JP3497920B2 - 新規な遷移金属化合物および該遷移金属化合物からなるオレフィン重合用触媒成分 - Google Patents

新規な遷移金属化合物および該遷移金属化合物からなるオレフィン重合用触媒成分

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JP3497920B2
JP3497920B2 JP13186595A JP13186595A JP3497920B2 JP 3497920 B2 JP3497920 B2 JP 3497920B2 JP 13186595 A JP13186595 A JP 13186595A JP 13186595 A JP13186595 A JP 13186595A JP 3497920 B2 JP3497920 B2 JP 3497920B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、新規な遷移金属化合物お
よび該遷移金属化合物からなるオレフィン重合用触媒成
分に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】オレフィン重合用の均一触媒系と
しては、いわゆるカミンスキー触媒がよく知られてい
る。この触媒は、非常に重合活性が高く、分子量分布が
狭い重合体が得られるという特徴がある。
【0003】このようなカミンスキー触媒に用いられる
遷移金属化合物としては、たとえば、ビス(シクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭58−1
9309号公報)や、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒ
ドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭61
−130314号公報)などが知られている。
【0004】また、重合に用いる遷移金属化合物が異な
ると、オレフィン重合活性や、得られるポリオレフィン
の性状が大きく異なることも知られている。ポリオレフ
ィンは、機械的特性などに優れているため、各種成形体
用など種々の分野に用いられているが、近年ポリオレフ
ィンに対する物性の要求が多様化しており、様々な性状
のポリオレフィンが望まれている。
【0005】そのため、さらに得られたポリオレフィン
の性状に優れるオレフィン重合用触媒成分の出現が望ま
れており、またそのようなオレフィン重合用触媒成分と
なりうるような新たな遷移金属化合物の出現が望まれて
いる。
【0006】
【発明の目的】本発明は優れたオレフィンの重合活性を
有するオレフィン重合用触媒成分となりうる新規な遷移
金属化合物を提供することを目的とすると共に、この遷
移金属化合物からなるオレフィン重合用触媒成分を提供
することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る新規な遷移金属化合物は、
下記一般式(I)で表される遷移金属化合物である。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、Mはジルコニウムを示し、R1
6 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素
数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、R1 〜R6
で示される原子または基のうち互いに隣接する2個の基
が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳香族
環または脂肪族環を形成してもよく、R7 〜R10は、互
いに同一でも異なっていてもよく、R1 〜R6 と同様の
原子または基を示し、R7 〜R10で示される原子または
基のうち互いに隣接する2個の基が結合して、それらの
結合する炭素原子と一緒に芳香族環または脂肪族環を形
成してもよく、X1 およびX2 は、互いに同一でも異な
っていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜
20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水
素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、Qは、−
O−、−S−、−NR11−、−PR12−を示し、R11
よびR12は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基
を示す)本発明に係るオレフィン重合用触媒成分は、上
記一般式(I)で表される遷移金属化合物からなること
を特徴としている。
【0010】本発明に係るオレフィン重合用触媒成分
は、たとえば(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物およ
び/または(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応して
イオン対を形成する化合物と組み合わせることによりオ
レフィン重合用触媒として用いることができる。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る新規な遷移金
属化合物および該遷移金属化合物からなるオレフィン重
合用触媒成分について具体的に説明する。
【0012】まず、本発明に係る新規な遷移金属化合物
について説明する。本発明に係る新規な遷移金属化合物
は、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物であ
る。
【0013】
【化3】
【0014】 式中、Mはジルコニウムである。
【0015】R1 〜R6 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の
炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を
示し、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの
ハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘ
キシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシ
ル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのア
ルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなど
のアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニル
プロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリ
ル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフ
ェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メ
チルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどの
アリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;前記炭
素数1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した炭
素数1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0016】また、R1 〜R6 で示される原子または基
のうち互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結
合する炭素原子と一緒に芳香族環または脂肪族環を形成
してもよい。
【0017】これらのうち炭化水素基または水素原子で
あることが好ましく、炭化水素基である場合には、特に
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェニ
ル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチルなどの炭素数
1〜10の炭化水素基であることが好ましい。本発明で
は、R1 〜R6 で示される原子または基のうち、1個ま
たは2個の基が前記炭素数1〜10の炭化水素基であり
他が水素原子であるか、あるいはR1 〜R6 で示される
原子または基が全て水素原子であることが好ましい。
【0018】R7 〜R10は、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の
炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を
示し、具体的には、R1 〜R6 と同様の原子または基が
挙げられる。
【0019】また、R7 〜R10で示される原子または基
のうち互いに隣接する2個の基が結合して、それらの結
合する炭素原子と一緒にベンゼン、ナフタレン、アセナ
フテンなどの芳香族環または脂肪族環を形成してもよ
い。
【0020】これらのうち炭化水素基または水素原子で
あることが好ましく、炭化水素基である場合には、前記
と同様の炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ま
しい。本発明では、R7 〜R10で示される原子または基
のうち、互いに隣接する2個の基が炭化水素基であり他
が水素原子であり、かつ該互いに隣接する2個の炭化水
素基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳
香族環を形成しているか、あるいはR7 〜R10で示され
る原子または基が全て水素原子であることが好ましい。
【0021】X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜2
0の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素
基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的に
は、前記R1 〜R6 と同様のハロゲン原子、炭素数1〜
20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水
素基が例示できる。
【0022】酸素含有基としては、ヒドロキシ基、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキ
シ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノ
キシ、ナフトキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキ
シ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基が例
示できる。
【0023】イオウ含有基としては、前記酸素含有基の
酸素がイオウに置換したイオウ含有置換基、およびメチ
ルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、
フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-
トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォ
ネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-ク
ロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼン
スルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフ
ィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィ
ネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼ
ンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネ
ートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0024】これらのうち、ハロゲン原子または炭素数
1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Qは、−
O−、−S−、−NR1 −、−PR12−を示し、R11
よびR12は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基
を示し、該炭化水素基としては、前記R1 〜R6 と同様
の炭素数1〜20の炭化水素基が例示できる。
【0025】これらのうち炭化水素基であることが好ま
しく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジ
ル、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチルな
どの炭素数1〜10の炭化水素基であることが好まし
い。
【0026】以下に上記一般式(I)で表される遷移金
属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるも
のではない。 o-(4-インデニル)-フェノキシジルコニウムジクロリ
ド、o-(4-インデニル)-フェノキシチタニウムジクロ
リド、o-(4-インデニル)-フェノキシハフニウムジク
ロリド、o-(4-インデニル)-フェノキシジルコニウム
ジメチル、o-(4-インデニル)-フェノキシチタニウム
ジメチル、o-(4-インデニル)-フェノキシハフニウム
ジメチル、o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノキシジ
ルコニウムジクロリド、o-(2-メチル-4-インデニル)-
フェノキシチタニウムジクロリド、o-(2-メチル-4-イ
ンデニル)-フェノキシハフニウムジクロリド、o-(2-
メチル-4-インデニル)-フェノキシジルコニウムジメチ
ル、o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノキシチタニウ
ムジメチル、o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノキシ
ハフニウムジメチル、o-(2-メチル-7-フェニル-4-イン
デニル)-フェノキシジルコニウムジクロリド、o-(1-
エチル-6-メチル-4-インデニル)-フェニルチオジルコ
ニウムジクロリド、1-(5-クロロ-4-インデニル)-2-ナ
フトキシジルコニウムジクロリド、o-(4-インデニル)
-フェニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド、o-
(4-インデニル)-フェニル-t-ブチルアミドチタニウム
ジクロリド、o-(4-インデニル)-フェニル-t-ブチルア
ミドハフニウムジクロリド、o-(2-メチル-4-インデニ
ル)-フェニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリ
ド、o-(2-メチル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチル
アミドチタニウムジクロリド、o-(2-メチル-4-インデ
ニル)-フェニル-t-ブチルアミドハフニウムジクロリ
ド、o-(2-メチル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチル
アミドジルコニウムジメチル、o-(2-メチル-4-インデ
ニル)-フェニル-t-ブチルアミドチタニウムジメチル、
o-(2-メチル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチルアミ
ドハフニウムジメチル、2-(3-フェニル-4-インデニ
ル)-3-ナフチル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリ
ドなど。
【0027】本発明では、上記のような化合物において
ジルコニウム金属、チタニウム金属、ハフニウム金属
を、バナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロ
ム金属、モリブデン金属、タングステン金属に置き換え
た遷移金属化合物を用いることもできる。
【0028】このような本発明に係る新規な遷移金属化
合物は、たとえば次のようにして製造することができ
る。なお、下記製造工程は、前記一般式(I)において
Mがジルコニウムであり、R1 〜R10が水素であり、X
1 およびX2 が塩素である遷移金属化合物を製造する場
合を示している。
【0029】
【化4】
【0030】本発明に係る新規な遷移金属化合物は、有
機アルミニウムオキシ化合物などと組み合せてオレフィ
ン重合用触媒成分として用いることができる。図1に、
本発明に係る遷移金属化合物を用いたオレフィン重合触
媒の調製工程を示す。
【0031】次に、上述した新規な遷移金属化合物を触
媒成分として含む、オレフィン重合用触媒について説明
する。なお、本明細書において「重合」という語は、単
独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられ
ることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけ
でなく、共重合体をも包含した意味で用いられることが
ある。
【0032】本発明に係るオレフィン重合用触媒成分
は、以下の態様で利用することができる。 (A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、 (B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/ま
たは(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン
対を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とから形成されるオレフ
ィン重合用触媒。
【0033】(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物は、
従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平
2-78687号公報に例示されているようなベンゼン
不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよ
い。
【0034】従来公知のアルミノキサンは、たとえば下
記のような方法によって製造することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して、吸着水あるいは結晶水と有機アルミニウム
化合物とを反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を
作用させる方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリ
アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなど
の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0035】なお、該アルミノキサンは、少量の有機金
属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミ
ノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウ
ム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいは
アルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0036】アルミノキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロ
ピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ト
リn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルア
ルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシル
アルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシル
アルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシ
クロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミ
ニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチ
ルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウ
ムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジ
エチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミ
ニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシ
ドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが
挙げられる。
【0037】これらのうち、トリアルキルアルミニウ
ム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリ
メチルアルミニウムが特に好ましい。また、アルミノキ
サンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物
として、下記一般式(II)で表されるイソプレニルアル
ミニウムを用いることもできる。
【0038】 (i-C49x Aly (C510z … (II) (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xであ
る。) 上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるい
は組合せて用いられる。
【0039】アルミノキサンの溶液に用いられる溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメ
ンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンな
どの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素
化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチル
エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用い
ることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水
素が好ましい。
【0040】(B-2) 前記遷移金属化合物(A)と反応し
てイオン対を形成する化合物(以下「イオン化イオン性
化合物」ということがある)としては、特開平1−50
1950号公報、特開平1−502036号公報、特開
平3−179005号公報、特開平3−179006号
公報、特開平3−207703号公報、特開平3−20
7704号公報、US−547718号公報などに記載
されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合
物を挙げることができる。
【0041】ルイス酸としてはマグネシウム含有ルイス
酸、アルミニウム含有ルイス酸、ホウ素含有ルイス酸な
どが挙げられ、これらのうちホウ素含有ルイス酸が好ま
しい。
【0042】ホウ素含有ルイス酸として具体的には、下
記一般式で表される化合物が例示できる。 BRa b c (式中、Ra 、Rb およびRc は、互いに同一でも異な
っていてもよく、フッ素原子、メチル基、トリフルオロ
メチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基、
またはフッ素原子を示す。) 上記一般式で表される化合物として具体的には、トリフ
ルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオ
ロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニ
ル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロ
ン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス
(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリ
ス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
これらのうちではトリス(ペンタフルオロフェニル)ボ
ロンが特に好ましい。
【0043】イオン性化合物は、カチオン部とアニオン
部とからなる塩である。カチオン部は前記遷移金属化合
物(A)と反応することにより遷移金属化合物(A)を
カチオン化し、アニオン部とイオン対を形成することに
より遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。
【0044】そのようなカチオンとしては、金属カチオ
ン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリピ
ウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカ
チオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン
などが挙げられる。さらに詳しくはトリフェニルカルベ
ニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、N,
N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウムカチ
オンなどである。
【0045】また、アニオンとしては、有機ホウ素化合
物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウ
ム化合物アニオンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カ
チオン種を安定化させるものが好ましい。
【0046】これらのうち、アニオンとしてホウ素化合
物を含有するイオン性化合物が好ましい。以下、具体例
を挙げる。トリアルキル置換アンモニウム塩としては、
例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレ
ート、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボ
レート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニ
ル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリ
ル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリ
ル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモ
ニウムテトラキス(o,p-ジメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(m,m-ジメチルフェ
ニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス
(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-
ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ボレート、ト
リ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-フルオロフ
ェニル)ボレートなど;N,N-ジアルキルアニリニウム塩
としては、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フ
ェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチル
アニリニウムテトラ(フェニル)ボレート、N,N-2,4,6-
ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート
など;ジアルキルアンモニウム塩としては、例えばジ
(n-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテト
ラ(フェニル)ボレートなど;トリアリールホスフォニ
ウム塩としては、例えばトリフェニルホスフォニウムテ
トラ(フェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホ
スフォニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリ(ジメ
チルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ボレ
ートなど;さらに、カルベニウム塩としては、例えばト
リフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボレートなど、フェロセン化合物としては、例
えばフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることができる。
【0047】また、カルボラン化合物としては、以下の
化合物が例示できる。デカボラン、ドデカボラン、1-カ
ルバウンデカボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン、2,
7-ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド-7,8
-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイド
ライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ
(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ
(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ
(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート、
トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボ
レート、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウ
ンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカ
ハイドライド-8-メチル7,9-ジカルバウンデカボレー
ト、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライ
ド8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-
ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-
7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アン
モニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバ
ウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウン
デカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウ
ンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデ
カハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレー
ト、4-カルバノナボラン、1,3-ジカルバノナボラン、6,
9-ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド-1-フェニ
ル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メ
チル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-
1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボランなど、上記のよ
うな前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形
成する化合物(B-2) は、2種以上混合して用いることが
できる。
【0048】必要に応じて用いられる(C)有機アルミ
ニウム化合物としては、例えば下記一般式(III)で表
される有機アルミニウム化合物を例示することができ
る。 Rd n AlX3-n … (III) (式中、Rd は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、X
はハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3であ
る。) 上記一般式(III)において、Rd は炭素数1〜12の
炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基また
はアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などであ
る。
【0049】このような有機アルミニウム化合物(C)
としては、具体的には以下のような化合物が挙げられ
る。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチ
ルヘキシル)アルミニウムなどのトリアルキルアルミニ
ウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアル
ミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルア
ルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロ
リド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルア
ルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハラ
イド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセ
スキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エ
チルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミ
ニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリ
ド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアル
ミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドな
どのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミ
ニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイド
ライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0050】また有機アルミニウム化合物(C)とし
て、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることも
できる。 Rd n AlL3-n … (IV) (式中、Rd は上記と同様であり、Lは−ORe 基、−
OSiRf 3 基、−OAlRg 2 基、−NRh 2 基、−S
iRi 3 基または−NRj AlRk 2 基であり、nは1
〜2であり、Re 、Rf 、Rg およびRk はメチル基、
エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基などであり、Rh は水素原子、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメ
チルシリル基などであり、Ri およびRj はメチル基、
エチル基などである。) このような有機アルミニウム化合物としては、具体的に
は、以下のような化合物が用いられる。 (1)Rd n Al(ORe 3-n で表される化合物、
例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアル
ミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキ
シドなど、 (2)Rd n Al(OSiRf 3 3-n で表される化合
物、例えばEt2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)
2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSi
Et3)など; (3)Rd n Al(OAlRg 23-n で表される化合
物、例えばEt2 AlOAlEt2 、(iso-Bu)2
lOAl(iso-Bu)2 など; (4)Rd n Al(NRh 23-n で表される化合物、例
えばMe2 AlNEt2 、Et2 AlNHMe、Me2
AlNHEt、Et2 AlN(SiMe32 、(iso-
Bu)2 AlN(SiMe32 など; (5)Rd n Al(SiRi 33-n で表される化合
物、例えば(iso-Bu)2 AlSiMe3など; (6)Rd n Al(N(Rj)AlRk 23-n で表され
る化合物、例えばEt2AlN(Me)AlEt2
(iso-Bu)2 AlN(Et)Al(iso-Bu)2
ど。
【0051】上記一般式(III)および(IV)で表され
る有機アルミニウム化合物の中では、一般式Rd 3
l、Rd n Al(ORe 3-n 、Rd n Al(OAlRg 2
3-nで表される化合物が好ましく、特にRd がイソア
ルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
【0052】本発明の遷移金属化合物を触媒成分として
用いるオレフィン重合用触媒は、上記(A)遷移金属化
合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2) イ
オン化イオン性化合物および(C)有機アルミニウム化
合物以外に触媒成分として水を用いてもよい。このよう
な水は、後述するような重合溶媒に溶解させた水、ある
いは(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物を製造する際
に用いられる化合物または塩類が含有する吸着水、結晶
水を例示することができる。
【0053】オレフィン重合用触媒は、(A)遷移金属
化合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または
(B-2) イオン化イオン性化合物)および所望により触媒
成分としての水とを不活性炭化水素溶媒中またはオレフ
ィン溶媒中で混合することにより調製することができ
る。
【0054】この際の各成分の混合順序は任意である
が、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(または(B-
2) イオン化イオン性化合物)と水とを混合し、次いで
(A)遷移金属化合物を混合することが好ましい。
【0055】またオレフィン重合用触媒は、(A)遷移
金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物(ま
たは(B-2) イオン化イオン性化合物)、(C)有機アル
ミニウム化合物および所望により触媒成分としての水と
を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合
することにより調製することができる。
【0056】この際の各成分の混合順序は任意である
が、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物を使用する際
は、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物と(C)有機
アルミニウム化合物とを混合し、次いで(A)遷移金属
化合物を混合することが好ましい。
【0057】また、(B-2) イオン化イオン性化合物を使
用する際は、(C)有機アルミニウム化合物と(A)遷
移金属化合物とを混合し、次いで(B-2) イオン化イオン
性化合物を混合することが好ましい。
【0058】上記各成分を混合するに際して、(B-1) 有
機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、
(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子との原子比(A
l/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは
20〜5000であり、(A)遷移金属化合物の濃度
は、約10-8〜10-1モル/リットル、好ましくは10
-7〜5×10-2モル/リットルの範囲である。
【0059】(B-2) イオン化イオン性化合物を用いる場
合、(A)遷移金属化合物と(B-2)イオン化イオン性化
合物とのモル比((A)/(B-2) )は、通常0.01〜
10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、(A)遷移
金属化合物の濃度は、約10 -8〜10-1モル/リット
ル、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットルの範
囲である。
【0060】また、必要に応じて用いられる(C)有機
アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(AlC)と
(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム
原子(AlB-1)との原子比(AlC/AlB-1)は、通
常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲であ
る。
【0061】また、触媒成分として水を用いる場合に
は、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニ
ウム原子(AlB-1)と水(H2O)とのモル比(Al
B-1/H2O)は0.5〜50、好ましくは1〜40の範
囲である。
【0062】上記各触媒成分は、重合器中で混合しても
よいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常−50〜150℃、
好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1
000分間、好ましくは5〜600分間である。また、
混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0063】オレフィン重合触媒の調製に用いられる不
活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂
環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジ
クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれら
の混合物などを挙げることができる。
【0064】本発明に係るオレフィン重合用触媒成分で
ある遷移金属化合物は、(A)遷移金属化合物、(B-1)
有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2) イオン化イオン
性化合物および(C)有機アルミニウム化合物のうち少
なくとも1種の成分が担体に担持されてなる担持型触媒
としても利用することができる。
【0065】このような触媒として具体的には、微粒子
状担体に、(A)前記一般式(I)で表される遷移金属
化合物と、(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物
および/または(B-2) イオン化イオン性化合物とが担持
されてなる固体状触媒、および微粒子状担体に、(A)
前記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)
(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B
-2) イオン化イオン性化合物とが担持されてなる固体状
触媒成分と、(C)有機アルミニウム化合物とからなる
触媒が挙げられる。
【0066】このような担持型触媒に用いられる微粒子
状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が
10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒
状〜は微粒子状の固体である。
【0067】このうち無機担体としては多孔質酸化物が
好ましく、具体的にはSiO2 、Al23、MgO、Z
rO2 、TiO2 、B23、CaO、ZnO、BaO、
ThO2 など、またはこれらの混合物、例えばSiO2-
MgO、SiO2-Al2 3、SiO2-TiO2 、Si
2-V2 5、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-M
gOなどを例示することができる。これらの中でSiO
2 および/またはAl 2 3から選ばれた少なくとも1
種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0068】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO3
2 、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの
炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても
差しつかえない。
【0069】このような微粒子状担体はその種類および
製法により性状は異なるが、比表面積が50〜1000
2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細
孔容積が0.3〜2.5cm3 /gであることが望まし
い。該微粒子状担体は、必要に応じて100〜1000
℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用い
られる。
【0070】さらに、微粒子状担体としては、粒径が1
0〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒
子状固体を挙げることができる。これら有機化合物とし
ては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-
ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフィンを主成
分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロ
ヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体も
しくは共重合体を例示することができる。
【0071】このような微粒子状担体は、表面水酸基あ
るいは水を含有していてもよい。その場合は、表面水酸
基が1.0重量%以上、好ましくは1.5〜4.0重量
%、特に好ましくは2.0〜3.5重量%の量であるこ
とが望ましく、水が1.0重量%以上、好ましくは1.
2〜20重量%、より好ましくは1.4〜15重量%量
であることが望ましい。なお、微粒子状担体が含有する
水とは、微粒子状担体表面に吸着した水を示す。
【0072】ここで、微粒子状担体の吸着水量(重量
%)および表面水酸基量(重量%)は下記のようにして
求められる。 [吸着水量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4
時間乾燥させたときの重量減を吸着水量とする。 [表面水酸基量]200℃の温度で、常圧、窒素流通下
で4時間乾燥して得られた担体の重量をX(g)とし、
さらに該担体を1000℃で20時間焼成して得られた
表面水酸基が消失した焼成物の重量をY(g)として、
下記式により計算する。
【0073】 表面水酸基量(重量%)={(X−Y)/X}×100 このような特定量の吸着水量および表面水酸基を有する
微粒子状担体を用いると、高い重合活性で粒子性状に優
れたオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触
媒を得ることができる。
【0074】固体状触媒(成分)は、上記微粒子状担
体、(A)遷移金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオ
キシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)、
および所望により水とを不活性炭化水素溶媒中またはオ
レフィン媒体中で混合接触させることにより調製するこ
とができる。また各成分を混合接触させるに際して、さ
らに(C)有機アルミニウム化合物を添加することもで
きる。
【0075】この際の混合順序は任意に選ばれるが、好
ましくは微粒子状担体と(B-1) 有機アルミニウムオキシ
化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)とを混
合接触させ、次いで(A)遷移金属化合物を混合接触さ
せ、さらに所望により水を混合接触させるか、(B-1) 有
機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イ
オン性化合物)と(A)遷移金属化合物との混合物と、
微粒子状担体とを混合接触させ、次いで所望により水を
混合接触させるか、あるいは、微粒子状担体と(B-1) 有
機アルミニウムオキシ化合物(または(B-2) イオン化イ
オン性化合物)と水とを混合接触させ、次いで(A)遷
移金属化合物を混合接触させることが選ばれる。
【0076】上記各成分を混合するに際して、(A)遷
移金属化合物は、該(A)遷移金属化合物中の遷移金属
原子に換算して微粒子状担体1gあたり、通常10-6
5×10-3モル、好ましくは3×10-6〜10-3モルの
量で用いられ、(A)遷移金属化合物の濃度は、該
(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子に換算して約5
×10-6〜2×10-2モル/リットル、好ましくは10
-5〜10-2モル/リットルの範囲である。(B-1) 有機ア
ルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、
(A)遷移金属化合物中の遷移金属原子との原子比(A
l/遷移金属)は、通常10〜3000、好ましくは2
0〜2000である。(B-2) イオン化イオン性化合物を
用いる場合、(A)遷移金属化合物と(B-2) イオン化イ
オン性化合物とのモル比((A)/(B-2) )は、通常
0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲である。
【0077】また、触媒成分として水を用いる場合に
は、(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニ
ウム原子(AlB-1)と水(H2 O)とのモル比(Al
B-1/H 2 O)は0.5〜50、好ましくは1〜40の
範囲である。
【0078】上記各成分を混合する際の混合温度は、通
常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であ
り、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜60
0分間である。また、混合接触時には混合温度を変化さ
せてもよい。
【0079】前記固体状触媒(成分)を用いる場合に
は、(C)有機アルミニウム化合物を併用することが好
ましい。(C)有機アルミニウム化合物は、(A)遷移
金属化合物中の遷移金属原子1グラム原子当たり500
モル以下、好ましくは5〜200モルの量で用いられる
ことが望ましい。
【0080】本発明に係るオレフィン重合用触媒成分で
ある遷移金属化合物は、(A)遷移金属化合物と、(B-
1) 有機アルミニウムオキシ化合物および/または(B-2)
イオン化イオン性化合物との存在下、必要に応じて
(C)有機アルミニウム化合物の共存下にオレフィンを
予備重合させてなる予備重合用触媒としても利用するこ
とができる。
【0081】このような触媒としては、微粒子状担体
と、(A)前記一般式(I)で表される遷移金属化合物
と、(B)(B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物および
/または(B-2) イオン化イオン性化合物と、予備重合に
より生成するオレフィン重合体と、から形成される触
媒、および、微粒子状担体と、(A)前記一般式(I)
で表される遷移金属化合物と、(B)(B-1) 有機アルミ
ニウムオキシ化合物および/または(B-2) イオン化イオ
ン性化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、予備
重合により生成するオレフィン重合体と、から形成され
る触媒などが挙げられる。
【0082】このような予備重合触媒は、微粒子状担
体、(A)遷移金属化合物、(B-1) 有機アルミニウムオ
キシ化合物(または(B-2) イオン化イオン性化合物)お
よび所望により(C)有機アルミニウム化合物の存在下
に、少量のオレフィンを予備重合させることにより調製
することができるが、上記の固体状触媒(成分)に、少
量のオレフィンを予備重合することにより調製すること
が望ましい。この場合、固体状触媒(成分)とともに、
(C)有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0083】予備重合に際しては、固体状触媒(成分)
は、該固体状触媒(成分)に含まれる(A)遷移金属化
合物中の遷移金属に換算して、通常10-5〜2×10-2
モル/リットル、好ましくは5×10-5〜10-2モル/
リットルの量で用いられ、予備重合温度は−20〜80
℃、好ましくは0〜50℃であり、また予備重合時間は
0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度であ
る。
【0084】予備重合に用いられるオレフィンとして
は、重合に用いられるオレフィンの中から選ばれるが、
好ましくは重合と同じモノマーまたは重合と同じモノマ
ーとα-オレフィンとの混合物である。
【0085】上記のようにして得られたオレフィン重合
用触媒は、微粒子状担体1g当たり約10-6〜10-3
ラム原子、好ましくは2×10-6〜3×10-4グラム原
子の遷移金属原子が担持され、約10-3〜10-1グラム
原子、好ましくは2×10-3〜5×10-2グラム原子の
アルミニウム原子が担持されていることが望ましい。ま
た(B-2) イオン化イオン性化合物は、(B-2) イオン化イ
オン性化合物中のホウ素原子として10-7〜0.1グラ
ム原子、好ましくは2×10-7〜3×10-2グラム原子
の量で担持されていることが望ましい。
【0086】さらに予備重合によって生成する重合体量
は、微粒子状担体1g当たり約0.1〜500g、好ま
しくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100g
の範囲であることが望ましい。
【0087】前記予備重合触媒(成分)を用いる場合に
は、(C)有機アルミニウム化合物を併用することが好
ましい。(C)有機アルミニウム化合物は、(A)遷移
金属化合物中の遷移金属原子1グラム原子あたり500
モル以下、好ましくは5〜200モルの量で用いること
が望ましい。
【0088】なお、前記オレフィン重合用触媒は、上記
のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成
分を含むことができる。このようなオレフィン重合用触
媒によって得られるポリオレフィンは、分子量分布およ
び組成分布が狭く、分子量が高く、重合活性が高い。
【0089】次に、前記オレフィン重合用触媒を用いた
オレフィンの重合方法について説明する。前記オレフィ
ン重合用触媒の存在下にオレフィンの重合を行う場合に
は、重合は懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合
法いずれにおいても実施できる。
【0090】液相重合法では上述した触媒調製の際に用
いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることがで
き、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
前記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を
行うに際して上記のような触媒は、重合系内の(A)遷
移金属化合物中の遷移金属原子の濃度として、通常10
-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7
10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望
ましい。
【0091】担持型触媒または予備重合触媒を用いる場
合には、所望により担体に担持されていない有機アルミ
ニウムオキシ化合物を反応のいずれの段階においても用
いることができる。
【0092】オレフィンの重合温度は、スラリー重合法
を実施する際には、通常−100〜100℃、好ましく
は−50〜90℃の範囲であることが望ましく、液相重
合法を実施する際には、通常−100〜250℃、好ま
しくは−50〜200℃の範囲であることが望ましい。
また、気相重合法を実施する際には、重合温度は通常−
47〜120℃、好ましくは−40〜100℃の範囲で
あることが望ましい。
【0093】重合圧力は、通常、常圧〜100kg/c
2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であ
り、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの
方法においても行うことができる。さらに重合を反応条
件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0094】得られるオレフィン重合体の分子量は、重
合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化さ
せることによって調節することができる。前記オレフィ
ン重合用触媒により重合することができるオレフィンと
しては、エチレン、および炭素数が3〜20のα-オレ
フィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-
ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセン;炭素数が3〜20の環状
オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、
ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシク
ロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,
8,8a-オクタヒドロナフタレンなどを挙げることができ
る。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンな
どを用いることもできる。
【0095】
【発明の効果】本発明に係る新規な遷移金属化合物は、
オレフィン重合用触媒成分として用いることができる。
【0096】本発明に係るオレフィン重合用触媒は、新
規な構造であり、分子量分布および組成分布が狭く、か
つ分子量が高いポリオレフィンを製造することができ
る。
【0097】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0098】
【実施例1】 o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノキシジルコニウム
ジクロリドの合成 [エトキシメチル-o-ブロモフェニルエーテルの合成]
100ml−3つ口フラスコ(温度計、ジムロート冷却
器、滴下ロート付き)にo-ブロモフェノール26g
(0.148mmol)を入れ、アルゴン雰囲気にし、
ジクロロメタン30mlを加えて氷冷下攪拌した。ここ
に、トリエチルアミン30ml(0.215mmol)
を滴下し、次にクロロメチルエチルエーテル20ml
(0.216mmol)を滴下した。滴下終了後氷浴を
外し、オイルバスで50℃に加熱し、4時間攪拌を続け
た。氷冷後、水20mlをゆっくり滴下して反応液をク
エンチし、反応液を分液ロートに移して水層を分離し、
有機層を水20mlで3回洗浄した。無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物
31gを0.1mmHgで減圧蒸留し、沸点67℃〜7
6℃のフラクションとして目的物が25g(GC純度9
3.9%)得られた(収率69%)。
【0099】得られた生成物の物性を下記に示す。 FD−MS :230、232(M+ ) NMR(CDCl3、90MHz): δ= 1.24(t、3H);3.76(q、2H);
5.32(s、2H);6.88(ddd、J=3H
z、6Hz、8Hz、1H);7.24(m、2H);
7.54(dd、J=2Hz、7Hz、1H) [o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノールの合成]2
00ml−3つ口フラスコ(温度計、ジムロート冷却
器、滴下ロート付き)にマグネシウム2.5g(10
2.86mmol)、テトラヒドロフラン(THF)1
5mlを入れ、アルゴン雰囲気にし、攪拌を開始した。
ここに前記の反応で得られたエトキシメチル-o-ブロモ
フェニルエーテル24.61g(100mmol)をT
HF50mlに溶かした溶液を2時間かけて滴下した。
内温は40℃まで上昇した。滴下終了後、さらに1時間
攪拌を続け、グリニヤール溶液を得た。別の200ml
−3つ口フラスコ(温度計、ジムロート冷却器、滴下ロ
ート付き)に4-ブロモ-2-メチル-1-トリメチルシリルオ
キシインダン(特願平5−136253に記載の方法で
合成)14.5g(48.45mmol)、[1,1'-ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジ
クロリド0.3g(0.41mmol)、THF20m
lを入れ、アルゴン雰囲気にし、攪拌を開始した。調製
しておいたグリニヤール溶液を滴下ロートに入れ、ゆっ
くりと滴下した。滴下終了後、オイルバスで60℃に加
熱し、63時間攪拌を続けた。氷冷後、濃塩酸6mlを
ゆっくり滴下し、氷浴をはずして室温に昇温し、5時間
攪拌を続けた。反応液をろ過して不溶物を除き、ろ液を
分液ロートに移して油水分離し、水層をエーテル20m
lで3回抽出した。合わせた有機層を水20mlで3回
洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下で
留去し、得られた粗生成物20gをカラムクロマトグラ
フィーで精製した(シリカゲル400g、ヘキサン−酢
酸エチル混合系)。目的の化合物が4.79g(GC純
度93.7%)得られた(収率42%)。
【0100】得られた生成物の物性を下記に示す。 FD−MS :222(M+ ) NMR(CDCl3 、90MHz): δ= 2.12(brs、3H);3.20(brs、
2H);5.02(brs、1H);6.56(q、J
=2Hz、1H);6.9〜7.4(m、7H) [o-(2-メチル-4-インデニル)-フェノキシジルコニウ
ムジクロリドの合成]100ml−3つ口フラスコ(温
度計、滴下ロート付き)に、前記の反応で得られたo-
(2-メチル-4-インデニル)-フェノール2.22g(1
0mmol)を入れ、アルゴン雰囲気にし、エーテル3
0mlを加えて攪拌し、反応容器をドライアイス−アセ
トンバスで−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム1
4.2ml(22mmol)をゆっくり滴下し、滴下終
了後氷浴に変え、4時間攪拌した。再び−78℃に冷却
し、四塩化ジルコニウム2.33g(10mmol)を
粉末のまま少しづつ加えた。激しく攪拌しながら17時
間かけてゆっくり室温へと昇温し、黄橙色スラリーを得
た。このスラリーをアルゴン雰囲気下でG4グラスフィ
ルターでろ過し、さらにジクロロメタンで洗浄して塩化
リチウムを除き、ろ液を濃縮・乾固した。エーテル10
mlを加えてしばらく攪拌し、析出してきた黄色の固体
をG4グラスフィルターでろ過し、エーテル1mlで洗
浄したのち真空乾燥して、目的のジルコニウム化合物が
0.08g得られた(収率2%)。得られた生成物の物
性を下記に示す。
【0101】NMR(CDCl3 、90MHz): δ= 1.72(s、3H);4.50(d、J=3H
z、1H);5.72(d、J=3Hz、1H);6.
8〜7.8(m、7H)
【0102】
【実施例2】 o-(2-メチル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチルアミ
ドジルコニウムジクロリドの合成 [o-ブロモ-N-t-ブチルアニリンの合成]200ml−
ナスフラスコにo-ブロモアニリン25.36g(0.1
47mmol)とエーテル100mlを入れ、室温で攪
拌した。ここへ濃塩酸20ml(0.24mmol)を
ゆっくり滴下した。得られた白色スラリーをろ過、風乾
し、塩酸塩とした。この塩酸塩をオートクレーブに入
れ、t-ブチルアルコール57g(0.769mmol)
を加えて密閉し、150℃のオイルバスで9時間反応さ
せた。冷却後、水20mlとエーテル40mlを加えて
攪拌し、不溶物をろ過して除いた。ろ液を油水分離し、
有機層を水10mlで3回洗浄した。生成物と未反応の
原料の分離を容易にするため、無水酢酸4mlを加えて
室温で24時間攪拌し、原料をアセチル化した。エーテ
ルを減圧留去し、ヘキサン40mlを加えてろ過、洗浄
し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精
製した(シリカゲル300g、ヘキサン−酢酸エチル混
合系)。目的の化合物が10.1g(GC純度91.3
%)得られた(収率28%)。得られた生成物の物性を
下記に示す。
【0103】FD−MS :227、229
(M+) NMR(CDCl3 、90MHz): δ= 1.42(s、9H);4.32(brs、1
H);6.54(dt、J=2Hz、7Hz、1H);
6.96(dd、J=2Hz、7Hz、1H);7.1
6(dt、J=2Hz、7Hz、1H);7.44(d
d、J=2Hz、7Hz、1H) [o-(2-メチル-4-インデニル)-N-t-ブチルアニリン
の合成]50ml−3つ口フラスコ(温度計、ジムロー
ト冷却器、滴下ロート付き)にマグネシウム0.105
6g(4.34mmol)、4-ブロモ-2-メチル-1-トリ
メチルシリルオキシインダン1.3067g(4.28
mmol)、THF5mlを入れ、アルゴン雰囲気に
し、攪拌を開始した。1,2-ジブロモエタンを1滴加えて
60℃付近でしばらく加熱し、反応の開始を確かめてか
ら加熱を止めた。室温で15時間攪拌を続け、グリニヤ
ール溶液とした。ここに、前記の反応で得られたo-ブロ
モ-N-t-ブチルアニリン0.912g(3.84mmo
l)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセ
ン]パラジウムジクロリド0.06g(0.082mm
ol)を入れ、オイルバスで7時間還流させた。氷冷
後、濃塩酸3mlをゆっくり滴下し、氷浴をはずしてオ
イルバスで再び30分間還流させた。反応液を分液ロー
トに移して油水分離し、水層をエーテル20mlで3回
抽出した。合わせた有機層を水20mlで3回洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、
得られた粗生成物1.048gをカラムクロマトグラフ
ィーで精製した(シリカゲル20g、ヘキサン−酢酸エ
チル混合系)。薄紫色オイル状の目的の化合物が異性体
の混合物として0.3763g(GC純度93.6%)
得られた(収率33%)。得られた生成物の物性を下記
に示す。
【0104】FD−MS :277(M+) NMR(CDCl3、90MHz): δ= 1.24(s、9H);2.12(s、3H);
3.16、3.26(brs、合わせて2H);3.6
2(brs、1H);6.32、6.55(brs、合
わせて1H);6.6〜7.4(m、7H) [o-(2-メチル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチルア
ミドジルコニウムジクロリドの合成]30ml−3つ口
フラスコ(温度計、滴下ロート付き)に、前記の反応で
得られたo-(2-メチル-4-インデニル)-N-t-ブチルア
ニリン0.2058g(0.694mmol)を入れ、
アルゴン雰囲気にし、エーテル3mlを加えて攪拌を開
始した。n−ブチルリチウム0.9ml(1.458m
mol)をゆっくり滴下し、滴下終了後室温で7時間攪
拌した。ドライアイス−アセトンバスで−78℃に冷却
し、四塩化ジルコニウム0.157g(0.673mm
ol)を粉末のまま少しづつ加えた。激しく攪拌しなが
ら16時間かけてゆっくり室温へと昇温し、黄橙色スラ
リーを得た。このスラリーをアルゴン雰囲気下でG4グ
ラスフィルターでろ過し、さらにエーテル4mlで洗浄
して塩化リチウムを除き、ろ液を濃縮・乾固した。ヘキ
サン3mlを加えてスラリーとし、しばらく攪拌した後
G4グラスフィルターでろ過し、ヘキサン2mlで洗浄
したのち真空乾燥して、目的のジルコニウム化合物が
0.19g得られた(収率63%)。得られた生成物の
物性を下記に示す。
【0105】 FD−MS :436、438、440
(M+
【0106】
【実施例3】 [重 合]充分に窒素置換した内容積500mlのガラ
スフラスコに、精製したトルエン400mlを入れ、エ
チレンを100リットル/hrで流通させながら攪拌
し、75℃に10分間保った。次いで、メチルアルミノ
キサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固
し、トルエンに再溶解したもの)0.8mmol(アル
ミニウム原子換算)と、実施例1で調製したo-(2-メチ
ル-4-インデニル)-フェノキシジルコニウムジクロリド
0.0008mmolとを、よく攪拌して混合しておい
た溶液をフラスコに加え、重合を開始した。75℃にて
1時間重合を行った後、少量のイソプロパノールを添加
することにより重合を停止した。
【0107】得られたポリマ−懸濁液に少量の塩酸を含
む1.5リットルのメタノールを加えてポリマーを析出
させ、グラスフィルターでろ過し溶媒を除いた後メタノ
ールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得ら
れたポリエチレンは0.1gであり、重合活性は125
g/mmol−Zr・hrであった。
【0108】
【実施例4】 [重 合]充分に窒素置換した内容積500mlのガラ
スフラスコに、精製したトルエン400mlを入れ、エ
チレンを100リットル/hrで流通させながら攪拌
し、75℃に10分間保った。次いで、メチルアルミノ
キサン(シェリング社製メチルアルミノキサンを乾固
し、トルエンに再溶解したもの)0.8mmol(アル
ミニウム原子換算)と、実施例2で調製したo-(2-メチ
ル-4-インデニル)-フェニル-t-ブチルアミドジルコニ
ウムジクロリド0.0008mmolとを、よく攪拌し
て混合しておいた溶液をフラスコに加え、重合を開始し
た。75℃にて30分間重合を行った後、少量のイソプ
ロパノールを添加することにより重合を停止した。
【0109】得られたポリマ−懸濁液に少量の塩酸を含
む1.5リットルのメタノールを加えてポリマーを析出
させ、グラスフィルターでろ過し溶媒を除いた後メタノ
ールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得ら
れたポリエチレンは0.3gであり、重合活性は750
g/mmol−Zr・hrであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るオレフィン重合触媒の調製工程
を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−325283(JP,A) 特開 平8−134123(JP,A) 特開 平7−292019(JP,A) 国際公開95/014024(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/64 - 4/658 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表される新規な遷移金
    属化合物; 【化1】 (式中、Mはジルコニウムを示し、 R1 〜R6 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水
    素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、
    炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、R1
    6 で示される原子または基のうち互いに隣接する2個
    の基が結合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳
    香族環または脂肪族環を形成してもよく、 R7 〜R10は、互いに同一でも異なっていてもよく、R
    1 〜R6 と同様の原子または基を示し、R7 〜R10で示
    される原子または基のうち互いに隣接する2個の基が結
    合して、それらの結合する炭素原子と一緒に芳香族環ま
    たは脂肪族環を形成してもよく、 X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよ
    く、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水
    素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、 酸素含有基またはイオウ含有基を示し、 Qは、−O−、−S−、−NR11−、−PR12−を示
    し、R11およびR12は水素原子または炭素数1〜20の
    炭化水素基を示す)。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の一般式(I)で表される
    遷移金属化合物からなることを特徴とするオレフィン重
    合用触媒成分。
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