JP3521583B2 - 金属基板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法 - Google Patents
金属基板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法Info
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Description
属基板の表面に遮熱コーティング層により厚膜を形成す
るときに遮熱コーティング層の耐剥離性を向上させるた
めの方法に関するものである。
せる場合、図6に一例を示す如く、Ni基合金等の金属
基板1の表面に、MCrAlY(M:Ni、Co、Fe
又はこれらの合金)の結合層2をプラズマ溶射し、その
上に、ジルコニア(ZrO2 、イットリアY2 O3 を6
〜20%添加)をプラズマ溶射してジルコニア溶射膜3
とし、MCrAlYの結合層2とジルコニアの溶射膜3
とからなる遮熱コーティング層4により厚膜を形成させ
るようにしている。
lYの結合層2をプラズマ溶射し、その上にプラズマ溶
射によるジルコニア溶射膜3を施して厚膜を形成するこ
とは、施工は簡単であるが、MCrAlYの結合層2と
ジルコニアの溶射膜3からなる遮熱コーティング層4と
金属基板1との界面の応力状態は、図2における○印か
ら推定できる如く残留応力が大きい状態にあり、遮熱コ
ーティング層4は剥離し易かった。
4の耐剥離性を向上させるために図7に示す如く、ジル
コニア溶射膜3に細かなクラック5を入れることにより
残留応力を緩和させて耐剥離性を向上させる方法などが
採られており、クラック5を入れる方法として、レーザ
ビーム6を急激に照射して熱を加えることによりクラッ
ク5を生じさせるというレーザクラッキング処理が採ら
れている。
ニア溶射膜3にクラック5を入れることにより耐剥離性
を向上させるようにする従来の方法では、厚膜の表面に
クラック5が生じていることから、金属基板1を回転体
の部品に適用する場合に好ましくないという事態が生じ
ている。
ラックを入れないで且つ残留応力を解放させて耐剥離性
を向上させるようにしようとするものである。
決するために、金属基板の表面にMCrAlY(M:N
i、Co、Fe又はこれらの合金)の結合層を溶射し、
その上にジルコニア(ZrO2、イットリアY2O3を
6〜20%添加)を溶射して、該MCrAlYの結合層
とジルコニアの溶射膜からなる遮熱コーティング層を施
し、上記ジルコニアの溶射膜にクラックが入らないレー
ザ照射条件のレーザ出力と加工速度を、レーザ出力を5
00〜1500W、加工速度を2〜8m/minの範囲
とし、該レーザ出力、加工速度の範囲で被照射層の大き
さに応じて変えながら上記遮熱コーティング層の表面に
レーザ照射処理を施し、遮熱コーティング層と金属基板
との界面の残留応力を解放して該遮熱コーティング層の
耐剥離性を向上させるようにする方法とする。
溶射し、その上にジルコニアを溶射して、該ジルコニア
の溶射膜にクラックが入らないで且つ応力解放の効果が
得られる条件でジルコニア溶射膜にレーザ照射処理を施
すと、レーザ出力により熱が加えられて残留応力が解放
され、ジルコニア溶射膜にクラックを生じさせることな
く耐剥離性を向上させることができる。
Ni、Co、Fe又はこれらの合金)の結合層を溶射
し、その上にジルコニア(ZrO 2、イットリアY 2O
3を6〜20%添加)を気孔率が高くなるように溶射し
て、該MCrAlYの結合層とジルコニアの溶射膜から
なる遮熱コーティング層を施し、上記気孔率を高くして
あるジルコニアの溶射膜にクラックが入らないレーザ照
射条件としてのレーザ出力と加工速度を、レーザ出力を
500〜1500W、加工速度を2〜8m/minの範
囲とし、該レーザ出力、加工速度の範囲で被照射層の大
きさに応じて変えながら上記遮熱コーティング層の表面
にレーザ照射処理を施し、遮熱コーティング層と金属基
板との界面の残留応力を解放して該遮熱コーティング層
の耐剥離性を向上させるようにすることにより応力解放
効果が高められて、クラックが入り難くなる。
を参照して説明する。
的小型の供試材Iに対してレーザ照射を実施している状
態を示すもので、図6に示した場合と同様に金属基板1
の表面に、MCrAlY(M:Ni、Co、Fe又はこ
れらの合金)の結合層2をプラズマ溶射して、その上に
ジルコニア(ZrO2 、イットリアY2 O3 を6〜20
%添加)の溶射膜3をプラズマ溶射により施し、上記M
CrAlYの結合層2とジルコニア溶射膜3からなる遮
熱コーティング層4で厚膜を形成するようにした構成に
おいて、表層のジルコニア溶射膜3にクラックが生じな
いようにレーザ照射処理をし、該ジルコニア溶射膜3に
クラックを生じさせることなく、且つ遮熱コーティング
層4と金属基板1との界面の残留応力を解放させて耐剥
離性を向上させるようにする。
の如き応力解放の効果が得られる条件としては、レーザ
照射条件と被照射層(溶射膜)の状態とがある。
ーザ出力と加工速度(照射時間、すなわち、レーザ照射
時に供試材を移動させる速度)であり、レーザ出力を5
00〜1500W、加工速度を2〜8m/min とする。供
試材Iの大きさに応じて上記レーザ出力と加工速度を適
宜変更して、ZrO2 溶射膜3にクラックが入らない条
件でレーザ照射処理を施すようにするが、供試材Iが大
きい場合は、レーザ照射しても熱が逃げ易くて冷却が速
くなりクラックが入り易くなるので、レーザ出力を大き
くしたり、加工速度を遅くするようにし、又、供試材I
が小さい場合は、熱が逃げにくく、冷却されにくいの
で、レーザ出力を小さくするか、加工速度を速くするよ
うにする。
力解放の効果に関係していて、気孔率が高いほどクラッ
クが入らないことが後述する実施例で確認されている。
ここで、気孔率とは、粉末を半溶融状態でぶつけて付け
て行く溶射時に残る隙間(気孔)の全体に対する割り合
いをいい、気孔率を高くするには、例えば溶射時のエネ
ルギー(電流、電圧、ガス流量で決められる)を小さく
することにより達成できる。この場合に電流、電圧を小
さく、ガス流量を大きくすることによりエネルギーを小
さくできるが、エネルギーが小さくなりすぎると、ほと
んど粉末が溶けず、コーティングできないことになる。
膜3にレーザ出力と加工速度を一定条件としてレーザ照
射処理を施し、又、溶射膜は気孔率が高いものとする。
説明する。
コネル718を素材とする縦、横、高さが100mm×5
0mm×5mmの大きさの金属基板1の表面に、MCrAl
Y(M:Ni、Co、Fe又はこれらの合金)の一例と
してNiCrAlYの結合層2を膜厚100μm (0.
1mm)となるようプラズマ溶射し、更に、その上にZr
O2 を膜厚200μm (0.2mm)となるようプラズマ
溶射して溶射膜3を施してなる比較的小型の供試材Iを
作って用い、この供試材Iに、表層のZrO2溶射膜3
にクラックが入らない条件でレーザ照射処理を施すよう
にした。すなわち、上記の供試材Iに対して、レーザ出
力を500W、加工速度(レーザ照射時に供試材を移動
させる速度)を5m/min 、焦点はずし距離lを15mm、
オシレーション幅wを5.5mm、重ね代を0.5mmとし
て実施した。又、被照射層(溶射膜)の状態としては、
気孔率の高い状態とした。
ザビーム6を集光レンズ7を通して固定ミラー8で反射
させ、反射されたレーザビーム6をオシレートミラー9
で反射させて、ZrO2 溶射膜3の表面に所定のオシレ
ーション幅でオシレートさせながら照射させるように
し、供試材Iを加工テーブル10上に載せて加工テーブ
ル10を加工速度に合わせて移動させ、所要の重ね代で
レーザ照射処理を施すようにした。
記レーザ照射条件でレーザ照射処理した結果、図2に△
印で示す如く、レーザ照射処理を施していない○印の場
合に比して遮熱コーティング層4の残留応力が減少して
いる効果が認められた。
iCrAlYの結合層2とZrO2の溶射膜3の施工法
を種々変えたもの、すなわち、上記NiCrAlYの結
合層2とZrO2 溶射膜3の両方を減圧プラズマ溶射
(VPS)としたもの、両方とも大気中プラズマ溶射
(APS)としたもの、あるいは、いずれか一方を減圧
プラズマ溶射、他方を大気中プラズマ溶射としたものを
別々に作り、これら異なる施工法による供試材Iについ
て上記ZrO2 溶射膜3にクラックを入れないで残留応
力を解放できるような条件でレーザ照射処理を施した場
合と、レーザ照射処理を施していない場合の遮熱コーテ
ィング層4の耐剥離性について調べたところ、表1に示
すような結果が得られた。
2 の溶射膜3をともに減圧プラズマ溶射(VPS)とし
たもの、NO.2はNiCrAlYの結合層2を減圧プ
ラズマ溶射(VPS)、ZrO2 の溶射膜3を大気中プ
ラズマ溶射(APS)としたもの、NO.3はNiCr
AlYの結合層2を大気中プラズマ溶射(APS)、Z
rO2 の溶射膜3を減圧プラズマ溶射(VPS)とした
もの、NO.4はNiCrAlYの結合層2とZrO2
の溶射膜3をともに大気中プラズマ溶射(APS)とし
たものである。
射処理なしの場合は熱サイクル数が110回目で剥離が
発生したのに対し、レーザ照射処理をすると、140回
以上まで剥離しないことが確認された。表1から明らか
なように遮熱コーティング層4の施工法の種類に関係な
くレーザ照射処理を施すことにより応力解放の効果によ
り耐剥離性が向上していることがわかり、レーザ照射の
効果があることが認められる。
ものほどクラックが入らないことが確認され、気孔率が
応力解放の効果に関係していることが判明した。
孔率の関係を示すもので、レーザ照射条件として、レー
ザ出力(500〜1500W)と加工速度(2〜8m/mi
n )の関係において、図3は気孔率を10%とした場合
を示すもので、○印はクラックが入った場合、●印はク
ラックが入らなかった場合を示す。図4は気孔率を20
%とした場合を、又、図5は気孔率を30%とした場合
をそれぞれ示すものであるが、気孔率が高いほどクラッ
クが入らないことがわかる。このことから、レーザ出力
と加工速度を変え且つ気孔率をコントロールすることに
よりクラックが入らないでレーザ照射により応力除去を
行い、寿命を向上させることができる。
iCrAlY以外にMCrAlY(M:Ni、Co、F
e又はこれらの合金)の結合層をプラズマ溶射したもの
でも実験したが、同様な結果が得られた。
ング層の耐剥離性向上方法によれば、金属基板の表面に
MCrAlY(M:Ni、Co、Fe又はこれらの合
金)の結合層を溶射し、その上にジルコニア(Zr
O2、イットリアY2O3を6〜20%添加)を溶射し
て、該MCrAlYの結合層とジルコニアの溶射膜から
なる遮熱コーティング層を施し、上記ジルコニアの溶射
膜にクラックが入らないレーザ照射条件のレーザ出力と
加工速度を、レーザ出力を500〜1500W、加工速
度を2〜8m/minの範囲とし、該レーザ出力、加工
速度の範囲で被照射層の大きさに応じて変えながら上記
遮熱コーティング層の表面にレーザ照射処理を施し、遮
熱コーティング層と金属基板との界面の残留応力を解放
して該遮熱コーティング層の耐剥離性を向上させるよう
にするので、ジルコニア溶射膜にクラックを入れること
なく遮熱コーティング層の残留応力を解放させて、耐剥
離性を向上させることができ、回転体等に適用して、よ
り信頼性の高いものとすることができ、又、金属基板の
表面にMCrAlY(M:Ni、Co、Fe又はこれら
の合金)の結合層を溶射し、その上にジルコニア(Zr
O 2、イットリアY 2O 3を6〜20%添加)を気孔率
が高くなるように溶射して、該MCrAlYの結合層と
ジルコニアの溶射膜からなる遮熱コーティング層を施
し、上記気孔率を高くしてあるジルコニアの溶射膜にク
ラックが入らないレーザ照射条件としてのレーザ出力と
加工速度を、レーザ出力を500〜1500W、加工速
度を2〜8m/minの範囲とし、該レーザ出力、加工
速度の範囲で被照射層の大きさに応じて変えながら上記
遮熱コーティング層の表面にレーザ照射処理を施し、遮
熱コーティング層と金属基板との界面の残留応力を解放
して該遮熱コーティング層の耐剥離性を向上させるよう
にすることにより、よりクラックが入らないようにする
ことができる。
射処理をしている状態を示す概略斜視図である。
レーザ照射の効果を示す図である。
い状態を示す図である。
い状態を示す図である。
い状態を示す図である。
略図である。
じさせるようにする従来の方法を示す概略図である。
合金)の結合層 3 ジルコニアの溶射膜 4 遮熱コーティング層 6 レーザビーム 9 オシレートミラー 10 加工テーブル
Claims (2)
- 【請求項1】 金属基板の表面にMCrAlY(M:N
i、Co、Fe又はこれらの合金)の結合層を溶射し、
その上にジルコニア(ZrO2、イットリアY2O3を
6〜20%添加)を溶射して、該MCrAlYの結合層
とジルコニアの溶射膜からなる遮熱コーティング層を施
し、上記ジルコニアの溶射膜にクラックが入らないレー
ザ照射条件のレーザ出力と加工速度を、レーザ出力を5
00〜1500W、加工速度を2〜8m/minの範囲
とし、該レーザ出力、加工速度の範囲で被照射層の大き
さに応じて変えながら上記遮熱コーティング層の表面に
レーザ照射処理を施し、遮熱コーティング層と金属基板
との界面の残留応力を解放して該遮熱コーティング層の
耐剥離性を向上させるようにすることを特徴とする金属
基板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法。 - 【請求項2】 金属基板の表面にMCrAlY(M:N
i、Co、Fe又はこれらの合金)の結合層を溶射し、
その上にジルコニア(ZrO 2、イットリアY 2O 3を
6〜20%添加)を気孔率が高くなるように溶射して、
該MCrAlYの結合層とジルコニアの溶射膜からなる
遮熱コーティング層を施し、上記気孔率を高くしてある
ジルコニアの溶射膜にクラックが入らないレーザ照射条
件としてのレーザ出力と加工速度を、レーザ出力を50
0〜1500W、加工速度を2〜8m/minの範囲と
し、該レーザ出力、加工速度の範囲で被照射層の大きさ
に応じて変えながら上記遮熱コーティング層の表面にレ
ーザ照射処理を施し、遮熱コーティング層と金属基板と
の界面の残留応力を解放して該遮熱コーティング層の耐
剥離性を向上させるようにすることを特徴とする金属基
板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31576595A JP3521583B2 (ja) | 1995-11-10 | 1995-11-10 | 金属基板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JPH09137264A JPH09137264A (ja) | 1997-05-27 |
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ID=18069281
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP31576595A Expired - Fee Related JP3521583B2 (ja) | 1995-11-10 | 1995-11-10 | 金属基板表面の遮熱コーティング層の耐剥離性向上方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3521583B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6180262B1 (en) * | 1997-12-19 | 2001-01-30 | United Technologies Corporation | Thermal coating composition |
-
1995
- 1995-11-10 JP JP31576595A patent/JP3521583B2/ja not_active Expired - Fee Related
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