JP3496320B2 - 便器洗浄タンク装置 - Google Patents

便器洗浄タンク装置

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JP3496320B2
JP3496320B2 JP04046295A JP4046295A JP3496320B2 JP 3496320 B2 JP3496320 B2 JP 3496320B2 JP 04046295 A JP04046295 A JP 04046295A JP 4046295 A JP4046295 A JP 4046295A JP 3496320 B2 JP3496320 B2 JP 3496320B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は便器洗浄タンク装置、特
にタンクの水頭圧により洗浄水に勢いを付与する形式の
タンク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の便器洗浄タンク装置において、
節水化、ローシルエット化を実現するためにはタンクの
デッドウォーターを少なくする必要がある。そして、デ
ッドウォーターを少なくするためにはタンク内に貯溜さ
れた水を便器に供給するためにタンクに設けられる排水
弁に遅延排水機能、即ちタンク水位の下降よりも遅れて
閉弁する機能を持たせることが有効である。このような
遅延排水機能を持った排水弁を備える便器洗浄タンクと
しては、例えば特公昭60−27780号公報のものが
ある。
【0003】このものは,タンク内にフロート室を形成
して、このフロート室底部を小孔によりタンク内と連絡
することにより、排水時にタンクの水位下降よりフロー
ト室の水位下降が遅れるように構成すると共に該フロー
ト室内にフロートを収容し、このフロートを排水弁の弁
体に連係せしめることにより、タンク内の排水が完全に
終了した後で排水弁体が排水弁座に着座して排水弁を閉
弁するようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記構造の
便器洗浄タンク装置は排水弁の構造が複雑であるためロ
ーコスト化が難しいばかりでなく、フロート室に収容す
るフロートがフロート室の壁に接触するなどの原因で動
作不良を起こし、排水弁自体の動作不良を引き起こす恐
れがある。
【0005】本発明は従来技術が有する上記問題点に鑑
みてなされたもので、その目的とするところは構造が簡
単で、ローコスト化を図ることが容易であり、しかも排
水弁の安定した作動が得られる便器洗浄タンク装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の便器洗浄装置では、弁体の上下方向への回
動により開閉する排水弁と、上記弁体とタンク外に設け
た操作具とを操作具の操作力により弁体を引上げ可能に
連絡する操作力伝達手段とを備え、前記排水弁にはその
弁体の動作に連動して弁体とは逆向きに動き、上方への
動きに対して排水弁の開弁によりタンク内に発生する下
降流の圧力を上面に受ける制動板を設けるものである。
【0007】上記弁体はその枢支部に対して弁体とは反
対側に延びる支持アームを一体的に延設して該アームに
制動板を取り付ける。そして、この制動板はタンク内の
低下した水面と略水平になるように構成される。上記排
水弁の弁体はフロートを備える必要はないが、備えるこ
とも任意である。また、上記排水弁は上下に重ねて配設
された大洗浄用排水弁と小洗浄用排水弁とで構成し、小
洗浄用排水弁の弁座を大洗浄用排水弁の弁体に形成する
と共に大、小双方の洗浄用排水弁の夫々に制動板を設け
たり、或いは大洗浄用排水弁に制動板を設け、小洗浄用
排水弁の操作力伝達手段の途中に浮子を設けるようにす
ることも可能である。
【0008】
【0009】また、請求項の便器洗浄タンク装置で
は、弁体の上下方向への回動により開閉する排水弁と、
上記弁体とタンク本体外に設けた操作具とを操作具の操
作力により弁体を引上げ可能に連絡する操作力伝達手段
とを備えてなる便器洗浄タンク装置において、上記排水
弁の弁体をタンク内に設けた支持部に支持アームを介し
て枢支し、このアームの支持部への枢支部にソフト閉止
用ダンパを装備するものである。
【0010】また、請求項の便器洗浄タンク装置で
は、弁体の上下方向への回動により開閉する排水弁と、
上記弁体とタンク外に設けた操作具とを操作具の操作力
により弁体を引上げ可能に連絡する操作力伝達手段とを
備えてなる便器洗浄タンク装置において、弁体にはその
枢支部に対して弁体とは反対側に延びて弁体に連動する
支持アームを延設し、タンク本体内には排水弁の開弁状
態において上記支持アームの枢支部より先に延びた延長
部を係止するラッチ部を設けるものである。
【0011】
【作用】以上のように構成した請求項1の便器洗浄タン
ク装置にあっては、弁体の引上げに連動して制動板がタ
ンク底部に向けて移動し、排水に伴いタンク内に発生す
る上から下に向かう下降流を上面に受け、これにより制
動板が弁体の閉弁方向への動きに対する抵抗となり、弁
体の閉弁を遅延させる。
【0012】この際、請求項3のように制動板がタンク
内の低下した水面と略水平になるように構成されていれ
ば、排水弁は制動板にかかる下降流の圧力による開弁維
持と、制動板が水面と水平になったときに制動板と水面
との間に生じる吸着力による開弁維持の、2段階の開弁
維持を行う。
【0013】排水弁の弁体がフロートを備えない場合に
は、弁体の閉弁タイミングは制動板の抵抗のみによって
制御され、一方、弁体がフロートを備えるときには弁体
の閉弁タイミングはフロートの浮力と制動板の抵抗との
バランスより制御される。
【0014】また、請求項6のように排水弁を上下に重
ねて配設した大洗浄用排水弁と小洗浄用排水弁とで構成
し、小洗浄用排水弁の弁座を大洗浄用排水弁の弁体に形
成すると共に、大、小双方の洗浄用排水弁の夫々に制動
板を設けるか、或いは大洗浄用排水弁に制動板を設け、
小洗浄用排水弁の操作力伝達手段の途中に浮子を設ける
ようにすれば、大便洗浄用の大洗浄と、小便洗浄用の小
洗浄の切替え使用が可能となり、いずれの洗浄の場合に
も制動板または浮子が弁体の閉弁方向への動きに対する
抵抗となり、弁体の閉弁を遅延させる。
【0015】
【0016】請求項の便器洗浄タンク装置にあって
は、弁体がソフト閉止用ダンパにより水位の下降状態と
関係なくゆっくりと下降し、排水が完全に終了してから
閉弁する。
【0017】請求項の便器洗浄タンク装置にあって
は、弁体の枢支部に対して弁体と反対側に延びる支持ア
ームがラッチ部により捕まえられて、弁体の開度が維持
されることにより、弁体の下降が水位の下降より遅れ
る。
【0018】
【実施例】以下、図に基づいて本発明の実施例を説明す
る。図中Aは便器洗浄タンク装置のタンク本体で、貯溜
した洗浄水を排水して不図示の便器に供給する排水弁B
を備えている。また、このタンク本体Aには、図示して
はいないが上記排水弁Bからの排水により水位の低下し
たタンク本体Aに洗浄水を補充するためにボールタップ
などの給水装置が設けられている。
【0019】上記排水弁Bはタンク本体Aの底部に該部
を貫通する状態に取り付けられてタンク本体A外部で便
器に連絡される排水弁本体2を備え、該排水弁本体2が
タンク本体A側に突出する上端を斜めに開口してその開
口縁により弁座1を構成している。
【0020】上記排水弁本体2にはその側方に起立して
下端が排水弁本体2に連絡するオーバーフロー管3が設
けられている。このオーバーフロー管3は弁体の支持部
を兼ねており、前記弁座1に対応する弁体4がこのオー
バーフロー管3の基部に枢着している。
【0021】弁体4は円板状に形成されており、その上
面には該面と平行に延びる一対の支持アーム5が設けら
れ、このアーム5,5がオーバーフロー管3を挟持して
軸6により該管3に枢着されている。従って弁体4はア
ーム5の枢支部を中心に上下に回動自在であり、上向き
の回動により弁座1から離れて排水弁Bを開弁し、この
開弁状態から下向きの回動により弁座1に着座して排水
弁Bを閉弁することができる。
【0022】弁体4の上面中央部にはタンク本体Aの側
壁に設けられる不図示の操作具の操作力を弁体4に伝達
する鎖等の操作力伝達部材7が連結されており、操作具
の操作により弁体4を引き上げて上向きに回動させ、排
水弁Bを開弁させることができるようになっている。
【0023】一方、上記一対の支持アーム5,5はオー
バーフロー管3への枢支部に対して弁体4とは反対側に
更に延びてその先端部に制動板取付部8を夫々形成して
おり、この制動板取付部8,8下面相互に亘って制動板
9が取り付けられている。上記制動板取付部8は排水弁
の開度が45〜70゜のとき制動板9がタンク本体A底部付
近に位置するべく屈曲形成されている。
【0024】制動板9はプラスチックまたは金属等の平
らな板からなり、図示の場合長方形に形成されて、接
着、ビス止めなど適当な固定手段により支持アーム5の
制動板取付部8に取付固定されている。
【0025】而して、斯る便器洗浄タンク装置は操作具
を操作して弁体4を引き上げ、排水弁Bを開弁させる
と、弁体4の上向きの回動に連動して制動板9が下向き
に回動してタンク本体Aの底面に向けて移動する。上記
排水弁Bの開弁により生ずる排水弁Bから便器への洗浄
水の供給は、当然タンク本体A内の貯溜水に上から下へ
の下降流を形成するため、制動板9がこの下降流の圧力
を上面に受けることになる。
【0026】その結果、弁体4が重力により下降して閉
弁しようとする動作に対して制動板9上面にかかる上記
下降流の圧力が抵抗として作用し、弁体4の下降を抑制
するため、弁体4の閉弁作動は遅延する。
【0027】そして、排水に伴ってタンク内水位の下降
が進行すると、制動板9を下方に押し付けようとする圧
力は小さくなるため、弁体4も下向きに回動し排水弁B
の開度も小さくなってくるが、排水弁Bの開度が25〜50
゜になると図3に示すように制動板9が水面aと平行に
なり、制動板9と水面aとの間に表面張力により引き出
される吸着力が働き、弁体4は継続して開弁状態を保
ち、排水弁Bの開度は維持される。
【0028】更に水位が下がり、制動板9が水面上に露
出するようになると制動板9を吸着する表面張力もなく
なり、制動板9上面にかかる圧力もなくなるため、弁体
4を持ち上げておくことができなくなり、弁体4は下向
きに回動して排水弁Bを閉弁する。
【0029】以上説明したように、この実施例において
は排水弁Bは制動板9にかかる下降流の圧力による開弁
維持と、排水弁Bの開度が25〜50゜になったときの制動
板9と水面aとの間に生じる吸着力による開弁維持の、
2段階の開弁維持動作を行うことができる。
【0030】この実施例において制動板9の面積は大き
いほど遅延動作が安定するが、タンク本体Aの容積、弁
体4の重量比などによりその数値は決定されるべきであ
る。因みに、制動板9は弁体4の支点、即ち支持アーム
5の枢支部からみて、弁体4対制動板9の重量比を2:
1としたとき、85×125 mmの大きさがあれば安定した
遅延動作をすることが実験により確認されている。
【0031】上記制動板9による排水弁B閉弁の遅延効
果は、制動板9の面積によりある程度制御することがで
き、制動板9の面積を大きくすることにより閉弁タイミ
ングを遅らせることができる。また排水弁Bの弁座1内
径が小径で、タンク内の貯溜水に生ずる下降流が比較的
弱いような場合でも、制動板9の面積を大きくすること
により対応することが可能である。
【0032】上述せる如く、この実施例は2段階の開弁
維持動作を行うものであるが、排水弁Bを制動板9にか
かる下降流の圧力による開弁維持動作のみを行う構造と
することも可能であり、この場合にあっても制動板9に
よる排水弁B閉弁の遅延効果を、弁体と制動板との重量
比または制動板9の面積によりある程度制御することが
できる。
【0033】また、制動板9と水面aとの間に生じる吸
着力による閉弁遅延効果については、制動板9を、その
前半部を左右両端に亘って斜めにカットしたり、前半部
の左右を夫々斜めにカットした形状とすることによって
も、その効果を制御することができる。
【0034】即ち、ボールタップ等の給水装置は、通
常、タンク排水が始まると同時に給水を開始し、給水圧
力が高くなるとその流量が増加する。この結果、水位の
降下速度がその分低下するため吸着遅延の解除ができ難
くなると考えられるが、上記のように制動板9をその板
の前半部をカットした形状とすることにより、板前半部
の支持力が少なくなり、この部分では弁体4を支えられ
ないようになるので、吸着遅延を制御することができ
る。これにより、吸着遅延の解除遅れのためにその分無
駄に水が排水されてしまうことを防止することが可能と
なる。
【0035】尚、このように制動板9の前半部をカット
する場合でも、制動板9の面積を板前半部をカットしな
い場合と同じかそれに近い面積に調整することにより,
下降流による抵抗力は板前半部をカットしない場合とほ
ぼ同じとなる。
【0036】次に、図4は上記実施例の変形例を示し、
制動板9を備える等基本的には上述した実施例と同じも
のであるが、排水弁Bの弁体4にフロート10を具備せし
めたものである。
【0037】従って、このものは弁体4が引き上げられ
ると上述した実施例同様、制動板9が弁体4の下降に対
する抵抗となって弁体4の閉弁動作を抑制するのは勿
論、フロート10の浮力によっても弁体4の下降が抑制さ
れるようになる。そのため、このような構造となせば、
上述した実施例に比べて制動板9の面積を小さくするこ
とが可能になる。
【0038】次に、図5及び図6に示す実施例は、前述
した各実施例同様排水弁Bが弁体4に設けた制動板9を
有するものであるが、大便洗浄用の大洗浄と小便洗浄用
の小洗浄を切替えて使用することができるようにしたも
のである。
【0039】この実施例において、排水弁Bは大洗浄用
排水弁B-1 と小洗浄用排水弁B-2 を同軸上に上下に重ね
て設けてあり、大洗浄用排水弁B-1 の弁座1-1 (以下大
洗浄弁座という)はタンク本体Aの底部を貫通して設け
られる排水弁本体2の上端に形成されている。
【0040】また、上記大洗浄弁座1-1 に対応して大洗
浄用排水弁B-1 を構成する弁体4-1(以下大洗浄弁体と
いう)は円板状に形成して、その周縁部から一対の支持
アーム5-1 を延設しており、この支持アーム5-1 が排水
弁本体2に設けたオーバーフロー管3を挟持して軸6に
より該管3に上下回動自在に枢着されている。
【0041】一方、小洗浄用排水弁B-2 の弁座1-2 (以
下小洗浄弁座という)は上記大洗浄弁体4-1 に、これが
大洗浄弁座1-1 に着座している状態で大洗浄弁座1-1 と
同軸になるように形成され、この小洗浄弁座1-2 に囲ま
れて大洗浄弁体4-1 に開設される通水孔11の径は大洗浄
弁座1-1 の開口径より小さく形成されている。そして、
この小洗浄弁座1-2 に対応して小洗浄用排水弁B-2 を構
成する弁体4-2 (以下小洗浄弁体という)は前記大洗浄
弁体4-1 と同様に円板状に形成されてその上面から一対
の支持アーム5-2 を延設しており、このアーム5-2 が大
洗浄弁体4-1 のアーム5-1 の内側において大洗浄弁体4-
1 と同じ軸6により前記オーバーフロー管3に枢着され
ている。
【0042】大洗浄弁体4-1 及び小洗浄弁体4-2 のアー
ム5-1 ,5-2 は夫々オーバーフロー管3への枢支部より
更に弁体4-1 ,4-2 とは反対側に延びてその先端部に制
動板取付部8が夫々形成されており、各々の制動板取付
部8,8下面相互に亘って制動板9-1 ,9-2 (以下大制
動板、小制動板という)が取り付けられているが、小洗
浄弁体4-2 のアーム5-2 がその全長に亘ってほぼ平行に
形成されているのに対して、大洗浄弁体4-1 のアーム5-
1 はオーバーフロー管3への枢支部の先で拡開してい
る。
【0043】従って大制動板9-1 は小制動板9-2 より可
なり大きい横幅を有するが、その中央部には小制動板9-
2 の横幅にほぼ相当する幅の切欠き12を形成してある。
そして、小制動板9-2 は上記大制動板9-1 の切欠き12に
収まるようになっている。
【0044】また、上記大洗浄弁体4-1 、小洗浄弁体4-
2 はタンク本体A外に設けた不図示の操作具と鎖などの
操作力伝達手段7-1 ,7-2 を介して夫々連絡され、操作
具の操作により各々の対応する弁座1-1 ,1-2 から引上
げ可能になっている。尚、操作具は大洗浄用、小洗浄用
夫々の排水弁B-1 ,B-2 に対して各別に設けてもよい
が、単一の操作具でその操作方向を変えることにより、
大洗浄弁体4-1と小洗浄弁体4-2 に操作力を選択的に伝
達するような構造とすることも任意である。
【0045】而して、この実施例では操作具を操作して
大洗浄弁体4-1 を引き上げれば、大洗浄弁体4-1 が大洗
浄弁座1-1 から離れ、大洗浄用排水弁B-1 が開弁して大
洗浄が行われ、小洗浄弁体4-2 を引き上げれば小洗浄弁
体4-2 が小洗浄弁座1-2 から離れ、小洗浄用排水弁B-2
が開弁して小洗浄が行われる。
【0046】この大洗浄時、小洗浄時における大洗浄用
排水弁B-1 、小洗浄用排水弁B-2 夫々の作動は前述した
実施例における排水弁Bの作動と基本的には同じである
が、大洗浄時には小洗浄弁体4-2 は小洗浄弁座1-2 に着
座したまま大洗浄弁体4-1 の上に載乗した状態で大洗浄
弁体4-1 と同じ動作をするため、大洗浄弁体4-1 には大
制動板9-1 と小制動板9-2 の双方が作用し、大制動板9-
1 と小制動板9-2 を合わせた大きな面積で下降流の圧力
を受けることになる。
【0047】これに対して小洗浄時には、小洗浄弁体4-
2 だけが引き上げられ、大洗浄弁体4-1 は大洗浄弁座1-
1 に着座したままの状態を保持するため、小洗浄弁体4-
2 には小制動板9-2 のみが作用し、下降流の圧力を受け
てその圧力を小洗浄弁体4-2に及ぼすのは小作動板9-2
の面積だけとなる。
【0048】即ち、小洗浄時には大洗浄時に比べて作用
する作動板の面積が小さくなるため、遅延効果がそれだ
け小さくなり、大洗浄時に比べて短かい時間で閉弁する
ことになり、小洗浄弁座1-2 の通水孔11の面積が大洗浄
弁座1-1 の開口面積より小さいことと相俟って、大洗浄
時に比べて少量の水しか排水しない。
【0049】次に図7に示す実施例も、図5及び図6に
示した実施例同様大洗浄と小洗浄を切替えて使用するこ
とができるものである。この実施例では制動板9は大洗
浄用排水弁b-1 にのみ設けられており、小洗浄用排水弁
B-2 には制動板は設けられていない。即ち、大洗浄用排
水弁B-1 は上記実施例同様、大洗浄弁体4-1 を支持する
支持アーム5-1 がその枢支部より更に弁体4-1 とは反対
側に延びてその先端部に制動板9を取り付けているのに
対して、小洗浄用排水弁B-2 は小洗浄弁体4-2 を支持す
る支持アーム5-2 を延長して制動板9を取り付ける代わ
りに、小洗浄弁体4-2と操作具を連絡する操作力伝達手
段7-2 の途中に浮子17を取り付けている。
【0050】従って、この実施例では大洗浄用排水弁B-
1 はその閉弁に際して、大洗浄弁体4-1 の下降が制動板
9の抵抗により遅延し、小洗浄用排水弁B-2 はその閉弁
に際して、小洗浄弁体4-2 の下降が浮子の浮力17により
遅延することになる。
【0051】以上説明した実施例はいずれも、排水時の
下降流の圧力を受ける制動板9を設けることにより排水
弁Bがタンク水位の下降よりも遅れて閉弁するようにし
たものであるが、以下に説明する各実施例は制動板9を
用いることなく排水弁Bの閉弁を遅延させるものであ
る。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】次に図8に示す実施例は、排水弁本体2に
設けたオーバーフロー管3の基部に枢支して弁体4を上
下回動自在に支持する支持アーム5の、オーバーフロー
管3への枢支部分にソフト閉止用のダンパ13を装備し、
ダンパ13の緩衝作用により支持アーム5の下方への回動
速度を遅くしたものである。
【0057】上記ダンパ13はこの実施例の場合粘性流体
継手からなり、固定支持軸131 の外周に配設されるコロ
132 、スプリング133 よりなる一方クラッチを備える回
動体134 と、該回動体134 の外周に僅かな間隙をおいて
配設される被駆動体135 と、これら被駆動体135 と回動
体134 との間に注入充填された粘性流体136 とによって
構成されており、上記被駆動体135 に支持アーム5を一
体的に設けている。そして、この支持アーム5の先端に
はフロートを具備しない平板状に形成された弁体4が固
定されている。
【0058】このダンパ13は支持アーム5が下向きに回
動する場合(排水弁Bを閉弁させる方向に回動する場
合)、粘性流体136 及びその剪断隙間による剪断抵抗作
用により回動体134 の一方クラッチが作動方向に働き、
ロック状態へ移行して、下向きの回転に対して抵抗が働
き、これにより支持アーム5の下向きの回動を押さえ
る。尚、支持アーム5の上方への回動(排水弁Bを開弁
させる方向への回動)に対しては回動体134 のクラッチ
がフリーとなり、支持アーム5は上方へ円滑に軽く回動
する。
【0059】従って、この実施例においては弁体4が引
き上げられた後、操作具による引き上げ力が解除される
と、弁体4はその重さにより下降しようとし、支持アー
ム5が下向きに回動し始めるが、弁体4の下降はタンク
内水位とは無関係にゆっくりしたものとなり、排水弁B
の閉弁動作がタンク内水位の下降に遅延して行われるこ
とになる。その結果、排水が完全に終了してから排水弁
Bが閉弁することになる。
【0060】次に図9及び図10に示す実施例はラッチ
機構により弁体4の下降を制御することにより排水弁B
の開度を維持するものである。この実施例では排水弁本
体2に設けたオーバーフロー管3の基部に枢着して上記
弁体4を上下回動自在に支持する一対の支持アーム5
が、オーバーフロー管3への枢支部より更に弁体とは反
対側にのびており、その先端相互がコ字状に連結されて
いる。
【0061】また、タンク本体Aの底部には排水弁Bの
開弁状態において支持アーム5先端の連結部51が位置す
る箇所にアーム受部14が起立状に設けられており、この
アーム受部14には内面に複数のラッチ部15を上下段階状
に備えるスリット16が上記支持アーム5の連結部51と平
行するように形成されている。
【0062】従って、この実施例では、弁体4が引き上
げられ支持アーム5が下方に回動すると、支持アーム5
先端の連結部51がアーム受部14のスリット16に嵌まり込
み、スリット16内面のラッチ部15に捕まえられ、その結
果排水弁Bの開弁状態が維持される。
【0063】そして、排水が始まりタンク内水位が下降
し始めて、弁体4の浮力がなくなると弁体4の自重がア
ーム受部14のスリット16内面のラッチ部15にかかり、支
持アーム5の連結部51がラッチ部15から外れて弁体4は
下向きに回動して下降する。
【0064】水位の下降に伴ってこれを各ラッチ部15毎
に繰り返すことにより、弁体4は水位の下降に遅延して
下降することになり、排水弁Bは排水終了に遅延して閉
弁する。
【0065】尚、上記アーム受部14のスリット16は内面
に複数のラッチ部15を設ける代わりに、図11に示すよ
うにスリット16の最奥部にラッチ部15を1個だけ設け、
該ラッチ部15からスリット16入り口までの間のスリット
16の幅を若干狭くして、支持アーム5の連結部51が上記
ラッチ部15を外れた後はスリット16内面との摩擦抵抗に
よりその下向きの回動を押さえられるように構成するこ
とも可能である。また、ラッチ部15はタンク本体Aの側
面に設けることも可能である。
【0066】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、下
記するような効果を奏する。請求項1の便器洗浄タンク
装置は、排水弁の弁体の動作に連動して弁体とは逆向き
に動く制動板を弁体と一体的に設けるだけの簡単な構造
で排水弁にタンク水位の下降よりも遅れて閉弁する機能
を持たせることができるので、部品点数が少なく、低コ
スト化が容易に達成できるばかりでなく、故障の恐れが
なく動作が安定する。制動板の面積または弁体と制動板
の重量比によって、閉弁タイミングをある程度制御する
ことができるため、排水弁の総排水量の調節が容易にで
きる。
【0067】請求項2の便器洗浄タンク装置は、排水弁
の弁体をタンク内の支持部に枢着するためのアームを延
長して制動板を取り付けるので、制動板を装備すること
が容易であり、枢支部より先に伸びるアームの延長部分
の長さを調整することによっても、排水時に制動板にか
かる下降流の圧力が弁体に及ぼす力を可変調整すること
が可能になる。
【0068】請求項3の便器洗浄タンク装置は、制動板
がタンク内の低下した水面と略水平になるように構成し
たので、排水弁は制動板にかかる下降流の圧力による開
弁維持と、制動板が水面と水平になったときに制動板と
水面との間に生じる吸着力による開弁維持の、2段階の
開弁維持を行うことができ、遅延排水機能が一層向上す
る。
【0069】請求項4の便器洗浄タンク装置は、弁体に
フロートを具備させずに、フロートの浮力を利用しない
構造としたので、弁体がボールタップなどの給水による
水面の波浪の影響を受けず、作動が安定する。
【0070】請求項5便器洗浄タンク装置は、弁体がフ
ロートを具備するので、制動板が弁体の下降に対する抵
抗となって弁体の閉弁動作を抑制するばかりでなく、フ
ロートの浮力によっても弁体の下降が抑制されることに
なり、制動板の小形化を図ることが可能となる。
【0071】請求項6の便器洗浄タンク装置は、上下に
重ねて配設した大洗浄用排水弁と小洗浄用排水弁とで排
水弁を構成し、小洗浄用排水弁の弁座を大洗浄用排水弁
の弁体に形成すると共に、大、小双方の洗浄用排水弁の
夫々に制動板を設けるか、若しく大洗浄用排水弁にのみ
制動板を設けて小洗浄用排水弁にはその操作力伝達手段
の途中に浮子を設けたので、大便洗浄用の大洗浄と、小
便洗浄用の小洗浄の切り替え使用が可能となり、しかも
いずれの洗浄の場合においても制動板または浮子が弁体
の閉弁方向への動きに対する抵抗となり、弁体の閉弁を
遅延させることができる。
【0072】
【0073】
【0074】請求項の便器洗浄タンク装置は、ダンパ
を用いて排水弁の弁体の下降速度を緩やかにするので、
引き上げられた弁体はタンク内水位に関係なく一定の速
度で閉止するようになり、排水が完全に行われてから閉
弁させることが可能になる。また、弁体に開度維持用の
フロートを設ける必要がないので、水面の波浪などに影
響され難く、作動が確実になる。
【0075】請求項の便器洗浄タンク装置は、排水弁
の弁体をタンク内の支持部に枢着するためのアームを枢
支部より先まで延ばして、該アームの延長部を弁体と連
動せしめ、このアームの延長部をタンク本体の底部また
は側面に設けたラッチ部に係止させて開弁状態を維持す
るようにしたので、上記請求項6の便器洗浄タンク装置
に比べて簡単な構造で所期の目的を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明便器洗浄タンク装置の実施の一例を示す
断面図で、排水弁の閉弁状態を実線で、開弁状態を二点
鎖線で夫々示している。
【図2】要部である排水弁の斜視図。
【図3】排水弁が閉弁する途中の状態を示す断面図。
【図4】図1に示す実施例の変形例であり、排水弁の弁
体がフロートを具備する場合を示す断面図。
【図5】大洗浄、小洗浄切替え式にした実施例を示す断
面図で、排水弁の閉弁状態を実線で、大洗浄時の状態を
二点鎖線で夫々示している。
【図6】要部である排水弁の斜視図。
【図7】大洗浄、小洗浄切替え式の他の実施例を示す要
部の斜視図。
【図8】他の実施例を示す便器洗浄タンク装置の要部の
断面図で、排水弁の閉弁状態を実線で、開弁状態を二点
鎖線で夫々示すと共にダンパ部分の断面を拡大して示し
ている。
【図9】更に他の実施例を示す便器洗浄タンク装置の要
部の断面図で、排水弁の閉弁状態を実線で、開弁状態を
二点鎖線で夫々示している。
【図10】排水弁の開弁時における要部の拡大側面図。
【図11】同要部の変形例を示す側面図。
【符号の説明】
B:排水弁 B-1 :大洗浄用排水
弁 B-2 :小洗浄用排水弁 1:弁座 1-1 :弁座(大洗浄弁座) 1-2 :弁座(小洗
浄弁座) 3:支持部(オーバーフロー管) 4:弁体 4-1 :大洗浄用弁体 4-2 :小洗浄用弁
体 5:支持アーム 9:制動板 9-1 :大制動板 9-2 :小制動板 10:フロート 13:ソフト閉止用
ダンパ 15:ラッチ部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−70337(JP,A) 実開 昭63−23372(JP,U) 実開 平4−12569(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E03D 1/34

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁体の上下方向への回動により開閉する排
    水弁と、上記弁体とタンク本体外に設けた操作具とを操
    作具の操作力により弁体を引上げ可能に連絡する操作力
    伝達手段とを備え、前記排水弁にはその弁体の動作に連
    動して弁体とは逆向きに動き、上方への動きに対して排
    水弁の開弁によりタンク内に発生する下降流の圧力を上
    面に受ける制動板を設けたことを特徴とする便器洗浄タ
    ンク装置。
  2. 【請求項2】弁体がその枢支部に対して弁体とは反対側
    に延びる支持アームを延設しており、制動板が上記支持
    アームに取り付けられていることを特徴とする請求項1
    記載の便器洗浄タンク装置。
  3. 【請求項3】制動板がタンク内の低下した水面と略水平
    になるべく構成されていることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載の便器洗浄タンク装置。
  4. 【請求項4】弁体がフロートを具備していないことを特
    徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の便器
    洗浄タンク装置。
  5. 【請求項5】弁体がフロートを備えることを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の便器洗浄タン
    ク装置。
  6. 【請求項6】排水弁が上下に重ねて配設された大洗浄用
    排水弁と小洗浄用排水弁とからなり、小洗浄用排水弁の
    弁座を大洗浄用排水弁の弁体に形成すると共に大、小双
    方の洗浄用排水弁の夫々に制動板を設けるか若しくは大
    洗浄用排水弁にのみ制動板を設けて小洗浄用排水弁には
    その操作力伝達手段の途中に浮子を設けたことを特徴と
    する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の便器洗浄
    タンク装置。
  7. 【請求項7】弁体の上下方向への回動により開閉する排
    水弁と、上記弁体とタンク本体外に設けた操作具とを操
    作具の操作力により弁体を引上げ可能に連絡する操作力
    伝達手段とを備えてなる便器洗浄タンク装置において、
    上記排水弁の弁体は支持アームを介してタンク本体内の
    支持部に枢支されており、支持アームの支持部への枢支
    部にはソフト閉止用ダンパを装備してなることを特徴と
    する便器洗浄タンク装置。
  8. 【請求項8】弁体の上下方向への回動により開閉する排
    水弁と、上記弁体とタ ンク本体外に設けた操作具とを操
    作具の操作力により弁体を引上げ可能に連絡する操作力
    伝達手段とを備えてなる便器洗浄タンク装置において、
    弁体がその枢支部に対して弁体とは反対側に延びて弁体
    に連動する支持アームを延設しており、タンク本体内に
    は排水弁の開弁状態において上記支持アームの枢支部よ
    り先に延びた延長部を係止するラッチ部を設けたことを
    特徴とする便器洗浄タンク装置。
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