JP3327749B2 - 廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置 - Google Patents

廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置

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JP3327749B2
JP3327749B2 JP26257595A JP26257595A JP3327749B2 JP 3327749 B2 JP3327749 B2 JP 3327749B2 JP 26257595 A JP26257595 A JP 26257595A JP 26257595 A JP26257595 A JP 26257595A JP 3327749 B2 JP3327749 B2 JP 3327749B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃
棄物等を焼却し、その燃焼排ガスの熱により蒸気を製造
して、例えば該蒸気を発電プラント等に用いる過熱蒸気
製造に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】従来より都市ごみ等の廃棄物を焼却する
焼却装置には流動床焼却装置が多く用いられ、かかる装
置は流動床焼却炉内の分散板(例えば多孔板)上に収容
された砂等の流動媒体に分散板下方より空気または焼却
排ガス等を吹き込むことにより流動媒体を流動化すると
ともに加熱し、そのようにして形成された流動床内に都
市ごみ等の廃棄物を投入して燃焼させる。この燃焼によ
り発生した燃焼ガスは、燃焼ガス出口ラインを経てボイ
ラに至り、該ボイラ内で温水との熱接触により蒸気を発
生させ、該蒸気を発電プラント等のタービン駆動源とし
て用いるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さてかかる都市ごみ等
の廃棄物中には塩ビプラスチック等の含塩素有機化合物
が混入しており、可燃分中に塩素として約0.2〜0.
5%含有されている。そして都市ごみ等の廃棄物中に混
入した塩ビプラスチック等に含まれる塩素は、燃焼によ
ってHC1となり(通常、都市ごみ燃焼排ガス中のHC
1は約500〜1000ppm)、焼却炉の後流に設置さ
れた蒸気発生用ボイラのチューブに作用してこれを腐食
させる。特にチューブ表面温度が約350℃以上では温
度の増加とともに高温腐食が顕著となる。
【0004】このため、従来、チューブ表面温度は35
0℃以下にする必要があり、製造される蒸気の温度は約
300℃が限界であった。その結果、従来のごみ焼却に
よる発電効率は約15%以下であって、塩素を殆ど含有
しない重油やLNG等を燃料とし、ボイラチューブ温度
を500〜600℃に出来るプラントの発電効率約40
%に比べて著しく低く、その改善が強く望まれていた。
【0005】本発明者らはかかる技術的課題に鑑み、先
の出願において(出願番号:特願平6ー324843
号、特願平7−140484号)、前記焼却炉としての
流動床内で、温度300〜700℃で処理したところ、
該流動床からの未分解残渣および流動媒体から成るチャ
ー混合物からは実質的に塩素を含有しない未分解残渣が
得られることを見出した。すなわち、廃棄物中に含まれ
ていた塩素は、実質的に全て熱分解ガスに含まれて、熱
分解ガス出口ラインに排出されることを見出した。
【0006】そして、かかる知見に基づき、焼却装置側
には、温度300℃以上の空間内に廃棄物を供給して熱
分解反応を行なわせ、その反応により発生した熱分解ガ
スと未分解残渣および流動媒体から成るチャー混合物と
不燃物とを互いに分離する第1の流動床(以下熱分解手
段という)とともに、前記チャー混合物を空気または燃
焼排ガスによって上方に吹き飛ばしながら前記未分解残
渣を完全燃焼させる第2の流動床(以下チャー燃焼手段
という)を設け、一方ボイラ側には第1及び第2のボイ
ラを実質的に直列に接続し、低段側のボイラで前記熱分
解ガスの熱を利用して約400℃以下、具体的には30
0℃前後の温水または蒸気を製造(以下第1の蒸気製造
手段という)し、次に該300℃前後の温水または蒸気
を第2のボイラに導入して前記チャー燃焼手段より得ら
れた燃焼ガスの熱により略500℃若しくはそれ以上の
過熱蒸気を製造(以下第2の蒸気製造手段という)する
ようにした過熱蒸気製造が提案されている。
【0007】本発明は、かかる先願技術を更に発展さ
せ、塩素によるボイラチューブの高温腐食を防止しなが
ら高温・高圧の過熱蒸気を効率的(多量)に得ることの
できる過熱蒸気の製造にかかる発明を提供する事にあ
る。本発明の他の目的は前記先願技術に比較して更に効
率良く且つ高温度の過熱蒸気を得ることの出来る過熱蒸
気の製造にかかる発明を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
温度300℃〜700℃の空間内に廃棄物を供給して熱
分解反応を行なわせ、その反応により発生した熱分解ガ
スと未分解残渣および流動媒体から成るチャー混合物と
不燃物とを互いに分離する熱分解手段と、空気または燃
焼排ガスによって前記チャー混合物を上方に吹き飛ばし
ながら前記未分解残渣を完全燃焼させるチャー燃焼手段
と、前記熱分解ガスを直接若しくは再燃焼させた後、そ
の熱を利用して約400℃以下の温水または蒸気を製造
する第1の蒸気製造手段と、前記チャー燃焼手段により
得られた燃焼ガスの熱により前記第1の蒸気製造手段で
製造された温水または蒸気を過熱蒸気とする第2の蒸気
製造手段と、前記チャー燃焼手段の950〜1300℃
に加熱されている高温域側に配した第1の熱交換手段と
を含み、前記第1若しくは第2のの製造手段に導入され
る温水若しくは蒸気の一部を、若しくは第2の製造手段
により加熱後の蒸気を、前記チャー燃焼手段の高温域側
に配した第1の熱交換手段に導入して、その出口ライン
の温度を800〜950℃に落とすことを特徴とする。
そしてこの場合、請求項2に記載のように、前記第1の
蒸気製造手段に導入される温水若しくは蒸気の一部を、
前記チャー燃焼手段の高温域側に配した第1の熱交換手
段に導入して、該第1の熱交換手段と前記第1の蒸気製
造手段で加熱された蒸気を合流させて第2の蒸気製造手
段に導入するように構成しても良く、また請求項3に記
載のように、前記チャー燃焼手段の高温域側に配した熱
交換手段、第1蒸気製造手段、第2の蒸気製造手段熱交
換手段を直列に配置して実質的な蒸気の3段階昇温を図
って構成してもよく、更に請求項4に記載したように、
前記第2の製造手段で加熱後の蒸気を、前記チャー燃焼
手段の高温域側に配した第1の熱交換手段に導入して、
その出口ラインの温度を800〜950℃に落とすとと
もに、500〜600℃に十分加熱された過熱蒸気を得
るのがよい。
【0009】請求項記載の発明は前記第1の熱分解手
段と、チャー燃焼手段と、第1の蒸気製造手段と、第2
の蒸気製造手段を有する点は前記発明と同様であるが、
更に本発明は、前記チャー燃焼手段で発生した燃焼ガス
と前記流動媒体を分離する手段と、前記分離手段により
分離された流動媒体を前記熱分解手段の工程及びチャー
燃焼手段の工程の夫々に戻入させる手段と、前記分離手
段の流動媒体出口側に配置した第2の熱交換手段とを含
み、前記第1若しくは第2の蒸気製造手段で加熱された
蒸気を前記第2の熱交換手段で加熱することを特徴とす
るものである。そしてこの場合も請求項6に記載のよう
に、前記第1の蒸気製造手段に導入される温水若しくは
蒸気の一部を、前記チャー燃焼手段の高温域側に配した
第1の熱交換手段に導入して、該第1の熱交換手段と前
記第1の蒸気製造手段で加熱された蒸気を合流させて第
2の蒸気製造手段に導入した後、前記第2の熱交換手段
で加熱して、第1熱交換手段と第1蒸気製造手段を並列
に−第2蒸気製造手段−第2熱交換手段とを直列に配置
することにより、実質的に並列/直列の3段階昇温を図
ってもよく、又請求項7に記載のように、前記チャー燃
焼手段の高温域側に配した熱交換手段、第1蒸気製造手
段、第2の蒸気製造手段熱交換手段、及び第2熱交換手
段とを直列に配置することにより、実質的な蒸気の4段
階昇温を図ってもよい。
【0010】かかる発明によれば前記いずれの請求項に
おいても熱分解手段で分離されたチャー混合物には塩素
が実質的に含まれないので、これを第2の蒸気製造手段
の過熱源として用い500℃以上の過熱蒸気を得るよう
に構成しても、機器の高温腐食は生じない。
【0011】また第1の蒸気製造手段の加熱源には、塩
素を含む熱分解ガスを用いるも、該熱を利用して約40
0℃以下、具体的には略300〜350℃以下の温水ま
たは蒸気を製造を製造するものである為に、高温腐食の
温度以下の温度しか加熱しないために、ボイラチューブ
等の腐食の恐れはない。
【0012】そして、前記燃焼手段では空気または燃焼
排ガスによってチャー混合物を上方に吹き飛ばしながら
未分解残渣を分解させるので、その燃焼ガス中には高温
の流動媒体が含まれる。そこで請求項1記載の発明にお
いては、その高温の燃焼ガスと流動媒体を利用するため
に、前記チャー燃焼手段の高温域側に熱交換手段を配設
して、前記第1若しくは第2の蒸気製造手段で加熱され
た蒸気若しくは前記いずれかの製造手段に導入される温
水若しくは蒸気の一部と熱交換する事により、後記する
作用を営むことが出来る。
【0013】即ち、前記第1の蒸気製造手段に導入され
る温水を前記熱交換手段に導入してある程度の昇温を図
ることにより、熱交換手段−第1の蒸気製造手段−第2
の蒸気製造手段と、実質的に直列の3段階昇温を図るこ
とが出来、多量且つ十分加熱された過熱蒸気を得ること
が出来る。又、前記第2の蒸気製造手段に導入される温
水又は蒸気を前記第1の蒸気製造手段とともに、前記熱
交換手段にパラレルに導入することにより、第2の蒸気
製造手段の加熱量を多くする事が出来、多量の過熱蒸気
を得ることが出来る。
【0014】更に前記チャー燃焼手段の高温域側は、9
50〜1300℃に加熱されているために、第2の蒸気
製造手段で加熱後の過熱蒸気を前記熱交換手段に導入す
ることにより、一層加熱された例えば500〜600℃
の過熱蒸気を得ることも出来、十分加熱された過熱蒸気
を得ることが出来る。又前記チャー燃焼手段の高温域側
に熱交換手段を配設する事は、950〜1300℃と無
用に高くなり、そのまま出口ラインに流すと通常の耐火
材では温度的に持たないが、これを800〜950℃に
落とすことにより通常の耐火材ラインの利用が可能とな
る。又前記のように800〜950℃に落としても第2
の蒸気製造手段における蒸気温度を500〜600℃に
維持する上で何の支障もない。
【0015】請求項2記載の発明は、 前記チャー燃焼
手段の出口側に燃焼ガスと前記流動媒体とを分離する分
離手段を設けた為に、言換えれば800〜950℃前後
の高温の流動媒体を熱分解手段とチャー燃焼手段夫々に
戻入することにより、目的とする温度の流動床形成や温
度管理が容易になる。
【0016】そして前記分離手段の流動媒体出口側に熱
交換手段を配置し、前記第1若しくは第2の蒸気製造手
段で加熱された蒸気若しくは前記いずれかの製造手段に
導入される温水若しくは蒸気の一部を、適宜該流動媒体
との熱接触により加熱することにより、請求項1記載の
発明と同様な作用を営むことが出来る。この場合、前記
チャー燃焼手段の高温域側に熱交換手段(以下第1熱交
換手段という)と前記分離手段の流動媒体出口側にも熱
交換手段(以下第2熱交換手段という)を配置してもよ
い。
【0017】又、第1熱交換手段−第1蒸気製造手段−
第2蒸気製造手段−第2熱交換手段と配置することによ
り、実質的に直列の4段階昇温を図ることが出来、極め
て高い十分加熱された過熱蒸気を得ることが出来る。
又、後記実施例に示すように(第1熱交換手段と第1蒸
気製造手段を並列に)−第2蒸気製造手段−第2熱交換
手段とを直列に配置することにより、実質的に並列/直
列の3段階昇温を図ることが出来、多量且つ十分加熱さ
れた過熱蒸気を得ることが出来る。
【0018】又第1熱交換手段と第2熱交換手段をいず
れかを選択的に用いても良い。又、前記熱交換手段には
スーパヒータ若しくはボイラを用いるのがよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
形態を説明する。但し、この実施形態に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に
特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに
限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。図1
は本発明の実施例に係る廃棄物の焼却熱を利用した過熱
蒸気製造装置を示し、図中、1は流動床からなる熱分解
炉で、多孔板等の分散板3上に砂等の流動媒体2が収納
されており、廃棄物供給ライン4及び砂循環ライン5よ
り流動砂と都市ごみ等の廃棄物が投入され、空気または
燃焼排ガス入口ライン6より供給された空気または燃焼
排ガスにより温度300℃以上の流動床空間を生成し、
廃棄物の熱分解反応を行なわせ、その反応により発生し
た熱分解ガスは熱分解ガス出口ライン7より、又未分解
残渣および流動砂から成るチャー混合物はチャー混合物
取り出しライン9より、不燃物は不燃物取り出しライン
8より、夫々互いに分離して取り出す。
【0020】熱分解ガス出口ライン7より取り出された
熱分解ガスは、空気入口ライン21より取込んだ空気に
より再燃焼されて第1ボイラ24に導入される。尚前記
空気または燃焼排ガス入口ライン6より熱分解炉1に供
給される空気または燃焼排ガスは、300〜700℃の
範囲で熱分解を効率的に行うために、酸素の少ない(3
〜5%程度)且つ温度が100〜300℃の温度を維持
している燃焼排ガス、具体的には第1ボイラ24の出口
ライン25より取り出された燃焼排ガスを用いるのが良
い。
【0021】10は塔式の流動床炉からなるチャー燃焼
炉で、底部に配した分散板11上にチャー混合物取り出
しライン9より供給されたチャー混合物、及び砂循環ラ
イン19より循環された流動砂が収納される。そして前
記分散板11下方の空気供給ライン12より更にチャー
燃焼炉10中域の空気供給ライン13より夫々空気が供
給されて未分解残渣の燃焼を行い、約950〜1300
℃前後の燃焼ガスを生成すると共に、そのチャー燃焼炉
10中の上方域に水冷壁ボイラ36又はスーパヒータを
配設し、950〜1300℃前後と無用に高くなった燃
焼ガスを800〜950℃に落とすと共に、第1ボイラ
24に供給するボイラ水の一部を加熱する。該ボイラ水
の加熱温度は300℃前後になる。
【0022】尚前記のように燃焼ガス温度を800〜9
50℃に落としても第2ボイラ20における蒸気温度を
500〜600℃に維持する上で何の支障もない。そし
て前記燃焼炉10で燃焼されない小型の不燃物は不燃物
取り出しライン14より取り出される。そして前記のよ
うに高温化された砂混合の燃焼ガスは、流動砂/燃焼ガ
ス出口ライン15より気・固分離装置例えばサイクロン
16に導入され、ここで流動砂と燃焼ガスを分離し、燃
焼ガスはガス出口ライン17より第2ボイラ20に導入
される。流動砂は砂出口ライン18より取り出され、砂
循環ライン19より燃焼炉10と、砂循環ライン5より
熱分解炉1に夫々供給される。
【0023】20は第2ボイラ及び24は第1ボイラ
で、第1ボイラ24では熱分解ガス出口ライン7より取
り出された熱分解ガスが、空気入口ライン21より取込
んだ空気により再燃焼されて第2ボイラガス出口より排
出された燃焼排ガスと共に、第1ボイラ24に導入さ
れ、ボイラ水入口26より取込んだボイラ水を300℃
前後に加熱し、第1ボイラ蒸気出口27より第2ボイラ
20に蒸気を供給する。
【0024】第2ボイラ20では前記第1ボイラ24の
第1ボイラ蒸気出口ライン27より取り出した蒸気及び
水冷壁ボイラ36により加熱され分岐蒸気ライン27’
を介してとりだされた蒸気を導入して、前記燃焼ガスラ
イン17を介して供給された燃焼ガスで加熱し、500
〜600℃前後の過熱蒸気を製造し、第2ボイラ蒸気出
口28より取り出す。
【0025】次に前記実施例の作用について詳述する。
熱分解炉1に供給される都市ごみ等の廃棄物中には塩ビ
プラスチック等の含塩素有機化合物が混入しており、可
燃分中に塩素として約0.2〜0.5%含有されてい
る。そして、廃棄物供給ライン4から都市ごみ、砂循環
ライン5から高温の循環砂を、それぞれ熱分解炉1に供
給し、下部の空気または燃焼排ガス入口ライン6から空
気または燃焼排ガスを供給して流動砂2を流動させた流
動床内で、温度300〜700℃で処理することによ
り、チャー混合物取り出しライン9からは実質的に塩素
を含有しない未分解残渣が得られる。すなわち、廃棄物
中に含まれていた塩素は、実質的に全て熱分解ガスに含
まれて、熱分解ガス出口ライン7に排出されることにな
る。なお、熱分解炉1内の熱分解反応で分離された大型
の不燃物は、不燃物取り出しライン8から炉外に取り出
される。
【0026】熱分解炉1で熱分解出口ライン7から取り
出された上記熱分解ガスには、低カロリーガス、油分、
タールおよびHC1が含まれているが、これを空気入口
ライン21から供給される空気で完全燃焼させた後、第
2ボイラガス出口ライン22よりの燃焼排ガスとともに
第1ボイラガス入口23から第1ボイラ24に供給す
る。
【0027】第1ボイラガス入口23のガスにはHC1
が約1000〜2000ppm含まれているので、ボイラ
水の流量を調整して第1ボイラ24のチューブ表面温度
は従来並みの約350℃以下として、高温腐食を抑制す
る。このため、第1ボイラ24では高温の過熱蒸気は得
られないが、約300℃までは加熱できるので、これを
更に第2ボイラ20で加熱すれば、約500〜600℃
の高温の過熱蒸気を得ることができる。
【0028】熱分解炉1でチャー混合物取り出しライン
9から取り出されたチャー混合物砂と未分解残渣から成
り、実質的に塩素を含有しないチャー混合物を、燃焼炉
10では燃焼炉10の下部に供給し、空気供給ライン1
2から分散板11を介して供給される空気によって燃焼
させる。この場合、空気供給ライン12から供給する空
気量を調整して、流動砂を上方に吹き飛ばしながら未分
解残渣を燃焼させる。完全燃焼のために空気供給ライン
13から更に空気を供給することもある。燃焼炉10の
温度は燃焼発熱反応によって上昇する。この温度値は、
チャー混合物取り出しライン9から供給される未分解残
渣の発熱量と空気供給ライン12、13の空気および砂
循環ライン19の流動砂の量と温度によって決まるが、
950〜1300℃前後の高温になる場合がある。
【0029】そこで水冷壁ボイラ36により分岐管2
6’より導入されたボイラ水と熱交換することにより砂
混合燃焼ガス800〜950℃にすることは容易であ
る。小型のガラスや缶類等の不燃物は不燃物取り出しラ
イン14から抜き出す。
【0030】燃焼炉10で生成し800〜950℃の高
温でかつ塩素を実質的に含有しない排ガスは、流動砂と
ともに砂・燃焼ガス出口ライン15を経てサイクロン1
6に導入され、砂は砂出口ライン18から、排ガスはガ
ス出口ライン17からそれぞれ分離して取り出される。
そして砂出口ライン18から取り出された800〜95
0℃の高温の砂の一部は砂循環ライン5を経て熱分解炉
1へ戻され、熱分解炉1内部の温度を所定温度に保持す
るために用いられる。また残りは砂循環ライン19を経
て燃焼炉10に戻される。
【0031】一方、上記サイクロン16のガス出口ライ
ン17から取り出された800〜950℃の高温排ガス
は、第2ボイラ20で第2ボイラ20に導入され、第1
ボイラ24で製造された蒸気を更に加熱して過熱蒸気と
するために用いられる。ガス出口ライン17を経て来た
排ガスは実質的に塩素を含有していないので、第2ボイ
ラ20のボイラチューブ表面温度を550〜700℃と
しても高温腐食は大幅に軽減される。したがってチュー
ブ内流体の温度を約500〜600℃とすることがで
き、第2ボイラ蒸気出口28からは安定して高温の過熱
蒸気が得られる。
【0032】前記熱分解炉1で熱分解炉1温度を所定温
度300℃以上に維持するには、空気または燃焼排ガス
入口ライン6から供給される流動気体の酸素量を調節、
言換えれば第1ボイラ24よりの排ガス流量を調整する
か、又はサイクロン16よりの砂出口ライン18から取
り出される高温約800〜950℃の砂の一部を砂循環
ライン5から供給して熱源とすることが好ましい。その
ためには、燃焼炉10ではガスの空搭速度(炉内のガス
容積流量/炉の断面積)を3〜6m/sとして、チャー混
合物取り出しライン9から供給された砂を吹き飛ばしな
がら未分解残渣を燃焼し、流動砂はサイクロン16で燃
焼ガスと分離して熱分解炉1と燃焼炉10に循環供給す
る高速循環型流動床が適している。
【0033】そして本発明をより効率的に実施するに
は、チャー混合物取り出しライン9から取り出される実
質的に塩素を含有しないチャー混合物の量をできるだけ
多くし好ましくは原料中可燃物の40%以上、燃焼炉1
0で発生する熱量を多くして、第2ボイラ20における
回収熱量を多くすることが望ましい。その結果、発電効
率30%と従来の約2倍の効率が得られるのである。そ
こで本実施例においては、ごみ中の塩素を実質的に分離
除去しチャーの回収率を40%以上にできる条件とし
て、熱分解炉1温度を300〜700℃、好ましくは3
50〜450℃に設定している。
【0034】さてサイクロン16よりの砂出口ライン1
8から取り出される砂は約800〜950℃前後の高温
であるために、これをそのまま砂循環ライン5から熱分
解炉1に供給すると、熱分解炉1温度を350〜450
℃に維持するのが困難になる場合がある。このような場
合は図2に示すように、前記サイクロン16の砂出口ラ
イン18側にスーパーヒータ129その他の熱交換手段
を配置し、前記第2ボイラ20で加熱された過熱蒸気に
より熱交換して該砂の温度を500〜800℃前後に下
げると共に、第2ボイラ20の加熱量の不足を補えるこ
とが出来る。特に第2ボイラ20は第1ボイラ24とと
もに水冷壁ボイラ36の蒸気が導入されるために、熱不
足が生じやすいが、本実施例ではこれを円滑に解消でき
る。
【0035】
【発明の効果】以上記載した如く本発明によれば、塩素
によるボイラチューブの高温腐食を防止しながら高温・
高圧の過熱蒸気を効率的に得ることのできる。又本発明
によれば前記先願技術に比較して熱分配及び熱吸収を効
率良く行い、更に効率良く熱分解とチャー燃焼を可能に
すると共に、且つ高温度の過熱蒸気を得ることの出来
る。等の種々の著効を有す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は請求項1記載の発明に対応する実施例に
係る廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置を示す
系統図である。
【図2】図2は請求項2記載の発明に対応する実施例に
係る廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置を示す
系統図である。
【符号の説明】
1 熱分解炉(熱分解手段) 2 砂等の流動媒体 10 燃焼炉(チャー燃焼手段) 11 分散板 16 サイクロン(分離手段) 20 第2ボイラ(第2蒸気製造手段) 24 第1ボイラ(第1蒸気製造手段) 36 水冷壁ボイラ(チャー燃焼手段の高温域側に配
した熱交換手段) 129 スーパーヒータ(前記分離手段の流動媒体出口
側の熱交換手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F23C 10/20 F23G 5/00 ZAB F23G 1/00 ZAB 5/16 ZABE 5/00 115 5/30 ZABE ZAB ZABK 5/16 ZAB ZABM 5/30 ZAB 5/32 ZAB 5/46 ZABA ZABB 5/32 ZAB 7/00 103A 5/46 ZAB ZAB F23C 11/02 ZAB 7/00 103 311 ZAB 312 (72)発明者 保田 静生 横浜市中区錦町12番地 三菱重工業株式 会社横浜製作所内 (72)発明者 山田 明弘 横浜市中区錦町12番地 三菱重工業株式 会社横浜製作所内 (56)参考文献 特開 平5−346204(JP,A) 特開 昭58−95104(JP,A) 特開 平1−252806(JP,A) 特開 平7−35322(JP,A) 特開 平5−141636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/027 F22B 1/18 F22G 1/16 F23C 10/00 F23C 10/02 F23C 10/20 F23G 1/00 F23G 5/00 F23G 5/16 F23G 5/30 F23G 5/32 F23G 5/46 F23G 7/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度300℃〜700℃の空間内に廃棄
    物を供給して熱分解反応を行なわせ、その反応により発
    生した熱分解ガスと未分解残渣および流動媒体から成る
    チャー混合物と不燃物とを互いに分離する熱分解手段
    と、 空気または燃焼排ガスによって前記チャー混合物を上方
    に吹き飛ばしながら前記未分解残渣を完全燃焼させるチ
    ャー燃焼手段と、 前記熱分解ガスを直接若しくは再燃焼させた後、その熱
    を利用して約400℃以下の温水または蒸気を製造する
    第1の蒸気製造手段と、 前記チャー燃焼手段により得られた燃焼ガスの熱により
    前記第1の蒸気製造手段で製造された温水または蒸気を
    過熱蒸気とする第2の蒸気製造手段と、前記チャー燃焼手段の950〜1300℃に加熱されて
    いる高温域側に配した第1の熱交換手段とを含み、 前記第1若しくは第2の製造手段に導入される温水若し
    くは蒸気の一部を若しくは第2の製造手段により加熱後
    の蒸気を、前記チャー燃焼手段の高温域側に配した第1
    の熱交換手段に導入して、その出口ラインの温度を80
    0〜950℃に落とす ことを特徴とする廃棄物の焼却熱
    を利用した過熱蒸気製造装置。
  2. 【請求項2】 第1の熱交換手段、第1の蒸気製造手段
    及び第2の蒸気製造手段と直列に配置して、温水若しく
    は蒸気の加熱ラインが実質的に直列の3段階昇温を図っ
    たことを特徴とする請求項1記載の廃棄物の焼却熱を利
    用した過熱蒸気製造装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の蒸気製造手段に導入される温
    水若しくは蒸気の一部を、前記チャー燃焼手段の高温域
    側に配した第1の熱交換手段に導入して、該第1の熱交
    換手段と前記第1の蒸気製造手段で加熱された蒸気を合
    流させて第2の蒸気製造手段に導入することを特徴とす
    る請求項1記載の廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製
    造装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の製造手段で加熱後の蒸気を、
    前記チャー燃焼手段の高温域側に配した第1の熱交換手
    段に導入して、その出口ラインの温度を800〜950
    ℃に落とすとともに、500〜600℃に十分加熱され
    た過熱蒸気を得ることを特徴とする請求項1記載の焼却
    熱を利用した過熱蒸気製造装置。
  5. 【請求項5】 前記チャー燃焼手段で発生した燃焼ガス
    と前記流動媒体を分離する手段と、 前記分離手段により分離された流動媒体を前記熱分解手
    段の工程及びチャー燃焼手段の工程の夫々に戻入させる
    手段と、 前記分離手段の流動媒体出口側に配置した第2の熱交換
    手段とを含み、前記第1若しくは第2の蒸気製造手段で加熱された蒸気
    を、前記第2の熱交換手段で加熱することを特徴とする
    請求項1記載の廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造
    装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の蒸気製造手段に導入される温
    水若しくは蒸気の一部を、前記チャー燃焼手段の高温域
    側に配した第1の熱交換手段に導入して、該第1の熱交
    換手段と前記第1の蒸気製造手段で加熱された蒸気を合
    流させて第2の蒸気製造手段に導入した後、前記第2の
    熱交換手段で加熱して、第1熱交換手段と第1蒸気製造
    手段を並列に−第2蒸気製造手段−第2熱交換手段とを
    直列に配置することにより、実質的に並列/直列の3段
    階昇温を図ることを特徴とする請求項5記載の廃棄物の
    焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置。
  7. 【請求項7】 前記チャー燃焼手段の高温域側に配した
    第1の熱交換手段、第1蒸気製造手段、第2の蒸気製造
    手段熱交換手段、及び第2熱交換手段とを直列に配置す
    ることにより、実質的な蒸気の4段階昇温を図ったこと
    を特徴とする請求項5記載の廃棄物の焼却熱を利用した
    過熱蒸気製造装置。
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