JP3497584B2 - 医療器用材料およびそれを使用した医療器 - Google Patents
医療器用材料およびそれを使用した医療器Info
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Description
を使用した医療器に関するものである。さらに詳しく述
べると、針状、チューブ状、棒状のものが貫通するよう
に使用され、その後その穴を閉じること(以下、再シー
ル性と記載する)が要求される医療器用材料およびそれ
を使用した医療器または体内に埋入して使用する医療器
に関するものである。
器の中には、内容液を取り出したり、外から中に薬液な
どの溶液を注入するために、注射針や輸液セットの瓶針
のような鋭利なもので貫通した後に再シール性を発現す
ることを要求されるものが少なくない。それらの例とし
ては、輸液用ゴム栓、輸液セットのゴム管・ゴム栓、輸
血セットのゴム管、真空採血管用ゴム栓、バイヤル瓶の
ゴム栓、採血針のゴムチップ、人工乳房、成形外科用補
綴材、人工血管、透析用ブラッドアクセスなどが挙げら
れる。輸液セットのゴム管・ゴム栓などは常圧で内容液
が漏出しないことが要求されるが、輸液用ゴム栓は輸液
の量に相当する分が内部に加圧され、真空採血管用ゴム
栓、バイヤル瓶のゴム栓、採血針のゴムチップ、人工血
管、透析用ブラッドアクセスなどでは、静脈圧あるいは
動脈圧分が加圧されている中での再シール性が求められ
るという過酷な条件である。ちなみに、静脈圧は0.0
04MPa(30mmHg)程度、動脈圧は0.027MPa(2
00mmHg)程度を想定しなくてはならない。それらは、
現状では天然ゴムやブチルゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、シリコーンゴムなどの加硫ゴムが用いられてい
る。さらにそれらは、再シール性を得るために、高い柔
軟性(小さなゴム硬度)と小さな圧縮永久歪みが求めら
れている。加硫ゴムは当然、架橋されているため射出成
形や押出成形といった熱成形はできず、また加硫剤や安
定剤などの添加剤が安全性に影響を与えるという欠点を
持つ。加硫ゴムに代わり、熱成形できるという成形加工
性に優れる材料として各種の熱可塑性エラストマー類が
上市されてきているが、その加工性を重視した材料設計
上、実用的な再シール性を有するものは現状ではまだな
い。カテーテルなどのチューブ状や棒状の医療器などを
挿入して、またそれを抜去した後にその穴を塞ぐにはそ
の穴の大きさにもよるが、バネで塞ぎ板を穴にあてがう
などの機械的な方法で対応しているか、安全性が不安視
される加硫ゴム類を使用しているのが現状である。
てはJIS−K6301のゴム硬度のA条件(以下JI
S−A硬度と呼ぶ)で25度以下のものは通常のポリマ
ー単体では得られない。しかしながら、JIS−A硬度
25度以下の熱可塑性エラストマーを得る方法として、
シリコーンや流動パラフィンなどのオイルを混合するこ
とが既に知られている。しかしながら、そのオイルを混
合した熱可塑性エラストマーを医療器用材料として使用
するには、そのオイルのブリードと呼ばれる溶出が起き
るため、そのオイルに起因する発癌性などの毒性の危険
性のため、医療器への応用が限られていた。また、JI
S−K6301の圧縮永久歪み(70℃−22時間条
件)も40%以下のものを得ることは通常のポリマー単
体では得られなかった。そして、それらは本発明の意図
する再シール性について不十分であった。
とのできる安全性を保ち、射出成形や押出成形などの熱
成形ができ、柔軟性が高く、圧縮永久歪みが小さく、再
シール性に優れた材料は無いのが現状である。
美容形成領域における補綴材としては、従来までは分子
量の異なるシリコーン(固体から液体状のもの)の混合
物を袋に入れて、外観を矯正したい体内に挿入するもの
がある。近年、それは安全性も高く、市場の要求も大き
かったため、米国を中心に大変普及していた。しかし、
最近シリコーンを入れていた袋が破れ、中の液状のシリ
コーンが体内に漏れ出し、それが原因となって発ガンし
たりする事故があり、シリコーンの安全性について疑問
視されてきている。そして、それに代わる安全性が高
く、長期に埋入可能な材料は無いのが現状である。
に、医療器用材料あるいは医療器に用いることができ、
安全性が保たれ、射出成形や押出成形などの熱成形が可
能な再シール性を持つ医療器用材料およびそれを使用し
た医療器を提供することが本発明の目的である。
より達成される。
ン系エラストマーから選ばれた少なくとも一つの熱可塑
性エラストマー100重量部にイソプレン誘導体を20
重量部以上混合した材料からなり、前記イソプレン誘導
体がスクアランまたはスクアレンであることを特徴とす
る医療器用材料。
レンまたはエチレンを主成分とする部分と、ブタジエ
ン、イソプレンおよびそれらの水素添加物から選ばれた
少なくとも一つの成分により構成された共重合体である
ことを特徴とする(1)記載の医療器用材料。
エチレンとプロピレンを主成分とする共重合体またはエ
チレンとプロピレンにα−オレフィンまたはジエンモノ
マーを共重合したものからなることを特徴とする(1)
記載の医療器用材料。
度に於いて液状であることを特徴とする(1)記載の医
療器用材料。
用材料からなり、穿刺部材を穿刺し、引き抜いた際に再
シール性を呈する医療器。
用材料からなる生体内埋込用医療器。(7)前記(1)
〜(4)に記載の医療器用材料からなる人工血管または
透析用ブラッドアクセス。
ーとは、スチレンおよびエチレンを主成分とする部分
と、ブタジエン、イソプレンおよびそれらの水素添加物
から選ばれた少なくとも一つの成分により構成された共
重合体である。それらは、通常スチレン系エラストマー
などとして市販されているもので、シェル化学(クレイ
トン、カリフレックス)、旭化成工業(タフプレン、タ
フテック)、アロン化成(アロンAR)、三菱油化(ラ
バロン)、日本合成ゴム(JSR−TR、JSR−SI
S、ダイナロン)、住友化学工業(住友TPE)、クラ
レ(セプトン)などから入手することができる。オレフ
ィン系エラストマーとしては、エチレンとプロピレンの
共重合体やそれに第三成分としてα−オレフィンやジエ
ンモノマーを共重合したものなどがあり、三井石油化学
工業(ミラストマー、タフマー)、住友化学工業(住友
TPE)、三菱油化(サーモラン)、日本合成ゴム(サ
ーモラン)などから入手することができる。さらに、本
発明で使用される熱可塑性エラストマーは、上述の各種
エラストマーが単一であっても、複数のものの混合物で
あっても、他の樹脂、金属・無機物などとの混合物であ
っても構わない。即ち、例えばスチレン系エラストマー
にイソプレン誘導体と、第三成分としてオレフィン系エ
ラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ンなどを混合しても構わない。
化学合成物でも構わない。熱成形温度(160℃)で液
状であることが望ましく、液状であれば各種エラストマ
ーと良く混合することができる。一方、熱成形温度(1
60℃)で固体状であると混合することはできても、本
発明の目的である柔軟性を発現することは難しい。ま
た、本発明のイソプレン誘導体はスクアラン、スクアレ
ンであることが望ましい。スクアラン、スクアレンは天
然物でも、天然物からの誘導体でも、全くの化学合成物
でも構わない。本発明のイソプレン誘導体としては、上
記以外にもゲラニルゲラン酸、ゲラニルゲラニオール、
ゲラニルリナルール、イソフィトール、フィトール、フ
ィチルアセテート、ヘキサハイドロファルニシルアセト
ン、ファルニシルアセトン、ネロリドール、ファルネセ
ン、ビサボレン、ビサボロール、ファルネソール、ゲフ
ァルネート、ファルネサール、ファルネシル酸、ゲラニ
ルアセトン、シュードイオノン、α−ロノン、β−ロノ
ン、α−メチルイオノン、γ−メチルイオノンなどが例
として挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらは、イソプレン誘導体として(株)クラレよ
り入手可能である。
スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマ
ーから選ばれた少なくとも一つの熱可塑性エラストマー
に対して、20重量部以上が好ましい。さらに、100
重量部以上が好ましい。イソプレン誘導体の混合量が熱
可塑性エラストマーに対して20重量部以下であると、
十分な柔軟性の発現と、良好な再シール性を得ることが
難しくなる。
にそれを代謝する経路があるため、医療用材料として使
用中にブリードなどにより体内に吸収されても、安全性
は高い。
状、棒状のものが貫通するように使用されるものであ
る。具体例を挙げると、注射針、採血針、輸液セット・
輸血セットの瓶針、透析用の回路の針などが刺さり、再
びその針穴を閉じることが要求されるもので、それら
は、医療用ゴム栓、医療用ゴム管などである。さらに具
体例を挙げると、輸液用ゴム栓、輸液セットのゴム管・
ゴム栓、輸血セットのゴム管、真空採血管用ゴム栓、バ
イヤル瓶のゴム栓、体内または体表面固定型薬液貯蔵容
器部品、採血針のゴムチップなどがである。従って、そ
れらの医療用材料を使用した医療器としては、輸液バッ
グ、輸血セット、輸液セット、真空採血管、採血針、バ
イヤル瓶、体内または体表面固定型の薬液搬送システ
ム、さらに生体内埋込用医療器として、人工乳房、成形
外科用補綴材、人工血管、透析用ブラッドアクセスなど
が例として挙げられる。
する。また、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン20gをビーカーに取り、薬匙
で良くかき混ぜ、一晩放置して熟成した後、江藤製作所
製ミキシングロールを160℃にして、3分間定法に従
って混合した。その後、江藤製作所製熱プレス機を16
0℃にして、厚み0.5mmのプレスシートを得た。これ
を、JIS−K6301に準じて引張試験を行い、初期
弾性率を求めた。その結果を表1に示した。さらに、厚
生省より示された「医療用具および医用材料の基礎的な
毒性試験のガイドライン」の細胞毒性試験(詳細は特願
平6−187382号を参照)を行い、材料の安全性を
確認した。その結果を表1に示した。次に、上記0.5
mmのシートを用いて、再シール性試験を行った。試験方
法は、図1に示す様な実験回路を組み、200mmHgの加
圧下試験片(直径20mm)に注射針(18G)を刺し、
10秒間静止した後試験片より注射針を抜いた時に針の
刺さっていた位置に残る水による跡の大きさが全くない
もの、および直径1mm以下の場合を合格とした。その結
果を表1に示した。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン100gの比で混合した以外は
実施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表1に示し
た。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン400gの比で混合した以外は
実施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表1に示し
た。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン600gの比で混合した以外は
実施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表1に示し
た。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン1000gの比で混合した以外
は実施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表1に示し
た。
ラストマーであるクレイトンG1650の代わりに三井
石油化学工業製オレフィン系エラストマーであるミラス
トマー5030Nを用いた以外は実施例2と同様にし
て、初期弾性率測定、細胞毒性試験、再シール性試験を
行った。その結果を表2に示した。
ラストマーであるクレイトンG1650の代わりに日本
合成ゴム製スチレン系エラストマーであるダイナロン1
910Pを用いた以外は実施例2と同様にして、初期弾
性率測定、細胞毒性試験、再シール性試験を行った。そ
の結果を表3に示した。
ラストマーであるクレイトンG1650の代わりに日本
合成ゴム製のオレフィン系エラストマーであるダイナロ
ンE6100Pを用いた以外は実施例2と同様にして、
初期弾性率測定、細胞毒性試験、再シール性試験を行っ
た。その結果を表3に示した。
製スクアレンを用いる以外は実施例2と同様にして、初
期弾性率測定、細胞毒性試験、再シール性試験を行っ
た。その結果を表1に示した。
実施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表1に示し
た。
パラフィンを用いた以外は、実施例2と同様にして、初
期弾性率測定、細胞毒性試験、再シール性試験を行っ
た。その結果を表1に示した。
ラストマーであるクレイトンG1650を100gに対
してクラレ製スクアラン10gの比で混合した以外は実
施例1と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試験、
再シール性試験を行った。その結果を表1に示した。
実施例6と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例7と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表3に示す。
実施例8と同様にして、初期弾性率測定、細胞毒性試
験、再シール性試験を行った。その結果を表3に示す。
編み管状体の外面に、実施例3と同様な材料で作製した
本発明の医療器用材料のテープ(厚さ0.3mm、幅1c
m)を隙間なく巻き付け、さらにテフロンテープをその
上から巻き付け、続いて170℃,10分間熱処理する
ことで管状体の外面に本発明の医療器用材料を十分に圧
着被覆し、最後にテフロンテープを除去することにより
人工血管を製造した(図2,図3参照)。
7kg)の大腿動脈−大腿静脈間にシャント移植した。対
照として内径5mmのテフロン製人工血管(Gore-Tex)を
同様にして対側の大腿動脈−大腿静脈間にシャント移植
した。移植1週間後に注射針(16G)を皮膚の上より
人工血管に穿刺し、止血性を確認した。
は、穿刺した注射針を抜去後に血腫の発生は認められ
ず、特に止血操作も必要としなかった。一方、対照に用
いたGore-Tex人工血管では、穿刺した注射針を抜去後に
血液が皮下に流出し、著しい血腫形成が認められた。止
血には約10分間の指圧を要した。
直径3cm,深さ1cmのお椀型の鋳型の中に実施例5と同
様な材料で作製した本発明の医療器用材料を熱溶解(1
70℃)して流し込み、そのまま冷却した後、さらにエ
チレンビニルアルコールで全体を被覆した(図4,図5
参照)。
背部皮下に埋入した。兎背部は盛り上がり、乳房様の形
状を示した。また、物性的にも柔軟で、圧力負荷を行っ
た後にも直ちに元の形状に復帰した。さらに、6か月間
移植後にもこの物性特性に変化は見られず、本整形物を
埋入した兎皮下組織の病理組織学的検索においても顕著
な異物反応は観察されなかった。
スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマ
ーから選ばれた少なくとも一つの熱可塑性エラストマー
100重量部とイソプレン誘導体を20重量部以上混合
してなる材料から作られるので、安全性、生体適合性に
優れ、かつ柔軟性にも優れ、針穴を急速に閉じる再シー
ル性に優れた医療器用材料および医療器を、熱成形で容
易に、安価に提供できるという効果をもたらすものであ
る。
置の概略図である。
析用ブラッドアクセス)の外観図である。
観図である。
Claims (7)
- 【請求項1】スチレン系エラストマーおよびオレフィン
系エラストマーから選ばれた少なくとも一つの熱可塑性
エラストマー100重量部にイソプレン誘導体を20重
量部以上混合した材料からなり、前記イソプレン誘導体
がスクアランまたはスクアレンであることを特徴とする
医療器用材料。 - 【請求項2】前記スチレン系エラストマーがスチレンま
たはエチレンを主成分とする部分と、ブタジエン、イソ
プレンおよびそれらの水素添加物から選ばれた少なくと
も一つの成分により構成された共重合体であることを特
徴とする請求項1に記載の医療器用材料。 - 【請求項3】前記オレフィン系エラストマーが、エチレ
ンとプロピレンを主成分とする共重合体またはエチレン
とプロピレンにα−オレフィンまたはジエンモノマーを
共重合したものからなることを特徴とする請求項1に記
載の医療器用材料。 - 【請求項4】前記イソプレン誘導体が、熱成形温度に於
いて液状であることを特徴とする請求項1に記載の医療
器用材料。 - 【請求項5】前記請求項1〜4に記載の医療器用材料か
らなり、穿刺部材を穿刺し、引き抜いた際に再シール性
を呈する医療器。 - 【請求項6】前記請求項1〜4に記載の医療器用材料か
らなる生体内埋込用医療器。 - 【請求項7】前記請求項1〜4に記載の医療器用材料か
らなる人工血管または透析用ブラッドアクセス。
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JP31228594A Expired - Fee Related JP3497584B2 (ja) | 1994-12-16 | 1994-12-16 | 医療器用材料およびそれを使用した医療器 |
Country Status (1)
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