JP3498075B2 - 薄板のレーザ溶接用出力ヘッド - Google Patents

薄板のレーザ溶接用出力ヘッド

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JP3498075B2
JP3498075B2 JP2001279688A JP2001279688A JP3498075B2 JP 3498075 B2 JP3498075 B2 JP 3498075B2 JP 2001279688 A JP2001279688 A JP 2001279688A JP 2001279688 A JP2001279688 A JP 2001279688A JP 3498075 B2 JP3498075 B2 JP 3498075B2
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隆行 村田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いて
ステンレス鋼などの金属薄板を溶接するために用いられ
るレーザ光の出力ヘッドおよびそれを用いたレーザ溶接
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】先行技術では、レーザ光を集光する出力
ヘッドにおいて、集光点における収差をできるだけ小さ
くしてパワー密度すなわちエネルギ密度を高くすること
が必要であると考えられてきている。そのためにレンズ
集光光学系は、多数枚、たとえば3〜4枚のレンズを組
合わせて構成され、これによってレーザ光を集光点にで
きるだけ小さい収差で集光する。
【0003】この先行技術では、レンズ集光光学系は多
数枚のレンズを有し、したがって大形であり、重量が大
きくなり、さらに構造が複雑であり、高価である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、小形
軽量化を図り、構造を単純化し、安価に実現することが
できるようにした薄板のレーザ溶接用出力ヘッドおよび
それを用いた薄板のレーザ溶接装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ源と、
レーザ源からのレーザ光を、溶接すべき薄板に導き、縦
収差Δsが5〜15mmであり、集光比が0.75〜
1.25であり、開口数NAが0.1〜0.2のものを
対象とするレンズ集光光学系とを含むことを特徴とする
薄板のレーザ溶接用出力ヘッドである。
【0006】本発明に従えば、レーザ源からのレーザ光
は、光ファイバによって、またはレーザ源から直接に、
レンズ集光光学系に導かれ、このレンズ集光光学系を経
て被加工物である溶接されるべき薄板に照射され、レー
ザ溶接され、たとえば重ね合わせ溶接または突き合わせ
溶接などの溶接作業が行われる。本発明において重要な
構成は、レンズ集光光学系の縦収差Δsを5〜15mm
に選ぶことである。先行技術では、縦収差などの収差を
可能なかぎり抑制して小さくするように、レンズ集光光
学系が構成されているが、本件発明者の実験によれば、
縦収差Δsを前述の範囲に選ぶことによって、レーザ溶
接すべき集光点におけるレーザ光のエネルギ密度を先行
技術に比べて高くすることができることが判った。縦収
差Δsが5mm未満では、集光点におけるレーザ光のエ
ネルギ密度が低く、また15mmを超える値の範囲で
も、エネルギ密度が低い。
【0007】さらに本発明に従えば、集光比を0.75
〜1.25に選び、開口数NAが0.1〜0.2のもの
に対して、集光点におけるレーザ光のエネルギ密度を向
上することができる。
【0008】集光点は、薄板の表面またはその薄板の厚
み方向の途中位置に選ばれてもよい。本発明では、集光
点を、レンズ集光光学系の焦点位置よりもレンズ集光光
学系寄りに近い位置に選び、これによって上述のように
レーザ光のエネルギ密度を向上し、そのため比較的わず
かなエネルギのレーザ光によって、希望するレーザ溶接
を達成することができる。
【0009】さらにこのような縦収差Δsを有し、また
集光比および開口数を有するレンズ集光光学系は、先行
技術のように多数枚のレンズを必要とせず、たとえば2
群2枚の構成によって実現することができる。そのため
レンズ集光光学系、したがってレーザ溶接用出力ヘッド
の構成を、小形軽量化、構造の単純化、低コストを図る
ことができる。
【0010】また本発明のレンズ集光光学系は、コリメ
ート用前群レンズと、集光用後群レンズとから成ること
を特徴とする。
【0011】また本発明は、前群レンズと後群レンズと
は、凸レンズをそれぞれ含むことを特徴とする。
【0012】また本発明は、前群レンズと後群レンズと
は、単一枚の平凸レンズからそれぞれ成り、各平凸レン
ズの平面が、光軸の軸線方向外方に向けて配置されるこ
とを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、たとえば凸レンズによっ
て構成されるコリメート用前群レンズと、凸レンズによ
って構成される集光用後群レンズとから、レンズ集光光
学系が実現されてもよい。前群レンズは単一枚の平凸レ
ンズから構成され、後群レンズもまた単一枚の平凸レン
ズから構成され、それらの各平凸レンズの平面は光軸方
向外方に向けられ、すなわち凸面が中側に向けられて配
置される。平面が光軸方向外方に向けて配置されること
によって、本発明の縦収差Δsを5〜15mmに適切に
設定することが容易に可能になる。
【0014】また本発明は、前記開口数NAが0.15
のものを対象とすることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、レンズ集光光学系の開口
数NAを、0.15に選び、これによって縦収差Δsを
前述の範囲に適切に選ぶことが確実になる。光ファイバ
の開口数は、レンズ集光光学系の開口数とほぼ同一の値
に選ばれ、これによってレンズ集光光学系の縦収差Δs
を5〜15mmに確実に設定することが容易になる。
【0016】また本発明は、レーザ源は、YAGレーザ
光を出力することを特徴とする。本発明に従えば、レー
ザ源は、YAGレーザ光を出力し、すなわちNd:YA
Gレーザ光であることが望まれるが、そのほかのレーザ
光であってもよく、たとえばCO2レーザ光であっても
よく、そのほかのレーザ光であってもよい。
【0017】また本発明は、レンズ集光光学系は、前群
レンズを支持し、光ファイバの出力端面が前群レンズに
向けて取付けられる第1筒体と、後群レンズを支持し、
第1筒体の端部に着脱可能な第2筒体とを含むことを特
徴とする。
【0018】本発明に従えば、前群レンズの第1筒体と
後群レンズの第2筒体とによって2群のレンズ集光光学
系を構成し、第2筒体を着脱可能にして、レーザ溶接さ
れるべき薄板の金属材料の種類、厚み、溶接ビードの形
状などに応じて第2筒体、したがって後群レンズを交換
して希望する適切な縦収差Δsが得られるようにするこ
とができる。第1筒体を着脱交換可能にしてもよく、さ
らに第1および第2筒体を一体的に構成し、この一体的
な構成を、着脱交換可能にしてもよい。第2筒体を着脱
交換可能とすることによって、収差および焦点距離の少
なくともいずれか一方を変更することができる。
【0019】また本発明は、第1または第2筒体に着脱
可能な取付部と、取付部に連なり、レーザ光の光軸外方
に延び、光軸上で溶接位置に存在する教示用先端部を有
する教示片とを含む教示部材をさらに含むことを特徴と
する。
【0020】本発明に従えば、溶接される薄板上のレー
ザ光の縦収差Δsが先行技術に比べて大きい値であるの
で、もしも仮に、レーザ溶接時に用いられるレーザ光に
比べて小さいエネルギを有する可視光であるガイドレー
ザ光を用いて集光点の位置を確認する作業を行おうとす
れば、その際、そのガイドレーザ光による位置教示が不
明瞭になるおそれが生じる。
【0021】この問題を解決するために、本発明では、
教示部材を用いることもできる。教示位置(集光点)の
判断にやや慣れを必要とするが、ガイドレーザ光による
教示が全く不可能と言うわけではないため、ガイドレー
ザ光によって教示してもよい。この教示部材は、位置教
示を行う際、取付部を第1または第2筒体に着脱可能に
装着し、取付部に連なる教示用先端部がレーザ光の集光
点を示すことになる。縦収差は、光路追跡の中で観測さ
れる値で光軸上の特定の位置がある値の縦収差を有する
わけではない。これによって作業者は、本件出力ヘッド
を用いて薄板のレーザ溶接すべき位置を正確に教示する
ことができる。レーザ溶接時には、この教示部材の取付
部を第1または第2筒体から離脱して本件出力ヘッドか
らレーザ光を照射することにより、教示片の教示用先端
部が位置していた集光点に、本発明に従う適切な縦収差
Δsでレーザ光を集光する。
【0022】レーザ溶接に用いられるレーザ光が可視波
長のレーザである場合など作業者が認識することができ
る場合には、集光点の位置教示を行うために、レーザ溶
接用レーザ光に比べて低い出力でレーザ光を発生させて
ガイドレーザ光に用いてもよく、この教示時には教示部
材を用いる必要はない。YAGレーザは赤外光なので不
可視であるため一般的にはこれを認識することは不可能
である。YAG高調波レーザ(光学的処理でYAGレー
ザ光の波長を短くしたレーザ)などの可視光レーザを使
用する場合や不可視光を用いる場合でも、画像モニタな
どによる観察で集光状態を認識できるようにした場合に
使える。
【0023】また本発明は、前述のレンズ集光光学系
と、レンズ集光光学系と、溶接されるべき薄板とを、溶
接線に沿って相対的に移動する移動手段とを含むことを
特徴とする薄板のレーザ溶接装置である。
【0024】本発明に従えば、金属薄板のレーザ溶接
を、小形軽量化、構造の単純化および低コスト化が図ら
れた出力ヘッドを用いてレーザ溶接することができるよ
うになる。本発明の実施の他の形態では、上述と同様な
出力ヘッドは、レーザ溶接などの溶接のために用いられ
るだけでなく、レーザ光を集光点に高いエネルギ密度で
照射する用途に、広範囲に実施することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の薄
板のレーザ溶接用出力ヘッド1を示す斜視図であり、図
2はこの出力ヘッド1を備える薄板のレーザ溶接装置2
を示す簡略化した斜視図である。レーザ源3から発生さ
れるレーザ光は、可撓性の光ファイバ4を経て出力ヘッ
ド1に導かれ、この出力ヘッド1から出射されるレーザ
光は、レーザ溶接されるべき被加工物であるステンレス
鋼などの金属製薄板5に照射される。こうして薄板5
は、たとえば重ね合わせ溶接される。
【0026】出力ヘッド1は、第1筒体6と、その第1
筒体6に着脱可能な第2筒体7とを含み、これらの第1
および第2筒体6,7は、レンズ集光光学系8の一部を
構成する。第2筒体7は、第1筒体6の下端部に着脱交
換可能であり、これによってそのほかの構成を有する第
2筒体9,10を交換して装着することができる。さら
にこの第1筒体6の下部には、教示部材11を着脱する
ことができる。光ファイバ4の出射端部4aは、第1筒
体6の上端部に固定される。
【0027】レンズ集光光学系8の第1筒体6は、産業
用ロボット12の手首13に装着される。産業用ロボッ
ト12は、複数(たとえば6)軸を有し、溶接されるべ
き薄板5が固定された状態で、レンズ集光光学系8を、
xyz直角座標系で相対的に移動することができる。こ
れによってレーザ光16の光軸17は、薄板5の表面に
垂直であり、またはそのほかの角度を成してレーザ光1
6が薄板5に照射される。
【0028】図3は、出力ヘッド1のレンズ集光光学系
8を示す断面図である。第1筒体6の下端部には、コリ
メート用前群レンズ21が固定される。第2筒体7に
は、集光用鋼群レンズ22が固定される。第1筒体6
は、光軸17に沿って延びる光案内経路23を有する。
この光案内経路23は、光軸17に垂直な断面が円形で
ある。この第1筒体6の光案内経路23の途中には、レ
ーザ光16の外径を制限する絞り部24が形成される。
【0029】図4は、第1筒体6の下部付近の分解斜視
図である。第1筒体6の下部の環状部66には、装着孔
26が形成される。この装着孔26には、第2筒体7の
装着筒部27が着脱可能に内嵌することができる。この
ような嵌合構造によって、第2筒体7を取外し、図1に
関連して前述したそのほかの第2筒体9,10を着脱交
換可能である。出力ヘッド1は、レンズ集光光学系8
と、光ファイバ4の出射端部4aを第1筒体6の上部に
固定する図2の保持部29とによって、構成される。
【0030】各レンズ21,22は、それぞれ単一枚の
平凸レンズであり、それらの平凸レンズ21,22の平
面21a,22aは、光軸17の軸線方向外方に向けて
配置される。すなわちコリメート用前群レンズを構成す
るレンズ21の平面21aは図4の上方に臨み、光ファ
イバ4の出射端部4aに臨む。集光用後群レンズを構成
する平凸レンズ22の平面22aは、溶接される薄板5
に臨む。レンズ21,22の凸面は中側に対向する。こ
のようなレンズ21,22を用いることによって、本発
明に従う希望する縦収差Δsが達成される。
【0031】レンズ21,22から成る2群2枚集光光
学系8は、小形軽量化が図られ、また構造が単純化され
ており、安価に実現される。そのほかの第2筒体9,1
0にもまた、前述のレンズ22とは異なるレンズが装着
されており、各種の縦収差Δsなどを含むレンズ特性が
異なる光学系を構成する。本発明の実施の他の形態で
は、レンズ21が着脱交換されるように構成されてもよ
い。第2筒体7,9,10は、支持体12に着脱交換可
能に取付けられてもよい。
【0032】図5は、レンズ集光光学系8の光線追跡結
果を示す図である。光ファイバ4の出射端部4aからの
レーザ光は、近軸領域における焦点(以下、近軸焦点ま
たは焦点という)31に向けて進む。レンズ集光光学系
8の光軸17上における光ファイバ4の出射端部4aの
位置からレンズ集光光学系8の主点32までの距離をL
1とし、この主点32から焦点31までの光軸17上の
距離をL2とし、薄板5に照射されるレーザ光の近軸焦
点31と、周辺光の光路が光軸17と交差する点33と
の間の光軸17に沿う距離である縦収差Δsとすると
き、本発明では、この縦収差Δsを5〜15mmに選
ぶ。集光比A(=L2/L1)は、0.75〜1.25
に選ばれる。レンズ集光光学系8の外縁の主点32にお
ける半径をR1とするとき、開口数NA(R1/L1)
は、本発明では0.1〜0.2、好ましくは0.15の
ものを対象とする。光ファイバ4の出射端部4aの開口
数もまた、レンズ集光光学系8の前述の開口数NAとほ
ぼ同一の値のものを対象とする。
【0033】図6は、レンズ集光光学系8の光経路を示
す図である。薄板5のたとえば表面は、焦点31からレ
ンズ集光光学系8に近づく方向に縦収差Δsの点33に
配置される。点33は、薄板5の表面ではなく、厚み方
向内方の位置であってもよい。Δyは、横収差を示す。
【0034】図7は、本発明の焦点31、およびその焦
点31からレンズ集光光学系8寄りに近接した焦点を外
した点33の位置におけるレーザ光のエネルギ密度分布
を簡略化して示す図である。図7(1)は焦点31の位
置における状態を示し、図7(2)は点33における状
態を示す。焦点31および点33におけるレーザ光のエ
ネルギ密度は、ライン34,35で示される。図7の実
施の形態では、図1〜図6に示される実施の形態におい
て、縦収差Δs=7mmの2群2枚の集光光学系8を用
いる。仮想線36で示されるレーザ光のエネルギ密度の
分布は、比較のためにレンズ集光光学系8として縦収差
Δsを充分に補正して小さくした構成を用いた場合、得
られる。
【0035】ライン34,35で示される本発明のエネ
ルギ密度は、仮想線36で示される縦収差Δsがほぼ零
である構成に比べて高い値を有することが判る。こうし
て本発明では、焦点31においても、また縦収差Δsの
点33においても、照射されるレーザ光のエネルギ密度
が高く、またピークパワーおよびパワー分布の光軸17
上の変化量が小さく、したがって点33の位置が光軸1
7に沿ってずれていても、溶接施工状況への悪影響が小
さい。また上述のように本発明ではレーザ光のピークパ
ワーが高いので、薄板5のレーザ溶接時の溶接ビードが
形成される貫通能力を高めることができる。
【0036】図8は、本件発明者による比較例の実験結
果を説明するための図である。本発明のレンズ集光光学
系8に代えて、収差を充分に小さく補正した先行技術に
おける光学系を用いた構成において、焦点位置では、前
述の仮想線36と同一の図8(1)の実線で示されるレ
ーザ光のエネルギ分布が、円錐台状に得られる。また縦
収差Δsを有する点33では、図8(2)のライン37
で示されるように、仮想線36のエネルギ強度よりも低
い。こうして図8に示される比較例である収差を充分小
さく補正した光学系を用いた構成では、焦点31では図
8(1)に示される実用上大きな問題が生じないパワー
分布が得られる反面、焦点31を外れた縦収差の点33
では図8(2)のライン37で示されるように、レーザ
光のピークパワーが低下し、パワー分布が光軸17方向
に大きく変化し、これによって焦点位置から外れた状態
における溶接施工状況への悪影響が大きいという問題が
ある。本発明はこのような図8に示される比較例の問題
点を解決する。
【0037】図9は、本発明の実施の他の形態における
レンズ集光光学系8の断面図である。コリメート用前群
レンズ41は、光ファイバ4の出射端部4a側に平凹レ
ンズ42とその反対側に両凸レンズ43とが配置されて
構成される。集光用後群レンズ44は、前群レンズ41
側に平凸レンズ45と反対側にもう1つの平凸レンズ4
6とが配置されて構成される。こうしてレンズ集光光学
系8は、2群4枚光学系によって構成される。
【0038】図10は、第1筒体6の下部に教示部材1
1を着脱可能に装着した状態を示す断面図である。教示
部材11は、取付部47と、この取付部47に連なる教
示片48とを有する。取付部47は、装着孔26を形成
する環状部66の外周面に着脱可能に外嵌される。教示
片48は、中空円錐台状の教示片本体51と、その教示
片本体51の先細状の先端部に固定される教示用先端部
49とを含む。教示部材11の軸線52は、教示用先端
部49の教示点53を通り、その第1筒体6の光軸17
に一致する。
【0039】レンズ集光光学系8は、本発明に従えば薄
板5の溶接される位置において縦収差を有し、したがっ
てレーザ源3から比較的エネルギが低いガイドレーザ光
を発生したときに、そのガイドレーザ光を薄板5に照射
すれば、教示点が不明瞭になるおそれがある。そこで教
示部材11を図10に示されるように第1筒体6に装着
し、溶接される位置に教示点53が位置するようにロボ
ット12によってレンズ集光光学系8と薄板5との相対
的位置を設定し、ロボット12によって薄板5を、予め
定める溶接ビードの溶接線に沿って移動することができ
る。この教示の確認の際、レーザ源3からの溶接のため
のレーザ光およびガイドレーザ光は発生されない。
【0040】図11は、レーザ光16が照射される薄板
5の断面図である。薄板5は上下に重ねられた個別的に
参照符5a,5bで示される2枚の薄板から成る。図1
1(1)は、薄板5の溶接線に沿うx方向14の断面図
である。こうして重ね合わせ溶接継手が形成される。図
11(2)は図11(1)の切断面線II−IIから見
た断面図である。レーザ光16が薄板5に照射され、こ
のとき移動手段13によって移動されるとき、溶接ビー
ド55が形成される。
【0041】図12は、本件発明者の実験結果を示す図
である。図11に示されるように溶接されるべき薄板5
がx方向14に移動する溶接速度が変化したとき、縦収
差Δsに依存して、レーザ光16が上の薄板5aを貫通
する貫通状態57、移動方向14に貫通したり貫通しな
かったりする中間域の状態58、および薄板5aを貫通
しない非貫通状態59を示す。薄板5a,5bは、ステ
ンレス鋼SUS304であり、その薄板5aの厚みは
1.5mmであり、溶接位置におけるシールドガスはA
rを用いる。図12(1)〜図12(3)における縦収
差Δsは、表1のとおりである。
【0042】
【表1】
【0043】レーザ源3は、出力3.5kWのYAGレ
ーザ光を発生する。縦収差Δsに応じて薄板5aの貫通
状態57を達成するための溶接速度が異なる。本発明に
よれば、図12(2)に示されるように、縦収差Δs=
7mmであるとき、溶接速度を、そのほかの図12
(1)および図12(3)に示される構成に比べて、大
きくすることができることが判る。本発明によれば、縦
収差Δsを、前述のように5〜15mmに選ぶことによ
って、溶接速度を、図12(1)および図12(3)の
構成に比べて、大きくすることができる。
【0044】図13は、本件発明者の実験結果を示すグ
ラフである。縦収差Δs=7mmであるときにおける前
述の2群2枚光学系8を用いたとき、その点33におけ
るレーザ光のエネルギ密度は比較的高い。これに対して
比較例では、レンズ集光光学系8として単レンズを用
い、その縦収差Δs=24mmである構成では、ライン
63で示されるように点33におけるレーザ光のエネル
ギ密度は低い。また縦収差Δsがほぼ零である数枚のレ
ンズによって構成される比較例ではライン62に示され
るように、焦点位置では、ライン61と同様なエネルギ
密度を有しているが、光軸方向の点33の位置がずれる
ことによってエネルギ密度が低下する。したがって図1
3からもまた、本発明によれば、縦収差Δsが7mmに
選ぶことによって、点33におけるレーザ光のエネルギ
密度を高くすることができることが理解される。このこ
とは本発明に従う縦収差Δsを5〜15mmに選ぶとき
にも同様な優れた効果が達成される。
【0045】光ファイバ4を省略し、レーザ源3のレー
ザ光を直接に、レンズ集光光学系8に与えるようにして
もよい。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、薄板のレーザ溶接用出
力ヘッドを、小形軽量化し、構造を単純化し、安価に実
現することができるようになり、しかも集光点に高いエ
ネルギ密度でレーザ光を照射することができるので、そ
の分、レーザ源の出力が低くてもよい。
【0047】本発明によれば、集光点におけるレーザ光
のエネルギ密度、したがってピークパワーを向上するこ
とができるので、薄板溶接時の貫通能力が向上し、溶接
速度の向上を図ることができる。
【0048】さらに本発明によれば、レンズ集光光学系
を、たとえば2群2枚レンズで構成することができ、し
たがって先行技術に比べて構成の大幅な単純化を図るこ
とができる。
【0049】また本発明によれば、レンズ集光光学系の
残留した収差を利用して前述のように集光点におけるエ
ネルギ密度の向上を図り、また光軸方向に希望する焦光
点が外れた際におけるエネルギ密度の低下する割合、す
なわちピークパワーの低下率の低減を図ることができ
る。これによって光軸方向の教示精度に対する余裕度が
高まり、レーザ溶接作業が容易になる。
【0050】さらに本発明によれば、教示部材を用いる
ことによって、集光点へのガイドレーザによる位置教示
の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の薄板のレーザ溶接用出
力ヘッド1を示す斜視図である。
【図2】出力ヘッド1を備える薄板のレーザ溶接装置2
を示す簡略化した斜視図である。
【図3】出力ヘッド1のレンズ集光光学系8を示す断面
図である。
【図4】第1筒体6の下部付近の分解斜視図である。
【図5】レンズ集光光学系8の光線追跡結果を示す図で
ある。
【図6】レンズ集光光学系8の光経路を示す図である。
【図7】本発明の焦点31およびその焦点31からレン
ズ集光光学系8寄りに近接した焦点を外した点33の位
置におけるレーザ光のエネルギ分布を簡略化して示す図
である。
【図8】本件発明者による比較例の実験結果を説明する
ための図である。
【図9】本発明の実施の他の形態におけるレンズ集光光
学系8の断面図である。
【図10】第1筒体6の下部に教示部材11を着脱可能
に装着した状態を示す断面図である。
【図11】レーザ光16が照射される薄板5の断面図で
ある。
【図12】本件発明者の実験結果を示す図である。
【図13】本件発明者の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レーザ溶接用出力ヘッド 2 レーザ溶接装置 3 レーザ源 4 光ファイバ 5,5a,5b 薄板 6 第1筒体 7,9,10 第2筒体 8 レンズ集光光学系 12 産業用ロボット 13 手首 16 レーザ光 17 光軸 21,41 コリメート用前群レンズ 22,44 集光用後群レンズ 31 近軸領域における焦点 33 周辺光の光路が光軸と交差する点 47 取付部 48 教示片 49 教示用先端部
フロントページの続き (72)発明者 西尾 護 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開2001−9580(JP,A) 特開 平11−277277(JP,A) 特開2000−317667(JP,A) 特開 平11−104872(JP,A) 特開 平2−299788(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/06 G02B 13/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ源と、 レーザ源からのレーザ光を、溶接すべき薄板に導き、縦
    収差Δsが5〜15mmであり、集光比が0.75〜
    1.25であり、開口数NAが0.1〜0.2のものを
    対象とするレンズ集光光学系とを含むことを特徴とする
    薄板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  2. 【請求項2】 レンズ集光光学系は、 コリメート用前群レンズと、集光用後群レンズとから成
    ることを特徴とする請求項1記載の薄板のレーザ溶接用
    出力ヘッド。
  3. 【請求項3】 前群レンズと後群レンズとは、凸レンズ
    をそれぞれ含むことを特徴とする請求項2記載の薄板の
    レーザ溶接用出力ヘッド。
  4. 【請求項4】 前群レンズと後群レンズとは、単一枚の
    平凸レンズからそれぞれ成り、 各平凸レンズの平面が、光軸の軸線方向外方に向けて配
    置されることを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに
    記載の薄板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記開口数NAが0.15のものを対象
    とすることを特徴とする請求項1〜4のうちの1つに記
    載の薄板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  6. 【請求項6】 レーザ源は、YAGレーザ光を出力する
    ことを特徴とする請求項1〜5のうちの1つに記載の薄
    板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  7. 【請求項7】 レンズ集光光学系は、 前群レンズを支持し、光ファイバの出力端面が前群レン
    ズに向けて取付けられる第1筒体と、 後群レンズを支持し、第1筒体の端部に着脱可能な第2
    筒体とを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちの1
    つに記載の薄板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  8. 【請求項8】 第1または第2筒体に着脱可能な取付部
    と、 取付部に連なり、レーザ光の光軸外方に延び、光軸上で
    溶接位置に存在する教示用先端部を有する教示片とを含
    む教示部材をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7
    のうちの1つに記載の薄板のレーザ溶接用出力ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のうちの1つに記載のレン
    ズ集光光学系と、 レンズ集光光学系と、溶接されるべき薄板とを、溶接線
    に沿って相対的に移動する移動手段とを含むことを特徴
    とする薄板のレーザ溶接装置。
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