JP3515331B2 - 体温計用プローブカバー - Google Patents

体温計用プローブカバー

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JP3515331B2 JP20708797A JP20708797A JP3515331B2 JP 3515331 B2 JP3515331 B2 JP 3515331B2 JP 20708797 A JP20708797 A JP 20708797A JP 20708797 A JP20708797 A JP 20708797A JP 3515331 B2 JP3515331 B2 JP 3515331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体温計用プローブ
カバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、病院等の医療機関や家庭などで体
温の測定を行う体温計として、耳腔(外耳道)内にプロ
ーブ(検温部)を挿入し、鼓膜から放射される赤外線
(熱線)を検出し、その赤外線の強度によって体温を測
定する耳式体温計が提案されている。
【0003】この耳式体温計では、例えば複数の患者の
体温を測定する場合に、感染防止等の衛生管理上の問題
から、プローブを被覆し、検温の度に交換される使い捨
てのプローブカバーがプローブに装着される。
【0004】このプローブカバー16は、図5に示すよ
うに、耳式体温計のプローブの形状に対応した形状をな
しており、その先端に赤外線を透過する膜17を有して
いる。
【0005】しかしながら、プローブカバー16を装着
した状態のプローブを耳腔内に挿入したときにこの膜1
7が耳腔の内面やその周辺部に触れたり、プローブカバ
ー16の着脱操作時等に指等が触れたりして、膜17の
表面に汚れ等が付着すると、それが原因で二次輻射を起
こし、検温値に誤差が生じ、正確な検温ができなくなる
ことがあるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、検温
の精度を向上することができる体温計用プローブカバー
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。
【0008】(1) 体温計のプローブに装着され、該
プローブを被覆するプローブカバーであって、プローブ
カバーの先端部に赤外線が透過可能な膜を有し、該膜の
外周部に該膜より先端側に突出し、かつ前記プローブの
先端部に嵌合するリップ部を有することを特徴とする体
温計用プローブカバー。
【0009】(2) 前記リップ部の先端が丸みを帯び
た形状をなしている上記(1)に記載の体温計用プロー
ブカバー。
【0010】(3) 少なくとも前記膜と前記リップ部
とが一体的に形成されている上記(1)または(2)に
記載の体温計用プローブカバー。
【0011】(4) 前記リップ部の高さをH、前記膜
の直径をDとしたとき、4≦D/H≦55なる関係を満
足する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の体温
計用プローブカバー。
【0012】(5) 前記膜の厚さが0.01〜0.1
mmである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の体
温計用プローブカバー。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の体温計用プローブ
カバーを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説
明する。
【0014】図1および図2は、それぞれ、体温計の正
面図および側面図、図3は、本発明の体温計用プローブ
カバー(以下単に「プローブカバー」と言う)の実施例
を示す縦断面図、図4は、体温計のプローブに本発明の
体温計用プローブカバーを装着した状態の図1中A−A
線断面図である。なお、説明の都合上、図1、図2の上
側を「上部」、下側を「下部」、図3、図4の上側を
「先端」、下側を「基端」と言う。
【0015】まず、図1、図2および図4を参照しつ
つ、体温計1の構成について説明する。図示の体温計1
は、鼓膜から発せられる赤外線の強度を測定することに
より体温を検出する耳式体温計であり、ケーシング21
を有する体温計本体2と、体温計本体2の正面に設置さ
れた電源スイッチ3および表示部5と、体温計本体2の
背面上部に設置された測定スイッチ4とを有している。
【0016】プローブ6は、体温計本体2の上部正面側
に、体温計本体2に対し着脱自在に設置されている。図
4に示すように、支持台7は、大径部71と、その先端
側の小径部72とを有し、大径部71および小径部72
の外周には、それぞれ、雄螺子73、74が形成されて
いる。
【0017】一方、管状のプローブ6の基端には、大径
部71の先端面に当接する基部61を有するとともに、
プローブ6の基端側内面には、前記雄螺子74と螺合す
る雌螺子62が形成されている。これらの雄螺子74と
雌螺子62を螺合することにより、プローブ6が支持台
7に支持、固定される。
【0018】また、プローブ6は、その外径が先端に向
かって漸減する形状をなしており、プローブ6の先端外
周部(縁部)63は、耳腔内へ挿入したときの安全性を
考慮して、丸みを帯びた形状をなしている。
【0019】支持台7の中心部には、その先端から導入
された赤外線(熱線)を赤外線センサー10へ導くライ
トガイド(導波管)8が立設されている。ライトガイド
8は、好ましくは熱伝導性の良い銅などの金属で構成さ
れ、その内面には、金メッキが施されている。
【0020】また、ライトガイド8には、その先端開口
を覆うように保護シート81が被覆されている。これに
より、ライトガイド8の内部にゴミ、塵等が侵入するこ
とが防止される。なお、保護シート81は、赤外線透過
性を有するものである。
【0021】支持台7の大径部71には、リングナット
9が螺合される。すなわち、リングナット9の基端側内
面には、雌螺子91が形成され、この雌螺子91が大径
部71の雄螺子73と螺合することにより、リングナッ
ト9が支持台7に支持、固定される。
【0022】このリングナット9は、雌螺子91の先端
付近からその外径が先端方向へ向かって漸減するテーパ
部92を有し、テーパ部92の内面には、プローブカバ
ー11の胴部12に係合する係合部93が形成されてい
る。
【0023】プローブ6にプローブカバー11を被せ、
リングナット9を装着し、螺合すると、プローブカバー
11の胴部12がプローブ6の傾斜部64とリングナッ
ト9の係合部93とで挟持され、プローブカバー11が
プローブ6に対し確実に固定される。
【0024】なお、本実施例のプローブカバー11の開
口端(基端)の周囲にフランジ取り付け基部等を設け、
このフランジ等をプローブ6とリングナット9の間で挟
持してプローブカバー11を固定することもできる。
【0025】従って、プローブカバー11は、容易にプ
ローブ6から離脱することはなく、例えば、体温測定
後、耳腔からプローブ6を抜き取った際に、プローブカ
バー11だけが耳腔内に残ってしまうといった不都合が
確実に防止される。
【0026】また、プローブカバー11をプローブ6か
ら取り外すには、リングナット9を相当の力で回転操作
して大径部71との螺合を解除しなければならないの
で、乳幼児が誤ってプローブカバー11を取り外し、口
に入れる等の不都合も防止される。
【0027】リングナット9の先端面94は、ほぼ平坦
な面を構成している。プローブ6を耳腔に挿入したと
き、この先端面94は、耳腔入口に当接し、プローブ6
の耳腔への挿入深さを規制する。
【0028】また、リングナット9のテーパ部92の外
周面には、リングナット9を回転操作する際の滑り止め
効果を発揮する複数の溝95が円周方向に所定間隔をお
いて形成されている。
【0029】なお、溝95のような凹部に限らず、凸部
であっても同様の機能を発揮することができる。
【0030】赤外線センサー10は、サーモパイル(熱
電対列)を備え、熱絶縁帯を介して中心側に位置する集
熱部に前記サーモパイルの温接点が、熱絶縁帯の外周側
に冷接点がそれぞれ設置された構成をなしている。そし
て、赤外線照射により暖められた温接点と赤外線が照射
されない冷接点との温度差に相当するサーモパイル出力
信号と、赤外線センサー10の近くもしくは内部に設置
されるサーミスタ(図示せず)により出力される冷接点
の温度に相当する信号との関数として、体温を測定する
ものである。
【0031】次に、本発明のプローブカバー11につい
て説明する。図3に示すように、プローブカバー11
は、基端が開放し、先端が閉じた形状をなしている。こ
のプローブカバー11は、筒状の胴部12と、胴部12
の先端部に形成された赤外線を透過し得る膜14と、膜
14の外周部に形成され、該膜14より先端側に突出す
るリング状のリップ部15とで構成されている。
【0032】そして、胴部12、膜14およびリップ部
15は、後述する製造方法との関係で、好ましくは樹脂
材料により一体的に形成されている。この樹脂材料とし
ては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル、スチロール系樹脂等が挙げられる。
【0033】胴部12は、その外径および内径が先端へ
向かって漸減している。また、胴部12の厚さも、先端
へ向かって漸減している。
【0034】膜14の厚さは、特に限定されないが、
0.01〜0.1mm程度が好ましく、0.05〜0.0
7mm程度がより好ましい。膜14の厚さが薄過ぎると、
膜材料によっては、強度不足を生じ、破れ等の破損を生
じ易くなり、また、膜14の厚さが厚過ぎると、赤外線
の透過率が低下し、高精度の体温測定の妨げとなるおそ
れがある。
【0035】このプローブカバー11では、リップ部1
5が存在することにより、膜14がプローブカバー11
の先端から所定距離(H)だけ基端側へ下がった状態と
なる。これにより、プローブ6にプローブカバー11を
装着し、耳腔内に挿入したとき、膜14が耳腔の内面や
その周辺部に触れることや、プローブカバー11のプロ
ーブ6への着脱操作時に指等が触れることが防止され、
膜14の表面を清浄に保つことができるので、高い測定
精度を維持することができる。
【0036】このリップ部15は、その内側がプローブ
6の先端部に嵌合する形状をなしている。すなわち、図
4に示すように、プローブ6にプローブカバー11を装
着した状態では、リップ部15がプローブ6の先端外周
部63に嵌合する。これにより、耳腔内への挿入時(測
定時)等に、プローブカバー11の先端部がプローブ6
に対しズレを生じることが防止されるとともに、膜14
が一定の張力で張られ、膜14にしわやたるみが生じる
ことが防止されるので、測定精度の向上に寄与する。
【0037】また、リップ部15の先端は、丸みを帯び
た形状をなしている。これにより、耳腔内への挿入に際
し、痛みを感じたり、耳腔内壁を傷つけたりすることが
なく、高い安全性が確保される。
【0038】膜14の直径Dは、下限はライトガイト8
の直径に制限され、上限は、プローブの耳への挿入状態
により制限される。すなわち、直径Dは、4.0mm≦D
≦5.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0039】リップ部15の高さHが低過ぎると、リッ
プ部15を設けたことによる前記効果が十分に発揮され
ず、また、リップ部15の高さHが高過ぎると、材質等
の他の条件によっては、プローブカバー11の成形時
に、膜14の厚さが不均一となり、薄い部分にしわや破
損が生じ易くなる等の不都合が生じることがある。この
ため、リップ部15の高さHは、上記の膜14の直径D
の範囲では0.1mm≦H≦1.0mmの関係を満足するの
が好ましい。
【0040】すなわち、膜14の直径Dとリップ部14
の高さHの比は、4≦D/H≦55を満足するのが好ま
しい。
【0041】プローブカバー11の製造方法は、特に限
定されないが、その一例を挙げれば、次のような方法で
製造(成形)されるのが好ましい。
【0042】プローブカバー11を成形する樹脂シート
を用意し、該樹脂シートの図3中下方から樹脂シートを
ヒーターにより加熱し、樹脂シートを十分に軟化させ、
ヒーターを取り外す。その後、樹脂シートの図3中下方
から円錐台形状のシート押し込み部材を接触させ、樹脂
シートの上方から、プローブカバー11の外側形状に対
応する形状をなした雌型金型を樹脂シートに接触させ、
前記シート押し込み部材で樹脂シートを雌型金型の途中
まで押し込んだ後、雌型金型のリップ部に相当する部分
に予め形成された細孔から真空ポンプにより吸引する。
これにより、軟化した樹脂シートは、雌型金型内部に引
っ張られ、雌型金型内部に密着する。この状態で、樹脂
シートを冷却することにより、樹脂シートは固化し、雌
型金型の内部形状に成形される。次に、吸引を停止し、
雌型金型を上方に移動することにより、プローブカバー
11の形状に成形された樹脂シートを取り外す。その後
プローブカバー11の基端側を切断して(打ち抜い
て)、プローブカバー11を得る。
【0043】また、他の方法としてプローブカバー11
を成形する樹脂シートを用意し、プローブカバー11の
内側形状に対応する形状をなし、かつ前記樹脂シートが
溶融または軟化する程度の温度まで加熱された金型によ
り前記樹脂シートを図3中下方から上方へ押圧して熱変
形させるとともに、膜14に対応する平坦面を有する同
様の加熱金型を図3中上方から下方へ移動し、両金型で
膜14の部分を挟持し、その挟持圧力を調整して所望の
膜厚を得る。その後、両金型を除去し、プローブカバー
11の形状に変形した樹脂シートを冷却、固化し、プロ
ーブカバー11の基端側を切断して(打ち抜いて)、プ
ローブカバー11を得る。
【0044】なお、プローブカバー11の実際の製造に
おいては、樹脂シートは加熱されると、自重により鉛直
下方へたれ下るので、上下方向を図3とは逆にして製造
するのが好ましい。
【0045】体温計本体2の支持台7の小径部72に前
述したようにしてプローブ6を螺合、装着し、さらに、
該プローブ6にプローブカバー11を被せる。次いで、
その上からリングナット9を挿通し、支持台7の大径部
71に螺合する。これにより、プローブカバー11の胴
部12がプローブ6の傾斜部64とリングナット9の係
合部93とで挟持され、プローブカバー11がプローブ
6に対し固定される。これにより、プローブカバー11
の装着が完了する。
【0046】次に、電源スイッチ3をONの状態とし、
所定時間経過後、体温計本体2を把持し、プローブカバ
ー11で被包されたプローブ6を耳腔内に挿入する。
【0047】次に、測定スイッチ4を所定時間押圧す
る。これにより、体温の測定がなされる。すなわち、鼓
膜から放射された赤外線(熱線)は、膜14および保護
シート81を順次透過し、ライトガイド8内に導入さ
れ、その内面で反射を繰り返して赤外線センサー10に
到達する。
【0048】そして、前述したように、赤外線センサー
10で受光した赤外線の強度を温度に換算し、体温を検
出する。検出された体温は、表示部5に表示される。
【0049】以上、本発明のプローブカバーを添付図面
に示す実施例に基づいて説明したが、本発明は、これに
限定されるものではない。例えば、プローブカバーは、
複数の部材を接合して構成されたものであってもよい。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の体温計用プ
ローブカバーによれば、リップ部を有することにより、
プローブカバーを装着したプローブを耳腔内に挿入した
とき、膜が耳腔の内面やその周辺部に触れることや、プ
ローブカバーのプローブへの着脱操作時等に指等が膜に
触れることが防止され、膜の表面を清浄に保つことがで
きる。
【0051】さらに、リップ部がプローブの先端部に嵌
合するので、耳腔内への挿入時等に、プローブカバーの
先端部がプローブに対しズレを生じることが防止される
とともに、膜にしわやたるみが生じることが防止され
る。このようなことから、高い測定精度を維持すること
ができる。
【0052】また、リップ部の先端が丸みを帯びた形状
をなしている場合には、安全性が高い。
【0053】また、膜とリップ部とが一体的に形成され
ている場合には、破損防止効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】体温計の正面図である。
【図2】体温計の側面図である。
【図3】本発明の体温計用プローブカバーの実施例を示
す縦断面図である。
【図4】体温計のプローブに本発明の体温計用プローブ
カバーを装着した状態の図1中A−A線断面図である。
【図5】従来の体温計用プローブカバーの構成を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
1 体温計 2 体温計本体 21 ケーシング 3 電源スイッチ 4 測定スイッチ 5 表示部 6 プローブ 61 基部 62 雄螺子 63 先端外周部 64 傾斜部 7 支持台 71 大径部 72 小径部 73、74 雄螺子 8 ライトガイド 81 保護シート 9 リングナット 91 雌螺子 92 テーパ部 93 係合部 94 先端面 95 溝 10 赤外線センサー 11 プローブカバー 12 胴部 14 膜 15 リップ部 16 プローブカバー(従来例) 17 膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−273239(JP,A) 特開 平8−189863(JP,A) 特開 昭61−263438(JP,A) 特開 平5−261069(JP,A) 米国特許5179936(US,A) 米国特許5012813(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 1/08 A61B 5/00 101 G01K 7/00 341

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体温計のプローブに装着され、該プロー
    ブを被覆するプローブカバーであって、 プローブカバーの先端部に赤外線が透過可能な膜を有
    し、該膜の外周部に該膜より先端側に突出し、かつ前記
    プローブの先端部に嵌合するリップ部を有することを特
    徴とする体温計用プローブカバー。
  2. 【請求項2】 前記リップ部の先端が丸みを帯びた形状
    をなしている請求項1に記載の体温計用プローブカバ
    ー。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記膜と前記リップ部とが一
    体的に形成されている請求項1または2に記載の体温計
    用プローブカバー。
  4. 【請求項4】 前記リップ部の高さをH、前記膜の直径
    をDとしたとき、4≦D/H≦55なる関係を満足する
    請求項1ないし3のいずれかに記載の体温計用プローブ
    カバー。
  5. 【請求項5】 前記膜の厚さが0.01〜0.1mmであ
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の体温計用プロー
    ブカバー。
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