JP3513594B2 - 被磁気分離体の製造方法及び被磁気分離体 - Google Patents

被磁気分離体の製造方法及び被磁気分離体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水に不溶な無機物
質からなる固形の非磁性材、水溶性の非磁性物質又は生
物体を磁化する、被磁気分離体の製造方法及びかかる固
形の非磁性材から得られる被磁気分離体に関する。
【0002】
【従来の技術】循環させたり、再利用すべき有用資源
は、磁性を有することの方が少なく、例えば、生物や生
体材料、無機セラミックスあるいは、液体状態にある非
磁性物質等がある。
【0003】これらを分離して再利用できるようにする
には、それらに磁性を付与し、高効率に分離できる状況
を作り出す必要がある。また一方で、担磁した物質を有
効に分離する磁気分離システムと、その分離後の再生や
利用ができる技術やルートの開発も重要であると考えら
れる。
【0004】分離すべき被分離物質と磁性体粉末とを混
合し、高分子凝集剤を添加し攪拌することにより、被分
離物質を、磁性粉末を含んだフロック状にして磁性を付
与して、磁気分離する例がある(「農林水産省近畿農政
局計画部、財団法人深田地質研究所昭和63年度環境保
全総合調査報告書」、1〜30頁、1989年3月発行
及び特開昭55−61979号公報参照)。
【0005】また、微細藻類のアオコにコロイド磁性粒
子を吸着させることが知られている(「第61回199
9年度秋季低温工学・超電導学会予稿集」、B1−2
1、第41頁、1999年11月10日発行及び「平成
12年電気学会全国大会講演論文集[5]電気機器」、
5−S29−7、第2437〜2439頁、平成12年
3月21日発行参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高分子凝集剤
を用いる手法の問題点は、被分離物質に、凝集剤と磁性
粉末とを添加しなければならない点にあり、被分離物質
の量よりも、添加剤の量の方が多くなり、二次廃棄物を
多量に作ることが問題である。
【0007】また、かかる磁性付与法では、被分離物質
と磁性粉末との結合力が弱く、十分な分離能を有してい
なかったことが問題である。
【0008】ところが、近年、無冷媒の超伝導磁石が開
発されたため、容易に強磁場を利用できるようになって
きた。
【0009】本発明者の研究によれば、比較的小さな磁
性しか有さないものでも、超伝導磁石を利用すると大き
な磁気力を発生させることができるので、磁気力を利用
した分離が可能であることが分かった。
【0010】しかしながら、前述のように、被分離物質
自体は磁性を有していないことが多いので、超伝導磁石
からの強磁場を利用したとしても、磁性を有していない
被分離物質自体を磁気分離することはできない。
【0011】本発明者は、微細藻類のアオコにコロイド
磁性粒子を吸着させる場合、塩基の添加量やpH等の条
件設定によって担磁効率が著しく影響を受けることを突
き止めた。
【0012】本発明は、水に不溶な無機物質からなる固
形の非磁性材、水溶性の非磁性物質又は生物体を、超伝
導磁気分離可能になるように、効率的に担磁することを
課題とする。また、本発明は、超伝導磁気分離できる、
新規な被磁気分離体を得ることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、水に不溶な無
機物質からなる固形の非磁性材を磁化して被磁気分離体
を得るにあたり、前記非磁性材が表面に、水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル基、ス
ルホ基及びニトロ基からなる群より選ばれる少なくとも
1種の活性基を有しており、水酸化鉄(II)のコロイ
ド粒子を含むコロイド溶液と前記非磁性材と混合して
前記活性基と水酸化鉄(II)のコロイド粒子とを結合
させ、前記コロイド粒子の少なくとも一部を酸化するこ
とによって被磁気分離体を得る、被磁気分離体の製造方
法に係るものである。
【0014】また、本発明は、水溶性の非磁性物質を磁
化して被磁気分離体を得るにあたり、前記非磁性物質
が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル
基、フェニル基、スルホ基及びニトロ基からなる群より
選ばれる少なくとも1種の活性基を有しており、水酸化
鉄(II)のコロイド粒子を含むコロイド溶液と前記非
磁性物質とを混合して前記活性基と水酸化鉄(II)の
コロイド粒子とを結合させ、前記コロイド粒子の少なく
とも一部を酸化することによって被磁気分離体を得る、
被磁気分離体の製造方法に係るものである。
【0015】さらに、本発明は、生物体を磁化して被磁
気分離体を得るにあたり、前記生物体が、水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル基、ス
ルホ基及びニトロ基からなる群より選ばれる少なくとも
1種の活性基を有しており、前記生物体に水と第一鉄
(II)塩とを添加して混合液を得、前記混合液のpH
値を測定しながら、前記pH値が平衡に達してから前記
pH値が上昇し始めるまで、前記混合液に塩基を添加
し、前記第一鉄(II)塩と前記塩基とから水酸化鉄
(II)のコロイド粒子を生じさせ、前記活性基と水酸
化鉄(II)のコロイド粒子とを結合させ、前記コロイ
ド粒子の少なくとも一部を酸化することによって被磁気
分離体を得る、被磁気分離体の製造方法に係るものであ
る。
【0016】また、本発明は、水に不溶な無機質からな
る固形の非磁性材と前記非磁性材の表面の磁性物質とか
ら形成されている、被磁気分離体であって、前記非磁性
材が表面に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カル
ボニル基、フェニル基、スルホ基及びニトロ基からなる
群より選ばれる少なくとも1種の活性基を有しており、
前記磁性物質が、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を含
コロイド溶液と前記非磁性材とを混合前記活性基
と水酸化鉄(II)のコロイド粒子とを結合させ、前記
コロイド粒子の少なくとも一部酸化ることによって
形成されている、被磁気分離体に係るものである。
【0017】本発明者は、被分離体である非磁性材を、
効率的に担磁し、効率的な分離、すなわち超伝導磁気分
離できるようにするため、種々の担磁手法を検討した。
【0018】その結果、本発明者は、水酸基等の反応性
の高い官能基が表面に存在する非磁性材に、例えば、磁
性を有する水酸化鉄/酸化鉄コロイドを化学的に結合さ
せることによって、かかる非磁性材を効率的に担磁で
き、新しい被磁気分離体が得られることを見出した。
【0019】また、本発明者は、水酸基等の反応性の高
い官能基が表面に存在する水溶性の非磁性物質において
も、磁性を有する水酸化鉄/酸化鉄コロイドを化学的に
結合させることで効率的に担磁できることを見出した。
【0020】本発明は、被分離体である所定の非磁性材
等をコロイド化学的な手法を用いて担磁することによっ
て、得られる担磁体が、超伝導磁気分離可能な被磁気分
離体となることが解明されたことに基づく。
【0021】また、本発明者は、水酸基等の反応性の高
い官能基が表面にある生物体に、磁性を有する水酸化鉄
/酸化鉄コロイドを化学的に結合させる際、コロイド形
成のために添加する塩基の量やpH値によって、かかる
生物体の担磁される量が著しく影響を受けることを見出
した。
【0022】本発明者の研究によれば、かかる生物体と
水と第一鉄(II)塩とを混合して得られる混合液に、
この混合液のpH値が平衡に達してからpH値が上昇し
始めるまで塩基を添加することにより、かかる生物体の
有する官能基の量に相当する水酸化鉄(II)のコロイ
ド粒子の結合が起こることが分かった。
【0023】本発明者は、このようにして極めて効率的
に得られる生物体の担磁体が、超伝導磁気分離するのに
十分な被磁気分離体となることを突き止め、本発明に到
達した。
【0024】本発明の被磁気分離体の製造方法では、分
離すべき被分離体をコロイド化学的な手法によって担磁
する。
【0025】通常、磁気分離するには、フェライト法で
マグネタイトを析出させ、その中に重金属等の被分離物
質を取り込ませる。
【0026】しかし、超伝導磁石を使用すれば、マグネ
タイトを析出させなくても、被分離体に比較的高い磁性
を有する磁性物質をコロイド化学的に付着させて磁性を
付与した磁性微コロイドでも分離可能である。
【0027】本発明では、被分離体にコロイド化学的に
磁性を付与し、温度を上げることなく、付着力の大きな
被磁気分離体を得ることができる。
【0028】本発明によれば、コロイド化学的な処理を
担磁手法として採用することで、所定の非磁性材等の活
性基に、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を結合させ、
そのコロイド粒子の少なくとも一部を酸化して磁化し、
被磁気分離体とすることができ、これにより、被磁気分
離体に超伝導磁気分離に十分な磁性を効率的に付与する
ことができ、これによって得られる被磁気分離体の効率
的な分離、すなわち超伝導磁気分離が可能になる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
本発明でコロイド化学的に担磁されて磁気分離される被
分離体としては、水に不溶な無機物質からなる固形の非
磁性材、水溶性の非磁性物質及び生物体からなる群より
選ばれる少なくとも1種の物質が含まれる。
【0030】本発明では、かかる被分離体は、水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、フェニル
基、スルホ基及びニトロ基からなる群より選ばれる少な
くとも1種の活性基を有している。
【0031】本発明にかかる非磁性材は、水に不溶な無
機物質からなる固形の種々の材質や形状を有するものが
含まれるが、例えば、材質は、酸化ケイ素や酸化ホウ素
等のガラス、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、
酸化セリウムを含む砥粒ならびに研摩材、炭化ケイ素、
窒化ケイ素、チタニアやアルミナ等のセラミックス、ダ
イヤモンド、金属及び高分子材料又はそれらの複合材料
からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質からなる
ことができる。
【0032】かかる非磁性材の中でも、特に、炭化ケイ
素、酸化セリウム、アルミナ、ダイヤモンド及びシリカ
からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質からなる
ものが好ましい。これら非磁性材は、主に砥粒や研摩材
としてよく用いられるからである。
【0033】また、かかる非磁性材は、水酸基、アミノ
基、カルボキシル基等の反応性の高い官能基を有する水
に不溶な無機物質からなる固形のものであれば、金属、
セラミックス、半導体の切断、研削、研磨等の機械加工
粉でよい。
【0034】本発明では、これらの機械加工粉に効率的
に水中で磁性を付与できるので、超伝導磁気分離装置と
組み合わせることにより、これらの機械加工粉を効率的
に回収でき、公害発生を防止できる。
【0035】また、本発明では、非磁性材として加工砥
粒等の加工用粒子を用いることができ、これら加工用粒
子に予め磁性を付与することができ、使用後の砥粒等の
分別回収を可能にし、砥粒等や高価な金属粉等が混じっ
た産業廃棄物を減少させることができる。
【0036】被加工物は、冷却水で冷却されながら機械
加工される。その際に発生した加工粉が、冷却媒水に混
入し懸濁廃液を作る。この廃液が産業廃棄物となった
り、環境汚染の原因となっている。
【0037】本発明では、この廃液中の分離すべき被分
離物質に超伝導磁気分離可能な磁性が付与されることに
なるので、超伝導磁気分離装置を通過させることによ
り、回収すべき加工粉等が効率的に回収されることとな
る。
【0038】被加工物が高価な原料で作製されている場
合には、加工によって生じた分離粉は、原料として再利
用することができる。また、砥粒等の加工用粒子の場合
は、改めて加工粒子として再利用できる。
【0039】本発明にかかる非磁性物質は、水溶性の物
質で、種々のものが含まれるが、例えば、染料、界面活
性剤等の有機分子全般及びリン酸や窒素酸化物等の有機
分子からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質とす
ることができる。
【0040】かかる非磁性物質の中でも、特に、有機分
子からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質からな
るものが好ましい。これら非磁性物質は、水溶性である
が難分解性で、COD、BODの値を上げる原因となっ
ているため、本発明に従って磁化し、取り除くことが好
都合である。
【0041】本発明にかかる生物体は、微細藻類、植物
又は動物プランクトン、微生物及び細菌等の単細胞生物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の生物とするこ
とができる。
【0042】かかる生物体の中でも、特に藍藻等の微細
藻類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好まし
い。これら微細藻類は、湖沼の水の富栄養化により、水
質の悪化、浄水上の障害、悪臭の発生等の問題が生じて
いるので、本発明に従って磁化し、取り除くのが好都合
である。
【0043】本発明では、無機物質からなる固形の非磁
性材に限られず、水溶性の有機分子や生体材料等の非磁
性物質、微生物等の生物体を含む被分離体にも磁性を付
与できるため、これらのものの水中からの分離や濃縮が
可能となり、廃水処理等の分野への応用が可能となる。
【0044】本発明では、所定の被分離体を水酸化鉄
(II)のコロイド溶液と反応させ、非磁性材や非磁性
物質や生物体の活性基と水酸化鉄(II)のコロイド粒
子とを結合させる。
【0045】かかる水酸化鉄(II)のコロイド溶液
は、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を含み、水と、第
一鉄(II)塩と、塩基とを混ぜることによって作製す
ることができる。
【0046】第一鉄(II)塩は種々のものを用いるこ
とができるが、代表的には、硫酸第一鉄及び塩化第一
鉄、炭酸第一鉄からなる群より選ばれる少なくとも一種
の塩を含有するものを用いることができる。
【0047】塩基は種々のものを用いることができる
が、代表的には、KOH、NaOH、NHOH、Li
OH、NaCO、NaHCO、Ca(OH)
Mg(OH)、Sr(OH)及びBa(OH)
からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基を含有す
るものを用いることができる。
【0048】本発明では、水酸化鉄(II)のコロイド
溶液を、水と第一鉄(II)塩と塩基とから予め作製
し、その中に、非磁性材、非磁性物質及び生物体からな
る群より選ばれる少なくとも1種の被分離体を混ぜ、被
分離体に水酸化鉄(II)のコロイド粒子を結合させる
ことができる。
【0049】好ましくは、本発明では、被分離体に、水
と第一鉄(II)塩とを添加して混合液を得、この混合
液のpH値を測定しながら、pH値が平衡に達してから
pH値が上昇し始めるまで、この混合液に塩基を添加
し、第一鉄(II)塩と塩基とから水酸化鉄(II)の
コロイド粒子を生じさせ、被分離体と水酸化鉄(II)
のコロイド粒子とを結合させる。
【0050】このようにして、被分離体と水と第一鉄
(II)塩との混合液に塩基を添加していく場合、かか
る混合液が一種の緩衝液となる。
【0051】塩基を添加していく場合、混合液のpH値
は、塩基の添加によって一旦は上昇するものの、被分離
体表面の水酸基等の活性基が、塩基の添加により生じる
水酸化鉄(II)のコロイド粒子と反応して平衡にな
り、上昇が抑えられる。
【0052】また、塩基を更に添加していく場合、水酸
化鉄(II)のコロイド粒子が、被分離体の活性基を覆
い尽くして、もはや、被分離体と反応しなくなれば、再
び混合液のpH値は上昇する。かかる場合には、塩基や
第一鉄(II)塩の添加は被分離体の磁化に働かない。
【0053】このように、被分離体と水酸化鉄(II)
のコロイド粒子との結合には、各種の被分離体と第一鉄
(II)塩との組合せに左右される好ましいpH値があ
り、この好ましいpH値に維持することで、被分離体の
効率的な磁性付与が可能となる。
【0054】また、本発明では、被分離体に結合した水
酸化鉄(II)のコロイド粒子の少なくとも一部を酸化
する。
【0055】かかる酸化は、他から導入する酸素、空気
中の酸素、又は溶液中に溶解している酸素を用いること
ができる。
【0056】ただし、本発明では、被分離体表面の水酸
基等の活性基にコロイド粒子が結合して磁性が付与され
るのであるから、水酸化鉄(II)のすべてが酸化して
Fe となってしまっては、被分離体を担磁するこ
とができなくなるので、水酸化鉄(II)の少なくとも
一部を残さなければならない。
【0057】このようにして得られる被磁気分離体は、
適切な手段で磁化するが、本発明では、コロイド粒子の
水酸化鉄(II)が一部酸化されて強磁性物質であるF
を形成しているので、超伝導磁気分離可能に十
分に磁化することができる。
【0058】図面を参照して、本発明をより一層詳細に
説明する。図1は、本発明にかかる一例の超伝導磁気分
離装置の概略図である。図1の超伝導磁気分離装置1
は、原水タンク2と攪拌混合槽3と超伝導装置4と処理
水タンク5と逆洗水タンク6と分離体タンク7とを備え
ている。
【0059】回収又は分別すべき固体塊又は粒子等を含
む原水を原水タンク2から攪拌混合槽3に導入する。次
いで、例えば、硫酸第一鉄又は塩化第一鉄等の第一鉄
(II)塩と水酸化カリウム等の塩基とを添加し、水酸
化鉄(II)のコロイド粒子を生じさせる。
【0060】水酸化鉄(II)のコロイド粒子は、被分
離体の表面にある水酸基等の活性基と化学反応を起こし
て、強固な化学結合を作る(オール化)。
【0061】次いで、コロイド粒子中の水酸化鉄(I
I)は空気中の酸素あるいは水中に溶解している酸素に
より酸化され、一部水酸化鉄(III)となる。
【0062】この水酸化鉄(II)と水酸化鉄(II
I)との混合物からなるコロイド粒子が一部マグネタイ
トとなり、強磁性を示し、被分離体に磁性を付与するこ
とになる。
【0063】次いで、この処理水を超伝導装置4に導
き、磁性付与された被分離体を磁化して取り除き、被分
離体の除かれた処理水を処理水タンク5に導く。
【0064】磁性付与された被分離体は、逆洗水タンク
6からの水によって超伝導装置4を逆洗することによ
り、分離体タンク7内に導き、得ることができる。
【0065】
【実施例】本発明を、図面を参照して、実施例に基づい
て説明する。図2は、本発明にかかる非磁性材の一例の
回収率を示すグラフである。図3は、本発明にかかる非
磁性材の他の例の回収率を示すグラフである。
【0066】図4は、本発明にかかる一例の染料の吸光
度を示すグラフである。図5は、本発明にかかる一例の
染料の回収率を示すグラフである。
【0067】図6は、本発明にかかる微細藻類の一例の
滴定曲線を示すグラフである。図7は、本発明にかかる
微細藻類の一例の回収率を示すグラフである。
【0068】(実施例1)無機粒子に磁性を付与するた
めに、SiC粒子表面に酸化鉄を析出させた。その方法
として、(1)磁性物質のコロイドをSiC粒子懸濁溶
液に添加する方法(2)Fe2+イオンを懸濁溶液中に
溶かしておき、その後アルカリを添加し、SiC表面に
(水)酸化鉄を析出させる方法を試みた。
【0069】(1)1重量%のSiC粒子懸濁液20c
に、0.1モル/dm相当の磁性物質のコロイド
と蒸留水を加え、更に、少量のKOHを添加して、pH
10に調整した。
【0070】(2)1重量%のSiC粒子懸濁液20c
に、0.1モル/dmのFeSOと蒸留水を加
え、更に、少量のKOHを添加して、pH10に調整し
攪拌した。
【0071】Sm−Co磁石により懸濁粒子を沈降さ
せ、その上澄み液の吸光度を測定し、回収率を算出し
た。(1)の方法の結果を図2に、(2)の方法の結果
を図3に示した。
【0072】図2及び3に示すように、(1)及び
(2)のいずれの方法によっても、SiC粒子の磁気分
離が可能であることが確認された。なお、(2)のFe
2+イオンから酸化鉄を析出させる方法は、(1)の方
法に比べ、回収率が高い。
【0073】(実施例2)実施例1において、SiC粒
子をSiO粒子(silica Ludox20cm
)に変え、実施例1と同様にして、磁気分離した。結
果を図2及び3に示した。
【0074】図2及び3に示すように、(1)の方法で
は、SiO粒子が回収できなかったが、(2)の方法
では、回収率の高い状態で回収できた。
【0075】(実施例3)水溶性の非磁性物質と(水)
酸化鉄コロイド粒子との結合性を調べるため、まず、染
料としてのオレンジIIとFeSO溶液から調製した
Feを含む磁性コロイド粒子との吸着率をpH
3、5及び9の条件下に調べた。結果を図4に示す。
【0076】図4に示すように、オレンジIIと磁性コ
ロイド粒子との結合には、吸着密度が高くなり、また、
磁性コロイドの磁化率も高いことからpH9の条件がよ
いことが分かった。
【0077】次に、図4の場合と同様にして、オレンジ
IIを、FeSO溶液から調製したFeを含む
磁性コロイド粒子とpH3、5及び9のそれぞれの条件
で混合し、5Tの磁界の条件下に回収した。回収率は、
UVスペクトラムの吸光度から算出した。結果を図5に
示す。
【0078】図5に示すように、オレンジIIと磁性コ
ロイドとの結合、回収には、pH9の条件がよいことが
分かった。
【0079】また、図5から、オレンジIIの回収率
は、磁性コロイド粒子の添加量を増やすことで高まるこ
とが分かる。このことは、磁性コロイドの表面でのオレ
ンジIIの吸着密度(図4参照)によって説明できた。
また、オレンジIIを含む溶液のpH値が回収率に影響
を及ぼし、これが、オレンジIIのイオン化状態又は磁
性コロイドの表面状態によって、オレンジII分子とコ
ロイドの表面官能基との間の結合挙動が影響を受けるこ
とを意味することが分かった。
【0080】(実施例4)生物体に磁性を付与するた
め、微細藻類A(Microcystis aeruginosa)と微細藻類
B(Microcystis viridis)とを用いて、これらの藻類と
(水)酸化鉄コロイド粒子とを結合させ、超伝導磁気分
離によって藻類を回収した。
【0081】この際、まず、これら藻類と(水)酸化鉄
コロイド粒子とを完全に結合させるため、大阪の天然の
池から採取した乾燥重量で0.2mg/lの微細藻類A又はB
に、0.1×10−3MのFeSOと蒸留水とを加
え、更に、少量の0.1モル・dm−3のKOHを添加
しながらこの液のpHを測定し、滴定曲線を作成した。
結果を図6に示す。
【0082】図6に示すように、滴定曲線は、いずれの
藻類でも、0.1cm程度のKOHの添加でpH9の
平衡に達し、0.4cmのKOHの添加を超えるとこ
ろからpH値の上昇が始まった。なお、生物体の種類に
よって異なるが、滴定曲線のパターンの違いが生物体表
面の状態の違い(官能基の種類と量の違い)を反映してい
る。
【0083】また、図6の滴定曲線を得る際、0、0.
2、0.4及び0.6cmのKOH添加量の点で、上
澄み液中の残留鉄濃度を測定した。結果を図7に示す。
【0084】図7に示すように、0.4cmのKOH
を添加することで、微細藻類A及びBの何れもが効率的
に磁化できることが分かる。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、回収又は分別したい所
定の非磁性材等をコロイド化学的処理によって効率的に
磁性を付与することができ、超伝導磁気分離に十分な被
磁気分離体を効率的に得ることができ
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる一例の超伝導磁気分離装置の
概略図である。
【図2】 本発明にかかる非磁性材の一例の回収率を示
すグラフである。
【図3】 本発明にかかる非磁性材の他の例の回収率を
示すグラフである。
【図4】 本発明にかかる一例の染料の吸光度を示すグ
ラフである。
【図5】 本発明にかかる一例の染料の回収率を示すグ
ラフである。
【図6】 本発明にかかる微細藻類の一例の滴定曲線を
示すグラフである。
【図7】 本発明にかかる微細藻類の一例の回収率を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 超伝導磁気分離装置 2 原水タンク 3 攪拌混合槽 4 超伝導装置 5 処理水タンク 6 逆洗水タンク 7 分離体タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 1/00 - 1/32 B01D 35/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に不溶な無機物質からなる固形の非磁
    性材を磁化して被磁気分離体を得るにあたり、 前記非磁性材が表面に、水酸基、アミノ基、カルボキシ
    ル基、カルボニル基、フェニル基、スルホ基及びニトロ
    基からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性基を有
    しており、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を含むコロ
    イド溶液と前記非磁性材と混合して前記活性基と水酸
    化鉄(II)のコロイド粒子とを結合させ、前記コロイ
    ド粒子の少なくとも一部を酸化することによって被磁気
    分離体を得ることを特徴とする、被磁気分離体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】水溶性の非磁性物質を磁化して被磁気分離
    体を得るにあたり、 前記非磁性物質が、水酸基、アミノ基、カルボキシル
    基、カルボニル基、フェニル基、スルホ基及びニトロ基
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性基を有し
    ており、水酸化鉄(II)のコロイド粒子を含むコロイ
    ド溶液と前記非磁性物質とを混合して前記活性基と水酸
    化鉄(II)のコロイド粒子とを結合させ、前記コロイ
    ド粒子の少なくとも一部を酸化することによって被磁気
    分離体を得ることを特徴とする、被磁気分離体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 生物体を磁化して被磁気分離体を得るに
    あたり、 前記生物体が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カ
    ルボニル基、フェニル基、スルホ基及びニトロ基からな
    る群より選ばれる少なくとも1種の活性基を有してお
    り、前記生物体に水と第一鉄(II)塩とを添加して混
    合液を得、前記混合液のpH値を測定しながら、前記p
    H値が平衡に達してから前記pH値が上昇し始めるま
    で、前記混合液に塩基を添加し、前記第一鉄(II)塩
    と前記塩基とから水酸化鉄(II)のコロイド粒子を生
    じさせ、前記活性基と水酸化鉄(II)のコロイド粒子
    とを結合させ、前記コロイド粒子の少なくとも一部を酸
    することによって被磁気分離体を得ることを特徴とす
    る、被磁気分離体の製造方法。
  4. 【請求項4】 水に不溶な無機質からなる固形の非磁性
    材と前記非磁性材の表面の磁性物質とから形成されてい
    る、被磁気分離体であって、 前記非磁性材が表面に、水酸基、アミノ基、カルボキシ
    ル基、カルボニル基、フェニル基、スルホ基及びニトロ
    基からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性基を有
    しており、前記磁性物質が、水酸化鉄(II)のコロイ
    ド粒子を含むコロイド溶液と前記非磁性材とを混合
    前記活性基と水酸化鉄(II)のコロイド粒子とを結合
    させ、前記コロイド粒子の少なくとも一部酸化るこ
    とによって形成されていることを特徴とする、被磁気分
    離体。
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