JP3498362B2 - 光ファイバ用母材の製造方法及び装置 - Google Patents

光ファイバ用母材の製造方法及び装置

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    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
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  • Organic Chemistry (AREA)
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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバの中間製品で
あるガラス微粒子堆積体を効率よく製造する方法及びそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリカガラス管、あるいは光ファ
イバに好適に用いられるシリカガラスの製造方法とし
て、耐熱性の出発ロッドの外周にガラス微粒子堆積体を
合成し、これを加熱して透明なガラス物品とする方法が
知られている。即ち、SiCl4 等の原料をガラス微粒
子合成用バーナにより火炎加水分解反応あるいは酸化反
応させてガラス微粒子を生成し、これを回転する耐熱性
の出発ロッドの外周に堆積する方法である(例えば、特
公平5−83499号公報、実開昭62−97138号
公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような気相法によ
ってガラス微粒子堆積体を合成すると、バーナで生成さ
れたガラス微粒子が全てガラス微粒子堆積体として堆積
するのではなく、その一部は反応容器等に付着する。反
応容器内に浮遊した微粒子はバーナと対向する位置に設
けられた排気口から排気されるが、排気が十分でない場
合は一部はガラス微粒子堆積体に付着して透明化時に気
泡となって現われる。他の一部は一旦反応容器の内壁に
付着するが、やがてガラス微粒子堆積体に付着して気泡
となったりする。これらの問題を解決するために、排気
口に対向する位置から空気を送り込み、反応容器内のガ
スの流れを一様に制御する方法(特開昭62−1719
39号公報)、あるいは排気効率を向上させるために開
口度を調整する方法が試みられた(特開昭60−155
538号公報)。しかし、こららは反応容器に占める排
気口の大きさが限られるために、排気効率を向上させる
には限界があった。そこで本発明は、かかる問題点を解
決して反応容器内浮遊するガラス微粒子を効果的に排気
する方法とその装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光ファイバ
用母材の製造方法は、反応容器の中にガラス微粒子生成
用バーナ及び回転する出発ロッドを備え、前記反応容器
には前記出発ロッドの軸に沿って複数個の排気口が設け
られ、前記ガラス微粒子生成用バーナに気体のガラス原
料、燃料ガス及び支燃ガスを供給し、火炎加水分解反応
あるいは酸化反応によりガラス微粒子を生成し、前記ガ
ラス微粒子を回転する前記出発ロッドの外周に積層さ
せ、同時に前記ガラス微粒子生成用バーナを前記出発ロ
ッドの軸方向に移動することにより前記出発ロッドの外
周に前記ガラス微粒子の積層体を合成する光ファイバ用
母材の製造方法であって、前記出発ロッドに沿って移動
する前記ガラス微粒子生成用バーナに合わせて各排気口
の排気量を各排気口からつながる各排気通路に設けられ
た余剰空気を取り込むためのバルブおよび各排気通路の
断面を調整するバルブによって調整することを特徴とす
る。
【0005】 前記光ファイバ用母材の製造方法におい
て、前記ガラス微粒子生成用バーナが移動したとき、前
記バーナに対向する位置の排気口を他の排気口の排気量
に対して増加することを特徴とする。また、前記光ファ
イバ用母材の製造方法において、他の排気口より排気量
を増加する排気口の数が2個以上であることを特徴とす
る。また、前記光ファイバ用母材の製造方法において、
前記ガラス微粒子生成用バーナを出発ロッドの軸方向に
少なくとも1回以上往復移動してガラス微粒子の積層体
を合成することを特徴とする。
【0006】さらに、前記光ファイバ用母材の製造方法
において、出発ロッドの外周にコア及びクラッドからな
るガラス微粒子あるいは光ファイバ用母材を形成するた
めのガラス微粒子を積層することを特徴とする。
【0007】 本発明に係る光ファイバ用母材の製造装
置は、耐熱性の反応容器と、前記反応容器内の中心部に
設けられる出発ロッドの軸方向に移動可能なガラス微粒
子生成用バーナとを備えた光ファイバ用母材の製造装置
であって、前記出発ロッドの軸に沿って複数個の排気口
が前記反応容器に設けられ、各排気口からつながる各排
気通路に、余剰空気を取り込むためのバルブ及び前記排
気通路の断面を調整するバルブを有することを特徴とす
る。
【0008】
【0009】また、前記光ファイバ用母材の製造装置の
出発ロッドはその一端あるいは両端が把持され、該出発
ロッドは垂直又は水平方向に配置されたことを特徴とす
る。
【0010】
【作用】上記の構成によれば、ガラス微粒子の堆積体が
積層される位置と排気口との関係を常に一定の条件に保
つことができ均一のガラス微粒子堆積体を得ることがで
きる。また、排気量を調整することにより浮遊するガラ
ス微粒子を減少することができ、さらに、他の排気口よ
り排気量を増加する排気口の数を増やすことにより大型
のガラス微粒子堆積体の製造についても対応することが
できる。本装置の移動部分はガラス微粒子生成用バーナ
だけであり、排気口は固定しているので取り扱いが容易
である。
【0011】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一
符号を付し、重複する説明を省略する。図1は本発明に
係わる装置の構成を示す概略図である。パイレックスガ
ラス等の耐熱性反応容器12の側面にはガラス微粒子生
成用バーナ1が矢印14の方向に往復移動するトラバー
ス機構6に取付けられ、反応容器12の中心部にはジル
コニア等の耐熱性の出発ロッド3を把持し、矢印13の
方向に回転させる駆動機構5に取付けられ、ガラス微粒
子生成用バーナ1と対向する位置には出発ロッド3の軸
に沿って連続して設けられた複数個の排気口81 ・・・
n を有する排気装置が配置されている。
【0012】各排気口81 ・・・8n の下流には外気を
吸入し、内外の圧力差を調節して排気量を制御するバル
ブ111 ・・・11n 、及び排気通路の断面積を調節し
て排気量を制御するバルブ91 ・・・9n が設けられ、
排気通路が合流したところに排気ブロア10が配置され
ている。バルブ9及び11の開閉はバーナのトラバース
機構6に取付けられた位置検出器7の情報によって調整
される。
【0013】図1は出発ロッド3を垂直に配置し、その
両端を駆動機構5によって把持し、縦方向にガラス微粒
子を堆積する装置である。これに対して図2は出発ロッ
ド3を水平に配置し、その両端を駆動機構5によって把
持し、横方向にガラス微粒子を堆積する装置であり、図
3は出発ロッド3を垂直に配置し、その一端を駆動機構
5によって把持し、縦方向にガラス微粒子を堆積する装
置である。その他の点については図1の場合と原理的に
同じである。
【0014】(実施例1)図1に示した装置を用いて出
発ロッド3の外周にガラス微粒子の堆積体を合成した。
内径300mm、高さ1200mmの耐熱性の反応容器
12内には直径14mm,長さ1500mmの出発ロッ
ド3を配置した。バーナ1は石英製の4重管バーナを用
い、燃料ガスは水素ガス、支燃ガスは酸素ガスを用い燃
料ガスと支燃ガスの間には不活性のアルゴンガスを流し
た。原料はSiCl4 を用いた。夫々の流量は水素ガス
40リットル/分、酸素ガス35リットル/分、アルゴ
ンガス5リットル/分、SiCl4 3リットル/分に設
定した。バーナ1は150mm/minの速度で100
0mmの間を往復トラバースし、外径120mmのガラ
ス微粒子堆積体4を合成した。
【0015】排気口8は縦180mm、横100mmの
もの7個を出発ロッド3の軸方向に配置し、バーナ1の
移動に合わせてバルブ9、11を調整し、排気量を制御
しながら合成した。その結果、反応容器12内には若干
のガラス微粒子の付着がみられたが、均質のガラス微粒
子堆積体4を得ることができた。こうして得られたガラ
ス微粒子堆積体は出発ロッド3を引き抜いた後、電気炉
で1600℃に加熱して透明ガラス化した。その結果、
気泡のない良好な石英パイプを得ることができた。
【0016】(実施例2)図2は本発明に係わる他の装
置の構成を示す概略図である。高さ400mm、幅40
0mm、横1100mmのパイレックスガラスの反応容
器12を水平に配置し、ジルコニア製の出発ロッド3は
16mmφ、長さ1100mmのものを用いた。バーナ
は実施例1と同様石英製の4重管バーナを2本用い、バ
ーナはガラス微粒子を堆積する際400mm離して配置
した。
【0017】燃料ガスは水素ガス、支燃ガスは酸素ガス
を用い燃料ガスと支燃ガスの間には不活性のアルゴンガ
スを流した。原料はSiCl4 を用いた。夫々の流量は
水素ガス30リットル/分、酸素ガス20リットル/
分、アルゴンガス3リットル/分、SiCl4 2リット
ル/分に設定した。バーナ1は片側方向に移動するとき
だけ原料ガスを供給し、120mm/minの速度で8
50mmの間を往復トラバースして外径130mmのガ
ラス微粒子堆積体4を合成した。
【0018】排気口8は長さ200mm、幅200mm
のもの5個を出発ロッド3の軸方向に配置し、バーナ1
の移動に合わせてバルブ9、11を調整し、排気量を制
御しながら合成した。2本のバーナの間隔が400mm
であるので、これに合わせて一つおきに2つの排気口を
他より多く排気した。その結果、反応容器12内には殆
どガラス微粒子の付着がみられず、均質のガラス微粒子
堆積体4を得ることができた。こうして得られたガラス
微粒子堆積体は出発ロッド3を引き抜いた後、電気炉で
1600℃に加熱して透明ガラス化した。その結果、気
泡のない良好な石英パイプを得ることができた。
【0019】(実施例3)図3は本発明に係わる第3の
装置の構成を示す概略図である。幅400mm、奥行4
00mm、高さ1200mmの冷却された金属製の反応
容器12を垂直に配置し、水冷は金属板の側面に設けた
管に冷却水を流して行なった。出発ロッド3はGeO2
を添加した屈折率差0.34%のコアとシリカガラスの
クラッドからなり、クラッド/コア比が4のものを用い
た。この出発ロッドは外径14mmφ、長さ1300m
mのものを用い、反応容器の上部に設置された駆動機構
5に取付けられた。バーナは石英製の8重管バーナを用
いて2重火炎を形式をとった。
【0020】燃料ガスは水素ガス、支燃ガスは酸素ガス
を用い燃料ガスと支燃ガスの間には不活性のアルゴンガ
スを流した。原料はSiCl4 を用いた。夫々の流量は
水素ガス80リットル/分、酸素ガス75リットル/
分、アルゴンガス15リットル/分、SiCl4 6リッ
トル/分に設定した。バーナ1はガラス微粒子堆積体の
成長に合わせ、約80 mm/hrの速度で移動し、外
径135mmのガラス微粒子堆積体4を合成した。排気
口8は長さ150mm、幅200mmのもの5個を出発
ロッド3の軸方向に配置し、バーナ1の移動に合わせて
バルブ9、11を調整し、排気量を制御しながら合成し
た。
【0021】その結果、反応容器12内には目立ったガ
ラス微粒子の付着がみられず、均質のガラス微粒子堆積
体4を得ることができた。こうして得られたガラス微粒
子堆積体は電気炉でヘリウム雰囲気中で1600℃に加
熱して透明ガラス化した。その結果、外径72mmの気
泡を含まない良好なガラス母材を得ることができた。こ
の母材は線引炉で125μmφにファイバ化され、25
0μmφまで樹脂を被覆した。伝送損失は1.3μmの
波長で0.34dB/km,1.55μmの波長で0.
2dB/kmと高品質のものが得られた。
【0022】(実施例4)図1に示した装置でGeO2
を添加した屈折率差0.34%のコアとシリカガラスの
クラッドからなり、クラッド/コア比が5のガラスロッ
ドを用いた。ガラスロッドは外径18mm,長さ800
mmの両端に石英棒を接続し、この両端を反応容器の上
下に配置した駆動装置5に固定した。バーナ1は石英製
の4重管バーナを用い、燃料ガスは水素ガス、支燃ガス
は酸素ガスを用い燃料ガスと支燃ガスの間には不活性の
アルゴンガスを流した。原料はSiCl4 を用いた。
【0023】夫々の流量は水素ガス40リットル/分、
酸素ガス35リットル/分、アルゴンガス5リットル/
分、SiCl4 3リットル/分に設定した。バーナ1は
150mm/minの速度で1000mmの間を往復ト
ラバースし、外径125mmのガラス微粒子堆積体4を
合成した。
【0024】その結果、反応容器12内にはガラス微粒
子の付着がみられず、均質のガラス微粒子堆積体4を得
ることができた。この母材を電気炉でヘリウム雰囲気中
で1600℃に加熱して透明ガラス化した。その結果、
外径78mmの気泡を含まない良好なガラス母材を得る
ことができた。この母材は線引炉で125μmφにファ
イバ化され、250μmφまで樹脂を被覆した。伝送損
失は1.3μmの波長で0.34dB/km,1.55
μmの波長で0.195dB/kmと高品質のものが得
られた。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ガラス微粒子の堆積体が積層される位置と排気口との関
係を常に一定の条件に保つことができ均一のガラス微粒
子堆積体を得ることができる。また、排気量を調整する
ことにより浮遊するガラス微粒子を減少することがで
き、さらに、他の排気口より排気量を増加する排気口の
数を増やすことにより大型のガラス微粒子堆積体の製造
についても対応することができる。本装置の移動部分は
ガラス微粒子生成用バーナだけであり、排気口は固定し
ているので取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる装置の構成を示す概略図であ
る。
【図2】本発明に係わる装置の他の構成を示す概略図で
ある。
【図3】本発明に係わる装置のその他の構成を示す概略
図である。
【符号の説明】
1:バーナ 2:火炎 3:出発ロッド 4:ガラス微粒子堆積体 5:駆動機構 6:トラバース機構 7:位置検出器 8:排気口 9:バルブ 10:排気ブロア 11:バルブ 12:反応容器 13:出発ロッドの回転方向 14:バーナの移動方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向後 隆司 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社横浜製作所内 (56)参考文献 特開 平6−92649(JP,A) 特開 昭59−128226(JP,A) 特開 昭57−61641(JP,A) 特開 昭57−17439(JP,A) 特開 昭56−104736(JP,A) 特開 平7−172859(JP,A) 実開 昭63−195550(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/00 - 37/16 C03B 8/04 C03B 20/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器の中にガラス微粒子生成用バー
    ナ及び回転する出発ロッドを備え、前記反応容器には前
    記出発ロッドの軸に沿って複数個の排気口が設けられ、
    前記ガラス微粒子生成用バーナに気体のガラス原料、燃
    料ガス及び支燃ガスを供給し、火炎加水分解反応あるい
    は酸化反応によりガラス微粒子を生成し、前記ガラス微
    粒子を回転する前記出発ロッドの外周に積層させ、同時
    に前記ガラス微粒子生成用バーナを前記出発ロッドの軸
    方向に移動することにより前記出発ロッドの外周に前記
    ガラス微粒子の積層体を合成する光ファイバ用母材の製
    造方法であって、前記出発ロッドに沿って移動する前記
    ガラス微粒子生成用バーナに合わせて各排気口の排気量
    を各排気口からつながる各排気通路に設けられた余剰空
    気を取り込むためのバルブおよび各排気通路の断面を調
    整するバルブによって調整することを特徴とする光ファ
    イバ用母材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ガラス微粒子生成用バーナが移動し
    たとき、前記バーナに対向する位置の排気口を他の排気
    口の排気量に対して増加することを特徴とする請求項1
    に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  3. 【請求項3】 他の排気口より排気量を増加する排気口
    の数が2個以上であることを特徴とする請求項1ないし
    2のいずれかに記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス微粒子用バーナを出発ロッドの軸
    方向に少なくとも1回以上往復移動してガラス微粒子の
    積層体を合成することを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  5. 【請求項5】 耐熱性の反応容器と、前記反応容器内の
    中心部に設けられる出発ロッドの軸方向に移動可能なガ
    ラス微粒子生成用バーナとを備えた光ファイバ用母材の
    製造装置であって、前記出発ロッドの軸に沿って複数個
    の排気口が前記反応容器に設けられ、各排気口からつな
    がる各排気通路に、余剰空気を取り込むためのバルブ及
    び前記排気通路の断面を調整するバルブを有することを
    特徴とする光ファイバ用母材の製造装置。
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