JP3497318B2 - 電極材料及び二次電池 - Google Patents

電極材料及び二次電池

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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池用電極材料に関す
る。更に詳しくは、スルフィド系電極材料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、通信機器やOA機器の可搬化がす
すみ、これら機器の軽量化及び小型化競争が繰り広げら
れている。このような各種機器や、或いは電気自動車等
の電源として利用される二次電池においてもその高効率
化が求められている。この要求に対し、新たな電極材を
用いた電池が開発されつつあるが、この中でエネルギー
密度が比較的高いことから、ジスルフィド化合物を用い
た電極材料(米国特許第4833048号等)が注目さ
れている。このものは、2つの有機物からなる基の間に
2つの硫黄からなるジスルフィド結合を有するもの(R
−S−S−R’)を電極材料に用いるものである。
【0003】S−S結合は電解還元による2電子の供給
により開裂し、電解液中のカチオン或いはプロトン(M
+ )と結合して2(R−S- ・M+ )となり、電解酸化
時には元のR−S−S−Rに戻って、2電子を放出す
る。この二次電池においては、通常の他の二次電池並の
150Wh/kg 以上のエネルギー密度が期待できるとされ
ている。しかし、前述の米国特許の発明者らがJ.Electr
ochem.Soc.Vol.136.No.9,p.2570〜2575(1989)で報告
している内容から、このジスルフィド系二次電池の電極
反応の電子移動速度は極めて遅く、従って、室温付近で
は実用に見合う大電流を取り出すことが困難であり、6
0℃以上での使用に限られると云う問題が指摘された。
【0004】その後、このジスルフィド系二次電池を改
良し、大電流に対応させる技術として、特開平5−74
459号公報等に示されるように、このジスルフィド基
を有する有機化合物にポリアニリン等の導電性高分子を
組み合わせた電極材料が提案された。しかし、以上のよ
うな技術によるジスルフィド系二次電池のエネルギー密
度は、全て、重量あたりのジスルフィド基(R−S−S
−R)の数に依存するものであり、現状の理論的エネル
ギー密度を格段に向上させるような技術は存在しなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、二次電池の
電極材料に応用した場合に、エネルギー密度を格段に向
上させることができるスルフィド系電極材料、及びエネ
ルギー密度が格段に高い二次電池を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電極材料は、上
記問題を解決するために、請求項1に記載の通り、2以
上6以下連続したS−S結合を有する有機正極活物質を
有する電極材料である。上記の課題を解決するための手
段において、連続したS−S結合が7の場合にはこれら
硫黄は安定な単体となって分離するため、現実には利用
することができない。また、S−S結合が単独であって
連続していない場合には、エネルギー密度が低くなり、
電極材料としての利点を失う。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、これら2以上6
以下連続したS−S結合は、2,5−ジメルカプト−
1,3,4−チアジアゾール(以下「DMcT」と云
う。)、トリチオシアヌル酸(以下「TTCA」と云
う。)、及び、N,N,N’,N’−テトラメルカプト
エタン((HS)2 NCH2 CH2 N(SH)2 )、2
−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾー
ル(以下「MMT」と云う。)等の、質量の小さい分子
であって複数のS−H(チオール基)を有する化合物の
チオール基の水素と置換して結合しているものである
と、エネルギー密度が高くなるので望ましい。上記化合
物の他の例としては、化学式(I)〜(XIV)で表せ
られるものがある。
【0008】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0009】なお、これら化学式(I)〜(XIV)に
おいて、XはO、S、Se、NH、NR、CH2 、CH
R、CRR’、C=O、C=NH、C=NR、C=Sな
どの基を示し、また、Y1 、Y2 、Y3 及びY4 は、そ
れぞれ、−CH3 、−C2 5 で代表される脂肪族基及
びその誘導体、−C6 5 で代表される芳香族基及びそ
の誘導体、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン
基、−COOR、−NRR’、−OR、−COR、−S
3 R、−CONRR’、−N+ RR’R”、−SR、
−OCOR、−NHCOR、−N=CRR’、−SO2
R、−SOR、−SSR、−P(=O)RR’、−P
(=S)RR’、−ONO、−N=C=O、−N=C=
S、−OCN、−SCN、−CN、−NO2 、−H、−
PRR’、−P+ F、−P+ Cl、−P+ Br、−P+
Iであって、これらのR、R’及びR”は水素、脂肪族
或いは芳香族炭化水素基を示す。
【0010】また、これら電極材料において、重合体で
あってもよいが、その重合度はエネルギー密度とは理論
上無関係である。
【0011】本発明の電極材は、例えば、下に示すよう
にして得ることができる。分子中に1つ以上のチオール
基を有する物質を塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、
これに、そのチオール基の量に相当する量の二塩化二硫
黄或いは、二塩化硫黄を添加して20時間程度反応させ
る。その後、この系をメタノールに注ぎ入れ、未反応の
二塩化二硫黄或いは二塩化硫黄をメタノールと反応さ
せ、分解したときに沈殿として得られる。
【0012】また、同様に1つ以上のチオール基を有す
る物質を原料として、これをジエチルエーテルに溶解
し、そのチオール基の量に相当する量の二塩化二硫黄或
いは二塩化硫黄、及びピリジンを添加し、−80℃付近
で反応させ、その後、この系を水酸化ナトリウム水溶液
で中和して得られる。なお、上記において二塩化二硫黄
を用いたときには、偶数個のSが連結した結合が形成さ
れ、二塩化一硫黄を用いたときには、奇数個のSが連結
した結合が形成される。
【0013】
【実施例】
〔実施例1及び比較例1〕本発明に係る電極材料である
DMcTのテトラスルフィド化合物は次のように合成さ
れた。即ち、1mol/ lのDMcTと塩化メチレン溶
液と、同じく1mol/ lの二塩化二硫黄−塩化メチレ
ン溶液を20時間室温で良く撹拌して、DMcTと二塩
化二硫黄を反応させ重合させる。その後、この系をメタ
ノールに注ぎ入れ、未反応の二塩化二硫黄を分解・除去
する。これらをG4グレードのガラス濾過器で濾過した
のち、濾過残物をメタノールで洗浄後、60℃で真空乾
燥して、重合体Aを得た。
【0014】この重合体AについてCHNS元素分析を
行ったところ、それぞれの存在比は、2:0:2:5で
あった。また酸素その他の元素は存在しないと算定され
た。また、赤外線分光分析によりC−S結合及びC=N
結合が存在し、C−N結合、N=N結合及びC=S結合
のないことが確認された。一方、この重合体Aの質量分
析を行ったが、NとSとの間の結合は検出されず、C2
5 2 、CS5 及びNNの各フラグメントが確認され
た。これらのことより、重合体Aには、C−S−(S)
n −S結合(n>1)があることが確認され、反応は化
学式15のように進行し、重合体Aはテトラスルフィド
化合物重合体であると推測される。
【0015】
【化15】
【0016】以下に本発明に係る電極材料を用いて二次
電池を作製した際の結果について示す。なお、以下の作
業は特に記載がない限り、グローブボックスを用いてア
ルゴン気流中で行った。0.21mm厚、2cm×2c
mの大きさのリチウム金属板に直径が1mmの白金線を
接続し、同じ大きさの黒鉛繊維補強黒鉛板に同様の白金
線を接続して他方の電極とし、これらを対向させて、か
つ、間に30μm厚の多孔性ポリプロピレン製セパレー
ターとを挟んで密着させたものを電極部とし、これを2
つ用意した。
【0017】一方、重合体Aを40℃での真空乾燥後、
2g/ l、及びLiCF3 SO3 を1mol/ lの濃度
になるよう溶解させたγ−ブチロラクトン(溶液1)
と、常法(米国特許4833048号)に従って合成
し、ヘキサン溶媒中194nmと250nmでの紫外吸
収ピークによって、C−S−S−C結合の存在を確認し
たジスルフィド化合物1を40℃での真空乾燥後、これ
を2g/ l、及びLiCF3 SO3 を1mol/ lの濃
度になるよう溶解させたγ−ブチロラクトン(溶液2)
を作成した。
【0018】これら溶液1及び溶液2をそれぞれ50ml
づつ、100mlのトールビーカーに取り、それぞれに前
述の電極部を、電極全体が溶液内に浸漬するように入
れ、電池1(実施例1)及び電池2(比較例1)とし
た。電池1、電池2をそれぞれの初期電圧の70%にな
るまで100μAの電流で放電させ、その後放電前の初
期電圧と等しくなるまで100μAの電流で充電させ、
再度、前記放電と同条件で再放電させた。このときのそ
れぞれの電池についての電気量(Ah)を比較したとこ
ろ、電池1での再放電電気量(α)は電池2での再放電
電気量(β)の2.2倍であった。
【0019】この後、電池1の電極を短絡させ10時間
放置し、その後、電池1の炭素板表面(サンプル1A)
及び電池溶液(サンプル1B)を微少量採取した後、更
に前記条件で充電させ、このときの電池1の炭素板表面
(サンプル2A)及び電池溶液(サンプル2B)を微少
量採取した。これらサンプル1A及びサンプル2Aは、
ジエチルエーテルで洗浄後、測定室がアルゴン置換され
たFT−IRで分光分析を行ったところ、サンプル1
A、サンプル2AにはC−S結合が確認された。また、
レーザーラマン分析を行ったところ、サンプル1Aには
S−S基は検出されず、一方、サンプル2AにはS−S
基の存在が確認された。
【0020】〔実施例2、実施例3及び比較例2〕次い
で、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール(MMT)のジスルフィド、トリスルフィド、
及びテトラスルフィド化合物について、二次電池を形成
した。
【0021】MMTのジスルフィド化合物は下記のよう
に合成した。すなわち、アルゴン雰囲気下で、ヨウ素5
mmolを溶解した30mlのメタノールに、10mm
olのMMT及び5mmolのナトリウムメトキシドを
30mlのメタノールに溶解した溶液をゆっくり滴下
し、その後4時間攪拌を行った。次いで、これら系を−
60℃に冷却して析出した沈殿を濾過によって取り出
し、減圧乾燥後、エタノールで3回再結晶を行ってMM
Tのジスルフィドを得た。
【0022】また、MMTのトリスルフィド化合物は次
のようにして得た。すなわち、アルゴン雰囲気下−20
℃で15mmolのMMTを350mlのアセトニトリ
ルに溶解し、これに7.5mmolの二塩化一硫黄を1
5mlのアセトニトリルに溶解して作製した溶液をゆっ
くり滴下し、滴下終了後室温まで昇温する。生成した沈
殿を再度これを溶解するためにアセトニトリル200m
lを追加する。その後24時間攪拌を継続した後、クロ
ロフォルムを200ml添加し、エバポレーターで溶媒
を蒸発除去する。残留した固形物を塩化メチレンで溶解
し、その溶液から濾過によって夾雑物を除去し、この濾
液にヘキサンを加え、生じた沈殿物がMMTのトリスル
フィド化合物である。これをエタノールから再結晶させ
て精製する。
【0023】一方、MMTのテトラスルフィド化合物
は、次のようにして得た。すなわち、アルゴン雰囲気下
で10mmolのMMTを30mlの塩化メチレンに溶
解し、これに5mmolの二塩化二硫黄を20mlの塩
化メチレンに溶解した溶液をゆっくり滴下し、その後3
時間攪拌した。この系を−60℃に冷却し、生じた沈殿
を濾過によって取り出し、その溶媒を減圧下で蒸発除去
し、エタノールで3回再結晶を行い、MMTのトリスル
フィド化合物を得た。
【0024】なお、上記各合成の濾過工程において濾過
物以外に濾液中に目的物が含有されているため、その回
収及び精製を別途行ったが、それについての記載は省略
してある。また、これら得られた生成物については、F
AB質量分析器、赤外分光分析装置によって目的物であ
ることが確認されている。
【0025】上述のように得たMMTのジスルフィド、
トリスルフィド、テトラスルフィドの各化合物を用いて
電池を形成した。なお、以下の作業はすべてグローブボ
ックス内アルゴン気流下で行った。電解質としてトリフ
ルオロメタンスルホン酸リチウムを2mmol/ lの濃
度になるよう30mlのγ−ブチロラクトンに溶解した
電解液を3つ調製し、これらに上記で合成した3種のM
MTのスルフィド化合物をそれぞれ5mmol/ lの濃
度になるよう溶解した。
【0026】これらの溶液を用いて試料極としてグラッ
シーカーボン、対極として金属リチウム板、参照極とし
て銀−銀イオン電極を用いて電池を形成した。このとき
MMTのジスルフィドを有する電池を電池3(比較例
2)、MMTのトリスルフィドを有する電池を電池4
(実施例2)、そしてMMTのテトラスルフィドを有す
る電池を電池5(実施例3)とした。これら電池3、4
及び5についてサイクリックボルタモグラムを測定し
た。それぞれの結果を図1(a)、(b)及び(c)に
示す。
【0027】図1により、放電電気量に相当する還元電
気量は、電池3は電池2の1.6倍、電池4は電池の
1.7倍となることが判った。このことによりMMTの
スルフィド化合物においても、トリスルフィド化合物及
びテトラスルフィド化合物は、ジスルフィド化合物に比
較して、より電気化学的活性が高いことが判る。
【0028】〔実施例4、実施例5及び比較例3〕上記
比較例2、実施例3及び実施例4で用いたMMTのジス
ルフィド化合物、トリスルフィド化合物、テトラスルフ
ィド化合物を用いてアルゴン雰囲気下で扁平型電池を作
製して、実使用時に近い状態での検討を行った。
【0029】(正極の作製)MMTのジスルフィド化合
物300mgと分散剤30mg(アルドリッチ社製Br
ij35)、電解質である過塩素酸リチウム185m
g、及び導電剤であるケッチェンブラック70mg、ポ
リエチレンオキサイド415mgをアセトニトリルと混
合し、これらの分散液を得た。この液体をシャーレ上に
展開してアセトニトリルを揮発させて、厚さ500μm
のシートとした。これを直径14mmに打ち抜いて、以
下、正極として用いた。
【0030】(固体電解質の作製)アクリロニトリルと
メチルアクリレートとの共重合体1.5gを、1mol
/lの濃度の過塩素酸リチウムγ−ブチロラクトン溶液
に混合し均一分散させ、その後120℃に加熱シャーレ
上に展開して放冷し、厚さ1500μmの固体電解質を
得た。これを直径16mmに打ち抜いて以下セパレータ
として用いた。 (負極の作製)厚さ400μmのリチウム金属箔を直径
15mmに打ち抜いて負極とした。
【0031】(電池の作製)上記正極、セパレータ、負
極を用いて扁平型電池(電池6:比較例3)を作製し
た。その電池のモデル断面図を図2に示す。図中符号1
は正極で正極缶2に圧着されている。正極1は固体電解
質からなるセパレータ6を挟んでリチウム箔からなる負
極3に面しており、負極3の他面は負極缶5に接してい
る。なお、正極缶2及び負極缶5の内部は絶縁パッキン
グによって気密となっている。
【0032】上記電池6と同様に、ただし正極活物質と
してMMTのジスルフィド化合物の代わりに、MMTの
トリスルフィド化合物、或いはMMTのテトラスルフィ
ド化合物を用いて、電池7(実施例4)及び電池8(実
施例5)を作製した。
【0033】(電池の評価)これら電池6、電池7及び
電池8について、その放電容量を調べた。これら電池に
0.1CmAの電流規制で10時間の充電を行い、その
後0.1CmAの電流規制で電圧が2.0Vとなるまで
放電を行った。なお、上記において「CmA」とは満充
電の電池を1時間で完全放電させる電流量の設定値を表
す単位である。このときの放電状況を図3に示した。な
お、図3において横軸は電池6の放電容量を100%と
したときの放電容量率である。図3より、本発明に係る
電池である電池7及び電池8の放電容量は、比較例であ
る電池6の放電容量の1.5倍及び1.8であり、本発
明の効果は明らかである。
【0034】
【発明の効果】従来のスルフィド系電極材料は、そのジ
スルフィド基(R−S−S−R、R:有機化合物からな
る基。以下同じ。)での電解還元・電解酸化反応を利用
するものであり、下式のように、この電解還元・電解酸
化反応には基当たり2つの電子しか関与しない。なお、
以下式中Mは金属(ここでは金属の例として1価のもの
について記載するが、多価の金属であっても差し支えは
ない。)、または水素を表す。
【0035】
【化16】
【0036】一方、本発明に係る電極材料は、例えば、
R−S−(S)n −S−R’(1≦n≦5、R及びR’
は有機物からなる基)でn=2のとき、即ちテトラスル
フィド化合物のとき、化学式17で表すことができる。
【0037】
【化17】
【0038】化学式17より、テトラスルフィド化合物
を用いた場合、6電子反応となることが判る。ここで、
重量当たりの電子の数がジスルフィド化合物の場合に比
べ増加し、エネルギー密度が増加する。
【0039】ここで、例えば、DMcT分子中の2つの
チオール基の水素が、それぞれ別のDMcTの2つの硫
黄の1つと置換し硫黄同士が結合して重合しているジス
ルフィド化合物重合体、このDMcTによるジスルフィ
ド結合の間に1〜5個の硫黄が入り込んだトリスルフィ
ド、テトラスルフィド、ペンタスルフィド、ヘキサスル
フィド、ヘプタスルフィドの各化合物重合体を想定した
場合、これらの電解還元及び電解酸化反応はそれぞれ、
2電子反応、4電子反応、6電子反応、8電子反応、1
0電子反応、12電子反応である。これらDMcTのス
ルフィド化合物重合体を電池の電極材料として用い、他
方電極にリチウムを用いた場合、起電力が3.5Vであ
るので、それぞれの理論エネルギー密度は図4に示すよ
うになる。
【0040】また、トリチオシアヌル酸(以下「TTC
A」と云う。)、及び、N,N,N’,N’−テトラメ
ルカプトエタン((HS)2 NCH2 CH2 N(SH)
2 )についても、そのジスルフィド、トリスルフィド、
テトラスルフィド、ペンタスルフィド、ヘキサスルフィ
ド、ヘプタスルフィド化合物の重合体での同様の理論エ
ネルギー密度を併せて図1に示す。なお、参考として化
学式18にTTCAのテトラスルフィド化合物重合体の
酸化還元反応式を示す。
【0041】
【化18】
【0042】図4より、本発明に係る電極材料を用いた
電池の理論エネルギー値が従来のジスルフィド化合物重
合体を用いた電池の理論エネルギー値より格段に高いこ
と、即ち、本発明に係る電極材料が優れた特性を持つこ
とが理解される。上記実施例により明らかにされるよう
に、本発明に係る電極材料を用い二次電池を作製する
と、そのエネルギー密度は従来のジスルフィド系電極材
料を用いた場合に比べ、格段に大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の比較例である電池3、実施例である電
池4及び電池5のサイクリックボルタモグラフである。 (a)電池3のサイクリックボルタモグラフ (b)電池4のサイクリックボルタモグラフ (c)電池5のサイクリックボルタモグラフ
【図2】扁平型電池モデルの断面図である。
【図3】本発明の比較例である電池6、実施例である電
池7及び電池8の放電容量率を示す図である。
【図4】本発明に係る電極材料を用いたリチウム二次電
池の理論エネルギー密度を示した図である。
【符号の説明】
1 正極 2 正極缶 3 負極 4 絶縁パッキング 5 負極缶 6 セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−74459(JP,A) 特開 昭57−209952(JP,A) 特開 平5−194372(JP,A) 特開 平3−93169(JP,A) 米国特許4833048(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/60 C08L C07C JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2以上6以下連続したS−S結合を有す
    る有機正極活物質を有する電極材料であって、該有機正
    極活物質が次式 R−S−(S)n−S−R’ (1≦n≦5、R及びR’は有機物からなる基) で示され、かつ、該有機正極活物質の2以上6以下連続
    したS−S結合が、2,5−ジメルカプト−1,3,4
    −チアジアゾールの水素と、あるいは、2−メチル−5
    −メルカプト−1,3,4−チアジアゾールのチオール
    基の水素と置換して結合していることを特徴とする電極
    材料。
  2. 【請求項2】 上記有機正極活物質の連続したS−S結
    合が2以上3以下連続していることを特徴とする請求項
    1に記載の電極材料。
  3. 【請求項3】 2以上6以下連続したS−S結合を有す
    る有機正極活物質を有する二次電池であって、該有機正
    極活物質が次式 R−S−(S)n−S−R’ (1≦n≦5、R及びR'は有機物からなる基) で示され、かつ、該有機正極活物質の2以上6以下連続
    したS−S結合が、2,5−ジメルカプト−1,3,4
    −チアジアゾールの水素と、あるいは、2−メチル−5
    −メルカプト−1,3,4−チアジアゾールのチオール
    基の水素と置換して結合していることを特徴とする二次
    電池。
  4. 【請求項4】 上記有機正極活物質の連続したS−S結
    合が2以上3以下連続していることを特徴とする請求項
    3に記載の二次電池。
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