JP3408686B2 - 廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置 - Google Patents

廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置

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JP3408686B2
JP3408686B2 JP06939396A JP6939396A JP3408686B2 JP 3408686 B2 JP3408686 B2 JP 3408686B2 JP 06939396 A JP06939396 A JP 06939396A JP 6939396 A JP6939396 A JP 6939396A JP 3408686 B2 JP3408686 B2 JP 3408686B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみや産業廃
棄物等を焼却し、その燃焼排ガスの熱により蒸気を製造
して、例えば該蒸気を発電プラント等に用いる過熱蒸気
製造に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】従来より都市ごみ等の廃棄物を焼却する
焼却装置には流動床焼却装置が多く用いられ、かかる装
置は流動床焼却炉内の分散板(例えば多孔板)上に収容
された砂等の流動媒体に分散板下方より空気または焼却
排ガス等を吹き込むことにより流動媒体を流動化すると
ともに加熱し、そのようにして形成された流動床内に都
市ごみ等の廃棄物を投入して燃焼させる。この燃焼によ
り発生した燃焼ガスは、燃焼ガス出口ラインを経てボイ
ラに至り、該ボイラ内で温水との熱接触により蒸気を発
生させ、該蒸気を発電プラント等のタービン駆動源とし
て用いるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さてかかる都市ごみ等
の廃棄物中には塩ビプラスチック等の含塩素有機化合物
が混入しており、可燃分中にC1として約0.2〜0.
5%含有されている。そして都市ごみ等の廃棄物中に混
入した塩ビプラスチック等に含まれる塩素は、燃焼によ
ってHC1となり(通常、都市ごみ燃焼排ガス中のHC
1は約500〜1000ppm)、焼却炉の後流に設置さ
れた蒸気発生用ボイラのチューブに作用してこれを腐食
させる。特にチューブ表面温度が約350℃以上では温
度の増加とともに高温腐食が顕著となる。このため、従
来、チューブ表面温度は350℃以下にする必要があ
り、製造される蒸気の温度は約300℃が限界であっ
た。その結果、従来のごみ焼却による発電効率は約15
%以下であって、塩素を殆ど含有しない重油やLNG等
を燃料とし、ボイラチューブ温度を500〜600℃に
できるプラントの発電効率約30〜40%に比べて著し
く低く、その改善が強く望まれていた。
【0004】本発明者らはかかる技術的課題に鑑み、塩
素によるボイラチューブの高温腐食を防止しながら高温
・高圧の過熱蒸気を効率的に得ることのできる過熱蒸気
の製造にかかる発明を同時出願の特許願(整理番号96
P0191)に提案している。かかる基本発明は、略2
00℃〜320℃前後に沸点を有するように加圧させた
蒸気水を用い、該蒸気水の加熱を少なくとも2段階以上
の複数段階とし、前記略沸点温度までの加熱を含塩素熱
エネルギで行ない、前記略沸点温度から所定温度の過熱
蒸気を得る過熱を塩素を含まない脱塩素熱エネルギで行
なう事を特徴とするものである。
【0005】かかる基本発明によれば例えば図4に示す
ように、都市ごみ等の廃棄物を、例えば熱分解してその
熱分解ガス中にHC1等が含有する含塩素熱分解ガスで
あっても、該含塩素熱分解ガスの熱エネルギによる蒸気
水の加熱は、略200〜320℃前後の略沸点温度とし
ている為に、含塩素熱分解ガスが蒸気発生用ボイラのチ
ューブに作用してもチューブ表面温度が約350℃以上
とならない為に、これを腐食させる事にならない。この
場合前記蒸気水は加圧により沸点を略200〜320℃
前後に設定してある為に前記含塩素熱分解ガスの蒸気水
への熱エネルギの付与にバラツキが生じていてもそれは
該蒸気水の潛熱の吸収(言い換えれば水から蒸気への相
変換にのみ使用され温度上昇分として作用しない)に使
用されるために、蒸気水の熱交換チューブの表面温度が
塩素腐触温度以上に上昇する事なく、安定した加熱温度
の蒸気水若しくは蒸気を得る事が出来る。
【0006】そして前記略350℃〜500℃の熱分解
により分解されなかった未分解残渣は既に脱塩素されて
いるために、これを燃焼させて得られる、例えば500
〜950℃前後の熱エネルギを利用して前記略200℃
〜320℃前後に一次加熱した蒸気水若しくは蒸気を二
次〜三次加熱して400〜550℃の加熱蒸気を得ても
チューブ腐触が生じる恐れがない。これによりごみ焼却
による発電を行なった場合においても、塩素を殆ど含有
しない重油やLNG等を燃料としたプラントと同様な約
30〜40%前後の発電効率を得る事が出来る。
【0007】そしてかかる発明を具体化させる装置とし
て、温度300℃以上、好ましくは温度350〜500
℃の空間内に廃棄物を供給して熱分解反応を行なわせ、
その反応により発生した熱分解ガスと未分解残渣および
流動媒体から成るチャー混合物と不燃物とを互いに分離
する例えば流動床、ロータリキルン、スクリュー攪拌槽
等を利用した熱分解手段と、空気または燃焼排ガスによ
って前記チャー混合物を流動させながら前記未分解残渣
を燃焼させる例えば高速流動床や気泡流動床その他の流
動床等からなるチャー燃焼手段と、前記熱分解ガスを直
接若しくは再燃焼させた後、その熱を利用して約400
℃以下、具体的には略200〜320℃以下の温水また
は蒸気を製造する第1の蒸気製造手段と、前記チャー燃
焼手段により得られた燃焼ガスの熱により前記第1の蒸
気製造手段で製造された温水または蒸気を過熱蒸気とす
る第2の蒸気製造手段を含むことを特徴とする廃棄物の
焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置を前記基本発明にて
提案している。
【0008】本発明は、かかる基本技術を更に発展さ
せ、前記基本技術に比較して更に効率良く塩素の低減と
もに且つ高温度の過熱蒸気を得ることの出来る過熱蒸気
の製造装置を提供する事にある。本発明の他の目的は、
前記いずれの蒸気製造装置においても、長期に亙って安
定して蒸気の製造を可能にした過熱蒸気の製造にかかる
発明を提供する事にある。又本発明の他の目的は、前記
熱分解ガスの一層の効率利用を図った過熱蒸気の製造装
置を提供する事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
温度300℃以上の空間内に廃棄物を供給して熱分解反
応を行なわせ、その反応により発生した熱分解ガスと未
分解残渣および流動媒体から成るチャー混合物と不燃物
とを互いに分離する熱分解手段と、前記前記熱分解手段
より取り出された未分解残渣および流動媒体から成るチ
ャー混合物を、空気によって流動させながら前記未分解
残渣を燃焼させるチャー燃焼手段と、前記熱分解ガスの
熱エネルギーを利用して200〜320℃以下の温水ま
たは蒸気を製造する第1の蒸気製造手段と、前記チャー
燃焼手段により得られた熱エネルギにより前記第1の蒸
気製造手段で製造された温水または蒸気を過熱蒸気とす
る第2の蒸気製造手段を含む過熱蒸気製造装置である点
前記基本技術と同様であるが、前記熱分解手段を、該
分解手段内の固体分を廃棄物投入側からチャー混合物取
り出し側へ向かって搬送する機械的搬送/撹拌機能を有
する熱分解炉で構成し、前記熱分解炉が、ロータリキル
ンもしくはスクリュー撹拌槽で構成され、定時的且つ定
量的に熱分解時間と熱分解量を確保可能に構成したこと
を特徴とする。
【0010】かかる発明によれば、前記熱分解手段を流
動床ではなく、ロータリキルンもしくはスクリュー撹拌
槽で構成された機械的搬送撹拌手段により固体分を廃棄
物投入側からチャー混合物取り出し側へ向かって搬送可
能に構成したために、流動床に比較して定時的且つ定量
的に熱分解時間と熱分解量を確保することが出来、安定
して熱分解を行うことが出来る。更に重要な効果として
は、流動床で必要とされる流動化用のガス(主としてN
2、CO2、H2O主成分の不活性ガス)が不要なため、
熱分解ガスは希釈されないので、単位容積当りの発熱量
が高く、空気又は酸素富化空気により容易に1300℃
以上の高温を発生でき、後記するようにガス中の灰分の
溶融を行うためのエネルギ−源として有効に使用でき
る。
【0011】そこで前記燃焼ガスは灰分を含んだ状態で
チャー燃焼手段から排出されるために、これをサイクロ
ン等で一旦分離した後、スーパヒータやボイラ等の蒸気
製造手段に導入するのが好ましい。そして前記ガス分離
した灰分は溶融して粒状化することにより骨材等の利用
が可能となる。そして前記灰分を溶融化するには一般に
可燃性ガスである熱分解ガスを用いて燃焼させれば13
00℃前後の高温度に燃焼させる事が容易である。
【0012】しかしながら前記熱分解ガス中に含まれる
灰及び燃焼ガス中に含まれる灰は、廃棄物に対し1割程
度であり、従ってこれを供給される熱分解ガス全てを使
用して溶融することは必ずしも必要なく、却って過剰熱
エネルギになりやすい。又前記熱分解ガス全てを灰が溶
融出来るまでの高温燃焼させるために必要な酸素富化空
気も多くなる。
【0013】そこで請求項2記載の発明は、前記熱分解
手段を流動床機械的撹拌槽を組合せた複数の熱分解炉
で構成するとともに、一の熱分解炉の熱分解温度を、他
の熱分解炉の熱分解温度に対し異ならせ、低温側の一の
熱分解炉では250〜450℃程度の温度に設定し、高
温側の他の熱分解炉では450〜700℃程度の温度に
設定したことを特徴とするものである。
【0014】請求項3記載の発明はかかる点を特定した
もので前記高温側の熱分解炉より生成された熱分解ガス
を、チャー燃焼手段若しくは熱分解手段より取り出され
た夫々のガスより分離された灰分の溶融分離を行う灰分
溶融分離手段に供給するを特徴とする。この結果熱分解
ガスの機能を分離し、一の熱分解炉では積極的に脱塩素
されたチャー混合物の製造を行なう事が出来、他の熱分
解炉では積極的に例えば灰溶融炉に使用する熱分解ガス
を生成する事が出来、この機能分離により効率的なチャ
ー混合物の生成と、熱分解ガスの生成が可能となる。又
一の熱分解炉では廃棄物の脱塩素だけで足りるために、
250〜450℃程度と流動床の温度範囲を広く取れ、
結果としてチャー混合物の量を多くする事が出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
形態を説明する。但し、この実施形態に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に
特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに
限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。図1
は本発明の実施例に係る廃棄物の焼却熱を利用した過熱
蒸気製造装置を示し、1は前記熱分解手段内の固体分を
廃棄物投入側からチャー混合物取り出し側へ向かって搬
送する機械的搬送/攪拌機能を有する攪拌手段、例えば
ロータリキルンや横型スクリュー攪拌槽を設けた熱分解
炉で、砂等の流動媒体2が収納されており、廃棄物供給
ライン4及び砂循環ライン5より砂と都市ごみ等の廃棄
物が投入され、空気または燃焼排ガス入口ライン6より
供給された空気または燃焼排ガスにより温度300℃以
上の攪拌空間を生成し、ロータリキルンや横型スクリュ
ー攪拌槽により砂や廃棄物等を混合攪拌しながら廃棄物
の熱分解反応を行なわせ且つ機械的に未分解残渣および
砂から成るチャー混合物をチャー混合物取り出しライン
9に向け搬送しながら該ライン9より篩90及びライン
91を介してチャー燃焼炉10へ、又、前記攪拌空間の
熱分解反応により発生した熱分解ガスは熱分解ガス出口
ライン7より、又篩90により分離された不燃物は不燃
物取り出しライン8より、夫々互いに分離して取り出
す。
【0016】この際熱分解ガスとチャー混合物の熱カロ
リー比が「約7(熱分解ガス):約3(チャー混合
物)」になるように熱分解を行うことが好ましい。これ
は、加温すべきボイラ水を100Kgf/cm2前後に
加圧してその沸点を350℃前後に設定している為に、
熱分解ガスでは水冷壁ボイラ36及び第1のボイラ24
でボイラ水を常温より「沸点309℃+蒸発潜熱」言換
えれば309℃で殆ど蒸気化するまで立上げるカロリー
と、該立上げた蒸気を沸点309℃より500℃まで立
上げるカロリーの比は、約7:3である事による。
【0017】又熱分解炉1出口側の熱分解ガス出口ライ
ン7には空気入口ライン21が取付けられており、熱分
解炉1より取り出された熱分解ガスは、空気入口ライン
21より空気を導入して熱分解ガス中に含まれるタール
等を一部燃焼させ、出口ライン7におけるタール付着防
止やコーキング防止を図った後、該熱分解ガスは、燃焼
炉34に導入される前に灰溶融炉31に導入される。
【0018】前記灰溶融炉31は、例えば旋回流により
砂混合熱分解ガス灰を旋回分離させながら、該灰溶融炉
31内に空気若しくは酸素富化空気を前記熱分解ガスと
共に、ライン30より導入して該熱分解ガス燃焼熱によ
り1300℃以上として灰分を溶融して、該溶融した灰
分を溶融灰出口ライン32を介して水貯溜部32Aに落
下させ、数mm程度の水冷スラッグを生成し、該スラッ
グを建築用骨材として利用するように構成する。又前記
灰溶融炉31にはサイクロン16の出口ライン18/ダ
ストライン29を介して灰が導入され、これも溶融分離
される。
【0019】又、前記灰溶融炉31の出口ライン33の
下流端には、燃焼ダクトからなる熱分解ガス燃焼炉34
が配設され、前記熱分解ガスに十分な空気をライン21
Aより供給して該熱分解ガスの完全燃焼を行う。従って
本実施例によれば前記サイクロン16で分離した灰分は
前記した灰溶融炉31に導入する事により、前記溶融灰
を利用して骨材等の製造が可能となる。又、熱分解ガス
燃焼炉34及び第1ボイラ24に導入される熱分解ガス
中に灰分等が混入されることなく長期に亙って安定して
蒸気製造が可能になるとともに、又熱分解ガス燃焼炉3
4及び第1ボイラ24に導入される熱分解ガス温度を略
800〜900℃(最大950℃前後)程度に高く設定
できるために、該ボイラ等で製造されるボイラ水/蒸気
を更に多量に製造できる。
【0020】10は塔式の気泡流動床炉からなるチャー
燃焼炉で、底部に配した分散板11上にチャー混合物取
り出しライン9より供給されたチャー混合物、及び砂循
環ライン19ー2/19−1を介して副チャー燃焼炉1
0Bとの間で循環された流動砂が収納される。そして前
記分散板11下方の空気供給ライン12より空気が供給
されて流動床2−3内で600〜800℃に加熱して未
分解残渣の燃焼を行い、更にチャー燃焼炉10中域の空
気供給ライン13又は/及びライン19−3より空気が
導入されて更に加熱し約800〜1300℃前後の燃焼
ガスを生成すると共に、そのチャー燃焼炉10中の上方
域に第2スーパヒータ29−1を配設し、第2の蒸気製
造手段(第1スーパヒータ20)よりライン28−1を
介して導入された過熱蒸気の過熱とともに、950〜1
300℃前後と無用に高くなった燃焼ガスを800〜9
50℃に落とす。尚、前記第2ス−パヒ−タ29−1の
代りに水冷壁ボイラ36−2を配設しボイラ小の加熱に
供しても良い。
【0021】尚前記のように燃焼ガス温度を800〜9
50℃に落としても第1スーパヒータ20における蒸気
温度を400〜550℃に維持する上で何の支障もな
い。そして前記チャー燃焼炉10で燃焼されない小型の
不燃物は不燃物取り出しライン14より取り出される。
【0022】一方、チャー燃焼炉10には副流動床とし
ての副チャー燃焼炉10Bが付設されており、砂循環ラ
イン19ー2/19−1を介して副チャー燃焼炉10B
との間で流動砂が流動するように構成し、そして前記副
チャー燃焼炉10Bの流動媒体内に第3スーパヒータ2
9−2を配設し、第2スーパヒータ29−1の出口側と
ライン28−2を介して接続している。
【0023】尚、副チャー燃焼炉10Bは、独立して設
けてもよいが、前記チャー燃焼炉10より加熱された流
動媒体を熱分解炉1に戻入する流動媒体経路19−1/
5中に、第3スーパヒータ29−2を設けた副チャー燃
焼炉10Bを介在させるのがよい。
【0024】さて前記第2スーパヒータ29−1で熱交
換された燃焼ガスは、砂/燃焼ガス出口ライン15より
必要に応じて気・固分離装置例えばサイクロン16に導
入され、ここでダストや灰と燃焼ガスとを分離し、燃焼
ガスはガス出口ライン17より第1スーパヒータ20に
導入される。
【0025】20は第1スーパヒータ及び24は第1ボ
イラで、第1ボイラ24では熱分解ガス出口ライン7よ
り取り出された熱分解ガスは、水冷壁ボイラ36が内装
されている燃焼ガス燃焼炉34内で燃焼されて第1スー
パヒータ20のボイラガス出口22より排出された燃焼
排ガスと共に、第1のボイラ24に導入され、ボイラ水
入口26より取込んだボイラ水を200〜320℃前後
に加熱し、第1ボイラ出口ライン27より第1スーパヒ
ータ20に蒸気若しくは加熱水を供給する。25は、排
ガス排出ラインである。
【0026】ボイラ水は分岐ライン26’を介して燃焼
ガス燃焼炉34内の水冷壁ボイラ36にも導入され分岐
ライン27’を介して第1スーパヒータ20に蒸気若し
くは加熱水を供給する。尚、100Kgf/cm2前後
に加圧してその沸点を309℃前後に設定している前記
ボイラ水は水冷壁ボイラ36及び第1のボイラ24に導
入されて第1段階の加熱を行うわけであるが、その加熱
温度が前記沸点近くの309℃前後になるようにその通
水量を制御している。
【0027】この結果、水冷壁ボイラ36及び第1のボ
イラ24のチューブ表面壁温度は、前記加温水に追従し
て350以下に維持でき、例え熱交換される熱分解ガス
に塩素若しくはHClを含んでいても安価な低級材でも
腐食が生じる事はない。
【0028】第1スーパヒータ20では前記第1ボイラ
24及び水冷壁ボイラ36の出口ライン27、27’よ
り取り出した蒸気/加熱水及び水冷壁ボイラ36により
加熱され分岐蒸気ライン27’を介してとりだされた蒸
気/加熱水を導入して、前記燃焼ガスライン17を介し
て供給された燃焼ガスで加熱し、500〜600℃前後
の過熱蒸気を製造し、以下蒸気出口ライン28ー1より
第2スーパヒータ29−1に、更にライン28ー2より
第3スーパヒータ29−2に夫々直列に導入して400
〜550℃に過熱された過熱蒸気を取り出し、発電機に
送給する。
【0029】既に前記実施例の作用は構成とともに、説
明したが簡単に繰返し説明するに、熱分解炉1に供給さ
れる都市ごみ等の廃棄物中には塩ビプラスチック等の含
塩素有機化合物が混入しており、可燃分中にC1として
約0.2〜0.5%含有されている。そして、廃棄物供
給ライン4から都市ごみ、流動砂循環ライン5から高温
の循環流動砂を、それぞれ熱分解炉1に供給し、下部の
空気または燃焼排ガス入口ライン6から燃焼排ガスに僅
かな温度調整用空気を供給して都市ごみ及び流動砂を温
度350〜500℃で機械的攪拌を行ないながら処理す
ることにより、チャー混合物取り出しライン9からは実
質的に塩素を含有しない未分解残渣が得られる。すなわ
ち、廃棄物中に含まれていた塩素は、実質的に全て熱分
解ガスに含まれて、熱分解ガス出口ライン7に排出され
ることになる。なお、熱分解炉1内の熱分解反応で分離
された大型の不燃物は篩90により分離されて不燃物取
り出しライン8から炉外に取り出される。
【0030】熱分解炉1の熱分解出口ライン7から取り
出された上記熱分解ガスは、燃焼炉34に導入される前
に灰溶融炉31に導入される。前記灰溶融炉31では、
前記したように前記熱分解ガスとともに、サイクロン1
6の出口ライン18/ダストライン29を介して燃焼ガ
スの灰が導入され、ライン30より導入した空気若しく
は酸素富化空気を前記熱分解ガスと共に燃焼して灰分を
溶融して、該溶融した灰分を水貯溜部32Aに落下さ
せ、数mm程度の水冷スラッグを生成し、該スラッグを
建築用骨材として利用する。又、前記灰溶融炉31の出
口ライン33の下流端には、燃焼ダクトからなる熱分解
ガス燃焼炉34が配設され、前記熱分解ガスに十分なラ
イン21Aより空気を供給して該熱分解ガスの完全燃焼
を行う。
【0031】この結果熱分解燃焼炉34内の熱分解ガス
温度を高く設定できるために、水冷壁ボイラ36及び第
一ボイラ24に導入され沸点200〜320℃近くまで
立上げる蒸気/ボイラ水を多量に製造できる。
【0032】又熱分解燃焼炉34内で水冷壁ボイラ36
と熱交換した熱分解ガスは、第1スーパヒータボイラガ
ス出口ライン22よりの燃焼排ガスとともに第1ボイラ
ガス入口23から第1ボイラ24に供給する。
【0033】前記熱分解燃焼炉34内及び第1ボイラ2
4内に導入されるガスにはHC1が約500〜1000
ppm含まれているので、ボイラ水の流量を調整して水冷
壁ボイラ36及び第1ボイラ24のチューブ表面温度は
従来並みの約350℃以下として、高温腐食を抑制す
る。このため、水冷壁ボイラ36及び第1ボイラ24で
は高温の過熱蒸気は得られないが、約200〜320℃
までは加熱できるので、これを更に第1スーパヒータ2
0以降のスーパヒータ29−1、29−2で加熱すれ
ば、約400〜550℃の高温の過熱蒸気を得ることが
できる。
【0034】熱分解炉1でチャー混合物取り出しライン
9から取り出されたチャー混合物は流動砂と未分解残渣
から成り、実質的に塩素を含有しないチャー混合物を、
篩90不燃物を分離した後、燃焼炉10の下部に供給
し、空気供給ライン12から分散板11を介して供給さ
れる空気によって燃焼させる。この場合、空気供給ライ
ン12から供給する空気量を調整して、流動砂を流動さ
せながら未分解残渣を燃焼させる。完全燃焼のために空
気供給ライン13及び/又はライン19−3から更に空
気を供給することもある。燃焼炉10の温度は燃焼発熱
反応によって上昇する。この温度値は、チャー混合物取
り出しライン9から供給される未分解残渣の発熱量と空
気供給ライン12、13の空気および砂循環ライン19
の流動砂の量と温度によって決まるが、1000〜12
00℃前後の高温になる場合がある。
【0035】そこで第2スーパヒータ29ー1によりラ
イン28ー1を介して第1スーパヒータ20よりの過熱
蒸気と熱交換することにより燃焼ガスを800〜950
℃にすることは容易である。ガラスや缶類等の溶融によ
り小型化された不燃物は不燃物取り出しライン14から
抜き出す。
【0036】尚、前記チャー燃焼炉10の流動媒体は熱
分解炉1との間を循環する為、チャー燃焼炉10の流動
媒体の温度は略600〜850℃、一方熱分解炉1の流
動媒体の温度は350〜500℃であり、両者間の熱落
差が大きく、この為チャー燃焼炉10の流動媒体を熱分
解炉1側に直接導入すると、前記熱落差により熱分解炉
1内の熱分解温度が高くなったり熱変動が生じる恐れが
あり、従って前記戻入される流動媒体の量の調整が煩雑
化する。
【0037】そこで、前記チャー燃焼炉10より加熱さ
れた流動媒体を熱分解炉1に戻入する流動媒体経路19
−1/5中に、第3スーパヒータ29−2を設けた副チ
ャー燃焼炉10Bを介在させることにより、第1のチャ
ー燃焼炉10で600〜800℃に加熱した流動媒体
を、ライン12’より空気を導入し、流動させながら前
記副チャー燃焼炉10Bで第3スーパヒータ29−2に
よる奪熱により500〜700℃に落とし、該500〜
700℃に落とした流動媒体を熱分解炉1に戻入する事
が出来るためになだらかな熱傾斜が可能であり、この結
果前記熱分解炉1内の熱分解温度を350℃から450
℃前後に安定して制御が可能である。
【0038】一方チャー燃焼炉10で生成し800〜9
50℃の高温でかつ塩素を実質的に含有しない燃焼ガス
は燃焼ガス出口ライン15を経て必要に応じてサイクロ
ン16に導入され、ダスト及び灰は出口ライン18か
ら、排ガスはガス出口ライン17からそれぞれ分離して
取り出される。
【0039】上記サイクロン16のガス出口ライン17
から取り出された800〜950℃の高温排ガスは、第
1スーパヒータ20に導入され、第1ボイラ24及び水
冷壁ボイラ36で製造された200〜320℃前後の蒸
気/ボイラ水を加熱して過熱蒸気とするために用いられ
る。ガス出口ライン17を経て来た排ガスは実質的に塩
素を含有していないので、第1スーパヒータ20のボイ
ラチューブ表面温度を350℃以上としても高温腐食は
大幅に軽減される。したがってチューブ内流体の温度を
約500〜600℃とすることができ、第1スーパヒー
タボイラ蒸気出口28からは安定して高温の過熱蒸気が
得られる。前記熱分解炉1で熱分解炉1の温度を所定温
度300℃以上に維持するには、燃焼排ガス入口ライン
6から供給される流動気体の酸素量を調節、言換えれば
第1ボイラ24よりの燃焼排ガスとともに空気を僅かに
供給するとともに、副チャー燃焼手段10Bよりの高温
約500〜700℃の流動砂の一部を砂循環ライン5か
ら供給して熱源としている。
【0040】尚、11、3−2は分散板、2−2、2−
3は流動床である。
【0041】さて図2は本発明の他の実施例に係る廃棄
物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装置を示し前記図1
の実施例との相違点を説明するに、前記熱分解炉1は複
数設け、いずれも流動床からなる流動熱分解炉で構成さ
れている。そして該夫々の流動熱分解炉1、1’は、多
孔板等の分散板3−1,3−1’上に流動砂等の流動媒
体2−1、2−1’が収納されており、廃棄物供給ライ
ン4、4’及び砂循環(戻入)ライン5、5’より流動
砂と都市ごみ等の廃棄物が投入され、燃焼排ガス入口ラ
イン6、6’より供給された燃焼排ガス等により、一の
流動熱分解炉1(第1熱分解炉)は温度250〜450
℃程度の流動床空間で廃棄物の熱分解反応を行なわせて
積極的にチャー混合物を生成し、チャー混合物取り出し
ライン9よりチャー燃焼炉10へ供給する。一方その反
応により発生した熱分解ガスは熱分解ガス出口ライン7
より熱分解ガス燃焼炉34へ、又不燃物は不燃物取り出
しライン8より夫々互いに分離して取り出す。
【0042】他の流動熱分解炉1’(第2熱分解炉)は
温度450〜700℃程の流動床空間で廃棄物の熱分解
反応を行なわせて脱塩素とともに積極的に熱分解ガスを
生成し、熱分解ガス出口ライン7’より灰溶融炉31へ
供給する。一方未反応のチャー混合物は取り出しライン
9’よりチャー燃焼炉10、又不燃物は不燃物取り出し
ライン8’より夫々互いに分離して取り出す。この結
果、一の熱分解炉1’では積極的に脱塩素されたチャー
混合物を多く取り出してチャー混合物の量を増やす事が
出来、一方他の熱分解炉ではチャー混合物の量を少なく
しながら(ほとんどゼロの場合もある)積極的に灰溶融
炉31に使用する熱分解ガスを生成する事が出来、この
機能分離により効率的なチャー混合物の生成と、熱分解
ガスの生成が可能となる。又、脱塩素されたチャーも溶
融炉31に供給しても良い。
【0043】又一の熱分解炉1では廃棄物の脱塩素だけ
で足りるために、250〜450℃程度と流動床の温度
範囲を広く取れ、結果としてチャー混合物の量を多くす
る事が出来るとともに流動床温度の制御も容易である。
又灰溶融炉31においても450〜700℃の高温の且
つ充分に熱分解されたカロリの高いガスが導入される事
となるために、灰溶融炉31に導入される酸素富化空気
を少なくしても1300℃の高温を維持できる。
【0044】図3は図2の一の流動熱分解炉1(第1熱
分解炉)はそのままで、他の流動熱分解炉1’(第
分解炉)を図1に示す機械的熱分解炉、即ち熱分解炉内
の固体分を廃棄物投入側からチャー混合物取り出し側へ
向かって搬送する機械的搬送/撹拌機能を有する撹拌手
段、例えばロータリキルンや横型スクリュー撹拌槽を設
けた熱分解炉で構成する。
【0045】機械攪拌熱分解炉の場合、流動床で必要と
される流動化用のガス(主としてN2、CO2、H2O主成
分の不活性ガス)が不要なため、熱分解ガスは希釈され
ないので、単位容積当りの発熱量が高く、空気又は酸素
富化空気により容易に1300℃以上の高温を発生で
き、ガス中の灰分の溶融を行うためのエネルギ−源とし
て有効に使用でき、流動床型熱分解炉より好ましい。即
ちチャー混合物を製造する為の低温の熱分解炉は流動床
型で形成し、熱分解ガスを製造するための高温の熱分解
炉は機械的搬送/攪拌機能を有する熱分解炉で構成した
事を特徴とする。これにより灰溶融炉31に導入される
空気に酸素富化空気を用いなくても1300℃の高温を
維持できる。結果として運転コストが低減する。
【0046】
【発明の効果】以上記載した如く本発明によれば、高価
な高級材料を用いることなく廃棄物を燃焼して過熱蒸気
を得る場合に塩素によるボイラチューブの高温腐食を防
止しながら高温・高圧の過熱蒸気を効率的に得ることの
できる。又本発明によれば、前記いずれの蒸気製造装置
においても、長期に亙って安定して蒸気の製造を可能に
する。又本発明によれば、前記熱分解ガスの一層の効率
利用を図った過熱蒸気の製造装置を提供する事にある。
【0047】特に請求項1記載の発明によれば、熱分解
手段を流動床ではなく、機械的搬送攪拌手段により構成
したために、流動床に比較して定時的且つ定量的に熱分
解時間と熱分解量を確保することが出来、安定して熱分
解を行うことが出来るとともに、熱分解ガスは希釈され
ないので、単位容積当りの発熱量が高くする事が出来
る。請求項2、3記載の発明は、前記熱分解手段を流動
床若しくは機械的攪拌槽を適宜組合せた複数の熱分解炉
で構成するとともに、一の熱分解炉の熱分解温度を、他
の熱分解炉の熱分解温度に対し異ならせた為に、低温側
の一の熱分解炉では250〜450℃程度の温度に設定
し、積極的に脱塩素されたチャー混合物の製造を行なう
とともに、一方高温側の他の熱分解炉では450〜70
0℃程度の温度に設定し、例えば灰溶融炉に使用する熱
分解ガスを生成する事が出来る。等の種々の著効を有
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る廃棄物の焼却熱を利
用した過熱蒸気製造装置を示す系統図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る廃棄物の焼却熱を利
用した過熱蒸気製造装置を示す系統図である。
【図3】前記第2実施例に係る廃棄物の焼却熱を利用し
た過熱蒸気製造装置の変形例を示す系統図である。
【図4】本発明の基本構成に係る廃棄物の焼却熱を利用
した過熱蒸気の製造手順を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1、1’ 熱分解炉(熱分解手段) 10 燃焼炉(チャー燃焼手段) 11 分散板 20 第1スーパヒータ(第2の蒸気製造手段) 29−1 第2スーパヒータ(第2の蒸気製造手段) 20−2 第3スーパヒータ(第2の蒸気製造手段) 24 第1ボイラ(第1の蒸気製造手段) 31 灰溶融炉 34 熱分解ガス燃焼炉 36 水冷壁ボイラ(第1の蒸気製造手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F23G 5/30 F23C 11/02 311 (72)発明者 堀添 浩俊 横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱 重工業株式会社横浜研究所内 (56)参考文献 特開 平5−346204(JP,A) 特開 平4−350409(JP,A) 特開 平8−49824(JP,A) 特開 昭62−169906(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/46 ZAB F22B 1/18 F23G 5/00 115 F23G 5/027 ZAB F23C 10/02 F23G 5/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度300℃以上の空間内に廃棄物を供
    給して熱分解反応を行なわせ、その反応により発生した
    熱分解ガスと未分解残渣および流動媒体から成るチャー
    混合物と不燃物とを互いに分離する熱分解手段と、 前記前記熱分解手段より取り出された未分解残渣および
    流動媒体から成るチャー混合物を、空気によって流動さ
    せながら前記未分解残渣を燃焼させるチャー燃焼手段
    と、 前記熱分解ガスの熱エネルギーを利用して200〜32
    0℃以下の温水または蒸気を製造する第1の蒸気製造手
    段と、 前記チャー燃焼手段により得られた熱エネルギにより前
    記第1の蒸気製造手段で製造された温水または蒸気を過
    熱蒸気とする第2の蒸気製造手段を含む過熱蒸気製造装
    置において、 前記熱分解手段を、該分解手段内の固体分を廃棄物投入
    側からチャー混合物取り出し側へ向かって搬送する機械
    的搬送/撹拌機能を有する熱分解炉で構成し、前記熱分
    解炉が、ロータリキルンもしくはスクリュー撹拌槽で構
    成され、定時的且つ定量的に熱分解時間と熱分解量を確
    保可能に構成したことを特徴とする廃棄物の焼却熱を利
    用した過熱蒸気製造装置。
  2. 【請求項2】 温度300℃以上の空間内に廃棄物を供
    給して熱分解反応を行なわせ、その反応により発生した
    熱分解ガスと未分解残渣および流動媒体から成るチャー
    混合物と不燃物とを互いに分離する熱分解手段と、 前記前記熱分解手段より取り出された未分解残渣および
    流動媒体から成るチャー混合物を、空気または燃焼排ガ
    スによって流動させながら前記未分解残渣を燃焼させる
    チャー燃焼手段と、 前記熱分解ガスの熱エネルギーを利用して200〜32
    0℃以下の温水または蒸気を製造する第1の蒸気製造手
    段と、 前記チャー燃焼手段により得られた熱エネルギにより前
    記第1の蒸気製造手段で製造された温水または蒸気を過
    熱蒸気とする第2の蒸気製造手段を含む過熱蒸気製造装
    置において、 前記熱分解手段を流動床機械的撹拌槽を組合せた複数
    の熱分解炉で構成するとともに、一の熱分解炉の熱分解
    温度を、他の熱分解炉の熱分解温度に対し異ならせ、低
    温側の一の熱分解炉では250〜450℃程度の温度に
    設定し、高温側の他の熱分解炉では450〜700℃程
    度の温度に設定したことを特徴とする廃棄物の焼却熱を
    利用した過熱蒸気製造装置。
  3. 【請求項3】 前記高温側の熱分解炉より生成された熱
    分解ガスを、チャー燃焼手段若しくは熱分解手段より取
    り出された夫々のガスより分離された灰分の溶融分離を
    行う灰分溶融分離手段に供給することを特徴とする請求
    項2記載の廃棄物の焼却熱を利用した過熱蒸気製造装
    置。
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