JP3515647B2 - 双眼鏡の目当て環の係止構造 - Google Patents

双眼鏡の目当て環の係止構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、双眼鏡の接眼部に観察
者の眼部を覆うために設けられる目当て環を、スライド
可能に係止するための目当て環の係止構造に関する。
【0002】従来より、眼鏡を掛けた観察者と掛けてい
ない観察者に合わせて、接眼部の目当て環を光軸方向に
スライドして位置を変えられるよう構成した双眼鏡が知
られている。このような目当て環には、光軸方向に所定
距離離れた二つの孔が形成されており、目当て環をスラ
イドさせる際には、どちらか一方の孔が接眼部に設けら
れた突起に係合することにより、目当て環が係止される
よう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り、このような双眼鏡では、係止が不安定である上、目
当て環をスライドする際に周方向に斜行しないよう目当
て環を光軸方向にガイドするガイド部材や、目当て環が
外れないようにするためのストッパーなどを設けなけれ
ばならず、構成が複雑になるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の双眼鏡の目当て環の係止構造は、双眼鏡
の鏡筒の接眼部外周に嵌合する目当て環を光軸方向に移
動可能に係止するための構造であって、鏡筒の外周面と
目当て環の内周面のいずれか一方には光軸方向に少なく
とも3つの凹部が離間して形成され、鏡筒の外周面と前
記目当て環の内周面の他方には、光軸方向には光軸方向
に2つの凸部が離間して形成され、少なくとも3つの凹
部のうちの2つの凹部と前記2つの凸部との係合によ
り、目当て環が鏡筒に対して光軸方向に移動可能に係止
されること、を特徴とする。
【0005】また、2つの凸部は常に少なくとも3つの
凹部のうちの隣接する2つの凹部と係合するよう形成し
ても良い。さらに、少なくとも3つの凹部の間には該凹
部が設けられた鏡筒の外周面と目当て環の内周面の一方
の周面に対しては凹部となりかつ少なくとも3つの凹部
に対しては凸部となる第二凹部が形成されており、少な
くとも3つの凹部および第二凹部の鏡筒の周方向に沿っ
た長さは同一であって、少なくとも3つの凹部とその間
の第二凹部は、凸部を光軸方向にガイドするガイド溝と
して機能する構成も可能である。
【0006】あるいは、鏡筒の接眼側端部にフランジ部
が設けられており、目当て環の内周面には前記フランジ
と当接する当接凸部が形成されており、フランジ部は当
接凸部の接眼側への移動を阻止して目当て環の鏡筒から
の抜け落ちを防止するストッパーとして機能するよう構
成しても良い。さらに、少なくとも3つの凹部が目当て
環の内周面に形成されておりかつ2つの凸部が鏡筒の外
周面に形成されており、当接凸部は2つの凸部のうち接
眼側の凸部であるよう構成することもできる。
【0007】
【実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本実施形態の目当て環の
係止構造を用いた双眼鏡の斜視図である。図1に示すよ
うに、双眼鏡10は、1対の対物レンズ13、14の光
軸に対して、接眼部17、18が所定量偏心配置され
た、左右対称の1対の望遠光学系10L、10Rにより
構成されたもので、対物レンズ13、14と接眼部1
7、18の間には、プリズム室15、16が設けられて
いる。
【0008】接眼部17、18には、接眼レンズを保持
した接眼レンズ枠5(図示せず)、及び接眼レンズ枠を
保持する鏡筒2が含まれる。図2は、鏡筒2を示す側断
面図である。図2(a)に示すように、鏡筒2の接眼側
(図中右側)の端部には、ねじ部26が形成されてい
る。このねじ部26には、接眼レンズ(図示せず)を保
持する接眼レンズ枠5のねじ部51が係合し、これによ
って、接眼レンズ枠5は、鏡筒2の接眼側に固定され
る。なお、接眼レンズ枠5は、鏡筒2よりも大径のフラ
ンジ部53を有している。
【0009】そして、鏡筒2の外周には、目当て環3が
嵌挿されている。この目当て環3を鏡筒2に対してスラ
イド可能に係止するために、目当て環3には、凸部3
1、32が設けられ、鏡筒2には、図中右側から、3つ
の凹部21、23、25が形成されている。また、凹部
21、23、25のそれぞれの間には、鏡筒2の外周面
に対しては凹部となり、且つ凹部21、23、25に対
しては凸部となる第二凹部22、24が形成されてい
る。つまり、第2凹部22、24とその周方向に隣接す
る鏡筒2の表面との間には所定の段差が存在する。
【0010】図3は、目当て環3の凸部31、32と、
鏡筒2の凹部21、23、25とを示す平面図である。
なお、目当て環3は鏡筒2から外した状態で示す。図3
に示すように、凹部21、23、25および第二凹部2
2、24の鏡筒の周方向長さが同一な四角形として形成
されている。
【0011】一方、目当て環3の凸部31、32の長さ
(軸方向の長さ)と幅は、凹部21、23、25の長さ
及び幅よりも僅かに小さく設定されている。そして、凸
部31、32の間の距離は、凸部22、24の長さと略
同一である。従って、図2(a)に示すように、凸部3
1、32と凹部23、25が夫々係合した状態で、目当
て環3が鏡筒2に係止される。
【0012】また、この状態から目当て環3を引っぱり
出すと、目当て環3の弾性変形により、凸部31、32
が第2凹部22、24を乗り越えてスライドする。そし
て、図2(b)に示すように、凸部31、32と凹部2
1、23が夫々係合した状態で、目当て環3が鏡筒2に
係止される。そして、この状態で、凸部31の一端が接
眼レンズ枠5のフランジ部53に当接する。前述のよう
に、フランジ部53は鏡筒2よりも大径であるため、凸
部31はフランジ部53を弾性変形により乗り越えるこ
とはできない。即ち、このフランジ部53が、目当て環
3が外れないためのストッパーとなる。
【0013】なお、第2凹部22、24とその周方向に
隣接する鏡筒2の表面との間には所定の段差が存在し、
この段差は目当て環3の弾性変形によっても、凸部3
1、32が乗り越えられない程度に設定されている。か
くして、凹部21、23、25と第二凹部22、24
は、凸部31、32を光軸方向にガイドするガイド溝2
0として機能する。
【0014】眼鏡を掛けた観察者の場合には、図2
(a)のように、目当て環3を押し込んだ状態で使用
し、眼鏡を掛けていない観察者の場合には、図2(b)
のように、目当て環3を引っぱり出した状態で使用す
る。眼鏡を掛けた観察者が双眼鏡を覗くと、眼鏡レンズ
の中央部は接眼レンズ枠5に向けて突出した状態とな
る。そこで、接眼レンズ枠5の、観察者に対向する接眼
面52は、観察者が眼鏡を掛けたまま覗いても、眼鏡が
当たらないような曲率半径R1を持つよう形成されてい
る。本実施形態では、接眼面52の曲率半径R1は10
0mmに設定されている。
【0015】また、目当て環3には、ゴム製の目当てラ
バーが装着されている。図4は、左側の目当てラバー7
を示す平面図である。図8に示すように、目当てラバー
7の接眼側(図中右側)の面72は、光軸0から所定の
距離Tだけ離れた中心Xからの所定の曲率R2で形成さ
れている。また、右側の目当てラバーはこれと対称に形
成される。このように、曲率の中心を光軸からずらすこ
とによって、目当てラバーは観察者の両眼を充分に覆う
ことができ、目の外側からの外光の侵入を防ぐことがで
きる。
【0016】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。図5は、第2の実施の形態を示す側断面図で
ある。図5(a)に示すように、鏡筒4には、凹部の代
わりに凸部41、42が形成されている。また、目当て
環6には、凸部の代わりに開口61、62、63が形成
されている。この開口61、62、63は、軸方向に延
びる溝60内に形成されている。つまり、目当て環6
の、溝60と周方向に隣接する内周面との間には所定の
段差がある。さらに、目当て環6の、溝60を除く内周
部分は、軸方向の段差67を持っている。
【0017】図6は、目当て環6の開口61、62、6
3と、鏡筒4の凸部41、42とを示す平面図である。
なお、目当て環6は鏡筒4から外した状態で示す。第1
の実施の形態と同様、開口61、62、63と凸部4
1、42の夫々の幅と長さは、開口61、62、63の
うちの二つと凸部41、42が係合できるよう設定され
る。
【0018】従って、図5(a)に示すように、凸部4
1、42と開口61、62が夫々係合した状態で、目当
て環3が鏡筒2に係止される。そして、この状態から目
当て環6を引っぱり出すと、目当て環6の弾性変形によ
り、開口61、62が凸部41、42を乗り越えてスラ
イドする。そして、図5(b)に示すように、凸部4
1、42と開口62、63が夫々係合した状態で、目当
て環6が鏡筒4に係止される。
【0019】この時、目当て環6の段差部67が接眼レ
ンズ枠5のフランジ部53に当接するため、目当て環6
はこれ以上図中右側に向かってスライドすることはでき
ない。これにより、段差部67は、目当て環3が外れな
いためのストッパーとなる。また、溝60と鏡筒6の外
表面の間の段差のため、溝60が目当て環6を光軸方向
に案内するガイド溝となっている。
【0020】以上のように、本実施形態の目当て環の係
止構造によれば、簡単な構成で、目当て環を接眼部の鏡
筒に対して安定した状態で係止することができ、さら
に、スライド時の斜行や鏡筒からのはずれを防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】目当て環の係止構造を用いた双眼鏡の第1の実
施形態を示す斜視図である。
【図2】接眼部の側断面図である。
【図3】目当て環と鏡筒の平面図である。
【図4】目当てラバーの平面図である。
【図5】第2実施形態の接眼部の側断面図である。
【図6】目当て環と鏡筒の平面図である。
【符号の説明】
2 鏡筒 20 溝 21、23、25 凹部 22、24、26 第2凹部 3 目当て環 31、32 凸部 4 鏡筒 41、42 凸部 5 接眼レンズ鏡筒 52 接眼面 53 フランジ部 6 目当て環 60 溝 61、62、63 開口 67 段差 7 目当てラバー

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 双眼鏡の鏡筒の接眼部外周に嵌合する目
    当て環を光軸方向に移動可能に係止するための構造であ
    って、 前記鏡筒の外周面と前記目当て環の内周面のいずれか一
    方には前記光軸方向に少なくとも3つの凹部が離間して
    形成され、 前記鏡筒の外周面と前記目当て環の内周面の他方には、
    前記光軸方向には前記光軸方向に2つの凸部が離間して
    形成され、 前記鏡筒の外周面と前記目当て環の内周面の一方には前
    記2つの凸部を光軸方向のみにガイドするガイド溝が形
    成され、 前記少なくとも3つの凹部のうちの2つの凹部と前記2
    つの凸部との係合により、前記目当て環が前記鏡筒に対
    して光軸方向に移動可能に係止されること、を特徴とす
    る双眼鏡の目当て環の係止構造。
  2. 【請求項2】前記2つの凸部は常に前記少なくとも3つ
    の凹部のうちの隣接する2つの凹部と契合するよう形成
    されていること、を特徴とする双眼鏡の目当て環の係止
    構造。
  3. 【請求項3】前記少なくとも3つの凹部の間には該凹部
    が設けられた前記鏡筒の外周面と前記目当て環の内周面
    の一方の周面に対しては凹部となりかつ前記少なくとも
    3つの凹部に対しては凸部となる第二凹部が形成されて
    おり、前記少なくとも3つの凹部および第二凹部の前記
    鏡筒の周方向に沿った長さは同一であって、前記少なく
    とも3つの凹部とその間の第二凹部は、前記凸部を光軸
    方向にガイドするガイド溝として機能すること、を特徴
    とする請求項1または2に記載の双眼鏡の目当て環の係
    止構造。
  4. 【請求項4】前記鏡筒の接眼側端部にフランジ部が設け
    られており、前記目当て環の内周面には前記フランジと
    当接する当接凸部が形成されており、前記フランジ部は
    前記当接凸部の接眼側への移動を阻止して前記目当て環
    の前記鏡筒からの抜け落ちを防止するストッパーとして
    機能することを特徴とする請求項1から3のいずれかに
    記載の双眼鏡の目当て環の係止構造。
  5. 【請求項5】前記少なくとも3つの凹部が前記目当て環
    の内周面に形成されておりかつ前記2つの凸部が前記鏡
    筒の外周面に形成されており、前記当接凸部は前記2つ
    の凸部のうち接眼側の凸部であること、を特徴とする請
    求項4に記載の双眼鏡の目当て環の係止構造。
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