JP3509081B2 - ペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法 - Google Patents

ペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ペースト加工用塩化ビ
ニル樹脂の製造方法の改良に関するものである。さらに
詳しくは、本発明は、塩化ビニル樹脂の水性分散液か
ら、粉末粒子にほぐれやすく、分散性の良好なペースト
加工用塩化ビニル樹脂粉体を、油中水滴型(W/O型)
エマルジョンを用いて製造する方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】塩化ビニル樹脂の重要な加工法の一つに
ペースト加工がある。塩化ビニル樹脂のペースト加工
は、ペースト加工用に製造された塩化ビニル樹脂を、可
塑剤、安定剤のほか、必要に応じて顔料、充填剤などの
配合剤とともに混合して液状のプラスチゾルとし、この
液状のプラスチゾルを注型、コーティング、浸漬などの
手段で賦型し、加熱溶融固化させることによって成形品
を得るものである。したがって、ペースト加工用塩化ビ
ニル樹脂には、粒径が非常に微細で可塑剤中に分散して
自由にブラウン運動を行い沈降しないこと、適切な粒度
分布を有すること、表面が平滑で内部が緻密な球形粒子
であること、可塑剤と混合するとき凝集することなく容
易に分散して安定なゾルを形成すること、常温では可塑
剤に膨潤されがたく熟成粘度変化が小さく、高温で溶融
する際には容易に迅速に均一にゲル化することなど、さ
まざまな性能が要求される。また、ペースト加工用塩化
ビニル樹脂は、通常単一粒子が多数凝集して樹脂粒子粉
体を形成しているが、プラスチゾル中において、この集
合体が単一粒子にほぐれる必要があり、もしそのまま粗
大粒子として残存していると、プラスチゾルの流動性に
影響を与えるばかりでなく、プラスチゾルの輸送時の目
づまり、コーティング加工時の筋引きなどのトラブル
や、成形品にした場合に、成形品表面の肌の荒れ及び光
沢低下、さらには成形品の強度低下などの不都合を引き
起こす。 このようなペースト加工上の問題点を防止するために、
これに用いる樹脂粉体は、通常Tylerふるい325
メッシュ全通のような微細な粉体として供給されてい
る。このための樹脂の製造方法としては、塩化ビニル又
は塩化ビニルを主体とする単量体混合物をラジカル発生
型重合開始剤と乳化剤の存在下に、乳化重合あるいは微
細懸濁重合することによって粒径0.05〜5μmの球
形樹脂の水性分散液を得、この水性分散液をスプレー乾
燥を行う方法が採られているが、水分を蒸発乾燥するに
は多量のエネルギーを必要とする。また、こうした方法
で得られた従来の樹脂は微細な粉体であるため、製品の
袋詰め時、並びにプラスチゾル製造に際しての開袋投入
及び混合時の粉体飛散など、作業環境の悪化を引き起こ
すばかりでなく、粉体流動性が悪いため、自動計量、自
動輸送が困難となっている。かかるペースト加工用樹脂
の現状の問題点を解決するために、ペースト加工用塩化
ビニル樹脂の水性分散液から塩化ビニル樹脂を、水に難
溶であって、かつ塩化ビニル樹脂を溶解又は膨潤させな
い有機液体を、該水性分散液に添加することにより、塩
化ビニル樹脂を集合体として水相より分離せしめ、これ
をそのままあるいは造粒させたのち乾燥することによっ
て塩化ビニル樹脂を回収する方法が特公平1−4228
2号公報に提案されている。しかしながら、この方法に
よって種々の問題点は一応改善されているが、脱水後の
湿潤樹脂集合体のまとまりが強く、乾燥工程でのブロッ
キングの発生、乾燥の不均一、粗大粒子の存在による成
形品の表面の粒状突起の発生などの問題があり、また、
樹脂粉末の回収率が約96%程度にとどまり、大量生産
の樹脂としては4%の回収ロスは深刻であり、分離した
水相中に残存する樹脂の回収を行う必要があった。特
に、有機液体の使用量を低減すると樹脂集合体の収率が
低下するという問題があリ、少ない量の有機液体でペー
スト加工用塩化ビニル樹脂集合体を形成しうる方法の開
発が望まれていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、塩化ビニル樹脂の水性分散液から、粉末
粒子にほぐれやすく、分散性の良好なペースト加工用塩
化ビニル樹脂を、少量の有機液体を用いて収率よく製造
する方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニル樹
脂の水性分散液に添加する有機液体として、油中水滴型
(W/O型)のエマルジョンを使用することにより、良
好な性能を有する塩化ビニル樹脂集合体が収率よく得ら
れることを見いだし、その知見に基づいて本発明を完成
した。すなわち、本発明は、ペースト加工用塩化ビニル
樹脂の水性分散液に、水に難溶であってかつ塩化ビニル
樹脂を溶解または膨潤させない有機液体を添加すること
により塩化ビニル樹脂を集合体として水相より分離して
回収する方法において、該有機液体が油中水滴型(W/
O型)のエマルジョンであることを特徴とするペースト
加工用塩化ビニル樹脂の製造方法を提供するものであ
る。 【0005】本発明方法は、基本的には塩化ビニル樹脂
の水性分散液を調製する第1工程、第1工程で得られた
水性分散液を回分式槽型混合機に導き、油中水滴型(W
/O型)のエマルジョンを結合剤として塩化ビニル樹脂
を集合させる第2工程、塩化ビニル樹脂集合体の水性分
散液から、塩化ビニル樹脂集合体を分離回収する第3工
程、及び回収した塩化ビニル樹脂集合体を乾燥する第4
工程から構成される。本発明において用いられるペース
ト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液は、通常の乳化重
合又は微細懸濁重合により製造された塩化ビニルの単独
重合体、又は塩化ビニルを主体とした(通常は70重量
%以上)共重合体、すなわち、塩化ビニルと酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン、
アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル又はマレイン酸などの単量体との共重合体の水
性分散液のことであって、通常のペースト加工に供しう
るものであれば特に制限なく使用することができる。本
発明において用いられる塩化ビニル樹脂の水性分散液
は、通常塩化ビニル樹脂を10〜70重量%程度含有す
るものである。このような水性分散液としては、重合終
了後の塩化ビニル樹脂の水性分散液をそのまま使用して
もよいし、必要ならば一部脱水し、あるいは水を添加し
て用いてもよい。塩化ビニル樹脂の含有量が10重量%
未満では廃水量が製品量に比べて多くなりすぎ不経済で
あるし、塩化ビニル樹脂の含有量が70重量%を超える
と、水性分散液と油中水滴型(W/O型)のエマルジョ
ンとの混合液の粘度が著しく上昇し操業が困難となる。 【0006】本発明方法においては、水に難溶であっ
て、かつ塩化ビニル樹脂の分離回収時において塩化ビニ
ル樹脂を溶解又は膨潤させない有機液体が油中水滴型
(W/O型)のエマルジョンとして用いられる。このよ
うな有機液体としては、一般には融点が20℃以下、常
圧における沸点が本発明の分離回収時の温度以上、好ま
しくは200℃以上のものが望ましい。有機液体として
沸点が分離回収時の温度未満のものを用いた場合には、
この有機液体の揮散を防ぐために圧力容器を使用した
り、揮散した有機液体を回収するための付加設備を必要
とする上に、塩化ビニル樹脂中の有機液体の量を一定に
保つことが容易でなくなるので好ましくない。むろん、
単品としては以上に述べた条件を外れるものであって
も、2種以上の液体の混合物として上述した要件を備え
ているものであれば用いることができる。本発明に用い
る有機液体が水に難溶であることが要求される理由は以
下の2点にある。第1には、水性分散液との混合のあ
と、分離すべき水相への同伴量を減少させて、有機液体
の損失を防ぎ、廃水処理費用を軽減させるためであり、
第2には、水に分散した塩化ビニル樹脂粒子を有機液体
を介して集合せしめるには、樹脂粒子と水との間に有機
液体が粒子表面に存在することが必要であるためであ
る。また、本発明に用いる有機液体が、本発明における
分離回収時の温度において樹脂を溶解又は膨潤させるも
のである場合には、樹脂粒子が変形、変質を起こすため
不都合である。なお、本発明で使用する有機液体は、大
部分が製品樹脂に残留するため、ペースト加工時の操作
性、加工性及び成形品の品質に対し悪影響を与えるもの
は避けなければならない。以上の点からすれば、有機液
体として通常ペースト加工に用いられる液状配合剤を使
用するのが一番自然で合理的である。 【0007】本発明方法においては、有機液体は油中水
滴型(W/O型)のエマルジョンとして塩化ビニル樹脂
の水性分散液に添加される。水性分散液中の塩化ビニル
樹脂粒子は、その表面に有機液体が介在することにより
集合するのであるから、有機液体の使用量が少ないと、
表面に有機液体が付着しない塩化ビニル樹脂粒子が残
り、このような粒子は集合体として回収されず、ペース
ト加工用塩化ビニル樹脂の収量が低下する。一方、塩化
ビニル樹脂粒子の集合体化に用いられる有機液体は、最
終的にはペースト加工用塩化ビニル樹脂中に含まれるの
であり、通常ペースト加工に使用される液状配合剤から
選ばれる。しかし、ペースト加工用塩化ビニル樹脂の用
途は、ペーストコーティングによるビニルレザー、ビニ
ル発泡レザー、ディップコーティング、スラッシュモー
ルディング、回転成形、塩化ビニル樹脂被覆鋼板など多
岐多様にわたり、それぞれに最適の配合処方が選択され
るので、配合処方の選択の自由度を大きくする点から
は、ペースト加工用塩化ビニル樹脂に含まれる特定の有
機液体はなるべく少量であることが望ましい。さらに、
ペースト加工用塩化ビニル樹脂中に含まれる有機液体が
少量であるほど、プラスチゾルを調製する際の塩化ビニ
ル樹脂の分散性が良好である。本発明方法においては、
有機液体は油中水滴型(W/O型)のエマルジョンとし
て塩化ビニル樹脂の水性分散液に添加されるので、エマ
ルジョンの中の水分により有機液体の容積が増大すると
ともに、エマルジョン化によって有機液体の全体積が著
しく増大するので、水性分散液中の塩化ビニル樹脂粒子
の表面への付着効果が大きくなり、有機液体を単独で添
加する場合に比べて、はるかに少ない量の有機液体で塩
化ビニル樹脂粒子の集合化を効率よく達成することがで
きる。従来の有機液体を直接塩化ビニル樹脂の水性分散
液に添加する方法では、有機液体の量を減少することは
難しく、水性分散液中の塩化ビニル樹脂100重量部に
対して有機液体の添加量を3重量部以下にすると、塩化
ビニル樹脂の収率の低下が生じた。さらに、有機液体を
油中水滴型(W/O型)のエマルジョンとして添加する
ことにより、プラスチゾル中の樹脂の分散性も良好とな
る。本発明方法において、油中水滴型(W/O型)のエ
マルジョンとして用いられる有機液体の使用量は、塩化
ビニル樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部である。有機液体の使用量が0.1
重量部未満であると、水性分散液中の塩化ビニル樹脂の
集合体の形成が不十分であり、有機液体の使用量が5重
量部を超えると、空搬ダクトに塩化ビニル樹脂粉体が付
着したり、塩化ビニル樹脂集合体が固くなりペースト調
製時に分散性が悪くなるので好ましくない。また、有機
液体の油中水滴型(W/O型)のエマルジョン中の水の
含有量は20〜50容量%、好ましくは20〜40容量
%である。 【0008】本発明方法においては、有機液体として、
例えば、下記の可塑剤、プロセス油、滑剤などを使用す
ることができる。 (1)ジオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ブ
チルラウリルフタレート、メチルオレイルフタレートな
どのフタル酸アルキルエステル系可塑剤。 (2)トリオクチルトリメリテート、ジエチレングリコ
ールジベンゾエートなどの芳香族カルボン酸エステル系
可塑剤。 (3)ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、ジ
オクチルテトラヒドロフタレートなどの脂肪族二塩基酸
エステル系可塑剤。 (4)トリオクチルフォスフェート、トリクロロエチル
フォスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤。 (5)ジエチレングリコールジカプリレート、1,4ブ
チレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートなど
の脂肪酸グリコールエステル系可塑剤。 (6)ポリエステル系可塑剤。 (7)オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチ
ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
ジイソブチレートなどの脂肪酸エステル系、エポキシ化
大豆油、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ
系、塩素化脂肪酸メチル、塩素化パラフィンなどの塩素
化パラフィン系、コハク酸ジオクチルなどの脂肪族二塩
基酸エステル系の二次可塑剤。 (8)ミネラルスピリット、ミネラルターペンなどの石
油系、ドデシルベンゼンなどの長鎖アルキルベンゼン系
の希釈剤。 (9)高級アルコール、流動パラフィン、高級脂肪酸ア
ルキルエステルなどの液状滑剤。 【0009】本発明方法において用いられる有機液体の
油中水滴型(W/O型)のエマルジョンの調製方法には
特に制限はなく、任意の方法で調製することができる。
油中水滴型(W/O型)のエマルジョンとは、油性の有
機液体の中に微細な水滴が分散しているものである。一
般に工業的に用いられているエマルジョンの調製法に
は、自己乳化油又は可溶化油の状態で自然乳化を行う方
法と、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェット
ミキサー、超音波乳化器などの機械的な手段を使って乳
化を行う強制乳化方法があるが、エマルジョン粒子を微
細にしかつ安定化するためには強制乳化方法が好まし
い。エマルジョンの型が油中水滴型(W/O型)になる
か、水中油滴型(O/W型)になるかは、さまざまな要
因によって支配されるが、中でも乳化剤の影響が大き
く、一般に乳化剤の多く溶ける液相が連続相になりやす
い。そのため、本発明方法において用いられる油中水滴
型(W/O型)のエマルジョンの調製には、HLBの値
の小さい親油性のノニオン性界面活性剤を使用すること
が好ましい。例えば、有機液体としてジイソノニルフタ
レートを用いる場合、界面活性剤としてはHLBが8.
6のソルビタンモノラウレート又はHLBが8.6以下
のノニオン性界面活性剤を用いることが望ましい。 【0010】本発明方法において用いられる油中水滴型
(W/O型)のエマルジョンの調製に際しては、有機液
体に対し0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%
のノニオン性界面活性剤が使用される。ノニオン性界面
活性剤の使用量が0.5重量%未満であれば安定なエマ
ルジョンが形成されないので好ましくない。また、ノニ
オン性界面活性剤の使用量が10重量%を超えると塩化
ビニル樹脂の熱安定性が低下したり、成形品が着色を帯
びるので好ましくない。調製によって得られたエマルジ
ョンの型が、油中水滴型(W/O型)であるか、水中油
滴型(O/W型)であるかは容易に知ることができる。
例えば、エマルジョンの一滴を水面に落とした場合、全
体に広がれば水中油滴型(O/W型)であり、水面に固
まれば油中水滴型(W/O型)であると判定できる。あ
るいは、油溶性の色素を加えて、色が全体に広がれば油
中水滴型(W/O型)のエマルジョンであり、水溶性の
色素を加えて、色が全体に広がれば水中油滴型(O/W
型)のエマルジョンである。さらに、調製によって得ら
れたエマルジョンの電気伝導度を測定することによって
も、エマルジョンの型を判定することができる。本発明
方法において、調製された油中水滴型(W/O型)のエ
マルジョンにさらに親水性のノニオン性界面活性剤を添
加することができる。油中水滴型(W/O型)のエマル
ジョンの生成後に、親水性のノニオン性界面活性剤をゆ
るやかに撹拌しながら添加することにより、油中水滴型
(W/O型)のエマルジョンはさらに安定化される。添
加するノニオン性界面活性剤はHLBが10〜15程度
のものが好ましく、その添加量は有機液体に対して0.
1〜5重量%程度が望ましい。親水性のより強いアニオ
ン性界面活性剤は、油中水滴型(W/O型)のエマルジ
ョンを水中油滴型(O/W型)のエマルジョンに転相さ
せやすいので好ましくない。本発明方法において用いら
れる油中水滴型(W/O型)のエマルジョンの水は、純
粋な水であってもよく、あるいは適当な溶質を溶解した
水溶液であってもよい。例えば、油中水滴型(W/O
型)のエマルジョンの水の中に適当な凝集剤を溶解して
おくことにより、塩化ビニル樹脂の回収率を高めること
ができる。凝集剤としては、例えば、無機低分子系凝集
剤、無機高分子系凝集剤、有機高分子ノニオン系凝集剤
及び有機高分子アニオン系凝集剤などを挙げることがで
きる。これらの凝集剤は1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよく、その添加量は、通常塩化
ビニル樹脂の水性分散液と油中水滴型(W/O型)のエ
マルジョンとの合計重量に対して10〜1000ppm
になるよう選ばれる。凝集剤の添加により、塩化ビニル
樹脂集合体としての収率が向上するとともに、次工程の
水相分離によって得られるウェットケーキがほぐれやす
くなる。 【0011】本発明方法において、ペースト加工用塩化
ビニル樹脂の水性分散液と油中水滴型(W/O型)のエ
マルジョンの混合には、回分式槽型混合機を好適に使用
することができる。回分式槽型混合機としては、撹拌機
や邪魔板を有する公知の混合機が用いられる。混合の程
度は、塩化ビニル樹脂の油中水滴型(W/O型)のエマ
ルジョンによる集合能率に大きな影響を与えるため、好
ましくは混合機の単位容積当たりの混合動力が1kW/
以上であって、混合時間との積が4kW・Hr/m
以上であることが望ましい。本発明方法においては、
回分式槽型混合機において、塩化ビニル樹脂の水性分散
液と油中水滴型(W/O型)のエマルジョンとの混合液
を、通常20〜70℃、かつ使用する有機液体が塩化ビ
ニル樹脂を溶解又は膨潤させない温度で撹拌するが、高
温になるほど有機液体により塩化ビニル樹脂が膨潤され
やすくなるので、50℃以下で撹拌混合することが有利
である。かかる操作により、粒子径50〜500μm、
平均100〜300μmの粒状の集合体を形成させるこ
とができる。この温度が70℃を超えると有機液体が塩
化ビニル樹脂へ吸収され、塩化ビニル樹脂が軟化し合体
化して最終製品がもはやペースト加工に適合しなくなる
おそれがある。次に、油中水滴型(W/O型)のエマル
ジョンを介して集合した塩化ビニル樹脂集合体を水相か
ら分離回収するには、集合体の形状に応じて公知の方
法、例えば、粒子径差を利用してろ布、金網などを用い
る真空脱水法や遠心脱水法、あるいは比重差を利用した
遠心沈降分離法などを用いることができる。 【0012】以下に本発明の態様を列記する。 (1)ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液に、
水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶解又は膨潤さ
せない有機液体を添加することにより塩化ビニル樹脂を
集合体として水相より分離して回収する方法において、
該有機液体が油中水滴型(W/O型)のエマルジョンで
あることを特徴とするペースト加工用塩化ビニル樹脂の
製造方法。 (2)ペースト加工用塩化ビニル樹脂100重量部当た
りの有機液体の使用量が0.1〜5重量部である上記
(1)記載のペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方
法。 (3)ペースト加工用塩化ビニル樹脂100重量部当た
りの有機液体の使用量が1〜3重量部である上記(1)
記載のペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法。 (4)有機液体が親油性ノニオン界面活性剤を0.5〜
10重量%含有するものである上記(1)〜(3)記載
のペースト加工用塩化ビニル樹脂の製造方法。 (5)有機液体の0.1〜5重量%の親水性ノニオン界
面活性剤で油中水滴型(W/O型)エマルジョンを安定
化させる上記(4)記載のペースト加工用塩化ビニル樹
脂の製造方法。 【0013】分離工程において分離された塩化ビニル樹
脂集合体は、次に乾燥工程に送られ、付着水分が除去さ
れる。この乾燥工程においては、ペースト加工時の分散
性を損なわないような条件を設定することが必要であ
る。すなわち乾燥工程中の塩化ビニル樹脂の温度は、通
常70℃以下、好ましくは50℃以下となるようにす
る。すなわち、形成された塩化ビニル樹脂集合体の粒子
径分布に近い状態の粒状を再現するように条件を選ぶ。
乾燥装置としては、被乾燥物の温度を低く維持するため
には減圧の撹拌乾燥機の使用が好ましく、また、樹脂の
粒度が比較的揃っていれば低温乾燥、操業能率向上の点
から、流動床式乾燥機が適当であるが、広く公知の乾燥
装置が使用可能である。乾燥工程においては装置を適当
に選ぶことによって不定形の、あるいは粒度分布の広い
樹脂を製品として得ることも可能であるが、押出型造粒
機などのペレット形成機を工程中に組み込むことによっ
て粒子形状を均質化することも可能である。この場合
も、造粒時に熱や圧力により樹脂が溶融したり有機液体
を吸収したりして、ペースト混練時の分散性を損なうよ
うなことがあってはならない。 【0014】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例における各特
性は下記の方法により判定した。 (1)固液分離性 ○:樹脂集合体がしっかり形成されていて、粒状樹脂の
水分散液を通気量80ml/sec・cm2のろ布を用いて真空
ろ過すると、固液分離が速やかに行われる。 ×:樹脂集合体の形成が不十分でクリーム状であり、ろ
布が目詰まりしてろ過が難しい。 (2)ゾル分散特性 樹脂50gとジ−2−エチルヘキシルフタレート30g
を擂潰機で混合して調製したものにより、ゾル中の樹脂
粒子の粒度NF(North FinessGaug
e)を測定した。溝の深さが直線的に変わる0.5イン
チ幅の鋼製ゲージの、深さ最大位置にある基線上にゾル
をのせ、スクレーパーでゾルを浅い方に向かって引き、
粗大凝集粒子が点として多く現れる位置を読む。0が最
も粗く、8が最も細かい。この数値の8は粒径0に相当
し、4は粒径51μmであり、0は粒径102μmであ
る。NF値が大きいほど、粒子が細かく、よく分散して
いることを示す。 (3)回収率 【数1】 【0015】実施例1 300mlの容器にジイソノニルフタレート100gと親
油性ノニオン性界面活性剤[花王(株)製、レオドールS
P−L10、ソルビタンモノラウレート]5gを入れ、
高速撹拌混合機で3分間混合した。その後水50gを添
加し、さらに10分間混合し油中水滴型(W/O型)の
エマルジョンを得た。ペースト加工用塩化ビニル樹脂の
水性分散液を、あらかじめ目開き250μmの金網を張
ったスクリーンに通し、通過した水性分散液に水を加え
て固形分含有量を35重量%に調整した。次に調整した
塩化ビニル樹脂の水性分散液11kg(樹脂含有量385
0g)を直径20cm、内容量12リットルの槽型混合装
置に入れ、1100rpmで撹拌を開始すると同時に混合
装置底部より、上記の油中水滴型(W/O型)のエマル
ジョンを毎分3.5gの速度で35分間注入した。その
後1100rpmでさらに撹拌混合を90分継続したとこ
ろ、粒状樹脂の水分散液が得られた。この分散液を通気
量80ml/sec・cm2のろ布を用いて真空ろ過し粒状樹脂
を分離したところ6530gの湿潤粒状樹脂が得られ
た。これを小型流動乾燥機で乾燥したところ3890g
の粒状塩化ビニル樹脂が得られた。この粒状塩化ビニル
樹脂についてゾル分散特性を求めた。 実施例2 300mlの容器にジイソノニルフタレート100gと親
油性ノニオン性界面活性剤[花王(株)製、レオドールS
P−L10、ソルビタンモノラウレート]5gを入れ、
高速撹拌混合機で3分間混合した。その後水50gと乳
化剤[花王(株)製、レオドールTW−L120、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレート]2gを添加し
さらに10分間混合して油中水滴型(W/O型)のエマ
ルジョンを得た。ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性
分散液を、あらかじめ目開き250μmの金網を張った
スクリーンに通し、通過した水性分散液に水を加えて固
形分含有量35重量%に調整した。次に調整した水性分
散液11kgを直径20cm、内容量12リットルの槽型混
合装置に入れ、1100rpmで撹拌を開始すると同時に
混合装置底部より上記の油中水滴型(W/O型)のエマ
ルジョンを毎分3.6gの速度で35分間注入した。そ
の後1100rpmでさらに撹拌混合を90分継続したと
ころ、粒状樹脂の水分散液が得られた。この分散液を通
気量80ml/sec・cm2のろ布を用いて真空ろ過し粒状樹
脂を分離したところ6600gの湿潤粒状樹脂が得られ
た。これを小型流動乾燥機で乾燥したところ3910g
の粒状塩化ビニル樹脂が得られた。この粒状塩化ビニル
樹脂についてゾル分散特性を求めた。 【0016】比較例1 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液を、あらか
じめ目開き250μmの金網を張ったスクリーンに通
し、通過した水性分散液に水を加えて固形分含有量35
重量%に調整した。次に調整した水性分散液11kgを直
径20cm、内容量12リットルの槽型混合装置に入れ、
1100rpmで撹拌を開始すると同時に混合装置底部よ
りにジイソノニルフタレートを毎分3.5gの速度で3
3分間注入した。その後1100rpmでさらに撹拌混合
を90分継続したところ、粒状樹脂の水分散液が得られ
た。この分散液を通気量80ml/sec・cm2のろ布を用い
て真空ろ過し粒状樹脂を分離したところ6370gの湿
潤粒状樹脂が得られた。これを小型流動乾燥機で乾燥し
たところ3950gの粒状塩化ビニル樹脂が得られた。
この粒状塩化ビニル樹脂についてゾル分散特性を求め
た。 比較例2 ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散液を、あらか
じめ目開き250μの金網を張ったスクリーンに通し、
通過した水性分散液に水を加えて固形分含有量35重量
%に調整した。次に調整した水性分散液11kgを直径2
0cm、内容量12リットルの槽型混合装置に入れ、11
00rpmで撹拌を開始すると同時に混合装置底部よりに
ジイソノニルフタレートを毎分2.4gの速度で33分
間注入した。その後1100rpmでさらに撹拌混合を9
0分継続したところ、クリーム状の水分散液が得られ
た。この分散液を通気量80cc/sec・cm2のろ布を用い
て真空ろ過し樹脂を分離しようとしたが、ろ布が目詰ま
りを起こし分離できなかった。実施例及び比較例に使用
した有機液体の量、固液分離状況、NF値及び塩化ビニ
ル樹脂の回収率を第1表に示す。 【0017】 【表1】 【0018】実施例1及び実施例2においては、水性分
散液中の塩化ビニル樹脂100重量部に対する有機液体
の使用量が2.1重量部であつても、固液分離状況は良
好であるのに対して、比較例2においては、水性分散液
中の塩化ビニル樹脂100重量部に対する有機液体の使
用量が同じ2.1重量部であっても、水性分散液はクリ
ーム状であり、固液分離しなかった。この結果から、有
機液体の油中水滴型(W/O型)のエマルジョンを用い
ることにより、少ない量の有機液体で水性分散液中の塩
化ビニル樹脂を固液分離しうることが分かる。有機液体
を単独で使用する場合には、比較例1に見られるように
固液分離のためには、塩化ビニル樹脂100重量部当た
り3.0重量部の有機液体が必要であり、それでもな
お、NF値から分かるようにゾルの分散特性がやや劣っ
ていた。 【0019】 【発明の効果】ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分
散液に有機液体を油中水滴型(W/O型)のエマルジョ
ンとして添加することにより、塩化ビニル樹脂粒子を集
合体として得るために必要な有機液体の量を減少させる
ことが可能となり、かつ、塩化ビニル樹脂のプラスチゾ
ル中での分散状態が良好となる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】ペースト加工用塩化ビニル樹脂の水性分散
    液に、水に難溶であってかつ塩化ビニル樹脂を溶解又は
    膨潤させない有機液体を添加することにより塩化ビニル
    樹脂を集合体として水相より分離して回収する方法にお
    いて、該有機液体が油中水滴型(W/O型)のエマルジ
    ョンであることを特徴とするペースト加工用塩化ビニル
    樹脂の製造方法。
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