JP3513840B2 - 数値制御装置の送り速度制御方法 - Google Patents

数値制御装置の送り速度制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、数値制御装置の送り速
度制御方法に関し、特にコーナ部の送り速度を減速する
場合の減速距離を設定する送り速度制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】数値制御装置を使用した工作機械では、
各送り軸の制御を行う際、一般には各送り軸毎に位置ル
ープ制御を行い、さらに位置指令の変化によるショック
の発生を抑えるために、例えば加減速フィルタを用いて
各軸毎に加減速処理を行っている。これら各軸毎の位置
ループ制御や加減速処理を行うと、軸の移動中の実際の
速度は指令速度に対し遅れて立ち上がるため、実際の位
置も指令位置に対して遅れてしまう。図3は位置ループ
処理による遅れを示しており、Tp はNCパラメータで
ある位置ループゲインの逆数で決まる定数である。ま
た、図4は一般的な一次遅れフィルタを用いた加減速処
理による遅れを示しており、Ta はNCパラメータの加
減速時定数によって決定される定数である。指令位置に
対する実際の位置の遅れ量は、位置ループゲインの逆数
と加減速時定数の和に比例し、送り速度にも比例する。
図3、図4において、原点から右斜め上方向に伸びた点
線は、図中の実際の速度に対して、原点において接する
接線である。この接線が指令速度と交差するまでの時間
がそれぞれTp 、Ta に一致する。この遅れ量のため、
2軸以上で補間送りを行うと、指令コーナ部分では加工
精度が低下する問題が生じる。図5はこの遅れ量による
コーナ部の軌跡誤差を示しており、指令軌跡P1 とP2
のコーナ部の手前q1 から加工軌跡が指令軌跡から外
れ、コーナ部を過ぎたq2 で指令軌跡P2 と一致する。
加工軌跡q1 〜q2 間は加工誤差となる。この加工軌跡
1 〜q2 が生じる原因を6図に基づいて説明すると、
Y軸のみ移動した後X軸のみを移動するプログラムで
は、X軸Y軸の指令速度と実際の速度の波形は図のよう
になる。なお、図5の軌跡q11〜q22については実施例
の項で説明する。この場合、Y軸の指令を出力し終わっ
た時に、Y軸の実際の位置が、遅れ量のためにY軸移動
量の終点に到達していないままX軸が移動し始めるた
め、コーナ部分では、XY両軸が移動することとなり、
図5の破線で表される軌跡を描いて移動してしまうこと
となり、結果として加工精度が低下する。このような加
工精度の低下を抑えるための手段として、指令コーナ部
分については、一定区間を指令速度よりも減速する方法
がとられている。前述の通り、遅れ量は送り速度に比例
するため、コーナ部分のみ減速することによって加工精
度の低下を抑えることができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来技術
では、減速する一定区間(以下減速距離という)はNC
プログラムやNCパラメータで指令された値で設定され
ているため、オペレータの経験値から決定されることが
多い。このため、設定された減速距離が長い場合は加工
時間が長くなってしまい、逆に設定された減速距離が短
い場合は遅れ量のために十分に減速されないままコーナ
部分を通過してしまうので、減速の効果が得られず加工
精度の低下を招いてしまう。そこで、本発明はこのよう
な問題を解決するために、減速距離を加工条件に応じて
自動的に最適値に設定することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明は、位置制御の閉ループを有する数値制御装
置の送り速度制御方法において、位置ループゲインの逆
数と加減速時定数の和と減速速度との積に応じて、指令
軌跡のコーナー部直前の減速開始点を決定し、この減速
開始点から前記コーナー部までの間、送り速度を前記
速速度に設定することを特徴とする数値制御装置の送り
速度制御方法。 【0005】 【作用】上記手段により、コーナ部分の減速距離は、減
速速度と位置ループゲインと加減速時定数の値に応じて
最適値に設定される。以下、本発明の原理を図2を参照
して説明する。図において、Fは指令速度、Fdはコー
ナ部の減速速度(mm/min)(以下単に減速速度と
いう)、Δtは位置ループゲインと加減速時定数から決
まる単位時間、Ldは減速距離を示し、図の斜線部に該
当する。図中の直線Kは、図3、図4で説明した実際の
速度に接する接線であり、直線Kが減速速度Fdと交差
するまでの時間がΔtに相当する。本発明における減速
距離Ldは次式で求められる。 Ld=Fd×Δt×n÷60 (1) ただし、Δt=Tp+Ta Tp:1÷位置ループゲイン(sec) Ta:加減速時定数(sec) n:減速距離倍率 60:60(sec/min)(Fdの単位が(mm/min)のため、 (mm/sec)に換算するための定数) 式(1)で、減速速度FdはNCプログラムまたはNC
パラメータにて設定される。TpはNCパラメータであ
る位置ループゲインの逆数、TaはNCパラメータの加
減速時定数である。減速距離倍率nは、送り速度が指令
速度Fから減速速度Fdまで低下するためにひつような
時間を確保できる値に設定する。この時間は加減速方法
によって異なるためNCパラメータとして与えられる。
一般的な一次遅れフィルタによる指数加減速を用いる場
合には、nの値は3〜4程度が適当である。以上説明し
たように、本発明によれば、コーナ部分の減速距離は、
減速速度と位置ループゲインと加減速時定数の値から自
動的に最適値に設定されるため、加工時間も短くなり、
コーナ部の加工精度の低下も抑制することが可能とな
る。 【0006】 【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1は本発明の数値制御装置の送り速度制御方法の
ブロック図を示す。1はNCプログラムを保存している
プログラムメモリ、2はNCプログラムを解析し補間処
理が補間可能な形式のデータに変換するNC言語解析
部、3はNC言語解析部から出力されたデータをもとに
直線補間、円弧補間等を行い、各軸の移動指令を作成す
る補間処理部、4は各軸の加減速を行う加減速処理部、
5は各軸の位置制御、速度制御電流制御を行うサーボ制
御部を表す。コーナ部分の減速処理を行う場合は、NC
言語解析部2において、コーナ部分の減速距離と減速速
度を決定し補間処理部3に転送する。この時NC言語解
析部では、予め記憶されているNCパラメータ6の値を
用いて(1)式から減速距離Ld を求める。補間処理部
では、NC言語解析部から転送された減速距離と減速速
度を用いてコーナ部分の補間処理を行う。図2は本発明
の原理と実施例の説明を兼ねた図で、減速距離倍率n=
4とした例の速度波形である。破線で表された実際の速
度が十分に低下するように減速距離Ldを設定すること
によって、加工時間も短くかつ加工精度の低下も抑制で
きる減速距離が得られる。この結果、コーナ部の加工軌
跡の精度は従来技術より改善される。図5の加工軌跡q
11〜q22は本発明による加工軌跡で、従来の加工軌跡q
1 〜q2 より加工精度が向上することを示している。 【0007】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、指
令コーナ部分を減速する送り速度制御方法におけるコー
ナ部の減速距離が自動的に最適値に設定される。従来は
オペレータの判断で減速距離を設定したため、設定した
減速距離が長すぎると加工時間が長くなり、減速距離が
短すぎると加工精度が低下するという問題が生じていた
が、本発明により減速距離が自動的に最適値に設定され
る結果、従来技術におけるこのような問題が解消され
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例としての送り速度制御方法のブ
ロック図。 【図2】本発明の原理と実施例の説明を兼ねた図 【図3】位置ループ制御による遅れ。 【図4】加減速処理による遅れ。 【図5】コーナ部の指令と軌跡。 【図6】X,Y軸の速度波形。 【符号の説明】 1 プログラムメモリ 2 NC言語解析部 3 補間処理部 4 加減速処理部 5 サーボ制御部 6 NCパラメータ

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】位置制御の閉ループを有する数値制御装置
    の送り速度制御方法において、位置ループゲインの逆数
    加減速時定数の和と減速速度との積に応じて、指令軌
    跡のコーナー部直前の減速開始点を決定し、この減速開
    始点から前記コーナー部までの間、送り速度を前記減速
    速度に設定することを特徴とする数値制御装置の送り速
    度制御方法。
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JPH07191728A (ja) * 1991-08-30 1995-07-28 Makino Milling Mach Co Ltd 数値制御における送り速度制御方法および装置
JPH06214631A (ja) * 1993-01-12 1994-08-05 Toyoda Mach Works Ltd 軌跡制御装置

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