JP3519951B2 - 排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法および装置 - Google Patents
排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法および装置Info
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- JP3519951B2 JP3519951B2 JP22161098A JP22161098A JP3519951B2 JP 3519951 B2 JP3519951 B2 JP 3519951B2 JP 22161098 A JP22161098 A JP 22161098A JP 22161098 A JP22161098 A JP 22161098A JP 3519951 B2 JP3519951 B2 JP 3519951B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一般廃棄物や産
業廃棄物を焼却した燃焼排ガス中に含まれるクロロフェ
ノール類の濃度を測定することにより、ダイオキシン類
の排出濃度を間接的に測定する排ガス中のダイオキシン
類の間接測定方法および装置に関する。
業廃棄物を焼却した燃焼排ガス中に含まれるクロロフェ
ノール類の濃度を測定することにより、ダイオキシン類
の排出濃度を間接的に測定する排ガス中のダイオキシン
類の間接測定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の廃棄物を焼却する際に、焼却炉か
ら極めて猛毒なダイオキシン類が発生し、その排ガスが
大きな環境問題の一つとなっていることが知られてい
る。このダイオキシン類を連続的に直接測定するのは困
難なために、ダイオキシン類の排出濃度と比較的相関性
が高いといわれている一酸化炭素(CO)や有機化合物
の濃度を測定してダイオキシン類の排出濃度を推定して
いる。
ら極めて猛毒なダイオキシン類が発生し、その排ガスが
大きな環境問題の一つとなっていることが知られてい
る。このダイオキシン類を連続的に直接測定するのは困
難なために、ダイオキシン類の排出濃度と比較的相関性
が高いといわれている一酸化炭素(CO)や有機化合物
の濃度を測定してダイオキシン類の排出濃度を推定して
いる。
【0003】前記COによる方法は連続測定は可能では
あるものの、CO濃度が概ね50ppm以下の低濃度領域
ではダイオキシン類との相関性が良好でない問題があ
り、これに対して、例えば、第8回廃棄物学会研究発表
会講演論文集562〜564頁(1997年)図5に記
載されたように、排ガス中有機化合物、特に、クロロフ
ェノール類は、50ppm以下の低濃度領域でもダイオキ
シン類とよい相関性があることが知られている。この観
点から、クロロフェノール類の濃度をレーザーイオン化
質量分析装置により測定し、ダイオキシン類の濃度を間
接的に測定する技術が提案されている(特開平9-243601
号公報参照)。
あるものの、CO濃度が概ね50ppm以下の低濃度領域
ではダイオキシン類との相関性が良好でない問題があ
り、これに対して、例えば、第8回廃棄物学会研究発表
会講演論文集562〜564頁(1997年)図5に記
載されたように、排ガス中有機化合物、特に、クロロフ
ェノール類は、50ppm以下の低濃度領域でもダイオキ
シン類とよい相関性があることが知られている。この観
点から、クロロフェノール類の濃度をレーザーイオン化
質量分析装置により測定し、ダイオキシン類の濃度を間
接的に測定する技術が提案されている(特開平9-243601
号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ク
ロロフェノール類から間接測定する方法でも、以下のよ
うな問題があった。排ガス中のクロロフェノール類は、
他の有機化合物に比較して極性が強く、捕集の際、排ガ
ス中に含まれる水分に移行(溶解)し易い問題、又、分
析上、熱的に不安定であるなどの問題があり、正確なダ
イオキシン類の濃度測定が困難であるという問題があっ
た。
ロロフェノール類から間接測定する方法でも、以下のよ
うな問題があった。排ガス中のクロロフェノール類は、
他の有機化合物に比較して極性が強く、捕集の際、排ガ
ス中に含まれる水分に移行(溶解)し易い問題、又、分
析上、熱的に不安定であるなどの問題があり、正確なダ
イオキシン類の濃度測定が困難であるという問題があっ
た。
【0005】この発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたもので、本発明の課題は、排ガス中の
クロロフェノール類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、
もってダイオキシン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ
精度よく測定する方法と装置を提供することにある。
るためになされたもので、本発明の課題は、排ガス中の
クロロフェノール類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、
もってダイオキシン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ
精度よく測定する方法と装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、請求項1の発明では、従来の問題点であった「クロ
ロフェノール類が水に溶解し易いという性質」を逆に有
効利用し、排ガス試料をガス捕集用の水に積極的に溶解
させ、水に溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を公
知の方法により測定することにより、予め検量されたク
ロロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係からク
ロロフェノール類の濃度を求め、さらに、予め検量され
たクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度と
の相関関係からダイオキシン類の濃度を間接的に求める
方法とする。これにより、排ガス中のクロロフェノール
類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、もってダイオキシ
ン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測定する
ことを可能とする。
め、請求項1の発明では、従来の問題点であった「クロ
ロフェノール類が水に溶解し易いという性質」を逆に有
効利用し、排ガス試料をガス捕集用の水に積極的に溶解
させ、水に溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を公
知の方法により測定することにより、予め検量されたク
ロロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係からク
ロロフェノール類の濃度を求め、さらに、予め検量され
たクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度と
の相関関係からダイオキシン類の濃度を間接的に求める
方法とする。これにより、排ガス中のクロロフェノール
類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、もってダイオキシ
ン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測定する
ことを可能とする。
【0007】請求項2の発明では、一般に焼却炉から排
出されるガスは高温のため、冷却器で温度を下げてから
排出することが一般的によく行われる点に鑑み、排ガス
を冷却器で冷却して温度を低下させた上でガス排出する
ようにしてなる排ガス装置において生ずるドレン水に溶
解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定することに
より、予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍光
強度との相関関係からクロロフェノール類の濃度を求
め、さらに、予め検量されたクロロフェノール類の濃度
とダイオキシン類の濃度との相関関係からダイオキシン
類の濃度を間接的に求める方法とする。本発明により、
請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。さらに、
請求項1の発明に比べて、ガス捕集用の水の系統を省略
できる利点がある。
出されるガスは高温のため、冷却器で温度を下げてから
排出することが一般的によく行われる点に鑑み、排ガス
を冷却器で冷却して温度を低下させた上でガス排出する
ようにしてなる排ガス装置において生ずるドレン水に溶
解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定することに
より、予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍光
強度との相関関係からクロロフェノール類の濃度を求
め、さらに、予め検量されたクロロフェノール類の濃度
とダイオキシン類の濃度との相関関係からダイオキシン
類の濃度を間接的に求める方法とする。本発明により、
請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。さらに、
請求項1の発明に比べて、ガス捕集用の水の系統を省略
できる利点がある。
【0008】請求項3の発明では、水のpHを7以下と
なるようにした後、水に溶解したクロロフェノール類の
蛍光強度を測定するものとする。後述するクロロフェノ
ール類とpHの関係を考慮すると、水のpHを7以下と
することにより、蛍光強度の減少による測定精度の低下
を防止することができる。
なるようにした後、水に溶解したクロロフェノール類の
蛍光強度を測定するものとする。後述するクロロフェノ
ール類とpHの関係を考慮すると、水のpHを7以下と
することにより、蛍光強度の減少による測定精度の低下
を防止することができる。
【0009】請求項4の発明では、排ガス試料を水に溶
解させるガス捕集器と、ガスを溶解した水をガス捕集器
から導入する試料セルと、当該試料セル内の水に溶解し
たクロロフェノール類の蛍光強度を測定する蛍光強度測
定器と、予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍
光強度との相関関係から前記測定器で測定された蛍光強
度をクロロフェノール類の濃度に換算し、さらに、予め
検量されたクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類
の濃度との相関関係からダイオキシン類の濃度に換算す
るデータ処理装置とからなるものとする。
解させるガス捕集器と、ガスを溶解した水をガス捕集器
から導入する試料セルと、当該試料セル内の水に溶解し
たクロロフェノール類の蛍光強度を測定する蛍光強度測
定器と、予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍
光強度との相関関係から前記測定器で測定された蛍光強
度をクロロフェノール類の濃度に換算し、さらに、予め
検量されたクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類
の濃度との相関関係からダイオキシン類の濃度に換算す
るデータ処理装置とからなるものとする。
【0010】請求項5の発明では、排ガスを冷却器で冷
却して温度を低下させた上でガス排出するようにしてな
る排ガス装置において生ずるドレン水を貯えるドレンタ
ンクと、ドレンタンク内の水を導入する試料セルと、当
該試料セル内の水に溶解したクロロフェノール類の蛍光
強度を測定する蛍光強度測定器と、予め検量されたクロ
ロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係から前記
測定器で測定された蛍光強度をクロロフェノール類の濃
度に換算し、さらに、予め検量されたクロロフェノール
類の濃度とダイオキシン類の濃度との相関関係からダイ
オキシン類の濃度に換算するデータ処理装置とからなる
ものとする。
却して温度を低下させた上でガス排出するようにしてな
る排ガス装置において生ずるドレン水を貯えるドレンタ
ンクと、ドレンタンク内の水を導入する試料セルと、当
該試料セル内の水に溶解したクロロフェノール類の蛍光
強度を測定する蛍光強度測定器と、予め検量されたクロ
ロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係から前記
測定器で測定された蛍光強度をクロロフェノール類の濃
度に換算し、さらに、予め検量されたクロロフェノール
類の濃度とダイオキシン類の濃度との相関関係からダイ
オキシン類の濃度に換算するデータ処理装置とからなる
ものとする。
【0011】請求項6の発明では、請求項4又は請求項
5の測定装置において、ガス捕集器またはドレンタンク
内の水のpHを7以下となるように調整するpH調整装
置を備えてなるものとする。
5の測定装置において、ガス捕集器またはドレンタンク
内の水のpHを7以下となるように調整するpH調整装
置を備えてなるものとする。
【0012】請求項4ないし請求項6の発明によれば、
請求項1ないし請求項3と同様の作用原理により、ダイ
オキシン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測
定することができる。
請求項1ないし請求項3と同様の作用原理により、ダイ
オキシン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測
定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図面により、本発明の実施の形態
について以下にのべる。実施例1 図1は、請求項1および3の測定方法ならびに請求項4
および6の測定装置の発明に関わる第1の実施例を示す
構成図である。同図において、1は排ガス試料9を水に
溶解させるガス捕集器5や後述するポンプ,バルブ類を
含む試料捕集装置、14はガスを溶解した水をガス捕集
器5から導入する試料セル、2は水に溶解したクロロフ
ェノール類の蛍光強度を測定する蛍光強度測定器、3は
予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍光強度と
の相関関係から前記測定器で測定された蛍光強度をクロ
ロフェノール類の濃度に換算し、さらに、予め検量され
たクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度と
の相関関係からダイオキシン類の濃度に換算するデータ
処理装置を示す。
について以下にのべる。実施例1 図1は、請求項1および3の測定方法ならびに請求項4
および6の測定装置の発明に関わる第1の実施例を示す
構成図である。同図において、1は排ガス試料9を水に
溶解させるガス捕集器5や後述するポンプ,バルブ類を
含む試料捕集装置、14はガスを溶解した水をガス捕集
器5から導入する試料セル、2は水に溶解したクロロフ
ェノール類の蛍光強度を測定する蛍光強度測定器、3は
予め検量されたクロロフェノール類の濃度と蛍光強度と
の相関関係から前記測定器で測定された蛍光強度をクロ
ロフェノール類の濃度に換算し、さらに、予め検量され
たクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度と
の相関関係からダイオキシン類の濃度に換算するデータ
処理装置を示す。
【0014】図1の構成と動作について以下に詳述す
る。まず、バルブ4を開としポンプ6により、ガス捕集
用の水7をガス捕集器5に適当量、例えば、10〜100ml
導入する。次に、バルブ8を開としエアポンプ10によ
り、排ガス試料9を適当な流量、例えば1〜20L/minで、
ガス捕集器5に導入し、ボールフィルタ11から水中に
気散する。この際、排ガス中のダスト等は、図示しない
フィルタ等により、上記ボールフィルタ導入前に除去す
る。上記により、排ガス試料中のクロロフェノール類
は、ガス捕集器5内の水中に溶解し、捕集される。
る。まず、バルブ4を開としポンプ6により、ガス捕集
用の水7をガス捕集器5に適当量、例えば、10〜100ml
導入する。次に、バルブ8を開としエアポンプ10によ
り、排ガス試料9を適当な流量、例えば1〜20L/minで、
ガス捕集器5に導入し、ボールフィルタ11から水中に
気散する。この際、排ガス中のダスト等は、図示しない
フィルタ等により、上記ボールフィルタ導入前に除去す
る。上記により、排ガス試料中のクロロフェノール類
は、ガス捕集器5内の水中に溶解し、捕集される。
【0015】バルブ8を閉じエアポンプ10を停止した
後、バルブ12を開とし、クロロフェノール類を溶解し
た水13を試料セル14に導入する。ガス捕集器5や試
料セル14は、目的に応じて、複数並列に設けて、複数
の捕集を順次行うようにすることができる。試料セル1
4は、恒温槽15により適温、例えば、10〜30℃、好ま
しくは10℃程度に保持する。
後、バルブ12を開とし、クロロフェノール類を溶解し
た水13を試料セル14に導入する。ガス捕集器5や試
料セル14は、目的に応じて、複数並列に設けて、複数
の捕集を順次行うようにすることができる。試料セル1
4は、恒温槽15により適温、例えば、10〜30℃、好ま
しくは10℃程度に保持する。
【0016】次に、蛍光強度測定器2により、試料セル
14中のクロロフェノール類の蛍光強度を測定する。蛍
光強度測定器は、市販の装置を使用することができる。
蛍光強度測定器2における測定物質の励起には紫外光を
利用するが、励起波長としては230nmが適当である。蛍
光スペクトルのピークは基本的には1つとなるが、その
波長のほぼ整数倍のところに2次光、3次光……が現れ
る。これらの内、定量分析に使用するピークとしては、
蛍光強度の大きさと検量線の直線性の点から1次光が好
ましく、例えば、モノクロロフェノールを測定対象物質
とする場合には、蛍光波長310nmでの強度を測定するの
が適当である。
14中のクロロフェノール類の蛍光強度を測定する。蛍
光強度測定器は、市販の装置を使用することができる。
蛍光強度測定器2における測定物質の励起には紫外光を
利用するが、励起波長としては230nmが適当である。蛍
光スペクトルのピークは基本的には1つとなるが、その
波長のほぼ整数倍のところに2次光、3次光……が現れ
る。これらの内、定量分析に使用するピークとしては、
蛍光強度の大きさと検量線の直線性の点から1次光が好
ましく、例えば、モノクロロフェノールを測定対象物質
とする場合には、蛍光波長310nmでの強度を測定するの
が適当である。
【0017】図2は、図1の装置を用いて測定したモノ
クロロフェノールの蛍光強度と濃度の相関関係を示す。
試料ガスとしてモノクロロフェノールを空気で希釈した
模擬汚染ガスを、エアポンプ10によって10L/minの流
量で、20mlの水を貯めたガス捕集器5に導入した。蛍光
強度測定器においては、スリット幅を励起側:5nm、蛍光
側:10nmとし、励起波長を230nmに設定して、モノクロロ
フェノールの蛍光波長310nmでの蛍光強度を測定した。
クロロフェノールの蛍光強度と濃度の相関関係を示す。
試料ガスとしてモノクロロフェノールを空気で希釈した
模擬汚染ガスを、エアポンプ10によって10L/minの流
量で、20mlの水を貯めたガス捕集器5に導入した。蛍光
強度測定器においては、スリット幅を励起側:5nm、蛍光
側:10nmとし、励起波長を230nmに設定して、モノクロロ
フェノールの蛍光波長310nmでの蛍光強度を測定した。
【0018】図2は、モノクロロフェノールの濃度と蛍
光強度との相関関係を示す検量線であるが、モノクロロ
フェノール以外のクロロフェノール類についても、図2
と同様の検量線を予め求めることにより、クロロフェノ
ール類の濃度を蛍光強度測定値に基づいて、図1のデー
タ処理装置3により換算して求めることができる。
光強度との相関関係を示す検量線であるが、モノクロロ
フェノール以外のクロロフェノール類についても、図2
と同様の検量線を予め求めることにより、クロロフェノ
ール類の濃度を蛍光強度測定値に基づいて、図1のデー
タ処理装置3により換算して求めることができる。
【0019】クロロフェノール類は、モノクロル体から
ペンタクロル体までの同族体・異性体を含むが、一般に
塩素数が多くなると水に溶解しにくくなること、又、排
ガス中では塩素数の多いものは蒸気圧が低いために、排
ガス中に含まれるダスト等に吸着する比率が高くなる傾
向があるので、排ガス中のダスト除去時に一緒に失われ
る可能性が高いことから、捕集にはモノクロル体が適し
ている。さらに、蛍光測定においても、一般に塩素原子
のような電子吸引性の置換基が入ると蛍光強度は弱くな
ることから、測定対象物質としてはモノクロル体が好ま
しい。クロロフェノール類とモノクロロフェノールとの
相対的な量があらかじめ推量できるような場合には、モ
ノクロロフェノールを代表的に測定し指標とすることも
できる。
ペンタクロル体までの同族体・異性体を含むが、一般に
塩素数が多くなると水に溶解しにくくなること、又、排
ガス中では塩素数の多いものは蒸気圧が低いために、排
ガス中に含まれるダスト等に吸着する比率が高くなる傾
向があるので、排ガス中のダスト除去時に一緒に失われ
る可能性が高いことから、捕集にはモノクロル体が適し
ている。さらに、蛍光測定においても、一般に塩素原子
のような電子吸引性の置換基が入ると蛍光強度は弱くな
ることから、測定対象物質としてはモノクロル体が好ま
しい。クロロフェノール類とモノクロロフェノールとの
相対的な量があらかじめ推量できるような場合には、モ
ノクロロフェノールを代表的に測定し指標とすることも
できる。
【0020】クロロフェノール類の溶解が著しく少ない
ときには、水の代わりに1%程度の水酸化ナトリウム水
溶液等のアルカリ性水溶液を使用してもよいが、例え
ば、モノクロロフェノールは、(1)式に示すように溶
液中で解離しており、pHが高くなった場合、反応は右
に進む。
ときには、水の代わりに1%程度の水酸化ナトリウム水
溶液等のアルカリ性水溶液を使用してもよいが、例え
ば、モノクロロフェノールは、(1)式に示すように溶
液中で解離しており、pHが高くなった場合、反応は右
に進む。
【0021】ClC6H4OH = ClC6H4O- + H+ ………(1)
図3にモノクロロフェノールの解離定数Ka = 4.2×10
-10から求めた、各pHにおけるモノクロロフェノール
の分布を示すが、pHが7を超えると、非解離型のモノ
クロロフェノールは減少する。
-10から求めた、各pHにおけるモノクロロフェノール
の分布を示すが、pHが7を超えると、非解離型のモノ
クロロフェノールは減少する。
【0022】一般に、クロロフェノール類は非解離型の
みが蛍光を有するが、上記のようにpHが7を超える
と、非解離型のモノクロロフェノールが減少し蛍光強度
が小さくなるので、pHは7以下で測定するのが適当で
ある。
みが蛍光を有するが、上記のようにpHが7を超える
と、非解離型のモノクロロフェノールが減少し蛍光強度
が小さくなるので、pHは7以下で測定するのが適当で
ある。
【0023】上記のように、クロロフェノール類の濃度
を測定した後、図1のデータ処理装置3によりダイオキ
シン類の濃度に換算する。前述のように、クロロフェノ
ール類は、モノクロル体からペンタクロル体まである
が、そのいずれもダイオキシン類と相関関係を示すの
で、設置する焼却炉のクロロフェノール類の濃度とダイ
オキシン類の相関を予め求めておくことにより、データ
処理装置3において、クロロフェノール類の濃度をダイ
オキシン類の濃度に換算し、表示させることができる。実施例2 図4に、異なる実施例を示す。図4が図1と異なる点
は、図1においては、ガス捕集器5内に排ガスをボール
フィルタ11から気散するようにしたが、図4の実施例
においては、ガス捕集器5内上部のヘッドスペース16
内に気散するようにした点が異なる。排ガス導入流量が
小で水への溶解が充分な場合は、図4の方が構造がシン
プルとなる。実施例3 図5に、さらに異なる実施例を示す。図5が図1と異な
る点は、図1においては、ガス捕集器5内に排ガスをボ
ールフィルタ11から気散するようにしたが、図5の実
施例においては、隔膜17を経由して排ガスを水に溶解
するようにした点が異なる。特定のガスを選択的に溶解
させる場合には、図5の実施例の方が有利である。実施例4 図6は、請求項2および3の測定方法ならびに請求項5
および6の測定装置の発明に関わる実施例を示す構成図
である。
を測定した後、図1のデータ処理装置3によりダイオキ
シン類の濃度に換算する。前述のように、クロロフェノ
ール類は、モノクロル体からペンタクロル体まである
が、そのいずれもダイオキシン類と相関関係を示すの
で、設置する焼却炉のクロロフェノール類の濃度とダイ
オキシン類の相関を予め求めておくことにより、データ
処理装置3において、クロロフェノール類の濃度をダイ
オキシン類の濃度に換算し、表示させることができる。実施例2 図4に、異なる実施例を示す。図4が図1と異なる点
は、図1においては、ガス捕集器5内に排ガスをボール
フィルタ11から気散するようにしたが、図4の実施例
においては、ガス捕集器5内上部のヘッドスペース16
内に気散するようにした点が異なる。排ガス導入流量が
小で水への溶解が充分な場合は、図4の方が構造がシン
プルとなる。実施例3 図5に、さらに異なる実施例を示す。図5が図1と異な
る点は、図1においては、ガス捕集器5内に排ガスをボ
ールフィルタ11から気散するようにしたが、図5の実
施例においては、隔膜17を経由して排ガスを水に溶解
するようにした点が異なる。特定のガスを選択的に溶解
させる場合には、図5の実施例の方が有利である。実施例4 図6は、請求項2および3の測定方法ならびに請求項5
および6の測定装置の発明に関わる実施例を示す構成図
である。
【0024】まず、図示しないフィルタによってダスト
等を除去した排ガス試料9は、冷却器18を通じて温度
が下げられる。この冷却過程において、排ガス中に含ま
れる水分が凝縮する際、排ガス中のクロロフェノール類
がドレン水中に移行する。
等を除去した排ガス試料9は、冷却器18を通じて温度
が下げられる。この冷却過程において、排ガス中に含ま
れる水分が凝縮する際、排ガス中のクロロフェノール類
がドレン水中に移行する。
【0025】ドレンタンク19内に貯えられたクロロフ
ェノール類を含むドレン水20は、ポンプ21によって
試料セル14に送液され、以下、実施例1と同様の手順
によりクロロフェノール類を定量し、ダイオキシン類の
濃度を換算して求めることができる。
ェノール類を含むドレン水20は、ポンプ21によって
試料セル14に送液され、以下、実施例1と同様の手順
によりクロロフェノール類を定量し、ダイオキシン類の
濃度を換算して求めることができる。
【0026】
【発明の効果】この発明によれば、クロロフェノール類
が水に溶解し易いという性質を有効利用し、排ガス試料
を水に積極的に溶解させ、水に溶解したクロロフェノー
ル類の蛍光強度を測定することにより、予め検量された
クロロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係から
クロロフェノール類の濃度を求め、さらに、予め検量さ
れたクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度
との相関関係からダイオキシン類の濃度を間接的に求め
るようにした。これにより、排ガス中のクロロフェノー
ル類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、もってダイオキ
シン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測定す
ることができる。
が水に溶解し易いという性質を有効利用し、排ガス試料
を水に積極的に溶解させ、水に溶解したクロロフェノー
ル類の蛍光強度を測定することにより、予め検量された
クロロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係から
クロロフェノール類の濃度を求め、さらに、予め検量さ
れたクロロフェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度
との相関関係からダイオキシン類の濃度を間接的に求め
るようにした。これにより、排ガス中のクロロフェノー
ル類を簡便、迅速かつ精度よく測定し、もってダイオキ
シン類の濃度を間接的に簡便、迅速かつ精度よく測定す
ることができる。
【0027】また、水のpHを7以下となるようにした
後、水に溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定
することにより、蛍光強度減少に伴う測定精度の低下を
防止することができる。
後、水に溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定
することにより、蛍光強度減少に伴う測定精度の低下を
防止することができる。
【図1】この発明の第1の実施例を示す構成図である。
【図2】モノクロロフェノールの濃度と蛍光強度との相
関関係を示す図である。
関関係を示す図である。
【図3】各pHにおけるモノクロロフェノールの分布を
示す図である。
示す図である。
【図4】この発明の第2の実施例を示す構成図である。
【図5】この発明の第3の実施例を示す構成図である。
【図6】この発明の第4の実施例を示す構成図である。
2:蛍光強度測定器、3:データ処理装置、5:ガス捕
集器、7:水、9:排ガス試料、14:試料セル、1
8:冷却器、20:ドレン水。
集器、7:水、9:排ガス試料、14:試料セル、1
8:冷却器、20:ドレン水。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平10−153591(JP,A)
特開2000−46820(JP,A)
特開 平10−239299(JP,A)
特開 平11−326222(JP,A)
石川島播磨技報 ,1993年,第33巻第
5号,第292−297頁
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 33/00
G01N 1/22
G01N 21/64
Claims (6)
- 【請求項1】 排ガス試料をガス捕集用の水に溶解さ
せ、水に溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定
することにより、予め検量されたクロロフェノール類の
濃度と蛍光強度との相関関係からクロロフェノール類の
濃度を求め、さらに、予め検量されたクロロフェノール
類の濃度とダイオキシン類の濃度との相関関係からダイ
オキシン類の濃度を求めることを特徴とする排ガス中の
ダイオキシン類の間接測定方法。 - 【請求項2】 排ガスを冷却器で冷却して温度を低下さ
せた上でガス排出するようにしてなる排ガス装置におい
て生ずるドレン水に溶解したクロロフェノール類の蛍光
強度を測定することにより、予め検量されたクロロフェ
ノール類の濃度と蛍光強度との相関関係からクロロフェ
ノール類の濃度を求め、さらに、予め検量されたクロロ
フェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度との相関関
係からダイオキシン類の濃度を求めることを特徴とする
排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の測定方法におい
て、水のpHを7以下となるようにした後、水に溶解し
たクロロフェノール類の蛍光強度を測定することを特徴
とする排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法。 - 【請求項4】 排ガス試料を水に溶解させるガス捕集器
と、ガスを溶解した水をガス捕集器から導入する試料セ
ルと、当該試料セル内の水に溶解したクロロフェノール
類の蛍光強度を測定する蛍光強度測定器と、予め検量さ
れたクロロフェノール類の濃度と蛍光強度との相関関係
から前記測定器で測定された蛍光強度をクロロフェノー
ル類の濃度に換算し、さらに、予め検量されたクロロフ
ェノール類の濃度とダイオキシン類の濃度との相関関係
からダイオキシン類の濃度に換算するデータ処理装置と
からなることを特徴とする排ガス中のダイオキシン類の
間接測定装置。 - 【請求項5】 排ガスを冷却器で冷却して温度を低下さ
せた上でガス排出するようにしてなる排ガス装置におい
て生ずるドレン水を貯えるドレンタンクと、ドレンタン
ク内の水を導入する試料セルと、当該試料セル内の水に
溶解したクロロフェノール類の蛍光強度を測定する蛍光
強度測定器と、予め検量されたクロロフェノール類の濃
度と蛍光強度との相関関係から前記測定器で測定された
蛍光強度をクロロフェノール類の濃度に換算し、さら
に、予め検量されたクロロフェノール類の濃度とダイオ
キシン類の濃度との相関関係からダイオキシン類の濃度
に換算するデータ処理装置とからなることを特徴とする
排ガス中のダイオキシン類の間接測定装置。 - 【請求項6】 請求項4又は5記載の測定装置は、ガス
捕集器またはドレンタンク内の水のpHを7以下となる
ように調整するpH調整装置を備えてなることを特徴と
する排ガス中のダイオキシン類の間接測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22161098A JP3519951B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22161098A JP3519951B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000055903A JP2000055903A (ja) | 2000-02-25 |
JP3519951B2 true JP3519951B2 (ja) | 2004-04-19 |
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ID=16769458
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22161098A Expired - Fee Related JP3519951B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 排ガス中のダイオキシン類の間接測定方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3519951B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106248560A (zh) * | 2016-10-09 | 2016-12-21 | 杨继新 | 二噁英在线检测装置 |
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---|---|---|---|---|
JP4776771B2 (ja) * | 2000-11-07 | 2011-09-21 | 三井造船株式会社 | ダイオキシン類の分解性評価方法およびダイオキシン類分解触媒の活性評価方法 |
JP4514543B2 (ja) * | 2004-07-30 | 2010-07-28 | 株式会社タクマ | 有害微量物質の測定装置および抑制装置 |
-
1998
- 1998-08-05 JP JP22161098A patent/JP3519951B2/ja not_active Expired - Fee Related
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石川島播磨技報 ,1993年,第33巻第5号,第292−297頁 |
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CN106248560A (zh) * | 2016-10-09 | 2016-12-21 | 杨继新 | 二噁英在线检测装置 |
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