JP3497868B2 - α−メチレンアルデヒドの製造法 - Google Patents

α−メチレンアルデヒドの製造法

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JP3497868B2
JP3497868B2 JP05248493A JP5248493A JP3497868B2 JP 3497868 B2 JP3497868 B2 JP 3497868B2 JP 05248493 A JP05248493 A JP 05248493A JP 5248493 A JP5248493 A JP 5248493A JP 3497868 B2 JP3497868 B2 JP 3497868B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルデヒド化合物とホル
ムアルデヒドとを縮合反応させてα−メチレンアルデヒ
ド化合物を製造するための改良された製造法に関する。
α−メチレンアルデヒド化合物、中でもメタクロレイン
はメチルメタクリレートの原料として工業的に重要な化
合物である。
【0002】
【従来の技術】アルデヒド化合物とホルムアルデヒドと
を液相中で第二級アミンの存在下に反応させてα−メチ
レンアルデヒド化合物を合成する反応はマンニッヒ反応
として知られている。通常、触媒としての第二級アミン
はカルボン酸塩または鉱酸塩の形で使用される。α−メ
チレンアルデヒド化合物の収率を上げるために第二級ア
ミンの塩を大量に使用する方法が提案されている(米国
特許第2,848,499号明細書参照)。第二級アミ
ンの塩の使用量を低減させて、しかも高い収率でα−メ
チレンアルデヒド化合物を製造する目的で、反応を液相
中で加圧下、150〜300℃の温度で最高25分の反
応時間で行う方法が提案されている(特開昭58−18
8831号公報参照)。これらの方法では、触媒は反応
後、反応混合液から生成したα−メチレンアルデヒド化
合物および一部の水を蒸発させて回収するか、または廃
棄している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】マンニッヒ反応では原
料のホルムアルデヒドとして通常その水溶液を使用し、
その上、反応で水が生成するため、触媒を回収するため
には大量の水を蒸発させる必要がある。また使用したア
ミンのカルボン酸塩は熱で一部分解するため、アミン、
カルボン酸およびアミンのカルボン酸塩の三成分の回収
が必要になり、触媒回収プロセスは極めて煩雑とならざ
るを得ない。さらに触媒を廃棄する場合には、環境汚染
を引起さないように廃水処理、焼却処理等をする必要が
あり、多大の設備投資を要する。
【0004】本発明の目的は、触媒を反応に循環再使用
するうえで有利となるように触媒が反応混合液から効率
的に回収され、かつα−メチレンアルデヒド化合物をマ
ンニッヒ反応により高収率で製造することができる工業
的に有利な方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、一般式(I)
【0006】
【化3】
【0007】(式中、Rは水素原子または炭化水素基を
表す)で示されるアルデヒド化合物とホルムアルデヒド
とを、炭素原子数の総和が12以上である第二級アミン
の有機カルボン酸塩からなる触媒の存在下に水性媒体中
で、80〜160℃で縮合反応させることによって一般
式(II)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Rは前記定義のとおりである)で
示されるα−メチレンアルデヒド化合物を合成し、得ら
れる反応混合液の少なくとも一部を炭化水素およびエー
テルから成る群から選ばれる極性の小さい有機溶剤と接
触させることによって該有機溶剤中にα−メチレンアル
デヒド化合物および触媒を抽出分離し、抽出液からα−
メチレンアルデヒド化合物および有機溶剤をそれぞれ蒸
留分離し、触媒を含む蒸留残渣を回収することを特徴と
するα−メチレンアルデヒド化合物の製造法を提供する
ことによって達成される。
【0010】上記一般式において、Rが表すことのある
炭化水素基は飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基および
芳香族炭化水素基のいずれでもよく、炭素原子数1〜2
0のものが好ましい。炭化水素基は反応に対して不活性
な置換基を有していてもよい。特に好ましい飽和炭化水
素基の例としては、メチル、エチル,n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシ
ル、イソヘプチル、n−ノニルなどの炭素原子数1〜1
0のアルキル基;シクロヘキシルなどの炭素原子数5〜
10のシクロアルキル基などが挙げられ、特に好ましい
不飽和炭化水素基の例としては、ビニル、5−ヘキセニ
ルなどの炭素原子数2〜10のアルケニル基などが挙げ
られ、特に好ましい芳香族炭化水素基の例としてはフェ
ニル基などの炭素原子数6〜10のアリール基などが挙
げられる。
【0011】一般式(I)で示されるアルデヒド化合物
[以下、これをアルデヒド化合物(I)ということがあ
る]としては、例えば、アセトアルデヒド、プロパナー
ル、n−ブタナール、n−ペンタナール、3−メチルブ
タナール、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−
オクタナール、7−メチルオクタナール、n−ウンデカ
ナール、n−オクタデカナール、3−ブテン−1−アー
ル、7−オクテン−1−アール、シクロヘキシルアセト
アルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、メトキシアセ
トアルデヒド、p−クロロフェニルアセトアルデヒドな
どを使用することができる。
【0012】ホルムアルデヒドとしては、取扱い上、濃
度10〜70%の水溶液を使用することが好ましく、3
0〜70%の水溶液を使用することがより好ましい。濃
度の高いホルムアルデヒド水溶液を使用するのが反応器
の効率、反応後の排水処理の点で有利である。ホルムア
ルデヒドの使用量は、アルデヒド化合物(I)1モルに
対し、0.5〜2.0モルの範囲が好ましく、0.8〜
1.2モルの範囲がより好ましく、1.0モル近辺が特
に好ましい。
【0013】本発明における縮合反応は、炭素原子数の
総和が12以上である第二級アミンの有機カルボン酸塩
からなる触媒の存在下に行う。かかる触媒を使用するこ
とが、触媒の損失量を少くし触媒を効果的に回収する上
で重要である。第二級アミンの有機カルボン酸塩の炭素
原子数の総和が12未満である場合には、該有機カルボ
ン酸塩をそれを含む水溶液から効率的に回収することが
困難になり、その損失量が多くなる。炭素原子数の総和
が大き過ぎる第二級アミンの有機カルボン酸塩を使用す
る場合には、反応速度が遅くなり、一般式(II)で示さ
れるα−メチレンアルデヒド化合物[以下、これをα−
メチレンアルデヒド化合物(II)ということがある]の
選択率が低下する傾向にあり好ましくない。第二級アミ
ンの有機カルボン酸塩としては、炭素原子数の総和が1
2〜26のものが好ましく、14〜26のものがより好
ましく、16〜22のものが特に好ましい。本発明にお
ける触媒を構成する第二級アミンとしては炭素原子数1
〜20の炭化水素基を有しているものが好ましく、その
炭化水素基は飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基および
芳香族炭化水素基のいずれでもよく、また2個の炭化水
素基は同一であっても、また異なっていてもよい。第二
級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、
ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−
n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ヘキ
シルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ(2−エチル
ヘキシル)アミン、ジフェニルアミン、ピペリジン、N
−メチル−N−ヘキシルアミン、N−エチル−N−ヘキ
シルアミンなどを例示することができるが、これらに限
定されるものではない。また触媒を構成する有機カルボ
ン酸としては、炭素原子数2〜20であるものが好まし
く、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸お
よび芳香族カルボン酸のいずれでもよい。有機カルボン
酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉
草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、カプロン酸、ヘプタン
酸、カプリル酸、ラウリル酸、2−エチルヘキサン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸
などを例示することができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0014】上記の炭素原子数の総和が12〜22であ
る第二級アミンの有機カルボン酸塩としては、例えば、
ジメチルアミンステアリン酸塩、ジエチルアミンラウリ
ル酸塩、ジ−n−プロピルアミンカプリル酸塩、ジ−n
−プロピルアミンデカン酸塩、ジイソプロピルアミン安
息香酸塩、ジ−n−ブチルアミンカプリル酸塩、ジ−n
−ブチルアミンピバリン酸塩、ジ−n−ブチルアミン吉
草酸塩、ジイソブチルアミンカプロン酸塩、ジ−n−ヘ
キシルアミンカプロン酸塩、ジ−n−オクチルアミン酪
酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)アミンプロピオン酸
塩、ジ(2−エチルヘキシル)アミン吉草酸塩、ピペリ
ジンミリスチン酸塩、ジフェニルアミンプロピオン酸塩
などが使用される。これらの第二級アミンの有機カルボ
ン酸塩を直接反応系に加えてもよいし、上記の第二級ア
ミンと有機カルボン酸とをそれぞれ別々に反応系に加え
ることによって該有機カルボン酸塩を反応系で形成させ
てもよい。第二級アミンの有機カルボン酸塩の使用量
は、アルデヒド化合物(I)1モルに対して0.01〜
0.5モルの範囲が好ましく、0.02〜0.1モルの
範囲がより好ましい。第二級アミンの有機カルボン酸塩
の使用量が0.01当量以下の場合には、反応速度が遅
くなり好ましくない。使用量の上限については特に制限
はないが、0.5モル以上は経済的観点から好ましくな
い。
【0015】上記の縮合反応は、水性媒体中で行われる
が、所望により、反応に不活性でかつ水に不溶性の有機
溶媒の存在下に行うことができる。有機溶媒としては、
例えば、後述の抽出溶剤として使用する極性の小さい有
機溶剤と同じものを使用するのが適当である。有機溶媒
を使用する場合には、反応系の水溶液相100容量部に
対して1〜300容量部の範囲で有機溶媒を使用するの
が好ましい。
【0016】本発明における縮合反応は、80〜160
℃の範囲の温度で実施される。反応温度が80℃より低
い場合には、反応速度が遅くなり、しかもアルドール縮
合反応などの副反応が生起し易くなり、また160℃を
越える場合には、二量化反応、重合反応などの副反応が
起り易くなる。反応温度としては、アルドール縮合反応
などの副反応を抑制する観点から、100〜150℃の
範囲、とりわけ110〜145℃の範囲が望ましい。反
応圧力は採用する反応温度での水およびアルデヒド化合
物の圧力等によって適宜決定される。反応はバッチ式ま
たは連続式のいずれの方法によっても実施される。反応
時間としては30分間以内が好ましく、0.1〜5分間
がより好ましい。反応時間が長くなれば、生成物である
α−メチレンアルデヒド化合物(II)の分解による収率
の低下を招くため、必要以上に長い反応時間は採用しな
いことが望ましい。本発明における縮合反応は、必要に
応じてハイドロキノン、p−メトキシフェノール、フェ
ノチアジンなどの重合禁止剤を添加して行うことが推奨
される。添加方法としては、反応器に直接加えてもよ
く、原料のアルデヒド化合物(I)に溶解し溶液として
添加してもよい。その使用量は、アルデヒド化合物
(I)に対し、通常10〜5000ppmの範囲であ
り、好ましくは100〜2000ppmの範囲である。
【0017】α−メチレンアルデヒド化合物(II)は熱
的安定性が良好でないことから、反応終了後、得られる
反応混合液は直ちに100℃以下の温度、好ましくは6
0℃以下の温度に冷却することが推奨される。
【0018】前述のように、反応混合液の少なくとも一
部を炭化水素およびエーテルから成る群から選ばれる
性の小さい有機溶剤と接触させることによって、該有機
溶剤中にα−メチレンアルデヒド化合物(II)および
触媒を抽出分離する。抽出溶剤である極性の小さい有機
溶剤としては、常圧下での沸点が0〜200℃の範囲に
あるものが好ましく、30〜160℃の範囲にあるもの
がより好ましい。炭化水素としては、例えば、イソペン
タン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、
n−ヘプタン、イソオクタン、n−オクタン、イソノナ
ン、n−ノナン、イソノネン、n−デカン、n−ウンデ
カン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、メシチ
レン、石油エーテル、リグロインなどが挙げられ、エー
テルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−プ
ロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、アニソー
ル、フェネトールなどが挙げられる。これらの抽出溶剤
の中でも、特に炭化水素が好ましい。なお、抽出溶剤と
してα−メチレンアルデヒド化合物(II)の沸点と近
似する沸点を有する有機溶剤の使用は避けるのが好まし
い。抽出溶剤の使用量としては、反応混合液100容量
部に対して20〜500容量部の範囲が好ましく、50
〜150容量部の範囲がより好ましい。抽出操作は0〜
80℃の範囲の温度で実施するのが好ましく、10〜6
0℃の範囲の温度で実施するのがより好ましい。抽出装
置としては、工業的に汎用な撹拌型抽出器、RDC型抽
出器、多孔板塔などが使用できる。抽出操作は回分式ま
たは連続式のいずれでも実施できるが、工業的には相分
離するのに充分な静置槽を備えることにより連続式によ
って行われる。
【0019】抽出操作によって得られる抽出液を蒸留操
作に付することにより、α−メチレンアルデヒド化合物
(II)および抽出溶剤として使用した有機溶剤がそれぞ
れ分離取得される。回収された有機溶剤は抽出溶剤とし
て再使用される。またこの蒸留操作により、触媒を含有
する蒸留残渣が回収される。得られた蒸留残渣は主とし
て触媒成分からなるので、該蒸留残渣をそのまま反応系
に循環することによりそれに含まれる触媒成分を触媒の
一部として再使用することができる。ただし、蒸留残渣
には少量の高沸点副生成物が含有されているので、蒸留
残渣を反応系に循環する場合には、予め蒸留残渣の少な
くとも一部を水で洗浄することにより、高沸点副生成物
を除去することが好ましい。洗浄に使用される水の量に
制限はないが、洗浄すべき蒸留残渣100容量部に対し
て10〜300容量部の範囲が好ましい。洗浄操作は回
分式または連続式のいずれでも実施可能であり、通常よ
く用いられる抽出・洗浄装置を用いて実施される。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体例に説明す
るが、本発明はこれらによって何等限定されるものでは
ない。
【0021】実施例1 温度計、電磁撹拌装置、原料フィード口、ガス吹き込み
口およびサンプリング口を備えた内容量100ml(反
応容積20ml)のステンレス製オートクレーブに、窒
素圧50kg/cm2をかけ、130℃に予備加熱した
500ppmのハイドロキノンを溶解させたプロパナー
ルを302g/hrで、37%ホルマリンを422g/
hrで、ジ−n−ブチルアミンを26.9g/hrで、
およびカプリル酸を30.0g/hrで、それぞれ連続
的にフィードし、130℃で反応を実施した。滞留時間
は1.5分間であった。781g/hrでオーバーフロ
ーするサンプルを氷冷下で回収し、ガスクロマトグラフ
ィーにより生成物の分析を行った。未反応のプロパナー
ルは0.9g/hr、メタクロレインは345.5g/
hrでそれぞれ流出した。仕込みプロパナールに対する
メタクロレインの収率は94.8%、選択率は95.0
%であり、プロパナールの転化率は99.7%であっ
た。
【0022】上記の回収したサンプル200g(メタク
ロレイン88.4g、水92.0g、ジ−n−ブチルア
ミン6.3g、カプリル酸7.7g、その他成分5.0
g)にトルエン50gを加え、相分離により水相と有機
相を分取した。それぞれの組成を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】塔頂部に還流分配器を備え、SUS316
製マクマホン充填物を装填した内径17mmφ、高さ3
00mmの蒸留塔、および温度計を取り付けた三つ口フ
ラスコに、上記の回収した有機相155gを仕込み、減
圧蒸留した。50℃/400mmHgで留出した成分6
1.3gを分析した結果、該成分はメタクロレイン9
7.4%、水2.1%およびトルエン0.5%を含有し
ていた。次に、51.5℃/100mmHgで留出した
成分47.3gを分析した結果、該成分はトルエン9
9.0%およびメタクロレイン1.0%を含有してい
た。蒸留残渣23.2gにはトルエン27.0%、カプ
リル酸31.5%、ジ−n−ブチルアミン25.4%、
およびその他成分16.1%が含まれていた。カプリル
酸およびジ−n−ブチルアミンの仕込み量に対する回収
率は、それぞれ95.2%および78.4%であった。
蒸留残渣23.2gを10gの水で洗い、高沸点成分を
除去した。水洗したのちの蒸留残渣にはカプリル酸7.
3g、ジ−n−ブチルアミン5.8g、トルエン6.3
g、その他成分1.5gが含まれていた。カプリル酸お
よびジ−n−ブチルアミンの仕込み量に対する回収率
は、それぞれ95.1%および75.5%であった。
【0025】上記で用いたと同じオートクレーブに、窒
素圧50kg/cm2をかけ、130℃に予備加熱した
500ppmのハイドロキノンを溶解させたプロパナー
ルを302g/hrで、37%ホルマリンを422g/
hrで、回収した触媒(上記の水洗したのちの蒸留残
渣)20.9gにジ−n−ブチルアミン0.74gを加
えて得られた溶液を88.9g/hrで、それぞれ連続
的にフィードし、130℃で反応を実施した。滞留時間
は1.5分間であった。813g/hrでオーバーフロ
ーするサンプルを氷冷下で回収し、ガスクロマトグラフ
ィーにより生成物の分析を行った。仕込みプロパナール
に対するメタクロレインの収率は93.2%、選択率は
93.8%であり、プロパナールの転化率は99.4%
であった。
【0026】実施例2 実施例1におけると同じオートクレーブに、窒素圧50
kg/cm2をかけ、500ppmのハイドロキノンを
溶解させたプロパナールを90.6g/hrで、37%
ホルマリンを127g/hrで、ジ−n−ブチルアミン
を8.1g/hrで、およびカプリル酸を9.0g/h
rで、それぞれ連続的にフィードし、反応を130℃で
5分間実施した。234.6g/hrでオーバーフロー
するサンプルを氷冷下で回収し、ガスクロマトグラフィ
ーにより生成物の分析を行った。未反応のプロパナール
は0.9g/hr、メタクロレインは98.5g/hr
でそれぞれ流出した。仕込みプロパナールに対するメタ
クロレインの収率は90.0%、選択率は90.9%で
あり、プロパナールの転化率は99.0%であった。実
施例1と同様にして、得られた反応混合液のトルエンに
よる抽出操作および得られた有機相の減圧蒸留操作を行
うことにより、カプリル酸およびジ−n−ブチルアミン
を含有する蒸留残渣を回収した。蒸留残渣中に含まれる
カプリル酸およびジ−n−ブチルアミンの仕込み量に対
する回収率は、それぞれ96.2%および73.8%で
あった。
【0027】比較例1 実施例1において反応温度を200℃とした以外は同じ
条件下で反応を実施した。未反応のプロパナールは0.
6g/hr、メタクロレインは254.8g/hrでそ
れぞれ流出した。仕込みプロパナールに対するメタクロ
レインの収率は69.8%、選択率69.9%であり、
プロパナールの転化率は99.8%であった。
【0028】比較例2 実施例1において反応温度を50℃とした以外は同じ条
件下で反応を実施した。未反応のプロパナールは11
7.2g/hr、メタクロレインは161.8g/hr
でそれぞれ流出した。仕込みプロパナールに対するメタ
クロレインの収率は44.4%、選択率は72.5%で
あり、プロパナールの転化率は61.2%であった。
【0029】実施例3〜12 実施例1におけると同様にして、オートクレーブ中で連
続反応を行い、得られた反応混合液をトルエンで抽出操
作に付し、次いで得られた有機相を減圧蒸留した。アル
デヒド化合物(I)、37%ホルマリン、第二級アミン
および有機カルボン酸の仕込み組成を表2に示し、反応
温度、反応時間、反応成績ならびに蒸留残渣中の第二級
アミンおよび有機カルボン酸の回収率(仕込み量基準)
を表3に示す。なお、これらの表中に実施例1、実施例
2、比較例1および比較例2における反応条件、反応成
績等を併記する。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】実施例13 実施例1で回収したサンプル200g(メタクロレイン
88.4g、水92.0g、ジ−n−ブチルアミン6.
9g、カプリル酸7.7g、その他成分5.0g)にジ
−n−ブチルエーテル50gを加え、相分離により水相
と有機相を分取した。それぞれの組成を表4に示す。得
られた有機相を減圧蒸留し、メタクロレインとジ−n−
ブチルエーテルとをそれぞれ分離取得し、残留残渣を得
た。蒸留残渣中のカプリル酸およびジ−n−ブチルアミ
ンの仕込み量に対する回収率は、それぞれ95.8%お
よび82.0%であった。
【0033】
【表4】
【0034】実施例14 実施例1で回収したサンプル200g(メタクロレイン
88.4g、水92.0g、ジ−n−ブチルアミン6.
9g、カプリル酸7.7g、その他成分5.0g)にn
−オクタン50gを加え、相分離により水相と有機相を
分取した。それぞれの組成を表5に示す。得られた有機
相を減圧蒸留し、メタクロレインとn−オクタンとをそ
れぞれ分離取得し、蒸留残渣を得た。蒸留残渣中のカプ
リル酸およびジ−n−ブチルアミンの仕込み量に対する
回収率は、それぞれ95.5%および81.4%であっ
た。
【0035】
【表5】
【0036】比較例3 実施例1におけると同じオートクレーブに、窒素圧50
kg/cm2をかけ、500ppmのハイドロキノンを
溶解させたプロパナールを312.7g/hrで、37
%ホルマリンを437g/hrで、50%ジメチルアミ
ン水溶液を19.4g/hrで、酢酸を12.9g/h
rでそれぞれフィードし、反応を130℃で1.5分間
実施した。782g/hrでオーバーフローするサンプ
ルを氷冷下で回収し、ガスクロマトグラフィーにより生
成物の分析を行った。未反応のプロパナールは1.0g
/hr、メタクロレインは353.6g/hrでそれぞ
れ流出した。仕込みプロパナールに対するメタクロレイ
ンの収率は93.7%、選択率は94.0%であった。
【0037】上記の回収したサンプル200g(メタク
ロレイン90.4g、水97.7g、ジメチルアミン
2.5g、酢酸3.3g、その他成分6.1g)にトル
エン50gを加え、相分離により水相と有機相を分取し
た。それぞれの組成を表6に示す。酢酸およびジメチル
アミンはほとんどの部分が水相に溶解しており、トルエ
ン中への抽出分離が実質上不可能であった。
【0038】
【表6】
【0039】比較例4 実施例1におけると同じオートクレーブに、窒素圧50
kg/cm2をかけ、500ppmのハイドロキノンを
溶解させたプロパナールを308.7g/hrで、37
%ホルマリンを431.9g/hrで、ジ−n−ブチル
アミンを27.4g/hrで、酢酸を12.7g/hr
でそれぞれフィードし、反応を130℃で1.5分間実
施した。781g/hrでオーバーフローするサンプル
を氷冷下で回収し、ガスクロマトグラフィーにより生成
物の分析を行った。未反応のプロパナールは1.2g/
hr、メタクロレインは353.2g/hrでそれぞれ
流出した。仕込みプロパナールに対するメタクロレイン
の収率は94.8%、選択率は95.2%であった。
【0040】上記の回収したサンプル200g(メタク
ロレイン90.6g、水97.9g、ジ−n−ブチルア
ミン6.0g、酢酸3.1g、その他成分1.9g)に
トルエン50gを加え、相分離により水相と有機相を分
取した。それぞれの組成を表7に示す。得られた有機相
を減圧蒸留し、メタクロレインとトルエンとをそれぞれ
分離取得し、蒸留残渣を得た。蒸留残渣中の酢酸および
ジ−n−ブチルアミンの仕込み量に対する回収率は、そ
れぞれ28%および26.0%にすぎなかった。
【0041】
【表7】
【0042】
【発明の効果】本発明に従えば、従来の触媒回収の問題
を解決して触媒が反応混合液から効率的に回収されるの
で、触媒を有効に反応に循環再使用することができる。
それゆえに、本発明によればα−メチレンアルデヒド化
合物の工業的に有利な製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−16587(JP,A) 特開 平5−990(JP,A) 特開 平4−338355(JP,A) 特開 平4−173761(JP,A) 特開 平4−173759(JP,A) 特開 平4−173758(JP,A) 特開 平4−173757(JP,A) 特開 平1−168637(JP,A) 特開 昭58−188831(JP,A) 特開 昭57−150628(JP,A) 特開 昭57−45123(JP,A) 特開 昭55−87737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 47/00 C07C 45/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子または炭化水素基を表す)で示さ
    れるアルデヒド化合物とホルムアルデヒドとを、炭素原
    子数の総和が12以上である第二級アミンの有機カルボ
    ン酸塩からなる触媒の存在下に水性媒体中で、80〜1
    60℃で縮合反応させることによって一般式(II) 【化2】 (式中、Rは前記定義のとおりである)で示されるα−
    メチレンアルデヒド化合物を合成し、得られる反応混合
    液の少なくとも一部を炭化水素およびエーテルから成る
    群から選ばれる極性の小さい有機溶剤と接触させること
    によって該有機溶剤中にα−メチレンアルデヒド化合物
    および触媒を抽出分離し、抽出液からα−メチレンアル
    デヒド化合物および有機溶剤をそれぞれ蒸留分離し、触
    媒を含む蒸留残渣を回収することを特徴とするα−メチ
    レンアルデヒド化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 100〜150℃で縮合反応させる請求
    項1記載の製造法。
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