JP3510806B2 - 周波数変換回路及び高周波無線通信装置 - Google Patents

周波数変換回路及び高周波無線通信装置

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JP3510806B2 JP36728198A JP36728198A JP3510806B2 JP 3510806 B2 JP3510806 B2 JP 3510806B2 JP 36728198 A JP36728198 A JP 36728198A JP 36728198 A JP36728198 A JP 36728198A JP 3510806 B2 JP3510806 B2 JP 3510806B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周波数変換回路、
信号変換回路、信号増幅回路、歪み補償回路、及び高周
波無線通信装置に係わり、特に、無線通信等で使用する
高周波増幅回路や高周波信号変調回路等の相互変調歪み
を抑制した、周波数変換回路、信号変換回路、信号増幅
回路、歪み補償回路、及び高周波無線通信装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】歪みの発生する回路として、ダブルバラ
ンスミキサを使用した直行変調器を一例に挙げて、以下
従来技術を述べる。一般に、ダブルバランスミキサは2
つの乗算器で構成されており、これら2つの乗算器には
90度位相の異なる信号(データ信号、局部発振信号)
が入力される。それぞれの乗算器は立て積みしたトラン
ジスタが組み合わされて構成され、それぞれにデータ信
号と局部発振信号が入力される。データ信号と局部発振
信号それぞれには差動信号が用いられる場合が多い。こ
れは、コモンモードノイズを除去するためである。
【0003】このように2つの乗算器に入力するデータ
信号及び局部発振信号を90度移相したものとすれば、
これら2つの乗算器からそれぞれ出力される信号を変調
して加算することにより、イメージ信号の抑圧された所
望の信号を出力することが可能である。
【0004】原理的に完全に特性の一致したトランジス
タを用い、各トランジスタに与えるバイアスレベルを適
切に与えることでイメージ信号や局部発振信号の出力へ
のリークは発生しない。
【0005】しかしながら、トランジスタの持つ非線形
性から出力信号には歪み信号が重畳される。歪みが出力
信号に乗ることによって、変調器の場合は変調精度が劣
化し出力信号の質が劣化する。一般に、ダブルバランス
ミキサ等の場合、電流利得△Iは、次式(1)
【0006】
【数1】 で表される。ここで、Cは定数、VLOは局部発振信号
電圧、Vinはデータ信号電圧、Ve は縮退抵抗での発生
電圧である。
【0007】tanhxはx−x3 /3に近似することがで
きるので、各信号を交流波とすることで所望波の近傍に
3次歪波が発生する。特に、直接変調回路ではベースバ
ンド信号の3倍波が所望周波数近傍に発生するため、変
調精度の劣化とともに隣接チャネルへのスプリアスとも
なってしまう。このため、3次歪みを抑えることは重要
な意味を持ってくる。
【0008】所望出力信号は入力信号電力に比例して増
大するのに対し、3次歪みは入力信号電力の3倍に比例
して増大する。したがって、従来、3次歪み信号を抑え
るため、入力信号をある程度低いパワーレベルに抑えて
出力の信号パワーレベルを犠牲にすることにより、歪み
の出力レベルを低く抑えていた。この場合、変調器では
出力電力を抑え、後段のアンプで利得を稼ぐ方法が用い
られるが、消費電力の増加、素子数の増加によるコスト
の増大といった問題があった。
【0009】また、縮退抵抗での発生電圧Ve を大きく
とることにより、入力信号のパワーレベルが高い場合で
も3次歪みを抑えることが可能である。しかしながら、
Veが大きくなるとノイズレベルが増加するため、大き
なVe はNF(雑音指数)の劣化になる。
【0010】さらに、歪みを抑えるためにトランジスタ
のレベルを最適にして設計したとしても、現実のトラン
ジスタはデバイスモデル通りの特性を示さない場合が多
い。特に、トランジスタの寄生容量は大幅にずれること
が多く、設計で得られる歪み抑制特性が現実に得られる
とは限らない。このため、回路設計では、これらのデバ
イス製造誤差を考慮して、各モデルパラメータの設計値
からのずれのマージンを見込んで設計する必要があっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように変調器
の歪みの主要因である3次歪みは出力電力を大きくする
と増大するため、変調器では出力電力を抑え、後段のア
ンプで利得を稼ぐ方法が用いられるが、消費電力の増
加、素子数の増加によるコストの増大といった問題があ
った。
【0012】また、縮退抵抗での発生電圧Ve を大きく
とることにより3次歪みを抑えることが考えられるが、
Ve の増加によりノイズレベルが増加してNFが劣化し
てしまう。
【0013】さらにまた、歪みを抑えることの可能なレ
ベルで設計したとしても、現実のトランジスタでは必ず
しもモデルと一致した特性が得られるわけではなく、モ
デルパラメータのばらつきを考慮した設計が要求されて
いた。
【0014】本発明は、上記実情を鑑みてなされたもの
であり、出力電力を抑えないでも3次歪み等の相互変調
歪みを抑え、現実のトランジスタの特性が設計値からば
らついた場合でも歪みの問題を解決することを目的とす
るものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】(構成)前述した問題を
解決するため、本発明の第1は、信号入力部と高周波局
部発振信号入力部と変換信号出力部を備えた周波数変換
回路であって、前記信号入力部若しくは前記高周波局部
発振信号入力部と前記変換信号出力部とのバイアス電位
差を調整する調整手段を具備することを特徴とする周波
数変換回路を提供する。
【0016】本発明の第1において、以下の構成を備え
ることが望ましい。 (1)前記調整手段は、任意の出力電力時に歪みを最小
化する値に前記バイアス電位差を設定する手段であるこ
と。
【0017】(2)前記歪みは2次以上の歪みであるこ
と。 (3)前記歪みは3次歪みであること。 (4)前記調整手段は、抵抗及びインダクタの少なくと
も一つと可変電圧源から構成されること。
【0018】(5)前記周波数変換回路は信号入力用ト
ランジスタと高周波局部発振信号入力用トランジスタの
立て積みにより構成されること。また、本発明の第2
は、信号入力部と高周波局部発振信号入力部と変換信号
出力部を備えた周波数変換回路であって、前記信号入力
部若しくは前記高周波局部発振信号入力部と前記変換信
号出力部とを結合する非線型回路を具備することを特徴
とする周波数変換回路を提供する。
【0019】本発明の第2において、以下の構成を備え
ることが望ましい。 (1)前記非線型回路は前記信号入力部と前記信号出力
部との電位差に依存する非線型容量回路であること。
【0020】(2)前記非線型容量回路はダイオード素
子若しくはトランジスタ素子から構成されること。 (3)前記非線型容量回路としてのダイオード素子若し
くはトランジスタ素子は、動作時において前記信号入力
部若しくは前記高周波局部発振信号入力部と前記変換信
号出力部との間の当該ダイオード素子若しくはトランジ
スタ素子に電流を流さないように、周波数変換回路の入
力用トランジスタに対して逆方向に(当該ダイオード素
子若しくはトランジスタ素子に逆バイアスが印加される
ように)接続されること。
【0021】(4)前記信号入力部若しくは前記高周波
局部発振信号入力部と前記変換信号出力部とのバイアス
電位差を調整する調整手段を具備すること。 (5)前記調整手段は、任意の出力電力時に歪みを最小
化する値に前記バイアス電位差を設定する手段であるこ
と。
【0022】(6)前記歪みは2次以上の歪みであるこ
と。 (7)前記歪みは3次歪みであること。 (8)前記調整手段は、抵抗及びインダクタの少なくと
も一つと可変電圧源から構成されること。
【0023】(9)前記周波数変換回路は信号入力用ト
ランジスタと高周波局部発振信号入力用トランジスタの
立て積みにより構成されること。また、本発明の第3
は、信号入力部と高周波局部発振信号入力部と変換信号
出力部を備えた周波数変換回路であって、前記信号入力
部若しくは前記高周波局部発振信号入力部と前記変換信
号出力部とを結合する非線型回路を具備し、前記信号入
力部若しくは前記高周波局部発振信号入力部と前記変換
信号出力部とのバイアス電位差が、任意の出力電力時に
歪みを最小化する値に設定されることを特徴とする周波
数変換回路を提供する。
【0024】本発明の第3において、以下の構成を備え
ることが望ましい。 (1)前記歪みは2次以上の歪みであること。 (2)前記歪みは3次歪みであること。
【0025】また、本発明の第4は、信号入力部と変換
信号を出力する信号出力部を備えた信号変換回路の歪み
を補償する歪み補償回路であって、前記信号入力部と前
記信号出力部を結合する非線型回路を具備することを特
徴とする歪み補償回路を提供する。
【0026】また、本発明の第5は、信号入力部と信号
出力部を具備する信号増幅回路の歪みを補償する歪み補
償回路であって、前記信号入力部と前記信号出力部を結
合する非線型回路を具備することを特徴とする歪み補償
回路を提供する。
【0027】また、本発明の第6は、信号入力部と変換
信号を出力する信号出力部を備えた信号変換回路であっ
て、前記信号入力部と前記信号出力部を結合する非線型
回路を具備することを特徴とする信号変換回路を提供す
る。
【0028】また、本発明の第7は、信号入力部と信号
出力部を備する信号増幅回路であって、前記信号入力部
と前記信号出力部を結合する非線型回路を具備すること
を特徴とする信号増幅回路を提供する。
【0029】また、本発明の第8は、高周波無線信号の
入出力を行うアンテナ部と、信号入力部と高周波局部発
振信号入力部と変換信号出力部を有し、前記アンテナ部
で入出力される前記高周波無線信号の周波数変換を行う
周波数変換回路とを備えた高周波無線通信装置であっ
て、前記信号入力部若しくは前記高周波局部発振信号入
力部と前記変換信号出力部とを結合する非線型回路を具
備することを特徴とする高周波無線通信装置を提供す
る。
【0030】さらにまた、本発明の第9は、高周波無線
信号の入出力を行うアンテナ部と、信号入力部と信号出
力部を有し、前記アンテナ部で入出力される前記高周波
無線信号の信号増幅を行う信号増幅回路とを備えた高周
波無線通信装置であって、前記信号入力部と前記信号出
力部とを結合する非線型回路を具備することを特徴とす
る高周波無線通信装置を提供する。
【0031】かかる本発明の第4乃至第9において、以
下の構成を備えることが望ましい。 (1)前記非線型回路は前記信号入力部(または、前記
信号入力部若しくは前記高周波局部発振信号入力部)と
前記信号出力部(または、前記変換信号出力部)との電
位差に依存する非線型容量回路であること。
【0032】(2)前記非線型容量回路はダイオード素
子若しくはトランジスタ素子から構成されること。 (3)前記非線型容量回路としてのダイオード素子若し
くはトランジスタ素子は、動作時において前記信号入力
部(または、前記信号入力部若しくは前記高周波局部発
振信号入力部)と前記信号出力部(または、前記変換信
号出力部)との間の当該ダイオード素子若しくはトラン
ジスタに電流を流さないように、信号変換回路(周波数
変換回路等)又は信号増幅回路の入力用トランジスタに
対して逆方向に(当該ダイオード素子若しくはトランジ
スタ素子に逆バイアスが印加されるように)接続される
こと。
【0033】(4)前記信号入力部(または、前記信号
入力部若しくは前記高周波局部発振信号入力部)と前記
信号出力部(または、前記変換信号出力部)とのバイア
ス電位差を調整する調整手段を具備すること。
【0034】(5)前記調整手段は、任意の出力電力時
に歪みを最小化する値に前記バイアス電位差を設定する
手段であること。 (6)前記歪みは2次以上の歪みであること。
【0035】(7)前記歪みは3次歪みであること。 (8)前記調整手段は、抵抗及びインダクタの少なくと
も一つと可変電圧源から構成されること。
【0036】(作用)本発明によれば、信号入力部若し
くは高周波局部発振信号入力部と信号出力部とのバイア
ス電位差を調整する調整手段を設け、この調整手段のバ
イアス電位差を変化させることにより、信号変換回路や
信号増幅回路の入力端子と出力端子間の電圧(例えばト
ランジスタのベース・コレクタ間電圧等)を当該調整手
段のバイアス電位差に従って直接的に変化させることが
できる。従って、変換信号や増幅信号の3次歪み成分を
効果的に抑制することが可能である。
【0037】また、本発明によれば、信号入力部若しく
は高周波局部発振信号入力部と前記信号出力部とを結合
する非線型回路を用いることにより、信号変換回路や信
号増幅回路の入力端子と出力端子間の電圧(例えばトラ
ンジスタのベース・コレクタ間電圧等)において非線型
性を増大させることができる。非線型性の増大により変
換信号や増幅信号の3次歪み成分をより効果的に抑える
ことができる。即ち、例えばトランジスタのベース・コ
レクタ間容量Cbcは、次式(2)
【0038】
【数2】 で表される。ここで、Areaはトランジスタ数、Cjcはベ
ース・コレクタ接合容量、Vjcはベース・コレクタ接合
電位差であり、Mjcはベース・コレクタ接合傾斜係数で
通常は正の値をとる。従って、上式よりベース・コレク
タ間容量Cbcはベース・コレクタ間電圧Vbcに対して非
線形的に変化する。
【0039】本発明のように調整手段や非線型回路を用
いてベース・コレクタ間電圧Vbcを外部から調整するこ
とにより、上式(2)による3次歪みが発生する。この
場合、上式(2)による3次歪みは前述した式(1)に
よる3次歪みを相殺するように機能するため、適切なベ
ース・コレクタ間電圧Vbcで大幅に3次歪みを抑えるこ
とが可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しつつ詳細に説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の機能構成を示すブロ
ック図である。図1(a)は本発明の信号変換回路の構
成を示すブロック図、図1(b)は当該信号変換回路を
周波数変換回路として用いた高周波無線通信装置の構成
を示すブロック図である。
【0041】図1(a)に示すように、本実施形態の周
波数変換回路は、信号変換回路の信号入力端子と信号出
力端子との間に非線型回路として非線型容量回路が結合
されている。この非線型容量回路により、上記信号変換
回路の信号入力端子と信号出力端子間の電位差及び容量
において非線型性が増大する。また、上記信号変換回路
の信号入力端子若しくは信号出力端子のいずれかに対し
てはバイアスレベル調整回路が接続されている。このバ
イアスレベル調整回路により、上記信号変換回路の信号
入力端子と信号出力端子間の電位差が調整される。
【0042】本発明によれば、上記バイアスレベル調整
回路のバイアス電圧を変化させることにより、上記信号
変換回路の信号入力端子と信号出力端子間の電位差を調
整することができ、入力データ信号の3次歪み成分を効
果的に抑制することが可能である。さらに、非線型回路
の付加により、上記信号変換回路の信号入力端子と信号
出力端子間の電位差及び容量において非線型性を増大さ
せることができ、トランジスタの3次歪みをより効果的
に抑えることができる。
【0043】かかる信号変換回路を周波数変換回路とし
て用いて高周波無線通信装置が図1(b)のブロック図
のように構成される。即ち、周波数変換回路は高周波信
号処理回路を介して高周波無線信号の入出力を行うアン
テナ1と接続されており、当該周波数変換回路には局部
発生信号を発振する発振器2が接続されている。
【0044】以上の高周波無線通信装置に対して外部か
ら高周波無線信号がアンテナ1を介して入力されると、
その入力信号は図1(b)の上の図に示すように高周波
信号処理回路に入力され、この高周波信号処理回路にお
いて所望高周波信号の選択と増幅が行われる。さらに、
この高周波信号処理回路で処理された入力信号は周波数
変換回路に入力され、発振器2からの局部発生信号も同
時に入力されることにより、当該回路において周波数の
変換が行われて信号出力が得られる。これにより外部信
号の受信が行われる。
【0045】また逆に、図1(b)の下の図に示すよう
に信号入力が周波数変換回路にあった場合、発振器2か
らの局部発生信号も同時に入力されることにより、当該
周波数変換回路において入力信号が周波数変換を受け
る。周波数変換を受けた入力信号は高周波信号処理回路
に入力され、上記した処理と逆の処理が行われて、アン
テナ1より外部に信号の出力が行われる。これにより信
号の送信が行われる。
【0046】次に、本実施形態の周波数変換回路の具体
的な回路構成について説明する。図2は、その具体的な
回路構成を示す回路図である。図2に示すように、本実
施形態ではダブルバランスミキサ回路への適用が示され
ている。即ち、2つの乗算器が並列に縦積みして構成さ
れており、この縦積みした2つの乗算器のそれぞれはバ
ランスミキサ回路を構成しており、これらの乗算器によ
ってダブルバランスミキサ回路が構成されている。左右
の乗算器ともに差動信号が入力されるようになってい
る。差動信号を用いることによりコモンモードノイズを
除去することができ、偶数次(二次等)相互変調歪み成
分を取り除くことが可能である。
【0047】左側の乗算器は下段トランジスタQ1、Q
2、及び上段トランジスタQ5、Q6、Q7、Q8から
構成されている。ここで、トランジスタとしては、例え
ばバイポーラトランジスタ(例えばn型エミッタ、p型
ベース、n型コレクタ等)を使用することが可能であ
る。後述するトランジスタも同様である。下段トランジ
スタQ1、Q2のエミッタ端子は縮退抵抗R3を介して
接続されており、コレクタ端子はそれぞれ上段トランジ
スタQ5、Q6のエミッタ端子、及び上段トランジスタ
Q7、Q8のエミッタ端子と接続されている。縮退抵抗
R3は線型性を向上させるためのものである。下段トラ
ンジスタQ1、Q2の入力端子(ベース端子)D1、D
2にはバイアスレベル調整回路が接続されており、この
バイアスレベル調整回路によって下段トランジスタQ
1、Q2それぞれのベース端子とコレクタ端子間の電位
差が後述するように調整される。
【0048】また、上段トランジスタQ5、Q7のコレ
クタ端子は抵抗R1を介して電源線Vccに接続される
とともに出力側のトランジスタQ14のベース端子にも
接続されている。上段トランジスタQ6、Q8のコレク
タ端子は抵抗R2を介して電源線Vccに接続されると
ともに出力側のトランジスタQ13のベース端子にも接
続されている。上段トランジスタQ5、Q8のベース端
子は互いに接続されて入力端子L1を構成し、また上段
トランジスタQ6、Q7のベース端子も互いに接続され
て入力端子L2を構成している。
【0049】下段トランジスタQ1、Q2の入力端子
(ベース端子)D1、D2からは差動データ信号が入力
され、上段トランジスタQ5、Q6、Q7、Q8の入力
端子L1、L2(ベース端子)からは差動局部発生信号
が入力される。以上の構成の左側の乗算器によって当該
差動データ信号及び差動局部発生信号は乗算処理され
る。
【0050】一方、右側の乗算器も左側の乗算器と同様
な構成となっている。即ち、この乗算器は下段トランジ
スタQ3、Q4、及び上段トランジスタQ9、Q10、
Q11、Q12から構成されており、下段トランジスタ
Q3、Q4のエミッタ端子は縮退抵抗R4を介して接続
されており、コレクタ端子はそれぞれ上段トランジスタ
Q9、Q10のエミッタ端子、及び上段トランジスタQ
11、Q12のエミッタ端子と接続されている。縮退抵
抗R4は線型性を向上させるためのものである。下段ト
ランジスタQ3、Q4の入力端子(ベース端子)D3、
D4には前述したバイアスレベル調整回路が接続されて
おり、このバイアスレベル調整回路によって下段トラン
ジスタQ3、Q4それぞれのベース端子とコレクタ端子
間の電位差が後述するように調整される。
【0051】また、上段トランジスタQ9、Q11のコ
レクタ端子は抵抗R1を介して電源線Vccに接続され
るとともに出力側のトランジスタQ14のベース端子に
も接続されている。上段トランジスタQ10、Q12の
コレクタ端子は抵抗R2を介して前述した電源線Vcc
に接続されるとともに出力側のトランジスタQ13のベ
ース端子にも接続されている。上段トランジスタQ9、
Q12のベース端子は互いに接続されて入力端子L3を
構成し、また上段トランジスタQ10、Q11のベース
端子も互いに接続されて入力端子L4を構成している。
【0052】下段トランジスタQ3、Q4の入力端子
(ベース端子)D3、D4からは差動データ信号が入力
され、上段トランジスタQ9、Q10、Q11、Q12
の入力端子L3、L4(ベース端子)からは差動局部発
生信号が入力される。これらの差動データ信号及び差動
局部発生信号はそれぞれ、左側の乗算器の入力端子D
1、D2から入力される差動データ信号、及び入力端子
L1、L2から入力される差動局部発生信号に対して9
0度位相が異なる(移相した)ものである。このように
互いに90度位相が異なる差動データ信号及び差動局部
発生信号を用いることによりイメージ信号を除去するこ
とが可能である。以上の構成の右側の乗算器によって当
該差動データ信号及び差動局部発生信号は乗算処理され
る。
【0053】また、出力側のトランジスタQ13、Q1
4のエミッタ端子はそれぞれ抵抗R5、R6を介して接
地され、コレクタ端子はそれぞれ前述した電源線Vcc
に接続されている。上述した左右の乗算器からの出力
は、トランジスタQ13、Q14を用いて構成されるエ
ミッタフォロワ回路において加算され、差動の所望波が
出力端子O1、O2より出力される。なお、図2におい
てI1、I2、I3、I4はそれぞれ、トランジスタQ
1、Q2、Q3、Q4に流れるエミッタ電流に対する定
電流源を示している。
【0054】本実施形態では、データ信号入力端子D
1、D2、D3、D4に接続されたバイアスレベル調整
回路のバイアス電圧を変化させることにより、それぞれ
トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のベース・コレク
タ間電圧を当該バイアスレベル調整回路の電圧に従って
直接的に変化させることができる。従って、差動データ
信号の3次歪み成分を効果的に抑制することが可能であ
る。
【0055】即ち、当該バイアスレベル調整回路の電圧
を調整し、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のベー
ス・コレクタ間電圧Vbcを調整することによって、この
ように調整した電圧Vbcが前述した式(2)に従って非
線形容量(トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のベー
ス・コレクタ間容量Cbc)としてコレクタ電流に寄与
し、3次歪み成分も発生する。この3次歪み成分が前述
した式(1)によりトランジスタQ1、Q2、Q3、Q
4において発生した3次歪み成分を打ち消すように機能
するので、上記バイアスレベル調整回路の電圧を調整す
ることにより3次歪み成分を抑制することができる。な
お、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のベース・エ
ミッタ間電圧は定電流源I1、I2、I3、I4によっ
て決定されるため、バイアスレベル調整回路の電圧によ
り変動することはない。
【0056】図3は上記実施形態におけるバイアスレベ
ル調整回路の一具体例を示す回路図である。図3におい
て図2と同一部分には同一の符号を付して示し、詳細な
説明は省略する。
【0057】図3に示すように、バイアスレベル調整回
路として可変電圧源と抵抗を組み合わせたものを用いる
ことが可能である。即ち、可変電圧源の一端は接地され
るとともに、他端は当該可変電圧源と直列に接続された
R7、R8、R9、R10を介してそれぞれトランジス
タQ1、Q2、Q3、Q4のベース端子(それぞれ入力
端子D1、D2、D3、D4)に対して接続されてい
る。
【0058】かかる構成のバイアスレベル調整回路にお
いて、可変電圧源の電圧を調整することにより、トラン
ジスタQ1、Q2、Q3、Q4のベース・コレクタ間電
圧Vbcを調整することが可能である。したがって、式
(2)による非線形容量(トランジスタQ1、Q2、Q
3、Q4のベース・コレクタ間容量Cbc)に基づく3次
歪み成分が発生し、この3次歪み成分が上記式(1)に
よるトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4の3次歪み成
分を打ち消すように、上記バイアスレベル調整回路の可
変電圧源の電圧を調整すれば良い。
【0059】図4は、本実施形態によりバイアスレベル
調整電圧(バイアスオフセット電圧)を変化させたとき
のダブルバランスミキサの出力信号成分中の3次歪みの
割合及び所望波信号出力の特性を示す特性図である。図
4に示すようにバイアスレベルを調整することにより3
次歪みを大きく抑制することが可能である。特に、バイ
アス調整電圧が2.0Vの時に3次歪みは最小値となる。一
方、所望波はバイアスレベル調整による変動が無い。こ
の図4に示した特性のように所定のバイアスレベルで設
計することにより、トランジスタの利得特性による3次
歪み(前述した式(1)に内在する3次歪み)とベース
・コレクタ容量による3次歪み(前述した式(2)に内
在する3次歪み)とが相殺され、良好な変調特性が得ら
れる。
【0060】特に、トランジスタのベース・コレクタ容
量のような寄生成分についてはモデルの値と実際の素子
の値とが一致することはまれであり、設計通りの特性が
得られることは困難であるが、本実施形態による周波数
変換回路によれば、デバイス完成後にバイアスレベルを
自由に調整できるため、設計値とのずれやプロセス誤差
による変動を補うことが可能である。
【0061】図5は、本実施形態に係る回路と従来回路
とについてそれらの3次歪みの入出力電圧特性及び所望
波入出力電圧特性を比較した結果を示す特性図である。
ベースバンド信号入力電圧の振幅(BB signal voltage
)としては、所望波出力電圧の振幅(Output voltag
e)が50mV程度になる値が特に望ましい。この時のベー
スバンド信号入力電圧の振幅は0.2Vから0.3V程度であ
り、この時の3次歪みは従来回路と比較して約1/10程度
の小さい値となり、所望波と比較した場合-60dBc前後の
良好な値が得られる。一方、従来回路の所望波と3次歪
みとを比較すると、所望波の出力特性は本実施形態と相
違がないため、-40dBc前後の悪い特性となる。本発明に
よれば、ベースバンド信号入力電圧の振幅が0.1Vから0.
5V程度の場合に、従来回路よりも3次歪みの少ない周波
数変換回路を構成することが可能である。
【0062】以上の入出力電圧特性の結果から、本実施
形態の周波数変換回路によれば高出力設定時に歪みの非
常に低い特性を実現することができ、効率の良い低消費
電力の回路を提供することが可能である。
【0063】さらに、以上の構成の周波数変換回路を図
1(b)に示した高周波無線通信装置の周波数変換回路
部に用いた場合には、歪みの抑制された周波数変換を効
率良く行うことが可能である。
【0064】(第2の実施形態)図6は本発明の第2の
実施形態に係る周波数変換回路の構成を示す回路図であ
る。図6において図2と同一部分には同一の符号を付し
て示し、詳細な説明は省略する。
【0065】図6に示すように、トランジスタQ1、Q
2、Q3、Q4のベース端子(それぞれ入力端子D1、
D2、D3、D4)とコレクタ端子との間には、それぞ
れ非線型回路A、B、C、Dが接続されている。
【0066】トランジスタは高周波で動作させるため
に、その寄生容量ができる限り小さくなるように開発さ
れている。このため、かかるトランジスタのコレクタ・
ベース間容量は通常微小であり、本発明の目的として3
次歪みを十分相殺するに至らない場合がある。このよう
なトランジスタに対しては、この図6のように非線型回
路A、B、C、Dを付加して非線型性を増大させること
が望ましい。非線型性の増大によりトランジスタの3次
歪みをより効果的に抑えることができる。非線型回路
A、B、C、Dとしては非線型容量を用いることが好ま
しい。なお、図6の実施形態(図7の実施形態でも同
じ。)において、図3の実施形態と同様にバイアスレベ
ル調整回路として可変電圧源と抵抗を組み合わせたもの
を用いることが可能である。
【0067】図7は上記実施形態における非線型回路
A、B、C、Dの一具体例を示す回路図である。図7に
おいて図2と同一部分には同一の符号を付して示し、詳
細な説明は省略する。
【0068】図7に示すように、非線型回路A、B、
C、DとしてトランジスタQ21、Q22、Q23、Q
24が設けられており、当該トランジスタQ21、Q2
2、Q23、Q24はそれぞれ信号入力用トランジスタ
Q1、Q2、Q3、Q4のベース端子(それぞれ入力端
子D1、D2、D3、D4)とコレクタ端子との間に接
続されている。
【0069】かかるトランジスタQ21のベース端子及
びコレクタ端子は信号入力用トランジスタQ1のベース
端子(入力端子D1)に接続されており、エミッタ端子
は信号入力用トランジスタQ1のコレクタ端子に接続さ
れている。トランジスタQ21を付加することにより、
信号入力用トランジスタQ1のベース・コレクタ間には
トランジスタQ21のベース・エミッタ間容量Cbeが付
加されることになる。したがって、このベース・エミッ
タ間容量Cbeが信号入力用トランジスタQ1の3次歪み
をより効果的に相殺することが可能となる。
【0070】さらに同様にして、トランジスタQ22、
Q23、Q24のベース端子及びコレクタ端子は、それ
ぞれ信号入力用トランジスタQ2、Q3、Q4のベース
端子(それぞれ入力端子D2、D3、D4)に接続され
ており、エミッタ端子はそれぞれ信号入力用トランジス
タQ2、Q3、Q4のコレクタ端子に接続されている。
これらの信号入力用トランジスタQ2、Q3、Q4にお
いても、トランジスタQ22、Q23、Q24によって
3次歪みが抑制される。
【0071】図8は、本実施形態によりバイアスレベル
調整電圧(バイアスオフセット電圧)を変化させたとき
のダブルバランスミキサの出力信号成分中の3次歪みの
割合及び所望波信号出力の特性を示す特性図である。図
8に示すように、本実施形態の周波数変換回路において
バイアスレベルを調整することにより、その3次歪みの
抑制効果を図4に示した第1の実施形態の回路における
3次歪みの抑制効果よりも十分に大きくすることが可能
である。一方、所望波はバイアスレベル調整による変動
がほとんど無い。このように信号入力用トランジスタQ
1、Q2、Q3、Q4の各ベース・コレクタ間にトラン
ジスタQ21、Q22、Q23、Q24を接続するとよ
り効果的に3次歪みを抑制することが可能である。
【0072】(第3の実施形態)図9は本発明の第3の
実施形態に係る周波数変換回路の構成を示す回路図であ
る。
【0073】図9に示すように、本実施形態では差動信
号を用いないミキサ回路への適用が示されている。即
ち、本実施形態の周波数変換回路は、信号入力用トラン
ジスタQ1、トランジスタQ2、可変電圧源、及び抵抗
R11、R12、R13から構成されている。信号入力
用トランジスタQ1のエミッタ端子は接地されており、
コレクタ端子は互いに直列接続されたトランジスタQ2
及び抵抗R11を介して電源線Vccに接続されてい
る。I1はトランジスタQ1に流れるエミッタ電流に対
する定電流源を示している。この定電流源I1は必ずし
も必要でなく、省略することが可能である。信号入力用
トランジスタQ1のベース端子(入力端子Din)とコ
レクタ端子との間には非線型回路Aが接続されている。
【0074】この非線型回路Aとしては非線型容量回路
を用いることが好ましく、例えば第2の実施形態で述べ
たトランジスタを用いることが可能である。即ち、当該
トランジスタのベース端子及びコレクタ端子を信号入力
用トランジスタQ1のベース端子(入力端子Din)に
接続し、エミッタ端子を信号入力用トランジスタQ1の
コレクタ端子に接続する。
【0075】また、信号入力用トランジスタQ1のベー
ス端子(入力端子Din)は、互いに直列に接続された
抵抗R12及び可変電圧源を介して接地されている。同
様に信号入力用トランジスタQ1のコレクタ端子も互い
に直列に接続された抵抗R13及び可変電圧源を介して
接地されている。
【0076】即ち、バイアスレベル調整回路として、入
力側に互いに直列に接続された抵抗R12及び可変電圧
源が、並びに出力側に互いに直列に接続された抵抗R1
3及び可変電圧源が用いられている。
【0077】以上の構成の信号増幅回路においては、信
号入力用トランジスタQ1のベース端子(入力端子Di
n)にデータ信号が入力され、かつトランジスタQ2の
ベース端子(入力端子Lin)に局部発生信号が入力さ
れると、本実施形態においても、データ信号入力端子D
inに接続されたバイアスレベル調整回路のバイアス電
圧を変化させることにより、トランジスタQ1のベース
・コレクタ間電圧を調整してデータ信号の3次歪み成分
を効果的に抑制することが可能である。さらに、非線型
回路AのトランジスタQ1への付加により、信号入力用
トランジスタQ1の非線型性を増大させることができ、
より効果的に3次歪みを抑制することが可能である。
【0078】(第4の実施形態)図10は本発明の第4
の実施形態に係る信号増幅回路の構成を示す回路図であ
る。
【0079】図10に示すように、本実施形態では信号
増幅回路への適用が示されている。即ち、本実施形態の
信号増幅回路は、信号増幅用トランジスタQ1、トラン
ジスタQ2、可変電圧源、及び抵抗R14、R15、R
16から構成されている。信号増幅用トランジスタQ1
のエミッタ端子は接地されており、コレクタ端子は抵抗
R14を介して電源線Vccに接続されている。トラン
ジスタQ2のベース端子及びコレクタ端子は信号増幅用
トランジスタQ1のベース端子(入力端子Din)に接
続されており、エミッタ端子は信号増幅用トランジスタ
Q1のコレクタ端子に接続されている。
【0080】また、信号増幅用トランジスタQ1のベー
ス端子(入力端子Din)は、互いに直列に接続された
抵抗R15及び可変電圧源を介して接地されている。同
様に信号増幅用トランジスタQ1のコレクタ端子も互い
に直列に接続された抵抗R16及び可変電圧源を介して
接地されている。
【0081】即ち、バイアスレベル調整回路として、入
力側に互いに直列に接続された抵抗R16及び可変電圧
源が、並びに出力側に互いに直列に接続された抵抗R1
6及び可変電圧源が用いられている。また、非線型回路
としてトランジスタQ2が用いられている。
【0082】以上の構成の信号増幅回路において、信号
増幅用トランジスタQ1のベース端子(入力端子Di
n)に信号が入力されると、信号増幅用トランジスタQ
1の増幅作用により入力信号が増幅され、増幅された所
望の信号が出力端子Outから出力信号として得られ
る。
【0083】通常、信号増幅回路においても周波数変換
回路と同様に、所望出力信号は入力信号電力に比例して
増大するのに対し、3次歪みは入力信号電力の3倍に比
例して増大し、この3次歪み信号を抑えることが消費電
力及びコストの低減を図る上からも重要な課題であっ
た。
【0084】本実施形態によれば、前述した実施形態と
同様に、信号入力端子Dinに接続されたバイアスレベ
ル調整回路のバイアス電圧を変化させることにより、ト
ランジスタQ1のベース・コレクタ間電圧を調整して入
力信号の3次歪み成分を効果的に抑制することが可能で
ある。さらに、非線型回路Q2のトランジスタQ1への
付加により、信号入力用トランジスタQ1のベース・コ
レクタ間電圧(容量)の非線型性を増大させることがで
き、より効果的に3次歪みを抑制することが可能であ
る。
【0085】以上の構成の信号増幅回路を図1(b)に
示した高周波無線通信装置の高周波信号処理回路におけ
る増幅回路部に用いた場合には、歪みの抑制された信号
増幅を効率良く行うことが可能である。
【0086】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではない。例えば、上記したバイアスレベル調整回
路を用いずに非線型回路を信号入力用トランジスタに付
加するだけの構成の回路を用いることも可能である。こ
の場合にも、信号入力用トランジスタのベース・コレク
タ間電圧(容量)の非線型性を増大させることができ、
効果的に3次歪を抑制することが可能である。
【0087】また、上記実施形態ではバイアスレベル調
整回路をトランジスタのデータ信号入力端子(ベース端
子)に対して接続したが、局部発生信号入力端子(トラ
ンジスタのベース端子等)に対してバイアスレベル調整
回路を接続することも可能であり、この場合にもトラン
ジスタの入出力端子間等で発生する3次歪みを抑制する
ことが可能である。データ信号入力端子及び局部発生信
号入力端子それぞれに対してバイアスレベル調整回路を
接続すれば、周波数変換回路における3次歪みをより効
果的に抑制することが可能である。
【0088】同様に、上記実施形態では非線型回路、特
に非線型容量回路(トランジスタ等)をデータ信号入力
用トランジスタの信号入力端子(ベース端子)と信号出
力端子(コレクタ端子)間に設けたが、局部発生信号入
力用トランジスタの信号入力端子(ベース端子)と信号
出力端子(コレクタ端子)間に設けることも可能であ
る。この場合にもトランジスタの入出力端子間等で発生
する3次歪みを抑制することが可能である。データ信号
入力用トランジスタ及び局部発生信号入力用トランジス
タそれぞれに対して上記非線型回路を接続すれば、周波
数変換回路における3次歪みをより効果的に抑制するこ
とが可能である。
【0089】また、上記した実施形態では、入力用トラ
ンジスタそれぞれに共通にバイアスレベル調整回路を設
けたが、それぞれの入力用トランジスタ毎に別個にバイ
アスレベル調整回路を設けることも可能である。それぞ
れの入力用トランジスタの特性に応じて適宜最適化して
設ければ良い。
【0090】さらにまた、非線型容量回路としてのトラ
ンジスタ等、バイアスレベル調整回路としての抵抗及び
可変電圧源等の物性値や特性は、信号変換回路や信号増
幅回路に用いられるトランジスタ等の特性に応じて適宜
決定して使用すれば良い。
【0091】また、非線型回路としてトランジスタ素
子、特にバイポーラトランジスタを用いたが、その他の
トランジスタ素子、例えばMESFETやMOSFET
等の電界効果型トランジスタ等を用いることも可能であ
る。かかる電界効果型トランジスタを非線型回路として
用いる場合には、入力用トランジスタとして電界効果型
トランジスタを採用する時、入力用トランジスタのゲー
ト端子に当該電界効果型トランジスタのゲート端子及び
ドレイン端子を、ドレイン端子に当該電界効果型トラン
ジスタのソース端子を接続すれば良い。このように接続
すれば、非線型回路としての当該電界効果型トランジス
タに電流が流れないように、即ち当該電界効果型トラン
ジスタに逆バイアスが印加されるようにすることが可能
である。なお、上記したように非線型回路としてトラン
ジスタを用い、このトランジスタを入力用トランジスタ
に結合する場合には、これらの両トランジスタとして特
性の等しいものを用いることができ、良好に3次歪みを
抑制することができる。
【0092】さらに、非線型回路としてダイオード素子
を用いることも可能であり、この場合、動作時において
信号変換回路や信号増幅回路の入力用トランジスタの入
力端子と出力端子間の当該ダイオード素子に電流が流れ
ないように、即ち当該ダイオード素子に逆バイアスが印
加されるように上記入力用トランジスタに対する接続を
行うと良い。
【0093】また、調整手段(バイアスレベル調整回
路)として抵抗及び可変電圧源の組み合わせを用いた
が、他にインダクタと可変電圧源の組み合わせや抵抗と
インダクタと可変電圧源の組み合わせ、さらには可変抵
抗を用いることも可能である。
【0094】また、信号変換回路として周波数変換回路
を主に取り挙げて説明したが、他の信号変換回路、例え
ばビデオ信号変換回路を用いることも可能である。さら
にまた、上記実施形態ではバイポーラトランジスタ(例
えばn型エミッタ、p型ベース、n型コレクタ等)をト
ランジスタとして用いた例を示したが、逆導電型のトラ
ンジスタを用いることは勿論のこと、MOS型電界効果
トランジスタ等、他のトランジスタを用いることも可能
である。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
変形して実施することが可能である。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ミキサ回路等の信号変換回路或いは信号増幅回路等の回
路において、当該回路への入力信号によって発生する相
互変調歪みの主要な成分である3次歪みを効果的に除去
することができ、回路の出力電力を大きくとることがで
きる。また、調整によって歩留まりの向上を図り、低消
費電力化と低コスト化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の機能構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る周波数変換回
路の構成を示す回路図。
【図3】 第1の実施形態におけるバイアスレベル調整
回路の一具体例を示す回路図。
【図4】 第1の実施形態によりバイアスレベル調整電
圧を変化させたときのダブルバランスミキサの出力信号
成分中の3次歪みの割合及び所望波信号出力の特性を示
す特性図。
【図5】 第1の実施形態に係る周波数変換回路と従来
回路とについてそれらの3次歪みの入出力電圧特性及び
所望波入出力電圧特性を比較した結果を示す特性図。
【図6】 本発明の第2の実施形態に係る周波数変換回
路の構成を示す回路図。
【図7】 第2の実施形態における非線型回路の一具体
例を示す回路図。
【図8】 第2の実施形態によりバイアスレベル調整電
圧(バイアスオフセット電圧)を変化させたときのダブ
ルバランスミキサの出力信号成分中の3次歪みの割合及
び所望波信号出力の特性を示す特性図。
【図9】 本発明の第3の実施形態に係る周波数変換回
路の構成を示す回路図。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係る信号増幅回
路の構成を示す回路図。
【符号の説明】
1…アンテナ 2…発振器 A、B、C、D…非線型回路 Q1〜Q12、Q21〜Q24…トランジスタ R1〜R16…抵抗 L1、L2、Lin…局部発振信号入力端子 L3、L4…90度移相局部発振信号入力端子 D1、D2、Din…信号入力端子 D3、D4…90度移相信号入力端子 O1、O2、Out…信号出力端子 I1〜I4…定電流源 Vcc…電源線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−14902(JP,A) 特開 平5−152877(JP,A) 特開 平4−100303(JP,A) 特開 平8−256021(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03D 7/00 - 7/14 H04B 1/26 H03F 3/193

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の入力信号が入力される第1の信号入
    力用トランジスタと; この第1の信号入力用トランジスタの信号入力端子電圧
    を制御するバイアスレベル調整回路と; 第1の局部発生信号が入力され、前記第1の信号入力用
    トランジスタとで乗算器を構成する第1の局部発生信号
    用トランジスタと; 信号入力端子が前記第1の信号入力用トランジスタの信
    号入力端子に接続され、前記第1の信号入力用トランジ
    スタの信号入力端子と信号出力端子との間に前記第1の
    信号入力用トランジスタに対して逆バイアスが印加され
    るように接続された第1の3次歪み補正用トランジスタ
    とを具備したことを特徴とする周波数変換回路。
  2. 【請求項2】第1の局部発生信号と差動局部発生信号を
    なす第2の局部発生信号が入力され、第1の局部発生信
    号用トランジスタとで差動対を構成する第2の局部発生
    信号用トランジスタを具備し、この第1及び第2の局部
    発生信号用トランジスタで構成される差動対と第1の信
    号入力用トランジスタとで乗算器を構成する請求項1記
    載の周波数変換回路。
  3. 【請求項3】第1の入力信号と差動入力信号をなす第2
    の入力信号が入力される第2の信号入力用トランジスタ
    と; この第2の信号入力用トランジスタの信号入力端子電圧
    を制御する第2のバイアスレベル調整回路と; 信号入力端子が前記第2の信号入力用トランジスタの信
    号入力端子に接続され、前記第2の信号入力用トランジ
    スタの信号入力端子と信号出力端子との間に前記第2の
    信号入力用トランジスタに対して逆バイアスが印加され
    るように接続された第2の3次歪み補正用トランジスタ
    と; 第1の局部発生信号が入力される第3の局部発生信号用
    トランジスタと; 第2の局部発生信号が入力され、第3の局部発生信号用
    トランジスタとで差動対を構成する第4の局部発生信号
    用トランジスタを具備し、この第3及び第4の局部発生
    信号用トランジスタで構成される差動対と第2の信号入
    力用トランジスタとで乗算器を構成する請求項2記載の
    周波数変換回路。
  4. 【請求項4】前記第1及び第2の信号入力用トランジス
    タは夫々定電流源を介して接地されていることを特徴と
    する請求項3記載の周波数変換回路。
  5. 【請求項5】前記第1及び第2のバイアスレベル調整回
    路は共有されていることを特徴とする請求項3乃至4記
    載の周波数変換回路。
  6. 【請求項6】前記第1の信号入力用トランジスタのソー
    ス若しくはエミッタが第1の定電流源を介して接地さ
    れ、かつ、第1の縮退抵抗により相互に接続され、前記
    第1の信号入力用トランジスタのドレイン若しくはコレ
    クタは第1及び第2の局部発生信号用トランジスタのソ
    ース若しくはエミッタと接続され、この第1及び第2の
    局部発生信号用トランジスタのドレイン若しくはコレク
    タには電源電圧が供給され、第1の3次歪み補正用トラ
    ンジスタのソース若しくはエミッタは第1の信号入力用
    トランジスタのドレイン若しくはコレクタに接続され、
    第1の3次歪み補正用トランジスタのドレイン若しくは
    コレクタは第1の信号入力用トランジスタのゲート若し
    くはベースに接続され、第1の3次歪み補正用トランジ
    スタのゲート若しくはベースは第1の信号入力用トラン
    ジスタのゲート若しくはベースに接続され; 前記第2の信号入力用トランジスタのソース若しくはエ
    ミッタが第2の定電流源を介して接地され、かつ、第2
    の縮退抵抗により相互に接続され、前記第2の信号入力
    用トランジスタのドレイン若しくはコレクタは第3及び
    第4の局部発生信号用トランジスタのソース若しくはエ
    ミッタと接続され、この第3及び第4の局部発生信号用
    トランジスタのドレイン若しくはコレクタには電源電圧
    が供給され、第2の3次歪み補正用トランジスタのソー
    ス若しくはエミッタは第2の信号入力用トランジスタの
    ドレイン若しくはコレクタに接続され、第2の3次歪み
    補正用トランジスタのドレイン若しくはコレクタは第2
    の信号入力用トランジスタのゲート若しくはベースに接
    続され、第2の3次歪み補正用トランジスタのゲート若
    しくはベースは第2の信号入力用トランジスタのゲート
    若しくはベースに接続されていることを特徴とする請求
    項4記載の周波数変換回路。
  7. 【請求項7】高周波無線信号の入出力を行うアンテナ部
    と、前記アンテナ部で入出力される前記高周波無線信号
    の周波数変換を行う請求項1乃至6記載の周波数変換回
    路と備えた高周波無線通信装置。
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