JP3497822B2 - 循環流動層 - Google Patents

循環流動層

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JP3497822B2 JP2000542609A JP2000542609A JP3497822B2 JP 3497822 B2 JP3497822 B2 JP 3497822B2 JP 2000542609 A JP2000542609 A JP 2000542609A JP 2000542609 A JP2000542609 A JP 2000542609A JP 3497822 B2 JP3497822 B2 JP 3497822B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 この発明は、都市ごみや廃プラスチック等の固形廃棄物
の熱処理などに用いる流動層に関する。
【0002】背景技術 都市ごみや廃プラスチック等の固形廃棄物の熱処理にお
いては、本件発明者が既に特公昭62−35004号
(特許第1461775号)「固形物の燃焼方法及びそ
の装置」に於て詳記したように、熱分解ガス化流動層と
サイクロン燃焼溶融炉との組み合わせ方式が両者の欠点
を相補う合理的な方式であり、周知のように近年この方
式は「ガス化溶融炉」として実用化されつつある。しか
しながら従来のガス化溶融炉における流動層は原料の部
分燃焼によりガス化(吸熱反応)に必要な熱量を供給し
ているため、この燃焼排ガスが熱分解ガスを稀釈してガ
スのカロリーを低下せしめていた。一方、サイクロン燃
焼溶融炉は、灰分を高温溶融して強力な旋回流によって
炉の内壁に捕捉する機能上、急速な高温加熱が必須条件
となるが、熱量の低い高含水率のごみ原料から得られた
低カロリーガスではこのような急速高温加熱が困難、と
いう問題があった。またサイクロン燃焼溶融炉では、前
記のように内壁上で灰分を溶融滴下せしめるために炉内
の温度は1300〜1400℃の高温となるので、炉壁
からの放熱・熱損失を防止する必要上、炉壁の構築が高
価となる問題があった。
【0003】一方、原料ごみの熱量に拘らず高カロリー
ガスを得る方式としては公知の2塔循環式流動層があ
る。図10及び図11は従来の2塔循環式流動層を示す
図であり、図10は概略断面図、図11は図10のZ矢
視図である。図10及び図11に示すように、2塔循環
式流動層は、熱分解ガス化流動層51とチャー類の燃焼
流動層52とを襷掛けの配管53,54で結び、熱媒体
の2塔循環によって熱分解に必要な熱量を補給して、熱
分解ガスを燃焼排ガスと別個に取り出す方式である。し
かし流動層の熱媒体は水平方向に移動し難い性質がある
ので、この構成では熱媒体は配管により局所的に供給さ
れ矢印55,56に示すように短絡して流れる傾向とな
り、流動層内で充分に反応を行わせるためには流動層高
さHを高くする必要を生じ、流動化の動力損失が大きく
なるのみならず装置が大型化する、という問題があっ
た。
【0004】さらにまた、塩化ビニールなどを含む廃プ
ラスチックの熱分解ガス化においては、発生するHCl
が熱分解ガスに含まれる為、これを高温燃焼した場合に
サイクロン燃焼溶融炉以降の諸装置にHClガスによる
高温腐食を生ずる。これを防ぐため予め塩化ビニール類
を機械的に除いたり、別途加熱溶融して塩素を除去して
から熱分解するなど、煩雑な事前処理を必要とする問題
があった。
【0005】発明の開示 本発明は上述の諸課題を解決するもので、即ち、(1)
熱量の低い高含水率のごみ原料でもサイクロン燃焼溶融
炉の急速高温加熱を可能とする高カロリーガスが得られ
ること、(2)炉内温度の高いサイクロン燃焼溶融炉の
構築にあたって高価な炉壁を必要としないこと、(3)
従来の2塔循環式のように熱媒体の循環が短絡する恐れ
がなく、低層高で流動化動力が少なく装置を小型コンパ
クト化すること、(4)塩化ビニールなどを含む廃プラ
スチック原料でもサイクロン燃焼溶融炉に適用可能なガ
スが得られ、溶融炉以降の諸装置のHClによる高温腐
食を避けられること、等を目的としている。
【0006】上記目的を達成するため請求項1に記載の
発明は、流動層を円環状に形成すると共に、該円環状流
動層の中間を移動層で仕切って独立したフリーボードを
有する複数個の流動層に分割し、移動層と流動層との比
重差を駆動力として流動媒体を循環せしめ、該円環状流
動層の中心部にサイクロン燃焼溶融炉を構築したことを
特徴とする。
【0007】また、請求項2に記載の発明は請求項1に
記載の円環状流動層において、円環状流動層を2つの移
動層で仕切って熱分解ガス化流動層とチャー類の燃焼流
動層を構築すると共に、生成した熱分解ガスを中心部の
サイクロン燃焼溶融炉に供給することを特徴とする。ま
た、請求項3に記載の発明は請求項1に記載の円環状流
動層において、移動層内に伝熱管を設けたことを特徴と
する。また、請求項4に記載の発明は請求項3に記載の
円環状流動層において、円環状流動層を2つの移動層で
仕切って脱塩素流動層と熱分解ガス化流動層を構築する
と共に、生成した熱分解ガスを中心部のサイクロン燃焼
溶融炉に供給することを特徴とする。
【0008】発明を実施するための最良の形態 以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明す
る。図1乃至図9において、同一の符号を付した部分は
同一または相当部分で示す。図1〜図4によって一実施
形態を説明する。図1〜図4に示すように、本発明の循
環流動層においては、熱分解ガス化流動層1と燃焼流動
層2は外筒壁3と内筒壁4とにより円環状に構築され、
両流動層は上端に開口5を有する隔壁6と下端に開口7
を有する隔壁8とで構成された移動層9,10によって
仕切られている。下部のガス室11,12にそれぞれ熱
分解ガスの再循環ガスなどの非酸化性ガス13、及び燃
焼用空気14を供給すると、それぞれガス分散板15,
16を経て流動媒体(砂)を流動化し、熱分解ガス化流
動層1と燃焼流動層2が形成される。ここで、非酸化性
ガスとは熱分解ガスの再循環ガスなどの酸素を含まない
ガスのことをいい、支燃性のO(酸素)を含まない非
酸化性のガスのことをいう。熱分解ガスの組成はCO
(一酸化炭素)、H(水素)、CO(炭酸ガス)、
CH(メタン)、その他の可燃性ガスである。流動層
1,2の比重は移動層9,10の比重より軽いのでこの
比重差が駆動力となって、流動媒体(砂)は熱分解ガス
化流動層1→上端の開口5→移動層9→下端の開口7→
燃焼流動層2→上端の開口5→移動層10→下端の開口
7→熱分解ガス化炉1の順で逐次移動する。即ち流動層
の上面17が上端の開口5の下面18より高ければ、流
動媒体は溢流して矢印19の方向に自動的に循環し、し
かもこの循環速度は移動層の幅Bと下端の開口の幅Sが
充分大きければ溢流高さΔで律則され、換言すれば流動
層の高さHを調節することにより循環速度を制御するこ
とができる。原料供給装置20から供給されたごみ原料
を無酸素状態の熱分解ガス化流動層1において500〜
700℃程度で熱分解すると、生成した熱分解ガス21
は灰分と共にフリーボード22を経て熱分解ガス出口2
3から取り出され、また熱分解で生成したチャー類は流
動媒体と共に燃焼流動層2に移動して燃焼し、熱媒体を
加熱昇温させて熱分解(吸熱反応)に必要な熱量を与え
る。燃焼排ガス24はフリーボード25を経て燃焼排ガ
ス出口26から取り出されるが、両フリーボード22,
25は隔壁6,8と移動層9,10とで仕切られ独立し
ているので、熱分解ガス21は燃焼排ガス24と混ざり
合って稀釈されることがなく、このような熱分解ガスの
カロリーは約5000kCal/mに達することが実
験的に確認されている。尚、図中27は不燃物残滓取り
出し用の二重排出弁を示し、取り出された不燃物残滓は
篩分して篩下の流動媒体(砂)は再び流動層に戻され
る。
【0009】上記円環状流動層の内筒壁4を若干上方に
延長し、この円筒上部に、図1及び図2に示すように、
燃焼ガス21の供給口29及び加圧空気30の供給口3
1を接線方向に設けると共に、上部中央に排ガス出口3
2を設けてサイクロン燃焼溶融炉28を構築する。加圧
空気30により旋回流33を作って熱分解ガス21を高
負荷燃焼させて1300〜1400℃に急速加熱する
と、灰分は溶融してサイクロン内壁に捕捉され、点線矢
印34に示すような溶融スラグとなって流下し、排出口
35を経て水室36で冷却された後、コンベア37、二
重排出弁38を経て固体スラグとして外部に取り出され
る。排ガス出口32から排出したサイクロン燃焼溶融炉
の高温燃焼排ガス39は燃焼流動層の燃焼排ガス24と
合流(図示せず)してボイラー40で廃熱を回収利用さ
れ、ガス処理設備41を経て外部に放出される。尚、公
知の特公昭62−35004号と同様に、熱分解ガス2
1は加圧空気30によってエジェクター方式で供給する
と一層よい。
【0010】上記実施形態では流動層を円環状に構築し
ているが、以上の説明から明らかなように、流動媒体を
循環せしめるためには流動層は円環状に限らず楕円環状
にするなど、要するにループ状であればよい。このよう
に構成された循環流動層においては流動媒体は「ところ
てん式」に押し出されて移動するので、従来の2塔循環
式のように短絡する恐れはなく、流動層の高さHが小さ
くとも流動層内で充分に反応が促進される。従って本循
環流動層は単に固形廃棄物の熱処理に限らず、例えば重
質油のクラッキングなどにも適用できることは勿論であ
る。
【0011】尚、流動層内での原料や熱媒体の混合を促
進する目的で、例えば図9に示すように分散板15をV
型にすると共に、ガス室11を11−1〜11−4のよ
うに分割し、外側のガス室11−1と11−4に供給す
るガス管13−1のガス圧力を、内側のガス室11−2
と11−3に供給するガス管13−2のガス圧力よりも
高くして、流動層を矢印44に示すように撹拌すると良
い。
【0012】次に、図5〜図8によって他の実施形態を
説明する。本構成は図1に示す熱分解ガス化流動層1と
燃焼流動層2の位置をそれぞれ脱塩素流動層2Aと熱分
解ガス化流動層1に置き換えたものであり、更に、熱分
解ガス化流動層1の後段の移動層9の中に流動媒体冷却
用の熱交換器42を設けて流動媒体を脱塩素の適温約3
00〜350℃に調整すると共に、脱塩素流動層2Aか
ら排出するHClリッチガス24Aを洗浄してHClを
除去するガス洗浄装置43を設けてある。また、熱分解
ガス化流動層1の下部のガス室11からは流動化ガスと
して空気を供給して部分燃焼により400〜600℃程
度で熱分解を行うが、原料の廃プラスチックは熱量が高
いのでサイクロン燃焼溶融炉28に充分適用可能な高カ
ロリーガスが得られる。ガス洗浄装置43から出たクリ
ーンな熱分解ガスの一部を再循環して脱塩素流動層2A
の流動化ガスとしてガス室12から供給し、必要に応じ
部分燃焼せしめて脱塩素の適温300〜350℃に調整
する。
【0013】図5〜図8に示す実施形態は以上の違いを
除き、フリーボード22と25Aが独立した状態で流動
媒体が矢印19の方向に循環するメカニズムや、サイク
ロン燃焼溶融炉28以降の構成・作用等は全て図1〜図
4に示す実施形態で説明した内容と同様である。即ち塩
化ビニール等を含む廃プラスチック原料を原料供給装置
20から脱塩素流動層2Aに供給し、不燃物を二重排出
弁27から除去し且つ塩素を離脱した固形分は、流動媒
体と共に熱分解ガス化流動層1に移動してガス化され
る。脱塩素流動層2Aのガス出口26Aから排出するH
Clリッチガス24Aは、ガス洗浄装置43で浄化して
から、熱分解ガス21と合流せしめた後に供給口29か
らサイクロン燃焼溶融炉28に供給する。
【0014】従来の廃プラスチックの脱塩素処理は、熱
分解を可及的最小限に止め且つ脱塩素を可能とする最適
温度として300〜350℃に溶融して行われている
が、溶融プラスチックは熱伝導が悪いので短時間でこの
適温に均等加熱することは容易ではなかった。本法で
は、溶融プラスチックが流動媒体(砂)に薄く付着して
比表面積が極めて大きくなることや流動層特有の物質破
砕作用と撹拌効果とが相俟ってプラスチックの均等加熱
が容易となるので、比較的短時間で塩素が離脱し、換言
すれば装置の小形化が可能となる。尚、脱塩素流動層2
AではHClの他に若干の熱分解ガスが発生するが、ガ
ス洗浄後に熱分解ガス21と合流してサイクロン燃焼溶
融炉28に供給されるので無駄にはならない。
【0015】以上説明したように請求項1に記載の発明
によれば、独立したフリーボードを有する複数個の流動
層がループ状に形成され、流動媒体が「ところてん式」
に押し出されて各流動層を循環するので、従来の2塔循
環式のように短絡して循環する恐れがなくなり、流動層
の高さを小さくしても充分に反応が促進され、流動化動
力が少なくなるのみならず装置を小型コンパクト化でき
る。また、サイクロン燃焼溶融炉は、円環状流動層の中
心に設けられて外側が流動層で囲まれているので、炉内
温度が高いにも拘わらず炉壁からの放熱・熱損失を防止
するための高価な炉壁を必要としない。
【0016】また、請求項2に記載の発明によれば、熱
分解ガスは燃焼排ガスによって稀釈されないので、熱量
の低い高含水律のごみでもガスカロリーが高くなり、急
速な高温加熱を必要とするサイクロン燃焼溶融炉の燃料
として使用できる。即ち、原料ごみの熱量如何に拘わら
ず使用可能な「ガス化溶融炉」を提供できる。また、請
求項3に記載の発明によれば、中間の移動層で流動層温
度を調整できるので、温度の異なる複数個の粒状層から
なる循環流動層を構築できる。また、請求項4に記載の
発明によれば、流動層の特性から塩化ビニールなどを含
む廃プラスチックの脱塩素が比較的短時間で可能とな
り、サイクロン燃焼溶融炉以降の諸装置のHClガスに
よる高温腐食を防ぐことができる。
【0017】以上で明らかなように本発明によれば、都
市ごみや廃プラスチック等の熱処理において、環境問題
上多くの利点を有する熱分解ガス化流動層炉とサイクロ
ン燃焼溶融炉とを組み合わせた「ガス化溶融炉」をコン
パクトに構成し得ると共に、その適用可能範囲を大幅に
拡大できる。
【0018】産業上の利用の可能性 本発明は、都市ごみや廃プラスチック等の固形廃棄物の
熱処理などに用いる流動層に関するものであり、廃棄物
処理に好適に利用可能である。 [図面の簡単な説明]
【図1】図1は本発明の循環流動層の縦断面図を含むシ
ステム実施例の説明図で、循環流動層本体は図2及び図
3に共通なY−Y断面図である。
【図2】図2は請求項2に記載の発明に係わる循環流動
層で、図1のP矢視図である。
【図3】図3は請求項2に記載の発明に係わる循環流動
層で、図1のX−X断面図であ3る。
【図4】図4は図3のR−R展開断面図である。
【図5】図5は本発明の循環流動層の縦断面図を含む他
のシステム実施例の説明図で、循環流動層本体は図6及
び図7に共通なY−Y断面図である。
【図6】図6は請求項3、4に記載の発明に係わる循環
流動層で、図5のP矢視図である。
【図7】図7は請求項3、4に記載の発明に係わる循環
流動層で、図5のX−X断面図である。
【図8】図8は図7のR−R展開断面図である。
【図9】図9はガス分散板及びガス室の他の実施例であ
る。
【図10】図10は従来の2塔循環式流動層の縦断面図
である。
【図11】図11は図10のZ矢視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/027 F23G 5/30 F23C 10/02 F27B 15/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動層を円環状に形成すると共に、該円
    環状流動層の中間を移動層で仕切って独立したフリーボ
    ードを有する複数個の流動層に分割し、移動層と流動層
    との比重差を駆動力として流動媒体を循環せしめ、該円
    環状流動層の中心部にサイクロン燃焼溶融炉を構築した
    ことを特徴とする循環流動層。
  2. 【請求項2】 円環状流動層を2つの移動層で仕切って
    熱分解ガス化流動層とチャー類の燃焼流動層を構築する
    と共に、生成した熱分解ガスを中心部のサイクロン燃焼
    溶融炉に供給することを特徴とする請求項1に記載の循
    環流動層。
  3. 【請求項3】 移動層内に伝熱管を設けたことを特徴と
    する請求項1に記載の循環流動層。
  4. 【請求項4】 円環状流動層を2つの移動層で仕切って
    脱塩素流動層と熱分解ガス化流動層を構築すると共に、
    生成した熱分解ガスを中心部のサイクロン燃焼溶融炉に
    供給することを特徴とする請求項3に記載の循環流動
    層。
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