JP3511135B2 - ビスマス化合物含有消臭用組成物 - Google Patents

ビスマス化合物含有消臭用組成物

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JP3511135B2
JP3511135B2 JP2002071790A JP2002071790A JP3511135B2 JP 3511135 B2 JP3511135 B2 JP 3511135B2 JP 2002071790 A JP2002071790 A JP 2002071790A JP 2002071790 A JP2002071790 A JP 2002071790A JP 3511135 B2 JP3511135 B2 JP 3511135B2
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bismuth
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典隆 尾花
秀夫 宮崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、即効性、安全性な
どの点で優れたビスマス化合物を含んでなる、消臭作用
を有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今の各種消臭製品およびアロマテラピ
ー等の流行が示すように、一般の多くの人が不快な臭い
の消臭および香りに興味を集めている。様々な人体の臭
いのなかでも最も身近な臭いは、口臭である。
【0003】口臭は、北米の歯科受診理由の第3番目に
挙げられる。日本においても多くの人々が口臭に悩まさ
れており潜在的患者も多いが、疾病としてあまり認知さ
れていない。WHO(国際保険機構)の国際疾病分類(ICD-1
0)では口臭症を疾病分類として収載しているが、系統だ
った概念や分類は長い間不明のままであった。1991年第
69回国際歯科研究会議での口臭シンポジウムを機に、口
臭に対する臨床的興味が高まり、1999年、一般臨床医が
容易に診断し専門医に紹介できるよう口臭の国際分類が
提唱され、現在では国際口臭学会などで認知されてい
る。
【0004】このように、近年急速に口臭の研究が進む
中で、口臭の主な原因物質として揮発性硫黄化合物(以
下VSCと略: Volatile Sulfur Compounds)が挙げられる
ことが明らかにされた。
【0005】口腔内空気中のVSCには、硫化水素H2S、メ
チルメルカプタンCH3SH、ジメチルサルファイド(CH3)2S
の3種類が単独あるいは混在して認められる(Kleinberg
Iet al.: Bad breath research perspectives (edito
r: Rosenberg M), Ramot publishing, Tel Aviv, Israe
l,13-39, 1995)。VSCは、唾液、血液、脱落上皮細胞中
などに含まれる含硫アミノ酸やペプチドを細菌が分解す
ることで生成される。
【0006】VSCが歯周組織に悪影響を及ぼし、口腔粘
膜の透過性を亢進して歯周病病原物質やエンドトキシン
の侵入を容易にすることや、ヒト歯肉繊維芽細胞のタン
パク合成を阻害することも確認されている(Ng W et a
l.:Effect of hydrogen sulfide and methyl mercaptan
on the permeability of oral mucosa, J Dent Res,6
3: 994-1007, 1984 / Johnson PW et al.: Effect of v
olatile thiol compounds on protein metabolism by h
uman gingival fibroblasts, J Periodont Res,27: 553
-561, 1992)。このことから、VSCは歯周病の発生機序
を促進し、歯周病を進行させると考えられている。
【0007】現在の臨床的口臭診断は、患者の呼気を医
師サイドが直接的に嗅ぐ官能試験により行われている
が、上述の事実より、口臭症の基礎実験や診断の補助と
してVSCを測定する方法が用いられてきた。
【0008】VSCはまた、腸内の臭気の成分でもあり、
腸管に由来する口臭や大便臭の原因物質としても知られ
ている。介護を必要とする高齢者・障害者、寝たきりの
病人を抱える家庭や介護現場では、排泄物の処理は重大
な課題である。昨今の高齢化社会に伴い看護者も高齢化
しているため、看護者にかかる肉体的・精神的負担は益
々増加している。
【0009】生活の場で問題とされる臭気としては、他
にペット及びその排泄物から発する不快なペット臭が挙
げられるが、ペットと暮らす飼い主にとっては避けられ
ない課題としてその解決が待たれている。
【0010】上記不快臭の中でも特に口臭に関して言え
ば、口臭治療における必要性から、現在多くの製剤が市
販されている。例えば米国では、VSC産生口腔内細菌を
殺菌する観点から、殺菌剤、特にクロルヘキシジンを配
合した製剤が市販されている。しかしながら、このよう
な製剤に即効性は期待できず、また殺菌剤であるため、
長期使用すれば菌交代症などの副作用が懸念される。
【0011】別の例として、塩化亜鉛はVSCを不揮発性
にして口臭防止効果があることから、口臭関連の学会で
もその有用性が取り上げられており、市販もされてい
る。しかしながら、塩化亜鉛は渋味が強く、使用後には
味覚が変化するという欠点をもち、また、収斂性が強い
ため頻繁に口腔内に適用すると歯肉の退縮がおこる可能
性がある。
【0012】また、エッセンシャルオイルとエタノール
を含有する洗口剤が市販されているが、なかにはエタノ
ールを25%以上含むものもあり、その毒性の有無が議
論されている。
【0013】その他、香料やメントールなどを配合し、
マスキング(香料等の臭いにより悪臭を遮蔽すること)
により臭いを感じにくくする製剤が市販されているが、
消臭効果の有無は不明である。
【0014】このように、従来の技術では、即効性、安
全性などの点で優れた消臭剤を提供することが困難であ
り、臭いに悩む患者の増加に対する対応は充分ではなか
った。従って、即効性および安全性に優れた消臭効果を
示す消臭剤が切望されていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、即効性、安
全性、及び消臭効果に優れた消臭剤を提供することを目
的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述した如き
課題に鑑みて、塩化亜鉛を対照として様々な薬物を調査
研究した結果、即効性にすぐれた消臭作用を有する組成
物を見い出し、ここに本発明を完成するに至った。ここ
でいう本発明の消臭作用を有する口腔用組成物には、口
腔用消臭剤、口腔用消臭組成物、口腔用組成物からなる
消臭剤が包含される。本発明は、以下の項1〜項9に関
する。 項1.オキシ塩化ビスマス、酸化ビスマス、および次硝
酸ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種の
ビスマス化合物を含んでなる、消臭作用を有する口腔用
組成物。 項2.オキシ塩化ビスマスを含んでなる、消臭作用を有
する口腔用組成物。 項3.粘弾性食品の形態である、請求項1又は2に記載
の消臭作用を有する口腔用組成物。 項4.請求項1ないし3に記載の口腔用組成物を含んで
なるペットフード。 項5.オキシ塩化ビスマス、酸化ビスマス、および次硝
酸ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種の
ビスマス化合物を含んでなるペット用消臭剤。 項6.オキシ塩化ビスマスを含んでなるペット用消臭
剤。 項7.オキシ塩化ビスマス、酸化ビスマス、および次硝
酸ビスマスよりなる群から選択される少なくとも1種の
ビスマス化合物を含んでなる、ヒト又はペットの排泄物
を処理するための消臭用衛生用品。 項8.オキシ塩化ビスマスを含んでなる、ヒト又はペッ
トの排泄物を処理するための消臭用衛生用品。 項9.前記請求項1〜8のいずれかに記載の組成物を口
腔内に滞留させることを特徴とする消臭方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の消臭用組成物には、ヒト
又はペットの口臭及び排泄物臭を抑制する口腔用消臭組
成物、ペットの排泄物臭を抑制するペット用消臭剤、及
びヒト又はペットの排泄物を処理するための消臭用衛生
用品が含まれる。
【0018】本発明の組成物中、消臭効果が得られるに
充分なビスマス化合物の配合量は、当該組成物全体の0.
5 w/v %以上、好ましくは1 w/v %以上である。
【0019】オキシ塩化ビスマスは、化粧品原料基準に
おいて5〜20%配合するとしている。本願口腔用組成物中
のオキシ塩化ビスマス配合量は、消臭効果が得られるに
充分な当該組成物全体の0.5 w/v %以上となるよう、且
つ1日の摂取量が4.0g以下(1回の適用につき1.0g以
下)となるように配合すればよい。例えば、チューイン
ガムや洗口剤など飲み下さない形態の場合には、1回の
適用につき0.25g〜1.0g程度適宜配合し得る。キャラ
メルやキャンディなどある程度の時間口腔内に滞留した
のち飲み下される形態においては、1回の適用につき0.
025g〜0.6g程度適宜配合し得る。
【0020】酸化ビスマスを含む口腔用組成物に関して
は、消臭効果が得られるに充分な配合量として当該組成
物全体の0.5 w/v %以上となるよう適宜配合すればよ
い。例えば、チューインガムや洗口剤など飲み下さない
形態の場合には、1回の適用につき0.25g〜1.0g程度
適宜配合し得る。キャラメルやキャンディなどある程度
の時間口腔内に滞留したのち飲み下される形態において
は、1回の適用につき0.025g〜0.6g程度適宜配合し得
る。
【0021】次硝酸ビスマスは止寫薬としても用いられ
る薬剤であり、用量は1回0.6g~1g、1日2gとされてい
る。従って、本願口腔組成物中の次硝酸ビスマス配合量
は、消臭効果が得られるに充分な当該組成物全体の0.5
w/v %以上となるよう、且つ1日の摂取量が1g以下、好
ましくは0.6g以下となるように配合すればよい。例え
ば、チューインガムや洗口剤など飲み下さない形態の場
合には、1回の適用につき0.6g〜0.85g適宜配合すれ
ばよい。キャラメルやキャンディなどある程度の時間口
腔内に滞留したのち飲み下される形態においては、1回
の適用につき0.02g〜0.12g程度適宜配合し得る。
【0022】本発明の消臭組成物の形状としては、液
状、ゲル状、ペースト状、スプレー状、粉末状、錠剤等
が挙げられ、目的に応じて適宜選択され得る。
【0023】本発明の口腔用組成物には、口腔内または
体内でビスマス化合物が消臭防止効果を充分発揮できる
程度に放出され得る形態をとる食品、化粧品または医薬
品製剤が包含される。
【0024】本願口腔用組成物の食品形態としては、限
定されるものではないが、チューインガム、チューイン
グキャンディ、ソフトキャンディ、グミ、ゼリービーン
ズ、キャラメル、マシュマロ、ヌガー、フォンダン、フ
ァッジ及びタフィー等の粘弾性食品が例示される。これ
ら粘弾性食品は、物理的にも口臭原因物質を取除く等の
利点がある。この中でも特に、口腔内に一定時間以上滞
留してビスマス化合物を放出する点や歯や歯肉の表面に
適度に接触するという点において、チューインガムは最
も好ましい。
【0025】また、口中に長く滞留させて溶解させるよ
う設計されたものとしては、トローチ、カプセル、ドロ
ップ、シュガータブレット、及びバタースカッチ等が挙
げられる。
【0026】さらに、本願組成物をペットの口臭及び排
泄臭の消臭用途として使用する場合には、上述の態様に
加え、ジャーキー、ガム、ビスケット等のスナック類、
ドッグフード、キャットフードなどの飼料に混合して用
いることもできる。
【0027】本発明の口臭防止用口腔用組成物の他の好
ましい実施形態としては、洗口剤、練り歯磨、粉歯磨、
液体歯磨、義歯安定剤、液体口中清涼剤、口中清涼カプ
セル、歯科用セメント、歯科用充填剤、口腔内壁に貼着
する粘着パッチ等が挙げられるが、これらに限定するも
のではない。
【0028】本願口腔用組成物の口臭防止用組成物とし
ての実施形態は、洗口剤やチューインガムなど、一度口
腔内に入れて滞留させたのち、吐き出す形態のものが好
ましい。
【0029】口臭防止の方法としては、液体、例えば洗
口剤の形態で口臭予防を図ることも、チューインガムや
スプレー等の形態で適宜口腔内に適用することもでき
る。このように、本発明の組成物を用いれば、時や場所
を選ばず、TPOに応じた口臭防止を達成することが可能
である。
【0030】本発明の一実施態様として、口臭予防効果
を得るために、本発明の口臭防止用組成物を練りこんだ
歯ブラシ、歯間ブラシ、舌ブラシ、口腔ブラシ、口腔綿
棒等の口腔内清掃具を用いることができる。
【0031】本発明の別の実施態様として、口腔用途以
外にも、ビスマス化合物を含有するペット用消臭剤を提
供することも可能である。例えばペットの排泄用砂場な
どに混ぜたり、排泄箇所に直接振りかけるなどして適用
される。
【0032】本発明のさらに別の態様においては、ヒト
又はペットの排泄物を処理するための、ビスマス化合物
を含む消臭用衛生用品を利用できる。該衛生用品には、
消臭効果を有するオムツやナプキン、シート等が含ま
れ、これらはパルプ、吸収紙、高分子吸収材等にビスマ
ス化合物を練りこむ或いは吸着させるなどして作製され
得る。また、本願衛生用品として、ビスマス化合物を湿
式または乾式不織布の基布に含ませて消臭効果を有する
ふき取り用ティッシュや濡れティッシュ、ペーパータオ
ル等を作製することも可能である。これらの製品は乳幼
児用・介護ないしケア用・ペット用として用いられ得
る。
【0033】次に、本発明の口臭防止用口腔用組成物の
製造方法の一例として、口臭防止用チューインガムの製
造方法を説明する。本発明の組成物からなるチューイン
ガムは、通常の方法によりガムベースと副原料とから調
製される。
【0034】ガムベースとしては、例えば天然ゴム、酢
酸ビニル樹脂、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポ
リブデン、エステルガム、合成ゴム、合成弾性体、天然
弾性体等が弾性体として挙げられ、これらの中から適宜
選択し単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。ま
た、ワックスとしてライスワックス、カルナウパワック
ス、及びマイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、
これらは単独でも複数組み合わせてもよい。無機質とし
ては、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられ、これらは
単独でも複数組み合わせてもよい。
【0035】また、酢酸ビニル樹脂など伸縮性の高い原
料を使用し軟化剤で調整すれば風船ガムタイプ、天然チ
クルを主体とすればレギュラーガムタイプ等、ガムベー
スに応じてガムのタイプを適宜設計することができる。
【0036】副原料としては、糖類、乳化剤、安定剤、
酸味料、軟化剤、抗酸化剤、保存料、着色料、香料等の
ような慣用の添加剤を含むことができる。これらは単独
でも複数組み合わせてもよい。
【0037】上記ガムベースと副原料を合わせて混練し
て成形すれば、口臭防止効果をもつ本発明のチューイン
ガムが得られる。ガムの形態としては、板状あるいは粒
状いずれの形態をとってもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明の内容をより具
体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるも
のではない。
【0039】≪実施例1≫オキシ塩化ビスマス5w/w%配
合チューインガム剤の使用感および効能I.概要 オキシ塩化ビスマスは、非毒性、無臭の薬物であり、難
溶性であるため味もない(日本公定書協会編、化粧品原
料基準第2版注解、オキシ塩化ビスマスの項:薬事日報
社、1984)。また、チューインガムは本願口腔用組成物
の好ましい形状の1つである。従って、オキシ塩化ビス
マスを配合したチューインガムの使用感およびその効能
について、本薬物を配合しないプラセボと比較検討し
た。
【0040】さらに、塩化亜鉛0.22 w/w %以上を配合し
た洗口剤は著名に口臭を減少させることから、塩化亜鉛
0.22w/w%を配合したチューインガムを試作してこれをア
クティブコントロールとし、口臭の自己検診法により口
臭抑制効果を比較評価した(八重垣 健ら:『臨床家の
ための口臭治療のガイドライン』クインテッセンス出版
株式会社, 2000)。
【0041】II.材料及び実験方法 1) 材料 ガムベースに5w/w%のオキシ塩化ビスマスまたは0.22w/w
%の塩化亜鉛を加え、100℃加温下において撹拌練合し、
冷却後、1個約3gの板状ガムを製し試験製剤とした。ま
た、ガムベースのみを上記と同様の方法で製し、プラセ
ボ製剤とした。 2) 実験方法 6名のボランティアで下記の試験を行った。試験製剤も
しくは対照製剤を10分間咀嚼し、次の項目の官能試験を
行った。 ・試験製剤と対照製剤の味の比較 ・試験製剤と対照製剤の咀嚼感の比較 ・試験製剤又は対照製剤咀嚼後の食物摂取時の味覚変化 ・試験製剤又は対照製剤咀嚼後の飲料摂取時の味覚変化 ・口臭の自己検診法による評価(著効、有効、やや有
効、無効で評価)
【0042】III.結果および考察 表1に、オキシ塩化ビスマス5w/w%配合チューインガム
及び塩化亜鉛0.22w/w%配合チューインガムの使用感の比
較を示した。
【0043】
【表1】 オキシ塩化ビスマス5w/w%配合チューインガムについて
は、咀嚼感の項目において被験者1名が若干のざらつき
感を指摘するに留まった。これは配合したオキシ塩化ビ
スマスの粒子の荒さが関係したものと考えられることか
ら、オキシ塩化ビスマスを配合したチューインガム剤
は、そのプラセボである対照製剤と比較して、使用感に
おいて差がないものと判断できた。
【0044】一方、塩化亜鉛0.22w/w%配合チューインガ
ムについては、「咀嚼感」はプラセボと変わらないもの
の、「渋味」や飲食物摂取時の「味の変化(味を感じに
くくなった)」を訴える者がほとんどであった。これら
の結果から、塩化亜鉛は収斂性が強いため「渋味」や
「味の変化」をもたらしたのではないかと考えられた。
【0045】表2に、オキシ塩化ビスマス5w/w%配合チ
ューインガム及び塩化亜鉛0.22w/w%配合チューインガム
の効能の比較を示した。
【0046】
【表2】 表2の結果においては、プラセボでも「やや有効」とす
る被験者がいるものの、そのほとんどが「口臭は残る」
と評価していた。
【0047】さらに、オキシ塩化ビスマス配合チューイ
ンガムと塩化亜鉛配合チューインガムの自己検診法によ
る効能比較では、オキシ塩化ビスマス配合チューインガ
ムの方が「著効」の評価が多く、よりいっそう優れた効
果を有することがわかった。塩化亜鉛の方が口臭防止効
果が弱い原因として、チューインガム製剤にした場合、
水溶性の塩化亜鉛はすぐに溶け出して唾液とともに飲み
込まれ、口中に留まらないことが考えられた。以上のこ
とから、口臭防止効果があるとしてすでに多くの文献報
告例のある塩化亜鉛を配合したチューインガム剤と比較
して、オキシ塩化ビスマスを配合したチューインガム
は、使用感及び口臭防止効果の両方において有意に優れ
た効果を発揮することが明らかになった。
【0048】≪実施例2≫口臭原因ガス抑制効果の実験I.概要 本願組成物が実際の口臭抑制効果を奏したという前提に
基づき(上記実施例1)、口臭の原因物質のひとつとい
われる揮発性硫黄化合物(VSC)に対する本願組成物の
抑制効果をin vitroにおいて試験した。
【0049】II.材料及び実験方法 1) 材料 ●実験機器及び試薬 ・硫化水素試液:硫化水素(固形、和光純薬工業株式会社
製)を用いて硫化水素試液(第14改正日本薬局方)を調製
する。 ・メチルメルカプタン標準液:メチルメルカプタン標準
液(和光純薬工業株式会社製)を用いる。 ・気体採取器:検知管式気体測定器気体採取器セットGV-
100S(株式会社ガステック製)を用いる。 ・ガス検知管:硫化水素用にはNo.4LK及びNo.4LT、メチ
ルメルカプタン用にはNo.71を用いる。 その他の試薬は和光純薬工業の試薬、または日本薬局方
の薬剤を使用する。 2) 実験方法 被検試料溶液5mLを栓付き試験管に取り、硫化水素試液
もしくはメチルメルカプタン標準液を0.1mL加えて、正
確に1分間強く撹拌し反応させる。その後、200mLのフラ
スコに移し、密閉して25°の室温内に静置し、5分後
に、フラスコ内の気体を検知管式気体測定器にて採取
し、気体中に放出した硫化水素もしくはメチルメルカプ
タンの濃度を測定する。また、対照として被検試料溶液
のかわりに蒸留水を用いて同様の試験を行い、さらに、
アクティブコントロールとして塩化亜鉛を用いて同様の
試験を行い、下記の式により、塩化亜鉛溶液に対する試
料溶液のVSC放出抑制効果を比較検討した。 ●塩化亜鉛溶液による気体中へのVSC放出抑制率 =[(蒸留水作用後の気体中へのVSC放出濃度)-(塩化亜鉛
溶液作用後の気体中へのVSC放出濃度]/(蒸留水作用後の
気体中へのVSC放出濃度) ●試料溶液による気体中へのVSC放出抑制率 =[(蒸留水作用後の気体中へのVSC放出濃度)-(試料溶液
作用後の気体中へのVSC放出濃度]/(蒸留水作用後の気体
中へのVSC放出濃度) ●試料溶液によるVSC放出抑制効力比(塩化亜鉛効力に
対する試料溶液効力の倍率) =(試料溶液の気体中へのVSC放出抑制率)/(塩化亜鉛溶液
の気体中へのVSC放出抑制率)
【0050】III.結果および考察 結果を表3に示した。
【0051】
【表3】 実験結果から、塩化亜鉛と比較すると、オキシ塩化ビス
マスや次硝酸ビスマスによる気体中への硫化水素の放出
抑制効果はほとんど変わりないが、気体中へのメチルメ
ルカプタンの放出抑制効果は約2.5倍から9倍以上の効力
比があり、試料溶液濃度が0.5%以下のものについては無
限倍の効力比があった。既にVSCガス抑制効果が知られ
ており口臭防止剤として利用されている塩化亜鉛と比較
して、オキシ塩化ビスマス及び次硝酸ビスマスはVSCガ
スの放出抑制効果に優れ、特に気体中へのメチルメルカ
プタンの放出抑制効果に優れていることがわかった。口
臭の原因は各人それぞれ異なり、その原因物質もそれぞ
れであるため、口臭抑制のメカニズムは不明であるが、
本願組成物は口臭原因物質のひとつであるVSCガスの抑
制効果を有するだけでなく、さらに実際の口臭の抑制効
果をも具備していることが示された。以上のことから、
多種多様な口臭に悩む様々な人々に本願発明を適用でき
ることが分かった。
【0052】以下の実施例3〜7に、本発明組成物の処
方例を示す。
【0053】≪実施例3≫練り歯磨剤
【0054】
【表4】 製法 サッカリンナトリウムを精製水10gに溶かし、これに残
量の精製水、ソルビット液、オキシ塩化ビスマス及び香
料を加え、別に用意したカルメロースナトリウムの濃グ
リセリン懸濁液を加えて減圧下にて練合する。
【0055】≪実施例4≫液体歯磨剤
【0056】
【表5】 製法 塩酸クロルヘキシジンを加熱した精製水10gに溶かし、
これに残量の精製水、ソルビット液、オキシ塩化ビスマ
ス及び香料を加え、別に用意したカルメロースナトリウ
ムの濃グリセリン懸濁液を加えて減圧下にて練合する。
【0057】≪実施例5≫洗口剤
【0058】
【表6】 製法 クエン酸を精製水5gに溶かし、これに残量の精製水、ソ
ルビット液、オキシ塩化ビスマス及び香料を加え、別に
用意したカルメロースナトリウムの濃グリセリン懸濁液
を加えて減圧下にて練合する。
【0059】≪実施例6≫義歯安定剤
【0060】
【表7】 製法 加温した酢酸ビニルポリマーにエチルアルコール、香
料、精製水及びオキシ塩化ビスマスを加えて減圧下にて
練合する。
【0061】≪実施例7≫チューインガム
【0062】
【表8】 製法 混合機中でガム基剤を加熱溶解し、これにレシチン、D-
ソルビトール、オキシ塩化ビスマス及び香料を加えて混
和後、別にクエン酸をソルビット液5gに溶解したもの及
び残量のソルビット液を加えて減圧下にて練合する。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、即効性および安全性、
及び消臭効果に優れた消臭剤を提供することができる。
【0064】また、他の消臭方法が香料によるマスキン
グで臭いをごまかしたり、臭いの抑制効果が短時間しか
持続しないのに対し、本発明の消臭方法には不快な臭い
の原因ガスを抑制する効果がある。特に口臭に関して
は、呼気性口臭だけでなく腸管由来の口臭までも抑制で
きるため、口臭発生の根本的解決法として極めて有用で
ある。
【0065】ビスマス化合物は難溶性であるため、本願
組成物を洗口剤など口に含む形態の口腔用製剤に配合す
れば、有効成分が舌の乳頭に長く留まるなどの理由か
ら、水溶性の製剤に比べて唾液に流されにくい。このた
め本願組成物は、塩化亜鉛等の水溶性口臭防止剤に比べ
て効能が持続するという有利な特長をもつ。
【0066】チューインガムは、口腔内を清掃してプラ
ークを除去し歯肉状態を改善するという機械的作用と、
添加した化学成分による化学的作用とを有する。本発明
の組成物としてビスマス化合物含有チューインガムを用
いれば、この両作用を発揮するため、効率の良い口臭防
止効果を得ることができる。特に、乳頭に剥離した上皮
細胞や細菌、脂肪滴、食事残さなど付着してできる舌苔
に由来する口臭を効果的に防ぐことができる。
【0067】また、実施例で明らかとなったように、ビ
スマス化合物を含む本願組成物は、食品の味覚や使用感
をも損なうことなく口臭防止を達成し得る。
【0068】本願発明においては、原料として比較的安
価であるビスマス化合物を利用するため、口臭防止用組
成物を低コストで提供することが可能である。
【0069】さらに、オキシ塩化ビスマスは化粧品原料
基準に、次硝酸ビスマスは日本薬局方に収載されてお
り、安全性の高さが確認されていることから、口腔内で
用いる口臭防止剤としての実際的利用に極めて有用であ
ると考えられる。
【0070】本願組成物はまた、口臭のみならず様々な
臭いに悩む患者に適用し得る。例えば、高齢者や障害
者、寝たきりの病人等を介護するに当たり、失禁やオム
ツ換えなどの際の不快な排泄物臭がしばしば指摘され
る。本願組成物の一作用機序に従えば、VSCガスの抑制
により胃や腸の中から効力を発揮する。したがって、本
願組成物を口腔用組成物として或いは衛生用品として適
用することで、排便時の不快な臭いを改善する効果があ
る。このことは、介護による精神的ストレスや時間的束
縛に苦しむ介護者にとって大きな負担の軽減につなが
る。したがって、本願発明は、介護する側と介護される
側の両者にとってより快適な介護環境を提供する上で、
極めて有用である。
【0071】また、ペットを飼育する上での問題の1つ
として、ペット自体或いはその排泄物から発生する臭気
が挙げられる。本願のビスマス化合物含有組成物をペッ
トフードに配合するなどして用いれば、不快なペットの
口臭及び排泄物臭の抑制効果が簡便に得られるため、ペ
ット及び人間にとっても快適な環境が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61F 13/15 A61L 9/01 B 13/472 A61F 13/18 380B A61L 9/01 (56)参考文献 特開 平8−20543(JP,A) 特開 平6−218032(JP,A) 特開 平8−275996(JP,A) 特開 平10−158137(JP,A) 特開 昭59−172414(JP,A) 特公 昭47−39344(JP,B1) 国際公開01/001939(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 A61L 9/00 - 9/22 A23K 1/00 - 3/04 A23G 3/00 - 3/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オキシ塩化ビスマスを有効成分として含ん
    でなる、口腔用消臭組成物
  2. 【請求項2】粘弾性食品の形態である、請求項1に記載
    の消臭作用を有する口腔用消臭組成物
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の口腔用消臭組成物
    を含んでなるペットフード。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載の組成物を口腔内に
    滞留させることを特徴とする消臭方法。
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