JP3507011B2 - ブラジャー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤー入りのブ
ラジャーに関する。

【０００２】

【従来の技術】胸部の補整効果を高めるために、カップ
の下縁に沿ってワイヤーチャネル部を設け、このワイヤ
ーチャネル部内に弧状のワイヤーを収納したブラジャー
が知られている。従来、このようなワイヤー入りブラジ
ャーのカップは、表布の裏面にパッド及び裏布を順次重
ね、その下縁に沿ってワイヤーチャネル部を構成するた
めのテープを裏側からあてがい、テープをパッド及び裏
布と共に表布に縫着して、テープと表布との間にワイヤ
ーチャネル部を形成していた。

【０００３】ところで、ブラジャーのカップに乳房部を
収納すると、カップの形状及び大きさに様々なバリエー
ションがあるとはいえ、既製品のブラジャーではカップ
と乳房部の形状との間に多少の誤差があるため、カップ
は乳房部の形状に応じて変形しようとする。また、ワイ
ヤーにより乳房部を下から支えて前方上方に押し上げ、
さらに、肩紐により乳房部を吊り上げるので、パッドの
下部に縦方向の引張力が加わる。しかし、乳房部を美し
く形作るために、ワイヤーチャネル部にはほとんど伸縮
性が付与されていないため、上記従来のブラジャーで
は、ワイヤーチャネル部に縫いつけられたパッドの移動
も規制されてしまう。

【０００４】従って、表布及び裏布にストレッチ素材を
用いても、動きが規制されたパッドに邪魔されて、カッ
プが乳房部の大きさや形状或いは着用者の動きに合わせ
て十分変形することができず、窮屈で不自然な着用感を
与えることになる。また、ワイヤーチャネル部によって
変形を拘束されないよう、パッドを他部材に固着せず
に、表布と裏布との間に完全に独立した状態で収納する
ことも考えられるが、このようにすると、激しい運動や
洗濯等によってパッドが折れ曲がったり、位置ずれを起
こし、しかも、ずれたパッドを元の位置に戻すのが困難
であるため、実用的でなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、補整効果
がありながら、カップが乳房部の形状或いは動きに追随
して変形し、自然な着用感が得られ、洗濯等によってパ
ッドが折れ曲がったり、ずれる心配がなく、加工も簡単
なブラジャーを提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のブラジャーは、
伸縮性を有する表布及び裏布と、下縁に沿って配設され
たワイヤーチャネル部と、表布と裏布との間に収納され
たパッドとから成るカップを備え、前記パッドの周縁部
を前記裏布又は／及び表布に固着してある。前記パッド
の下縁部をワイヤーチャネル部から径方向内側へ隙間を
あけた位置において裏布又は／及び表布に固着してあ
る。 乳房部とカップとの形状や大きさに誤差があった
り、着用者の動作によって、カップの下部に縦方向の引
張力が加わると、ワイヤーチャネル部とパッドに対する
固着部との間において表布及び裏布が伸長すると共に、
パッドがワイヤーチャネル部に拘束されずに移動し、カ
ップが十分に変形する。 また、パッドの周縁部を裏布
又は／及び表布に固着したことにより、洗濯等によって
パッドが折れ曲がったり、ずれるのを防ぐ。

【０００７】パッドの角部及び下縁の所々を裏布又は／
及び表布に固着して、各固着部の間に変形容易部を形成
し、引張力が加わったときに、変形容易部が上方に凸に
湾曲して、カップがより自由に変形できるようにしても
良い。また、パッドの角部及び下縁の全長を裏布又は／
及び表布に固着し、加工し易くすることもできる。パッ
ドの下縁外側部をワイヤーチャネル部に固着すると共
に、パッドの角部と下縁中央部及び内側部の所々とを裏
布又は／表布に固着することもある。カップの外側にお
いて、パッドの変形がワイヤーチャネル部によって規制
されると共に、パッドの内側部が乳房部の形状に応じて
変形するので、良好な着用感を保ったまま、乳房部が内
側に引き寄せられる。

【０００８】カップの側辺に沿ってストレッチテープを
装着してある場合は、このストレッ チテープによってパ
ッドの側縁の伸長が阻害されないように、パッドの側縁
をストレッチテープからやや隙間を開けて裏布又は／及
び表布に固着することが望ましい。 カップの上縁及び側
縁はワイヤーチャネル部によって拘束されずに比較的自
由に変形するので、その所々を裏布又は／及び表布に固
着しても良いし、全長に亘って裏布又は／及び表布に固
着しても良い。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１乃至図３は本発明の第１の実
施形態を示す。図２に示すように、ブラジャー１は、左
右１対のカップ２と、カップ２の外端部からそれぞれ背
部に延びる背部バンド３と、カップ２の上端から背部バ
ンド３の上端に亘って取り付けられた１対の肩紐４とを
有する。カップ２は、図１に示すように、伸縮性を有す
る表布５及び裏布６と、下縁に沿って配設されたワイヤ
ーチャネル部７と、表布５と裏布６との間に形成された
袋状部に収納されたパッド８とから成る。また、背部バ
ンド３の上縁、カップ２の側辺及び肩紐４の外縁に沿っ
てストレッチテープ１３が装着されている。

【００１０】表布５及び裏布６は、ツーウェイトリコッ
ト、ベア天竺、その他の弾性糸を含む編地より成り、裏
布６は表布５よりも一回り小さく形成される。また、表
布５の上縁は裏側に折り返されて、裏布６の上縁に逢着
されている。表布５及び裏布６の下縁に沿って、ワイヤ
ーチャネル部７を構成するためのテープが配設され、そ
の周縁が表布５及び裏布６に縫着される。そして、テー
プと表布５及び裏布６との間に形成されたワイヤーチャ
ネル部７内に、弧状のワイヤー７’が収納されている。

【００１１】 パッド８は、ポリウレタン、ファイバー
フィル不織布等を素材とし、モールド成形したり、複数
の部材を縫い合わせるいわゆるカットアンドソー成形に
より、裏布６よりも一回り小さい乳房形状に形成されて
いる。 パッド８の角部を含む周縁部の所々は、裏布６
に縫い止めることによって固着され、この固着部９の間
に変形容易部分が形成されている。なお、パッド８の下
縁は、ワイヤーチャネル部７から径方向内側へやや隙間
を開けた位置において裏布６に縫着され、パッド８の側
縁は、カップ２の側辺に装着されたストレッチテープ１
３からやや隙間を開けて裏布６に縫着されている。ま
た、パッド８と裏布６との固着を、裏布６、表布５及び
ワイヤーチャネル部７の接合以前に行うのは言うまでも
ない。

【００１２】パッド８の角部とは、通常、左右両端部と
肩紐取付部であるが、肩紐取付部においては、カップ２
に加わる乳房部の重量を肩紐４に伝えるために、パッド
８を裏布６と共に肩紐４の端部に縫着すると良い。さら
に、パッド８と裏布６との固着部９間の距離は、パッド
８の伸縮性によって適宜変更できる。パッド８の素材
が、ハイストレッチポリウレタンのように伸縮性の高い
ものの場合には、ワイヤーチャネル部７によって伸縮が
拘束されにくいので固着部９間の距離を短くでき、伸縮
性の低い不織布等の場合は、固着部９間の距離を長くす
る必要がある。

【００１３】このブラジャー１を着用した場合に、カッ
プ２と乳房部との形状の差や身動きによって、カップ２
の下部に引張力が加わると、先ず、裏布６が固着部９と
ワイヤーチャネル部７との隙間の部分において伸張する
と共に、表布５も裏布６に追随して伸長し、さらに裏布
６と一緒にパッド８が移動して、カップ２が乳房部の形
状や着用者の身動きに応じて変形する。より大きな引張
力が加わると、図３に示すように、ワイヤーチャネル部
７に縫着された裏布６によって移動が規制された固着部
９以外の部分において、パッド８の下縁がカップ２の中
心方向に引き寄せられて湾曲し、カップ２の変形が増大
する。また、ストレッチテープ１３の伸縮性は表布５及
び裏布６よりも劣るが、パッド８の側縁はストレッチテ
ープ１３からやや隙間を開けて縫着されているので、そ
の伸長がストレッチテープ１３によって阻害されること
はない。さらに、ブラジャー１を洗濯しても、パッド８
は所々で裏布６に縫いつけられているので、折れ曲がっ
たりずれる心配がない。

【００１４】 図４及び図５は、本発明の第２の実施形
態を示す。 図５に示すように、パッド８の下縁外側部
をやや大きく張り出して縫い代１０を形成し、図４に示
すように、縫い代１０を表布５、裏布６及びテープと共
に縫着して、ワイヤーチャネル部７に固着する。 ま
た、パッド８の周縁の他部分（上縁、側縁、下縁の中央
部及び内側部）において、角部を含む所々は裏布６に縫
い付けられて固着されている。パッド８の下縁の中央部
及び内側部と裏布６との固着部９は、ワイヤーチャネル
部７からやや径方向内側へ隙間をあけた位置に形成され
る。 その他の構成は、第１の実施形態と同様なので、
同一部分に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
このブラジャー１を着用すると、カップ２の外側におい
てパッド８は変形しにくく、パッド８の内側部が乳房部
の形状に応じて変形するので、乳房部が内側に引き寄せ
られる。

【００１５】なお、上記第１及び第２の実施形態におい
て、パッド８を裏布６ではなく表布５に縫いつけること
も、裏布６及び表布５に縫いつけることもできるが、こ
のようにすると、縫い目が表面に現れてしまうので、縫
い目を装飾品等で隠すことができない場合には裏布６の
みに固着するのが望ましい。

【００１６】 図６及び図７は本発明の第３の実施形態
を示す。 デザイン的な観点及びパッド８の黄変が薄手
の表布５を通して見えるのを防ぐために、図６に示すよ
うに、表布５の表面にストレッチレース等の伸縮性のあ
る装飾布１２が被覆されている。 また、パッド８の下
縁は、図７に示すように、ワイヤーチャネル部７から径
方向内側へやや隙間を開けて、全長に亘って表布５に縫
着されている。また、パッド８の側縁は、ストレッチテ
ープ１３からやや隙間を開けて表布５に逢着され、パッ
ド８の上縁の所々は、表布５に縫着されている。 その
他の構成は、第１の実施形態とほぼ同様なので、同一部
分に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。

【００１７】このブラジャー１を着用してカップ２の下
部に引張力が加わると、表布５が固着部９とワイヤーチ
ャネル部７との隙間の部分において伸張すると共に、装
飾布５及び裏布６も伸長し、表布５と一緒にパッド８が
移動して、カップ２が変形する。また、表布５の表面に
装飾布１２が装着されているので、表布５とパッド８と
の固着部９’が装飾布１２によって隠蔽され、しかも、
第１及び第２の実施形態のようにカップ２の裏面から見
えることもない。さらに、パッド８の下縁を表布５に一
気に縫いつけることができて、固着作業が簡単である。

【００１８】なお、上記第１乃至第３の実施形態におい
て、カップ２の上縁はワイヤーチャネル部７によって拘
束されずに比較的自由に変形することができるので、パ
ッド８の上縁を全長に亘って表布５又は裏布６に固着し
ても良い。また、パッド８の側縁も全長に亘って表布５
又は裏布６に縫いつけることができる。さらに、留め具
を介して肩紐をカップに連結するタイプのブラジャーの
場合には、留め具を取り付けるためのループにパッドを
裏布又は表布と共に固着すると良い。

【００１９】

【発明の効果】請求項１に係る発明によれば、ワイヤー
チャネル部によって伸縮が規制されたカップの下部に引
張力が加わると、表布及び裏布がパッドの固着部とワイ
ヤーチャネル部との間において伸長すると共に、パッド
がワイヤーチャネル部によって拘束されずに表布及び裏
布と一緒に移動するので、カップ全体が容易に変形する
ことができ、このため、着用者に窮屈感を与えることが
無く、カップのサイズや形状が乳房部と多少異なってい
ても、その誤差を吸収してフィットさせることが可能で
あり、しかも、ワイヤーによる胸部の補整効果は失われ
ることがない。また、パッドの周縁部を裏布又は／及び
表布に固着してあるため、激しい運動や洗濯等によって
パッドが折れ曲がったり、位置ずれする心配がない。

【００２０】請求項２に係る発明によれば、裏布に固着
された部分の間においてパッドの下縁が上方に凸に湾曲
するよう変形するので、強い引張力が加わっても対応す
ることができる。請求項３に係る発明によれば、パッド
の下縁を一気に固着できるので、加工が簡単で、パッド
の固着作業を自動化することもできる。請求項４に係る
発明によれば、請求項１に係る発明の奏する効果に加え
て、カップの外側においてパッドは変形しにくいので乳
房部が内側に引き寄せられ、パッドの内側部が乳房部の
形状に応じて変形するため、より高い補整効果が得られ
る。 請求項７に係る発明によれば、パッドの側縁の伸長
が、伸縮性の劣るストレッチテープによって阻害される
のを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態に係るブラジャーの要
部裏面図

【図２】同上の全体斜視図

【図３】変形時のカップの一部破断裏面図

【図４】本発明の第２の実施形態に係るカップの要部裏
面図

【図５】同上のパッドの裏面図

【図６】本発明の第３の実施形態に係るカップの断面図

【図７】本発明の第３の実施形態に係るカップの一部破
断表面図

【符号の説明】

１ ブラジャー ２ カップ ３ 背部バンド ４ 肩紐 ５ 表布 ６ 裏布 ７ ワイヤーチャネル部 ７’ ワイヤー ８ パッド ９，９’ 固着部 １０ 縫い代 １２ 装飾布 １３ ストレッチテープ

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A41C 3/10 - 3/12

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 伸縮性を有する表布及び裏布と、下縁に
   沿って配設されたワイヤーチャネル部と、前記表布と裏
   布との間に収納されたパッドとから成るカップを備え、
   前記パッドの周縁部を前記裏布又は／及び表布に固着し
   たブラジャーにおいて、前記パッドの下縁部をワイヤー
   チャネル部から径方向内側へ隙間をあけた位置において
   前記裏布又は／及び表布に固着したことを特徴とするブ
   ラジャー。
2. 【請求項２】 前記パッドの角部及び下縁の所々を前記
   裏布又は／及び表布に固着した請求項１に記載のブラジ
   ャー。
3. 【請求項３】 前記パッドの角部及び下縁の全長を前記
   裏布又は／及び表布に固着した請求項１に記載のブラジ
   ャー。
4. 【請求項４】 伸縮性を有する表布及び裏布と、下縁に
   沿って配設されたワイヤーチャネル部と、前記表布と裏
   布との間に収納されたパッドとから成るカップを備え、
   前記パッドの下縁外側部を前記ワイヤーチャネル部に固
   着すると共に、前記パッドの角部と下縁中央部及び内側
   部の所々とを、前記ワイヤーチャネル部から隙間をあけ
   た位置において前記裏布又は／及び表布に固着したこと
   を特徴とするブラジャー。
5. 【請求項５】 前記カップの側辺に沿ってストレッチテ
   ープを装着し、前記パッドの側縁を前記ストレッチテー
   プからやや隙間を開けて前記裏布又は／及び表布に固着
   した請求項１乃至４のいずれかに記載のブラジャー。
6. 【請求項６】 前記パッドの上縁及び側縁の所々を前記
   裏布又は／及び表布に固着した請求項１乃至５のいずれ
   かに記載のブラジャー。
7. 【請求項７】 前記パッドの上縁及び側縁を全長に亘っ
   て前記裏布又は／及び表布に固着した請求項１乃至５の
   いずれかに記載のブラジャー。