JP3514677B2 - 酵素粒子凝集体 - Google Patents

酵素粒子凝集体

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JP3514677B2 JP31066499A JP31066499A JP3514677B2 JP 3514677 B2 JP3514677 B2 JP 3514677B2 JP 31066499 A JP31066499 A JP 31066499A JP 31066499 A JP31066499 A JP 31066499A JP 3514677 B2 JP3514677 B2 JP 3514677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は洗浄剤に好適に配合
される酵素粒子凝集体とその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】衣料用の粉末洗剤、粉末漂白剤及び自動
食器洗浄機用粉末洗浄剤等の洗浄剤には、その洗浄力を
高めるために各種の酵素が配合されることが多い。酵素
は水中に溶解して初めてその効果が発揮されるため、酵
素にはその効果の発揮までにある程度の時間を要すると
いう性質がある。そのため、酵素の性能を最大限に生か
すためには、酵素粒子から酵素を速やかに溶出させる性
質(以下、高速溶解性という)を酵素粒子が有している
かどうかが重要である。特に衣料用洗剤等に関して、洗
濯時間が短縮傾向にある現状では、その重要性はますま
す高くなっている。
【0003】更に、洗浄剤への配合を考えた場合、洗浄
終了時に酵素粒子の溶け残りがあると、溶け残り成分の
洗浄対象物への付着等の問題が生じる。従って、酵素粒
子を構成している物質がすべて洗浄時間内に分散し、溶
け残りを防ぐことが重要である。また、作業環境の安全
性を確保するためには、酵素粒子からの粉塵の発生量
(以下、発塵量という)を抑制することが重要である。
さらに粉末状の洗剤組成物へのアフターブレンドを考え
た場合、品質の面からは酵素粒子が洗剤組成物中に均一
に分布することが望ましい。そのためには、酵素粒子の
粒径及び嵩密度を洗剤組成物を構成する他の粒子に近づ
けて、他の粒子と酵素粒子とが分級されることを防ぐこ
とが重要である。また、外観の面から考えると視認性の
観点から粒径は大きい方が望ましく、粒子個数の観点か
ら嵩密度は低い方が望ましい。
【0004】これらの点を考慮すると、洗剤組成物との
配合に関係なく必要とされる物性である高速溶解性及び
低発塵性を満足し、かつ洗浄剤との配合の際に重要とな
ってくる物性である粒径及び嵩密度を洗浄剤に合わせて
コントロールできる技術が重要となってくる。しかし、
これらの物性は互いに密接に関わり合っている。例え
ば、粒径を小さくすることにより溶解性は向上するもの
の、同時に発塵量は増加する傾向がある。嵩密度を高め
ることにより発塵量は低下するものの、同時に溶解性は
低下する傾向がある。このため、従来よりこれらの要求
物性を同時に満たす酵素粒子を得ることは困難であっ
た。
【0005】例えば特公昭50−22506号公報で
は、洗剤用酵素と無機塩類が水溶性バインダー溶液中に
共存する溶液または分散液を噴霧乾燥することにより、
洗剤用酵素を含むマイクロカプセルを製造する方法が開
示されている。ここで実施されている粒径20〜130
μmの範囲のマイクロカプセルは、洗剤に配合して用い
る場合は良好な溶解性を満たすことが可能であると考え
られるものの、粒径が洗剤に比べて非常に小さいため、
粒子間に発生する分級現象の抑制が困難である。また、
この技術によって得られる酵素粒子は水溶性物質の含有
量が実質的に多いものとなるため、中空構造で強度が弱
く、発塵量を抑制することは困難であり、酵素について
の上記の要求物性を同時に満たすことはできなかった。
【0006】特開平7−289259号公報では、洗剤
用酵素及びアルミノ珪酸塩粉末を含有する混合物を、水
溶性有機バインダーを用いて攪拌転動造粒に付して洗剤
用酵素造粒物を製造する方法が開示されている。この方
法によれば、発塵量の抑制に関して、造粒を行うことに
より解決している。しかし、粒径の増加と造粒における
粒子の圧密化のため、高速溶解性を満足することは困難
であり、この方法によっても酵素についての上記の要求
物性を同時に満たすことはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、内部
よりも表面近傍に水溶性バインダーが多く存在する構造
を有する酵素粒子を凝集させることにより酵素が速やか
に溶出し、溶け残りが無く、粉塵の発生が抑制され、か
つ他の成分と共に洗浄剤に配合された場合において、洗
浄剤組成物中で粒子間に発生する分級現象が起こりにく
い性質(以下、非分級性という)を有する酵素粒子凝集
体を提供することにある。さらに本発明の課題は酵素粒
子凝集体を好適に製造し得る方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕水不溶性物質及び/又は水難溶性物質(A)、水
溶性バインダー(B)、及び酵素(C)を含有し、且つ
内部よりも表面近傍に前記(B)成分が多く存在する構
造を有する酵素粒子を含有する酵素粒子凝集体、並びに
〔2〕水不溶性物質及び/又は水難溶性物質(A)、水
溶性バインダー(B)、及び酵素(C)を含有し、且つ
内部よりも表面近傍に前記(B)成分が多く存在する構
造を有する酵素粒子に、水若しくはバインダー水溶液を
添加して乾燥及び/又は冷却することにより、又は溶融
した熱可塑性バインダーを添加して冷却することにより
酵素粒子凝集体を得る、酵素粒子凝集体の製法、に関す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】1.(A)成分 (A)成分としては水に対して溶解性を示さないか、若
しくは僅かに示す物質であって、実質的に酵素を失活さ
せず、水溶性バインダーと反応せず、かつ水中で分散す
る性質を示す物質である。これらの物質は無機物質又は
有機物質のいずれでもよいが、噴霧乾燥等の加熱を必要
とする工程が含まれる場合には熱に対する安定性が高い
方が有利なことから、無機物質がより好ましい。(A)
成分の具体例としては、セルロースパウダー、ゼオライ
ト、タルク、クレー、アルミナ、カオリン、チタニア、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、水中での
分散性が良好なゼオライトやカオリン等が好ましい。
【0010】(A)成分の大きさについては、酵素粒子
内部での分布の均一性の観点から一次粒子の平均粒径が
20μm以下が好ましい。また、(A)成分の一次粒子
の平均粒径が小さくなるほど酵素粒子が緻密となり、そ
の緻密化により酵素粒子の粒子強度が向上し、酵素粒子
凝集体の発塵性が抑制できることからその一次粒子の平
均粒径は10μm以下がより好ましく、0.1〜5μm
が特に好ましい。
【0011】酵素粒子中の(A)成分の含有量は、粉塵
の発生を抑え、酵素粒子に崩壊・分散性を持たせ、酵素
の速やかな溶出を促す観点から酵素粒子の45重量%以
上が好ましく、更に高速溶解性を高める観点から50重
量%以上がより好ましい。一方、発塵量抑制と溶け残り
防止の観点から該含量は酵素粒子の90重量%以下が好
ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以
下が特に好ましい。従って、高速溶解性と低発塵性を同
時に満たし、溶け残りを防止することを考えると、該含
量は酵素粒子の45〜90重量%が好ましく、50〜8
0重量%がより好ましく、50〜70重量%が特に好ま
しい。
【0012】また、本発明においては、(A)成分は1
種以上を使用することができる。また、2種以上を組み
合わせて用いる場合、粒径の異なる粒子や形状の異なる
粒子を配合することにより、酵素粒子の構造を緻密化又
は強化して発塵性を抑制することも可能である。例えば
一次粒子の平均粒径が2〜3μmの粒子に一次粒子の平
均粒径が1μm以下の粒子を組み合わせることにより、
一次粒子の平均粒径が2〜3μmの粒子のみで構成した
場合に比べ発塵抑制が可能となる。このように異なる粒
径の粒子を組み合わせて用いる場合、小粒径粒子の割合
は発塵抑制効果の観点から(A)成分中5〜60%が好
ましく、5〜50%がより好ましい。
【0013】2.(B)成分 (B)成分としては、粒子を構成する成分同士を結合さ
せる能力を持ち、実質的に酵素を失活させず、水中で速
やかに溶解する性質を有するものであれば特に限定され
ない。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及
びそれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導
体、水溶性セルロース誘導体(これらの誘導体として
は、エーテル化合物等が挙げられる)、カルボン酸系ポ
リマー、澱粉、糖類等が挙げられる。生産性、高速溶解
性の観点からは、カルボン酸系ポリマー及び糖類が好ま
しく、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩、ポリア
クリル酸塩がより好ましい。塩としてはナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。尚、カルボン
酸系ポリマーの分子量としては、1000〜10000
0が好ましく、2000〜80000がより好ましい。
【0014】酵素粒子中の(B)成分の含有量は、低発
塵性の観点から酵素粒子の5重量%以上が好ましく、1
5重量%以上がより好ましい。高速溶解性の観点から酵
素粒子の40重量%以下が好ましく、30重量%以下が
より好ましい。従って、低発塵性及び高速溶解性の観点
から該含有量は酵素粒子の5〜40重量%が好ましく、
15〜30重量%がより好ましい。また、本発明で使用
する水溶性バインダーは2種以上組み合せることができ
る。2種以上の異なった効果を持つ水溶性バインダーを
組み合わせることにより、その複合効果を期待すること
もできる。例えば水中で速やかに溶解するバインダー
に、酵素の安定化能をもつバインダーをさらに用いて組
み合わせることによって、酵素粒子の安定性をさらに付
与することができる。
【0015】3.(C)成分 (C)成分としては、洗浄剤へ配合して洗浄効果等を発
揮する酵素であれば特に制限されない。例えば、セルラ
ーゼ、プロテアーゼ、ペプチナーゼ、アミラーゼ、リパ
ーゼ、及びデキストラナーゼから選ばれる1種以上が好
ましく用いられる。酵素粒子中の(C)成分の含有量
は、酵素活性発現の観点から0.5重量%以上が好まし
く、2重量%がより好ましい。高速溶解性の観点から3
0重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好まし
い。従って、酵素活性発現及び高速溶解性の観点から該
含有量は0.5〜30重量%が好ましく、2〜25重量
%がより好ましい。
【0016】(C)成分の使用形態としては、例えば、
微生物により生産された酵素を含有する培養物を濾過、
濃縮した濃縮液の形で使用してもよく、濃縮液を乾燥し
て得られた酵素粉末を使用してもよい。酵素濃縮液を用
いる場合、濾過によって分離しきれない糖類、無機塩類
等が含まれていてもよい。
【0017】4.その他の水溶性物質 酵素粒子には、前記のような(A)成分、(B)成分、
(C)成分以外に、必要に応じてその他の水溶性物質が
含まれていてもよい。例えば安定化剤、賦形剤として塩
化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、芒
硝等を配合することができる。その他の水溶性物質の量
は、(B)成分、(C)成分、及び該水溶性物質の含有
量の総和が酵素粒子の55重量%を超えない範囲が好ま
しい。特に、高速溶解性及び低発塵性の観点からその他
の水溶性物質の含有量は酵素粒子の15重量%以下が好
ましく、10重量%以下がより好ましい。(A)成分、
(B)成分及びその他の水溶性物質の好ましい組み合わ
せとしては、例えば、(A)成分としてゼオライト、
(B)成分としてポリアクリル酸ナトリウムと糖類、そ
の他の水溶性物質として賦形剤である芒硝、といった組
み合わせが挙げられる。
【0018】5.酵素粒子 酵素粒子は、その内部よりも表面近傍に(B)成分が多
く存在する構造である。(B)成分が表面近傍に偏在す
るため、水中でまず(B)成分が溶解した後、(A)成
分に水が接触するため、粒子自体が崩壊し、水中に分散
する。そのため、(C)成分の水中への溶出が速やかに
行われる。従って、この構造を有する酵素粒子であれ
ば、粒径や嵩密度が大きくなっても速やかに酵素を溶出
させることができ、溶け残りもない。加えて、酵素粒子
表面近傍において、粒子を構成する成分同士を結合させ
るバインダーの量が多いため、更に粒子強度が向上し、
発塵抑制が可能となる。
【0019】酵素粒子の平均粒径は目標とする酵素粒子
凝集体の平均粒径によって最適な粒径が変わる為特に規
定はされないが、高速溶解性の観点からは500μm以
下が好ましく、300μm以下がより好ましい。又、発
塵抑制の観点からは100μm以上が好ましく、150
μm以上がより好ましい。従って、高速溶解性及び発塵
抑制の観点からは100〜500μmが好ましく、10
0〜300μmがより好ましく、150〜300μmが
特に好ましい。
【0020】(B)成分の偏在性は、次の方法で確認す
ることができる。まず、測定対象の凝集前の酵素粒子
と、該酵素粒子をメノウ乳鉢等で十分に粉砕して均一な
状態とした酵素粒子粉砕物とを用意する。そして、酵素
粒子及び酵素粒子粉砕物の表面から約10μmまでの情
報が得られる条件で、両者をそれぞれフーリエ変換赤外
分光法(FT−IR)と光音響分光法(PAS)とを併
用する方法(以下、「FT−IR/PAS」という)に
より測定する。前者の(B)成分の量が後者の(B)成
分の量より多い場合、測定対象の酵素粒子は酵素粒子の
内部よりも表面近傍に(B)成分が多く存在する構造を
有するものである。酵素粒子及び酵素粒子粉砕物の表面
から約10μmまでの情報が得られる測定条件として
は、例えば、分解能8cm-1、スキャン速度0.63c
m/s、積算128回、という条件が挙げられる。使用
する装置は、例えば、赤外分光光度計としてBio-Rad La
boratories社製FTS−60A/896型赤外分光光度
計が、PASセルとしてMTEC社製300型光音響検
出器が挙げられる。なお、FT−IR/PASはAPPLIE
D SPECTROSCOPY vol.47 1311-1316(1993) に記載されて
いる。
【0021】6.酵素粒子凝集体 酵素粒子を含有する酵素粒子凝集体は、酵素粒子が凝集
した構造であればよく凝集の方法は問わないが、凝集構
造の安定性及び生産性の観点からは酵素粒子がバインダ
ー(以下(D)成分)によって凝集した酵素粒子凝集体
が好ましい。この酵素粒子凝集体は酵素粒子が元の形状
及び構造を維持しつつ数個から数十個結合した構造とな
っており、酵素粒子を圧密化することなく凝集させてい
る為、酵素粒子の持つ高速溶解性を損なうことなく、酵
素粒子単独の時と同様に酵素粒子が崩壊して水中に分散
し、酵素の水中への溶出が速やかに行われる。また、凝
集による粒径の向上が生じる為、酵素粒子の持つ発塵性
を更に抑制することが可能である。
【0022】酵素粒子凝集体の平均粒径としては、視認
性の観点からは150μm以上が好ましく、200μm
以上がより好ましく、300μm以上が特に好ましい。
又、分級抑制の観点からは2000μm以下が好まし
く、1000μm以下がより好ましく、700μm以下
が特に好ましい。従って、視認性及び分級抑制の観点か
ら150〜2000μmが好ましく、200〜1000
μmがより好ましく、300〜1000μmが更に好ま
しく、300〜700μmが特に好ましい。酵素粒子凝
集体の平均粒径については、酵素粒子の平均粒径と凝集
の条件によってコントロール可能である。例えば、同じ
凝集条件下で酵素粒子の平均粒径を小さくすれば、酵素
粒子凝集体の平均粒径は小さくなる。また、同じ平均粒
径の酵素粒子を用いた場合には、凝集速度を上げると酵
素粒子凝集体の平均粒径は大きくなる。
【0023】同様に嵩密度についても、酵素粒子の平均
粒径と凝集の条件によってコントロール可能である。例
えば、酵素粒子の粒径を小さくして、緩やかに凝集させ
ることにより、嵩密度が低い粒子を得ることが可能であ
る。このことから酵素粒子凝集体は洗浄剤組成物中にブ
レンドする際の分級について、凝集体の平均粒径と嵩密
度を制御することにより、分級を抑制することが可能で
ある。例えば在来型洗剤のような嵩密度の低い洗浄剤組
成物から圧密型洗剤のような嵩密度の高い洗浄剤組成物
まで幅広く配合できる。酵素粒子凝集体の形状について
は特に規定はされないが、例えば不定形とすることによ
り、洗浄剤中での分級を更に抑制することが可能であ
る。
【0024】酵素粒子凝集体が高速溶解性を有する為に
は、酵素粒子自身が高速溶解性を有する必要がある。ま
た、酵素粒子凝集体の発塵性は酵素粒子の発塵の影響を
強く受ける為、酵素粒子の発塵性もできる限り抑制され
ていることが望ましい。本発明において酵素粒子を
(D)成分によって凝集させる場合、(D)成分として
は、酵素粒子同士を結合させる能力を持ち、実質的に酵
素を失活させないものであれば特に限定されない。
(D)成分は(B)成分と同じものでも、(B)成分以
外のものでもよく、酵素粒子の表面近傍に多く存在する
(B)成分を用いてもよい。又、(D)成分は水不溶性
でも水溶性でもよく、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0025】高速溶解性の観点からすると(D)成分の
うち少なくとも1種は水溶性であることが好ましい。
又、水不溶性の(D)成分のみを用いる場合、高速溶解
性の観点からは、(D)成分が酵素粒子表面を完全に被
覆することなく、水中において酵素粒子表面への水分の
進入が容易であることが好ましい。水不溶性の(D)成
分としては例えば、脂肪酸、高級アルコール、硬化油等
が挙げられ、水溶性の(D)成分としては例えば、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル及びそれらの誘導体、
ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロ
リドン、水溶性セルロース誘導体(これらの誘導体とし
ては、エーテル化合物等が挙げられる)、カルボン酸系
ポリマー、澱粉、糖類等が挙げられる。高速溶解性及び
低発塵性の観点からはポリエチレングリコール及びその
誘導体が好ましい。ポリエチレングリコールは分子量3
000〜30000のものが好ましく、5000〜15
000のものがより好ましい。
【0026】又、酵素粒子凝集体には、前記酵素粒子及
び(D)成分以外に、必要に応じてその他の物質が含ま
れていてもよい。酵素粒子凝集体に含まれるその他物質
としては酵素粒子凝集体の高速溶解性を損なわないもの
であれば特に限定はされず、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。例えば嵩密度の調整の為に塩化ナトリウ
ム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、芒硝等を配合
することができる。
【0027】7.酵素粒子の製法 酵素粒子の製法は、酵素粒子の圧密化による溶解性の低
下を防ぐために、例えば(A)成分、(B)成分及び
(C)成分を含むスラリーを乾燥させて製造する方法が
好ましい。また、酵素粒子の内部よりも表面近傍に
(B)成分が多く存在する構造の粒子を得るためには、
例えば、上記スラリーを乾燥させて粒子を製造した後、
該粒子表面に(B)成分を表面被覆する方法や上記スラ
リーを噴霧乾燥する方法等が挙げられる。特に、加熱乾
燥の際、水の移動と共に表面近傍に(B)成分が多く集
まるため、容易に上記構造の粒子を得ることができる噴
霧乾燥法が好ましい。
【0028】噴霧乾燥法によって本発明の酵素粒子を製
造する場合、まず、各成分を含有するスラリーを調製す
る。得られる酵素粒子の各成分の含有量は、スラリーの
固形分中の各成分の含有量に対応した値となる。本明細
書において「固形分」とは、(A)成分、(B)成分、
(C)成分及びその他の水溶性物質をいう。また、スラ
リー調製のための分散媒は、通常、水が用いられる。噴
霧乾燥のためのスラリーの固形分含有量を高めること
は、得られる酵素粒子の発塵性を低減することができる
ため好ましい。高速溶解性と低発塵との両立を考える
と、スラリーの固形分含有量は40重量%以上が好まし
く、50重量%以上がより好ましい。また、スラリー噴
霧の容易さからは、該固形分含有量は60重量%以下が
好ましい。従って、スラリーの固形分含有量は40〜6
0重量%が好ましく、50〜60重量%がより好まし
い。
【0029】噴霧乾燥スラリーを調製する場合の(A)
成分、(B)成分、(C)成分の配合順序は特に限定は
されないが、スラリー配合調製、発塵性の観点から最適
な順序があり、その順序に関しては配合物の物性によっ
て異なるため、適宜最適化を行うことができる。例えば
(A)成分にゼオライト、(B)成分にポリアクリル酸
ナトリウムと糖類、賦形剤として芒硝を用いた場合に
は、酵素、芒硝、糖類、ゼオライト、ポリアクリル酸ナ
トリウムの順で配合するのが好ましい。調製されたスラ
リーを噴霧乾燥装置に供給する。供給時のスラリーの温
度については、実質的に酵素が失活しない温度であるの
が好ましい。酵素の安定性及びスラリーの製造し易さの
観点から10〜40℃が好ましく、20〜30℃がより
好ましい。噴霧乾燥時の送風温度は120〜220℃が
好ましく、140〜180℃がより好ましい。この温度
範囲で噴霧乾燥を行うことは、生産性が良好となり、実
質的に酵素が失活しないため好ましい。
【0030】8.酵素粒子凝集体の製法 酵素粒子凝集体の製法としては、該酵素粒子に水又は
(D)成分を含有する水溶液を添加し、乾燥及び/又は
冷却することにより酵素粒子凝集体を得る方法(1)
や、該酵素粒子に溶融した熱可塑性の(D)成分を添加
し、冷却させることにより酵素粒子凝集体を得る方法
(2)等がある。高速溶解性及び生産性の観点からは方
法(1)が好ましい。
【0031】方法(1)のうち、水を添加する方法とし
て、(イ)酵素粒子を乾燥しつつ、水を噴霧することに
より、酵素粒子表面の(B)成分を一部溶解させ付着凝
集させた後、更に乾燥する方法、(ロ)スラリーを噴霧
乾燥することにより酵素粒子を製造する場合、水分含有
量10重量%以上で酵素粒子の乾燥を止め、その後、静
置或いは流動等により酵素粒子表面の(B)成分を一部
溶解させ付着凝集させた後に乾燥する方法、等が有る。
方法(1)のうち、(D)成分を含有する水溶液を添加
する方法としては(ハ)酵素粒子を乾燥しつつ、(D)
成分を水溶液として噴霧することにより、水溶液により
一部溶解した酵素粒子表面の(B)成分と噴霧した
(D)成分とにより付着凝集させた後、更に乾燥及び/
又は冷却する方法、等が有る。発塵抑制及び粒径制御の
観点から(ハ)の方法が好ましい。方法(2)として
は、(ニ)酵素粒子を流動しつつ、溶融した熱可塑性の
(D)成分を噴霧し、酵素粒子表面に付着させた後、冷
却によって(D)成分を固化させて凝集させる方法等が
有る。
【0032】凝集操作としては、酵素粒子が圧密化を抑
制しつつ付着凝集される方法であれば、特に規定はされ
ないが、例えば静置による方法や流動による方法があ
る。このうち、粒径制御及び生産性の観点から流動によ
る付着凝集が好ましい。流動化の方法としては例えば、
攪拌転動造粒装置による方法、流動層による方法等があ
るが、粒径制御の観点からは流動層による方法が好まし
い。従って、酵素粒子凝集体の製法としては、発塵抑
制、粒径制御及び生産性の観点から、酵素粒子を流動乾
燥しつつ、(D)成分を水溶液として噴霧することによ
り、水溶液により一部溶解した酵素粒子表面の(B)成
分と噴霧した(D)成分により付着凝集させた後、更に
乾燥する方法が好ましく、発塵抑制及び粒径制御の観点
から、酵素粒子を流動層を用いて流動乾燥しつつ、
(D)成分を水溶液として噴霧することにより、水溶液
により一部溶解した酵素粒子表面の(B)成分と噴霧し
た(D)成分により付着凝集させた後、更に乾燥する方
法がより好ましい。
【0033】酵素粒子凝集体を上記方法(1)で製造す
る場合、乾燥温度は酵素が実質的に失活しない温度であ
れば特に規定はされないが、生産性の観点からは乾燥温
度は高い方がよく、30℃以上が好ましく50℃以上が
より好ましい。一方、酵素活性の観点から、乾燥温度は
低い方がよく、100℃以下が好ましく、70℃以下が
より好ましい。従って、生産性と酵素活性の観点から、
30〜100℃が好ましく、50〜70℃がより好まし
い。また、酵素粒子凝集体を上記方法(1)で製造する
際、(D)成分としてポリエチレングリコール等の熱可
塑性物質を選んだ場合、装置内部への付着を抑制する観
点から、(D)成分が溶融する温度以下で乾燥を行うこ
とが好ましい。酵素粒子の凝集に用いられる(D)成分
としては前述6項記載のものが挙げられる。また、添加
する(D)成分の量は特に規定されず、(B)成分を用
いる場合等には添加しなくてもよい。(D)成分を添加
する場合、高速溶解性の観点から酵素粒子凝集体の20
重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好まし
く、5重量%以下が特に好ましい。一方、低発塵性の観
点からは1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより
好ましい。従って、高速溶解性及び低発塵性の観点から
該添加量は酵素粒子凝集体の1〜20重量%が好まし
く、1〜10重量%がより好ましく、3〜5重量%が更
に好ましい。また、(D)成分を水溶液の形で用いる場
合、(D)成分は水溶性でも水不溶性でもよいが、酵素
粒子への分散性の観点からは(D)成分が溶解もしくは
均一分散していることが好ましい。その(D)成分の濃
度は、酵素粒子への分散性の観点から5〜60重量%が
好ましく、10〜50重量%がより好ましい。
【0034】9.酵素粒子凝集体の着色 酵素粒子凝集体は着色されてもよい。酵素粒子凝集体以
外の成分や粒子への色移りや、衣料等への染着性を抑制
する観点から、顔料よりも染料を用いることが好まし
い。染料による着色方法としては、例えば、染料を分散
させた(D)成分を用いて付着凝集を行い着色酵素粒子
凝集体を得る方法、酵素粒子に流動乾燥を行いつつ、染
料及び(D)成分を分散させた水溶液を噴霧して被覆し
着色酵素粒子凝集体を得る方法、及び(A)成分、
(B)成分及び(C)成分を含むスラリーを乾燥させて
酵素粒子を製造する方法において、スラリー中に染料を
配合して酵素粒子を着色し、着色酵素粒子凝集体を得る
方法等が挙げられ、染料を配合したスラリーを乾燥して
酵素粒子を着色し、着色酵素粒子凝集体を得る方法が好
ましい。この方法では、染料をスラリー中に配合するた
め、スラリー中で染料を容易に均一に分散させることが
でき、その結果、染料の着色性が高い粒子を得ることが
できる。染料を含有するスラリーを実質的に酵素が失活
しない温度で噴霧乾燥させて酵素粒子を着色し、着色酵
素粒子凝集体を得る方法が特に好ましい。このことによ
り、得られる酵素粒子及び酵素粒子凝集体が、その表面
近傍に水溶性バインダーや染料が多く存在する構造を有
することとなる。従って、この方法により酵素粒子凝集
体以外の成分や粒子への色移りが抑えられ、着色性の更
に良好な酵素粒子凝集体を得ることができる。
【0035】使用する染料については、水に対する溶解
性の高い物質であれば特に限定されない。かかる染料は
いずれのものでもよいが、噴霧乾燥等の加熱を必要とす
る製法に使用される場合には熱に対する安定性が高い方
が好ましい。染料としては赤色106号、赤色227
号、青色1号、青色2号、緑色3号、黄色203号等を
用いることができる。染料の配合量については、着色性
の観点から酵素粒子に対して0.01重量%以上が好ま
しい。また、染料の分散性の観点から、酵素粒子の1.
0重量%以下が好ましく、0.001〜0.5重量%が
より好ましい。また、本発明においては、2種以上の染
料を用いてもよい。2種以上の染料を混合することによ
って、色相の調整が容易に可能である。
【0036】
【実施例】本発明における高速溶解性、低発塵性、平均
粒径、嵩密度、非分級性、染着性については、以下の方
法にて測定される。 〔高速溶解性〕本発明において、高速溶解性を有する酵
素粒子とは、溶出率が70%以上、かつ溶解率が85%
以上の酵素粒子を言う。溶出率は酵素粒子から酵素が溶
出し、その性能を発現するまでの時間に、そして溶解率
は溶け残りの防止の程度にそれぞれ対応する。高速溶解
性を満足する酵素粒子は、酵素が速やかに作用するだけ
でなく、溶け残りもなくなるため、極めて好ましい。
【0037】酵素の溶出率は次のようにして求めた。酵
素粒子100mgを100mLビーカー(内径105m
m)に取り、20℃、硬度4゜DHの水100mLを入
れてマグネチックスターラー(長さ35mm、直径8m
m)(200r.p.m.)で攪拌し、酵素溶液を得
た。この酵素溶液について、式(1)で算出される値を
酵素の溶出率とした。 溶出率(%)=〔A×100〕/B ・・・(1) A:上記攪拌条件にて30秒間攪拌して得られる酵素溶
液の酵素活性値 B:上記攪拌条件にて酵素溶液の酵素活性値を経時的に
測定していった場合に定常となったときの酵素活性値
【0038】尚、酵素活性値の測定方法についてはそれ
ぞれの酵素に適した測定方法を用いればよい。例えば、
セルラーゼの場合、次に示すCMC活性測定法を用いる
ことができる。2.5重量%カルボキシメチルセルロー
ス(CMC)水溶液0.4mL、0.5Mグリシン緩衝
液(pH9.0)0.2mL、及び脱イオン水0.3m
Lからなる基質溶液に、酵素溶液0.1mLを加えて混
合し、該混合液を40℃で20分間保温した。次いで、
次に示す3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法を利
用して還元糖の定量を行った。即ち、保温後の混合液1
mLに対してDNS試薬1mLを加え、5分間、100
℃で加熱した。次いで冷却した後4mLの脱イオン水を
該混合液に加えて希釈した。そして535nmの吸光度
を測定して還元糖を定量した。この条件で測定した場合
において、1分間でグルコース換算で1μmolの還元
糖を遊離させる酵素量を1単位とした。
【0039】また、プロテアーゼの場合、次に示すカゼ
イン法を用いることができる。カゼインを1重量%含む
50mMホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.
0)1mLを0.1mLの酵素溶液と混合し、40℃で
10分間保温した。次いで、この混合液に反応停止液
(0.123Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナト
リウム−0.369M酢酸)2mLを加えて、30℃で
20分間保温した。次いで、この液を濾紙(ワットマン
社製、No.2)を用いて濾過し、濾液中のタンパク質
分解物を改良ファーリンローリー法によって測定した。
この条件で測定した場合において、1分間で1mmol
のチロシンを遊離させる酵素量を1単位とした。
【0040】酵素粒子の溶解率は次のようにして求め
た。5℃、硬度4゜DH の水1Lを1Lビーカー(内
径105mm)に取り、酵素粒子1gを入れてマグネチ
ックスターラー(長さ35mm、直径8mm)(800
r.p.m.)で60秒間攪拌した。得られた水溶液に
ついて、式(2)で算出される値を酵素粒子の溶解率と
した。 溶解率(%)={1−(D/C)}×100 ・・・(2) C:酵素粒子の投入重量(g) D:上記攪拌条件にて得られた水溶液をJIS Z 8
801規定の標準篩(目開き74μm)に供した後、篩
上に残存する酵素粒子の乾燥重量(g) (乾燥条件:105℃の温度下に1時間保持した後、シ
リカゲルを入れたデシケータ(25℃)内で30分間保
持した。)
【0041】〔低発塵性〕本発明における低発塵性と
は、発塵量が1000mg以下のものを言う。この発塵
量は低い値であることが望ましく、500mg以下がよ
り好ましく、100mg以下が更に好ましい。また、発
塵量の基準値は酵素の種類によっても変化する。例え
ば、人体に対する影響の強いプロテアーゼ等の発塵量は
100mg以下が好ましく、20mg以下がより好まし
い。発塵量とは、上方が収束した形状をもつ直径6.0
cmの円筒中に直径2.0cm、重量32.2gの粉砕
ボール1を4個内蔵し、粉砕ボールを回転数44r.
p.m.で回転させつつ、空気導入口3から空気排出口
4に向かって乾燥空気を20L/minで通気して、気
流に同伴される粒子を上方収束部においてフィルター2
で捕集する回転式ダストメータに、酵素粒子20gを入
れ、20分間測定を行ったときの粉塵量とした。フィル
ター2は直径5.0cm、捕集粒径0.5μm、通気速
度5cm/s時の圧力損失が0.42kPaのものを用
いた。測定に用いる回転式ダストメータは特に限定はさ
れないが、図1に示す構造を持つような回転式ダストメ
ータ、例えばホイバッハ社製ダストメーターTYPE.
III を使用することができる。
【0042】〔平均粒径〕平均粒径はJIS Z 88
01の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイ
ズによる重量分率から求めた。
【0043】〔嵩密度〕嵩密度は、JIS K 336
2により規定された方法で測定した。
【0044】〔非分級性〕着色した酵素粒子6gを洗浄
剤組成物(平均粒径400μm、嵩密度750g/L)
594gと混合した後、容器(縦9cm、横15cm、
高さ11cm)に充填したのち、封をしてトラックの荷
台に乗せ1000kmの輸送を行った。その後、開封し
目視によって分級発生の有無を判断した。
【0045】〔染着性〕着色した酵素粒子0.1gを洗
浄剤組成物(平均粒径400μm、嵩密度750g/
L)10gと混合した。、試験布(25cm×16c
m)をバットに広げ、20℃、硬度4゜DHの水をその
試験布が浸る程度までバットに注いだ。次いで、その試
験布上に、さらに別の試験布を重ね、布全体が浸る程度
までさらに水を静かに注いだ。その後室温を30℃に維
持して一晩放置した。試験布の濯ぎを行った後、プレス
乾燥を行った。乾燥した試験布に染着しているかを目視
によって判断した。尚、試験布にはポリエステル及び木
綿を用いた。
【0046】実施例1 表1に示す原料と水から固形分含有量55重量%の噴霧
乾燥スラリーを調製した。加圧式のスプレーノズルを用
いて、噴霧圧2.5MPaで噴霧乾燥スラリーを噴霧し
た。向流式の噴霧乾燥塔(直径3m、塔高10m)に
て、送風量100m3 /min、送風温度150℃、ス
ラリー噴霧量200kg/Hrで噴霧乾燥を行った。得
られた粒子から篩を用いて1410μm以上の粒子を取
り除き、水分値4.2重量%の酵素粒子を得た。この酵
素粒子0.96kgを流動層(底面積0.19m2 、塔
高1m)にて送風量60m3 /Hr、送風温度60℃に
て流動乾燥させつつ、200gの水を15g/minの
速度で粉体層上部から噴霧し、噴霧終了後10分間乾燥
させ、酵素粒子凝集体を得た。尚、表1におけるセルラ
ーゼは、特開平6−343461号公報記載のアルカリ
セルラーゼであり、また、プロテアーゼは、特開平5−
25492号公報記載のアルカリプロテアーゼK−16
である。糖類としてはマルトリッチ(昭和産業(株)
製、MR−25)を用いた。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2 実施例1の酵素粒子0.96kg、流動層(同装置、同
条件)を用い、流動乾燥させつつ、ポリエチレングリコ
ール(分子量6000)40gを160gの水に溶解さ
せた水溶液を15g/minの速度で粉体層上部から噴
霧し、噴霧終了後10分間乾燥させた後常温まで冷却
し、酵素粒子凝集体を得た。
【0049】実施例3 実施例1の酵素粒子0.96kg、流動層(同装置、同
条件)を用い、流動させつつ、ポリエチレングリコール
(分子量6000)40gを80℃に昇温し溶融状態と
なった液を3g/minの速度で粉体層上部から噴霧
し、噴霧終了後常温まで冷却し、酵素粒子凝集体を得
た。
【0050】実施例4 表1に示す原料と水から固形分含有量50重量%の噴霧
乾燥スラリーを調製した。スラリー噴霧量を180kg
/Hrとし、それ以外の条件については実施例1と同条
件にて噴霧乾燥を行った。次いで、篩を用いて1410
μm以上の粒子を取り除き、水分値4.5重量%の酵素
粒子を得た。得られた酵素粒子0.95kgを流動層
(底面積0.19m2 、塔高1m)にて送風量60m3
/Hr、送風温度60℃にて流動乾燥させつつ、ポリエ
チレングリコール(分子量6000)50gを117g
の水に溶解させた水溶液を10g/minの速度で粉体
層下部から噴霧し、噴霧終了後10分間乾燥させ、酵素
粒子凝集体を得た。
【0051】実施例5 表1に示す原料と水から固形分含有量45重量%の噴霧
乾燥スラリーを調製した。スラリー噴霧量を160kg
/Hrとし、それ以外の条件については実施例1と同条
件にて噴霧乾燥を行った。次いで、篩を用いて1410
μm以上の粒子を取り除き、水分値3.4重量%の酵素
粒子を得た。得られた酵素粒子0.95kgを流動層
(底面積0.19m2 、塔高1m)にて送風量60m3
/Hr、送風温度60℃にて流動乾燥させつつ、ポリエ
チレングリコール(分子量6000)50gを200g
の水に溶解させた水溶液を15g/minの速度で粉体
層上部から噴霧し、噴霧終了後10分間乾燥させ、酵素
粒子凝集体を得た。
【0052】実施例6 表1に示す原料と水から固形分含有量55重量%の噴霧
乾燥スラリーを調製し、実施例1と同条件にて噴霧乾燥
を行った。次いで、篩を用いて1410μm以上の粒子
を取り除き、水分値4.3重量%の酵素粒子を得た。得
られた酵素粒子0.95kgを流動層(底面積0.19
2 、塔高1m)にて送風量60m3 /Hr、送風温度
60℃にて流動乾燥させつつ、ポリエチレングリコール
(分子量6000)50gを117gの水に溶解させた
水溶液を10g/minの速度で粉体層下部から噴霧
し、噴霧終了後10分間乾燥させ、酵素粒子凝集体を得
た。
【0053】実施例1〜6において得られた酵素粒子凝
集体の溶出率、溶解率、平均粒径、嵩密度、発塵量、非
分級性を表2に示す。本発明品は、高速溶解性、発塵量
抑制、非分級性に優れた酵素粒子凝集体であった。これ
らの酵素粒子を前出のFT−IR/PASによって測定
したところ、すべての酵素粒子においてその内部より表
面近傍に(B)成分が多く存在するという偏在性が確認
された。実施例4のFT−IR/PASによる測定結果
を図2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】実施例7 実施例2の組成においてスラリー中の固形分100重量
部に対して、染料の青色1号を0.1重量部、スラリー
調製時に配合してスラリーを得た。該スラリーを実施例
2と同条件にて噴霧乾燥及び凝集操作を行い、青色に均
一に着色された酵素粒子凝集体を得た。得られた酵素粒
子凝集体の溶出率、溶解率、平均粒径、嵩密度、発塵
量、非分級性は、実施例2における酵素粒子凝集体のそ
れらとほぼ同じであった。この酵素粒子には染着性は見
られなかった。また、酵素粒子凝集体を洗剤組成物中に
配合して色移りを調べたところ、この酵素粒子凝集体に
は色移りも見られなかった。
【0056】比較例1 実施例1にて得られた凝集前の酵素粒子の溶出率、溶解
率、平均粒径、嵩密度、発塵量、非分級性を表2に示
す。
【0057】比較例2 実施例4にて得られた凝集前の酵素粒子の溶出率、溶解
率、平均粒径、嵩密度、発塵量、非分級性を表2に示
す。
【0058】比較例3 実施例5にて得られた凝集前の酵素粒子の溶出率、溶解
率、平均粒径、嵩密度、発塵量、非分級性を表2に示
す。
【0059】比較例4 実施例6にて得られた凝集前の酵素粒子の溶出率、溶解
率、平均粒径、嵩密度、発塵量、非分級性を表2に示
す。
【0060】
【発明の効果】本発明により、高速溶解性、発塵抑制、
非分級性等の効果を有する酵素粒子凝集体が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明において発塵量の測定に用いる
回転式ダストメータの概略構成図である。図1の上図は
正面図を、下図はA−A線断面図をそれぞれ示す。
【図2】図2は、実施例4で得られた酵素粒子のFT−
IR/PASによる測定結果を示す図である。細線はそ
のままの状態の酵素粒子のデータであり、太線は均一に
すりつぶした状態の酵素粒子のデータである。
【符号の説明】
1 粉砕ボール 2 フィルター 3 空気導入口 4 空気排出口 5 回転軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C11D 17/06 C11D 17/06 (72)発明者 山下 博之 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究 所内 (56)参考文献 特開 平3−111497(JP,A) 特開 昭62−257990(JP,A) 特公 昭46−42594(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 1/00 - 19/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性物質及び/又は水難溶性物質
    (A)、水溶性バインダー(B)、及び酵素(C)を含
    有し、且つ内部よりも表面近傍に前記(B)成分が多く
    存在する構造を有する酵素粒子を含有する酵素粒子凝集
    体。
  2. 【請求項2】 平均粒径が150〜2000μmである
    請求項1記載の酵素粒子凝集体。
  3. 【請求項3】 酵素粒子の平均粒径が100〜500μ
    mである請求項1又は2記載の酵素粒子凝集体。
  4. 【請求項4】 染料で着色されてなる請求項1〜3いず
    れか記載の酵素粒子凝集体。
  5. 【請求項5】 酵素粒子が染料で着色されてなる請求項
    1〜4いずれか記載の酵素粒子凝集体。
  6. 【請求項6】 水不溶性物質及び/又は水難溶性物質
    (A)、水溶性バインダー(B)、及び酵素(C)を含
    有し、且つ内部よりも表面近傍に前記(B)成分が多く
    存在する構造を有する酵素粒子に、水若しくはバインダ
    ー水溶液を添加して乾燥及び/又は冷却することによ
    り、又は溶融した熱可塑性バインダーを添加して冷却す
    ることにより酵素粒子凝集体を得る、酵素粒子凝集体の
    製法。
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