Google Patents
酸素燃焼バーナと該バーナを持つ燃焼炉Info
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Description
該酸素燃焼バーナを熱源とする燃焼炉に関し、特に、簡
単な構成でありながら、高温の工業炉内に偏平な火炎
を、炉の大きさ等に応じて任意に形成するこのとできる
酸素燃焼バーナ、及び該バーナを持つ燃焼炉に関する。
業用の高温加熱プロセスには、燃料と予熱空気による予
熱空気燃焼が多く用いられてきた。また、ガラス溶解炉
においては、炉温が高く、排気ガス温度も高いことか
ら、省エネルギーのために、例えば「ガス燃焼の理論と
実際」(財団法人省エネルギーセンター刊行)に示され
るような蓄熱型燃焼システムを用いている。しかし、蓄
熱部(リジェネレータ)の排熱回収による熱効率の改善
は75%程度が限度であること、NOx 排出量の増大
や、ガラス溶解炉本体よりも大きな蓄熱室を必要とする
ために設備費が増大すること、さらには、蓄熱室改修時
に大量に発生する鉛、フッ素、各種塩化物の有害物質を
多く含む煉瓦廃棄物の処分も問題となること、等から、
高温加熱プロセスでのさらなる改良が求められている。
剤を使用して空気から酸素を分離するPSA式酸素製造
法の技術革新により、工業用規模での酸素濃度90%前
後の酸素が安価に入手できるようになった。この酸素を
従来の予熱空気の代わりに、酸化剤として燃焼に使用し
て、ガラス溶解炉の高温加熱プロセスを酸素燃焼に転換
すると、酸化剤中の窒素分がほとんどなくなることか
ら、火炎温度が上昇し、排ガス量も減少する。そのため
に、従来の予熱空気燃焼と比較すると、熱効率が格段に
改善され、また、燃料消費量の削減(省エネルギー)も
可能となる。さらに、サーマルNOx 生成の原因となる
酸化剤中の窒素分が減少するので、NOx排出量も減少
する。これらの特長から、酸素燃焼法は、従来燃料消費
量が多く、NOx 排出量の削減が難しかったガラス溶解
炉の加熱プロセスの代替え法として特に好適であるとい
われている。
下部に溶融ガラスがあり、その上部空間に火炎が作られ
て、火炎からの熱放射により、ガラスを溶解する構造に
なっている。そのためガラス溶解炉向けバーナには、N
Ox 排出量が少ないことと共に、熱放射が強いことが要
求される。そこで、従来の予熱空気燃焼と同様の比較的
速い噴出流速(30〜100m/s程度)でもって、酸
素燃焼バーナで酸素燃焼を行うと、燃料と酸素の燃焼速
度は燃料と空気の燃焼速度の10倍以上となり、また、
酸化剤の体積も1/5となるので混合がよくなり、火炎
体積は予熱空気燃焼の場合と比較して大幅に減少し、小
さな高温火炎を形成する。そのために、酸素燃焼火炎か
らの熱放射は少なくなり、ガラス溶解炉のバーナとして
は必ずしも望ましくない。また、高温火炎がバーナ近傍
に作られると、バーナやバーナタイルが、火炎からの熱
により、溶損する危険がある。
ナとして、熱放射を高める目的で、例えば特開平3−1
86111号公報に代表されるように、中央部の金属性
燃料ノズルから燃料を噴出し、それと同時に燃料ノズル
を取り囲む環状酸素ノズルから酸素を噴出し、燃料と酸
素がバーナ先端部を過ぎた外側で燃焼を開始するように
したものが提案されている。この酸素燃焼バーナにおい
て、燃料と酸素のノズルからの噴出流速を遅くすること
で、燃料と酸素の混合を遅くし、流速方向に大きな火炎
を作り、火炎からの熱放射を高めている。また、燃焼開
始が遅れることで、火炎の高温部分をバーナから遠ざけ
ることができ、バーナの焼損の可能性を低下させてい
る。
すればするほど、熱放射が大きくなるが、一方におい
て、流速を遅くすることは火炎の安定性を損ない、火炎
が浮き上がり、炉天井を損傷する原因となる。そのた
め、熱放射を高めることにも自ずと限界がある。また、
流速を遅くすると燃料と酸素は炉内の燃焼ガスを巻き込
まずに燃焼するので火炎温度が非常に高くなり、燃料あ
るいは酸化剤中に少量含まれる窒素がNOx へ転換する
サーマルNOx 生成反応が促進するため、NOx 排出量
も多くなる欠点がある。
のように、横方向に偏平な火炎を作り出すことにより、
ガラス面から見て火炎の面積を大きくし、ガラスへの熱
放射を高める工夫をした酸素燃焼バーナも提案されてい
る。しかし、この形態の酸素燃焼バーナは、燃料と酸素
の接触面積が大きく混合がよいために、火炎温度の高い
部分ができ、サーマルNOx の排出量が増大すると考え
られ、NOx 排出量の点で問題を持つ。また、バーナ構
造が複雑となり、バーナ製作コストが高くなる点も問題
となる。
x 排出量を削減する方法として、特公平7−26730
号公報に示されるように、燃料と酸化剤とを別々に炉内
に噴射し、自己排ガス再循環と緩慢燃焼の効果により、
火炎温度を低下させ、大幅なNOx 排出量の低減を行う
方法が知られている。酸素燃焼法においても、この燃焼
方法は有効であり、燃料と酸化剤の流速を速める、燃料
と酸化剤のノズル間隔を広げる、燃料と酸化剤を平行に
噴出させる等の方法をとることにより、NOx排出量を
確実に低下させることができる。しかし、この形式のバ
ーナで低NOx燃焼と高い熱放射とを両立することは、
低NOx 燃焼のために火炎温度を下げているため難し
く、NOx 発生を低くしようとすると、熱放射も低下し
てしまう。そのために、ガラス溶解炉に用いる酸素燃焼
バーナとしては必ずしも有効ではない。
のノズルから燃料と酸化剤を別々に炉内に噴射し、横方
向に偏平な火炎を作り、ガラス面から見て火炎の面積を
大きくし、ガラスへの熱放射を高める工夫をした燃焼装
置が提案されている。この燃焼装置では、ガラス溶融面
に平行に、複数の燃料ノズルから噴射された燃料ジェッ
トでシート状の燃料流を作り、この燃料流に炉内で交差
するように、燃料流の上部から下向きに、複数の酸化剤
ノズルから噴射された酸化剤ジェットでシート状の酸化
剤流を作り、両者を炉内で交差させ、偏平な火炎を形成
するようにしている。
する前に、それぞれが炉内のガスと混合し、希釈される
ので、特公平7−26730号公報に記載の炉内燃焼方
法と同様の原理で、火炎温度は低下し、NOx 排出量は
少なくすることができると考えられる。一方、偏平な火
炎を作るために、複数のノズルでシート状の燃料流と酸
化剤流とを作り、それを交差させ燃焼させるものであ
り、理論的には偏平な火炎を作ることができて炉内のガ
ラスへの放射を高めることができるが、シート状の燃料
流と酸化剤流との条件設定が容易でなく、設定に高度な
技術を必要とする。また、複数のノズルから燃料及び酸
化剤を噴出させる設計であり、ノズルの構成が複雑であ
ると共に、結果として流れの運動量が低下し、炉内への
貫通力が低下するため、大きなガラス溶解炉のように、
バーナから離れた炉内の奥に、偏平な火炎を作りたい場
合には、所望の偏平火炎を作ることは難しい。また、燃
料と酸化剤ノズルの広がり角度により、横方向への火炎
の広がりが決まっているので、小さなガラス溶解炉など
の場合に要求される、横に広く広がり、短い火炎を作る
ことは困難となる。さらに、シート状の燃料流に対して
一方向(上部から下向き)のみから酸化剤流を交差させ
る形態であり、ガラス溶解面近くに燃料過濃領域が形成
されることから、すす(炭素)粒子がガラスに溶け込
み、ガラス品質へ悪影響を与える等の不都合が生じると
推測される。
ガラス溶解炉用の酸素燃焼バーナでは、低NOx 性を維
持しつつ、ガラス溶融面への熱放射が多い偏平な火炎
を、炉の大きさ等に応じて任意に作ることは容易でな
い。そこで、本発明の目的は、上述のような従来技術の
不具合を解消することのできる、改良された酸素燃焼バ
ーナ及び該バーナを持つ燃焼炉を提供することにあり、
より具体的には、簡単な構成でありながら、炉内の任意
の位置に、任意の広がりを持つ偏平火炎を形成すること
ができ、かつ、低NOx 性も確保される酸素燃焼バーナ
及び該バーナを持つ燃焼炉を提供することにある。
題を解決すべく多くの実験を行うことにより、筒状のノ
ズルから炉内にまっすぐに噴出される燃料流に対して、
その上下両方向から酸化剤を角度を付けて噴射し、ノズ
ル先端から離れた炉内の1点で酸化剤が燃料流に上下両
方向からほぼ同時に衝突させて燃焼させることにより、
横方向に偏平な火炎が形成されること、及び、燃料と酸
化剤の衝突位置を変えることにより、偏平火炎の形状と
炉内での形成位置を容易に調整できることを知見した。
に経験に基づくものであり、基本的に、燃料ノズルと、
該燃料ノズルの上下に配置した2つの酸化剤ノズルとを
有し、該各酸化剤ノズルは、噴出する酸化剤が燃料ノズ
ルから噴出する燃料に対してほぼ同じ位置で上下方向か
ら衝突するように、燃料ノズルに対してそれぞれ傾斜し
て配置されていることを特徴とする。
であってもよく、5°程度より小さい角度で水平方向よ
り下向きであってもよい。後者の場合には、例えば燃焼
量を絞ったとき等に生じやすい火炎先端及び両脇での浮
き上がりを効果的に抑制できる利点がある。また、燃料
ノズルに対する上下2つの酸化剤ノズルの傾斜角度は、
共に等しくてもよく、好ましくは上方に位置する酸化剤
ノズルの燃料ノズルに対する傾斜角度が下方に位置する
酸化剤ノズルの燃料ノズルに対する傾斜角度よりも大と
なるように、異なった角度としてもよい。異なった角度
とすることにより、やはり燃焼条件によっては生じやす
い火炎先端及び両脇での浮き上がりを効果的に抑制する
ことができる。限定的ではないが、燃料ノズルは、バー
ナ本体の上下方向のほぼ中央に配置することが望まし
く、それにより、火炎からの放射によるバーナタイルが
受ける熱応力分布が均等になり酸素燃焼バーナの熱的耐
久性が確保される。
ルから噴出する酸化剤の流速及び/又は流量が可変とさ
れ、燃焼に際して、上位の酸化剤ノズルから噴出する酸
化剤の流速を速くするか、流量を大とする。それによっ
ても、火炎先端又は両脇での浮き上がりを阻止すること
ができ、均一に偏平化した火炎が得られる。
化剤ノズルの取り付け角度が可変とされ、それにより、
燃料と酸化剤との交差角度と位置を調整できるようにさ
れる。小さな角度で衝突する場合には、ノズル先端から
離れた位置に偏平な火炎が形成され、大きな角度で衝突
する場合には、ノズル先端に近接した位置に偏平火炎が
形成される。角度が大きくなると、火炎は2分割され
る。炉の大きさや形状に従いて、最適な交差角度を設定
する。
下に配置した酸化剤ノズルの先端に、流れを層流化する
ための手段が備えられる。この態様は、バーナ先端から
離れた位置で燃料と酸化剤とを衝突させたい場合に有効
であり、流れが減衰することなく、効果的な偏平火炎が
形成される。
ガス(主成分:メタン)のみならず、メタン、エタン、
プロパン、ブタン、アセチレン、一酸化炭素、水素、液
化天然ガス、改質ガス、等の気体燃料はすべて等しく用
いうる。また、燃料ノズル先端に周知である燃料霧化ノ
ズルを設置することによって液体燃料も使用可能であ
り、微粉炭等の固体燃料も気流搬送することによって、
同様に燃料として使用可能となる。酸化剤も、純酸素に
限らず、酸素濃度が80%程度以上のものであれば使用
可能であり、PSA(Pressure Swing Adsorption) 方式
により製造した酸素濃度80%以上の空気は、酸素製造
コストが最も低く、特に有効である。
ナ及び該バーナを持つ燃焼炉を好ましい実施の形態によ
り説明する。図1は酸素燃焼バーナの斜視図であり、図
2は図1のII−II線による断面図である。酸素燃焼
バーナ10は全体として耐火煉瓦1で作られており、そ
の中央に燃料流路2が形成され、該燃料流路2の上下に
2本の酸化剤流路3a、3bが形成されている。各流路
の後方端はステンレスのような金属製のケーシング4を
介して、図示しない燃料供給源Fs及び酸化剤供給源O
sにそれぞれ接続している。
ズル部分21は水平状態となっており、燃料の噴出方向
は水平方向となる。酸化剤流路3a、3bの先端のノズ
ル部分31a、31bは、前記燃料ノズル部分21の上
下に等しい距離hをおいて、かつ、その噴出方向が、燃
料ノズル21から噴出する燃料に対してほぼ同じ距離d
の箇所で、かつ、等しい衝突角αで上下方向から衝突す
るように、共に角度α(交差角度α)だけ傾斜して設け
られている。この例において、燃料ノズル21及び酸化
剤ノズル31a、31bは耐火煉瓦に穴を穿けているだ
けであり、ノズル部分は耐火煉瓦と同じ耐熱性を持つ。
する燃焼炉(図示されない)内での火炎の状態を模式的
に示している。燃焼炉は全体として長方形であり、その
一側面に前記した酸素燃焼バーナ10を燃料ノズル21
からの燃料の噴出方向Laが実質的に炉面Lbと平行と
なるようにして配置している。この場合、燃料は炉内を
水平方向に直進し、酸化剤は、燃料流に対して交差角度
αで上下方向から直進して、炉壁から距離dのところで
燃料流に衝突し燃焼する。その際に、図示されるよう
に、上下方向から衝突する酸化剤流の持つ垂直方向の運
動量成分が、衝突により方向を変え左右方向に広がるた
めに、燃料流を含む水平面に厚み方向のほぼ中心を置く
水平方向に偏平に拡散した燃焼火炎51が形成される。
をガラス溶解炉50の両側壁に互い違いに2個配置した
場合での、炉内での燃焼火炎51を模式的に示す。この
ように配置することにより、炉の中央部分の全長にわた
って、所定の偏平火炎をほぼ均等に形成することがで
き、炉床の有効面積でほぼ均一な放射を得ることが可能
となる。なお、図4で52はガラス溶融面である。
ナ10を、燃料ノズル21からの燃料の噴出方向Laが
実質的に炉面Lbに対して下向きに傾斜する姿勢で燃焼
炉に取り付けるようにしてもよい。これにより、燃焼量
が少ない場合に生じやすい火炎の浮き上がり、特に火炎
の両脇や先端での浮き上がりを効果的に抑制できる。従
来の酸素燃焼バーナにおいて、バーナを下向きにするこ
とによって火炎の浮き上がりを防止しようとすると、バ
ーナ燃焼量を増加にともないガラス溶融面等の被加熱面
を火炎がなめる状態となり不都合を生じていたが、本発
明による酸素燃焼バーナ10では下方から酸化剤が角度
を持って燃料流に衝突することから、燃焼量が増大して
も被加熱面を火炎がなめるようになる状態は回避でき
る。実験では、燃料の噴射方向Laの下向き角度は5°
程度が限界であり、それ以上大きく傾斜させると、部分
的に火炎が被加熱物に接触する状況が生じる。
の実施形態を示している。この形態では、酸化剤流路3
a、3bの上流合流点部位に流量調整バルブ11を配置
している。この流量調整バルブ11を適宜制御すること
により、図示しない酸化剤源から供給される酸化剤の上
方酸化剤流路3aと下方酸化剤流路3bへの流量を制御
することができる。実験によれば、上方酸化剤流路3a
への流量を下方酸化剤流路3bへの流量よりも大とする
ことにより、やはり、酸素火炎の浮き上がりを容易に抑
制することが可能となる。図示しないが、酸素流路内に
流路を制限する棒状の挿入物を入れたり、ノズル先端に
シャッタ等の絞りを設けることにより、酸化剤の上方酸
化剤流路3aと下方酸化剤流路3bへの流速を制御する
ことができ、上方酸化剤流路3aの酸化剤流速を下方酸
化剤流路3bの流速よりも大とすることで、同様な効果
を得ることができる。
から明らかなように、燃料流と酸化剤流との衝突位置、
すなわち、炉壁面から火炎51までの距離dは、燃料ノ
ズル21に対する酸化剤ノズル31a、31bの交差角
度αを変えることにより、容易に変更できる。従って、
この酸素燃焼バーナ10を用いることにより、炉内の任
意の位置に偏平火炎を形成することが可能となる。ま
た、火炎の広がりも、燃料ノズル21に対する酸化剤ノ
ズル31a、31bの交差角度αを変えることによって
制御できる。
らに他の実施形態を示している。この形態では、耐火煉
瓦である本体部分1Aの中央位置にセラミックス製パイ
プにより作られる燃料流路2Aが水平状態で配置されて
おり、その上下に、同じくセラミックス製パイプにより
作られる2本の酸化剤流路3Aa、3Abが燃料流路2
Aに対する傾斜角度が調節可能な態様で配置されてい
る。すなわち、本体部分1Aの前記燃料流路2Aの上下
には、先端側から後端側に向けて三角形状に広がる孔1
Ba、1Bbが穿設されており、該孔1Ba、1Bb内
に2本の酸化剤流路3Aa、3Abを形成するパイプが
それぞれ挿入されている。そして、各パイプは先端側を
定位置として、上下方向にに該孔1Ba、1Bb内で揺
動可能とされている。
定の位置に保持するための固定装置1Dが取り付けてあ
り、酸化剤流路3Aa、3Abを構成する各パイプの後
端側を前記固定装置1Dの適宜の位置にセットすること
により、燃料流路2Aから噴出する燃料流に対する、2
本の酸化剤流路3Aa、3Abからの各酸化剤流の上下
方向からの交差角度αを任意に調節することが可能とな
る。
ノズルに対する上下の酸化剤ノズルの取り付け角度を容
易に変化させることができ、それにより、燃料と酸化剤
との衝突位置を調整して、偏平火炎の炉内での形成位置
を変えることが可能となる。
らに他の実施形態を示している。この形態は、上方に位
置する酸化剤ノズル31aの燃料ノズル21に対する傾
斜角度α(α1)が、下方に位置する酸化剤ノズル31
bの燃料ノズル21に対する傾斜角度α(α2)よりも
大とされており、それに応じて、燃料ノズル部分21か
ら上方に位置する酸化剤ノズル31aまでの距離ha
も、下方に位置する酸化剤ノズル31bまでの距離hよ
り大きくされている点で、図1、図2に示したものと構
成を異にしている。
(α1)と角度α(α2)の差分に応じて火炎を下向き
にすることができ、火炎の浮き上がりを抑えることがで
きると共に、前記した燃料ノズルを下向きに傾斜させる
場合と同様に、下方から酸化剤が角度を持って燃料に衝
突することから、燃焼量が増大しても被加熱面を火炎が
なめる状態は回避できる。実験では、角度α(α1)と
角度α(α2)の差は15°程度が限界であり、それ以
上大きくすると、火炎全体が湾曲あるいは2つに分割さ
れ、偏平火炎は得られないと共に、火炎が下向きに広が
り部分的に火炎が被加熱物に接触する状況が生じる。
網、パンチングメタルのような多数の穴の空いた金属
板、長さ数cmの肉厚の薄い細いパイプを束ねたもの等
を取り付け、燃料と酸化剤の流れを整流(層流化)する
ようにしてもよい。流れが層流になるか、乱流になるか
はレイノルズ数に依存し、管内を流れる場合には、管径
が小さいとレイノルズ数が小さくなり層流となる。太い
管内に、流れを分割する前記のような整流器を入れるこ
とにより、流れが層流となり、流れの炉内への貫通力が
強くなる。そのために、流れを層流化することにより、
バーナから離れた位置で流れを衝突させたい場合に、流
れを減衰させずに効果的に偏平火炎を形成することが可
能となる。
記しかつ後記の実験例において詳しく説明するように、
前記交差角度α(図7に示す形態ではα(α1)とα
(α2)、以下同じ)が小さい場合には、ノズルから離
れた位置に幅の狭い偏平火炎が得られ、交差角度αが大
きくなるにつれて、火炎はノズルに近づきかつ幅の広い
偏平火炎が得られる。従って、前記交差角度αを適宜制
御することにより、任意の広がりを持つ偏平火炎を炉内
の任意の位置に形成することが可能となる。また、ある
程度以上に交差角度αが大きくなると、火炎長は短くな
り、かつ、二つに分割した偏平火炎が得られる。この二
分割した火炎は、ガラス溶解室面積が小さい小型のガラ
ス溶解炉において、有効な放射火炎となる。
化剤の噴出流速vが遅い場合に火炎は浮き上がる傾向に
あり、火炎が浮き上がると、炉天井を傷める原因となり
好ましくない。そのための対策として、酸化剤の流速v
を上げるか、バーナノズルをやや下向きに取り付けるこ
とを行っているが、流速vが増加すると放射熱流束は減
少するので好ましくなく、また、ノズルを下向きにする
とバーナ燃焼量を増加させた場合には、前記したよう
に、ガラス溶融面を火炎がなめる状態となり好ましくな
い。本発明による酸素燃焼バーナでは、上下に酸化剤ノ
ズル31a、31bを有することから、燃料ノズルを下
向きにすることで、また、適宜の手段により、上部酸化
剤ノズル31aからの酸化剤の噴出流速を下部酸化剤ノ
ズル31aと比較して速くするか、又は、上部酸化剤ノ
ズル31aからの酸化剤の噴出流量を下部酸化剤ノズル
31aと比較して多くすることで、放射熱流束を減少さ
せることなく、かつ、偏平火炎の水平状態をそのまま維
持して、火炎の浮き上がりを抑えることが可能となる。
と酸化剤とがそれぞれのノズルから噴出するので、衝突
して燃焼を開始する以前に炉内の燃焼ガスを巻き込む。
そのために、最高火炎温度が低下し、流速vと、燃料ノ
ズルと酸化剤ノズルの間隔hを調節することでNOx 排
出量を少なくすることができる。なお、NOx 排出量を
少なくするには、燃料と酸化剤の噴出速度vを速く、燃
料ノズルと酸化剤ノズルの間隔hを広くすればよいこと
が知られているが、噴出速度vを速くしすぎたり、ノズ
ルの間隔hを広げすぎると、放射熱流束は低下するの
で、両者のバランスを取りつつ、適当な速度v及びノズ
ルの間隔hを実験的に設定する。
に他の実施形態を示している。この形態は、上下の酸化
剤ノズル31a、31bが、燃料ノズル21に対して傾
斜した部分31a’、31b’と、該傾斜した部分の上
流側端部に連続する燃料ノズルに実質的に平行な部分3
a’、3b’とで構成されている点で、図1、図2に示
したものと構成を異にしている。好ましくは、2つの酸
化剤ノズルの傾斜した部分31a’、31b’の長さ
は、酸化剤ノズル31a、31bの直径の5倍以上の長
さとする。
ズル31a、31bが傾斜した部分と平行とされた部分
とで構成されるので、図1、図2に示す形態のものと比
較して耐火煉瓦の上下方向の高さを低くすることがで
き、バーナが小型化する。また、耐火煉瓦は高価であ
り、この形態とすることによりコストを低減することも
できる。傾斜した部分31a’、31b’の長さを、好
ましくは、酸化剤ノズル31a、31bの直径の5倍以
上の長さとすることにより、酸化剤の噴出方向の直進性
は確保される。
の酸素燃焼バーナにおいても、2本の酸化剤流路3A
a、3Abを直線状ではなく、中途で折曲した形状とす
ることは可能であり、それにより、耐火煉瓦の上下方向
の高さ方向を低くすることができ、低コスト化が可能と
なる。
に他の実施形態を示している。この形態は、燃料流路2
A’、酸化剤流路3Aa’、3Ab’は、その先端のノ
ズル部分も含めて、共にステンレスのような耐熱性、耐
腐食性のある金属製パイプで作られており、かつ、その
全体がやはりステンレスのような耐熱性、耐腐食性のあ
る金属材料で作られたケーシング1mで覆われている。
そして、該ケーシング1mの内部は水冷用のジャケット
Wjとされ、ケーシング1mには冷却水の導入口Win
と排出口Woutが設けられる。この構成では、バーナ
構造材料がすべて金属となり、加工が容易となると共
に、水冷構造のため耐火煉瓦の場合とし比較して、高い
耐熱性、耐腐食性が得られる。
本発明をさらに説明する。図に示した構成の酸素燃焼バ
ーナを用い、燃料としてメタンを主成分とする都市ガ
ス、酸化剤として液化酸素を気化させた酸素濃度99.
5%以上の酸素を用いて燃焼させた。燃料流量は23m
3 /h、燃焼量で265kW(LHV換算)、酸素流量
は55m3 /hで、23m3 /hのガスが完全燃焼する
のに必要な酸素量の1.05倍を供給した。燃料ノズル
と酸素ノズルの間隔は25〜100mm、燃料と酸素の
噴出速度は同一で30〜80m/s、酸素ノズルの取り
付け角度を0〜15度まで変化させて行った。
1.2m、長さ3.6mの立方体のものを用い、前記バ
ーナを一端側壁の中央に設置し、他端側の上部には煙道
を設置した。火炎からの放射と放射熱流束は比例関係に
あることから、火炎からの熱放射の強さを測定するため
に、炉床での放射熱流束を測定した。測定は、火炎の軸
方向にバーナから0.3m間隔で6点測定した。
る傾斜角度(交差角度)αが放射熱流束へ与える影響に
ついての比較を示す。燃料及び酸素の流速vは共に30
m/s、燃料ノズルと酸素ノズルとの間隔hは50mm
と固定し、酸素ノズル角度αのみを0度〜15度まで変
化させた場合の、放射熱流束を測定した。0度(平行)
の場合(α=0度)、放射熱流束は低く、火炎の後半部
分で放射熱流束が高くなる分布を示す。これは、燃料と
酸素の混合が悪いために、燃焼が遅れ、火炎がバーナか
ら遠く離れた位置にできたためである。5度内側に傾け
た場合(α=5度)、全体に放射熱流束が高くなり、ピ
ークの位置も炉の中央付近にできる。このことから、上
下の酸素ノズルを内側に傾けることは、放射熱流束を高
めるのに有効であることが確認される。10度内側に傾
けた場合(α=10度)、バーナ近くの放射熱流束が上
昇し、放射熱流束分布がさらに高くなった。さらに角度
をきつくして、15度内側に傾けた場合(α=15度)
放射熱流束分布のピークはバーナ側に近寄り、ピークは
高くなったが、バーナから離れた位置での放射熱流束は
低くなり、均一性は悪化した。
流束へ与える影響についての比較を示す。ここでは、燃
料及び酸素の流速vを30m/sから80m/sまで変
化させた場合の放射熱流束分布を調べた。流速が最も低
い30m/sの放射熱流束が高くなる傾向は見られるも
のの、流速が速い場合には放射熱流束はほとんど差はな
く、また、放射熱流束分布にも大きな差は見られない。
隔hが放射熱流束へ与える影響についての比較を示す。
ここでは、燃料ノズルと酸素ノズルとの間隔hを25m
mから100mmまで変化させた場合の放射熱流束分布
を調べた。h=100mmの場合の放射熱流束が最も低
くなるが、h=50mm以下の場合、放射熱流束にほと
んど差がない。
は内側が耐火断熱材張りで、壁面からの放射が強く、火
炎の観察には適さない。そこで上記バーナを大気解放で
燃焼させ、火炎形状を観察した。酸素ノズルの角度が0
度(平行)の場合(α=0度)、火炎は、図13
((a)は側面図、(b)は平面図、以下、図14、図
15でも同じ)に示すように、バーナから離れた位置に
作られた。また、火炎は長く、円筒状となった。5度内
側に傾けた場合(α=5度)、上下からの酸素流の影響
で、円筒状の火炎がわずかに横方向に偏平となり、火炎
長はやや短くなった。10度内側に傾けた場合(α=1
0度)、図14に示すように、横方向に広がる偏平な火
炎ができた。15度内側に傾けた場合には(α=15
度)、図15に示すように、バーナの近くに横方向に分
割された二つの火炎51a、51bが形成され、火炎長
はさらに短くなった。
素の流速vや、ノズル間の間隔hよりも、酸素ノズルの
交差角度αに強く影響され、交差角度αが大きくなると
共に火炎長は短くなること、また、ある程度以上の角度
になると、偏平火炎は横方向に分割されることが分かっ
た。このことから、本発明による酸素燃焼バーナは、ガ
ラス溶解炉のように、火炎からの強い放射を必要とする
燃焼炉の熱源としてきわめて有効であることを確認し
た。また、ガラス溶解室面積が小さい、小型のガラス溶
解炉では、角度を大きく取り、一つのバーナで二つの火
炎を作ることが有効であることも確認できた。
ス、酸化剤に液化酸素を気化させた純酸素を使用した場
合、理論的にはNOx 排出量はゼロとなる。しかし、工
業炉では、炉内への侵入空気を防ぐことは、実質的に不
可能であり、ある程度の侵入空気を想定して、NOx 対
策を取ることが必要である。本発明による燃焼炉では、
酸素燃焼であっても、燃料と酸化剤がそれぞれノズルか
ら噴出し、前記のように、衝突して燃焼を開始する以前
に炉内の燃焼ガスを巻き込む。そのため最高火炎温度が
低下するのでNOx 削減に大きな効果がもたらされる。
験結果によると、本形式のバーナでは、酸素ノズルの
交差角度αが少ないほど(図16)、燃料と酸素のノ
ズルからの噴出速度vが速いほど(図17)、ノズル
間隔hが広いほど(図18)、NOx 排出量は低くなる
ことが確認された。前記特開平3−186111号公報
に代表される、中央部の燃料ノズルから燃料が噴出さ
れ、それと同時に燃料を取り囲む環状酸素ノズルから酸
素が供給され、燃料と酸素がバーナ先端を過ぎた外側で
燃焼を開始するようにした、いわゆる二重管構造の酸素
燃焼バーナのNOx 排出量は、同一の実験条件で150
ppm(O2 =0%換算)前後であったが、本発明によ
る酸素燃焼バーナでは、放射熱流束が高く、分布が均一
となる条件において、NOx 排出量は90ppm(O2
=0%換算)であった。NOx 排出量90ppmは濃度
にするとやや高く思えるが、酸素燃焼では、排気ガス量
が空気燃焼と比較して大幅に減少するため、酸素燃焼で
のNOx 排出量を空気燃焼のNOx 排出量に換算すると
約10ppmに相当し、非常に低い値である。また、N
Ox 排出量を極限まで下げようとする場合、本発明のバ
ーナで、条件を適切に選択することにより、9ppm
(O2 =0%換算)のNOx 排出量が可能であった。
ら、炉内の任意の位置に、任意の広がりを持つ偏平火炎
を形成することが可能となり、かつ、低NOx 性も確保
される酸素燃焼バーナが得られる。この酸素燃焼バーナ
は、ガラス溶解炉のように、火炎からの強い放射を必要
とする燃焼炉の熱源としてきわめて有効である。
視図。
炉内での火炎形態を示す模式図。
炉の燃焼状態を示す概念図。
示す断面図。
形態を示す断面図。
形態を示す断面図。
形態を示す断面図。
形態を示す断面図。
示すグラフ。
流束の違いを示すグラフ。
よる放射熱流束の違いを示すグラフ。
すグラフ。
える影響を示すグラフ。
排出量へ与える影響を示すグラフ。
ル、3a、3b…酸化剤流路、31a、31b…酸化剤
ノズル、50…燃焼炉
Claims (19)
- 【請求項1】 燃料ノズルと、該燃料ノズルの上下に配
置した2つの酸化剤ノズルとを有し、該各酸化剤ノズル
は、噴出する酸化剤が燃料ノズルから噴出する燃料に対
してほぼ同じ位置で上下方向から衝突するように、燃料
ノズルに対してそれぞれ傾斜して配置されている酸素燃
焼バーナ。 - 【請求項2】 燃料ノズルの噴出方向が実質的に水平方
向である請求項1記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項3】 燃料ノズルの噴出方向が水平方向より下
向きとされている請求項1記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項4】 燃料ノズルの下向き角度が5°以下であ
る請求項3記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項5】 燃料ノズルに対する2つの酸化剤ノズル
の傾斜角度が共に等しくされている請求項1ないし4い
ずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項6】 燃料ノズルに対する2つの酸化剤ノズル
の傾斜角度が異なる角度とされている請求項1ないし4
いずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項7】 上方に位置する酸化剤ノズルの燃料ノズ
ルに対する傾斜角度が下方に位置する酸化剤ノズルの燃
料ノズルに対する傾斜角度よりも大とされている請求項
6記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項8】 燃料ノズル及び上下に配置した酸化剤ノ
ズルの先端に、流れを層流化するための手段が備えられ
ている請求項1ないし7いずれか記載の酸素燃焼バー
ナ。 - 【請求項9】 2つの酸化剤ノズルは、燃料ノズルに対
して傾斜した部分と、該傾斜した部分の上流側端部に連
続する燃料ノズルに実質的に平行な部分とで構成される
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載の酸素
燃焼バーナ。 - 【請求項10】 2つの酸化剤ノズルの傾斜した部分の
長さは、酸化剤ノズルの直径の5倍以上の長さとされて
いる請求項9記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項11】 燃料ノズルと2つの酸化剤ノズルと
は、耐火煉瓦に穿孔することにより形成されることを特
徴とする請求項1ないし10いずれか記載の酸素燃焼バ
ーナ。 - 【請求項12】 燃料ノズルと2つの酸化剤ノズルとは
セラミックス製パイプで作られ、周囲が耐火煉瓦で覆わ
れていることを特徴とする請求項1ないし10いずれか
記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項13】 燃料ノズルと2つの酸化剤ノズルとは
金属パイプで作られ、周囲が金属製の水冷用ジャケット
で覆われていることを特徴とする請求項1ないし10い
ずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項14】 上下に配置した酸化剤ノズルの取り付
け角度が可変とされており、角度を調節することにより
燃料と酸化剤との衝突位置を変更することができるよう
になっている請求項12又は13記載の酸素燃焼バー
ナ。 - 【請求項15】 燃料ノズルは、バーナ本体の上下方向
のほぼ中央に配置されていることを特徴する請求項1な
いし14いずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項16】 上下の酸化剤ノズルから噴出する酸化
剤の流速及び/又は流量が可変とされている請求項1な
いし15いずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項17】 酸化剤として酸素濃度80%以上の空
気又は純酸素を用いることを特徴とする請求項1ないし
15いずれか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項18】 燃料として、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、アセチレン、一酸化炭素、水素、天然ガ
ス、液化天然ガス、改質ガス、噴霧されたオイル、気流
搬送される微粉炭、又はこれらの混合体からなるガス状
燃料を用いることを特徴とする請求項1ないし15いず
れか記載の酸素燃焼バーナ。 - 【請求項19】 請求項1ないし18いずれか記載の酸
素燃焼バーナを熱源とする燃焼炉。
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