JP3508383B2 - 帯状材の非接触支持装置 - Google Patents

帯状材の非接触支持装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロータの受圧面
に設けられた多数の噴出孔から噴き出す流体により、例
えば、紙、フィルム、金属帯などの帯状材を非接触で浮
上支持する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置としては、例えば図
4に示すものが知られている。この装置は、水平フロー
タ1を備えたもので該フロータ1の受圧面2に設けられ
た多数の噴出孔3から噴き出す流体により帯状材4を非
接触で浮上支持するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の帯状材の
非接触支持装置においては、フロータ1に対する帯状材
4の入側及び出側部分でフロータ1の受圧面2と帯状材
4との間から流出した流体が帯状材4の長手方向に沿っ
て流れるが、この流れは一般的な現象として次第に流速
が低下して失速し、失速した部分で逆流する。この結
果、図5(図4のA部詳細図)に示すように、帯状材4
に沿って形成される境界層が途中で剥離して激しい圧力
変動が発生し、該圧力変動により帯状材(特に板厚が
0.15mm以下の薄いもの)4にばたつきが生じて帯
状材4が折れたり表面をコーティングした帯状材4の場
合等にはコーティング材に疵が付く等の問題がある。
【0004】なお、特公平1−33413号公報には、
図6に示すように、フロータ1の受圧面2に帯状材4の
幅方向に延在する邪魔板5を立設して帯状材4と受圧面
2との間から流出する流体の量を減らして圧力損失を少
なくし、これにより流量原単位を向上させた技術が開示
されている。
【0005】この技術内容は、帯状材4の長手方向に沿
って流れる流体の量が減少するが帯状材4と邪魔板5の
先端の間から流出する流体の流速(流圧)が増すため
に、上述した失速部分での圧力変動による帯状材4のば
たつきを十分に解消することができず、更に邪魔板5の
先端が帯状材4に接近するために該帯状材4に接触疵が
付くおそれがある。
【0006】本発明はかかる不都合を解消するためにな
されたものであり、帯状材のばたつきを防止することが
できると共に、該帯状材に接触疵が付かないようにする
ことができる帯状材の非接触支持装置を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明のうち請求項1に係る帯状材の非接触支持
装置は、フロータの受圧面に設けられた多数の噴出孔か
ら噴き出す流体により帯状材を非接触で浮上支持する装
置において、前記フロータの受圧面から前記帯状材の長
手方向に所定距離離間した位置に、前記フロータの幅方
向の両側部から延設されたブラケットを介して邪魔板を
設置し、前記フロータと前記邪魔板との間に、前記受圧
面と前記帯状材の間から該帯状材の長手方向に沿って流
しようとする前記流体の一部を前記フロータと前記邪
魔板にて形成される隙間から逃がす導出部を設けたこと
を特徴とする。また、本発明のうち請求項2に係る帯状
材の非接触支持装置は、フロータの受圧面に設けられた
多数の噴出孔から噴き出す流体により帯状材を非接触で
浮上支持する装置において、前記フロータの受圧面から
前記帯状材の長手方向に所定距離離間した位置に、邪魔
板を設け、該邪魔板の上面が前記受圧面と同一レベルあ
るいは下方に位置するように前記邪魔板を配置すると共
に、前記受圧面と前記帯状材の間から該帯状材の長手方
向に沿って流出しようとする前記流体の一部を前記邪魔
板の両側部に逃がす導出部を設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図1を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態
の一例である鋼帯の非接触支持装置を説明するための説
明的概略図である。なお、従来例と重複する部分につい
ては、同一符号を付して説明する。
【0009】この装置は、図1に示すように、水平フロ
ータ1を備えたもので、該フロータ1の受圧面2には空
気を噴出する多数の噴出孔3が穿設されている。フロー
タ1には空気供給管(図示せず。)の一端が連結されて
おり、該供給管の他端はポンプ、ブロワ又はコンプレッ
サなどの空気供給装置(図示せず。)に連結されてい
る。空気供給装置から空気供給管を経てフロータ1内の
チャンバー(図示せず。)に空気を供給することによ
り、噴出孔3から所定の圧力の空気が噴き出し、これに
より、鋼帯Sがフロータ1の受圧面2に非接触で浮上支
持されるようになっている。
【0010】なお、この実施の形態では、受圧面2をパ
ンチングメタル等で形成して多数の円形の噴出孔3を等
間隔で配設しているが、噴出孔3の形状は特に限定され
ず、例えば、円形に代えて矩形あるいはスリット状の噴
出孔としてもよい。また、この実施の形態では、流体と
してコスト上の観点から空気を採用しているが、これに
限定されず、鋼帯Sを浮上支持できる限りにおいて、例
えば窒素等の他の流体を用いてもよい。
【0011】また、フロータ1の受圧面2から鋼帯Sの
長手方向に所定距離(この実施の形態では約20cmと
する。)離間した位置には、鋼帯Sの幅方向に長い長方
形状の邪魔板6が配置されている。邪魔板6は短手方向
(幅方向)を上下方向に向けた状態でフロータ1の幅方
向の両側部から延設されたブラケット6aを介してフロ
ータ1に固定されている。これにより、邪魔板6とフロ
ータ1との間に、受圧面2と鋼帯Sの間から鋼帯Sの長
手方向に沿って流出しようとする空気の一部を外部に導
出する導出部7が形成されている。また、邪魔板6の上
端面は、フロータ1の受圧面2とほぼ同一レベルとされ
ている。なお、この実施の形態では、フロータ1に対す
る鋼帯Sの入側部分にのみ邪魔板6を図示しているが、
出側部分にも入側部分と同様に邪魔板6を対称配置して
導出部7を設けている。
【0012】このように、この実施の形態では、受圧面
2と鋼帯Sの間から鋼帯Sの長手方向に沿って流れよう
とする空気の一部を邪魔板6の手前に位置する導出部7
(邪魔板6の長手方向の両側部も含む。)から外部に逃
がしているので、邪魔板6と鋼帯Sとの間から鋼帯Sの
長手方向に沿って流れる空気の残部は、導出部7から逃
げた空気の分だけ流量及び流速共に減少することにな
る。この結果、失速部分での境界層の剥離に伴う圧力変
動が従来に比べて大幅に減少して鋼帯Sのばたつきを良
好に防止することができる。また、邪魔板6はフロータ
1の受圧面2と同一レベルあるいは受圧面2より下方に
配置することが可能なため、邪魔板6が鋼帯Sに接近す
ることがなく該鋼帯Sに接触疵が付くのを良好に防止す
ることができる。
【0013】なお、上記実施の形態では、鋼帯Sの入側
及び出側部分に邪魔板6を一個ずつ配置した場合を例に
採ったが、これに限定されず、図1に二点鎖線で示すよ
うに、鋼帯Sの入側及び出側部分に邪魔板6を鋼帯Sの
長手方向に沿って所定間隔で二個あるいはそれ以上ずつ
配置して複数の導出部7を形成するようにしてもよい。
導出部7の数が多いほど、鋼帯Sの長手方向に沿って流
れる空気の流量及び流速が減少する。
【0014】また、上記実施の形態では、邪魔板6をフ
ロータ1から離して設けているが、図2に示すように、
フロータ1の受圧面2から鋼帯Sの長手方向に離間した
位置でフロータ1の側壁に邪魔板6を直接固定してもよ
い。この場合、邪魔板6の長手方向の両側部のみに、受
圧面2と鋼帯Sの間から鋼帯Sの長手方向に沿って流れ
ようとする空気の一部を外部に逃がす導出部8が形成さ
れるため、導出部8から逃げる空気の量が上記実施の形
態より少なくなるが、受圧面2から邪魔板6が固定され
るフロータ1の側壁までの寸法を長くする等して側方の
開口面積を広くすることにより上記実施の形態と同様の
効果を得ることができ、また、フロータ1に固定するた
のブラケット6aが不要になるため構造的に簡単にな
る。
【0015】さらに、上記実施の形態では、水平フロー
タ1を備えた非接触支持装置に本発明を適用した場合を
例に採ったが、これに限定する必要はなく、図3に示す
ように、円筒状のフロータ9又はその他の形状のフロー
タを備えた非接触支持装置にも本発明を適用できるのは
勿論である。
【0016】上記の説明から明らかなように、本発明に
よれば、フロータの受圧面と帯状材の間から該帯状材の
長手方向に沿って流れようとする流体の一部を受圧面か
ら帯状材の長手方向に所定距離離間した位置に設けられ
た導出部から外部に逃がしているので、帯状材の長手方
向に沿って流れる残部の流体は、導出部から逃げた流体
の分だけ流量及び流速共に減少することになり、この結
果、失速部分での境界層の剥離に伴う圧力変動が従来に
比べて大幅に減少して帯状材のばたつきを良好に防止す
ることができ、しかも、邪魔板はフロータの受圧面と同
一レベルあるいは受圧面より下方に配置することが可能
なため、邪魔板が帯状材に接近することがなく該帯状材
に接触疵が付くのを良好に防止することができるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である鋼帯の非接触
支持装置を説明するための説明的断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態である鋼帯の非接触支
持装置を説明するための説明的断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態である鋼帯の非接触支
持装置を説明するための説明的断面図である。
【図4】従来例を説明するための説明的断面図である。
【図5】図4のA部詳細図である。
【図6】他の従来例を説明するための説明的断面図であ
る。
【符号の説明】
1…フロータ 2…受圧面 3…噴出孔 S…鋼帯(帯状材) 6…邪魔板 7…導出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 陽俊 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平6−305619(JP,A) 特開 昭53−305619(JP,A) 特表 昭63−501709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 20/14 B21D 43/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フロータの受圧面に設けられた多数の噴
    出孔から噴き出す流体により帯状材を非接触で浮上支持
    する装置において、 前記フロータの受圧面から前記帯状材の長手方向に所定
    距離離間した位置に、前記フロータの幅方向の両側部か
    ら延設されたブラケットを介して邪魔板を設置し、前記
    フロータと前記邪魔板との間に、前記受圧面と前記帯状
    材の間から該帯状材の長手方向に沿って流出しようと
    る前記流体の一部を前記フロータと前記邪魔板にて形成
    される隙間から逃がす導出部を設けたことを特徴とする
    帯状材の非接触支持装置。
  2. 【請求項2】 フロータの受圧面に設けられた多数の噴
    出孔から噴き出す流体により帯状材を非接触で浮上支持
    する装置において、 前記フロータの受圧面から前記帯状材の長手方向に所定
    距離離間した位置に、邪魔板を設け、該邪魔板の上面が
    前記受圧面と同一レベルあるいは下方に位置するように
    前記邪魔板を配置すると共に、前記受圧面と前記帯状材
    の間から該帯状材の長手方向に沿って流出しようとする
    前記流体の一部を前記邪魔板の両側部に逃がす導出部を
    設けたことを特徴とする帯状材の非接触支持装置。
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