JP3395997B2 - 洗剤用酵素造粒物の製造方法 - Google Patents

洗剤用酵素造粒物の製造方法

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JP3395997B2 JP20150394A JP20150394A JP3395997B2 JP 3395997 B2 JP3395997 B2 JP 3395997B2 JP 20150394 A JP20150394 A JP 20150394A JP 20150394 A JP20150394 A JP 20150394A JP 3395997 B2 JP3395997 B2 JP 3395997B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、培養により生成した酵
素が有効に活用でき、製造時の酵素の失活や造粒ロスに
よる酵素のロスが少なく、製造後の保存時の酵素の安定
性が良好で、しかも使用時の分散溶解性が良好な、洗浄
有効成分を含有した洗剤用酵素造粒物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】衣料用
の粉末洗剤には、その洗浄力をより高めるために各種の
酵素が配合されている場合が多い。この酵素は洗剤が使
用される洗濯時に水中に溶解して効果を発揮する。従っ
て粉末洗剤が製造されてから使用にいたるまでの期間、
粉末洗剤中で酵素はできるだけ失活せずに機能を保持し
続けることが必要である。そのためには酵素成分と洗剤
成分あるいは外気との接触をできるだけ最小にしなけれ
ばならない。また安全性の面から、製造時の作業者や使
用時の消費者が酵素との接触をできるだけ避ける必要も
ある。そのために通常、酵素は粉末洗剤に配合する際に
は造粒物として配合されている。
【0003】洗剤配合用酵素の造粒物およびその製造方
法に関しては、菌体から産出された酵素の有効利用、造
粒時や洗剤配合後の失活防止及び造粒物の回収率向上な
どを目的として、従来より種々検討がなされてきた。微
生物の培養により生産された酵素を洗剤配合用酵素造粒
物にするためには、まず培養液から酵素を回収した後に
適宜濃縮乾燥を行い、さらに造粒を行うのが通常であ
る。このとき培養液からの酵素の回収法としては、酵素
を生成した微生物(菌体)を濾過などの方法で培養液か
ら分離除去する方法が一般的である。しかし濾過操作に
は生産された酵素が濾過基剤に付着して菌体分離後に得
られる酵素の収率が低下するという問題がある。
【0004】この問題を解決する方法として、少なくと
も1種類の水溶性高分子と該水溶性高分子と組み合わさ
れて二相分配系を形成する他の物質とから形成される水
性二相分配系を利用して、分相した2相のいずれか一方
へ選択的に酵素を分配させて分離する方法(水性二相分
配法)が知られている。特にこの方法により酵素の分離
濃縮を行って、水溶性高分子が分配される側の相に該酵
素が分配される場合には、酵素を水溶性高分子とともに
分離乾燥して洗剤配合用酵素造粒物に用いるのが効率的
である。
【0005】しかしながら水溶性高分子と混合状態にあ
る酵素を何等の添加剤も加えることなく造粒物にしよう
とした場合には、水溶性高分子の粘着性の高さや吸湿性
の問題から良好な造粒物を得ることが難しい。また水溶
性高分子は水と接触した際にゲル状になり、酵素の水中
への分散溶解を妨げることも起こり得る。これらの問題
への対応手段として造粒時に添加剤を用いることが必要
となる。
【0006】造粒時の添加剤については、従来より多く
の検討が行われてきている。そして、最も一般的な造粒
添加剤である水溶性無機塩の使用以外にも、特開昭60
−262900号公報に記載のある硫酸カルシウムや炭
酸カルシウムなどの難溶性塩の使用や、特開昭53−6
484号公報に記載のあるセルロースあるいは特開昭6
1−92570号公報に記載のある合成繊維といった繊
維状フィラーの使用などが検討されている。しかしなが
らこれらの成分は、洗剤用酵素造粒物の成分として考え
た場合に洗浄機能への寄与が期待できず、逆に洗浄阻害
作用が考えられるものもある。
【0007】酵素造粒物の成分として、洗浄時に機能す
る洗浄ビルダー成分を使用することに関しては、例えば
特開昭60−37983号公報、特開昭58−1794
92号公報にアルミノ珪酸塩(ゼオライト)を酵素造粒
物に使用することが記載されている。
【0008】これらの記載については、特開昭60−3
7983号公報はゼオライト等を核剤とし、酵素を含有
する液をそれに噴霧しつつ球形造粒し、ゼオライトを含
有するバインダー溶液を噴霧して表面を被覆する方法で
あり、特開昭58−179492号公報は粒剤の中心核
材の材料としてゼオライトを用いるものであり、10〜
30メッシュ程度の粒径が好ましいとしている。これら
はいずれもアルミノ珪酸塩を造粒物粒子の核としてある
いは表面に極在化させて使用することについての記載で
あり、アルミノ珪酸塩を造粒物中で実質的に酵素成分と
均質に混合させて、造粒物の造粒性及び酵素の安定性に
寄与させることに関する記載はない。
【0009】また、造粒時に用いるバインダーについて
は、前述の特許公開公報の他に特開昭57−16549
2号公報や特開昭60−37983号公報などの酵素造
粒物に関する検討において、水溶液あるいは他の溶媒に
よる溶液の形で用いられており、湿式造粒法で行われる
場合が多い。この場合、粒子の強度を高めて発塵を防ぐ
とともに保存時の酵素の安定性を高めるために乾燥工程
が必須となる。しかし乾燥を行うことにより、酵素造粒
物はどうしても高温にさらされるために酵素の失活を招
き易い。
【0010】従って本発明は、培養液からの酵素の分離
回収率が高く、酵素造粒物中の酵素以外の成分が洗浄力
の向上に寄与し、しかも造粒時及び保存時の酵素安定性
が良好な洗剤用酵素造粒物の製造方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、洗剤用酵素
とアルミノ珪酸塩を水溶性有機バインダーを用いて酵素
造粒物を製造するにあたり、水溶性有機バインダーを分
配基剤とする水性二相分配法により洗剤用酵素を水溶性
有機バインダー中で濃縮し、それを分離乾燥して得られ
る水溶性有機バインダーを有する酵素含有混合物を用い
て、押出造粒法により乾式造粒を行うことで、培養液か
らの酵素の分離回収率が高く、製造時の酵素の失活が少
なく、造粒物の酵素回収率が高く、製造後の保存時の酵
素の安定性が良好で、しかも使用時の分散溶解性が良好
な、洗浄有効成分を含有した洗剤用酵素造粒物を得るこ
とができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明の要旨は、 (1) 少なくとも洗剤用酵素、アルミノ珪酸塩、およ
び1種又は2種以上の水溶性有機バインダーを用いて乾
式造粒法により酵素造粒物を製造するにあたり、水溶性
有機バインダーを分配基剤とする水性二相分配法により
調製される水溶性有機バインダーを有する酵素含有混合
物を用いて、造粒時の造粒物の温度を40〜90℃に保
持して押出造粒を行い、造粒物中のアルミノ珪酸塩含有
量が5〜80重量%であって、該造粒物中で酵素成分が
アルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在する洗剤用酵素造
粒物を得ることを特徴とする、洗剤用酵素造粒物の製造
方法、 (2) 造粒物中にアルカリ金属あるいはアルカリ土類
金属の硫酸塩、炭酸塩、および塩酸塩からなる群より選
ばれる1種あるいは2種以上の無機塩をさらに含有する
前記(1)記載の製造方法、 (3) アルミノ珪酸塩が式(1)で示される結晶性ア
ルミノ珪酸塩である前記(1)又は(2)記載の製造方
法、 x(M2 O)・Al2 3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1) (式中、Mはナトリウム,カリウム等のアルカリ金属原
子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦
1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数であ
る) (4) アルミノ珪酸塩が式(2)で示される無定形ア
ルミノ珪酸塩である前記(1)又は(2)記載の製造方
法、 x’(M2 O)・Al2 3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2) (式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、
x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦
x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む
任意の正数である) (5) 分配基剤としての水溶性有機バインダーが、デ
キストラン、ポリエチレングリコールおよびその誘導体
並びにメチルセルロースからなる群より選ばれる1種あ
るいは2種以上である前記(1)〜(4)いずれかに記
載の製造方法、 (6) 次の(a)〜(c) (a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよ
びその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
レン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、
(b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活
性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン
酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の
水溶性有機バインダーを造粒時に添加することを特徴と
する前記(1)〜(5)いずれかに記載の製造方法、に
関する。
【0013】本発明の製造方法において用いられる洗剤
用酵素としては、洗剤へ配合して効果を発揮する酵素で
あれば特に制限されないが、リパーゼ、セルラーゼ、プ
ロテアーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、およびデキス
トラナーゼから選ばれる1種または2種以上が好ましく
用いられる。なかでもリパーゼ、セルラーゼ、プロテア
ーゼ、アミラーゼがより好ましい。造粒物中の酵素の含
有量は特に制限はないが、洗剤に配合して使用する際の
効果から考えて一般には0.01〜30重量%が好まし
く、より好ましくは1〜30重量%である。
【0014】本発明の造粒時に配合する酵素の形態とし
ては、少なくとも1種類の水溶性高分子と、該水溶性高
分子と組み合わされて二相分配系を形成する他の物質と
から形成される水性二相分配系を利用して精製され、そ
のまま水溶性高分子と混合状態で固形化あるいは粉末化
された酵素が挙げられる。即ち、本発明では、水溶性有
機バインダーを分配基剤とする水性二相分配法により洗
剤用酵素を水溶性有機バインダー中で濃縮し、それを分
離乾燥して得られる水溶性有機バインダーを有する酵素
含有混合物(以下、単に「酵素含有混合物」という場合
がある)を用いて造粒を行う。
【0015】水性二相分配法とは、一般に2種の水溶性
高分子の混合溶液、水溶性高分子と水溶性無機塩の混合
溶液、水溶性高分子と水溶性有機塩の混合溶液が二相に
分離する現象に基づいて、この二相間での酵素の分配を
利用した酵素の分離精製法である。用いられる水溶性高
分子としては、デキストラン、ポリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール硫酸などのポリエチレング
リコール誘導体、メチルセルロース等が挙げられ、水溶
性無機塩としては硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩
化ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられ、水溶性
有機塩としてはクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0016】これらの水溶性高分子、水溶性有機塩は本
発明において水溶性有機バインダーとして作用し、水溶
性無機塩は増量剤として用いることができる。このよう
に本発明で用いる分配基剤としての水溶性有機バインダ
ーは、前記の水溶性高分子、水溶性有機塩の中から選ば
れるが、なかでもデキストラン、ポリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール硫酸などのポリエチレング
リコール誘導体、メチルセルロース等が好適である。ま
た本発明では、前記の酵素含有混合物中に水溶性有機バ
インダーが含まれているため、造粒時に更に水溶性有機
バインダーを用いなくても洗剤用酵素造粒物を得ること
ができる。また、造粒性をコントロールしてより良い造
粒物を得るため、酵素含有混合物中に含まれる水溶性有
機バインダーと同一もしくは異なる水溶性有機バインダ
ーを造粒時に更に添加して、バインダー成分の量を増や
してもよい。
【0017】この水性二相分配法により精製され、水溶
性高分子(即ち、水溶性有機バインダー)を含有する相
に分配精製された酵素は、乾燥し造粒された後の造粒物
中では水溶性高分子相の内部に包含された状態になり酵
素が保護されて安定性がより向上する。そのため通常は
酵素造粒物は外部表面をワックス、高分子物質等でコー
ティングして安定性を維持するが、水性二相分配の水溶
性高分子相に分配され高分子と共に乾燥・造粒された酵
素の場合にはコーティングの無い場合にも造粒物の安定
性が維持される。また水性二相分配法による酵素の分離
精製は通常用いられる限外濾過法や逆浸透法、遠心分離
法などの方法に比べて酵素に対する影響がマイルドで酵
素の歩留まりも良いので、酵素を効率よく造粒物にする
ことができる。このように水性二相分配法により調製さ
れた酵素含有混合物を用いて本発明の造粒法で造粒すれ
ば、発酵から造粒までの全工程を通しての酵素の全体回
収率がよく、さらに安定性も良好な洗剤用酵素造粒物を
製造することができる。
【0018】以上のような酵素含有混合物には、洗剤用
酵素100重量部に対して通常50〜500重量部、好
ましくは70〜300重量部の水溶性有機バインダーが
含まれている。
【0019】本発明の製造方法において用いられるアル
ミノ珪酸塩としては、次のような結晶性アルミノ珪酸塩
および/または無定形アルミノ珪酸塩が挙げられる。次
の式(1)で示される結晶性アルミノ珪酸塩 x(M2 O)・Al2 3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1) (式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原
子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦
1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数であ
る)
【0020】特に洗浄への寄与性能から次の一般式で示
されるものが特に好ましい。 Na2 O・Al2 3 ・aSiO2 ・bH2 O (式中、aは1.8〜3.0、bは1〜7を表す)
【0021】次の式(2)で示される無定形アルミノ珪
酸塩 x’(M2 O)・Al2 3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2) (式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、
x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦
x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む
任意の正数である)
【0022】特に洗浄への寄与性能と造粒性改善効果か
ら、次の一般式で示されるものが特に好ましい。 Na2 O・Al2 3 ・a’SiO2 ・b’H2 O (式中、a’は1.9〜4.1、b’は1〜7を表す)
【0023】造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は5〜
80重量%が適当であるが、好ましくは10〜70重量
%、更に好ましくは20〜60重量%である。アルミノ
珪酸塩の含有量がこの範囲より少ないと、造粒時及び保
存時の酵素安定効果が発現しにくい傾向がある。またこ
の範囲を超えると、バインダーが過剰に必要となるため
造粒物中に配合可能な酵素量が低減する傾向があるので
好ましくない。
【0024】このようなアルミノ珪酸塩は、一次粒子の
平均粒子径が20μm以下のものが好ましく、さらに好
ましくは10μm以下、特に好ましくは0.1〜5μm
のものが好ましい。平均粒子径がこの範囲を越えると造
粒が良好に行いにくくなる傾向がある。また洗浄時に衣
類等に付着残留して不都合を生じ易い。ここでアルミノ
珪酸塩の一次粒子の平均粒子径は、光散乱を利用した方
法、例えばパーティクルサイズアナライザー(堀場製作
所(株)製)により、また顕微鏡観察による測定等で測
定される。
【0025】本発明において、酵素含有混合物に更に水
溶性有機バインダーを添加して造粒する場合、好適に用
いられる水溶性有機バインダーとしては、次の(a)〜
(c) (a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよ
びその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
レン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、
(b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活
性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン
酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上が
挙げられる。
【0026】特に好ましい水溶性有機バインダーとして
は、(a)のポリエチレングリコールおよびその誘導体
として、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール硫酸、メトキシポリエチレングリコール等が挙げら
れ、(b)の非イオン界面活性剤としてはポリオキシエ
チレンアルキルエーテル等が挙げられ、(c)のポリカ
ルボン酸塩としてはポリアクリル酸、アクリル酸マレイ
ン酸共重合体、ポリアセタールカルボキシレート等のア
ルカリ金属塩が挙げられる。
【0027】また特にこれらの水溶性有機バインダー
は、洗剤に使用される成分でもあるので有用である。通
常の水溶性有機バインダーの使用量は、バインダー毎に
性質の相違があるので一概にはいえないが、得られる酵
素造粒物の酵素活性をできるだけ高めるためにはできる
だけ少量でバインダー効果が発現するのが一般には好ま
しい。そのため、これらの水溶性有機バインダーは、前
記の酵素含有混合物中に含まれるものを含め、洗剤用酵
素造粒物中、通常5〜50重量%、好ましくは10〜3
0重量%含有される。
【0028】本発明においては、さらに必要に応じて粉
末状の増量剤を添加することができる。増量剤としては
アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸
塩、塩酸塩からなる群より選ばれる1種あるいは2種以
上の無機塩が用いられる。即ち、なかでも硫酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の水溶性無機ア
ルカリ金属塩が洗浄への影響等を考えると好ましいが、
本発明においてはアルミノ珪酸塩を用いるためカルシウ
ムイオンやマグネシウムイオン等を捕捉して洗浄への影
響を防止でき、さらに水溶性有機バインダーにはポリエ
チレングリコール、非イオン界面活性剤、ポリカルボン
酸塩など分散剤としての効果を有する物も多いので、カ
ルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の硫酸
塩、炭酸塩、塩酸塩等も酵素の安定性向上効果を有して
おり使用可能である。同様の理由で水不溶性物質も使用
可能である。また増量剤としては一種類の増量剤のみな
らず2種以上の増量剤を組み合わせて使用してもかまわ
ない。増量剤の使用量に特に制限はないが、好ましくは
70重量%以下である。
【0029】本発明における乾式造粒法は、洗剤用酵素
造粒物を製造するに際し前記のような酵素含有混合物を
用い、アルミノ珪酸塩を造粒添加剤として使用して押出
造粒を行い、得られる酵素造粒物中の酵素成分がアルミ
ノ珪酸塩と実質的に均質に存在するものを製造するとこ
ろに特徴がある。ここで「実質的に均質」とは、例えば
200μmから2000μmの大きさの酵素造粒物の場
合に、酵素成分とアルミノ珪酸塩が、数μmから数十μ
mの大きさをそれぞれの構成単位としてランダムに入り
交じった状態の相が観察され、さらにこの相が増量剤を
取り巻く形で酵素造粒物を形成していることをいう。従
って、酵素造粒物の外部表面の色相を白色化するための
着色顔料としてアルミノ珪酸塩を造粒物の外部表面のみ
に存在させる場合などは、本発明にいう「実質的に均
質」の範囲には含まれない。但し、造粒物の断面を走査
型電子顕微鏡等で観察した場合には、アルミノ珪酸塩や
その他の無機成分の存在が明確に確認できるのに対し
て、酵素成分や水溶性有機バインダー成分などの有機物
は可塑性を有する場合が多く、無機成分の周りを取り巻
く形となる為に存在する大きさが確認しがたい場合もあ
る。
【0030】造粒時の添加剤としてアルミノ珪酸塩を使
用することにより、押出造粒時やその後の解砕処理ある
いはコーティング処理等の処理時においては、アルミノ
珪酸塩を使用せずに水溶性無機塩や難溶性塩あるいは繊
維状フィラーを使用した場合に比べて、造粒物の付着性
が制御されて、機器への造粒物の付着や造粒物の再結合
による粗大粒子の発生による収率の低下や、付着除去の
必要による作業性の低下を避けることができる。またア
ルミノ珪酸塩はその分子構造中に持つ結晶水を温度によ
り脱離させたり吸収したりすることができるために、造
粒時及び造粒物形成後の造粒物内において湿度コントロ
ール剤としての役目を果たし酵素の失活を抑制する効果
がある。
【0031】一方、洗剤使用時において、アルミノ珪酸
塩としては特にイオン交換能を有する物が好適であり、
イオン交換能を有することにより酵素の失活をまねく重
金属イオンを捕捉して酵素の失活を抑制する効果を合わ
せ持つ。さらにアルミノ珪酸塩は水不溶性にもかかわら
ず水中での分散性が良好なため、アルミノ珪酸塩を用い
た酵素造粒物の分散溶解性は良好である。
【0032】本発明において乾式押出造粒を行う温度と
しては、造粒時の造粒物の温度を通常40〜90℃、好
ましくは50〜80℃に保持して行うのが好ましい。こ
の範囲より高温では酵素の失活が避け得ず酵素活性の低
下をまねく傾向がある。また、この範囲より低温では本
発明のような水や溶媒などを用いない乾式押出造粒で
は、水溶性有機バインダーのバインダー効果つまり粘着
性の発現が不十分となる傾向があるために良好な造粒が
行えない。
【0033】特に本発明の水溶性有機バインダーとして
好適な、前記(a)の融点が35℃以上のポリエチレン
グリコール及びその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリ
オキシプロピレン共重合体から選ばれる水溶性高分子、
前記(b)の融点或いは流動点が35℃以上の非イオン
界面活性剤を用いる場合には、バインダーを流動化し粘
着性を発現させるために40℃以上の造粒温度に保って
造粒を行うことが重要である。
【0034】またこれらとは別の好適な水溶性有機バイ
ンダーである前記(c)の平均分子量が4000以上の
ポリカルボン酸塩を用いる場合にも、40℃以上の造粒
温度を保って造粒を行うことが重要である。この場合に
は、40℃以上でアルミノ珪酸塩の結晶水や酵素の付着
水が一部脱離してポリカルボン酸塩と作用して粘着性を
発現させるためである。以上のように本発明における乾
式造粒においては、造粒温度が重要な因子となる。
【0035】本発明の製造方法によって得られる造粒物
には、造粒物の白色度を向上させるために、更に二酸化
チタン、タルク、シリカ、クレー等を添加することがで
きる。また色素や染料を配合して酵素造粒物を着色する
ことも任意である。さらに培養に由来する有臭成分を吸
着させるために合成ヘクトライトやセピオライト等を添
加することもできる。これらの成分は造粒前に予め酵素
に添加しておいても、あるいは本発明の造粒工程で添加
しても差し支えない。
【0036】本発明において乾式造粒に使用される押出
造粒機は、公知の押出造粒機が使用可能であるが、特に
横押出式スクリュー型(ペレッターダブル、ファインリ
ューザー;不二パウダル(株)製)、バスケット式ブレ
ード型(バスケットリューザー;不二パウダル(株)
製)、ギヤー式、シリンダー式の押出造粒機が好適であ
る。
【0037】本発明の製造方法においては、リボンミキ
サー(不二パウダル(株)製)、ナウターミキサー(ホ
ソカワミクロン(株)製)、ハイスピードミキサー(深
江工業(株)製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)
製)などのバッチ式あるいはコンピックスミキサー(三
井三池化工機(株)製)、タービュライザ(ホソカワミ
クロン(株)製)などの連続式の公知の混合機の槽内
に、酵素含有混合物、アルミノ珪酸塩、及び必要に応じ
て水溶性有機バインダー、増量剤やその他の成分を投入
し、該混合機のジャケットに温水等の加熱媒体を流した
り、あるいは槽内に温風を吹き込む等の方法で混合しな
がら造粒原料を昇温する。そして40℃以上になったと
ころで押出造粒機に投入して造粒を行う。造粒に最適な
温度は、酵素の種類や量、水溶性有機バインダーの種類
や量、アルミノ珪酸塩の量などの造粒物の組成により異
なる。但し、90℃を越えるとアルミノ珪酸塩からの脱
離水の増加による酵素の失活や押出後の再合一による塊
状化により造粒物の収率が低下する。
【0038】本発明の製造方法によって得られる造粒物
は、必要に応じてマルメライザー(不二パウダル(株)
製)にかけて、形状をより球形に近づけることができ
る。その際にマルメプレート及びケーシング内壁や造粒
物の温度は押出造粒時の造粒物の温度の±10℃以内に
保持して処理することが望ましい。
【0039】また、造粒物の長さを揃えるために解砕機
にかけて粒度分布をシャープにすることもできる。その
際に使用可能な解砕機としては、スピードミル(岡田精
工(株)製)、フラッシュミル(不二パウダル(株)
製)、フィッツミル(ホソカワミクロン(株)製)など
のスクリーンを有する衝撃式破砕機が挙げられる。
【0040】また、発塵の防止や色相の改善等の必要に
応じてポリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル誘導体、非イオン界面活性剤などの熱溶融ワックス性
物質やシェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール等のフィルム形成性物質を用
いてコーティングすることもできる。熱溶融ワックス性
物質を用いる場合は、融点あるいは流動点が35℃以上
の物質を用いることが好ましい。コーティング方法とし
ては、熱溶融性物質の場合は造粒終了後に造粒物を前記
の造粒原料の混合に使用する場合に例示した混合機を用
いて、造粒物の温度をコーティング剤の融点あるいは流
動点以上に保持したところにコーティング剤を投入し攪
拌しながら徐冷してコーティングする方法や、ハイコー
ター(フロイント産業(株))やドリアコーター
((株)パウレック)等の湿式パンコーティング装置あ
るいは液スプレーと加熱冷却が可能な流動層装置を用い
てフィルム形成性物質やワックス性物質を含有する水溶
液あるいは溶媒溶液を造粒物にスプレーしながら乾燥す
る方法や、さらに特開平3−111497号公報に記載
のあるようなコーティング剤溶液中にさらに微粒子を分
散させたコーティング剤を湿式コーティングして色相や
溶解性を改善する方法を用いることもできる。この際の
コーティング剤の量としては、造粒物100重量部に対
してコーティング剤固形分が0.5〜5重量部が好まし
い。
【0041】また造粒物の流動性、色相、保存安定性を
改善する目的で、本発明の製造方法によって得られた造
粒物や、さらにコーティングを施した造粒物に対して、
一次粒子の平均粒子径が20μm以下の微粉末を添加混
合して外表面に付着させることができる。例えば白色度
向上や流動性改善にはアルミノ珪酸塩、二酸化チタン、
シリカ、炭酸カルシウムなどが好ましく、安定性向上に
はステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸や二酸化チタ
ンなどが好ましい。添加量としては造粒後の造粒物ある
いはコーティング後の造粒物100重量部に対して3〜
15重量部が好ましい。添加方法としては、通常の粉体
混合機に造粒物と微粉末を投入して混合を行う他に、コ
ーティング終了後にコーティング装置内に造粒物を保持
したまま微粉末をコーティング装置に投入し混合する方
法もある。
【0042】
【実施例】以下に、本発明の実施例を述べ、本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0043】〈造粒原料用酵素含有混合物の調製〉バチ
ルス属に属する菌より培養採取されたアルカリプロテア
ーゼの水溶液10000gに融点が53℃の粉末ポリエ
チレングリコール4000(PEG4000)1400
gと硫酸ナトリウム1400gを添加して水性二相分配
を行った。その結果、アルカリプロテアーゼは上相のP
EG4000相に選択的に分配された。ついで上層のP
EG4000相を回収、凍結乾燥し、酵素含有混合物を
得た。酵素含有混合物中のPEG4000と硫酸ナトリ
ウムの量は、酵素含有混合物中それぞれ53重量%と1
3重量%であった。
【0044】〈造粒品評価〉 造粒収率 得られた造粒品のうち、粒子径250〜1410μmの
造粒物の原料仕込量に対する重量百分率として求めた。
【0045】造粒安定性 仕込酵素量より計算される造粒品理論活性に対する、回
収造粒品酵素活性測定値の百分率として求めた。
【0046】溶解性 粒子径250〜1410μmの造粒品50mgを100
mlビーカーに取り、20℃、硬度4゜DHの水100
mlを入れてマグネチックスターラー(100r.p.
m.)で5分間攪拌し、造粒物の酵素活性値より算出さ
れる理論溶液酵素活性値に対する5分後に採取した溶液
の酵素活性値を百分率として求めた。
【0047】保存安定性 温度30℃で、湿度が40%RHを12時間、80%R
Hを12時間、40%RHと80%RHの間の変化時間
をそれぞれ12時間とるようにプログラムされた試験室
に60日間開放系で保存した造粒物の、保存前の酵素活
性値に対する保存後の酵素活性値の百分率として求め
た。
【0048】酵素活性測定法 カゼイン1%を含む50mMホウ酸−NaOH緩衝液
(pH10)1mlを0.1mlの酵素溶液と混合し、
40℃、10分間反応させた後、反応停止液(0.12
3Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナトリウム−
0.369M酢酸)2mlを加え、30℃、20分間放
置した。次に濾紙(ワットマン社製,No.2)で濾過
し、濾液中の蛋白分解物をフォーリン・ローリー法の改
良法によって測定した。
【0049】実施例1 酵素含有混合物 1,000g 結晶性アルミノ珪酸塩〔Na2 O・Al2 3 ・2SiO2 ・4.5H2 O〕 (トヨビルダー,東ソー(株)製) 500g 無水硫酸ナトリウム(中性無水芒硝,四国化成工業(株)製)3,500g をハイスピードミキサー(FS−GC−10型、深江工
業(株)製)に投入し、ジャケットに75℃の温水を流
して加温しながらアジテーター300r.p.m.、チ
ョッパー1,800r.p.m.で混合攪拌して昇温し
た。混合物の温度が60℃まで昇温したところで、穴径
0.8mmのパンチングスクリーンを装着したファイン
リューザー(EXRS−60型、不二パウダル(株)
製)を使用して押出造粒を行った。押出物の温度が30
℃以下になったところで、2kg/分の供給速度で穴径
3mmのパンチングスクリーンを装着し破砕羽根回転数
が2,400r.p.m.のフラッシュミル(FL−2
00型、不二パウダル(株)製)を通過させる解砕処理
を2回行い造粒物を得た。ここで使用した結晶性アルミ
ノ珪酸塩の一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイ
ズアナライザー(LA−500型、堀場製作所(株)
製)を用いて水を分散媒として測定した値で2.5μm
であった。また、アルミノ珪酸塩の含有量は10%であ
った。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結
果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒品の造
粒収率、造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示
す。
【0050】
【表1】
【0051】実施例2 酵素含有混合物 2,000g 結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 2,000g 無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 1,000g を実施例1と同一の装置、手法で混合昇温、押出造粒、
解砕処理を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩
の含有量は40%であった。造粒物の断面を走査型電子
顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在し
ていた。造粒品の造粒収率、造粒安定性、溶解性、保存
安定性を表1に示す。
【0052】実施例3 酵素含有混合物 1,000g 結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 3,500g 粉末ポリエチレングリコール6000 500g (三洋化成工業(株)製、融点60℃) を実施例1と同一の装置、手法で混合昇温(但し、80
℃まで昇温)、押出造粒、解砕処理を行った。得られた
造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は70%であった。
造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アル
ミノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒品の造粒収率及
び造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。
【0053】実施例4 実施例2における無水硫酸ナトリウムを炭酸カルシウム
(エスカロン2300,三共精粉(株)製)に変えて他
は同一の装置、手法で混合昇温、押出造粒、解砕処理を
行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は
40%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観
察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。造
粒品の造粒収率及び造粒安定性、溶解性、保存安定性を
表1に示す。
【0054】実施例5 実施例2における無水硫酸ナトリウムを硫酸カルシウム
(T号,(株)ノリタケカンパニーリミテド製)に変え
て他は同一の装置、手法で混合昇温、押出造粒、解砕処
理を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有
量は40%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡
で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在してい
た。造粒品の造粒収率及び造粒安定性、溶解性、保存安
定性を表1に示す。
【0055】実施例6 実施例3における粉末ポリエチレングリコール6000
をマレイン酸/アクリル酸共重合体ナトリウム塩粉末
〔平均分子量約7万,ゲル濾過クロマトグラフィー法に
よる測定値〕(Sokalan CP5 Powde
r,BASF Japan Ltd.製)に変えて他は
同一の装置、手法で混合昇温(但し、45℃まで昇
温)、押出造粒、解砕処理を行った。得られた造粒物中
のアルミノ珪酸塩の含有量は70%であった。造粒物の
断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸
塩は均質に存在していた。造粒品の造粒収率及び造粒安
定性、溶解性、保存安定性を表1に示す。
【0056】実施例7 実施例3における結晶性アルミノ珪酸塩3,500gを
結晶性アルミノ珪酸塩2,500gと無定形アルミノ珪
酸塩〔Na2 O・Al2 3 ・3SiO2 ・6H2 O〕
1,000gに、粉末ポリエチレングリコール6000
をポリオキシエチレンアルキルエーテル(平均炭素数1
8、エチレンオキサイド平均付加モル数40、融点44
℃)に変えて他は同一の装置、手法で混合昇温、押出造
粒、解砕処理を行った。ここで使用した無定形アルミノ
珪酸塩の一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイズ
アナライザー(LA−500型,堀場製作所(株)製)
を用いて水を分散媒として測定した値で6.2μmであ
った。また、造粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は70
%であった。造粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察し
た結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒品
の造粒収率及び造粒安定性、溶解性、保存安定性を表1
に示す。
【0057】以上の結果が示すように、本発明の製造方
法を用いた実施例は、いずれも造粒品の造粒収率、造粒
安定性、溶解性、及び保存安定性に優れるものであっ
た。また、造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質
的に均質に存在しているものであった。
【0058】比較例1 実施例1における結晶性アルミノ珪酸塩を無水硫酸ナト
リウムに変えて同一の装置、手法で混合昇温、押出造
粒、解砕処理を行った。変更分の無水硫酸ナトリウムは
粉砕機(アトマイザーEIIW−7.5型,不二パウダル
(株)製)で粉砕して使用した。この無水硫酸ナトリウ
ム粉砕品の一次粒子の平均粒子径は、パーティクルサイ
ズアナライザー(LA−500型,堀場製作所(株)
製)を用いて石油エーテルを分散媒として測定した値で
7.3μmであった。造粒品の造粒収率及び造粒安定
性、溶解性、保存安定性を表2に示す。アルミノ珪酸塩
を用いなかったことで、押出造粒後の押出物の付着性が
強く、押出物同士の再合一が見られた。また解砕時のフ
ラッシュミルの羽根、スクリーンへの付着があり、造粒
収率の低下が見られた。
【0059】
【表2】
【0060】比較例2 実施例2における結晶性アルミノ珪酸塩を炭酸カルシウ
ム(エスカロン2300,三共精粉(株)製)に変えて
同一の装置、手法で混合昇温、押出造粒、解砕処理を行
った。ここで使用した炭酸カルシウムの一次粒子の平均
粒子径は、パーティクルサイズアナライザー(LA−5
00型,堀場製作所(株)製)を用いて水を分散媒とし
て測定した値で1.4μmであった。造粒品の造粒収率
及び造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。造
粒性及び酵素の安定性に関しては問題なかったが、アル
ミノ珪酸塩を用いなかったことで造粒物の分散溶解性が
不良であった。
【0061】比較例3 実施例2におけるハイスピードミキサーを使用した造粒
原料の混合昇温時にジャケットに流す温水の温度を35
℃にし、混合開始と同時に水400gを投入した。混合
物の温度を42℃まで昇温させた後は実施例2と同一の
装置、手法で押出造粒、解砕処理を行った。得られた造
粒物中のアルミノ珪酸塩の含有量は37%であった。造
粒物の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミ
ノ珪酸塩は均質に存在していた。造粒品の造粒収率及び
造粒安定性、溶解性、保存安定性を表2に示す。バイン
ダーとして水を添加したことで、混合昇温時のハイスピ
ードミキサー槽内及び解砕時のフラッシュミルの羽根、
スクリーンへの付着が多量にみられた。また、造粒物中
に余剰の水が存在することになり、造粒時及び保存時の
酵素の大幅な失活が見られた。
【0062】比較例4 実施例1におけるハイスピードミキサーを使用した造粒
原料の混合昇温時にジャケットに流す温水の温度を20
℃にし、混合物の温度を30℃まで昇温させた後に実施
例1と同一の押出造粒機で押出造粒を行ったが、押出物
の結合力が弱く押出後に粉末状態に戻ってしまい、造粒
物を得ることができなかった。
【0063】比較例5 実施例1におけるハイスピードミキサーを使用した造粒
原料の混合昇温時にジャケットに流す温水に変えて10
0℃の熱媒油をジャケットに流した。混合物の温度を9
8℃まで昇温させた後は実施例1と同一の装置、手法で
押出造粒、解砕処理を行った。得られた造粒物中のアル
ミノ珪酸塩の含有量は10%であった。造粒物の断面を
走査型電子顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均
質に存在していた。造粒品の造粒収率及び造粒安定性、
溶解性、保存安定性を表2に示す。混合昇温時及び押出
造粒時の温度が高すぎるために、混合昇温時のハイスピ
ードミキサー槽内の付着が多く、押出造粒後の押出物同
士の再合一が見られた。また、酵素の造粒時の大幅な失
活が見られた。
【0064】比較例6実施例で用いた酵素含有混合物を
調製する際に原料として使用したアルカリプロテアーゼ
水溶液をそのまま凍結乾燥して酵素粉末を得た。 凍結乾燥酵素粉末 1,000g 結晶性アルミノ珪酸塩(実施例1と同一) 2,000g 無水硫酸ナトリウム(実施例1と同一) 1,000g 粉末ポリエチレングリコール6000(実施例3と同一) 1,000g を実施例1と同一の装置、手法で混合昇温、押出造粒、
解砕処理を行った。得られた造粒物中のアルミノ珪酸塩
の含有量は40%であった。造粒物の断面を走査型電子
顕微鏡で観察した結果、アルミノ珪酸塩は均質に存在し
ていた。造粒品の造粒収率及び造粒安定性、溶解性、保
存安定性を表2に示す。酵素原料として、酵素水溶液の
凍結乾燥品を用いたので、酵素が水性二相分配精製品と
異なり水溶性有機バインダーとの混合物となっていなか
ったために、造粒時及び保存時の酵素安定性が不充分で
あった。
【0065】本発明の態様を更に挙げれば、次のように
なる。 (1)水溶性有機バインダーを分配基剤とする水性二相
分配法により調製される水溶性有機バインダーを有する
酵素含有混合物、アルミノ珪酸塩、増量剤を混合し、次
いで乾式造粒法により酵素造粒物を製造するにあたり、
造粒時の造粒物の温度を40〜90℃に保持して押出造
粒を行い、造粒物中のアルミノ珪酸塩含有量が5〜80
重量%であって、該造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸
塩と実質的に均質に存在する洗剤用酵素造粒物を得るこ
とを特徴とする、洗剤用酵素造粒物の製造方法。 (2)水溶性有機バインダーを分配基剤とする水性二相
分配法により調製される水溶性有機バインダーを有する
酵素含有混合物、アルミノ珪酸塩、および1種又は2種
以上の水溶性有機バインダーを混合し、次いで乾式造粒
法により酵素造粒物を製造するにあたり、造粒時の造粒
物の温度を40〜90℃に保持して押出造粒を行い、造
粒物中のアルミノ珪酸塩含有量が5〜80重量%であっ
て、該造粒物中で酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に
均質に存在する洗剤用酵素造粒物を得ることを特徴とす
る、洗剤用酵素造粒物の製造方法。
【0066】
【発明の効果】本発明の洗剤用酵素造粒物の製造方法に
よれば、造粒時の酵素の失活が少なく、しかも粒径の揃
った造粒物を収率よく得ることができる。しかも得られ
た造粒物は保存安定性も良好であり、洗剤に配合した場
合に酵素が有効に作用することができる。さらにアルミ
ノ珪酸塩自体も洗浄ビルダーとしての機能を持ってお
り、本発明の製造方法により得られる造粒物はより多く
の洗浄有効成分を含有しているものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−179492(JP,A) 特開 昭57−165497(JP,A) 特開 昭60−37983(JP,A) 特開 平7−289259(JP,A) 特開 昭58−15989(JP,A) 特開 平5−202399(JP,A) 特開 昭62−72797(JP,A) 特開 昭62−257990(JP,A) 特開 昭63−78000(JP,A) 特表 平8−500375(JP,A) 特表 平7−505296(JP,A) 国際公開87/4184(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 1/00 - 17/08 C12N 9/96 C12N 9/98

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも洗剤用酵素、アルミノ珪酸
    塩、および1種又は2種以上の水溶性有機バインダーを
    用いて乾式造粒法により酵素造粒物を製造するにあた
    り、水溶性有機バインダーを分配基剤とする水性二相分
    配法により調製される水溶性有機バインダーを有する酵
    素含有混合物を用いて、造粒時の造粒物の温度を40〜
    90℃に保持して押出造粒を行い、造粒物中のアルミノ
    珪酸塩含有量が5〜80重量%であって、該造粒物中で
    酵素成分がアルミノ珪酸塩と実質的に均質に存在する洗
    剤用酵素造粒物を得ることを特徴とする、洗剤用酵素造
    粒物の製造方法。
  2. 【請求項2】 造粒物中にアルカリ金属あるいはアルカ
    リ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、および塩酸塩からなる群
    より選ばれる1種あるいは2種以上の無機塩をさらに含
    有する請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミノ珪酸塩が式(1)で示される結
    晶性アルミノ珪酸塩である請求項1又は2記載の製造方
    法。 x(M2 O)・Al2 3 ・y(SiO2 )・z(H2 O) (1) (式中、Mはナトリウム,カリウム等のアルカリ金属原
    子、x,y,zは各成分のモル数を表し、0.7≦x≦
    1.5、0.8≦y≦6、zは0を含む任意の正数であ
    る)
  4. 【請求項4】 アルミノ珪酸塩が式(2)で示される無
    定形アルミノ珪酸塩である請求項1又は2記載の製造方
    法。 x’(M2 O)・Al2 3 ・y’(SiO2 )・z’(H2 O) (2) (式中、Mはナトリウム及び/またはカリウム原子、
    x’,y’,z’は各成分のモル数を表し、0.7≦
    x’≦1.2、1.6≦y’≦4.5、z’は0を含む
    任意の正数である)
  5. 【請求項5】 分配基剤としての水溶性有機バインダー
    が、デキストラン、ポリエチレングリコールおよびその
    誘導体、並びにメチルセルロースからなる群より選ばれ
    る1種あるいは2種以上である請求項1〜4いずれかに
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 次の(a)〜(c) (a)融点が35℃以上のポリエチレングリコールおよ
    びその誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
    レン共重合体からなる群より選ばれる水溶性高分子、
    (b)融点或いは流動点が35℃以上の非イオン界面活
    性剤、(c)平均分子量が4000以上のポリカルボン
    酸塩、からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の
    水溶性有機バインダーを造粒時に添加することを特徴と
    する請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
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