JP3496554B2 - 溝形鋼の製造方法、粗ユニバーサル圧延機および仕上ユニバーサル圧延機 - Google Patents

溝形鋼の製造方法、粗ユニバーサル圧延機および仕上ユニバーサル圧延機

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溝形鋼の製造方
法、粗ユニバーサル圧延機および仕上ユニバーサル圧延
機に関する。より具体的には、本発明は、例えば高層建
築物や超高層建築物等の柱材として使用される角形鋼管
柱の素材となる、ウェブおよびフランジそれぞれの厚さ
と幅とが多様な寸法を有する平行フランジ溝形鋼(Paral
lel Flange Channel) の熱間圧延による製造方法、粗ユ
ニバーサル圧延機および仕上ユニバーサル圧延機に関
し、特にウェブおよびフランジそれぞれの厚さが変わっ
ても外寸法が一定である多種の溝形鋼を、連続鋳造スラ
ブから高効率でかつ高品質に作り分ける技術に関する。
【0002】
【従来の技術】高層建築物や超高層建築物等の柱材とし
て広く用いられている角形鋼管柱(角形コラム部材)の
降伏比YRは、耐震性の観点から、低いほうが望ましい
とされる。角形コラム部材の降伏比YRを下げる方策の
一つとして、熱間圧延により製造された溝形鋼2つを組
合せ、ボックス(角型コラム) に溶接組立てする方法が
ある。この方法によれば、溶接組立て前にダイアフラム
を内蔵加工することも容易であり、この方法は、最近の
建築現場の省力化の潮流にも適うものである。
【0003】ここで、素材となる熱間圧延による溝形鋼
には、同一シリーズ内の外幅 (ウェブ高さおよびフラン
ジ幅) が一定であること、ウェブおよびフランジそれぞ
れの厚さが多種類であること、および一般形鋼と同等の
低生産コストであることが、いずれも要求される。
【0004】図16および図17には、いずれも、溝形鋼の
一般的な圧延工程を模式的に示す。従来、溝形鋼は、図
16に示すように、孔型kal.1 〜kal.3 を刻設されたブレ
ークダウン圧延機1、ロール孔型kal.4 〜kal.6 を形成
する粗ユニバーサル圧延機2、孔型kal.7 およびkal.8
を刻設されたエッジャー圧延機3およびロール孔型kal.
9 を形成する仕上ユニバーサル圧延機4を用い、被圧延
材5に複数パスにわたるリバース圧延を行うことによ
り、または、図17に示すように、孔型kal.1 〜kal.11を
それぞれ刻設された2重式のロールを有する圧延機6-1
〜6-11を連続的に並べ、各圧延機6-1 〜6-11について1
パスずつ圧延を行うことにより、製造されてきた。一般
的には、中間圧延工程に粗ユニバーサル圧延機2とエッ
ジャー圧延機3とを配置し、厚さ圧下とフランジ幅圧下
とを行う図16に示す圧延方法が用いられており、主に大
断面の溝形鋼の製造に適する。しかし、溝形鋼のこれら
従来の製造方法には、以下に詳述するように、主に2つ
の問題がある。
【0005】第1の問題は、特に図16に示す圧延方法に
おいて、厚さ圧下の際にロール間への材料の噛み出し
と、これに起因した製品疵とが発生することである。ま
た、第2の問題は、溝形鋼の断面図である図18に示すよ
うに、ウェブ高さWおよびフランジ幅Bがともに同一で
あるシリーズの製品群7を製造しようとしても、例えば
仕上ユニバーサル圧延機4の水平ロールの胴幅W0 は一
定であるために成品のフランジ厚さtf がtfmax〜t
fminの範囲で変動するとこれに伴ってウェブ高さWも変
動してしまい、一方、エッジャ圧延機3の水平ロールの
胴部深さD0 も一定であるために成品のウェブ厚さtw
がtwmax〜twminの範囲で変動するとこれに伴ってフラ
ンジ幅Bも変動してしまう。この問題は、図16に示す圧
延方法のみならず、図17に示す圧延方法にも共通する問
題である。
【0006】このため、同一のシリーズ内の外寸法 (ウ
ェブ高さWおよびフランジ幅B) が一定であって厚さが
多種である溝形鋼を製造するには、各サイズに応じて専
用の圧延ロールとその圧延付帯装置とを準備する必要が
ある。このため、ロールやガイド等の圧延工具の費用負
担が増加するのみならず、ロール組み替えに伴って稼働
率が低下してしまい、生産効率が顕著に低下してしま
う。そこで、溝形鋼の製造に伴うこれらの問題を解決す
るため、従来より様々な発明が提案されている。
【0007】まず、第一の問題、すなわち、溝形鋼の粗
ユニバーサル圧延時の噛み出しを抑制して製品疵の発生
を防止するために、特公昭57−26162 号公報には、傾
斜部を有する略鼓状の上水平ロールを備える第1粗ユニ
バーサル圧延機と、傾斜部を備える略鼓状の一対の垂直
ロールを備える第2粗ユニバーサル圧延機とを連続配置
して中間圧延を行う発明が、特公昭57−50561 号公報
には、粗ユニバーサル圧延機による圧延時に形成される
はみ出し部を解消するための傾斜面を構成するエッジャ
ー圧延機および粗ユニバーサル圧延機を用いて中間圧延
を行う発明が、特公平1−42762 号公報には、ユニバ
ーサル圧延機およびエッジャー圧延機で粗圧延を行い、
仕上ユニバーサル圧延機で仕上圧延を行って溝形鋼を製
造する際に、被圧延材のはみ出し部を溝形鋼のコーナ部
から遠ざける発明が、さらに特開平6−210301号公報
には、コーナ部にフランジ厚さの1〜3倍幅で2〜8度
外側を低く傾斜した下ロールでユニバーサル圧延を行
い、目標厚さ時に竪ロールとの隙間を1〜6mmとし、半
径200 〜800 mmの左右竪ロールで圧延後、コーナ部と反
対傾斜の下ロールでエッジング圧延する発明が、それぞ
れ提案されている。
【0008】また、第二の問題、すなわち、ロール工具
を何ら取り替えることなく溝形鋼の同一シリーズ (ウェ
ブ高さWおよびフランジ幅B:一定) の外寸法を一定に
保ちつつ、ウェブ厚さおよびフランジ厚さを様々に作り
分けるために、特開平4−220102号公報には、第1エ
ッジャー圧延機および第1粗ユニバーサル圧延機のリバ
ース圧延により所定の厚さと幅とを有する被圧延材と
し、山形孔型および平底孔型を併設した第2粗ユニバー
サル圧延機および第2エッジャー圧延機との交互圧延に
よりウェブ屈曲部の延伸とフランジ端部の成形とを行っ
て溝形の被圧延材とし、幅可変の水平ロールおよび垂直
ロールを有する仕上ユニバーサル圧延機で仕上圧延を行
う発明が、特開平8−132102号公報には、第1粗ユニ
バーサル粗圧延機でウェブおよびフランジを圧下し、エ
ッジャー圧延機でウェブとフランジとの間の外コーナ部
を面取りし、第2粗ユニバーサル圧延機でフランジ外面
を拘束しながらフランジ先端およびウェブを圧下し、仕
上ユニバーサル圧延機で仕上圧延を行う発明が、さらに
特開平9−141302号公報には、ブレークダウン圧延機
で溝形鋼の粗形鋼片に造形した後、第1粗ユニバーサル
圧延機とエッジャー圧延機とにより内法一定の被圧延材
とし、最終パスで第2粗ユニバーサル圧延機でウェブ高
さとフランジ幅を同時に1パスで圧下することにより、
外寸法 (ウェブ高さおよびフランジ幅) が一定の平行フ
ランジ溝形鋼を製造する方法が、それぞれ提案されてい
る。
【0009】特に、特開平9−141302号公報により提案
された発明では、粗ユニバーサル圧延機での圧延時に上
水平ロールと垂直ロールとの間に生じた膨出部をエッジ
ャー圧延機により完全に平坦化し、しかる後、第2粗ユ
ニバーサル圧延機において段差を有する垂直ロールでウ
ェブおよびフランジの結合部の外コーナを圧下すること
により、製品における噛み出し疵を防止するものであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術〜は、いずれも製品内法が一定である溝
形鋼の圧延に関するものであるため、同一シリーズ(ウ
ェブ高さおよびフランジ幅)内の外幅(外寸法)を一定
に保ちながら、ウェブ厚さおよびフランジ厚さを様々に
作り分ける技術ではない。このため、これら従来の技術
〜は、製品の外法を一定化する際に発生するロール
間への被圧延材の噛み出しについては何ら言及しておら
ず、これら従来の技術〜により製造された溝形鋼に
は、形状不良が発生してしまう。
【0011】図19(a) 〜図19(c) は、いずれも、溝形鋼
8に発生する各種の形状不良を示す説明図である。溝形
鋼8には、図19(a) に例示するフランジ先端段差8a、8a
や、図19(b) に例示するウェブ中央部ひけ8b、さらには
図19(c) に例示するフィレット部段差8c、8cといった形
状不良が頻発する。
【0012】このため、このような形状不良が発生した
平行フランジ溝形鋼8を素材として、高層建築用の角形
鋼管柱を製造しようとすると、柱の組立てや溶接過程で
のトラブルを発生し、操業度や歩留りの低下を招き、製
造コストアップを招いてしまう。
【0013】図20には、特開平7−229243号公報により
開示された、平行フランジ溝形鋼を用いた柱材の製造方
法の一例を示す。図20において、素材となる平行フラン
ジ溝形鋼8-1 、8-2 に、図19(a) に示すフランジ先端段
差8aや図19(c) に示すフィレット部段差8cが発生してい
ると、2枚の溝形鋼8-1 、8-2 で複数枚のダイアフラム
9を挟み込む組立工程(工程1および工程2)で、ダイ
アフラム9の内側コーナ部と溝形鋼8-1 、8-2 のフラン
ジ先端段差8aあるいはフィレット部段差8cとが干渉して
しまい、ダイアフラム9を溝形鋼8-1 、8-2 に差し込む
ことができない。また、溝形鋼8-1 、8-2 に図19(b) に
示すウェブ中央部ひけ8bが発生していると、ダイアフラ
ム9の四周エレクトロスラグ溶接工程(工程4)で、ダ
イアフラム9の四周縁部と溝形鋼8-1 、8-2 の内面との
間に大きな隙間が生じ、この隙間から溶接材料が漏洩し
てしまう。
【0014】また、従来の技術では、フランジ幅外寸
法の一定化のために、仕上圧延直前にエッジャー圧延機
の平底孔型でフランジの端部を圧下整形する。しかし、
製品である溝形鋼のサイズによっては、ウェブ厚さtw
の変化量 (最大厚さtwmaxと最小厚さtwminとの差) が
10数ミリから数10ミリに達する。このため、フランジ幅
外寸法Bの必要調整量 (フランジ端部の圧下代) は数10
ミリ必要であり、この技術が提案するように、仕上圧延
の直前にフランジ端部を整形しようとすると、フランジ
が強圧下により座屈変形し、到底調整し切れるものでは
ない。
【0015】また、この従来の技術では、ウェブ高さ
外寸法の一定化のため、仕上圧延において幅可変式の上
下水平ロールと竪ロールとによりウェブ高さを縮小また
は拡大して所定の値とする。しかし、製品である溝形鋼
のサイズによっては、フランジ厚さtf の変化量 (最大
厚さtfmaxと最小厚さtfminとの差) が10数ミリから数
10ミリに達する。このため、ウェブ高さ外寸法Wの必要
調整量 (ウェブ高さの縮小または拡大代) は数10ミリ必
要であり、この技術が提案するように、仕上圧延工程で
ウェブ高さを規制しようとすると、ウェブ高さの過剰な
縮小に伴うウェブの座屈変形やウェブ高さの過剰な拡大
に伴うウェブのくびれ変形が発生し、到底調整し切れる
ものではない。また、これにより、溝形鋼8には、図21
(a) に示す左右のフランジ幅差8dや、図21(b) に示すウ
ェブ中央部の平坦度不良8e、さらには図21(c) に示すフ
ィレット部 (フランジとウェブとの結合部) 近辺の噛み
出し8f等の形状不良が発生してしまう。
【0016】従来の技術では、エッジャー圧延機で面
取りを行っても、第2粗ユニバーサル圧延機におけるウ
ェブ高さの縮小圧延時にウェブからフランジに向けたメ
タルフローが生じるため、上水平ロールと垂直ロールと
の間に被圧延材が大きく噛み出し、仕上ユニバーサル圧
延機でこの噛み出し部の圧下を行っても解消されずに製
品に疵として残存してしまう。
【0017】そこで、本出願人は、先に特開平9−1413
02号公報ならびに特願平9−183974号により、各種形状
不良の発生を防止できる溝形鋼の圧延法を提案した。図
22および図23は、それぞれ、特開平9−141302号公報、
特願平9−183974号により提案した溝形鋼の圧延法を模
式的に示す説明図である。すなわち、これらの提案にか
かる溝形鋼の圧延法は、(1) 図22に示すように、ウェブ
および2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片10に対
して、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗ユニ
バーサル圧延機11およびエッジャー圧延機12を用いて複
数パスのリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚さ
圧下と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗ユ
ニバーサル圧延機11による圧下によりウェブの両端部フ
ランジ反延設側に形成される膨出部15a の平坦圧下とを
行った後、第2粗ユニバーサル圧延機13を用いて1パス
の圧延を行うことにより、フランジの幅圧下を行うとと
もに溝形鋼15の目標厚さに応じてウェブの高さ圧下を行
い、その後に、仕上ユニバーサル圧延機14を用いて、少
なくとも1パスのウェブおよびフランジの仕上圧延を行
うことより、溝形鋼15を製造する方法、若しくは、(2)
図23に示すように、ウェブおよび2つのフランジを有す
る溝形鋼の粗形鋼片10に対して、連続圧延可能に互いに
近接配置された第1粗ユニバーサル圧延機11、エッジャ
ー圧延機12および第2粗ユニバーサル圧延機13を用いて
複数パスのリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚
さ圧下と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗
ユニバーサル圧延機11による圧下によりウェブの両端部
フランジ反延設側に形成される膨出部15a の平坦圧下と
を行った後、第2粗ユニバーサル圧延機13を用いて1パ
スまたは複数パスのリバース圧延を行うことにより、フ
ランジの幅圧下を行うとともに溝形鋼15の目標厚さに応
じてウェブの高さ圧下を行い、その後に、仕上ユニバー
サル圧延機14を用いて、少なくとも1パスのウェブおよ
びフランジの仕上圧延を行うことにより、溝形鋼15を製
造する方法である。
【0018】図24は、これらの提案にかかる溝形鋼の圧
延法で用いる第2粗ユニバーサル圧延機13の主要部を抽
出して示す説明図である。この提案にかかる溝形鋼の製
造方法は、図22〜図24にそれぞれ示すように、第2粗ユ
ニバーサル圧延機13として、一対の水平ロール16a 、16
b と一対の垂直ロール17a 、17b とを備え、被圧延材18
の内面側に配置される水平ロール16b が、幅可変水平ロ
ールであって、その両端面には、半径が、圧延する多種
類の被圧延材のうちの最小のフランジ内幅に略等しい距
離だけ、小さい小径部がそれぞれ設けられて二つの第1
段差部19が環状に形成されるとともに、一対の垂直ロー
ル17a 、17b が、それぞれの外周面に、二つの第1段差
部19にそれぞれ対峙するとともに被圧延材18の角部外面
18c を拘束する形状を呈する第2段差部20、20が環状に
形成され、対峙する第1段差部19と第2段差部20とが協
働して、被圧延材18のウェブ18b の両端部フランジ反延
設側に形成される膨出部15a の平坦圧下を行うととも
に、被圧延材18の厚さに応じて被圧延材18のフランジ18
a の幅圧下を行うことができるユニバーサル圧延機を用
い、被圧延材18に複数パスのリバース圧延を行うことに
より、フランジ18a およびウェブ18b それぞれの寸法が
一定であって厚さが異なる多種の溝形鋼15をロール交換
を要することなく製造するものである。
【0019】ところが、特開平9−141302号公報では、
図25に示すように、第1粗ユニバーサル圧延機UR1で
の圧延時に上水平ロールと垂直ロールとの間に生じた膨
出部8a、8aをエッジャー圧延機Eで完全に平坦化し、し
かる後、第2粗ユニバーサル圧延機UR2において段差
を有する垂直ロールでウェブとフランジとの結合部の外
コーナを圧下するものであるが、特に肉厚の厚い製品の
圧延では、エッジャー圧延機Eにより膨出部8a、8aを完
全に平坦化することは、エッジャー圧延機Eの許容負荷
(荷重やトルク等) を勘案すると、実現は困難である。
【0020】また、第2粗ユニバーサル圧延機UR2に
おける垂直ロールによるウェブとフランジとの結合部の
外コーナの圧下時に、膨出部8a、8aは垂直ロールの段差
部で削がれ、仕上圧延後の溝形鋼8に図27(a) に示すラ
ップ(被さり)疵8gが発生してしまう。
【0021】さらに、図26に示すように、第2粗ユニバ
ーサル圧延機UR2における垂直ロールによるウェブと
フランジとの結合部の外コーナの圧下時に、第2粗ユニ
バーサル圧延機UR2における垂直ロールと水平ロール
との隙間にメタルが著しく噛み出し、仕上圧延後の溝形
鋼8に図27(b) に示す凹み8hが発生してしまう。
【0022】一方、特願平9−183974号により提案した
圧延法によれば、仕上圧延を終了した後の溝形鋼15か
ら、図19(a) に例示するフランジ先端段差8aや、図19
(b) に例示するウェブ中央部ひけ8b、、図19(c) に例示
するフィレット部段差8c、図21(a) に示す左右のフラン
ジ幅差8d、図21(b) に示すウェブ中央部の平坦度不良8
e、図21(c) に示すフィレット部近辺の噛み出し8f、図2
7(a) に例示するラップ疵8gさらには図27(b) に示す凹
み8hといった各種形状不良を、著しく抑制することがで
きる。
【0023】しかし、本発明者は、さらなる品質向上を
図るためにさらに検討を重ねたところ、特願平9−1839
74号により提案した圧延法によっても、第1粗ユニバー
サル圧延機11、エッジャー圧延機12および第2粗ユニバ
ーサル圧延機13の設定の仕方によっては、上述した各種
形状不良8a〜8hを完全に解消することができないことが
わかった。
【0024】ここに、本発明の目的は、特開平9−1413
02号公報や特願平9−183974号により提案した圧延法の
問題点に鑑み、図19(a) に例示するフランジ先端段差8a
や、図19(b) に例示するウェブ中央部ひけ8b、さらには
図19(c) に例示するフィレット部段差8cといった、溝形
鋼を素材とする角形鋼管柱の製作工程で支障となる形状
不良や、図21(a) に示す左右のフランジ幅差8d、図21
(b) に示すウェブ中央部の平坦度不良8e、図21(c) に示
すフィレット部近辺の噛み出し8f、図27(a) に例示する
ラップ疵8gさらには図27(b) に示す凹み8hといった各種
形状不良を発生することなく、外寸法、すなわちウェブ
高さおよびフランジ幅が一定の溝形鋼、とりわけ平行フ
ランジ溝形鋼を製造することができる方法と、この方法
を実施する際に用いる粗ユニバーサル圧延機および仕上
ユニバーサル圧延機とを、いずれも提供することにあ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するため、図22に示す圧延工程21-1と、図23に
示す圧延工程21-2とを用いた膨大な量の圧延実験を行
い、前述の各種形状不良の発生原因を、詳細に検討し
た。その結果、これらの形状不良の発生原因に関して、
以下に列記する内容の新規な知見1〜知見4を得た。
【0026】(知見1)図11(a) 〜図11(c) は、図19(a)
に例示するフランジ先端段差8aの発生状況を模式的に示
す説明図である。図22に示す圧延工程21-1、および図23
に示す圧延工程21-2では、図11(a) に示すように、第2
粗ユニバーサル圧延機13を用いた圧延工程において、被
圧延材18のフランジ先端部を下水平ロール16b の第1段
差部19で拘束圧延する際に、被圧延材18の先端近傍 (図
11(a) におけるA部およびB部) が増肉する。この後、
図11(b) 及び図11(c) に示すように、仕上ユニバーサル
圧延工程では、このフランジ先端増肉部の圧下率がフラ
ンジの他の部分の圧下率よりも大きくなるため、図11
(c) に示すように、フランジ先端近傍 (C部) とそれ以
外の領域 (D部) とに関して、圧延長手方向への伸びの
差が発生し、結果的にフランジ先端近傍 (C部) を除く
領域 (D部) に圧延方向引張力が作用して厚さが引ける
ことにより、フランジ先端付近に段差が生じる。さら
に、圧延中にロール冷却水にさらされるフランジ外面よ
りもフランジ内面のほうが温度が高くなるため、フラン
ジ内面のほうが塑性変形を生じ易くなることと相まっ
て、フランジ内面側に段差が生じ易くなる。
【0027】(知見2)図12(a) 〜図12(c) は、図19(b)
に例示するウェブ中央部ひけ8bの発生状況を模式的に示
す説明図である。図22に示す圧延工程21-1、および図23
に示す圧延工程21-2では、図12(a) に示すように、第2
粗ユニバーサル圧延機13を用いた圧延工程において、第
1粗ユニバーサル圧延機11による繰り返し圧延で生じ
た、ウェブの両端部フランジ反延設側に形成される膨出
部15a を、第2粗ユニバーサル圧延機13の垂直ロール17
a 、17b に設けられた第2段差部20により孔型拘束する
際に、ウェブ両端近傍(本明細書ではフィレット部近傍
ともいい、図12(a) におけるE部)が増肉する。この
後、図12(b) および図12(c) に示すように、仕上ユニバ
ーサル圧延機14による圧下では、この増肉部の圧下率が
ウェブの他の部分(特にウェブ中央部)の圧下率よりも
大きくなるため、ウェブ両端近傍 (F部) とそれ以外の
領域 (G部) との間で圧延長手方向への伸びの差が生
じ、図12(c) に示すように、結果的にウェブ両端近傍
(F部) を除く領域 (G部) に圧延方向引張力が作用
し、ウェブ両端部から中央部に向かってなだらかにウェ
ブ厚さが薄くなる現象であるウェブ中央部ひけが生じ
る。さらに、圧延中にロール冷却水にさらされるウェブ
外面よりもウェブ内面のほうが温度が高くなるため、ウ
ェブ内面のほうが塑性変形を生じ易くなることと相まっ
て、ウェブ内面にひけを生じ易くなる。
【0028】(知見3)図13(a) 〜図13(d) は、図19(c)
に例示するフィレット部段差8cの発生状況を模式的に示
す説明図である。図22に示す圧延工程21-1、および図23
に示す圧延工程21-2では、図13(a) に示すように、仕上
ユニバーサル圧延機14の下水平ロール22b の外周面両端
の曲率半径(以下、「R2」と記す。)は、溝形鋼15の
フィレット曲率半径に等しくし、仕上圧延前の被圧延材
18のフィレット曲率半径(以下、「R1」と記す。)
は、溝形鋼15のフィレット近傍に段差を発生させないた
めに、仕上ユニバーサル圧延機14の下水平ロール22b の
外周面両端の曲率半径R2よりも大きく設定するのが一
般的であった。しかし、圧延工程21-1および圧延工程21
-2では、仕上ユニバーサル圧延工程において、仕上圧延
以前の被圧延材18のウェブ両端近傍(フィレット部近
傍)が、前述した図12(a) 〜図12(c) に示すように、増
肉している。このため、図13(a) に示す状態で被圧延材
18の圧下を行うと、図13(b) および図13(c) に示すよう
に、仕上ユニバーサル圧延機14の下水平ロール22b の外
周面両端部で被圧延材18のフィレットの局部的な強圧下
を行うことになり、一部のメタルは圧延長手方向へ引き
延ばされるものの、大部分は圧下領域からフィレット部
近傍のウェブ18b およびフランジ18a への不均一なメタ
ルフローを生じさせ、図13(d) に示すように、結果とし
てフィレット部直近のウェブ18b およびフランジ18a そ
れぞれに段差(厚さ差)が生じてしまう。
【0029】(知見4)図22に示す圧延工程21-1、および
図23に示す圧延工程21-2では、第1粗ユニバーサル圧延
機11により圧下された被圧延材18には、膨出部15a 、15
b が形成される。この膨出部15a 、15b は、エッジャー
圧延機12の孔型により複数パスの圧延により圧下され
る。しかし、膨出部15a 、15b の幅および高さが大きい
場合には、エッジャー圧延機12が受ける負荷 (圧延荷重
および圧延トルク) が許容値を超えてしまい、膨出部15
a 、15b が残存したまま、第2粗ユニバーサル圧延機13
に噛み込むことになる。
【0030】図14は、第2粗ユニバーサル圧延機13によ
り、膨出部15a 、15b が残存した被圧延材18の圧延を行
っている状況を示す説明図であり、図14(a) は正面図、
図14(b) は側面図である。
【0031】図14(a) および図14(b) に示すように、膨
出部15a 、15b が残存したままの被圧延材18を第2粗ユ
ニバーサル圧延機13で圧延すると、第2粗ユニバーサル
圧延機13の入側において垂直ロール17a 、17b の外周面
に設けられた第2段差部20、20が、被圧延材18の側面か
ら膨出部15a 、15b を削ぐように回転するため、第2粗
ユニバーサル圧延機13の出側では、被圧延材18のウェブ
上面両端部近傍に、削ぎ疵8i (または被圧延材18の被さ
り疵、ラップ疵) が発生してしまう。なお、図14(a) に
おける破線は、被圧延材18の圧延前の形状を示す。
【0032】また、図15は、第2粗ユニバーサル圧延機
13のラストパス時の状況を示す説明図である。図15に示
すように、第2粗ユニバーサル圧延機13のラストパス時
には、垂直ロール17a 、17b により被圧延材18の外面が
圧下を受けて、被圧延材18のウェブ高さが縮小される際
に、ウェブとフランジとの結合部 (被圧延材18のコーナ
部) 近傍のメタルの一部は圧延方向にフローするが、残
りは図中に矢印で示すように、上水平ロール16a の側面
と垂直ロール17a 、17b との間隙に流れる。被圧延材18
のウェブ高さの縮小量にも影響されるが、一般にこの隙
間が狭いと噛み出し高さは高くなり、逆に隙間が広いと
噛み出し高さは低くなる。しかしながら、いずれにして
も、ロールの角部 (上水平ロール16a の外周面と側面と
の境界部、および、垂直ロール外周面と段差部との境界
部) によって、被圧延材18には、圧延方向へ線状に、か
つ鋭利な段付き状の噛み出し疵8jが、発生する。
【0033】このようにして発生した噛み出し疵8jは、
後続する仕上ユニバーサル圧延によっても解消されず、
さらに深い疵となって残る。なお、図15における破線
は、被圧延材18の圧延前の形状を示す。
【0034】本発明者は、これらの知見1〜知見4に基
づいてさらに検討を重ねた結果、特開平9−141302号公
報ならびに特願平9−183974号により提案した圧延法に
おいて、溝形鋼の圧延を行う第1粗ユニバーサル圧延機
および第2粗ユニバーサル圧延機それぞれを構成する水
平ロールの形状と、仕上ユニバーサル圧延機を構成する
水平ロールおよび垂直ロールそれぞれの形状とをいずれ
も最適化して、被圧延材を圧下する領域、すなわちロー
ル孔型のプロフィールを適正化することにより、前述し
た各種の形状不良の発生を防止できることを知見し、本
発明を完成した。
【0035】ここに、本発明の要旨とするところは、
(i) ウェブおよび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形
鋼片に対して、連続圧延可能に互いに近接配置された第
1粗ユニバーサル圧延機およびエッジャー圧延機を用い
て複数パスのリバース圧延を行うことにより、ウェブの
厚さ圧下と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1
粗ユニバーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部
フランジ反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行
った後、第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスの圧
延を行うことにより、フランジの幅圧下を行うとともに
溝形鋼の目標厚さに応じてウェブの高さ圧下を行い、そ
の後に、仕上ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも
1パスのウェブおよびフランジの仕上圧延を行う溝形鋼
の製造方法、若しくは、(ii)ウェブおよび2つのフラン
ジを有する溝形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に
互いに近接配置された第1粗ユニバーサル圧延機、エッ
ジャー圧延機および第2粗ユニバーサル圧延機を用いて
複数パスのリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚
さ圧下と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗
ユニバーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部フ
ランジ反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行っ
た後、第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは
複数パスのリバース圧延を行うことにより、フランジの
幅圧下を行うとともに溝形鋼の目標厚さに応じてウェブ
の高さ圧下を行い、その後に、仕上ユニバーサル圧延機
を用いて、少なくとも1パスのウェブおよびフランジの
仕上圧延を行う溝形鋼の製造方法であって、仕上圧延前
の被圧延材のウェブ中央厚さが、被圧延材のウェブ両端
部厚さよりも大きくなるように、圧延を行うことを特徴
とする溝形鋼の製造方法である。
【0036】この本発明では、上記の圧延が、一対の水
平ロールのうちの少なくとも一方の水平ロールの外周面
が例えば円弧形状等の曲線形状である第1粗ユニバーサ
ル圧延機および第2粗ユニバーサル圧延機の一方または
双方を用いて、行われることが、例示される。
【0037】別の観点からは、本発明は、(i) ウェブお
よび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片に対し
て、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗ユニバ
ーサル圧延機およびエッジャー圧延機を用いて複数パス
のリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚さ圧下
と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗ユニバ
ーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部フランジ
反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、
第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスの圧延を行う
ことにより、フランジの幅圧下を行うとともに溝形鋼の
目標厚さに応じてウェブの高さ圧下を行い、その後に、
仕上ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも1パスの
ウェブおよびフランジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造方
法、若しくは、(ii)ウェブおよび2つのフランジを有す
る溝形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に互いに近
接配置された第1粗ユニバーサル圧延機、エッジャー圧
延機および第2粗ユニバーサル圧延機を用いて複数パス
のリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚さ圧下
と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗ユニバ
ーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部フランジ
反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、
第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは複数パ
スのリバース圧延を行うことにより、フランジの幅圧下
を行うとともに溝形鋼の目標厚さに応じてウェブの高さ
圧下を行い、その後に、仕上ユニバーサル圧延機を用い
て、少なくとも1パスのウェブおよびフランジの仕上圧
延を行う溝形鋼の製造方法であって、仕上圧延により、
被圧延材のフランジ先端に形成された増肉部を、圧延方
向に均一にフローさせることにより、解消することを特
徴とする溝形鋼の製造方法である。
【0038】この本発明では、仕上圧延が、溝形鋼のフ
ランジ外面に接触する垂直ロールの外周面が鉛直線とな
す角度が、溝形鋼のフランジを圧下する水平ロールの側
面が鉛直線となす角度よりも、小さく設定された仕上ユ
ニバーサル圧延機を用いて、行われることが、例示され
る。
【0039】また、別の観点からは、本発明は、(i) ウ
ェブおよび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片に
対して、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗ユ
ニバーサル圧延機およびエッジャー圧延機を用いて複数
パスのリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚さ圧
下と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗ユニ
バーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部フラン
ジ反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った
後、第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスの圧延を
行うことにより、フランジの幅圧下を行うとともに溝形
鋼の目標厚さに応じてウェブの高さ圧下を行い、その後
に仕上ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも1パス
のウェブおよびフランジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造
方法、若しくは、(ii)ウェブおよび2つのフランジを有
する溝形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に互いに
近接配置された第1粗ユニバーサル圧延機、エッジャー
圧延機および第2粗ユニバーサル圧延機を用いて複数パ
スのリバース圧延を行うことにより、ウェブの厚さ圧下
と、フランジの厚さ圧下および幅圧下と、第1粗ユニバ
ーサル圧延機による圧下によりウェブの両端部フランジ
反延設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、
第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは複数パ
スのリバース圧延を行うことにより、フランジの幅圧下
を行うとともに溝形鋼の目標厚さに応じてウェブの高さ
圧下を行い、その後に仕上ユニバーサル圧延機を用い
て、少なくとも1パスのウェブおよびフランジの仕上圧
延を行う溝形鋼の製造方法であって、仕上圧延により、
被圧延材のフィレット部に形成された増肉部を、被圧延
材のウェブ高さ方向およびフランジ幅方向にフローさせ
て、フィレット部における段差の発生を防止することを
特徴とする溝形鋼の製造方法である。
【0040】この本発明では、仕上圧延が、溝形鋼のフ
ランジを圧下する水平ロールの外周面両端角部の曲率半
径が、溝形鋼のフランジを圧下する第1粗ユニバーサル
圧延機および第2粗ユニバーサル圧延機の一方または双
方の水平ロールの外周面両端角部の曲率半径に等しく設
定されるか、またはこの曲率半径よりも大きく設定され
た仕上ユニバーサル圧延機を用いて、行われることが例
示される。
【0041】また、別の観点からは、本発明は、一対の
水平ロールと一対の垂直ロールとを備え、被圧延材に複
数パスのリバース圧延を行うことにより、フランジおよ
びウェブそれぞれの寸法が一定であって厚さが異なる多
種の溝形鋼をロール交換を要することなく圧延する粗ユ
ニバーサル圧延機であって、(i) 一対の水平ロールのう
ちの少なくとも一方の水平ロールの外周面が、ロール胴
方向の中央部における径が端部における径よりも小さく
なる、例えば円弧形状等の曲線形状を呈すること、およ
び(ii)溝形鋼のフランジを圧下する水平ロールの外周面
両端角部の曲率半径が、溝形鋼のフランジを圧下する仕
上圧延機の水平ロールの外周面両端角部の曲率半径に等
しく設定されるか、または曲率半径よりも小さく設定さ
れることの一方または双方を特徴とする溝形鋼の粗ユニ
バーサル圧延機である。
【0042】この本発明では、さらに、被圧延材の内面
側に配置される水平ロールは、その両端面には、半径
が、圧延する多種類の被圧延材のうちの最小のフランジ
内幅に略等しい距離だけ、小さい小径部がそれぞれ設け
られて二つの第1段差部が環状に形成されるとともに、
一対の垂直ロールは、それぞれの外周面に、二つの第1
段差部に対峙するとともに被圧延材の角部外面を拘束す
る形状を呈する第2段差部が環状に形成され、第1段差
部と第2段差部とが協働して、被圧延材のウェブの両端
部フランジ反延設側に形成される膨出部の平坦圧下を行
うとともに、被圧延材の厚さに応じて被圧延材のフラン
ジの幅圧下を行うことが、例示される。
【0043】また、別の観点からは、本発明は、一対の
水平ロールと一対の垂直ロールとを備え、被圧延材に複
数パスのリバース圧延を行うことにより、フランジおよ
びウェブそれぞれの寸法が一定であって厚さが異なる多
種の溝形鋼をロール交換を要することなく圧延する粗ユ
ニバーサル圧延機であって、被圧延材の内面側に配置さ
れる水平ロールは、その両端面には、半径が、圧延する
多種類の被圧延材のうちの最小のフランジ内幅に略等し
い距離だけ、小さい小径部がそれぞれ設けられて二つの
第1段差部が環状に形成されるとともに、一対の垂直ロ
ールは、それぞれの外周面に、二つの第1段差部に対峙
するとともに被圧延材の角部外面を拘束する形状を呈す
る第2段差部が環状に形成され、第1段差部と第2段差
部とが協働して、被圧延材のウェブの両端部フランジ反
延設側に形成される膨出部の平坦圧下を行うとともに、
被圧延材の厚さに応じて被圧延材のフランジの幅圧下を
行い、さらに、(i) 第2段差部のうち、被圧延材のウェ
ブを拘束する面を、ウェブ中央に向かうにつれてウェブ
から離れるように、形成すること、(ii)被圧延材のフラ
ンジ先端を圧下する水平ロールに対峙する水平ロールの
外周面を、ウェブ両端に向かうにつれてウェブから離れ
るように、形成すること、および(iii) 被圧延材のフラ
ンジ先端を圧下する水平ロールに対峙する水平ロールの
外周面が、一対の垂直ロールの外周面に設けられた第2
段差部のうちで被圧延材のウェブを拘束する面よりも、
低く設定されることの3要素のうちの少なくとも一つを
満足することを特徴とする溝形鋼の粗ユニバーサル圧延
機である。
【0044】これらの本発明にかかる溝形鋼の粗ユニバ
ーサル圧延機では、一対の水平ロールのうちで被圧延材
のフランジ内側を圧下する水平ロールは、幅調整が可能
な幅可変ロールであることが、例示される。
【0045】さらに、別の観点からは、本発明は、一対
の水平ロールと一対の垂直ロールとを備え、(i) 溝形鋼
のフランジ外面に接触する垂直ロールの外周面が鉛直線
となす角度が、溝形鋼のフランジを圧下する水平ロール
の側面が鉛直線となす角度よりも、小さく設定されるこ
と、および(ii)溝形鋼のフランジを圧下する水平ロール
の外周面両端角部の曲率半径が、溝形鋼のフランジを圧
下する粗ユニバーサル圧延機の水平ロールの外周面両端
角部の曲率半径に等しく設定されるか、または曲率半径
よりも大きく設定されること、の一方または双方を特徴
とする溝形鋼の仕上ユニバーサル圧延機である。
【0046】これらの本発明にかかる溝形鋼の仕上ユニ
バーサル圧延機では、一対の水平ロールのうちで被圧延
材のフランジ内側を圧下する水平ロールは、幅調整が可
能な幅可変ロールであることが、例示される。
【0047】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明の実
施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。な
お、以降の実施形態の説明では、本発明を図22に示す外
法一定溝形鋼の熱間圧延工程21-1に適用した場合を例に
とる。
【0048】図1は、本実施形態の熱間圧延工程30-1の
一例を、各々の圧延機の孔型およびロール孔型とともに
模式的に示す説明図である。この熱間圧延工程30-1は、
大別すると、2重式圧延機(以下、「ブレークダウン圧
延機」という。)31を有する粗圧延工程、第1粗ユニバ
ーサル圧延機32と2重式成形圧延機(以下、「エッジャ
ー圧延機」という。)33と第2粗ユニバーサル圧延機34
とを有する中間圧延工程、さらには仕上ユニバーサル圧
延機35を有する仕上圧延工程の3工程からなる。以下、
これらの圧延機の構成について、順次説明する。
【0049】[ブレークダウン圧延機31]図1において、
粗圧延工程におけるブレークダウン圧延機31は、上下一
対の水平ロール36a 、36b を有し、水平ロール36a 、36
b には、素材である約1300℃に加熱された連続鋳造スラ
ブ37を最初にエッジングして所定の幅に整えるためのボ
ックス孔型 (図示しない。) とともに、図1に示すよう
に、2種類のバタフライ状孔型kal.1 、kal.2 が刻設し
てある。
【0050】本実施形態のブレークダウン圧延機31は、
公知のブレークダウン圧延機と同じであるため、これ以
上の説明は、省略する。このように、本実施形態では、
ブレークダウン圧延機31により溝形鋼の粗圧延工程が構
成される。
【0051】[第1粗ユニバーサル圧延機32]本実施形態
の第1粗ユニバーサル圧延機32は、図1に示すように、
上下一対の水平ロール39a 、39b と、左右一対の垂直ロ
ール40a 、40b とを備える。また、被圧延材41のウェブ
内面に接触する下水平ロール39b の外周面39b'は、図1
に示すように、ロール胴方向の中央部における径が端部
における径よりも小さくなる円弧形状に、形成されてい
る。本実施形態では、外周面39b'を円弧形状に形成した
が、円弧形状以外の曲線形状であってもよい。本実施形
態の第1粗ユニバーサル圧延機32のこれ以外の構成は、
公知の粗ユニバーサル圧延機と同様であるため、これ以
上の説明は省略する。
【0052】[エッジャー圧延機33]本実施形態のエッジ
ャー圧延機33は、特願平9−183974号により提案した圧
延法で用いたエッジャー圧延機と同じものである。すな
わち、上下一対の孔型ロール42a 、42b を有する。本実
施形態のエッジャー圧延機33のこれ以外の構成は、公知
のエッジャー圧延機と同様であるため、これ以上の説明
は省略する。
【0053】[第2粗ユニバーサル圧延機34]本実施形態
の第2粗ユニバーサル圧延機34は、図1に示すように、
一対の水平ロール43a 、43b と一対の垂直ロール44a 、
44b とを備える。水平ロール43a 、43b は、いずれも、
適宜手段によって幅可変に構成される。このような幅可
変ロールは、水平方向荷重および垂直方向荷重に十分に
耐えることができる剛性を有することが望ましく、例え
ば、本出願人が特開平6−277723号公報により開示した
ロール幅調整装置を用いることが望ましい。
【0054】下水平ロール43b の両端面には、半径が、
この熱間圧延工程30-1において圧延する多種類の被圧延
材41のうちの最小のフランジ内幅に略等しい距離だけ、
小さい小径部がそれぞれ設けられる。これにより、下水
平ロール43b の外周面には、二つの第1段差部45a 、45
b が環状に形成される。
【0055】また、一対の垂直ロール44a 、44b それぞ
れの外周面には、第1段差部45a 、45b に対峙するとと
もに被圧延材41の角部外面を拘束する形状を呈する第2
段差部46a 、46b が環状に形成される。
【0056】この第2粗ユニバーサル圧延機34では、第
1段差部45a 、45b と第2段差部46a 、46b とが協働し
て、第1粗ユニバーサル圧延機33による圧延によって被
圧延材41のウェブの両端部フランジ反延設側に形成され
る膨出部41a 、41b の平坦圧下を行うとともに、被圧延
材41の厚さに応じて被圧延材41のフランジの幅圧下を行
う。
【0057】また、第2粗ユニバーサル圧延機34では、
図1に示すように、下水平ロール43b の外周面43b'が、
ロール胴方向の中央部における径が端部における径より
も小さくなる円弧形状を呈する。本実施形態では、外周
面43b'を円弧形状に形成したが、円弧形状以外の曲線形
状であってもよい。
【0058】さらに、本実施形態の下水平ロール43b
は、外周面43b'の両端角部の曲率半径R2が、被圧延材
41のフランジを圧下する仕上ユニバーサル圧延機35の下
水平ロール47b の外周面の両端角部の曲率半径R1に等
しく設定されるか、またはこの曲率半径R1よりも小さ
く設定される。
【0059】例えば、曲率半径R1は、溝形鋼のフィレ
ット部の曲率半径に等しい値に設定し、曲率半径R2を
曲率半径R1と等しいか、若しくは若干(2〜5mm)小
さく設定する。なお、曲率半径R1、R2は、ともに、
15〜35mm程度が一般的である。
【0060】このように、本実施形態では、第1粗ユニ
バーサル圧延機32、エッジャー圧延機33および第2粗ユ
ニバーサル圧延機34により、溝形鋼の中間圧延工程が構
成される。
【0061】[仕上ユニバーサル圧延機35]本実施形態の
仕上ユニバーサル圧延機35は、図1に示すように、上下
一対の水平ロール47a 、47b と、左右一対の垂直ロール
48a 、48b とを有する。図示するように、水平ロール47
a 、47b は、いずれも、適宜手段によって幅可変式とし
て構成される。このような幅可変ロールは、水平方向荷
重および垂直方向荷重に十分に耐えることができる剛性
を有することが望ましく、例えば、本出願人が特開平6
−277723号公報により開示したロール幅調整装置を用い
ることが望ましい。
【0062】この仕上ユニバーサル圧延機35では、図1
中に拡大して示すように、被圧延材41のフランジ外面に
接触する垂直ロール48a 、48b の外周面が鉛直線となす
角度θ2が、被圧延材41のフランジを圧下する水平ロー
ル47b の側面が鉛直線となす角度θ1よりも、小さく設
定されている。
【0063】なお、本実施形態では、垂直ロール48a 、
48b および水平ロール47a 、47b の形状を図1に示す形
状としたが、本発明はこのような形状に限定されるもの
ではない。図2(a) 〜図2(c) には、垂直ロール48a 、
48b および水平ロール47a 、47b の各種変形例を模式的
に示す。
【0064】ここで、図2(a) における水平ロール47b
や、図3(c) における垂直ロール48a のように、2種類
以上の傾斜面の組合せからなる場合には、各々の傾斜面
の接合部は、円弧状になだらかに仕上げることが望まし
い。
【0065】図1および図2(a) 〜図2(c) における角
度θ1 〜θ3 の値は、仕上圧延後の製品のフランジ厚さ
分布、フランジ幅さらにはフランジ直角度等の状況に基
づいて、経験的に適宜決定すればよい。一般的には、角
度θ1 〜θ3 は0.5 〜1.5 度である。なお、水平ロール
47b を幅可変構造とする場合には、分割スリーブの圧延
中の撓みを考慮して、角度θ1 〜θ3 の値を大きめに設
定することが望ましい。
【0066】図3(a) 〜図3(c) は、図1に示す下水平
ロール47b の外周面の角部を拡大して、圧延時の状況を
経時的に示す説明図である。図3(a) に示すように、本
実施形態の下水平ロール47b は、外周面47b'の両端角部
の曲率半径R2が、被圧延材41のフランジを圧下する第
2粗ユニバーサル圧延機34の水平ロール43b の外周面の
両端角部の曲率半径R1に等しく設定されるか、または
この曲率半径R1よりも大きく設定される。
【0067】図4は、下水平ロール47b の外周面を示す
説明図である。図4に示すように、下水平ロール47b の
外周面の円弧の曲率半径R3と、水平ロール側面との接
合部は、曲率半径R2でできるだけなだらかに接続する
必要がある。製品形状や中間圧延の圧下スケジュール等
によっても変動するが、通常、曲率半径R3は10000〜2
0000 mmに設定し、曲率半径R2は被圧延材10のフィレ
ット近傍の曲率半径と同じ値に設定する。このように、
本実施形態では、仕上ユニバーサル圧延機35により、溝
形鋼の仕上圧延工程が構成される。
【0068】次に、これらの粗圧延工程、中間圧延工程
および仕上圧延工程の3工程からなる本実施形態の熱間
圧延工程30-1により、外法一定の溝形鋼が圧延される状
況を説明する。
【0069】図1において、圧延素材である連続鋳造ス
ラブ37は、ブレークダウン圧延機31のボックス孔型によ
り所定の寸法に幅エッジングされた後、2種類のバタフ
ライ状孔型kal.1 、kal.2 による複数パスのリバース圧
延を行われて、平行フランジ溝形鋼の粗形鋼片38にまで
造形される。
【0070】ブレークダウン圧延機31により造形された
粗形鋼片38は、次に、連続圧延が可能な距離に近接して
配置された第1粗ユニバーサル圧延機32およびエッジャ
ー圧延機33を用いて、複数パスのタンデムリバース圧延
を行われる。このタンデムリバース圧延により、粗形鋼
片38は、所定の製品厚さおよびフランジ幅に近い形状の
被圧延材41にまで延伸圧延される。
【0071】本実施形態では、第1粗ユニバーサル圧延
機32の上下一対の水平ロール39a 、39b の間で被圧延材
41のウェブ厚さが圧下および延伸され、一方、垂直ロー
ル40a 、40b と水平ロール39a 、39b の側面との隙間で
被圧延材41のフランジ厚さが圧下および延伸される。こ
の際、図1に示すように、ウェブの両端部であってフラ
ンジ反延設側には、膨出部41a 、41a が形成される。こ
の膨出部41a は、エッジャー圧延機33により複数パスの
圧延を通じて圧下される。
【0072】ここで、第1粗ユニバーサル圧延機32の下
水平ロール39b の外周面39b'は、ロール胴方向の中央部
における径が端部における径よりも小さくなる円弧形状
に形成されているため、第1粗ユニバーサル圧延機32お
よびエッジャー圧延機33によるタンデムリバース圧延を
行われた被圧延材41は、ウェブ中央部厚さがウェブ両端
部の厚さに比べて厚くなるように、圧延される。このた
め、後続して行われる第2粗ユニバーサル圧延機34およ
び仕上ユニバーサル圧延機35それぞれによる圧下によ
り、被圧延材41のウェブ厚さはウェブ高さ方向について
均一化され、ウェブ中央部ひけが防止される。
【0073】この後、被圧延材41は、第2粗ユニバーサ
ル圧延機34のロール孔型により、1パスの圧延を通じて
平坦化される。第2粗ユニバーサル圧延機34では、左右
一対の垂直ロール44a 、44b の外周面に形成された第2
段差部46a 、46b と、下水平ロール43b の側面に設けら
れた第1段差部45a 、45b との間で、フランジ幅の積極
的な圧下とともに、第1粗ユニバーサル圧延機32による
圧下により生じたウェブ両端の膨出部41a の平坦圧下が
行われる。
【0074】第2粗ユニバーサル圧延機34による圧下で
は、垂直ロール48a 、48b により、被圧延材41のフラン
ジ外面が圧下を受け、被圧延材41のウェブ高さが縮小さ
れる際、ウェブとフランジとの結合部(被圧延材のコー
ナ部)近傍のメタルの一部は、圧延方向、すなわち被圧
延材41の長手方向にフローするが、一部はウェブとフラ
ンジとの結合部近傍に溜まり、結果として被圧延材41の
ウェブ両端近傍(フィレット部近傍)に、増肉部49a 、
49b が形成される。
【0075】また、被圧延材41のフランジ先端部を下水
平ロール43b の側面に設けられた第1段差部45a 、45b
により拘束圧延する際に、被圧延材41のフランジ先端近
傍に、増肉部50a 、50b が形成される。
【0076】このようにして、第2粗ユニバーサル圧延
機34による圧延を終了した被圧延材41は、仕上ユニバー
サル圧延機35により、仕上圧延を行われる。この仕上圧
延では、被圧延材41は、ウェブ中央部厚さがウェブ両端
部の厚さに比べて厚くなるように圧延されているため、
仕上ユニバーサル圧延機35による圧下により、被圧延材
41のウェブの厚さはウェブ高さ方向について均一化さ
れ、ウェブ中央部ひけの発生が防止される。
【0077】また、仕上ユニバーサル圧延機35では、図
1に示すように、一対の垂直ロール48a 、48b のうち、
被圧延材41のフランジ外面に接触する面が鉛直線となす
角度θ2を、被圧延材41のフランジを圧下する下水平ロ
ール47b の側面が鉛直線となす角度θ1よりも小さく設
定している。このため、被圧延材41のフランジ先端近傍
に増肉部50a 、50b が形成されていても、仕上ユニバー
サル圧延機35の下水平ロール47b の側面と垂直ロール48
a 、48b と間で圧下を受けると、増肉部50a 、50b を圧
延方向に均一にフローさせることができる。このため、
フランジ先端段差の発生が防止される。
【0078】さらに、仕上ユニバーサル圧延機35では、
図3に示すように、被圧延材41のフランジを圧下する水
平ロール47b の外周面両端角部の曲率半径R2が、被圧
延材10のフランジを圧下する第2粗ユニバーサル圧延機
34の水平ロール43b の外周面両端角部の曲率半径R1に
等しく設定されるか、または曲率半径R1よりも大きく
設定されている。このため、図3(b) および図3(c) に
示すように、被圧延材41のウェブ両端近傍(フィレット
部近傍)に増肉部49a 、49b が形成されていても、水平
ロール47b による圧下を行われると、フィレット部近傍
のメタルがウェブ高さ方向ならびにフランジ幅方向に滑
らかにフローする。このため、フィレット部近傍のメタ
ルが下水平ロール47b の側面と垂直ロール48b との間、
および、下水平ロール47b の外周面と垂直ロール48b の
間にフローすることが防止される。これにより、フィレ
ット部段差の発生が防止される。
【0079】なお、第2粗ユニバーサル圧延機34の下水
平ロール43b の外周面の幅W2は、被圧延材41のウェブ
高さ縮小圧延パス以外の圧延パスにおいては、第1粗ユ
ニバーサル圧延機32の水平ロール幅W1とほぼ同じ値に
設定しておき、被圧延材41のウェブ高さ縮小圧延パスに
おいて初めて値W1よりも狭めに設定することが望まし
い。また、仕上ユニバーサル圧延機35の下水平ロール47
b の外周面の幅W3は、第2粗ユニバーサル圧延機34の
水平ロール幅W2とほぼ同じ値に設定することが望まし
い。
【0080】このように、本実施形態によれば、第1粗
ユニバーサル圧延機32および第2粗ユニバーサル圧延機
34それぞれを構成する一対の水平ロール39a 、39b 、43
a 、43b のうち、少なくとも一方の水平ロールの外周面
を円弧形状とし、これにより後続する仕上ユニバーサル
圧延を行われた後の被圧延材41のウェブ厚さを断面内で
均一化することができる。
【0081】また、本実施形態によれば、ウェブ両端近
傍に増肉部49a 、49b を、フランジ先端近傍に増肉部50
a 、50b をそれぞれ有する被圧延材41に、後続する仕上
ユニバーサル圧延機35により1パス、若しくは複数パス
の圧延を行っても、本実施形態の仕上ユニバーサル圧延
機35は最適なプロフィールのロール孔型を有するため、
前述したように断面内の各部で圧延方向の伸びを均一化
することができ、これにより、フランジ先端段差および
フィレット部段差の発生をいずれも確実に防止できる。
【0082】したがって、本実施形態によれば、溝形鋼
を素材とする角形鋼管柱の製作工程で支障となる形状不
良を発生することなく、外寸法、すなわちウェブ高さお
よびフランジ幅が一定の平行フランジ溝形鋼を製造する
ことができる。
【0083】(第2実施形態)次に、添付図面を参照しな
がら第2実施形態を説明する。なお、以降の各実施形態
の説明では、第1実施形態と相違する部分だけを説明す
ることとし、共通する部分は、同一の図中符号を付すこ
とにより、重複する説明を適宜省略する。
【0084】図5は、本実施形態の熱間圧延工程30-2の
一例を、各々の圧延機の孔型およびロール孔型とともに
模式的に示す説明図である。
【0085】この熱間圧延工程30-2が、第1実施形態の
熱間圧延工程30-1と相違するのは、連続圧延可能に互い
に近接配置された第1粗ユニバーサル圧延機32、エッジ
ャー圧延機33および第2粗ユニバーサル圧延機34を用い
て複数パスのリバース圧延を行う点と、第2粗ユニバー
サル圧延機34を用いて1パスのラストパスを行う点であ
り、これ以外は同じである。なお、このラストパスは、
圧下量に応じて、複数パスのリバース圧延を行うことと
してもよい。
【0086】すなわち、この熱間圧延工程30-2は、第1
実施形態の熱間圧延工程30-1により圧延される溝形鋼よ
りも、大断面の溝形鋼の製造を考慮したものであり、第
2粗ユニバーサル圧延機34をも用いてリバース中間圧延
を行うことにより、被圧延材41に対するフランジ幅の圧
下量の増加を図っている。
【0087】(第3実施形態)本実施形態では、図1に
示す第1実施形態の熱間圧延工程30-1に、第1実施形態
の第2粗ユニバーサル圧延機34とは異なる第2粗ユニバ
ーサル圧延機34-1を適用した。そこで、本実施形態の説
明は、この第2粗ユニバーサル圧延機34-1について行
う。
【0088】[第2粗ユニバーサル圧延機34-1]本実施形
態の第2粗ユニバーサル圧延機34-1も、図1に示す第1
実施形態の第2粗ユニバーサル圧延機34と同様に、一対
の水平ロール43a 、43b と、一対の垂直ロール44a 、44
b とを備える。
【0089】そして、被圧延材41の内面側に配置される
下水平ロール43b は、幅可変水平ロールであって、その
両端面には、半径が、圧延する多種類の被圧延材のうち
の最小のフランジ内幅に略等しい距離だけ、小さい小径
部がそれぞれ設けられて二つの第1段差部45a 、45b が
環状に形成されるとともに、一対の垂直ロール44a 、44
b は、それぞれの外周面に、二つの第1段差部45a 、45
b に対峙するとともに被圧延材41の角部外面を拘束する
形状を呈する第2段差部46a 、46b が環状に形成され
る。
【0090】第1段差部45a 、45b と第2段差部46a 、
46b とが協働して、被圧延材41のウェブの両端部フラン
ジ反延設側に形成される膨出部41a 、41b の平坦圧下を
行うとともに、被圧延材41の厚さに応じて被圧延材41の
フランジの幅圧下を行っている。
【0091】前述した知見4に示すように、削ぎ疵は、
第2粗ユニバーサル圧延機による圧延の際に、膨出部41
a 、41b が垂直ロール44a 、44b により削がれることに
より、発生する。そこで、本実施形態では、垂直ロール
44a 、44b に設けられた第2段差部46a 、46b の形状を
工夫することにより削ぎ疵の発生を防止する。
【0092】図6は、本実施形態の第2粗ユニバーサル
圧延機34-1の主要部を抽出して示す説明図である。ま
た、図7は、図6のH部における垂直ロール44a および
上水平ロール43a の形状を抽出して示す説明図である。
さらに、図8は、図7の変形例を示す説明図である。な
お、図6における破線は、被圧延材41の圧延前の形状を
示す。
【0093】本実施形態では、図7に示すように、第2
段差部46b のうちで被圧延材41のウェブを拘束する面
を、被圧延材41のウェブ中央に向かうにつれてウェブか
ら離れるように、形成する。この場合、ウェブを拘束す
る面は、図7の角度θ1の直線部分のように直線状に形
成してもよく、あるいは図8の半径R7の円弧部分のよ
うに曲線形状に形成してもよく、さらには図7の領域L
1のように直線部分と曲線部分とを組み合わせた形状
や、図8の領域L1’のように二つの曲線部分を組み合
わせた形状であってもよい。
【0094】図7における領域L1および図8における
領域L1' それぞれの各部の寸法は、第2粗ユニバーサ
ル圧延機34-1に噛み込む被圧延材41に形成された膨出部
41a、41b の高さおよび幅に応じて、経験的に適宜決定
すればよい。一般的には、図7では角度θ1=3〜30
度、距離L1=30〜100 mm、R4=10〜30mmであり、図
8ではR7=50〜1500mm、R8=10〜30mm、L1’=30
〜100 mmである。
【0095】本実施形態によれば、膨出部41a 、41b と
第2段差部46b がウェブを拘束する面との間の距離が拡
大されるため、膨出部41a 、41b が垂直ロール44a 、44
b により削がれることが防止される。このため、被圧延
材41に削ぎ疵は発生しない。
【0096】(第4実施形態)図9は、本実施形態の第
2粗ユニバーサル圧延機34-2の主要部を抽出して示す説
明図である。なお、図9における破線は、被圧延材41の
圧延前の形状を示す。
【0097】同図に示すように、本実施形態の第2粗ユ
ニバーサル圧延機34-2では、被圧延材41のフランジ先端
を圧下する下水平ロール43b に対峙する水平ロール43a
の外周面43a'が、一対の垂直ロール44a 、44b の外周面
に設けられた第2段差部46a、46b のうちで被圧延材41
のウェブを拘束する面よりも、低く設定される。
【0098】換言すれば、本実施形態では、上下の水平
ロール43a 、43b の設置高さ、すなわち被圧延材41のパ
スラインを、垂直ロール44a 、44b よりも距離e(e>
0)だけオフセットさせて、低く設定する。距離eは、
第2粗ユニバーサル圧延機34-2に噛み込む被圧延材41に
形成された膨出部41a 、41b の高さおよび幅に応じて、
経験的に適宜決定すればよいが、一般的には、距離e=
3〜30mmである。また、第2粗ユニバーサル圧延機34-2
により複数パスの圧延を行う場合には、距離eは各パス
毎に変更してもよいし、固定値としてもよい。
【0099】本実施形態の第2粗ユニバーサル圧延機34
-2のこれ以外の構成は、第1実施形態と同じである。本
実施形態によれば、膨出部41a 、41b と、垂直ロール44
a 、44b に形成された第2段差部46a 、46b がウェブを
拘束する面との間の距離が、被圧延材41のウェブに直交
する方向について距離eだけ拡大される。このため、膨
出部41a 、41b が垂直ロール44a 、44b により削がれる
ことが防止される。このため、被圧延材41に削ぎ疵は発
生しない。
【0100】(第5実施形態)前述した知見4に示すよう
に、噛み出し疵は、第2粗ユニバーサル圧延機によりウ
ェブ高さ縮小圧延時に、被圧延材のウェブ両端近傍のメ
タルが上水平ロールの側面と垂直ロールとの間隙にフロ
ーし、さらにロールの角部によって、噛み出し部が圧延
方向に線状かつ鋭利な段付き状になることによって生じ
る。
【0101】そこで、本実施形態では、噛み出し部がウ
ェブ高さ方向に滑らかに変化するように、上水平ロール
と垂直ロールとの段差部の形状を工夫することにより、
噛み出し疵を防止する。
【0102】図10は、本実施形態の第2粗ユニバーサル
圧延機34-3の主要部を抽出して示す説明図である。な
お、図10における破線は、被圧延材41の圧延前の形状を
示す。同図、図7および図8に示すように、本実施形態
の第2粗ユニバーサル圧延機34-3では、被圧延材41のフ
ランジ先端を圧下する下水平ロール43b に対峙する上水
平ロール43a の外周面43a'を、ウェブ両端に向かうにつ
れてウェブから離れるように、形成する。
【0103】換言すれば、第2粗ユニバーサル圧延機34
-3を構成する一対の水平ロール43a、43b のうち、被圧
延材41のフランジ先端を圧下する下水平ロール43b と対
峙する下水平ロール43a の外周面43a'を、ウェブ両端に
向かうにつれてウェブから離れるように、直線状 (図7
における角度θ2の直線部分) または曲線状 (図8にお
ける半径R10の円弧部分) とする。また、外周面43a'
は、さらには図7の領域L2のように直線部分と円弧部
分とを組み合わせた形状や、図8の領域L2' のように
二つの円弧部分を組み合わせた形状であってもよい。
【0104】図7における領域L2および図8における
領域L2’それぞれの各部の寸法は、第2粗ユニバーサ
ル圧延機34-3に噛み込む被圧延材41に形成された膨出部
41a、41b の高さおよび幅に応じて、経験的に適宜決定
すればよい。一般的には、図7では角度θ2=1〜10
度、距離L2=50〜200 mm、R5=10〜30mm、R6=20
〜100 mmであり、図8ではR9=10〜30mm、R10=50〜
2000mm、L2’=50〜200 mmである。
【0105】このように、本実施形態では、被圧延材41
のフランジ先端を圧下する下水平ロール43b に対峙する
上水平ロール43a の外周面43a'を、ウェブ両端に向かう
につれて被圧延材41のウェブから離れるように形成する
ため、噛み出し部がウェブ高さ方向に滑らかに変化して
膨出部41a 、41b の形成高さが抑制されるため、噛み出
し疵の発生が防止される。
【0106】
【実施例】(第1実施例)さらに、本発明を、実施例を参
照しながらより具体的に説明する。図5に示す第2実施
形態の熱間圧延工程30-2により、外寸法(ウェブ高さW
およびフランジ幅B)が一定であって、ウェブ厚さおよ
びフランジ厚さが異なる、多種の平行フランジ溝形鋼41
を製造した。すなわち、製造した平行フランジ溝形鋼41
は、いずれも、ウェブ高さBが600 mmであり、フランジ
幅Bが300 mmであった。また、ウェブ厚さおよびフラン
ジ厚さは、いずれも、22〜60mmの範囲で変動した。
【0107】なお、第1粗ユニバーサル圧延機32の上下
の水平ロール39a 、39b の幅W1は561 mmとし、上下の
水平ロール39a 、39b の側面が垂直線となす角度は、と
もに5度とした。
【0108】また、エッジャー圧延機33の下孔型ロール
42b の孔型幅は、第1粗ユニバーサル圧延機32の下水平
ロール39b の幅W1に等しい561 mmとし、孔型深さは27
8 mmとした。
【0109】また、第2粗ユニバーサル圧延機34の幅可
変下水平ロール43b の外周面から小径部までの深さは24
0 mmとし、幅可変下水平ロール43b の外周面の幅W2は
561mmに初期設定した。また、垂直ロール44a 、44b お
よび上水平ロール43a の形状のうちで本発明にかかわる
部分の詳細形状は、図3における曲率半径R2を25mmと
し、図4における曲率半径R3は15000 mmとした。
【0110】また、仕上ユニバーサル圧延機35の垂直ロ
ール48a 、48b および下水平ロール47b の形状は、図2
(b) に示す形状とし、角度θ1を0.75度に、角度θ2を
1.0度にそれぞれ設定した。
【0111】さらに、第2粗ユニバーサル圧延機34の幅
可変水平ロール43a 、43b の幅可変量、および仕上ユニ
バーサル圧延機35の幅可変水平ロール47a 、47b の幅可
変量は、いずれも、100 mmとした。
【0112】この熱間圧延工程30-2において、まず、厚
さ:250 mm、幅:1000mmの矩形断面の連続鋳造スラブ37
を圧延素材とし、加熱炉に装入して約1300℃に加熱した
後、ブレークダウン圧延機31を用いて11〜13パスのリバ
ース圧延を行うことにより、厚さ:80〜100 mmの粗形鋼
片38に造形した。
【0113】次いで、この粗形鋼片38に第1粗ユニバー
サル圧延機32、エッジャー圧延機33および第2粗ユニバ
ーサル圧延機34を用いて、5〜9パスのリバース圧延を
行い、ウェブの厚さと、フランジの厚さおよび幅を所定
値まで延伸圧延した。この際、ウェブ厚さおよびフラン
ジ厚さは、ともに第1粗ユニバーサル圧延機32により圧
下され、フランジ幅はエッジャー圧延機33および第2粗
ユニバーサル圧延機34により圧下された。
【0114】この後、製品厚さが22mm以外の被圧延材41
については、第2粗ユニバーサル圧延機34のラストパス
において、上下の幅可変水平炉の幅を狭めるとともに、
垂直ロールの開度を調整してからウェブを圧下し、
〔(製品厚さ−22)×2〕mm、最大で76mmウェブ高さを
縮小するとともに、フランジ幅を調整圧延した。
【0115】なお、製品形状不良を防止するため、製品
厚さが40mm以下の被圧延材については、1パスの圧延に
よるウェブ高さの縮小量を最大36mmとし、製品厚さが40
mm超60mm以下のものについては2パスまたは3パスに分
けて圧延を行うことにより、ウェブ高さを最大76mm縮小
した。また、第2粗ユニバーサル圧延機34の水平ロール
43a 、43b の開度は、被圧延材41の各パスにおけるウェ
ブ厚さに略等しくなるように設定した。
【0116】このようにして、中間圧延を終了した被圧
延材41に対し、仕上ユニバーサル圧延機35により、仕上
圧延終了後の製品放冷過程における熱収縮代を見込ん
で、幅可変上水平ロール47a の幅を604 mmに設定すると
ともに、製品厚さに応じて、幅可変下水平ロール47b の
幅をオンラインで484 mm〜560 mmにその都度変更し設定
した。また、上下の幅可変水平ロール47a 、47b の開度
は、製品のウェブ厚さと同等の値に設定して仕上げた。
【0117】仕上圧延後に、製造したウェブ高さBが60
0 mm、フランジ幅が300 mmであって、ウェブ厚さ、フラ
ンジ厚さが22〜60mmの範囲にある製品(平行フランジ溝
形鋼)全10種について、寸法精度および外観品質を調査
した。その結果、全成品種について、要求される公差の
寸法精度を得ることができた。表1には、本実施例によ
り製造した成品のウェブおよびフランジそれぞれの厚さ
測定結果を、代表的なサイズの成品について、まとめて
示す。
【0118】
【表1】
【0119】表1には、比較例として、図23により示す
特願平9−183974号により提案した圧延工程21-2により
製造した場合をあわせて示す。表1から、本発明により
得られる溝形鋼の寸法精度の向上が図られていることが
わかる。このようにして、角形コラムの素材となる、外
寸法一定でウェブおよびフランジそれぞれの厚さが異な
る同一シリーズ(同一ウェブ高さW×同一フランジ幅
B)の多種の平行フランジ溝形鋼を、フランジ先端段
差、ウェブ中央部ひけ、フィレット部段差、左右のフラ
ンジ幅差、ウェブ中央部の平坦度不良、フィレット部近
辺の噛み出し、ラップ疵さらには凹みといった各種形状
不良を発生することなく安定して圧延することができ
た。
【0120】さらに、本発明の方法により製造した外法
一定平行フランジ溝形鋼を使用し、600 mm×600 mmの角
形鋼管柱を、図20に示す方法で製作したが、組立ておよ
びダイアフラム溶接過程での不具合は一切生じなかっ
た。一方、比較例の外法一定平行フランジ溝形鋼につい
ては、同様な方法で角形鋼管柱に製作しようとすると、
表1に示す各種トラブルが発生した。
【0121】(第2実施例)第3実施形態〜第5実施形
態にそれぞれ示したロール形状を、全て組み合わせた水
平ロールおよび垂直ロールを有する第2粗ユニバーサル
圧延機を、図5に示す第2実施形態の熱間圧延工程30-2
に適用し、外寸法(ウェブ高さWおよびフランジ幅B)
が一定であって、ウェブ厚さおよびフランジ厚さが異な
る、多種の平行フランジ溝形鋼41を製造した。すなわ
ち、製造した平行フランジ溝形鋼41は、いずれも、ウェ
ブ高さBが600 mmであり、フランジ幅Bが300 mmであっ
た。また、ウェブ厚さおよびフランジ厚さは、いずれ
も、22〜60mmの範囲で変動した。
【0122】なお、第1粗ユニバーサル圧延機32の上下
の水平ロール39a 、39b の幅W1は561 mmとし、上下の
水平ロール39a 、39b の側面が垂直線となす角度は、と
もに5度とした。
【0123】また、エッジャー圧延機33の下孔型ロール
42b の孔型幅は、第1粗ユニバーサル圧延機32の下水平
ロール39b の幅W1に等しい561 mmとし、孔型深さは2
78 mmとした。
【0124】また、第2粗ユニバーサル圧延機34の幅可
変下水平ロール43b の外周面から小径部までの深さは24
0 mmとし、幅可変下水平ロール43b の外周面の幅W2は
561mmに初期設定した。また、垂直ロール44a 、44b お
よび上水平ロール43a の形状のうちで本発明にかかわる
部分の詳細形状は、図7に示すものであり、図7におい
て、L1=50mm、L2=100 mm、θ1=5度、θ2=2.
5 度、R4=25mm、R5=25mm、R6=25mmとした。
【0125】さらに、第2粗ユニバーサル圧延機34の幅
可変水平ロール43a 、43b の幅可変量、仕上ユニバーサ
ル圧延機35の幅可変水平ロール47a 、47b の幅可変量
は、いずれも100 mmとした。
【0126】この熱間圧延工程30-2において、まず、厚
さ:250 mm、幅:1000mmの矩形断面の連続鋳造スラブ37
を圧延素材とし、加熱炉に装入して約1300℃に加熱した
後、ブレークダウン圧延機31を用いて11〜13パスのリバ
ース圧延を行うことにより、厚さ:80〜100 mmの粗形鋼
片38に造形した。
【0127】次いで、この粗形鋼片38に第1粗ユニバー
サル圧延機32、エッジャー圧延機33および第2粗ユニバ
ーサル圧延機34を用いて、5〜9パスのリバース圧延を
行い、ウェブの厚さと、フランジの厚さおよび幅を所定
値まで延伸圧延した。この際、ウェブ厚さおよびフラン
ジ厚さは、ともに第1粗ユニバーサル圧延機32により圧
下され、フランジ幅はエッジャー圧延機33および第2粗
ユニバーサル圧延機34により圧下された。なお、第2粗
ユニバーサル圧延機34における被圧延材41のフランジ幅
圧下の際には、各パス毎に、第2粗ユニバーサル圧延機
34の上下の水平ロール43a 、43b のパスラインを通常よ
りも3〜5mm低く設定した。
【0128】この後、製品厚さが22mm以外の被圧延材41
については、第2粗ユニバーサル圧延機34のラストパス
において、上下の幅可変水平ロール43a 、43b の幅を狭
めるとともに、垂直ロール44a 、44b の開度を調整して
からウェブを圧下し、〔(製品厚さ−22)×2〕mm、最
大で76mmウェブ高さを縮小するとともに、フランジ幅を
調整圧延した。
【0129】なお、製品形状不良を防止するため、製品
厚さが40mm以下の被圧延材41については、1パスの圧延
によるウェブ高さの縮小量を最大36mmとし、製品厚さが
40mm超60mm以下のものについては2パスまたは3パスに
分けて圧延を行うことにより、ウェブ高さを最大76mm縮
小した。また、第2ユニバーサル圧延機34を用いたウェ
ブ高さ縮小圧延の際には、第2ユニバーサル圧延機34の
上下の水平ロール43a、43b のパスラインを5〜10mm下
げる(図9におけるオフセット量e:5〜10mm)調整を
行った。さらに、第2粗ユニバーサル圧延機34の水平ロ
ール43a 、43bの開度は、被圧延材41の各パスにおける
ウェブ厚さに略等しくなるように設定した。
【0130】この第2ユニバーサル圧延機34のラストパ
スを含む圧延パスにおいて、被圧延材41のウェブ上面の
両端部近傍に若干の膨出部が観察されたが、上水平ロー
ル43a と垂直ロール44a 、44b との間付近に削ぎ疵やラ
ップ疵あるいは噛み出し疵等の発生は見られなかった。
また、第2ユニバーサル圧延機34のラストパスを終了し
た被圧延材41のフランジ先端部には、外向きに膨出部50
a 、50b が形成された。しかし、図5に示す熱間圧延工
程30-2は3基の圧延機を用いたリバース圧延であり、引
き続いて行われる仕上ユニバーサル圧延機35におけるフ
ランジの厚さ圧下の際に平坦化された。
【0131】なお、比較のため、本発明の圧延方法を採
用しなかった場合、すなわち、図7におけるθ1=0
度、θ2=0度とし、L1、L2、R1〜R3は全て、
上記の値とするとともに、図9におけるオフセット量e
=0mmで一定として、同様の圧延スケジュールで第2粗
ユニバーサル圧延機34を用いた圧延を行ったが、この場
合には、全パスを通じて、被圧延材41のウェブ上面両端
部近傍、すなわち第2粗ユニバーサル圧延機34の上水平
ロール43a と垂直ロール44a 、44b との間付近に削ぎ疵
やラップ疵あるいは噛み出し疵等が散見された。
【0132】このようにして、中間圧延を終了した被圧
延材41に対し、仕上ユニバーサル圧延機35により、仕上
圧延終了後の製品放冷過程における熱収縮代を見込ん
で、幅可変上水平ロール47a の幅を604 mmに設定すると
ともに、製品厚さに応じて、幅可変下水平ロール47b の
幅をオンラインで484 mm〜560 mmにその都度変更し設定
した。また、上下の幅可変水平ロール47a 、47b の開度
は、製品のウェブ厚さと同等の値に設定して仕上げた。
【0133】仕上圧延後に、製造したウェブ高さBが60
0 mm、フランジ幅が300 mmであって、ウェブ厚さ、フラ
ンジ厚さが22〜60mmの範囲にある製品(平行フランジ溝
形鋼)全10種について、寸法精度および外観品質を調査
した。その結果、全成品種について、要求される公差の
寸法精度を得ることができ、かつラップ疵、噛み出し疵
や凹み等の形状不良は発生しなかった。
【0134】このようにして、角形コラムの素材とな
る、外寸法一定でウェブ厚さおよびフランジ厚さが異な
る同一シリーズ(同一ウェブ高さおよび同一フランジ幅
B)の多種の平行フランジ溝形鋼を、フランジ先端段
差、ウェブ中央部ひけ、フィレット部段差、左右のフラ
ンジ幅差、ウェブ中央部の平坦度不良、フィレット部近
辺の噛み出し、ラップ疵さらには凹みといった各種形状
不良を発生することなく安定して圧延することができ
た。
【0135】(変形形態)第1実施形態、第2実施形態お
よび第1実施例の説明では、図1に示すように、フラン
ジを圧下する下水平ロール39b 、43b の外周面のみを円
弧状に形成しているが、上水平ロール39a 、43a の外周
面も円弧状に形成してもよい。また、上水平ロール39a
、43a の外周面のみを円弧状に形成してもよい。
【0136】また、第1実施形態、第2実施形態および
第1実施例の説明では、第1粗ユニバーサル圧延機32お
よび第2粗ユニバーサル圧延機34それぞれの下水平ロー
ル39b 、43b の外周面をともに円弧状としたが、いずれ
か片方の水平ロールの外周面のみを円弧状としてもよ
い。また、円弧状以外の曲線状に形成してもよい。
【0137】また、第1実施形態〜第5実施形態、第1
実施例および第2実施例の説明では、第2粗ユニバーサ
ル圧延機34および仕上ユニバーサル圧延機35それぞれの
下水平ロール43b 、47b は、いずれも、オンラインで幅
調整が可能な幅可変水平ロールであるが、上水平ロール
43a 、47a は、幅可変水平ロールまたは幅固定水平ロー
ルのいずれであってもよい。なお、上水平ロール43a 、
47a を幅可変水平ロールとすることにより、ウェブ高さ
が異なる複数シリーズの製品群に対しても同一のロール
による製造が可能となり、ロールの共有化によるロール
保有数の削減を図れること、垂直ロール44a 、44b の設
定開度にかかわらず上水平ロールの両側面を常に垂直ロ
ール44a 、44b の外周面と接触した状態に維持できるた
め、無駆動の垂直ロール44a 、44b に上水平ロール43a
から回転力を与えることができ、被圧延材41の噛み込み
がよりスムーズになる。
【0138】また、第1実施形態〜第5実施形態、第1
実施例および第2実施例の説明では、仕上ユニバーサル
圧延機35の上水平ロール47a も幅可変ロールとしている
が、成品のウェブ高さを一定にするためには、必ずしも
幅可変ロールを用いる必要性はなく、幅固定式の通常の
ロールを用いることが可能である。
【0139】また、第1実施形態〜第5実施形態、第1
実施例および第2実施例の説明では、1パスの仕上ユニ
バーサル圧延を行うこととしたが、場合によっては複数
パスのリバース圧延を行ってもよい。さらに、第1実施
形態〜第5実施形態にそれぞれ示したロール形状を、2
種以上組み合わせて一つの第2粗ユニバーサル圧延機を
構成してもよい。
【0140】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1〜
請求項12の本発明によれば、ロール工具を何ら取り替え
ることなく、同一シリーズ内でウェブ厚さおよびフラン
ジ厚さが変化しても、ウェブ高さおよびフランジ幅それ
ぞれの外寸法がいずれも一定の溝形鋼を製造することが
可能であり、さらに、フランジ先端段差、ウェブ中央部
ひけさらにはフィレット段差といった、溝形鋼を素材と
する角形鋼管柱の製作工程で支障となる形状不良や、如
何なる圧延スケジュールによっても圧延中のロール間へ
の被圧延材の噛み出しによる疵や凹みといった形状不良
を発生させずに、優れた成品寸法精度の溝形鋼を熱間圧
延により製造することが可能となった。かかる効果を有
する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の熱間圧延工程の一例を、各々の
圧延機の孔型およびロール孔型とともに模式的に示す説
明図である。
【図2】図2(a) 〜図2(c) は、仕上ユニバーサル圧延
機の水平ロールおよび垂直ロールの各種変形例を模式的
に示す説明図である。
【図3】図3(a) 〜図3(c) は、図1に示す仕上ユニバ
ーサル圧延機の下水平ロールの外周面の角部を拡大し
て、圧延時の状況を経時的に示す説明図である。
【図4】図1に示す仕上ユニバーサル圧延機の下水平ロ
ールの外周面を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の熱間圧延工程の一例を、各々の
圧延機の孔型およびロール孔型とともに模式的に示す説
明図である。
【図6】第3実施形態の第2粗ユニバーサル圧延機の主
要部を抽出して示す説明図である。
【図7】図6のH部における垂直ロールおよび上水平ロ
ールの形状を抽出して示す説明図である。
【図8】図7の変形例を示す説明図である。
【図9】第4実施形態の第2粗ユニバーサル圧延機の主
要部を抽出して示す説明図である。
【図10】第5実施形態の第2粗ユニバーサル圧延機の
主要部を抽出して示す説明図である。
【図11】図11(a) 〜図11(c) は、図19(a) に例示する
フランジ先端段差の発生状況を模式的に示す説明図であ
る。
【図12】図12(a) 〜図12(c) は、図19(b) に例示する
ウェブ中央部ひけの発生状況を模式的に示す説明図であ
る。
【図13】図13(a) 〜図13(d) は、図19(c) に例示する
フィレット部段差の発生状況を模式的に示す説明図であ
る。
【図14】第2粗ユニバーサル圧延機により、膨出部が
残存した被圧延材の圧延を行っている状況を示す説明図
であり、図14(a) は正面図、図14(b) は側面図である。
【図15】第2粗ユニバーサル圧延機のラストパス時の
状況を示す説明図である。
【図16】溝形鋼の一般的な圧延工程を模式的に示す説
明図である。
【図17】溝形鋼の一般的な圧延工程を模式的に示す説
明図である。
【図18】溝形鋼の断面図である。
【図19】図19(a) 〜図19(c) は、いずれも、溝形鋼に
おける各種の形状不良を示す説明図であって、図19(a)
はフランジ先端段差を、図19(b) はウェブ中央部ひけ
を、図19(c) はフィレット部段差を、それぞれ示す。
【図20】特開平7−229243号公報により開示された、
平行フランジ溝形鋼を用いた柱材の製造方法の一例を示
す説明図である。
【図21】図21(a) は左右のフランジ幅差を示す説明図
であり、図21(b) はウェブ中央部の平坦度不良を示す説
明図であり、図21(c) は、フィレット部近辺の噛み出し
を示す説明図である。
【図22】特開平9−141302号公報により提案された溝
形鋼の圧延法を模式的に示す説明図である。
【図23】特願平9−183974号により提案された溝形鋼
の圧延法を模式的に示す説明図である。
【図24】特開平9−141302号公報ならびに特願平9−
183974号により提案された溝形鋼の圧延法で用いる第2
粗ユニバーサル圧延機の主要部を抽出して示す説明図で
ある。
【図25】特開平9−141302号公報により提案された発
明の圧延工程を模式的に示す説明図である。
【図26】特開平9−141302号公報により提案された発
明の圧延工程を模式的に示す説明図である。
【図27】溝形鋼に発生する形状不良を示す説明図であ
り、図27(a) はラップ(被さり)疵を示し、図27(b) は
凹みを示す。
【符号の説明】
32 第1粗ユニバーサル圧延機 33 エッジャー圧延機 34 第2粗ユニバーサル圧延機 35 仕上ユニバーサル圧延機 38 粗形鋼片 41 被圧延材 41a 、41b 膨出部 49a 、49b 、50a 、50b 増肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−28502(JP,A) 特開 平9−141302(JP,A) 特開 平3−18401(JP,A) 特開 平3−248701(JP,A) 特開 平6−210301(JP,A) 特開 平8−132102(JP,A) 特開 昭54−50456(JP,A) 特開 昭57−149004(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/08 B21B 13/02 B21B 13/10 B21B 27/02

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブおよび2つのフランジを有する溝
    形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に互いに近接配
    置された第1粗ユニバーサル圧延機およびエッジャー圧
    延機を用いて複数パスのリバース圧延を行うことによ
    り、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジの厚さ圧下
    および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧延機による
    圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延設側に形成
    される膨出部の平坦圧下とを行った後、第2粗ユニバー
    サル圧延機を用いて1パスの圧延を行うことにより、前
    記フランジの幅圧下を行うとともに前記溝形鋼の目標厚
    さに応じて前記ウェブの高さ圧下を行い、その後に、仕
    上ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも1パスの前
    記ウェブおよび前記フランジの仕上圧延を行う溝形鋼の
    製造方法、若しくは、 ウェブおよび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片
    に対して、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗
    ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機および第2粗ユ
    ニバーサル圧延機を用いて複数パスのリバース圧延を行
    うことにより、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジ
    の厚さ圧下および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧
    延機による圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延
    設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、前記
    第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは複数パ
    スのリバース圧延を行うことにより、前記フランジの幅
    圧下を行うとともに前記溝形鋼の目標厚さに応じて前記
    ウェブの高さ圧下を行い、その後に、仕上ユニバーサル
    圧延機を用いて、少なくとも1パスの前記ウェブおよび
    前記フランジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造方法であっ
    て、 前記仕上圧延前の被圧延材のウェブ中央厚さが、当該被
    圧延材のウェブ両端部厚さよりも大きくなるように、圧
    延を行うことを特徴とする溝形鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記圧延は、一対の水平ロールのうちの
    少なくとも一方の水平ロールの外周面が曲線形状である
    前記第1粗ユニバーサル圧延機および/または前記第2
    粗ユニバーサル圧延機を用いて、行われることを特徴と
    する請求項1記載の溝形鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 ウェブおよび2つのフランジを有する溝
    形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に互いに近接配
    置された第1粗ユニバーサル圧延機およびエッジャー圧
    延機を用いて複数パスのリバース圧延を行うことによ
    り、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジの厚さ圧下
    および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧延機による
    圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延設側に形成
    される膨出部の平坦圧下とを行った後、第2粗ユニバー
    サル圧延機を用いて1パスの圧延を行うことにより、前
    記フランジの幅圧下を行うとともに前記溝形鋼の目標厚
    さに応じて前記ウェブの高さ圧下を行い、その後に、仕
    上ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも1パスの前
    記ウェブおよび前記フランジの仕上圧延を行う溝形鋼の
    製造方法、若しくは、 ウェブおよび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片
    に対して、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗
    ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機および第2粗ユ
    ニバーサル圧延機を用いて複数パスのリバース圧延を行
    うことにより、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジ
    の厚さ圧下および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧
    延機による圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延
    設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、第2
    粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは複数パスの
    リバース圧延を行うことにより、前記フランジの幅圧下
    を行うとともに前記溝形鋼の目標厚さに応じて前記ウェ
    ブの高さ圧下を行い、その後に、仕上ユニバーサル圧延
    機を用いて、少なくとも1パスの前記ウェブおよびフラ
    ンジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造方法であって、 前記仕上圧延により、被圧延材のフランジ先端に形成さ
    れた増肉部を、圧延方向に均一にフローさせることによ
    り、解消することを特徴とする溝形鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記仕上圧延は、前記溝形鋼のフランジ
    外面に接触する垂直ロールの外周面が鉛直線となす角度
    が、前記溝形鋼のフランジを圧下する水平ロールの側面
    が鉛直線となす角度よりも、小さく設定された仕上ユニ
    バーサル圧延機を用いて、行われることを特徴とする請
    求項3記載の溝形鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 ウェブおよび2つのフランジを有する溝
    形鋼の粗形鋼片に対して、連続圧延可能に互いに近接配
    置された第1粗ユニバーサル圧延機およびエッジャー圧
    延機を用いて複数パスのリバース圧延を行うことによ
    り、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジの厚さ圧下
    および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧延機による
    圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延設側に形成
    される膨出部の平坦圧下とを行った後、第2粗ユニバー
    サル圧延機を用いて1パスの圧延を行うことにより、前
    記フランジの幅圧下を行うとともに前記溝形鋼の目標厚
    さに応じて前記ウェブの高さ圧下を行い、その後に仕上
    ユニバーサル圧延機を用いて、少なくとも1パスの前記
    ウェブおよびフランジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造方
    法、若しくは、 ウェブおよび2つのフランジを有する溝形鋼の粗形鋼片
    に対して、連続圧延可能に互いに近接配置された第1粗
    ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機および第2粗ユ
    ニバーサル圧延機を用いて複数パスのリバース圧延を行
    うことにより、前記ウェブの厚さ圧下と、前記フランジ
    の厚さ圧下および幅圧下と、前記第1粗ユニバーサル圧
    延機による圧下により前記ウェブの両端部フランジ反延
    設側に形成される膨出部の平坦圧下とを行った後、前記
    第2粗ユニバーサル圧延機を用いて1パスまたは複数パ
    スのリバース圧延を行うことにより、前記フランジの幅
    圧下を行うとともに前記溝形鋼の目標厚さに応じて前記
    ウェブの高さ圧下を行い、その後に仕上ユニバーサル圧
    延機を用いて、少なくとも1パスの前記ウェブおよびフ
    ランジの仕上圧延を行う溝形鋼の製造方法であって、 前記仕上圧延により、被圧延材のフィレット部に形成さ
    れた増肉部を、被圧延材のウェブ高さ方向およびフラン
    ジ幅方向にフローさせて、前記フィレット部における段
    差の発生を防止することを特徴とする溝形鋼の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記仕上圧延は、前記溝形鋼のフランジ
    を圧下する水平ロールの外周面両端角部の曲率半径が、
    前記溝形鋼のフランジを圧下する前記第1粗ユニバーサ
    ル圧延機および/または前記第2粗ユニバーサル圧延機
    の水平ロールの外周面両端角部の曲率半径に等しく設定
    されるか、または前記曲率半径よりも大きく設定された
    仕上ユニバーサル圧延機を用いて、行われることを特徴
    とする請求項5記載の溝形鋼の製造方法。
  7. 【請求項7】 一対の水平ロールと一対の垂直ロールと
    を備え、被圧延材に複数パスのリバース圧延を行うこと
    により、フランジおよびウェブそれぞれの寸法が一定で
    あって厚さが異なる多種の溝形鋼をロール交換を要する
    ことなく圧延する粗ユニバーサル圧延機であって、 (i) 一対の前記水平ロールのうちの少なくとも一方の水
    平ロールの外周面が、ロール胴方向の中央部における径
    が端部における径よりも小さくなる曲線形状を呈するこ
    と、および/または(ii)前記溝形鋼のフランジを圧下す
    る前記水平ロールの外周面両端角部の曲率半径が、前記
    溝形鋼のフランジを圧下する仕上圧延機の水平ロールの
    外周面両端角部の曲率半径に等しく設定されるか、また
    は前記曲率半径よりも小さく設定されることを特徴とす
    る溝形鋼の粗ユニバーサル圧延機。
  8. 【請求項8】 さらに、 前記被圧延材の内面側に配置される前記水平ロールは、
    その両端面には、半径が、圧延する多種類の被圧延材の
    うちの最小のフランジ内幅に略等しい距離だけ、小さい
    小径部がそれぞれ設けられて二つの第1段差部が環状に
    形成されるとともに、 一対の前記垂直ロールは、それぞれの外周面に、二つの
    前記第1段差部に対峙するとともに前記被圧延材の角部
    外面を拘束する形状を呈する第2段差部が環状に形成さ
    れ、 前記第1段差部と前記第2段差部とが協働して、前記被
    圧延材のウェブの両端部フランジ反延設側に形成される
    膨出部の平坦圧下を行うとともに、前記被圧延材の厚さ
    に応じて前記被圧延材のフランジの幅圧下を行うことを
    特徴とする請求項7記載の溝形鋼の粗ユニバーサル圧延
    機。
  9. 【請求項9】 一対の水平ロールと一対の垂直ロールと
    を備え、被圧延材に複数パスのリバース圧延を行うこと
    により、フランジおよびウェブそれぞれの寸法が一定で
    あって厚さが異なる多種の溝形鋼をロール交換を要する
    ことなく圧延する粗ユニバーサル圧延機であって、 前記被圧延材の内面側に配置される前記水平ロールは、
    その両端面には、半径が、圧延する多種類の被圧延材の
    うちの最小のフランジ内幅に略等しい距離だけ、小さい
    小径部がそれぞれ設けられて二つの第1段差部が環状に
    形成されるとともに、 一対の前記垂直ロールは、それぞれの外周面に、二つの
    前記第1段差部に対峙するとともに前記被圧延材の角部
    外面を拘束する形状を呈する第2段差部が環状に形成さ
    れ、 前記第1段差部と前記第2段差部とが協働して、前記被
    圧延材のウェブの両端部フランジ反延設側に形成される
    膨出部の平坦圧下を行うとともに、前記被圧延材の厚さ
    に応じて前記被圧延材のフランジの幅圧下を行い、さら
    に、 (i) 前記第2段差部のうち、前記被圧延材のウェブを拘
    束する面を、ウェブ中央に向かうにつれて前記ウェブか
    ら離れるように、形成すること、 (ii)前記被圧延材のフランジ先端を圧下する前記水平ロ
    ールに対峙する前記水平ロールの外周面を、ウェブ両端
    に向かうにつれて前記ウェブから離れるように、形成す
    ること、および (iii) 前記被圧延材のフランジ先端を圧下する前記水平
    ロールに対峙する前記水平ロールの外周面が、前記一対
    の垂直ロールの外周面に設けられた前記第2段差部のう
    ちで前記被圧延材のウェブを拘束する面よりも、低く設
    定されることの3要素のうちの少なくとも一つを満足す
    ることを特徴とする溝形鋼の粗ユニバーサル圧延機。
  10. 【請求項10】 前記一対の水平ロールのうちで前記被
    圧延材のフランジ内側を圧下する水平ロールは、幅調整
    が可能な幅可変ロールである請求項7から請求項9まで
    のいずれか1項に記載の溝形鋼の粗ユニバーサル圧延
    機。
  11. 【請求項11】 一対の水平ロールと一対の垂直ロール
    とを備え、 (i) 溝形鋼のフランジ外面に接触する垂直ロールの外周
    面が鉛直線となす角度が、前記溝形鋼のフランジを圧下
    する水平ロールの側面が鉛直線となす角度よりも、小さ
    く設定されること、および/または(ii)溝形鋼のフラン
    ジを圧下する水平ロールの外周面両端角部の曲率半径
    が、前記溝形鋼のフランジを圧下する粗ユニバーサル圧
    延機の水平ロールの外周面両端角部の曲率半径に等しく
    設定されるか、または前記曲率半径よりも大きく設定さ
    れることを特徴とする溝形鋼の仕上ユニバーサル圧延
    機。
  12. 【請求項12】 前記一対の水平ロールのうちで前記被
    圧延材のフランジ内側を圧下する水平ロールは、幅調整
    が可能な幅可変ロールである請求項11記載の溝形鋼の
    仕上ユニバーサル圧延機。
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