JP3495972B2 - プリント制御方法および装置 - Google Patents

プリント制御方法および装置

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JP3495972B2 JP2000113861A JP2000113861A JP3495972B2 JP 3495972 B2 JP3495972 B2 JP 3495972B2 JP 2000113861 A JP2000113861 A JP 2000113861A JP 2000113861 A JP2000113861 A JP 2000113861A JP 3495972 B2 JP3495972 B2 JP 3495972B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J19/00Character- or line-spacing mechanisms
    • B41J19/14Character- or line-spacing mechanisms with means for effecting line or character spacing in either direction
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
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    • G06K15/02Arrangements for producing a permanent visual presentation of the output data, e.g. computer output printers using printers
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリントヘッドの
相対的な走査により記録を行うインクジェットプリンタ
におけるプリンタカートリッジの制御に関する。特に、
本発明は、インクジェットヘッドの高速な動作により生
じるスピードの不均一さと画像の劣化を緩和するプリン
タ制御に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、ホストコン
ピュータからのテキスト、非カラーグラフィックスのご
とき連続データ、及びカラーイメージを記録媒体に記録
するための装置として普及してきている。更に、インク
ジェットヘッドは、プリンタ以外にも、複写機のような
装置においても用いられるようになってきており、その
用途が拡大してきている。このため、より高速なインク
ジェット記録の技術に対する要望は、インクジェットの
普及とともに強くなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット記録の
ためのスピードを向上するための一つの技術は、インク
ジェットプリントヘッドが記録媒体上を走査するときの
移動スピードを増加することである。例えば、プリント
ヘッドを有するインクジェットカートリッジを保持する
インクカートリッジホルダを高速なモータを用いて駆動
することがあげられる。しかしながら、高速なモータ
は、低速なモータに比べてスピードの不均一性が大きく
なる傾向にある。これは、特に、走査動作の開始時にお
いて顕著である。これらのスピードの不均一性は、イメ
ージにおけるリップルの生成をもたらし、形成画像の劣
化の原因となる。
【0004】インクジェット記録の高速化のための別の
技術は、双方向記録を利用することである。双方向記録
においては、記録媒体上の順方向および逆方向走査の間
に、プリントヘッドからのインク吐出が行われる。しか
しながら、双方向記録においては、走査ラインと走査ラ
インとの間で、記録媒体上の対向する両サイドでスピー
ドの不均一が発生する。この結果、縦方向に隣接する直
前及び後続の走査ライン歪のないエンド部分によって、
各走査ラインの開始時におけるスピードの不均一さによ
り生じた歪がより目立つようになる。
【0005】その上、高速な双方向記録はサテライト効
果を悪化させ得る。これは、プリントヘッドからインク
が吐出されるときに生じる。ピクセルを記録するために
インクジェットプリントヘッドからメインのインク滴を
吐出するときに、しばしば小さな追従的な液滴(サテラ
イト液滴)が吐出されてしまう。インクジェットプリン
トヘッドは、一般的には、記録媒体に対して多少の角度
がつけられている。これは、プリントヘッドが順方向で
記録媒体を走査するときに、サテライト液滴がメインの
吐出滴に重なるようにするためである。しかしながら、
逆方向の走査記録の場合、この角度がサテライト液滴を
メイン液滴のエッジの近く或いは外側に着弾する原因と
なるように働いてしまう。そして、このことは、逆方向
の走査中に、記録された各ピクセルの隣に小さなサテラ
イト液滴が記録されるという結果をもたらすことにな
る。
【0006】更に、キャリッジの走査スピードが上がる
につれて、サテライト液滴は、記録媒体に達する前に、
メインの液滴から遠いところを進む傾向を有するように
なる。これは、サテライトが各ピクセルから遠いところ
に出現することの原因となる。この結果、サテライトが
より目立つようになる。特に、連続的なイメージが記録
される場合は顕著である。こうして、増加した走査スピ
ードは、サテライト効果による画像の劣化を促進させる
傾向を有する。
【0007】従って、必要なことは、スピードの不均一
さの増加を示す高速なキャリッジモータをインクジェッ
トプリンタにおいて用いた場合に、その結果として生じ
る画像劣化とサテライト効果を解決することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】プリントヘッドの走査に
おけるエッジのところの記録に対するクリティカルゾー
ン(critical zone)を用いない走査処理での記録によ
り、走査ラインの開始のモータスピードの不均一さを解
決する。このクリティカルゾーンとは、スピードの不均
一さを有した連続イメージ(例えばテーブルやチャート
のような非カラーグラフィックス)の記録が、目に付く
リップル効果や画像の劣化の原因となり得る領域であ
る。
【0009】一つの実施形態において、インクの吐出開
始前にクリティカルゾーンを横切ることができるように
走査処理における走査ラインにマージンを挿入する。結
果として、スピードの不均一さは、走査ラインの記録を
開始する前に目立たないレベルに消散することになる。
マージンは好ましくは、孤立した走査ライン(例えばテ
キスト)の走査時には付加されない。なぜなら、スピー
ドの不均一さから生じるリップッル効果はテキストでは
目立たないからである。こうして、画像の品質とプリン
トヘッドが走査ラインを横切るのに要する時間とのバラ
ンスが達成される。
【0010】従って、本発明の一態様によれば、プリン
トデータに従ってプリントヘッドの走査によって記録媒
体上に記録する方法が提供される。この態様において、
プリントデータの内容が判断される。そして、プリント
データは第1或いは第2の走査処理のいずれかを用いて
記録される。ここで、第1の走査処理は、プリントヘッ
ドの走査において、その走査の端部に存在するクリティ
カルゾーンを記録に用いる。一方、第2の走査処理で
は、このクリティカルゾーンを記録に用いない。これら
第1或いは第2の走査処理は、プリントデータに基づい
て選択される。
【0011】クリティカルゾーンは、走査においてプリ
ントヘッドの移動動作が不安定な領域である。好ましく
は、クリティカルゾーンの大きさは、スピードの不均一
さによる記録の劣化が目立つポイントから、スピードの
不均一さによる記録の劣化が目立たなくなるポイントの
間の距離に相当するように、プリントヘッドが装着され
るプリントキャリッジの移動における加速状態(ramp u
p)に応じて決定される。或いは、クリティカルゾーン
は、プリントキャリッジの走査時における加減速領域と
してもよい。
【0012】上記の第2の走査処理は、好ましくは、上
記第1の走査処理に所定のマージンを挿入した処理であ
る。第2の走査処理は、現在の走査のプリントデータと
前回の走査のプリントデータによるプリント内容が、少
なくともクリティカルゾーンにおいて連続的な部分(イ
メージ)を有する場合に用いられる。それにより、連続
的なイメージに対するリップル効果を減少する。現在の
走査のためのプリントデータと前回の走査のためのプリ
ントデータによるプリント内容において連続的なプリン
トイメージが存在しない場合、当該プリントデータは好
ましくは、第1の走査処理を用いて記録される。
【0013】上記の構成により、スピードの不均一性に
起因する連続イメージのリップルは挿入されたマージン
の利用によって軽減されるとともに、非連続のデータに
ついては高速な記録スピードが維持される。
【0014】好ましくは、現在の走査のプリントデータ
と前回の走査のプリントデータによるプリント内容が、
少なくともクリティカルゾーンにおいて、連続的なプリ
ントイメージを有するか否かが判断される。現在の走査
のプリントデータと前回の走査のプリントデータによる
プリント内容が連続のプリントイメージでない場合、第
1の走査処理によって現在の走査は前回の走査とは反対
の方向で記録される。一方、現在の走査のプリントデー
タと前回の走査のプリントデータが連続のプリントイメ
ージを有する場合は、第2の走査処理により現在の走査
が前回の走査と同じ方向で記録される。
【0015】上記によれば、スピードの不均一性に起因
する歪が目立たない孤立した走査ライン(例えばテキス
ト)にはクリティカルゾーンにおける記録を含む双方向
記録が用いられ、それにより記録速度が向上する。一
方、スピードの不均一性に起因する歪が目立つ連続的な
イメージの走査ラインに対しては、クリティカルゾーン
における記録を含まない単方向記録が用いられ、それに
よりスピードの不均一性による画像の歪を緩和する。
【0016】別の態様によれば、本発明は、プリントデ
ータに従ったプリントヘッドの相対的な順方向及び逆方
向走査による、記録媒体への順方向記録及び逆方向記録
のための方法に関する。この態様によれば、プリントヘ
ッドの相対的な順方向及び逆方向走査のうちの一つの方
向でプリントデータが記録され、相対的な順方向及び逆
方向走査のもう一方の方向でプリントデータが記録され
る。ここで、一方の方向で記録されたピクセルの各々と
他方の方向で記録されたピクセルの各々が、縦方向に一
致する記録状態と比較して、記録されたデータが所定の
距離だけ走査方向にシフトするように記録される。好ま
しくは、この所定の距離は、記録されたピクセルの1/
4に相当する距離である。この走査方向のシフトは、サ
テライト効果をマスクする傾向を有し、特に、連続的な
イメージデータを記録する場合に効果的である。
【0017】更に、他の形態において、本発明はプリン
タドライバ、及び画像の劣化を防止する上記の方法を利
用する装置に関する。
【0018】以上の本発明の簡単な要約は、本発明の本
質を迅速に理解できるように提供されたものである。本
発明のより完全な理解は、添付の図面を参照してなされ
る本発明の好適な実施形態の詳細な説明によってなされ
得る。
【0019】
【発明の実施の形態】本実施の形態においては、以下に
示すセクションに分けてそれぞれ詳細に説明する。
【0020】1.0 機械的構成 1.1 構成 1.2 クリーニング 1.3 インクカートリッジ 1.4 プリントヘッド構成 1.5 プリントモード 2.0 電気的構成 2.1 システムの構造 2.2 システムの機能 2.3 制御ロジック 2.4 一般的動作 3.0 プリンタソフトウエアの構造 3.1 オペレーティングシステム 3.2 初期化 3.3 タスク 3.4 割り込みハンドラ 3.5 周期ハンドラ 3.6 ホストコンピューターの入出力コマンド 3.6.1 制御コマンド 3.6.2 設定コマンド 3.6.3 メインテナンスコマンド 4.0 自動給紙制御 4.1 ASF、行送り及び排紙速度の選択 4.2 給紙成功可否の早期判定 4.3 給紙中のプリントヘッドのメインテナンス 5.0 キャリッジの制御 5.1 マージン及び方向の制御 5.1.1 プリンタドライバの初期動作 5.1.2 プリント制御動作 5.2 自動インク吐出及びサテライティング制御 6.0 ヘッド位置合わせに基づくプリンタ制御 7.0 デュアルヘッド多色印刷 8.0 予備吐出とパルス幅変調 8.1 予備吐出制御 8.1.1 予備吐出のタイミング 8.1.2 実施例 8.2 パルス幅変調制御 9.0 複数のインクを用いたカラー印刷 10.0 状態に基づくプリンタ制御 10.1 状態取得 10.2 にじみの低減 10.3 スミヤ(こすれ汚れ)の低減 10.4 自動給紙(ASF)速度 10.5 予備吐出のタイミング 10.6 手差し給紙の遅延 10.7 清掃速度 10.8 圧縮モード
【0021】<1.0 機械的構成>本セクションで
は、本発明の実施の形態におけるプリンタの機械的配置
と機能について説明する。
【0022】<1.1 構成>図1は、本実施の形態の
プリンタと接続して用いられるコンピューター機器の外
観図である。コンピューター機器1は、ホストプロセッ
サー2を含む。ホストプロセッサー2は、パーソナルコ
ンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ。)であってもよ
く、特に、マイクロソフト(登録商標)ウィンドウズ9
5などのウィンドウ環境で動作可能な、IBM社のPC
コンパチブルコンピュータが好ましい。コンピューター
機器1は、カラーモニタなどのディスプレイ4、テキス
トデータやユーザコマンドなどを入力するためのキーボ
ード5、ポインティングデバイス6を有する。ポインテ
ィングデバイス6は、ディスプレイ4上のオブジェクト
を指し示し、操作するためのマウスが好ましい。
【0023】また、コンピューター機器1は、ハードデ
ィスク8やフロッピー(登録商標)ディスクインタフェ
ース9などのコンピューター可読メモリ媒体を有する。
フロッピーディスクインタフェース9は、コンピュータ
ー機器1がフロッピーディスクに保持されているデータ
やアプリケーションプログラムなどの情報にアクセスで
きる手段を提供する。同様に、コンピューター機器1に
CD−ROMインタフェース(不図示)を付加してもよ
く、その場合、コンピューター機器1はCDーROMイ
ンタフェースを介して、CDーROMに保持された情報
にアクセスすることができる。
【0024】ディスク8は様々なデータと共にアプリケ
ーションプログラムを保持し、ホストコンピューター2
はこのプログラムを用いてファイルを作成したり、作成
したファイルをディスク8上で操作・保持したり、ディ
スプレイ4によりこれらのファイルをオペレーターに示
したり、プリンタ10によりこれらのファイル中のデー
タをプリントしたりする。ディスク8は、上述した通
り、好ましくはウィンドウズ95などのウィンドウオペ
レーティングシステムの、オペレーティングシステムも
保持している。デバイスドライバもディスク8に保持さ
れている。デバイスドライバの内、少なくとも一つはプ
リンタ10のファームウエアに対するソフトウエアイン
タフェースを提供するプリンタドライバである。ホスト
プロセッサー2とプリンタ10間のデータ交換につい
て、以下に詳細に説明する。
【0025】本発明の好適な実施の形態においては、プ
リンタ10はマルチヘッドシリアルプリンタである。従
って、本発明はマルチヘッドシリアルプリンタに限るも
のではないが、マルチヘッドシリアルプリンタである場
合を例にとって説明を行う。
【0026】図2及び図3は、それぞれプリンタ10の
前面および後面斜視図である。物理的な構成として、本
実施の形態におけるプリンタ10は、1997年11月
17日出願の米国特許出願第08/972,113号の
「異なる解像度でのマルチヘッド印刷」に開示されたプ
リンタに類似したものである。
【0027】図2及び図3に示すように、プリンタ10
は、筐体11、アクセスドア12、自動給紙部14、自
動給紙アジャスター16、手差し給紙部17、手差し給
紙アジャスター19、排紙口20、排紙トレイ21、ト
レイ受22、インジケーターライト23、電源ボタン2
4、再スタートボタン26、電源部27、電源コード2
9、パラレルポートコネクタ30を有する。
【0028】筐体11は幅約498mm、奥行き約27
1mm、高さ約219mmであり、画像を記録媒体に印
刷する、後述するプリンタエンジンを含むプリンタ10
の内部動作部を内包する。筐体11はアクセスドア12
を有し、アクセスドア12はユーザがプリンタ10の内
部作業部、特にプリンタ10に取り付けられたプリント
カートリッジの交換または置き換えのために、プリント
カートリッジにアクセスすることができるように、手動
で開閉することができる。
【0029】アクセスドア12の上部にはインジケータ
ーライト23、電源ボタン24、再スタートボタン26
を備えたフロントパネルが備え付けられている。電源ボ
タン24により、ユーザはプリンタ10の電源をオン/
オフすることができる。また、他の追加機能も電源ボタ
ン24を利用することができる。例えば、プリンタ10
のスピーカー(不図示)がビープ音などの音を発するま
で電源ボタン24を押し続けることにより、テストプリ
ント機能を選択することができる。テストプリント機能
が選択されると、プリンタ10はテストパターンを印刷
する。
【0030】再スタートボタン26は、エラーが起こっ
た後にオペレーターが印刷動作を再スタートさせるため
のものである。また、再スタートボタン26を他の機能
を実行させるために使用することもできる。例えば、プ
リンタ10のスピーカーがビープ音を発するまで再スタ
ートボタン26を押し続けることにより、プリントヘッ
ドクリーニング機能が実行される。
【0031】なお、プリンタ10は様々な連続ビープ音
を発生することができる。これらビープ音のそれぞれに
より、用紙切れ、紙詰まりなどの異なるタイプのエラー
を示すことができる。
【0032】インジケーターライト23は、1つのライ
トパイプ(光導体)と、緑色の発光ダイオード(以下、
「LED」と記す。)と、オレンジ色のLEDとからな
る。インジケーターライト23は、プリンタ10の動作
状態をユーザに示すものである。具体的には、このイン
ジケーターライト23が消えているときには、プリンタ
10の電源が入っていないことを示し、緑色に点灯して
いる(すなわち、緑色のLEDが動作している)ときに
は、電源が入れられて、印刷の準備ができていることを
示す。また、緑色に点滅しているときには、例えば電源
投入中であるなど、プリンタの状態を示す。
【0033】インジケーターライト23がオレンジ色に
点灯する場合もあり、その場合、オペレーター呼び出し
エラーなど、リカバリー可能なエラーがプリンタ10で
起こったことを示す。リカバリー可能なエラーは、用紙
切れ、紙詰まり、プリンタ10に取り付けられたカート
リッジの欠陥、カートリッジ交換中などを含む。プリン
タ10のスピーカーから発せられるビープ音の数によ
り、リカバリー可能なエラーの種類を判断することも可
能である。インジケーターのLEDがオレンジ色に点灯
し続けたときにビープ音の数を数えることにより、ユー
ザはどのようなエラーが起きたかを判断し、対処するこ
とができる。
【0034】インジケーターライト23がオレンジ色に
点滅している時には、サービス呼び出しエラーなど、重
大なエラーがプリンタ10に起きたことを示す。重大エ
ラーの種類は、オレンジ色のライトが何回点滅したかを
数えることにより判断することができる。
【0035】また、図2及び図3に示すように、自動給
紙部14もプリンタ10の筐体11に含まれる。自動給
紙部14はプリンタ10の媒体供給部のことである。す
なわち、自動給紙部14は、プリンタ10が画像を印刷
するための記録媒体を保持する。この場合、プリンタ1
0は様々な種類の記録媒体に画像を印刷することが可能
である。記録媒体の種類としては、普通紙、高解像度用
紙、透明媒体、光沢紙、光沢フィルム、バックプリント
フィルム、布、Tシャツ転写紙、バブルジェット(登録
商標)用紙、カード類、パンフレット用紙、バナー(長
尺)紙、厚紙等があるが、これらに限られるものではな
い。
【0036】自動給紙部14は、約13mm厚の記録媒
体スタックを保持することができる。その場合、自動給
紙部14は64g/m密度の紙であれば約130枚、
または封筒であれば約15枚を保持することができる。
印刷中は、自動給紙部14に重ねられた媒体が1枚ずつ
プリンタ10に給紙される。特に、プリンタ10のロー
ラー(後述)が、自動給紙部14から記録媒体を1枚ず
つ取り出してプリンタ10に給紙する。このようにして
1枚ずつ供給された記録媒体は、ローラー間の「J」字
型経路を通り、図2に示す排紙口20から排出される。
【0037】自動給紙部14は自動給紙アジャスター1
6を有する。自動給紙部14に供給される様々なサイズ
の記録媒体に合わせて、自動給紙アジャスター16を横
方向に動かすことができる。自動給紙部14は、自動給
紙部14に供給された記録媒体を支えるために自動給紙
部14から延長する支え板31を有する。使用しないと
きには、支え板31は図2に示すように自動給紙部14
のスロット内に格納される。
【0038】用紙は、図3に示す手差し給紙部17から
1枚ずつプリンタ10に供給することも可能である。こ
の手差し給紙部17も、プリンタ10の媒体供給部であ
る。本実施の形態においては、手差し給紙部17は少な
くとも64g/m から550g/mの密度と、
0.8mm厚を有する媒体に対応することができる。手
差し給紙部17から供給される用紙は、プリンタ10内
のローラーを介して真っ直ぐに排紙口20へ向かう。ま
た、自動給紙部14と同様に、手差し給紙部17は手差
し給紙アジャスター19を有する。手差し給紙アジャス
ターを横方向にスライドさせることにより、ユーザは手
差し給紙部17が対応できる記録媒体のサイズを変更す
ることができる。
【0039】手差し給紙部17及び自動給紙部14使用
することにより、プリンタ10は様々な異なるサイズの
記録媒体に画像を印刷することができる。サイズとして
は、レターサイズ、リーガルサイズ、A4、A3、A
5、B4、B5、タブロイドサイズ、#10封筒、DL
封筒、バナーサイズ、ワイドバナーサイズ、LTRフル
ブリード(full bleed)サイズなどがあるが、これらに限
定されるものではない。また、既成サイズ以外の記録媒
体をプリンタ10で使用することもできる。
【0040】上記の通り、媒体は排紙口20からプリン
タ10を通り排紙トレイ21に排紙される。排紙トレイ
21は、プリンタ10から排紙される媒体を支える、バ
ネにより支えられたフラップを有し、このフラップはよ
り多くの媒体が積み重ねられるに従って、下方向へ動
く。使用されないときは、図2に示すように、排紙トレ
イ21はプリンタ10のトレイ受22内に収納される。
【0041】電源コード29はプリンタ10を外部AC
電源に接続する。電源部27は、外部電源から供給され
るAC電力を変換し、変換した電力をプリンタ10に供
給するために用いられる。パラレルポート30はプリン
タ10をホストプロセッサー2に接続する。パラレルポ
ート30は好ましくはIEEE1284に準拠した両方
向ポートであり、後述のセクション3.0で説明するデ
ータ及びコマンドがプリンタ10とホストプロセッサー
2との間でやりとりされる。
【0042】図4及び図5は、それぞれプリンタ10の
後面及び前面の切取斜視図である。図4に示すように、
プリンタ10は自動給紙部14または手差し給紙部17
からプリンタ10を介して排紙口20へ記録媒体を搬送
する、上述の自動給紙ローラー32を有する。自動給紙
ローラー32は媒体搬送中は、図4の矢印32aが示す
ように反時計回りに回転する。
【0043】ラインフィードモータ34は自動給紙ロー
ラー32の回転を制御する。ラインフィードモータ34
と自動給紙ローラー32の動作関係を示す図4の構成
は、説明のために簡略化して描かれたものである。動作
関係については、図5A及び図5Bを参照して詳細に後
述する。ラインフィードモータ34は、96ステップの
2相パルスモータを含み、回路基板35から受け取った
信号コマンドに応じて制御される。ラインフィードモー
タ34は4段階電流制御のモータドライバにより駆動さ
れ、その4段階は、好ましくは、最大電流の0%、40
%、70%、100%である。
【0044】本実施の形態においては、ラインフィード
モータ34が最大速度で動作した場合、プリンタ10内
で記録媒体を秒速238mmで搬送するように自動給紙
ローラー32を回転させることができる。プリンタ10
の主要モード動作においては、ラインフィードによる解
像度は(1/720)インチ/パルス(2−2相)、1
440dpiモードでは、(1/1440)インチ/パ
ルス(1−2相)である。プリントモードについては、
詳細に後述する。
【0045】図5に示すように、プリンタ10はデュア
ルカートリッジプリンタであって、2つのプリントヘッ
ド(カートリッジ1つにつきヘッド1つ)を使って画像
を印刷する。特に、これらのカートリッジはお互いのプ
リントヘッドが水平方向にオフセットするように、カー
トリッジホルダ37a及び37bに隣り合わせに保持さ
れることが好ましい。図4に示すキャリッジモータ39
は、回路基板35からの信号コマンドに応じて、カート
リッジホルダ37a及び37bの動きを制御する。具体
的には、キャリッジモータ39はベルト40の動きを制
御し、これによりベルト40はキャリッジ41に沿った
カートリッジホルダ37a及び37bの動きを制御す
る。すなわち、キャリッジモータ39はベルト40を双
方向に動かし、これによりカートリッジホルダ37a及
び37bも双方向に動かされる。こうすることにより、
プリンタ10は左から右、右から左へのどちらの方向に
も画像を印刷することができる。
【0046】キャリッジモータ39は、96ステップの
2相パルスモータからなり、(9/360)インチ/パ
ルスのキャリッジ解像度を有する。キャリッジモータ3
9は、4段階電流制御のモータドライバにより駆動され
る。プリンタ10が標準のデフォルトモードである36
0dpiで印刷をしている場合、キャリッジモータ39
は、カートリッジホルダ37a及び37bがキャリッジ
41に沿って秒速22.5インチで動くように駆動され
る。秒速22.5インチは、プリントヘッドヒートパル
ス周波数6.51KHzに対応する。プリンタ10が3
60dpiドラフトモードで印刷をしている場合、キャ
リッジモータ39は、カートリッジホルダ37a及び3
7bがキャリッジ41に沿って秒速27.5インチで動
くように駆動される。秒速27.5インチは、プリント
ヘッドヒートパルス周波数10.0KHzに対応する。
これに対して、プリンタ10が720dpiモードで印
刷をしている場合、キャリッジモータ39は、カートリ
ッジホルダ37a及び37bがキャリッジ41に沿って
デフォルト速度の秒速13.8インチ(10.0KH
z)で動くように駆動される。
【0047】カートリッジホルダ37a及び37bはプ
リンタ10において、インクカートリッジ43aおよび
43b(それぞれプリントヘッドを有し、インクを保持
するための着脱可能な1つ以上のインクタンクを有する
ことができる)を保持するために使用される。代表的な
インクカートリッジについては、セクション1.3で図
6を参照して後述する。
【0048】図5において、プリンタ10は予備吐出受
42a及び42b、ワイパー44a及び44b、インク
クリーニング機構45を有することが好ましい。インク
クリーニング機構45は、ホーム位置46に備え付けら
れており、回転ポンプ(不図示)と、プリントヘッド接
続キャップ47a及び47bとを有する。プリントヘッ
ド接続キャップ47a及び47bは、プリントヘッドの
クリーニング中やプリンタ10の電源が切られている時
などのその他の時に、カートリッジホルダ37a及び3
7bに取り付けられたカートリッジのプリントヘッドそ
れぞれに接続し、プリントヘッドを保護する。
【0049】ラインフィードモータ34はインククリー
ニング機構45の回転ポンプを駆動して、プリントヘッ
ド接続キャップ47a及び47bのいずれかに接続した
プリントヘッドから余分なインクを吸引する。インクは
1回につき1つのカートリッジから吸引することが好ま
しい。
【0050】ワイパー44a及び44bは、カートリッ
ジのプリントヘッドから余分なインクを拭き取るため
に、キャリッジモータ39により駆動されるブレードな
どを有する。ワイパー44a及び44bは、所定の状態
となった場合には、プリントヘッドに接触するように持
ち上げられる。例えば、プリントヘッドにより所定数の
ドットを印刷した後に、ワイパー44a及び44bは持
ち上げられる。
【0051】図5Aは、自動給紙ローラー32及びイン
ククリーニング機構45の動作のための、ラインフィー
ドモータ34及びキャリッジモータ39の相互動作を示
す。図5Aに示すように、ラインフィードモータ34は
ギヤ160,161,162を介してラインフィードロ
ーラー165を駆動する。クラッチ部140はラインフ
ィードローラー165によりギヤ150,151を介し
て駆動される。クラッチ部140及び制御ロッド141
は、ラインフィードモータ34及びキャリッジモータ3
9と共動して、クラッチ部140が以下に示す複数の位
置のいずれかの位置に来るように駆動する。すなわち、
(1)通常印刷のための中間位置、(2)自動給紙部の
動作のための位置、(3)インククリーニング機構の動
作のための位置のいずれかである。
【0052】図5Aに示すように、キャリッジモータ3
9はベルト40を駆動してカートリッジホルダ37bを
キャリッジ41に沿って直線移動させる。カートリッジ
ホルダ7bがホームポジション46を過ぎてキャリッジ
41の右端方向へ動くことで、制御ロッド141の尖形
端をクラッチ部140から離すように、カートリッジホ
ルダ37bはクラッチ部140から離れる方向に制御ロ
ッド141を並進させることができる。その後、ライン
フィードモータ34は、自動給紙ローラー32またはイ
ンククリーニング機構45のいずれかを駆動するため
に、クラッチ部140が新しい位置で再度かみ合うよう
に所定の方向へ所定量回転する。
【0053】図5Bは、自動給紙ローラー32の動作ま
たはインククリーニング機構45の動作のために供給さ
れた、クラッチ部140と周辺ギヤの詳細図である。ク
ラッチ部140は、制御ロッド141の尖形端と係合す
る独立した相互排他的な2つのスロット145及び14
6と、ギヤ150及び151を介してラインフィードロ
ーラー165により回転されるギヤ147と、ギヤ14
7により回転されるギヤ148とを有する。ギヤ148
はクラッチ部140の駆動ギヤで、中間位置で自由に回
転するか、インククリーニング機構45の清掃ポンプ
(不図示)の駆動中であれば入力ギヤ152に係合し、
自動給紙ローラー32の駆動中であればギヤ153に係
合する。
【0054】クラッチ部140の中間動作中は、クラッ
チ部140のスロット145が、制御ロッド141に係
合する。この位置では、ギヤ148はギヤ152及び1
53の両方から外れ、これにより、インククリーニング
機構45及び自動給紙ローラー32が動作しないように
する。インククリーニング機構45の動作中は、クラッ
チ部140のスロット146が制御ロッド141に係合
し、これにより、ギヤ148が入力ギヤ152に係合す
るように偏らせる。入力ギヤ152はこの状態でインク
クリーニング機構45を動作させてプリントヘッドから
余分なインクを除去する。自動給紙ローラー32の動作
中は、制御ロッド141はクラッチユニット140の前
面板167上に直接位置し、これにより、ギヤ153〜
156を介して自動給紙ローラー32を駆動するように
ギヤ148がギヤ153に係合するように偏らせる。
【0055】図5Cは自動給紙ローラー32を駆動させ
るように、クラッチ140を係合させる場合の詳細なス
テップを示す。図5Cに示すように、まず、ステップS
501ではクラッチ部140を遊離する。これは、キャ
リッジ容器37bをホームポジション46を通り過ぎる
ように動かすことにより、制御ロッド141がクラッチ
140から遊離される。次のステップS502で、ライ
ンフィードモータ34を順方向に動かし、ギヤ153〜
156を介して自動給紙ローラー32を駆動するよう
に、クラッチ部140のギヤ148をギア153に係合
させる。ステップS503では、カートリッジホルダ3
7bをホームポジション46の左側に動かし、制御バネ
142が制御ロッド141にクラッチ部140の前面板
167の方向に偏向させるようにする。ステップS50
4では、ラインフィードモータ34は順方向に駆動さ
れ、これにより自動給紙ローラー32が回転する。この
後、ステップS506においてクラッチ部140の中間
スロット145を制御ロッド141に合わせるように、
ラインフィードモータ34を反対方向に駆動する。こう
することにより、自動給紙ローラー32をラインフィー
ドモータ34から遊離する。クラッチ部140を中間位
置に戻すように、制御ロッド141は中間スロット14
5に係合するようにバネ142により偏向させられる
(ステップS507)。
【0056】図5Dは、インククリーニング機構45を
駆動するようにクラッチ部140を係合させる場合の動
作を示す。図5Dに示すように、ステップS551で
は、クラッチ部140を遊離する。これは、カートリッ
ジ 容器37bをホームポジション46を通過するよう
に動かすことにより、制御ロッド141をクラッチ部1
40から遊離させる。次のステップS552において、
クラッチ部140のスロット146を制御ロッド141
の位置に合わせするように、ラインフィードモータ34
を逆方向へ回転させる。これにより、インククリーニン
グ機構45を駆動するために、クラッチ140のギヤ1
48を入力ギヤ152に係合させることができる。ステ
ップS553ではカートリッジホルダ37bをホームポ
ジションの左側まで動かし、制御バネ142が制御ロッ
ド141を偏向させて、クラッチ部140のスロット1
46に係合する。ステップS554では、ラインフィー
ドモータ34は逆方向に1/4回転して、プリントヘッ
ド接続キャップ47a及び47bがプリントヘッドに係
合するように上に上げる。ステップS555では、ライ
ンフィードモータ34を逆方向に半回転し、これにより
インククリーニング機構45の回転ポンプがプリントヘ
ッドの余分なインクを除去する。プリントヘッド接続キ
ャップ47a及び47bは、ステップS556でライン
フィードモータ34が逆方向に1/4回転することによ
り下へ下げられる。カートリッジホルダ37bをホーム
ポジション46を通りすぎる用に動かして、クラッチユ
ニット140から制御ロッド141を遊離させることに
より、クラッチ部140はステップS557で中間位置
に戻される。そして、ラインフィードモータ34は、ス
テップS558において、クラッチ部140の中間スロ
ット145を制御ロッド141の位置に合わせるよう
に、順方向に回転する。
【0057】この後、ステップS559においてカート
リッジホルダ37bはホームポジション46の左側に動
かされ、これにより制御ロッド141がスロット145
に係合し、クラッチ部140は中間位置に戻る。
【0058】<1.2 クリーニング>プリンタ10
は、マニュアルクリーニング機能を有し、フロントパネ
ルを介して実行される。例えば、マニュアルクリーニン
グは、プリンタ10が2秒間ビープ音を発し続けるまで
再スタートボタン26を押し続けることにより、実行さ
せることができる。マニュアルクリーニングの実行に移
ったことを示すために、インジケーターライト23が点
滅をする。そして印刷処理中の記録媒体は排紙口20か
ら排紙される。インククリーニング機構45は、カート
リッジホルダ37a及び37bに保持されたインクカー
トリッジのプリントヘッドを、例えばインクを吸引した
り、拭き取るなどして、クリーニングする。吸引及び拭
き取られたインクは、不用インク貯蔵領域に蓄えられ
る。その後、インジケーターライト23は点滅を止め、
エラーが何も起こっていなければ点灯する。不用インク
エラーが起こった場合、例えば、不用インク貯蔵領域が
容量限界近くになった場合、オレンジ色のLEDが点灯
してインジケーターライト23を照らし、プリンタ10
はビープ音を6回鳴らす。
【0059】<1.3 インクカートリッジ>ここで説
明するプリンタは、複数の異なるタイプのインクを保持
するために着脱可能なインクタンクを有するインクカー
トリッジを使用することができる。
【0060】図6は、カートリッジホルダ37a(図5
参照)に取り付けるインクカートリッジ43aの構成を
示す。インクカートリッジ43bはインクカートリッジ
43aと同様の構成を有する。従って、説明を簡略化す
るために、ここではインクカートリッジ43aのみにつ
いて説明する。
【0061】図6に示すように、インクカートリッジ4
3aはプリントヘッド51と、インクタンク52と、カ
ートリッジホール54とを有する。なお、本発明は着脱
式インクタンクを含まず、インク全部を内部に蓄えるイ
ンクカートリッジに適用することも可能である。
【0062】インクタンク52は、インクカートリッジ
43aから取り外すことができ、プリンタ10が画像を
印刷するときに使用するインクを貯蔵する。特に、イン
クタンク52はカートリッジ43a内に挿入され、図6
に示す矢印56の方向に引くことで取り外すことができ
る。インクタンク52はカラーインク(シアン、マゼン
タ、イエロー)及び/または黒インクを貯蔵することが
できる。これについては詳細に後述する。プリントヘッ
ド51は複数のノズル(不図示)を有し、印刷中は、イ
ンクタンク52からインクを吐出する。カートリッジホ
ール54は、インクカートリッジ43aが定位置に保た
れるように、カートリッジホルダ37aのピン(不図
示)に係合する。
【0063】一般的には、プリンタ10は様々な異なる
タイプのカートリッジを用いて動作することができる。
例えば、プリンタ10は染料ベースの黒インクを蓄える
カートリッジを用いることができ、垂直方向にノズルを
128本を並べたプリントヘッドを有するカートリッジ
を使用することができる。このようなカートリッジの一
例として、キャノンBC−20カートリッジがある。顔
料黒インクを蓄えた、同様のカートリッジを使用しても
よい。そのようなカートリッジの一例として、キャノン
BC−23カートリッジがある。一般的には、染料ベー
スの黒インクは、記録媒体に対する浸透性が高く、反対
に顔料ベースの黒インクは、記録媒体に対する浸透性が
低い(全く浸透しないものもある)。
【0064】プリンタ10は、カラーインクカートリッ
ジを用いて動作することもできる。例えば、プリンタ1
0はシアン、マゼンタ、黄色、黒のインクを蓄え、垂直
方向にノズル136本を並べたインクカートリッジを用
いて動作することができる。そのようなカートリッジで
は、ノズル24本でシアンのインクを印刷し、ノズル2
4本でマゼンタのインクを印刷し、ノズル24本で黄色
のインクを印刷し、ノズル64本で黒のインクを印刷す
る。このようなカートリッジの一例として、キャノンB
C−21(e)カートリッジがある。
【0065】プリンタ10に用いることのできるインク
カートリッジの別の例としては、光学的濃度の低い(例
えば「フォト」)インクを蓄え、垂直方向にノズルを1
36本並べたものがある。このようなカートリッジも上
述のカラーカートリッジと同様のノズル構成をしてい
る。このようなカートリッジの一例としては、キャノン
BC−22カートリッジがある。
【0066】<1.4 プリントヘッド構成>次に本実
施の形態において使用されるカートリッジのプリントヘ
ッドの物理的構成について説明する。図7は、プリンタ
10が、ノズル128本をほぼ垂直に並べたプリントヘ
ッド61を含む場合のノズル構成の拡大正面図である。
それぞれのノズルと、隣のノズルとの間隔は狭い。この
ような構成は単色(例えば黒)印刷に適している。プリ
ントヘッドが記録媒体を横切って進むに従って、すべて
のノズルを1度にではなく、素早く連続的にノズルから
インクを吐出することで垂直線を印刷することがことが
できるように、ノズルをわずかに傾斜して並べるのが好
ましい。素早く、連続的にノズルからインクを吐出する
ために必要なパワーと制御の要件は、一度にインクを吐
出する場合に比べてかなり削減することができる。傾斜
を付ける場合の好ましい並べ方の一例としては、解像度
360dpiで、垂直16ノズル毎に、水平方向に1画
素分シフトするように傾けたものがある。
【0067】プリントヘッド62は136のノズルを有
し、そのうち24のノズルは好ましくは黄色インク用、
24のノズルは好ましくはマゼンタインク用、24のノ
ズルは好ましくはシアンインク用、そして64のノズル
は好ましくは黒インク用であり、わずかな傾斜をもって
縦方向に重なるように並べられている。それぞれ色のノ
ズルグループは、他の色のノズルグループから垂直方向
に8ノズル分、離れている。また上記と同様に、解像度
360dpiで、垂直方向16ノズル毎に水平方向に1
画素分シフトするようにわずかに傾斜している。
【0068】<1.5 プリントモード>プリンタ10
は、ホストプロセッサー2(図1参照)からプリンタ1
0に対して発行されるコマンドを用いて設定される異な
るモードで処理を行うことができる。これらのモードで
は、プリンタ10に取り付けられたカートリッジは異な
るサイズのインク滴を吐出し、異なる解像度の画像を形
成することができる。プリンタ10が対応可能なモード
は、プリンタ10に取り付けられたカートリッジのタイ
プに一部依存する。すなわち、あるタイプのプリントヘ
ッドは、大きいインク滴や小さいインク滴など、異なる
大きさのインク滴を吐出することができるが、別のタイ
プのカートリッジのプリントヘッドで1種類の大きさの
インク滴しか吐出できないものもある。
【0069】上述の通り、異なる動作モードにより異な
る解像度の画像を形成するために、異なるサイズのイン
ク滴を利用する。すなわち、インクジェットプリンタ
は、ページ上にドットを形成することで画像を作るた
め、形成された画像の解像度は、形成されるドット数
と、これらの形成されたドットの並び具合とに一部依存
する。本実施の形態のプリンタでは、上述のように、大
きいインク滴または小さいインク滴のいずれかを用い
て、様々な異なる解像度で画像を形成することができ
る。
【0070】なお、印刷中のドット配置と並び方には、
印刷に用いる紙のタイプにより幾分制限がある。具体的
には、通常紙であれば360dpi画素当たり小さいイ
ンク滴を最大で4滴吸収することができ、高解像度紙
(以下、「HR−101」と呼ぶ。)であれば360d
pi画素当たり小さいインク滴を最大で6滴吸収するこ
とができる。
【0071】<2.0 電気的構成>セクション1.0
で説明したように、プリンタ10は複数のプリントヘッ
ドを、黒−黒、黒−カラー、カラー−カラー、カラー−
フォトなど、異なる組み合わせで使用することができ、
異なる解像度(例えば、180dpi、360dpi、
720dpi)でいろいろなプリントモードを実行する
ことができる。また、プリントヘッドの組み合わせは、
テキストモード、テキスト及びカラーモード、カラー及
び高画質カラーモードなど、異なるプリントモードに応
じて変更することができる。この結果、異なるモードで
のプリントタスクは、プリントヘッドの組み合わせ、記
録媒体、及び印刷の質に基づいて変化する、複雑な処理
を必要とする。図1に示す情報処理システムでは、プリ
ントヘッドの構成や、プリントヘッドの位置の合わせ具
合等に関係するプリンタパラメータがプリンタ10に格
納されており、プリンタ10により得られるデータに基
づいてホストプロセッサー2に送られる。好ましくは、
ホストプロセッサー2のプリンタドライバは、異なるプ
リントモードに応じて複雑なプリントデータの処理とプ
リンタの設定を行い、プリンタには指示されたコマンド
列を送ることにより、印刷の実行を簡素化することがで
きる。
【0072】<2.1 システムの構造>図8はホスト
プロセッサー2及びプリンタ10の内部構成を示すブロ
ック図である。図8に示すように、ホストプロセッサー
2はコンピューターバス71にインタフェースしたプロ
グラム可能なマイクロプロセッサーなどの中央処理装置
70を含む。また、コンピューターバス71には、ディ
スプレイ4にインタフェースするためのディスプレイイ
ンタフェース72と、プリンタ10に双方向通信線76
を介してインタフェースするためのプリンタインタフェ
ース74と、フロッピーディスク77にインタフェース
するためのフロッピーディスクインタフェース9と、キ
ーボード5にインタフェースするためのキーボードイン
タフェース79と、ポインティングデバイス6にインタ
フェースするためのポインティングデバイスインタフェ
ース80とが接続されている。ディスク8はオペレーテ
ィングシステム81を格納するためのオペレーティング
システム領域と、アプリケーション82を格納するため
のアプリケーションシステム領域と、プリンタドライバ
84を格納するためのプリンタドライバ領域とを含む。
【0073】ランダムアクセスメインメモリ(RAM)
86は、コンピューターバス71にインタフェースし、
これによりCPU70はメモリー保持内容にアクセスす
る。例えば、ディスク8のアプリケーション領域82に
保持されたアプリケーションプログラムに関連する命令
列などの、アプリケーションプログラム命令列を実行す
る場合、CPU70はこれらのアプリケーション命令列
をディスク8(またはネットワークやフロッピーディス
クインタフェース9等を介してアクセス可能な他の媒
体)からRAM86にダウンロードし、RAM86に格
納した命令列を実行する。RAM86は、本実施の形態
によれば、以下に詳しく説明するようにプリンタドライ
バ84により使用されるプリントデータバッファを提供
する。なお、ウィンドウオペレーティングシステム環境
下で可能な標準ディスクスワップ技術では、上述のプリ
ントデータバッファを含むメモリーのセグメントをディ
スク8へ及びそこからスワップすることができる。ホス
トプロセッサー2の読み出し専用メモリ(ROM)87
は、スタートアップ命令列や、キーボード5操作のため
の基本入出力オペレーティングシステム(BIOS)列
などの不変命令列を保持する。
【0074】図8に示し、また、上述したように、ディ
スク8はウィンドウオペレーティングシステムのプログ
ラム命令列や、グラフィックアプリケーションプログラ
ム、描画アプリケーションプログラム、デスクトップパ
ブリッシングアプリケーションプログラムなどの様々な
アプリケーションプログラムのためのプログラム命令列
を保持する。また、ディスク8は、指示されたアプリケ
ーションプログラムの制御により、ディスプレイ4に表
示したりプリンタ10により印刷するカラー画像ファイ
ルを保持する。ディスク8は、マルチレベルRGBカラ
ー主要値をディスプレイインタフェース72に供給する
やり方を制御するカラーモニタドライバを他のドライバ
領域89に保持する。プリンタドライバ84は白黒及び
カラー印刷両方のためにプリンタ10を制御し、プリン
タ10の構成に基づいて出力するプリントデータを供給
する。プリントデータはプリンタ10に送られ、また、
制御信号はプリンタドライバ84の制御の下、通信線7
6に接続されたプリンタインタフェース74を介して、
ホストプロセッサー2とプリンタ10間でやりとりされ
る。他のデバイスドライバも、ホストプロセッサー2に
接続されたネットワークデバイスやファクシミリ装置等
の様々なデバイスに適切な信号を供給するために、ディ
スク8に保持されている。
【0075】普通は、ディスク8に保持されたアプリケ
ーションプログラム及びドライバは、これらのプログラ
ムやドライバを元々保持している他のコンピューター可
読媒体からディスク8にユーザによりまずインストール
しなければならない。通例、プリンタドライバを保持す
るフロッピーディスクや、CD−ROM等の他のコンピ
ューター可読媒体をユーザが購入し、そのプリンタドラ
イバを公知の技術でディスク8にインストールすること
で、プリンタドライバがディスク8上にコピーされる。
また、ファイルサーバーやコンピューター掲示板からダ
ウンロードすると言ったように、ユーザが不図示のモデ
ムインタフェースやネットワークを介してプリンタドラ
イバをダウンロードすることも可能である。
【0076】また、図8に示すように、プリンタ10
は、バス97に接続された、プログラム可能なタイマや
割り込み制御部を有する8ビットまたは16ビットのマ
イクロプロセッサー等のCPU91と、ROM92と、
制御ロジック94と、I/Oポート部96とを搭載した
回路基板35を含む。また、制御ロジック94には、R
AM99が接続されている。制御ロジック94は、ライ
ンフィードモータ34、RAM99のプリント画像バッ
ファ記憶領域、ヒートパルスの生成、及びヘッドデータ
のためのコントローラーを含む。また、制御ロジック9
4は、プリントエンジン101のプリントヘッド100
a及び100bのノズル、キャリッジモータ39、ライ
ンフィードモータ34へは制御信号を、プリントヘッド
100a及び100bにはプリントデータを供給し、プ
リントエンジン101からI/Oポート部96を介して
プリントヘッド100a及び100bの位置合わせのた
めの情報を受け取る。EEPROM102はI/Oポー
ト部96に接続しており、プリントヘッド構成やプリン
トヘッド位置合わせパラメータなどのプリンタ情報のた
めの不揮発メモリとなる。EEPROM102はプリン
タ、ドライバ、プリントヘッド、プリントヘッドの位置
合わせ、カートリッジ内のインクの状態などを特定する
パラメータも保持し、これらのパラメータはプリンタ1
0の動作パラメータをホストプロセッサー2に通知する
ために、ホストプロセッサー2のプリンタドライバ84
に送られる。
【0077】I/Oポート部96はプリントエンジン1
01に接続されており、プリントエンジンでは、プリン
トヘッド対100a及び100b(それぞれカートリッ
ジホルダ37a,37bに保持されていてもよい)がR
AM99内のプリントバッファからのプリントデータを
用いて印刷をしながら、記録媒体を走査することで記録
を行う。制御信号を交換し、プリントデータ及びプリン
トデータアドレスを受信するために、制御ロジック94
も通信線76を介してホストプロセッサー2のプリンタ
インタフェース74に接続されている。ROM92は、
フォントデータ、プリンタ10を制御するために用いら
れるプログラム命令列、及びプリンタの動作のための不
変データを格納する。RAM99は、プリントヘッド1
00a及び100bのためにプリンタドライバ84によ
り定義されるプリントバッファにプリントデータを格納
し、またプリンタの動作のための他の情報も格納する。
【0078】プリントエンジン101のプリントヘッド
100a及び100bはインクカートリッジに対応して
おり、それぞれカートリッジホルダ37a及び37bに
保持されている。103として参照されるセンサーはプ
リントエンジン101内に配置構成されており、プリン
タ状態を検知したり、温度や印刷に影響を与える他の数
量を測定したりする。特に、回路基板35上に搭載され
た温度センサー103aは、周辺環境温度を測定する。
摂氏で±3度内の誤差で温度を測定する低精度のサーミ
スタが温度センサー103aに適している。カートリッ
ジホルダ37a及び/または37b内の光センサー(例
えば、自動位置合わせセンサー)は、自動位置合わせの
ために印刷濃度とドット位置とを計測する。センサー1
03はまた、アクセスドア12の開閉状態や記録媒体の
有無等の他の状態を検知するために、プリントエンジン
101内に配置されている。更に、プリントヘッドの温
度を計測するために、サーミスタを含むダイオードセン
サーがプリントヘッド100a及び100bに設置され
ており、計測した温度はI/Oポート部96に送られ
る。
【0079】I/Oポート部96は、電源ボタン24及
び再スタートボタン26などのスイッチ104からの入
力を受け取り、インジケーターライト23を点灯するた
めに制御信号をLED105に送ったり、また、ブザー
106、ラインフィードモータ34やキャリッジモータ
39にそれぞれラインフィードモータドライバ34a及
びキャリッジモータドライバ39aを介して制御信号を
送信したりする。上述の通り、ブザー106はスピーカ
ーであってもよい。
【0080】図8では、プリンタ10の個々の構成要素
は分離され、お互いに区別されて示されているが、これ
らの構成要素のいくつかを1つに組み合わせることが好
ましい。例えば、制御ロジック94をASICのI/O
ポート96と組み合わせることで、プリンタ10の機能
の相互接続を簡素化することができる。
【0081】<2.2 システムの機能>図9は、ホス
トプロセッサー2とプリンタ10間の相互作用を示すハ
イレベルレベル機能ブロック図である。図9に示すよう
に、プリント命令がディスク8のアプリケーション領域
82に保持された画像処理アプリケーションプログラム
82aから指示されると、オペレーティングシステム8
1はプリンタドライバ84を呼び出すグラフィックデバ
イスインタフェースを指示する。プリンタドライバ84
はこれに応じてプリント命令に対応したプリントデータ
を生成し、このプリントデータをプリントデータ保持部
107に保持する。プリントデータ保持部107は、R
AM86やディスク8内にあってもよく、また、オペレ
ーティングシステム81のディスクスワッピング操作を
通して、プリントデータ保持部をRAM86に当初保持
し、ディスク8へ及びそこからスワップするようにして
もよい。次に、プリンタドライバ84はプリントデータ
保持部107からプリントデータを取得し、そのプリン
トデータをプリンタインタフェース74を介して双方向
通信線76へ、更にプリンタ制御部110を介してプリ
ントバッファ109へ送信する。プリントバッファ10
9はRAM99内にあり、プリンタ制御部110は、図
8に示す制御ロジック94と、CPU91により実現さ
れるファームウエア内にある。プリンタ制御部110は
ホストプロセッサー2から受信したコマンドに対応し
て、プリントバッファ109内のプリントデータを処理
し、また、記録媒体上に画像を記録するために、プリン
トエンジン101へ適切なプリントデータ及びその他の
制御信号を提供するために、ROM92(図8参照)に
保持された命令に基づいてプリントタスクを行う。
【0082】プリントバッファ109は、プリントヘッ
ド100a及び100bのいずれか一方により印刷を行
うためのプリントデータを保持する第1領域と、プリン
トヘッド100a及び100bの他方により印刷を行う
ためのプリントデータを保持する第2領域とを有する。
それぞれのプリントバッファ領域は、関連づけられたプ
リントヘッドの印刷位置の数に対応した格納領域を有す
る。これらの格納領域は、印刷用に選択された解像度に
応じて、プリンタドライバ84により定義される。ま
た、それぞれのプリントバッファ領域は、プリントヘッ
ド100a及び100bを印刷速度になるまで加速する
間に、プリントデータを転送するための格納領域を更に
含む。プリントデータはホストプロセッサー2のプリン
トデータ保持部107から、プリンタドライバ84によ
りアドレス制御されるプリントバッファ109の格納領
域に転送される。その結果、次のスキャンのためのプリ
ントデータは、ヘッドの加速中及び現在のスキャン印刷
中の両方の間に、プリントバッファ109の空き領域領
域に挿入される。
【0083】<2.3 制御ロジック>図10は図8に
示す制御ロジック94及びI/Oポート部96のブロッ
ク図である。上述の通り、I/Oポート部96を制御ロ
ジック94に含んでもよい。図10において、内部バス
112はプリンタCPU91と通信を行うためにプリン
タバス97に接続している。バス112は、例えばIE
EE1284プロトコルに基づく通信などの双方向通信
を実行するために、双方向通信線76に接続されている
ホストコンピューターインタフェース113と接続され
ている。これにより、双方向通信線76もまた、ホスト
プロセッサー2のプリンタインタフェース74と接続す
ることになる。ホストコンピューターインタフェース1
13は、バス112と、プリントバッファ109(図8
及び図9を参照)を含むRAM99を制御するためのD
RAMバスアービター/コントローラー115とに接続
している。データデコンプレッサ116は、バス112
とDRAMバスアービター/コントローラー115との
間に接続され、処理中にプリントデータを伸長する。ま
た、バス112には、図8に示すラインフィードモータ
ドライバ34aに接続するラインフィードモータコント
ローラー117と、シリアル制御信号及びヘッドデータ
信号をプリントヘッド100a及び100bのそれぞれ
に供給する画像バッファコントローラー118と、プリ
ントヘッド100a及び00bのそれぞれにブロック制
御信号とアナログヒートパルスを供給するヒートパルス
生成部119とがつながれている。キャリッジモータの
制御は、ラインフィードモータ34とキャリッジモータ
39が同時に動作できるように、I/Oポート部96と
キャリッジモータドライバ39aとを介してCPU91
により行われる。
【0084】制御ロジック94は、CPU91で使用す
るためにホストプロセッサー2からコマンドを受信し、
ホストコンピューターインタフェース113及び双方向
通信線76を介して、プリンタ状態及びその他の応答信
号をホストプロセッサー2に送信するように動作する。
プリントデータ及びホストプロセッサー2から受信した
プリントデータのプリントバッファメモリアドレスは、
DRAMバスアービター/コントローラー115を介し
てRAM99内のプリントバッファ109に送られ、プ
リントバッファ109からのアドレスされたプリントデ
ータはコントローラー115を介して、プリントヘッド
100a及び100bによる印刷を行うためにプリント
エンジン101に送られる。なお、ヒートパルス生成部
119は、プリントデータを印刷するために必要なアナ
ログヒートパルスを生成する。
【0085】図11は、プリンタ10のメモリー構成を
示す。図11に示すように、EEPROM102,RA
M99,ROM92及び制御ロジック94のための一時
格納部121が、単一のアドレス配置によりメモリ構成
を形成している。図11で不揮発性メモリ領域123と
して示されているEEPROM102はホストプロセッ
サー2により使用されたり、プリンタ、プリントヘッ
ド、プリントヘッド状態、プリントヘッドのアライメン
ト、及び他のプリントヘッドの特性値を特定するパラメ
ータの組を保持する。EEPROM102は、他にも、
クリーニングを行う時間、自動位置合わせセンサーのデ
ータなど、プリンタ10で使用されるパラメータの組も
保持する。図11でメモリ領域124として示されてい
るROM92は、プリンタタスクのプログラム列や、ノ
ズルヒートパルスの生成を制御するために利用されるプ
リントヘッド動作温度テーブル等、プリンタ動作のため
の不変情報を保持する。ランダムアクセスメモリ領域1
21は制御ロジック94のための一時的な動作情報を保
持し、RAM99に対応するメモリ領域126はプリン
タタスクのための可変動作データの格納領域と、プリン
トバッファ109とを含む。
【0086】<2.4 一般的動作>図12は、図8の
ブロック図に示す情報処理システムの一般的な動作を示
すフローチャートである。ステップS1201において
プリンタ10の電源が投入されると、ステップS120
2においてプリンタ10は初期化される。セクション
3.2で詳述するが、初期化中は、CPU91、制御ロ
ジック94及びシステムタイマが初期状態に設定され
る。更に、プリンタ10のROM92、RAM99及び
EEPROM102がチェックされ、CPU91の割り
込みリクエストレベルが、プリンタ10への電力供給時
に決められる。プリンタ10がオン状態にセットされる
と、EEPROM102はプリンタドライバ84により
読み出され、プリンタのリセットや、システムタイマに
基づくプリントヘッドのクリーニングが必要であるか否
かの判断といった制御タスクがプリンタCPU91によ
り開始される。また、ステップS1202での初期化処
理では、データ圧縮モードを選択し、プリントヘッド1
00a及び100bへのヒートパルス及びバッファ制御
を定義し、プリントバッファ109をクリアし、更にプ
リンタ10の状態を示すメッセージを表示する。
【0087】次にステップS1203において、プリン
トヘッドの構成が変わったと判断されると、プリンタド
ライバ84は、ヘッドの構成及び並び方に関するプリン
タの計測値に基づいてプリンタCPU91により得られ
るデータから、プリンタパラメータを算出する。位置合
わせシステムに関しては、1997年7月28日に出願
された米国特許出願第08/901,560号の「印刷
装置のための自動位置合わせ装置」に詳しく説明されて
いる。
【0088】ステップS1203終了後はステップS1
204に進み、プリンタ10がオンライン状態であるか
どうかを判断する。一旦プリンタ10がオンライン状態
であると判断されると、ステップS1205に進み、算
出したプリンタパラメータをプリンタEEPROM10
2に登録する。
【0089】特に、プリンタ10がオンライン状態であ
ると判断された場合、EEPROM102に格納された
プリンタパラメータは、ステップS1205でプリンタ
ドライバ84により登録される。パラメータはプリンタ
とプリントヘッドの駆動の制御のために使用される。ス
テップS1205では、プリンタドライバ84がプリン
タ駆動のための適切なコマンドを生成できるように、パ
ラメータはCPU91によってホストプロセッサー2に
格納するために送信される。そのようなコマンドは図1
2の点線枠内のステップで示されており、現在のプリン
タ10の確認、プリントヘッドの構成、プリントヘッド
のアライメント、及びカートリッジのインクの状態を含
む。
【0090】ステップS1205でプリンタパラメータ
情報の登録が終了すると、プリントヘッドカートリッジ
43a、43b(図5参照)のそれぞれの状態をステッ
プS1206で確認する。これは、アクセスドア12が
開閉されたかを確認し、1つ以上のインクカートリッジ
またはインクタンクが交換されたかを検出する。もし、
カートリッジまたはインクタンクが交換されている場合
には、対応するプリントヘッドのクリーニング処理を行
い、プリントヘッドのノズルをクリーニングする。
【0091】ステップS1206でカートリッジの交換
処理が終了すると、ステップS1207に進み、プリン
トヘッドヒーター制御、自動給紙(ASF)制御、ヘッ
ドクリーニング制御などの処理のために、プリンタ10
から割り込みがリクエストされたか否かを判断する。割
り込みリクエストが入力されると、リクエストされたプ
リンタ動作をステップS1208で行う。その後、処理
はステップS1206に戻る。
【0092】ステップS1207でプリンタからの割り
込みリクエストが無かった場合、ステップS1209に
進み、プリンタドライバ84がコマンド列をリクエスト
したかどうかを判断する。図8に示すシステムにおい
て、プリンタ10のタスクは、プリンタ10からのパラ
メータ及び状態情報に基づいて生成されたプリンタドラ
イバ84からのコマンドにより制御される。
【0093】ユーザインタフェースシーケンスが選択さ
れるとステップS1213に移り、ユーザインタフェー
ス処理が行われる。ユーザインタフェース画面において
キーボードやポインター入力による選択が終了すると、
制御はステップS1206に戻り、プリントコマンドシ
ーケンスを行うステップS1210に進む。
【0094】ステップS1209でプリントシーケンス
が選択されると、ステップS1210に進み、プリンタ
ドライバ84はプリントヘッド構成、プリントヘッドの
アライメント、媒体のタイプ及び大きさ、及びプリンタ
ドライバ84が保持する目的の画像情報に基づいて、コ
マンド列を生成する。これらのコマンドはプリンタ10
のプリンタ制御部110(図9参照)へ送られる。プリ
ンタ10では、プリンタ制御部110がプリンタROM
92からコマンド及びファームウエアを受け取り、プリ
ントエンジン101によるコマンドタスクを実行させ
る。
【0095】プリントコマンド列は、プリンタドライバ
84から、それぞれのプリントジョブのために定義され
たプリントバッファ109へのプリントデータ転送を含
む。プリントデータ転送はプリンタ10の受信バッファ
を用いずに行われる。次のスキャンのためのプリントデ
ータは、現行スキャンにおけるプリントヘッドの加速中
に、プリントバッファ109中の現行スキャンの空き記
憶領域に送られる。
【0096】ステップS1210のコマンド列は、プリ
ントヘッド100a及び100bの印刷解像度を設定す
るコマンドを含む。これらのコマンドは、プリントバッ
ファ中に保持されたプリントヘッドのためのデジタルデ
ータとプリントデータをプリントバッファから読み出す
順番とに基づいて、インク滴の大きさを制御することに
より設定することができる。好ましくは、プリントヘッ
ドの解像度は個別に制御できるようにすることが好まし
い。プリントバッファに保持されたデジタルデータに基
づいてインク滴を吐出するインクジェットタイプのプリ
ントヘッドでは、インク滴の大きさを制御し、プリント
バッファからの読み出し順を制御することにより、解像
度を制御することができるが、インク滴の大きさ及び読
み出し順は、プリントヘッド個別に制御されることが好
ましい。
【0097】また、ステップS1210のプリントコマ
ンド列においては、プリンタドライバ84は隣接する画
素のマルチレベル画像分析データに基づいて、注目画素
を印刷する際に用いられるインクのタイプを選択する。
例えば、画像中、カラー画素に取り囲まれた黒注目画素
を印刷するためには染料をベースとしたインクを選択
し、黒画素に取り囲まれた黒注目画素を印刷するために
は顔料ベースのインクを選択する。
【0098】1ページ分の印刷が終了すると、図12の
ステップS1211へ進み、用紙排出コマンドに応じて
プリンタ10から印刷されたページが出力される。
【0099】図13は、印刷及びプリンタ10の駆動の
ために、プリンタドライバ84により生成されたコマン
ド列を示す図である。図13に示すコマンド列は、プリ
ンタ10の動作を説明するための一般的な概要を示すた
めに簡略化してある。本実施の形態の自動給紙制御等を
含むより詳しいコマンド列の説明は、後述のセクション
4.0で図20を参照して詳述する。
【0100】図13のプリントコマンド列はステップS
1301において、プリンタ動作をリセットするために
プリンタ制御部110に送信されるプリンタ初期化コマ
ンドにより開始される。そして、給紙コマンドがプリン
タ制御部110に入力すると(ステップS1302)、
ステップS1303での給紙動作を選択し、ステップS
1304で給紙を開始する。ステップS1305でプリ
ンタ制御部110により給紙の終了が検知されると、給
紙終了を示す信号がプリンタドライバ84に送られ、プ
リントヘッド100a及び100bの最初のスキャンの
ためのプリントデータが準備される。プリンタ制御部1
10にこのスキャン準備が報告される。プリンタドライ
バ84におけるプリントデータの準備については、19
97年7月28日に出願されている米国特許出願第08
/901,719号の「カラープリンタのためのプリン
トドライバ」に詳しく説明されている。ステップS13
07において、スキャンのためのプリントデータが判断
されない場合には、ステップS1308でプリンタドラ
イバ84は仮想スキップを実行する。ステップS130
9でページの終了が検知されない場合は制御はステップ
S1307に戻り、ページ終了が検出されるまでステッ
プS1310〜S1314及びS1308が実施され
る。
【0101】ステップS1310では、正しいプリント
データを印刷するように、実際のスキップコマンドがプ
リンタドライバ84からプリンタ制御部110に供給さ
れる。プリンタ制御部110は実際のスキップ動作を選
択し(ステップS1303)、実際のスキップを実行す
る(ステップS1315)。そしてプリンタドライバ8
4においてスキャン設定が行われ(ステップS131
1)、プリンタ制御部110に通知する。次に、プリン
タドライバ84で生成されたプリントデータと、プリン
トデータのためのプリントバッファアドレスとがプリン
タ制御部110に送られて、プリントバッファ109に
格納される(ステップS1312)。そして次のスキャ
ンがプリンタドライバ84内で準備され、プリンタ制御
部110に通知する(ステップS1313)。次に、プ
リンタドライバ84で生成されたプリントコマンドがプ
リンタ制御部110に送られる。これに応じて、プリン
タ制御部110はステップS1319のプリント動作を
選択し、ステップS1314でプリントタスクを実行す
る。この後、印刷中のページの行を見失わないように、
ステップS1308でプリンタドライバ84により仮想
スキップが実行される。ステップS1309で1ページ
分のスキャンが終了したと判断されると、ページ排紙命
令がプリンタドライバ84からプリンタ制御部110へ
送られる。これにより、ページ排紙処理を選択し(ステ
ップS1316)、ページ排紙が開始される(ステップ
S1317)。ページ排紙が終了すると(ステップS1
318)、プリンタドライバ84には排紙完了が報告さ
れて、処理は図12のステップS1209へ移る。
【0102】ホストプロセッサー2からプリンタ10へ
送られる2つのカラープリントヘッドを用いてカラーモ
ードで1ページ分の印刷を行うためのコマンド列の例
を、図14の表Aに示す。表Aに示すように、まず、
[UCT]コマンドを用いて現在時刻が設定され、[R
ESET]コマンドにより、プリンタ10がリセットさ
れる。また、[COMPRESS]コマンドにより、プ
リントデータの詰め込み処理を行うためのデータ圧縮が
選択される。印刷可能領域の下部余白のサイズは[BT
M_MARGIN]コマンドにより選択される。プリン
トヘッド100a及び100bのプリントバッファは
[DEFINE_BUF]コマンドにより定義される。
プリントカラーテーブルは、[DEFINE_COLO
R]コマンドにより定義される。また、ヒートパルス及
びバッファ制御テーブルは、プリントヘッド構成のカラ
ーモード用に[DEFINE_PULSE]コマンド及
び[DEFINE_CONTOL]コマンドにより定義
される。
【0103】上記初期設定コマンドによりプリンタタス
クが実行された後、ページまたは他の印刷媒体を供給す
るための給紙コマンド[LOAD]及び、最初のプリン
トヘッドスキャンの印刷位置へスキップするためのラス
タースキップコマンド[SKIP]がプリンタ10に送
られ、プリントヘッド100a及び100bによる印刷
のために印刷方向[DIRECTION]及び端部[E
DGE]が最初のスキャンのために設定される。そし
て、コマンドのループがページの複数行を印刷するため
に、プリンタタスクを制御するために送られる。各行の
ためのループの最初の部分では、その行のためのスキャ
ンパラメータ([SPEED],[SIZE],[SE
LECT−PULSE],[SELECT−CONTR
OL])が設定される。バッファ制御テーブル選択コマ
ンド[SELECT_CONTROL]のプリンタタス
クの完了を受けて、[BLOCK]コマンドによりプリ
ントデータブロックが選択され、またプリントヘッド1
00a及び100bのために決められた印刷領域に応じ
て、色選択コマンド[COLOR]及びデータ送信コマ
ンド[DATA]が繰り返されることで、印刷する色が
選択されて送信される。
【0104】そして、次のスキャンの方向及び次のスキ
ャンのための印刷領域の左右両端位置が[DIRECT
ION]及び[EDGE]コマンドにより設定される。
次のスキャンのための逆方向スキャンのマージンは[S
CAN_MARGIN]コマンドにより設定される。現
スキャンの自動トリガ遅延は、[AT_DELAT]に
より設定される。このとき、最初のスキャンのための印
刷を実行するために、[PRINT]コマンドがホスト
プロセッサー2からプリンタ10へ送信され、次のスキ
ャンのための印刷位置にスキップするために、[SKI
P]コマンドが送られる。最終行が印刷されると、排紙
コマンド[EJECT]がプリンタ10に与えられて、
排紙が実行される。
【0105】本実施の形態の設定スキャン処理のための
コマンド列及び印刷動作例から分かるように、スキャン
設定や印刷などのプリンタ動作のそれぞれは、プリント
ヘッドの構成及びプリントモードを考慮した上で、プリ
ンタドライバ84により制御される。これによりプリン
タ10により実行されるこれらのタスクは、プリンタド
ライバ84によってプリンタの構造が実質的により低コ
ストとなるように、詳細に定義される。
【0106】図12において、ステップS1209でプ
リンタ状態リクエストであると判断されると、ステップ
S1212に進み、プリンタ状態コマンド列を実行す
る。プリンタ状態の情報をリクエストする状態コマンド
は、セクション3.6で詳細に説明する。一般には、各
状態コマンドは、プリンタ動作についての情報またはプ
リンタ10に保持された情報をリクエストするために、
ホストプロセッサー2からプリンタ10へ送られる。例
えば、基本状態コマンド[BASE−STATUS]
は、プリンタの現在の状態をリクエストする。これに応
じてプリンタ10は以下に示す情報の内の一つを示す1
バイトのデータを返す。これらの情報は、印刷状態、プ
リントバッファ109がデータを受信できるか否か、プ
リンタ10が開始動作中でビジーであるか、カートリッ
ジ交換、プリントヘッドのクリーニング、テストプリン
ト等、またエラーまたは警告が検出されたか否かを含
む。[HEAD]コマンドは、プリントヘッドの構成を
リクエストし、[DATA_SEND]コマンドは、E
EPROMデータをホストプロセッサー2に返すように
リクエストをする。ステップS1212でリクエストさ
れたデータを返し終えると、処理はステップS1206
に戻る。
【0107】<3.0 プリンタソフトウエアの構造>
プリンタ10の機能全体の制御は、CPU91で実行さ
れるそれぞれのプログラムによる影響を受ける。独立プ
ログラムには、電源投入時に実行されるルーチン等の初
期化ルーチン、ホストプロセッサー2から受信した割り
込みコマンドに対応するタスク、リアルタイムハードウ
エア割り込みの処理をするハンドラなどの割り込みハン
ドラ、及びホストプロセッサー2との双方向通信に関わ
る制御のためのハンドラなどの周期処理を取り扱う周期
ハンドラが含まれる。
【0108】プリンタCPU91は、更に独立プログラ
ム(すなわち、初期化ルーチン、タスク、割り込みハン
ドラ、及び周期ハンドラ)それぞれの実行の調和をとる
ためのオペレーティングシステムも実行する。オペレー
ティングシステムは、メッセージのやりとりなどを通じ
たプログラム間通信や、適切なタイミングで一つのプロ
グラムから別のプログラムに動作を切り替えるプログラ
ム間切り替えを統括する役目をする。以下に、オペレー
ティングシステムの詳細を説明する。
【0109】<3.1 オペレーティングシステム>オ
ペレーティングシステムは、プリンタ制御プログラムを
モジュール化したり、メインテナンス、継承、及び拡張
を促進するために作出されたリアルタイムオペレーティ
ングシステム(つまり、「カーネル"kernel"」または
「モニタ"monitor"」)である。このリアルタイムオペ
レーティングシステムは、プリエンプティブマルチタス
クソフトウエア環境を提供するシステムソフトウエアで
あって、現在実行中のプログラムを、より優先度の高い
別のプログラムへの切り替えに応じて、一時停止するこ
とができる。
【0110】オペレーティングシステムは、それぞれの
タイプに応じてオペレーティングシステムによって実行
される、4つの異なるタイプのプログラムを動作させる
ことができる。それらは、初期化ルーチン、タスク、割
り込みハンドラ及び周期ハンドラである。初期化ルーチ
ンは、プリンタ10のリセット後、オペレーティングシ
ステムの初期化を行う前にすぐに行うようにオペレーテ
ィングシステムによりスケジュールされたルーチンであ
る。タスクは、順次実行される連続処理の通常のプログ
ラム(「実行部」と呼ばれることもある。)である。従
って、タスクは、マルチプログラミングまたはマルチ処
理環境においてCPU91により実行される仕事の単位
として、オペレーティングシステムにより処理される、
1以上のインストラクション列である。オペレーティン
グシステムがそれぞれのタスクユニット毎に処理を行う
ようにスケジュールすることで、あたかも同時処理が行
われているように感じるのである。
【0111】割り込みハンドラは、ハードウエア割り込
みの受信に応じて、オペレーティングシステムにより即
座に起動される(通常は短い)プログラムユニットであ
る。周期ハンドラは割り込みハンドラと同様であるが、
ハードウエア割り込みにより起動されるのではなく、オ
ペレーティングシステムのタイマ割り込みにより起動さ
れる。
【0112】プリンタ10がリセットされた時に、CP
U91によりまず最初に実行されるソフトウエアは、オ
ペレーティングシステムである。CPUレジスターは予
め決められた要求に従って設定され、ユーザ設定の初期
化ルーチンが存在する場合には、後からそれを実行す
る。そして、制御はオペレーティングシステムに戻り、
システム内のそれぞれのタスクを起動する。そのような
タスクの一つとして、スタートタスクがある。スタート
タスクが開始されると、システムコールが発行された
り、割り込みが発生する度に、オペレーティングシステ
ムは起動される。システムコールの実行、又は割り込み
の処理を終えると、実行はオペレーティングシステムに
戻り、優先度の高い実行可能なタスクを実行するよう
に、タスクのスケジュールを組む。
【0113】タスクのスケジューリングでは、現在複数
の実行可能なタスクがある場合、どのタスクを実行する
かの判断を行う。タスクは、割り当てられた優先度に応
じてスケジュールされ、より高い優先度のタスクを他の
優先度の低いタスクに先立って実行する。実行可能であ
っても優先度が低いために現在実行されていないタスク
は、優先度に応じて準備キューに並べられる。
【0114】タスクが新たに実行可能になる度に、その
タスクは準備キューの最後に並べられる。タスクが発行
したシステムコールの処理から戻った時、または割り込
み処理からタスクへ戻った時にスケジューリングが実行
されるが、どちらの場合も新たなタスクをキューに追加
したり、キューにすでに存在するタスクの優先順位を変
えるようにすることができる。タスクキュー内のタスク
のスケジューリングの順序は、それぞれのタスクの優先
度に基づいており、最も優先度の高いタスクを現在実行
可能なランタスクにする。準備キューに同じ優先度のタ
スクが2つ以上ある場合、どのタスクを選択するかとい
った判断は、キューに登録された順番に応じてなされ
る。
【0115】オペレーティングシステムは、タスク間の
通信と、タスク間の制御または同期合わせを行うための
基本的な手段の一つとして、セマフォを用いる。タスク
間で、メッセージを用いて通信を行ったり、データを送
信したりすることもできる。メッセージはあるタスクか
らメールボックスに送られ、そのメッセージを受信する
必要のあるタスクは、そのメッセージを得るために、メ
ールボックスに対して受信リクエストを発行する。
【0116】オペレーティングシステムは、更に、タス
ク間の同期合わせを行うためにイベントフラグを用い
る。あるイベントに基づいてタスクを待機状態から解放
する場合には、イベントフラグパターンを登録すること
ができ、そのフラグの発生に伴って、オペレーティング
システムはそのタスクを待機状態から解放する。
【0117】オペレーティングシステムによる割り込み
管理は、割り込みハンドラ及び割り込み許可レベルの設
定により行われる。時間管理は、システムタイマに基づ
いて、オペレーティングシステムが割り込みハンドラを
始動させることにより実現される。
【0118】周期ハンドラは、オペレーティングシステ
ムに登録された周期ハンドラに基づいて、所定時間毎に
処理を実行する。周期ハンドラは通常、所定時間毎に実
行されるタスクを特定する短いプログラムである。
【0119】プリンタ10に適した初期化ルーチン、タ
スク、割り込みハンドラ、及び周期ハンドラについて
は、以下のセクションで説明する。
【0120】<3.2 初期化>電源立ち上げ時、制御
ロジック94の初期化、ROM92のチェック、RAM
99のチェック、EEPROM102のチェックなど、
プリンタ10の初期化を行うために、初期化が実行され
る。
【0121】図15及び16は、ハードの電源立ち上げ
手順及びソフト電源立ち上げ手順をそれぞれ示す。ここ
で、プリンタ10に電力が供給されている限り、CPU
91は、電源ボタン24の状態に関わらず、ソフトウエ
アを実行する。従って、「ハード電源オン」は、プリン
タ10への初期電源供給のことを指している。このた
め、ユーザによる電源ボタン24の押下は、ソフト電源
オンまたはソフト電源オフの状態にするものである。こ
れによりプリンタ10が「オフ」されたとしても、プリ
ンタ10は実行中の処理(例えば、経過時間)を監視す
ることができるため、この構成が好まれる。
【0122】ハード電源オン手順を示す図15におい
て、初期電源供給時にステップS1501でROMのチ
ェック、RAMのチェック、そしてEEPROMのチェ
ックなどのメモリーチェックが行われる。ステップS1
502では、ソフトウエアタスクを初期化し、ステップ
S1503でCPU91はソフト電源オンを待つ待機ル
ープに入る。
【0123】図16はソフト電源オン手順を示す。ステ
ップS1601でホームポジションへのリセット等、プ
リンタエンジン101の機械的初期化を行い、ステップ
S1602でセントロニクス通信タスクを含むソフトウ
エア制御タスクを開始し、ステップS1603でメイン
処理モードを開始する。
【0124】図17はソフト電源オフ手順を示す。ステ
ップS1701ではすべてのソフトウエアタスクを終了
し、ステップS1702で待機ループに入り、その間に
ステップS1703でプリンタ10は次のソフト電源オ
ン手順を待つ。
【0125】<3.3 タスク>図18は本発明の実施
の形態にかかる、アプリケーションプログラム82aと
ホストプロセッサー2で実行中の他の処理及びプリンタ
10で実行中の様々なタスク間の通信を示す図である。
なお、図18に示す処理及びタスクは全てを含むもので
はなく、むしろ、印刷に関わる処理とタスク間の相互動
作の全体像を示すものである。
【0126】プリント処理のホストプロセッサー側で
は、アプリケーションプログラム82aは、オペレーテ
ィングシステム81のグラフィカルデバイスインタフェ
ース(GDI)201と通信を行う。これに対し、GD
I201はプリンタドライバ84及びスプーラー202
と通信を行い、スプーラー202はルーター203を介
してプリンタプロバイダー204と通信を行う。プリン
タプロバイダー204は言語モニタ205、ポートモニ
タ206、プリンタ(LPT)ポート207、及びセン
トロニクスケーブル208を介して、プリンタ10と通
信を行う。これら構成のそれぞれの機能について、以下
に簡単に説明する。
【0127】アプリケーションプログラム82aは、好
ましくはホストプロセッサー2で作られる画像のため、
または、ユーザコマンドに応じて、スキャナー等の不図
示の画像入力装置からの画像入力のためのプリントジョ
ブを生成する。このプリントジョブは、好ましくはグラ
フィック画像を出力するためにアプリケーションプログ
ラム82aへのデバイスに依存しないインタフェースを
提供するGDI201に送られる。これに対して、GD
I201はプリンタドライバ84を利用して、プリント
ジョブをプリンタ固有のコマンドに変更する。
【0128】プリンタドライバ84は印刷を容易にする
ためにプリントデータに対して様々な処理を行う。これ
らの処理には、入力補正210、色補正211、出力補
正212、二値化・色相/値処理213、予備吐出検知
214、及び状態基準制御215が含まれる。
【0129】入力補正210は、例えばスキャナのスキ
ャン特性など、画像入力装置の特性に基づくプリントデ
ータの補正を含むことが好ましい。また、入力補正21
0はガンマ補正及びRGBカラー値などの加法混色カラ
ー値からCMYまたはCMYKカラー値などの減法混色
カラー値への変換も行うことが好ましい。
【0130】カラー補正211は、記録媒体のタイプ、
人の色知覚、印刷された画像を観賞する光源に応じた補
正を含む。出力補正212は、記録媒体のインク吸収限
界に基づく、例えば、プリントデータの間引きにより行
われる補正を含むことが好ましい。二値化・色相/値処
理213は、異なるインクの選択及び、インクに基づく
対応する色相及びカラー値データの決定を含むことが好
ましい。詳細はセクション10で後述する。予備吐出検
知214は、印刷品質を向上するために、インクジェッ
トノズルの予備吐出に影響を与える様々な要因の検出を
行う。詳細はセクション9で後述する。状態基準制御2
15はプリンタの状態に基づいて印刷パラメータを更新
するもので、セクション7で詳述する。
【0131】プリントデータは、通常、プリンタ10が
データを印刷する速度よりも速い速度で、アプリケーシ
ョンプログラム82a及びGDI201により生成され
る。スプーラー202は、図18でスプールファイルと
して示すように、GDI201からのプリントデータを
データが生成される毎にプリントデータ保持部107に
格納する。これにより、アプリケーションプログラム8
2aはプリントジョブの送信を終えることができ、その
プリントジョブが完全に印刷される前に、他のタスクを
続けることができる。
【0132】ルーター203はプリントデータをスプー
ラー202からプリンタプロバイダー204へ回し、プ
リンタプロバイダー204は言語モニタ205、ポート
モニタ206、LPTポート207,及びセントロニク
スケーブル208などの双方向通信線を介してプリンタ
10と接続する。言語モニタ205は、例えば言語がプ
リンタによりサポートされているかどうかを判断するた
めにプリントデータの言語をモニタする。ポートモニタ
206はLPTポート207へのアクセスを制御する。
【0133】ホストプロセッサー2からのプリントデー
タは、プリンタ10上で実行されている様々なタスクに
より処理される。本発明の好適な実施の形態によれば、
プリンタタスクは、それぞれのタスクがプリンタ制御の
一つにそれぞれ対応するように、機能を分離するように
設計されている。これらのタスクは、セントロニクスタ
スク220、直接画像コマンドタスク221、エンジン
タスク222、マネージャータスク223を含む。
【0134】セントロニクスタスク220はホストプロ
セッサー2との通信を制御する。ホストプロセッサー2
から送られた文字は、文字取得処理225により直接画
像コマンドタスク221へ転送される。直接画像コマン
ドタスク221からの状態、通信、コマンド(SCC)
情報は、SCC分析処理226が受け取る。このSCC
情報から、状態情報がホストコンピュータ2へ返され
る。
【0135】直接画像コマンドタスク221はデータを
セントロニクスタスク220から受信し、SCC情報を
セントロニクスタスク220に受信する。セントロニク
スタスク220から受信したデータは分析処理231に
より分析される。そのデータがプリントデータである場
合は、プリントデータ処理236により画像バッファ2
33に送られる。また、そのデータが制御データである
場合、エンジンインタフェースコマンド処理237は制
御データを解釈し、対応するコマンドをエンジンタスク
222に送る。
【0136】エンジンタスク222はプリントヘッド1
00a及び100bによる、画像バッファ233から読
み出されたプリントデータの実際の印刷の制御を行うと
共に、記録媒体の給紙及び記録ヘッドの汚れを取り除く
ために、ラインフィードモータドライバ34a及びキャ
リッジモータドライバ39bの駆動制御を行う。ここ
で、エンジンタスク222は、エンジン制御タスク24
1、エンジン自動給紙(ASF)及び清掃タスク24
2、エンジンラインフィードタスク243、及びエンジ
ンキャリッジタスク244等の他の様々なタスクを含
む。
【0137】エンジンタスク222は、例えば図19を
参照して後述するように、周期処理を制御するために周
期タイマ251を利用する。エンジンASF及び清掃タ
スク242、エンジンラインフィードタスク243、及
びエンジンキャリッジタスク244はASF・清掃ライ
ンフィードモータハンドラ252及びキャリッジモータ
ハンドラ253を利用して、ラインフィードモータドラ
イバ34a及びキャリッジモータドライバ39aそれぞ
れを制御し、記録媒体のシートを給紙し、プリントヘッ
ド100a及び100bの汚れを落とす。給紙及び清掃
動作は、図5Cおよび5Dを参照して上記詳述したとお
りである。
【0138】プリンタ10におけるタスク間のインタフ
ェース及び他の通信は、マネージャータスク223によ
り制御され、好ましくは、メッセージ通信を調整するた
めに不図示のメールボックスにメッセージ及びセマフォ
を入れることによりなされる。
【0139】<3.4 割り込みハンドラ>オペレーテ
ィングシステムは、周期クロック割り込みのためのハン
ドラなどの割り込みハンドラを内包することができる
が、そのような周期的に発生するイベントは、周期ハン
ドラで取り扱うことも可能である。
【0140】<3.5 周期ハンドラ>周期ハンドラ
は、図18を参照して上述したとおり、セントロニクス
タスク220及びエンジンタスク222のために供給さ
れたものである。更に、周期ハンドラは制御部タイマ処
理を行う。
【0141】図19は、この周期ハンドラにおける制御
部タイマ制御を示すフローチャートである。図19に示
すように、ステップS1901で10msの割り込みを
受けると、プリントヘッドの温度が75℃を越える場合
に印刷を一時中断するために、ヘッド防御制御が行われ
(ステップS1902)、これによりプリントヘッドの
ダメージを回避する。
【0142】次に更に図19に示すように、50msの
割り込みを受けたかどうかを判断し(ステップS190
3)、もし受けたならば処理は50ms割り込みロジッ
ク処理(ステップS1904)へ進み、それぞれのヘッ
ドに加えられた駆動パルスの量に基づいて、それぞれの
ヘッド温度の算出(ステップS1905)を行う。計算
は、ヘッドの吐出に基づく温度上昇及び温度下降の計算
に用いられるための定数を提供する、ROM92に予め
保持されたテーブルに基づいてなされる。
【0143】50msの割り込みロジックは、セットア
ップタイム、プレヒートパルス、インターバル及びメイ
ンヒートパルスをプリントノズルそれぞれについて設定
するために、ROM92に予め保持されたテーブルに基
づいて、パルス幅変調制御(ステップS1906)を実
行する。そして、パルスパラメータは制御ロジック94
へ送られる。次に、500ms割り込みロジックを受け
取ったか否かをステップS1907で判断する。受け取
った場合、500ms割り込みロジック(ステップS1
908)は、プリントヘッドの温度を良好に保つため
に、周辺温度が低く、印刷が行われる前である場合に用
いられるメニスカスヒータ制御を開始する(ステップS
1909)。次に、1秒間の割り込みを受け取ったか否
かをステップS1910で判断する。1秒割り込みのロ
ジック(ステップS1911)は予備吐出タイマを更新
し(ステップS1912)、リアルタイムの周辺温度を
更新する(ステップS1913)。
【0144】次に、1分の割り込みを受信したか否かを
ステップS1914で判断する。1分割り込みロジック
は(ステップS1915)は、長期に亘る周辺温度の更
新をステップS1916で開始させる。その後、ステッ
プS1917においてこの処理からリターンする。
【0145】なお、図19に示す周期10ms、50m
s、500ms、1秒、1分は、単なる例であり、変更
可能であることは言うまでもない。
【0146】<3.6 ホストコンピューターの入出力
コマンド>以下に、双方向通信プリンタインタフェース
74によりホストプロセッサー2へ入出力するコマンド
について、以下に要約する。一般的に、それぞれのコマ
ンドは1以上のパラメータを含み、いくつかのコマンド
(例えば画像データ送信コマンド[DATA]など)は
データも含む。
【0147】状態リクエストコマンド[STATUS]
は、プリンタ10から双方向インタフェース74を介し
て回答を引き出す一般的なコマンドである。状態リクエ
ストコマンドを利用することにより、ホストプロセッサ
ー2は、EEPROM102の内容、アライメント、濃
度センサーから得られる結果など、プリンタ10に関す
る詳細な情報を得ることができる。従って、この状態リ
クエストコマンドについては、以下に詳しく説明する。
【0148】次のセクションでは、それぞれのコマンド
のニーモニックを[ ]内に示す。以下に示す簡略表記
は単なる例であり、コマンドのニーモニックを構成する
ために用いられる実際の文字のシーケンスや組み合わせ
は特定されるものではなく、使用法がプリンタ側とホス
トプロセッサー側で共通であり、どちらか一方から送ら
れたコマンドが、他方により解釈できる限り、どのよう
なものであってもよい。
【0149】(3.6.1 制御コマンド)制御コマン
ドは、プリンタ10の印刷処理を制御するために用いら
れる。以下に、様々な制御コマンドを示す。
【0150】[LOAD]−給紙 [LOAD]コマンドは、給紙を実行させるが、現在給
紙されている記録媒体を排紙させるものではない。この
コマンドは、たとえ媒体が手動ですでに給紙されている
場合であっても、プリンタ10に必ず送られる。[LO
AD]コマンドは記録媒体のタイプ及びサイズの特定、
及び給紙モードの特定をするためのパラメータを含む。
給紙モードは以下の内のいずれかである。すなわち、
(1)自動給紙−通常給紙、(2)自動給紙−高速給
紙、または(3)手差し給紙のいずれかである。
【0151】[EJECT]−排紙 このコマンドはプリントバッファに残っているすべての
データが印刷された後に、現在給紙されている印刷媒体
を排紙するものである。このコマンドでは、様々な排紙
速度を設定することができる。
【0152】[PRINT]−印刷実行 印刷実行コマンドは、プリントバッファ内のデータを現
在給紙された記録媒体上に印刷させるものである。印刷
領域は、後述する[EDGE]コマンドの左右パラメー
タにより特定されるそれぞれのプリントバッファの左右
端間となる。
【0153】[CARRIAGE]−キャリッジ動作 キャリッジ動作コマンドは、コラム位置を単位としてキ
ャリッジの位置を特定する位置パラメータを含む。この
コマンドは順方向及び逆方向の動きに用いられる。
【0154】[SKIP]−ラスタースキップ ラスタースキップコマンドは、スキップパラメータによ
り特定されるラスターライン数分、垂直方向に印刷位置
を進めるために用いられる。[SKIP]コマンドの引
数ゼロは、プリンタ10にノズル数変更予備吐出処理の
実行を命令するために用いられる。
【0155】[DATA]−画像データ送信 このコマンドは、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン
(C)または黒(BkまたはK)のビット画像データ
を、コラム画像フォーマットでプリンタ10にそれぞれ
送信するために用いられる。スキャンライン1行を作る
ためにこのコマンドは複数回続けて発行される。ビット
イメージデータは、後述するブロック[BLOCK]及
びカラー[COLOR]コマンドにより特定される領域
に格納される。プリンタ10は、[PRINT]コマン
ドを受信すると、印刷を実際に開始する。
【0156】(3.6.2 設定コマンド)設定コマン
ドは、プリンタ10により実行される印刷処理の設定を
特定するものである。これらのコマンドに基づいて一度
設定されると、別のコマンドにより設定の変更がなされ
るまで、その設定が持続する。設定が供給されない場合
は、デフォルトの設定にリセットされる。以下に、設定
コマンドの詳細を記述する。
【0157】[RESET]−プリンタリセット モードパラメータはプリンタリセットコマンドを定義
し、リセットモードを指定する。デフォルトの設定に
は、データ圧縮フラグ、バッファサイズ、インク滴サイ
ズ、印刷速度、パルス制御テーブル、バッファ制御テー
ブル等がある。
【0158】[COMPRESS]−データ圧縮選択 データ圧縮選択コマンドのモードパラメータは、画像デ
ータを圧縮するか否かを指定し、非圧縮をデフォルトと
する。
【0159】[BTM_MARGIN]−下マージン選
択 下マージン選択コマンドは、記録媒体の印刷領域の下マ
ージンを特定するために用いられる。このコマンドのマ
ージンパラメータにより、複数の下マージンサイズから
1つを選択することができる。
【0160】[DEFINE_BUF]−プリントバッ
ファ定義 プリントバッファ定義コマンドは、ヘッドA及びBそれ
ぞれについて共通のプリントバッファ109のメモリサ
イズ及び構成を定義する。
【0161】[DROP]−液滴サイズ選択 このコマンドは、それぞれのプリントヘッドのためにイ
ンク滴の大きさ(大小)を特定するために用いられる。
【0162】[SPEED]−印刷速度選択 このコマンドは、印刷速度を特定するために用いられ
る。
【0163】[SPEED_RSKIP]−ラスタース
キップの速度選択 ラスタースキップの速度選択コマンドは、行送りのラス
タースキップ速度を特定するために用いられる。このコ
マンドにより、使用可能な複数のラスタースキップ速度
の内の1つを特定できる。
【0164】[DIRECTION]−印刷方向設定 このコマンドの方向パラメータは、印刷を順方向(左か
ら右へ)で行うか、逆方向(右から左へ)で行うかを特
定するために用いられる。
【0165】[EDGE]−印刷端設定 印刷端設定コマンドは、印刷位置の左端及び右端をコラ
ム位置単位で特定する。左端は、右端より狭くしなけれ
ばならない。
【0166】[BLOCK]−印刷ブロック選択 このコマンドは、データブロックの左端及び右端を、そ
れぞれのプリントバッファの先頭からコラム位置単位で
特定するために用いられる。また、[BLOCK]コマ
ンドは、[DATA]コマンド(上述)の後のビット画
像が保持されている場所を特定する。
【0167】[DEFINE_COLOR]−印刷色定
義 印刷色定義コマンドは、[DATA]コマンドの後に格
納されたビット画像データのプリントヘッドにおける位
置を特定するカラーテーブルを定義するために用いられ
る。このコマンドは、定義するカラーテーブル、色開始
位置(color start position:各色毎の最初に使用され
るノズル先頭位置を示すパラメータ)、色の高さ(colo
r height:各色のノズルで記録し搬送の上流側から何番
目のノズルであるかを示すパラメータ)、及び色ずれ
(color offset:各色ノズルに対応したメモリバッファ
上での位置を示すパラメータ)を特定するパラメータを
有する。
【0168】[COLOR]ー印刷色選択 このコマンドは、[DEFINE_COLOR]コマン
ドにより定義されたカラーテーブルを特定するために使
用される。
【0169】[DEFINE_PULSE]−ヒートパ
ルステーブルの定義 [DEFINE_PULSE]コマンドは、複数の異な
るヒートパルスブロックテーブルを定義するために用い
られる。パルスブロックテーブルは、プリンタ10が後
述の[SELECT_PULSE]コマンドを受け取る
前に定義されなければならない。
【0170】[SELECT_PULSE]−ヒートパ
ルステーブルの選択 ヒートパルステーブルの選択コマンドは、[DEFIN
E_PULSE]コマンドにより定義された複数のヒー
トパルステーブルの中から、すべてのヘッドに共通の一
つのテーブルを選択するために用いられる。
【0171】[DEFINE_CONTROL]−バッ
ファ制御テーブルの定義 このコマンドは、複数の異なるプリントバッファ制御テ
ーブルを定義するために用いられる。プリントバッファ
制御テーブルは、プリンタ10が後述の[SELECT
_CONTROL]コマンドを受け取る前に定義されな
ければならない。
【0172】[SELECT_CONTROL]−バッ
ファ制御テーブルの選択 このコマンドは、プリントヘッド100a及び100b
それぞれのために、[DEFINE_CONTROL]
コマンドにより定義された複数のプリントとバッファ制
御テーブルの中から1つずつを選択するために用いられ
る。
【0173】[SCAN_MARGIN]−スキャンマ
ージン設定 スキャンマージン設定コマンドは、スキャンマージンを
設定するために用いられる。このコマンドは、プリンタ
10が論理的にキャリッジを探せるように、1行の印刷
が終わる前にプリンタ10が受信する必要がある。
【0174】[AT_DELAY]−自動トリガ遅延設
定 このコマンドは、順方向及び逆方向にスキャン方向を特
定し、自動トリガ遅延時間を10μsec刻みで最大
2,550μsecに特定することにより、自動トリガ
遅延の設定をするために用いられる。
【0175】(3.6.3 メインテナンスコマンド)
メインテナンスコマンドは、プリンタ10の印刷動作を
保全するために使用され、以下に詳しく説明する。
【0176】[RECOVER]−ヘッドリカバー このコマンドを受信すると、プリンタ10はクリーニン
グ及びインク吸引処理などのヘッドリカバリーモードに
入る。
【0177】[HEAD_EXC]−ヘッド交換 ヘッド交換コマンドは、プリンタ10をヘッド交換モー
ドに移行させる。ヘッド交換モードに入るときには、キ
ャリッジは交換位置まで動く。このコマンドのパラメー
タは、交換すべきヘッド及び/またはインクタンクを特
定する。
【0178】[PCR]−パルス制御率変換 このコマンドは、パルス制御テーブルの制御率を変更す
るために用いられる。それぞれの制御率は、1から20
0の間に設定することができ、それぞれ1%〜200%
を意味する。デフォルトでは、100、すなわち100
%に設定されている。
【0179】[UCT]−協定世界時間 このコマンドは、プリンタ10に現在時間を設定するた
めに用いられ、プリントジョブ開始の設定時にプリンタ
10に送らなければならない。プリンタ10はこの時間
を用いて、プリントヘッドのリカバリーを行うべきか否
かを判断する。この時間値は、ホストプロセッサー2の
システムクロックに基づいて、1970年1月1日の深
夜(00:00:00)からカウントされる秒数、すな
わち協定世界時間として表現されている。
【0180】[HEAD_CHECK]−ヘッドチェッ
クヘッドチェックコマンドは、プリンタ10に現在搭載
されているプリントヘッドのタイプをチェックするため
に用いられる。
【0181】[AUT_POWER]−自動電源管理 このコマンドは、プリンタ10内の自動電源管理機能が
イネーブルされているか否かを特定するために用いられ
る。
【0182】[SCAN]−センサースキャン このコマンドは、自動位置合わせセンサーの値を読み込
み、結果をホストプロセッサー2に送り返すために用い
られる。スキャン速度、方向、解像度、及び領域が[S
PEED]、[DIRECTION]、[DEFINE
_BUF]、[EDGE]の各コマンドにより上述の通
りそれぞれ定義されている。
【0183】[NVRAM]−NV−RAM制御 このコマンドは、EEPROM102からデータを読み
込み、読んだデータをホストプロセッサー2に送り返す
ために用いられる。
【0184】[SMEAR]−スミヤ制御 スミヤ制御コマンドは、湿ったインクがこすれて記録媒
体が汚れること(スミヤ)を防ぐために用いられる。こ
のコマンドは、現在のページの印刷時間を遅延させるよ
うに所定時間を設定することで、スミヤを防ぐ。
【0185】[IF_CONTROL]−インタフェー
ス制御 インタフェース制御コマンドは、プリンタ10のあるイ
ンタフェースモードがイネーブルであるか否かを特定す
るために用いられる。
【0186】[STATUS]−状態リクエスト このコマンドは、プリンタ10に状態リクエストを送る
ための予め固定されたコマンドとして用いられる。リク
エストは、基本設定、主な状態、及び詳細な状態を得る
ために作成することができる。
【0187】基本設定コマンドは、ホストプロセッサー
2がプリンタ10を設定するために用い、プリンタ10
からの応答を必ずしも必要としない。
【0188】主状態リクエスト/応答コマンドは、通常
モードにおける状態情報を得るために用いられ、基本状
態[BASE_STATUS]、エコーコマンド[EC
HO]、プリントヘッド構成[HEAD]、位置合わせ
センサーの結果[SENSOR_RESULTS]、E
EPROMデータのホストへの送信[DATA_SEN
D]、シフトバッファサイズのホストへの送信[BUF
FER_SIZE]を含む。それぞれの主状態リクエス
ト/応答コマンドに対して、応答が自動的にホストプロ
セッサー2に返される。
【0189】詳細な状態リクエスト/応答コマンドは、
詳細な状態情報を得るために用いられる。これらのコマ
ンドには、詳細なジョブの状態[JOB_STATU
S]、詳細なビジー状態[BUSY_STATUS]、
詳細な警告状態[WARNING_STATUS]、詳
細なオペレーター呼び出し状態[OPERATOR_C
ALL]、詳細なサービス呼び出し状態[SERVIC
E_CALL]が含まれる。状態リクエスト/応答コマ
ンドと同様に、それぞれの詳細状態リクエスト/応答コ
マンドに対して、応答が自動的にホストプロセッサー2
に返される。
【0190】[PREFIRE_EX]−予備吐出処理 予備吐出処理コマンドは、インクの予備吐出を実行する
ために用いられる。このコマンドのパラメータにより、
特定のインクヘッドに予備吐出を行わせることができ
る。
【0191】[PREFIRE_CYC]−予備吐出周
期設定 予備吐出周期設定コマンドは、自動予備吐出実行の周期
を設定するために用いられる。このコマンドのパラメー
タにより、予備吐出させる目的のヘッドを特定し、自動
予備吐出周期の長さを、最長255秒まで秒単位で設定
することができる。
【0192】<4.0 自動給紙制御>このセクション
では、本実施の形態のプリンタのための自動給紙制御処
理について説明する。この処理では、プリンタは記録媒
体シートをプリンタ内に供給し、その印刷のためのシー
トを、効率よく、確実に準備するように命令される。特
に、本実施の形態は第1に給紙する記録媒体のタイプ、
ユーザにより選択された印刷モード、及び他の印刷に関
わる状態に基づいて、記録媒体をプリンタに給紙する速
さを選択するためのロジックを提供することである。ま
た、印刷中に記録媒体がプリンタ内を通過する行送り速
度及び印刷後にプリンタから記録媒体を排紙する排紙速
度も、同様の方法で選択することができる。また、本実
施の形態では、自動給紙処理の完了に先立って、他の印
刷前タスクを行うことができる自動給紙制御を提供す
る。最後に、本実施の形態は、給紙処理が成功したか否
かを給紙終了前に判断することができる自動給紙処理手
順を提供する。これにより、自動給紙処理の終了に先立
って、プリンタドライバがプリンタにプリントデータを
送ることができる。
【0193】以下に更に詳しく説明するように、上記構
成によれば、記録媒体をプリンタに給紙する最中の信頼
度を向上させ、記録媒体を給紙するためにかかる時間及
び記録媒体へ印刷を行うための準備として、他の印刷前
タスクを完了するまでの時間を削減することができる。
【0194】<4.1 ASF、行送り及び排紙速度の
選択>プリンタ10は印刷前に記録媒体をプリンタ10
に自動的に給紙する自動給紙部14を有する。図5Aに
示すように、記録媒体シートは、ラインフィードモータ
34により駆動される自動給紙ローラー32によりクラ
ッチ部140を介して自動給紙部14からプリンタ10
へ給紙される。記録媒体をプリンタ10に給紙するため
に、自動給紙ローラー32とラインフィードモータ34
とが係合する位置にクラッチ部140が来るように、カ
ートリッジホルダ37a及び37bを動かす必要があ
る。自動給紙ローラー32をクラッチ部140を介して
係合させ、駆動するために必要なこれらの一連の動作
は、上記セクション1.1で図5Cを参照して詳しく説
明した。
【0195】自動給紙部14及び自動給紙ローラー32
の動作は、プリンタ10により通信線76を介してプリ
ンタ10に制御信号を送る、プリンタドライバ84と連
係して制御される。本実施の形態では、プリンタドライ
バ84は、印刷に先立って、記録媒体の給紙を開始する
命令をプリンタ10に送ることが好ましい。プリンタド
ライバ84からの給紙命令を受けて、プリンタ10は、
給紙コマンドで特定されたパラメータ及び状態に応じて
記録媒体の給紙を開始する。図14に示すように、給紙
([LOAD])コマンドは、プリンタドライバ84か
らプリンタ10へのコマンド列の間に、プリンタ10に
記録媒体を給紙するように命令するために、用いられ
る。給紙([LOAD])コマンドは、給紙する記録媒
体の種類及び大きさに関するパラメータをプリンタ10
に供給し、更に、自動給紙部14を用いて記録媒体を給
紙するか、または手差し給紙部17を用いるかをプリン
タ10に知らせる。自動給紙部14を用いる場合、給紙
([LOAD])は、記録媒体をプリンタ10に給紙す
るために、例えば、高速、通常速度など、複数の速度の
どれを自動給紙ローラー32が使用するかを指示する。
図14を参照して上述したとおり、スキップ([SKI
P])コマンドは印刷中に記録媒体をプリンタ10内で
先に送るために用いられ、排紙([EJECT])コマ
ンドは、印刷完了後に記録媒体をプリンタ10から排紙
するために用いられる。
【0196】図20は、本実施の形態において、好まし
くはプリンタドライバ84内で実行される、記録媒体を
給紙し、ページ印刷することをプリンタ10に命令する
工程を示すフローチャートである。図20において、ス
テップS2000で処理が開始し、プリンタドライバ8
4は、プリンタ10を初期化するためにプリンタ10に
リセットコマンド([RESET])を送る。プリンタ
ドライバ84はプリントモードと、給紙する記録媒体の
タイプ、記録媒体上に印刷する画像のタイプ、及びプリ
ンタ10が画像を印刷する方法を定義するモードに関す
る状態を判断する(ステップS2001)。一旦プリン
トモード及び状態が判断されると、プリンタドライバ8
4は、記録媒体の給紙、印刷、及び排紙を行う際に用い
られる適切な自動給紙速度、行送り速度、排紙速度を決
定し、決定した給紙速度、行送り速度、及び排紙速度を
含む給紙コマンド([LOAD])をプリンタ10に送
り、記録媒体の給紙が開始される(ステップS200
2)。プリンタドライバ84はステップS2003にお
いて1回目の印刷スキャンのためのプリントデータを準
備し、プリントデータを準備していることをプリンタ1
0に知らせる。プリンタドライバ84によるプリントデ
ータの準備に関しては、1997年7月28日に出願さ
れた米国特許出願第08/901,719号の「カラー
プリンタのためのプリントドライバ」に詳細に説明され
ている。ステップS2004では、プリンタドライバ8
4が記録媒体給紙の早期成功通知を受信したか、または
給紙が完了通知を受信したかを判断する。どちらかを受
信した場合には、プリンタ10は印刷及び制御をステッ
プS2005へ進める。もし、両方とも受信していない
場合には、処理はそのまま終了する。もし、このスキャ
ンで印刷するプリントデータが無い場合には(ステップ
S2005)、処理はステップS2016へ進み、次の
スキャンのためのプリントデータが準備される。プリン
タドライバ84は、この記録媒体1ページで処理された
スキャンラインの総数に対応するように、ステップS2
017で仮想スキップを行う。この記録媒体1ページ分
の印刷が完了していないと判断されると(ステップS2
013)、処理はステップS2005に戻る。そして、
当該ページの印刷が終了したと判断されるまで、ステッ
プS2005からステップS2013の処理を繰り返し
実行する。
【0197】また、当該スキャンで印刷する印刷データ
が存在する時は(ステップS2005)、プリンタドラ
イバ84は、ユーザ入力に基づいて、以前に選択したプ
リンタ10の行送り速度をオーバーライドするか否かを
判断する(ステップS2006)。例えば、ユーザは、
「オーバーライド無し」「低速オーバーライド」、また
は「高速オーバーライド」のいずれかを選択し、プリン
タ10に行送り速度コマンド([SPEED_RSKI
P])を用いて送信する。そして、スキップコマンド
([SKIP])がプリンタ10へ送られて(ステップ
S2007)、記録媒体の位置を現在のスキャンでのプ
リントデータの印刷を行うための位置にするために、所
定ラスターライン数分、記録媒体を進めるようにライン
フィードモータ34に命令する。プリンタドライバ84
はスキャン設定を行い、現在のスキャンでのプリントデ
ータ(([DIRECTION]、[EDGE]、[S
PEED]、[SIZE]、[SELECT_PULS
E]、[SELECT_CONTROL]))の印刷準
備をプリンタ10が行えるように、スキャン設定をプリ
ンタ10へ送る(ステップS2008)。スキャン設定
パラメータをプリンタ10に送信した後、ステップS2
009でプリンタドライバ84は現行スキャン用のプリ
ントデータを、画像データ送信コマンド([DAT
A])を用いてプリンタ10に送る。そして、プリンタ
ドライバ84は、ステップS2010で次のスキャン用
のプリントデータを準備する。そして、記録媒体の給紙
が成功したか否かを判断する(ステップS2011)。
記録媒体の給紙が失敗した場合、制御はプリンタドライ
バ処理の最後に進む。
【0198】記録媒体の給紙が成功した場合、プリンタ
ドライバ84は、プリントコマンド([PRINT])
をプリンタ10に送ることによりプリントデータの印刷
を開始する(ステップS2012)。1ページ分の印刷
が終了すると(ステップS2013)、プリンタドライ
バ84はステップS2014で、選択した排紙速度オー
バーライドを「オーバーライド無し」、[低速オーバー
ライド」、「高速オーバーライド」のいずれかに設定
し、プリンタ10が記録媒体を排紙するように、そのオ
ーバーライド選択を排紙コマンド([EJECT])の
一部として、プリンタ10へ送る(ステップS201
5)。現行ページの印刷が終了していない場合には、処
理はステップS2005に戻る。このようにすることに
より、プリンタドライバ84は、使用中の記録媒体のタ
イプと、ユーザによりリクエストされたプリントモード
及び状態と、及びその他の印刷関連状態に基づいて、詳
細なコマンド及びデータをプリンタ10に供給する。
【0199】図24は、図20のステップS2002に
おける自動給紙速度、行送り速度及び排紙速度決定にあ
たってプリンタドライバ84により実行される処理手順
の詳細を示すフローチャートである。まず、現行のプリ
ントジョブについて、ユーザが記録媒体をプリンタ10
の手差し給紙部17に給紙する手差し給紙を選択したか
否かを判断する(ステップS2401)。手差し給紙が
選択された場合には、プリンタドライバ84は清掃チェ
ックコマンドをプリンタ10に送り、清掃チェックが終
了するのを待つことにより、インククリーニング機構4
5に内包される清掃ポンプ(不図示)の動作中に、ユー
ザが記録媒体を手差し給紙することを防ぐ。清掃ポンプ
が動作中でないと判断されると、ダイアログボックスを
ディスプレイ4上に表示し、ユーザに手差し給紙部17
に記録媒体を挿入するように促す(ステップS240
3)。そして、ユーザが手差し給紙を促すダイアログボ
ックスを確認したか否かを判断し(ステップS240
4)、確認したと判断すると、処理はステップS240
6に進み、手差し給紙を特定した給紙コマンド([LO
AD])をプリンタ10に送る。ユーザがディスプレイ
4上に表示されるダイアログボックスを確認していない
場合には、ステップS2405でプリントジョブをキャ
ンセルする。
【0200】ステップS2406において、手差し給紙
コマンドがプリンタ10に送られた後、記録媒体が適切
に給紙されたか否かを判断する(ステップS240
8)。適切でない場合、ユーザはプリンタから記録媒体
を取り除いてもう一度挿入し、手差し給紙し直すように
指示される(ステップS2409)。ユーザが手差し給
紙し直しのリクエストを確認すると(ステップS240
7)、処理はステップS2406に戻り、手差し給紙を
特定した給紙コマンドを再度送る。ユーザが手差し給紙
し直しのリクエストを確認していない場合(ステップS
2407)、プリントジョブはキャンセルされる(ステ
ップS2405)。ステップS2408では、手差し給
紙コマンドの受信後に記録媒体がプリンタ10に正しく
給紙された場合、ステップS2422でリターンする。
【0201】また、ステップS2401でユーザが手差
し給紙を選択しなかった場合、ステップS2425で現
在時刻を得る。プリンタ10が、好ましくは日中のビジ
ネス時間を定義する、予め決められた閾値T1とT2に
より定義される所定時間内で使用されている場合には
(ステップS2423でYES)、処理はステップS2
410に進む。プリンタ10が所定時間内で使用されて
いない場合には(ステップS2423でNO)、プリン
タドライバ84は低速度の自動給紙コマンド、低速度行
送りコマンド、及び低速度排紙コマンドを選択し、それ
らをプリンタ10へ送る(ステップS2416)。これ
により、印刷中にプリンタ10で発生するノイズを低減
する。これらの設定は、ユーザにより「オーバーライド
無し」モードが選択されたときのデフォルトに対応す
る。また、プリンタ10が所定時間内で使用されており
(ステップS2423でYES)、ユーザがドラフトま
たは標準モードを設定していない場合には、プリンタド
ライバ84は低給紙速度設定、低速度行送り速度設定、
及び低排紙速度設定を選択し、給紙([LOAD])コ
マンドによりプリンタ10へこれらの設定を送る(ステ
ップS2416)。しかしながら、ユーザがドラフトま
たは標準モードを選択していたならば、現在のプリント
ジョブをレギュラーモードで行うか否かを判断する(ス
テップS2411)。レギュラーモードが選択されてい
なければ、高解像度カラーモードが現在のプリントジョ
ブで使用されているので、プリンタドライバ84は給
紙、行送り、及び排紙の速度を低速度に選択し、給紙
([LOAD])コマンドを利用してそれらをプリンタ
10に送る(ステップS2416)。
【0202】しかし、レギュラーモードが現在のプリン
トジョブに使用されているならば(ステップS2411
でYES)、どのタイプの記録媒体が現在にプリントジ
ョブで使用されているかをプリンタドライバが84で判
断する(ステップS2412)。普通紙が使用されてい
る場合(ステップS2412でYES)、給紙、行送
り、排紙速度として高速が選択されて、給紙([LOA
D])コマンドによりプリンタ10に送られる(ステッ
プS2414)。しかし、現在のプリントジョブでバブ
ルジェット用紙が使用されている場合(ステップS24
13でYES)、給紙速度として低速、行送り速度とし
て高速、そして、排紙速度として低速が選択されて、給
紙([LOAD])コマンドによりプリンタ10に送ら
れる(ステップS2415)。現在のプリントジョブで
使用されているのが普通紙でもバブルジェット用紙でも
無い場合、プリンタドライバ84は、給紙、行送り、排
紙速度として低速が選択されて、給紙([LOAD])
コマンドによりプリンタ10に送られる(ステップS2
416)。給紙コマンドがステップS2414、S24
15、S2416のいずれかのステップでプリンタ10
に送られると、記録媒体が適切にプリンタ10に給紙さ
れたか否かを判断する(ステップS2417)。適切に
給紙されていない場合には、問題を正して再度給紙し直
すように指示するダイアログボックスをディスプレイ4
に表示する(ステップS2418)。ユーザディスプレ
イ4で給紙を再度行うことを選択した場合(ステップS
2419)、処理はステップS2416に移り、給紙、
行送り、排紙の速度として低速に設定し、プリンタに給
紙([LOAD])コマンドを再度送信する(ステップ
S2416)。ユーザがディスプレイ4から再給紙を選
択しなかった場合には、プリンタ10上の再スタートボ
タン26により再給紙を選択したかどうかを判断する
(ステップS2420)。もしそうであれば、処理はス
テップS2416に進む。また、ユーザがディスプレイ
4からもプリンタ10からも再給紙を選択しなかった場
合には、プリントジョブはキャンセルされる(ステップ
S2421)。ステップS2417において、記録媒体
がプリンタ10に適切に給紙されていると判断される
と、処理はステップS2422に進み、リターンする。
【0203】この本実施の形態の方法では、記録媒体の
タイプ及び大きさ、プリントモード、過去の給紙の失敗
回数、その他のモード及び状態など、与えられたプリン
トジョブの状態及び要求に応じて、自動給紙部14から
記録媒体を給紙するための複数の速度から1つを選択
し、そして同様に行送り速度及び排紙速度の選択のため
のロジックをプリンタドライバ84内に有する。その結
果、与えられたプリントジョブに適切な最高速度が、記
録媒体の給紙中及び記録媒体への印刷及び記録媒体の排
紙中に使われる。これにより、安定した動作を確保しな
がら、プリントジョブ全体にかかる時間を短縮すること
ができる。
【0204】図25は、プリンタドライバ84から供給
されるオバーライドコマンドに基づいて排紙速度を設定
するために、プリンタ10内のCPU91内で使用され
るロジックを示すフローチャートである。ステップS2
501で処理が開始され、プリンタドライバ84から
「オーバーライド無し」コマンドを受信したか否かを判
断する。「オーバーライド無し」コマンドが選択されて
いた場合、給紙速度が現在、高速に設定されているかど
うかを判断する(ステップS2504)。給紙速度が高
速に設定されている場合、排紙時の行送り速度も高速に
設定する(ステップS2505)。また、給紙速度が高
速に設定されていない場合、排紙時の行送り速度も低速
に設定する(ステップS2506)。また、ステップS
2501において、「オーバーライド無し」コマンドが
ドライバ84から送られていない場合には、「低速オー
バーライド」が送られたかどうかを判断する(ステップ
S2502)。「低速オーバーライド」コマンドが送ら
れている場合には、排紙時の行送り速度を低速に設定す
る(ステップS2507)。反対に、「低速オーバーラ
イド」が送られなかった場合には、「高速オーバーライ
ド」コマンドが送られたかどうかを判断し(ステップS
2503)、送られている場合には、排紙時の行送り速
度を高速に設定する(ステップS2508)。また、
「オーバーライド無し」も「低速オーバーライド」も
「高速オーバーライド」のいずれも送られなかった場合
には、デフォルト値、好ましくは低速を排紙時の行送り
速度として設定する(ステップS2509)。このよう
にすることにより、プリンタドライバ84は、プリンタ
ドライバ84から以前に設定された排紙速度コマンドを
変更するために、排紙速度オーバーライドを選択するこ
とができる。
【0205】同様に、図26は、行送り速度の以前の設
定がプリンタドライバ84により後でオーバーライドす
ることができることを示す、プリンタ10のCPU91
におけるロジック処理を示すフローチャートである。ス
テップS2601で処理が開始され、印刷の解像度が1
440dpiに設定されているか否かを判断する。解像
度1440dpiがプリンタドライバ84により選択さ
れている場合、1440dpi速度が行送り速度として
選択される(ステップS2605)。しかし、解像度1
440dpiが選択されていなければ、プリンタドライ
バ84が「低速オーバーライド」を送信したかを判断し
(ステップS2602)、そうであれば、行送り速度と
して低速が選択される(ステップS2606)。また、
「低速オーバーライド」が選択されていなければ、「高
速オーバーライド」が選択されているか否かを判断し
(ステップS2603)、そうであれば、行送り速度と
して高速を選択する(ステップS2607)。もし、
「高速オーバーライド」を受信していなければ、給紙速
度が高速に設定されているかどうかを判断し(ステップ
S2604)、そうであれば、行送り速度として高速を
設定する(ステップS2608)。給紙速度として高速
が設定されていなければ、行送り速度として、デフォル
ト速度である低速を選択する(ステップS2609)。
このように、プリンタドライバ84から行送り速度を提
供した後であっても、プリンタドライバ84は行送りの
ためのオーバーライド設定を選択することができる。
【0206】<4.2 給紙成功可否の早期判定>本発
明の好適な実施の形態においては、記録媒体の給紙完了
に先立って、給紙が成功しそうかどうかの判断をプリン
タ10のCPU91において行う。給紙が成功しそうで
あれば、プリンタ10は、プリンタドライバ84ができ
るだけ早いタイミングでプリントデータをプリンタ10
に送信開始できるように、早期給紙成功をプリンタドラ
イバ84に通知する。このようにすることによって、プ
リンタは、記録媒体の給紙が問題なく終了した後に、よ
り迅速に印刷を開始することができる。
【0207】図21Aはプリンタ10の自動給紙部14
による記録媒体の給紙中にプリンタ10のCPU91に
おいて実施される処理を示すフローチャートであり、記
録媒体の給紙に関する早期成功通知を得ることが必要な
工程を含む。ステップS2101で制御が開始し、カー
トリッジホルダ37a及び37bはホームポジション4
6に移動するように命令を受け、ホームポジション46
に到着すると、待機状態に入る。キャリッジ容器37
a,37bはキャリッジモータドライバ39aにより駆
動される。次に、今回の給紙の直前に、先に給紙されて
いた記録媒体が排紙されたかどうかを判断する(ステッ
プS2102)。排紙されている場合、処理はステップ
S2103へ移り、排紙行送り速度から、ラインフィー
ドモータ34が自動給紙ローラー32が係合できる自動
給紙ピックアップ速度へ変わるまで待つ。すなわち、自
動給紙ローラー32に係合させるためのクラッチ部14
0の調整が、ラインフィードモータ34が適切な速度に
なるまで行われないように、待機する。ラインフィード
モータ34が適切な速度になると、自動給紙ローラー3
2が現在、初期ホームポジションにあるか否かを判断す
る(ステップS2104)。ホームポジションにある場
合には、自動給紙動作の始めに自動給紙ローラー32が
ホームポジションにあることを示すためにフラグを立て
る(ステップS2106)。
【0208】初期状態で自動給紙ローラー32がホーム
ポジションに無い場合、フラグを「偽」に設定する(ス
テップS2105)。次に、カートリッジホルダ37a
及び37bは、自動給紙ローラー32と係合するように
クラッチ部140まで移動するように命令を受ける(ス
テップS2107)。ステップS2108では再給紙フ
ラグを「偽」に設定し、記録媒体の再給紙がまだ行われ
ていないことを示す。次に、今回の給紙開始の前に、先
に給紙された記録媒体の排紙が行われたか否かを判断す
る(ステップS2109)。排紙がされた場合には、処
理はステップS2111に進み、排紙が行われていない
場合には、図21Dを参照して詳述するように様々な状
態に基づいて、給紙速度を選択する。その後、自動給紙
ローラー32に動作開始を指示する(ステップS211
0)。処理はステップS2111に進み、自動給紙ロー
ラー32が現在、ホームポジションにあるかどうかを判
断する。ホームポジションにある場合には、処理はまた
ステップS2111に戻り、ホームポジションに位置し
なくなるまで、自動給紙ローラー32の位置を確認す
る。自動給紙ローラー32が現在ホームポジションに無
く、且つ、自動給紙ローラー32がホームポジションか
ら動作を開始したと判断されると、クラッチ部140は
自動給紙ローラー32を駆動するために適切に係合さ
れ、これにより、カートリッジホルダ37a及び37b
はクラッチ140の近辺にある必要が無くなる。その
後、カートリッジホルダ37a及び37bは、プリント
ヘッド100a及び100bのクリーニングを行うため
に、ホームポジション46へ移動するように命令を受け
る(ステップS2113)。
【0209】ステップS2112において、自動給紙ロ
ーラー32が初期状態でホームポジションに無い場合に
は、自動給紙ローラー32が動作を終えるまでに十分な
時間がとれるように、カートリッジホルダ37a及び3
7bは、自動給紙ローラー32と係合するようにクラッ
チ部140に当接するように位置される。この場合、カ
ートリッジホルダ37a及び37bはホームポジション
に移動するように命令されないが、その代わりに、ステ
ップS2114で自動給紙ローラー32が現在動作中で
あるかどうかを判断する。動作中である場合、記録媒体
の先端がプリンタ10内で検出されたかどうかを判断す
る(ステップS2115)。先端が検出されていない場
合、処理はステップS2114に戻り、自動給紙ローラ
ー32が現在動作中であるかどうかをもう一度判断す
る。また、ステップS2114で、例えば記録媒体給紙
のために必要な動作が完了したために、自動給紙ローラ
ー32が現在動作していないと判断すると、処理はステ
ップS2117に進む。また、ステップS2115で記
録媒体の先端が検知されると、初期成功ロジックが実行
され(ステップS2116)、給紙が完了する前に、給
紙が成功する見込みを判断する。この初期成功ロジック
については図21Cを参照してより詳細に後述する。初
期成功ロジックの実施後(ステップS2116)、ステ
ップS2117において自動給紙ローラー32が初期ホ
ームポジションから動作を開始したかどうかを判断し、
ホームポジションから開始していた場合には待機状態に
入り(ステップS2118)、カートリッジホルダ37
a及び37bがホームポジション46で停止するのを待
つ。そして少なくとも良好な印刷状態を保つために、プ
リントヘッド100a及び100bに予備吐出を行うよ
うに命令する(ステップS2118)。
【0210】ステップS2118での待機中には、カー
トリッジホルダ37a及び37bのホームポジション4
6への移動途中に拭くために、ワイパー44a及び44
bを通過するようにすることもできる。自動給紙動作の
開始時に自動給紙ローラー32がホームポジションに無
い場合(ステップS2117でNO)、ステップS21
18はスキップされる。そして処理は図21Bのステッ
プS2119に進み、自動給紙ローラー32が現在動作
中であるかどうかを判断する。自動給紙ローラー32が
動作中である場合には、自動給紙ローラー32の動きが
止まったと判断されるまで、処理はステップS2119
に戻る。自動給紙ローラー32の動きが止まると、処理
はステップS2120に進み、自動給紙処理開始時点
で、自動給紙ローラー32かホームポジションにあった
かどうかを判断する。自動給紙ローラー32がホームポ
ジションに無かった場合、カートリッジホルダ37a及
び37bにホームポジション46に戻るように命令する
(ステップS2121)。そして、自動給紙ローラー3
2が現在ホームポジションで止まっているかどうかを判
断する(ステップS2122)。自動給紙ローラー32
が動きが止まった後もホームポジションに戻っていない
場合は(ステップS2122でNO)、深刻なエラーが
起きているため、すべてのタスクを再開するために適切
な処理を行い、エラーを記録する(ステップS212
3)。自動給紙ローラー32がホームポジションに戻っ
ている場合には、不図示の用紙端センサーにより記録媒
体の先端が検出されたかどうかを判断する(ステップS
2124)。
【0211】記録媒体の先端が検出された場合、先端の
検出が特定のモータステップ数内でなされたか、例え
ば、記録媒体が自動給紙ローラー32で滑ったなどの理
由により記録媒体の給紙に必要以上の時間がかかってい
ないかを判断する(ステップS2125)。先端が予定
時間内で検出された場合、記録媒体の先端が用紙端セン
サーを適切な分量過ぎたかを判断する(ステップS21
26)。記録媒体が充分な分量送られていれば、記録媒
体の給紙は成功しているため、給紙状態リターンフラグ
を「成功」に設定する(ステップS2128)。その
後、自動給紙動作からリターンする。
【0212】しかし、記録媒体の検出に時間がかかりす
ぎた場合(ステップS2125でNO)または、記録媒
体が充分な分量用紙端センサーを通過しなかった場合に
は(ステップS2126でNO)、記録媒体の給紙は失
敗しているため、ステップS2127に進み、その記録
媒体を適切な位置に設定するためのリカバリー処理にそ
の記録媒体を使用できるかどうかを判断する。記録媒体
が6インチ以下の記録媒体、光沢紙、光沢のある写真カ
ード、高光沢フィルムである場合にリカバリー動作を行
えないようにすることが好ましい。リカバリー動作がで
きない記録媒体のタイプである場合には、給紙状態リタ
ーンフラグは「エラー」に設定され(ステップS213
1)、全自動給紙処理からリターンする。リカバリー処
理に使用できる記録媒体のタイプである場合には、処理
はステップS2129のリカバリー処理に移る。このリ
カバリー処理は、図21Eを参照して後で詳細に説明す
る。リカバリーによって、給紙状態リターンフラグは
「成功」に設定され(ステップS2128)、全自動給
紙処理からリターンする。
【0213】ステップS2124では、記録媒体の先端
が用紙端センサーにより検知されなかった場合、記録媒
体のタイプを確認して、リカバリー処理を実施するかど
うかを判断する(ステップS2132)。リカバリー処
理を実行できる記録媒体のタイプではない場合、給紙状
態リターンフラグは「エラー」に設定され(ステップS
2131)、処理は全自動給紙処理からリターンする。
リカバリー処理を実行可能な記録媒体のタイプである場
合、給紙フラグを確認して(ステップS2133)、記
録媒体の給紙のやり直しがこれで2回目であるかを判断
する。やり直しが2回目である場合、給紙状態リターン
フラグは「エラー」に設定され(ステップS213
1)、処理は全自動給紙処理からリターンする。
【0214】これが給紙やり直しの1回目である場合、
再給紙フラグが立てられ(ステップS2134)、自動
給紙ローラー32が現在ホームポジションにあるかどう
かをチェックする(ステップ2135)。これに応じ
て、ステップS2136または2137で自動給紙ロー
ラー32の現在位置に応じてホームから開始フラグが立
てられる。その後、カートリッジホルダ37a及び37
bの動きが止まるまで待ち、自動給紙ローラー32をラ
インフィードローラー34に係合させるように、カート
リッジホルダ37a及び37bをクラッチ部140まで
移動するように命令する(ステップS2138)。処理
は図21AのステップS2110に進み、上述の自動給
紙処理動作を繰り返す。
【0215】図21BのステップS2116で触れた早
期成功ロジックにより、早期成功フラグがプリンタドラ
イバ84に送ることができ、プリンタドライバ84は記
録媒体給紙完了前にプリントデータの送信を開始するこ
とができる。図21Cは、早期成功ロジックの各工程を
示す詳細フローチャートである。ステップS2139に
おいて、記録媒体の先端の検出が特定のモータステップ
数内でなされたか、例えば、記録媒体が自動給紙ローラ
ー32で滑ったなどの理由により記録媒体の給紙に必要
以上の時間がかかっていないかを判断する。記録媒体の
先端が特定モータステップ数内で検出されなかった場
合、給紙が成功しない可能性があるので、処理はリター
ンする。
【0216】記録媒体の先端が所定のモータステップ数
内で検出された場合、記録媒体のタイプをチェックし
て、上記に説明したように、リカバリー処理に使用でき
るタイプのものであるかどうかを判断する(ステップS
2140)。記録媒体のタイプがリカバリー処理に使用
できないタイプのものである場合、給紙が成功しない可
能性があるので、処理はリターンする。一方、記録媒体
のタイプがリカバリー処理に使用できるタイプのもので
ある場合、早期成功フラグを立て、プリンタドライバ8
4に 給紙状態リターンフラグを用いて「成功」を送信
する処理のために、CPU91による制御を10ms間
停止する(ステップS2141)。このようにすること
で、プリンタ10のCPU91により行われる自動給紙
動作は、自動給紙部14からの記録媒体の自動給紙を効
率的に制御すると共に、早期成功指示に基づいて、給紙
完了に先立ってプリンタドライバ84によるプリントデ
ータの送信を開始できるようにすることで、安定した動
作を可能にする。従って、この構成により、記録媒体の
給紙の完了から、記録媒体への画像データの印刷開始ま
でにかかる時間を短縮することができる。
【0217】図21Dは図21AのステップS2110
において実行される工程を示すフローチャートであり、
プリンタ10のCPU91は、プリンタドライバ84か
ら供給される自動給紙速度、現在の状態、及び自動給紙
処理に関連するパラメータに基づいて、給紙速度を設定
する。ステップS2142では、記録媒体の長さをチェ
ックして、6インチ未満かどうかを判断する。6インチ
未満の場合、記録媒体は封筒と同様に扱われ、2段階給
紙処理が開始し、自動給紙ローラー32の第1段階の動
作がスタートする(ステップS2146)。250ms
待機した後(ステップS2147)、自動給紙ローラー
32の第2段階の動作がスタートする(ステップS21
48)。この処理後、リターンする。この2段階動作
は、かさばった重い封筒など、小さい記録媒体の給紙を
安定させることができる。
【0218】記録媒体が6インチ未満でない場合には、
現在設定されている給紙速度が低速であるかどうかを判
断し、ホームポジションから開始フラグをチェックして
自動給紙ローラー32が元々ホームポジションにあった
かどうかを判断する。さらに、再給紙フラグをチェック
して、以前に記録媒体の給紙に失敗しているかどうかを
判断する(ステップS2143)。上記のいずれか1つ
にでも該当する場合、ラインフィードモータ34は自動
給紙ローラー32に低速で駆動するように命令する(ス
テップS2144)。上記のいずれにも該当しない場合
には、ラインフィードモータ34は自動給紙ローラー3
2に高速で駆動するように命令する(ステップS214
5)。そして、この処理からリターンする。
【0219】図21Eは図21BのステップS2129
におけるリカバリー処理の各処理の詳細を示すフローチ
ャートである。図21Eに示すリカバリー処理では、ま
ず、自動給紙ローラー32による給紙の際に、記録媒体
が滑りすぎたかどうかを判断する(ステップS214
9)。もしそうであれば、リカバリー処理はカートリッ
ジホルダ37a及び37bの動きが止まるのを待って
(ステップS2150)、自動給紙ローラー32がライ
ンフィードローラー34に係合するように、カートリッ
ジホルダ37a及び37bにクラッチ部140のところ
まで移動するように命令する(ステップ2151)。も
し、用紙が滑りすぎていない場合、ステップS2155
に進むが、あとで、詳しくここでの処理を説明する。ス
テップS2152では、自動給紙ローラー32は低速度
で動作を開始し、自動給紙ローラー32が給紙動作を完
了するのを待つ。次に、自動給紙ローラー32がホーム
ポジションで止まったかどうか判断する(ステップS2
153)。ホームポジションで止まった場合、リカバリ
ー処理はステップS2155に移る。ホームポジション
で止まらなかった場合は、すべてのタスクを再スタート
し、重要なエラーを記録する(ステップS2154)。
【0220】リカバリー処理はステップS2155へ進
んで、カートリッジホルダ37a及び37bにホームポ
ジション46に戻るように命令し、クラッチ140を介
した自動給紙ローラー32とラインフィードモータ34
との係合を解除する。そしてピンチローラー(不図示)
の後ろに記録媒体を送るように、逆方向にラインフィー
ドローラー165を回転するようにラインフィードモー
タ34に命令する(ステップS2156)。そして、自
動給紙ローラー32とラインフィードモータ34がクラ
ッチ部140を介して係合するように、カートリッジホ
ルダ37a及び37bにクラッチ部140のところへ移
動するように命令する(ステップS2157)。これに
より、記録媒体は、ホームポジションから回転する自動
給紙ローラー32により挟まれることになる(ステップ
S2158)。
【0221】この後、カートリッジホルダ37a及び3
7bはホームポジション46に移動するように命令さ
れ、これにより、自動給紙ローラー32とラインフィー
ドモータ34との係合を解除する(ステップS215
9)。こうして、ラインフィードモータ34を駆動する
ことにより、記録媒体はピンチローラーの後ろ側に巻き
込まれる(ステップS2160)。その後、カートリッ
ジホルダ37a及び37bは、自動給紙ローラー32を
ラインフィードモータ34に係合させるために、クラッ
チ140のところに移動するように命令される(ステッ
プS2161)。ステップS2162で、自動給紙ロー
ラー32は低速で駆動を開始し、リカバリー処理は自動
給紙ローラー32が給紙動作を終了するまで待つ。そし
て、カートリッジホルダ37a及び37bはホームポジ
ション46に移動するように命令を受け、これにより、
自動給紙ローラー32とラインフィードモータ34との
係合は解除される(ステップS2163)。記録媒体
は、その先端が1インチの70/720だけ、プリント
ヘッド100a及び100bの第1のノズル位置を過ぎ
た位置にくるように送られる(ステップS2164)。
このとき、記録媒体は印刷位置にあり、リカバリー処理
からリターンする。
【0222】<4.3 給紙中のプリントヘッドのメイ
ンテナンス>上記説明及び図5A乃至図5Cに示すよう
に、キャリッジ容器37a及び37bの移動は、自動給
紙ローラーとラインフィードローラー34とを係合させ
るようにクラッチ部140を調整するために必要であ
り、これにより、自動給紙ローラー32を駆動して、プ
リンタ10に記録媒体を給紙している。従来のプリンタ
では、プリントヘッドのクリーニングなど、他の印刷前
タスクを行う前に記録媒体の給紙が終了するまで待機し
ていた。このような構成では、カートリッジホルダ37
a及び37bは記録媒体を給紙する間、自動給紙ローラ
ー32とラインフィードモータ34とを係合させたり、
係合を解除させるためにカートリッジホルダ37a及び
37bを必要とする問題が給紙中に発生した場合に備え
て、クラッチ部140の側に置かれていた。
【0223】これに対し、本発明の好適な実施の形態に
よれば、自動給紙ローラー32が適切な位置から自動給
紙を開始したかどうかを判断し、さらに自動給紙動作が
順調に進んでいるかどうかを判断する。従って、記録媒
体の自動給紙が順調に進んでいる場合には、自動給紙の
終了に先立って、プリントヘッドのクリーニングや保全
などの印刷前タスクのためにカートリッジホルダ37a
及び37bを使用することができる。
【0224】この機能を達成するためにプリンタ10に
より実施される具体的な処理は、図21AのステップS
2111乃至S2118で示す自動給紙動作により示さ
れており、上述したとおりである。具体的には、自動給
紙動作が順調に進んでいると判断された場合、図21A
のステップS2113において、カートリッジホルダ3
7a及び37bはホームポジション46に戻される。処
理は、カートリッジホルダ37a及び37bがホームポ
ジション46で止まるのを待つため、ホームポジション
46に戻る途中でプリントヘッド100a及び100b
を拭く時間ができる。この後、プリントヘッド100a
及び100bは、良好な印刷状態を保つために、予備吐
出を行うように命令される(図21AのステップS21
18)。
【0225】図22は、プリントジョブにおいてプリン
タ10における記録媒体の最初の1枚を給紙する自動給
紙処理実行中の、自動給紙ローラー32、カートリッジ
ホルダ37a及び37b、プリントヘッド100a及び
100b、及びプリンタドライバ84の機能関係を示す
フローチャートである。ステップS2201で処理を開
始し、ラインフィードモータの速度を図21Dを参照し
て上述したようにして選択する。そして、プリントヘッ
ド接続キャップ47a及び47bの状態をチェックし
て、それらが閉じているか否かを判断する(ステップS
2202)。キャップ47a及び47bが閉じていれ
ば、開くように命令する(ステップS2203)。その
後、カートリッジホルダ37a及び37bはホームポジ
ション46へ移動するように命令され(ステップS22
04)、プリントヘッド100a及び100bは予備吐
出するように命令される(ステップS2205)。そし
て処理はステップS2206に戻り、キャリッジモータ
39は、自動給紙ローラー32とラインフィードモータ
34とを係合させるためにカートリッジホルダ37a及
び37bをクラッチ部140のところに移動するように
命令を受ける。カートリッジホルダ37a及び37b
は、ステップS2209で示すように、割り込みバック
グラウンド処理の監視の下、移動を続ける。
【0226】ステップS2207で、ラインフィードモ
ータ34は、自動給紙ローラー32を介して記録媒体の
給紙を開始する。ここで、給紙は、ステップS2210
で示すように割り込みバックグラウンド処理の監視の
下、続けられる。ステップS2208では、ステップS
2209の割り込みバックグラウンド処理が、カートリ
ッジホルダ37a及び37bがクラッチ部140のとこ
ろに移動したことを示す割り込みを返すまで待機する。
そして、ステップS2211に進み、キャリッジモータ
39は、カートリッジホルダ37a及び37bをホーム
ポジション46に移動するように指示され、ステップS
2212ではプリントヘッド100a及び100bの拭
き取りを監視する割り込みバックグラウンド処理を開始
する。この後、自動給紙処理のための早期成功フラグが
セットされているか否かを判断する(ステップS222
0)。早期成功フラグが「偽」に設定されている場合、
ステップS2213に進む。反対に、早期成功フラグが
「真」に設定されている場合、ステップS2221乃至
S2223に示すように、給紙状態リターンフラグをプ
リンタドライバ84に送るために、CPU91の処理を
中断する。そして、ステップS2213の直前に処理が
進む。
【0227】カートリッジホルダ37a及び37bをホ
ームポジション46に動かし、その間にプリントヘッド
100a及び100bの拭き取り動作を行う割り込みバ
ックグラウンド処理(ステップS2212)は、ステッ
プS2213の前にカートリッジホルダ37a及び37
bがホームポジション46に達したことを示す割り込み
を返す。そして、プリントヘッド100a及び100b
の予備吐出がステップS2213で行われる。そしてス
テップS2214では、記録媒体の給紙を監視する割り
込みバックグラウンド処理(ステップS2210)が記
録媒体の給紙の終了を示す割り込みを返すまで待機す
る。
【0228】記録媒体の給紙が完了したことを示す通知
を受け取ると(ステップS2214)、この自動給紙処
理の早期成功フラグが過去に検知されたかを判断する
(ステップS2215)。早期成功フラグが過去に検知
されている場合、この処理からリターンする(ステップ
S2219)。また、早期成功フラグが過去に検知され
ていない場合、ステップS2217及びS2218に示
すように、給紙状態リターンフラグをプリンタドライバ
84に送るために、プリンタ10のCPU91の制御を
中断する。そして、ステップS2219においてリター
ンする。このようにすることにより、給紙が順調に進ん
でいる場合に、カートリッジホルダ37a及び37bは
プリントヘッド100a及び100bの拭き取り及び予
備吐出などの印刷前タスクを、記録媒体の給紙と平行し
て実行することができる。従って、記録媒体給紙の完了
から、印刷開始までに必要な時間を、自動給紙処理の信
頼性及び遂行に有害な影響を与えることなく、短縮する
ことができる。
【0229】図23は、プリンタ10における自動給紙
処理の実行を機能的に示すフローチャートであり、1枚
の記録媒体の排紙に引き続いて記録媒体の次の1枚を給
紙する場合について説明したものである。まず、前の記
録媒体を排紙するために、ラインフィードモータ34の
速度を選択する(ステップS2301)。そして、ライ
ンフィードモータ34は、前の記録媒体の排紙を開始す
るように命令を受ける(ステップS2302)。この動
作により、ステップS2307で示す前の記録媒体の排
出を監視する割り込みバックグラウンド処理が始まる。
次に、キャリッジモータ39はカートリッジホルダ37
a及び37bをホームポジション46に移動するように
命令を受け(ステップS2306)、この動作により、
カートリッジホルダ37a及び37bの動きを監視する
割り込みバックグラウンド処理が始まる。ここで、排紙
が終了したことを示す割り込みが、前の記録媒体の排紙
を監視する割り込みバックグラウンド処理から返される
まで待機し(ステップS2307)、割り込みを受け取
ると、ステップS2304に進む。そして、排紙後に、
次の記録媒体を給紙するか否かを判断し(ステップS2
304)、しない場合には、ステップS2305でリタ
ーンする。
【0230】排紙の後に、次の記録媒体の給紙を行うの
であれば、現在の行送り速度が、自動給紙ローラー32
を駆動するためにクラッチ部140と係合するのに必要
な速度と同じであるかどうかを判断する(ステップS2
308)。行送り速度と同じではない場合、割り込みバ
ックグラウンド処理を開始して、行送り速度が自動給紙
ローラー32を駆動するためにクラッチ部140と係合
するのに必要な速度になるのを監視する(ステップS2
309)。必要な速度になるまでステップS2308を
繰り返し、必要な速度になったと判断されると、処理は
ステップS2310に進む。
【0231】キャリッジモータ39は、ステップS23
10において、自動給紙ローラー32とラインフィード
モータ34を係合させるために、カートリッジホルダ3
7a及び37bをクラッチ部140のところまで移動さ
せるように命令を受ける。これを受けて、ステップS2
311に示すようにカートリッジホルダ37a及び37
bの動きは、割り込みバックグラウンド処理による制御
の下、続けられる。ステップS2311のバックグラウ
ンド処理から割り込みが返されると、ステップS231
4において、割り込みバックグラウンド処理の監視をし
つつ、記録媒体の給紙を進める。ステップS2312で
は、ステップS2311の割り込みバックグラウンド処
理がカートリッジホルダ37a及び37bがクラッチ部
140のところに到着し、自動給紙ローラー32とライ
ンフィードモータ34が係合したことを示す割り込みを
返すまで待つ。そして、ステップS2313に進み、キ
ャリッジモータ39はカートリッジホルダ37a及び3
7bをホームポジション46に移動するように命令を受
け、これにより、カートリッジホルダ37a及び37b
がホームポジション46へ移動し、その途中に、プリン
トヘッド100a及び100bの拭き取りが行われるの
を監視する割り込みバックグラウンド処理(ステップS
2316)が始まる。次に、早期成功フラグが自動給紙
処理のために設定されているか否かを判断する(ステッ
プS2315)。早期成功フラグが「偽」に設定されて
いる場合にはステップS2318に進み、「真」に設定
されている場合には、ステップS2317,S232
0,S2321で示されるように、給紙状態をプリンタ
ドライバ84に送るためにプリンタ10のCPU91に
よる制御を中断する。
【0232】ステップS2316の、割り込みバックグ
ラウンド処理は、カートリッジホルダ37a及び37b
がホームポジション46に到着したことを示す割り込み
をステップS2318の前に返す。そしてプリントヘッ
ド100a及び100bの予備吐出をステップS231
8で行う。ステップS2319において、記録媒体の給
紙を監視する割り込みバックグラウンド処理(ステップ
S2314)が記録媒体の給紙の完了を示す割り込みを
返すまで待機する。記録媒体の給紙完了の通知を受けて
(ステップS2319)、この自動給紙処理のための早
期成功フラグが過去に検知されたかどうかを判断する
(ステップS2322)。検知されている場合にはこの
処理からリターンする(ステップS2326)。また、
検知されていない場合には、ステップS2324及びS
2325に示すように、給紙状態リターンフラグをプリ
ンタドライバ84に送信するために、プリンタ10のC
PU91の制御を中断する(ステップS2323)。そ
して、ステップS2326においてリターンする。この
ように、図22を参照にして上記説明した記録媒体の1
枚目の給紙と同様に、信頼性及び遂行に有害な影響を与
えることなく、記録媒体の給紙完了後にプリントヘッド
の拭き取り及び予備吐出などの他の印刷前タスクを行う
ために必要な時間を短縮することができる。
【0233】<5.0 キャリッジの制御>このセクシ
ョンでは、より速いキャリッジモータに対応するための
本実施の形態のキャリッジモータ制御について説明す
る。
【0234】<5.1 マージン及び方向の制御>プリ
ンタ10のキャリッジモータ39は、プリントヘッド1
00a及び100bがより高速に記録媒体を走査するこ
とで印刷速度を上げるために、通常のプリンタよりも高
速なモータであることが好ましい。しかし、高速モータ
は動作開始時の速度が一定とならない傾向がある。速度
が一定ではないために、画像が波打つなど、画質が落ち
ることがある。画像の波打ちは、例えば、チャートや表
などの無彩色のグラフィック画像や、カラー画像等の連
続画で特に目立つものである。しかし、適切にキャリッ
ジモータを制御することで、速度のばらつきの影響を緩
和することができる。
【0235】簡単に説明すると、本実施の形態では、プ
リントデータの内容を判断し、印刷のためにプリントヘ
ッドによる横方向走査をする際に、端部でクリティカル
ゾーンを用いる第1の横方向走査、または印刷でクリテ
ィカルゾーンを用いない第2の横方向走査のいずれかに
よりプリントデータの印刷を行うことにより速度のばら
つきに対処する。第1または第2の横方向走査処理は、
プリントデータに基づいて選択される。クリティカルゾ
ーンとは、横方向走査でプリントヘッドを動かす場合
に、安定しない領域のことである。
【0236】好ましくは、クリティカルゾーンの大きさ
は速度のばらつきによる印刷の質の低下が明らかに見分
けがつくようになる点と、見分けがつかなくなる点との
距離に適合するように、プリントヘッドが取り付けられ
たプリントキャリッジの速度変化に伴う不一定さに基づ
いて決まる。
【0237】また、現スキャンのためのプリントデータ
と前回のスキャンのためのプリントデータが、少なくと
もクリティカルゾーンにおいて連続したプリントデータ
であるかどうかを判断することが好ましい。現スキャン
のためのプリントデータ及び前回のスキャンのためのプ
リントデータが連続するプリントデータではない場合、
現スキャンでは、前回のスキャン方向と反対方向に第1
の横方向走査処理を行って、印刷をする。現スキャンの
ためのプリントデータ及び前回のスキャンのためのプリ
ントデータが連続するプリントデータである場合、現ス
キャンでは、前回のスキャン方向と同じ方向に第2の横
方向走査処理を行って印刷をする。
【0238】以下、更に詳しく説明する。図27Aは、
孤立スキャンライン300、連続画像301、及びカラ
ー画像302を普通紙の記録媒体303上に印刷する、
標準モード(つまり、ドラフトモードや、ベストモード
ではない)印刷のキャリッジ制御を説明するための概略
図である。孤立スキャンライン300は白領域305に
よって他の部分と分離されているもので、典型的な例と
しては、プリントヘッド100aまたは100bが印刷
可能な幅よりも狭いテキストなどがある。本実施の形態
によれば、孤立スキャンライン300は、スキャンマー
ジンを追加することなく、両方向印刷304で印刷され
る。これらのスキャンラインは通常テキストであるため
に、速度のばらつきに起因する波打ちや、その他の画質
の低下は目立ちにくい。従って、スキャンマージンの無
い速い両方向印刷でも、充分に満足できる画質の画像を
高速に印刷することができる。
【0239】連続画像301は、印刷するために複数の
スキャンラインを必要とする無彩色の画像であり、スキ
ャンライン間に白領域がない。連続画像301の例とし
ては、プリントヘッド100aまたは100bが印刷可
能な幅よりも広い、大きなフォントのテキスト画像や、
表及びチャートを含む白黒またはグレースケール画像等
がある。
【0240】連続画像301がマージン無しの両方向印
刷で印刷された場合、スキャンライン毎に記録媒体の互
いに異なる反対端で、速度にばらつきが起こる。その結
果、各スキャンラインの開始における速度のばらつきに
よる画質のゆがみが、前回及びその次のスキャンライン
の垂直方向に隣り合ってゆがんでいない端部近辺で、よ
り目立つことになる。この問題に対応するために、本実
施の形態のプリンタ10は、一方向印刷306を用いて
連続画像を印刷する。更に、インクを記録媒体303に
吐出する前に、モータの不安定動作の影響を無くすこと
ができるように、それぞれのスキャンラインの前にスキ
ャンマージン307を挿入する。印刷は一方向に行われ
るため、スキャンラインの左側に左マージン307のみ
を挿入すればよい。
【0241】上記制御方法の長所は、クリティカルゾー
ンでの印刷を含む両方向印刷を、速度のばらつきに起因
するゆがみが目立ちにくい、孤立(例えばテキスト)ス
キャンラインの印刷に用いることにより、印刷速度を上
げている。クリティカルゾーンでの印刷を含まない一方
向印刷は、連続画像のスキャンラインの印刷のために用
いられるため、速度のばらつきによるゆがみが最も目立
つ領域でのゆがみを緩和できる。
【0242】カラー画像302については、図7のプリ
ントヘッド62などのカラープリントヘッドにより記録
されるそれぞれのスキャンラインの幅は23画素であ
り、これに対して、黒プリントヘッドでは127画素、
カラープリントヘッドの黒ノズルでは63画素である。
従って、孤立または無彩色の連続画像を印刷する場合に
比べて、カラープリントヘッドである大きさのカラー画
像を印刷するためには、プリントヘッド100a及び1
00bで走査する回数がより多く必要である。一方向印
刷では、非常に高画質の出力が望まれているのでなけれ
ば、このような印刷動作の速度が許容される以上に遅く
なることもある。従って、カラー画像302を印刷する
場合にも、両方向印刷309が行われる。両方向印刷が
行われるために、プリントヘッド100a及び100b
による順方向(左から右方向)への走査前に左スキャン
マージン307を挿入し、逆方向(右から左方向)への
走査前に、右スキャンマージン310を挿入する。
【0243】上記で説明したように、図27Aに示すス
キャンマージンと走査方向の組み合わせは普通紙の記録
媒体303上に標準モード印刷をする場合に適用可能で
ある。他の印刷方向は、印刷モード、記録媒体のタイ
プ、プリントヘッドの構成、エラー拡散モードの異なる
組み合わせに応じて得ることができる。これら異なる組
み合わせおよびその結果得られる印刷方向は、図27C
乃至図27Gを参照してあとで詳しく説明する。これら
の異なる組み合わせを用いて連続画像及びカラー画像が
記録される場合、一方向印刷の場合はスキャンマージン
307をそれぞれのスキャンラインの前に挿入し、両方
向印刷の場合は、スキャンマージン307及び310を
それぞれのスキャンラインの前に挿入する(マージン3
07は順方向スキャンラインの前に、マージン310は
逆方向のスキャンラインの前に挿入される)ことが好ま
しい。
【0244】図27Bは、スキャンライン内に無彩色連
続画像部分及びカラー画像部分の両方を含む場合のキャ
リッジ方向制御を説明する図である。図27Bに示すよ
うに、無彩色連続画像部分は一方向に印刷することが好
ましく、カラー画像部分は、両方向で印刷されることが
好ましい。連続画像部分を一方向で印刷することによ
り、キャリッジモータの速度がのばらつきに起因する画
像のゆがみが目立たなくなる。
【0245】図7のプリントヘッド62のようなプリン
トヘッドが用いられた場合、カラー画像部分ではプリン
トヘッドの各パスでカラーノズル23本が用いられ、無
彩色部分では黒ノズル46本が用いられる。その結果、
無彩色の領域のパス数はカラー領域のパス数よりも少な
くて済むため、無彩色の領域を一方向に印刷することに
よるスピードダウンを吸収することができる。
【0246】図27C乃至図27Gは、一連のプリント
モードテーブルを示し、プリントモードテーブルは、プ
リントモード、記録媒体のタイプ、プリントヘッドの構
成、及びエラー拡散モードの異なる組み合わせを用いて
画像を印刷するための印刷方式(案)を含む。より詳し
くは、図27Cは高速エラー拡散のプリントモードテー
ブルであり、プリントヘッド100a及び100bで画
像を印刷する時にプリンタ10で用いる複数の印刷方式
を含む。図27Cは、それぞれの印刷方式について、6
つの要素を示す。それらは、(1)印刷する画像のラス
タ解像度、(2)印刷する画像の印刷解像度、(3)そ
れぞれのスキャンラインを走査するために、プリントヘ
ッド100a及び100bが通過する回数及び方向、
(4)自動給紙(ASF)速度、(5)行送り(LF)
速度、(6)カートリッジホルダ(CR)の速度であ
る。
【0247】これら6つの要因は、画像の解像度を決定
する、例えば、ドラフトモード、標準モード、高画質モ
ードなどのプリントモードに応じて印刷方式毎に異な
る。また、スタンダードモードまたは写真モード等の画
質のモードによって異なり、さらに、普通、特殊1また
は特殊2等、記録媒体のタイプによっても異なる。図2
7Dに示す速度特定テーブルは、それぞれのモードの自
動給紙(ASF)速度、行送り(LF)速度、及びカー
トリッジホルダ(CR)の速度について、一秒あたりの
パルス数を定義している。図27Eに示す記録媒体タイ
プテーブルは、普通、特殊1及び特殊2とに区分される
記録媒体のタイプを提供している。例えば、「普通」カ
テゴリーは普通紙、バブルジェット紙、パンフレット
紙、カードを含む。「特殊1」カテゴリーは高解像度紙
(HR−101)を含み、「特殊2」カテゴリーはその
他の記録媒体のタイプを含む。
【0248】図27Cに示す高速エラー拡散のプリント
モードテーブルでは、プリントモード及び記録媒体の種
類の様々な組み合わせに応じて位置合わせを行う、18
の異なる印刷方式に分かれている。例えば、標準プリン
トモードおよびスタンダード画質モードで特殊1の高解
像度紙の使用を求める、位置合わせを行うプリントジョ
ブがリクエストされた場合、印刷方式は6つの要因につ
いて以下の通り定義する。すなわち、(1)ラスタ解像
度は360×360dpi、(2)印刷解像度は720
×720dpi、(3)各スキャンラインを走査するた
めにプリントヘッド100a及び100bによる2回の
通過を必要とし、両方向走査を行い、(4)ASF速度
は通常に設定され、(5)LF速度は通常に設定され、
(6)カートリッジホルダCR速度は低速に設定され
る。図27Cに示される印刷方式いくつかは定義により
使用することができない。そのような印刷方式には、例
えば、写真画質のものをドラフトモードで印刷したり、
特殊記録媒体をドラフトモードで用いるといったものが
ある。
【0249】ある印刷方式は、図27Fに示すサブ印刷
方式(”1pass_U/B*1”)の使用を求める。
このサブ印刷方式では、1回の通過で各スキャンライン
の印刷を行い、操作方向及び使用されるノズルのパター
ンはプリンタ10に搭載されたプリントヘッド100a
及び100bのタイプ及び現スキャンラインで印刷され
る画像のタイプにより決定される。すでに説明したよう
に、プリンタ10に搭載されたプリントヘッド100a
及び100bのタイプはカラーインクプリントヘッド
(「BC−21e」)、及び/または黒インクプリント
ヘッド(「BC−23」)から選択された、2つのプリ
ントヘッドのタイプを含むことができる。スキャンライ
ンで印刷される画像のタイプは、テキストを印刷すると
きに用いられる「孤立黒」か、グラフィック画像などの
黒画像の連続する部分を印刷する時に使用される「連続
黒」か、カラー印刷の時に用いられる「カラー」であ
る。
【0250】例えば、標準解像度モード、スタンダード
画質モードで、普通紙を用いた印刷リクエストのための
印刷方式は、1pass_U/B*1サブ印刷方式を示
している。プリンタ10がカラーインクプリントヘッド
を1つと、黒インクプリントヘッドを1つプリントヘッ
ド100a及び100bとして有し、現スキャンライン
上で印刷する画像が連続する黒のグラフィック画像であ
る場合、そのスキャンラインをプリントヘッド100a
及び100bでプリントするためには1回の通過が求め
られる。更に、カラーインクプリントヘッドのカラーノ
ズルが全く使用されない場合、カラーインクプリントヘ
ッドの黒インク用の63のノズルが一方向のみの印刷に
使用され、黒インクプリントヘッドの127のノズルが
順方向の印刷時にのみ使用される(一方向の走査は、順
方向でも逆方向でも起こり得る)。従って、通過回数、
印刷方向、及びノズルの選択は、質のよい画像を確実に
印刷するために、プリンタ10に搭載されたプリントヘ
ッド100a及び100bのタイプ、現スキャンライン
上に印刷する画像のタイプ、及び現プリントジョブでリ
クエストされたプリントモード及び記録媒体のタイプに
基づいて印刷方式の一部として選択される。
【0251】本実施の形態の特徴は図27Fに特によく
現れている。具体的には、孤立黒は、両方向で印刷さ
れ、連続黒は一方向で印刷され(プリントヘッドBC−
21eとBC−23の組み合わせ)、そしてカラーは両
方向で印刷される。
【0252】図27Gに通常エラー拡散のプリントモー
ドテーブルを示す。このテーブルもそれぞれの印刷方式
について6つの要因を提供している。すなわち、(1)
印刷する画像のラスタ解像度、(2)印刷する画像の印
刷解像度、(3)各スキャンラインを走査するために、
プリントヘッド100a及び100bのパス数及び方
向、(4)自動給紙の速度(ASF)速度、(5)行送
り(LF)速度、(6)カートリッジホルダ(CR)で
ある。
【0253】これら6つの要因は、画像の解像度を決定
する、例えば、ドラフトモード、スタンダードモード、
高画質モードなどのプリントモードに応じて印刷方式毎
に異なる。また、スタンダードモードまたは写真モード
等の画質のモードによって異なり、さらに、普通紙1、
特殊1または特殊2等、記録媒体のタイプによっても異
なる。従って、位置合わせを行わない印刷のための印刷
方式は、プリントモード及び記録媒体のタイプの様々な
組み合わせにより決定される。
【0254】図28は、印刷処理のための本実施の形態
におけるプリントヘッドの動きを説明する図である。図
28は、キャリッジの位置と、3スキャンライン31
1,312,313のスキャンマージンを示している。
以下の説明では、スキャンライン311を前のスキャン
ライン、スキャンライン312を現スキャンライン、そ
してスキャンライン313を次のスキャンラインと呼
ぶ。
【0255】前のスキャンライン311では、プリント
ヘッド100aの印刷領域316として左端[A](A
_L1)314及び右端[A](A_R1)315、プ
リントヘッド100bの印刷領域319として左端
[B](B_L1)317及び右端[B](B_R1)
318、まとめられた印刷領域として領域左320と領
域右321、そして加速領域322及び減速領域323
が示されている。現スキャンライン312では、プリン
トヘッド100aの印刷領域326として左端[A]
(A_L2)324及び右端[A](A_R2)32
5、プリントヘッド100bの印刷領域329として左
端[B](B_L2)327及び右端[B](B_R
2)328、まとめられた印刷領域として領域左330
と領域右331、そして加速領域332及び減速領域3
33が示されている。更に、前のスキャンライン313
は、プリントヘッド100aの印刷領域336として左
端[A](A_L3)334及び右端[A](A_R
3)335、プリントヘッド100bの印刷領域339
として左端[B](B_L3)337及び右端[B]
(B_R3)338、まとめられた印刷領域として領域
左340と領域右341、そして加速領域342が示さ
れている。
【0256】図28に示す位置の値は、左から右へと大
きくなっているので、小さい値の位置ほど、大きい値の
位置よりも左側にあることになる。
【0257】加速領域及び減速領域は、キャリッジモー
タ39がスキャン速度まで加速またはスキャン速度から
減速している間にプリントヘッド100a及び100が
移動する距離を示す。これらの距離は、キャリッジモー
タ39の25ステップ分や、16mmといった定数で表
現することが好ましい。
【0258】図28で示される印刷動作は、スキャンマ
ージンを用いた両方向印刷の例を示している。詳しく
は、プリントヘッド100a及び100bが前のスキャ
ンライン311を印刷し終えた時、プリントヘッドは領
域右321に位置している。その後プリントヘッドは領
域右321から現スキャン行312の領域右331の右
側まで、スキャンマージン310と加速領域332を足
した分だけ動き、現スキャンライン312の印刷開始に
備える。現スキャンライン312の印刷を終えた時、プ
リントヘッドは領域左330に位置している。プリント
ヘッドは領域左330から次のスキャンライン313の
領域左340の左側まで、スキャンマージン307と加
速領域342を足した分だけ動き、次のスキャンライン
313の印刷開始に備える。
【0259】図28に示す印刷が一方向印刷である場
合、プリントヘッド100a及び100bは前のスキャ
ンライン311の印刷終了点である領域右321から現
スキャンライン312の領域左330の左まで、スキャ
ンマージン307と加速領域332を足した分だけ動く
(図の左側に当たる)。
【0260】次に、プリントヘッド100a及び100
bを動かす場合のプリンタドライバ84及びプリンタ制
御部110(つまり、プリンタのファームウエア)の動
作を説明する。
【0261】(5.1.1 プリンタドライバの初期動
作)図29は、本実施の形態においてプリンタドライバ
により発行されるSKIPコマンドを説明するためのフ
ローチャートである。この機能は、図20のステップS
2008により呼び出され、垂直方向の印刷位置をスキ
ップパラメータにより特定されるラスターラインの数分
だけ記録媒体を送るために用いられる。引数0のSKI
Pコマンドは、プリンタ10にセクション8.0で後述
するノズル数変更予備吐出処理を行う指示を出すために
用いられる。ある孤立スキャンラインから別の孤立スキ
ャンラインに、例えば図27Aの白領域305を越えて
移るためには、スキップ引数はプリントヘッド100a
及び100bの印刷幅よりも広い距離に対応する。
【0262】更に詳しく説明すると、まずステップS2
901でスキップ引数が0行の行送りを指示しているか
どうかを判断する。もしスキップ引数が0であれば、処
理はステップS2902に進み、ノズル数変更予備吐出
リクエストがプリンタ制御部110に送られる。この動
作については、セクション9.0で詳細に後述する。引
数が0でなければ、未実行のノズル数変更予備吐出リク
エストがステップS2903で再送信され、ステップS
2904で記録媒体はスキップラスター行分だけ行送り
される。
【0263】適切なSKIP処理を終えると、PRIN
Tコマンドがプリンタ84により発行される(図20参
照)。図30は、本実施の形態におけるPRINTコマ
ンドを説明するためのフローチャートである。
【0264】ステップS3001において、領域左33
0を、左端[A]324及び左端[B]327のいずれ
か小さい方と等しくすることにより、現スキャンライン
312の領域左330を決定する。同様にステップS3
002において、領域右331を右端[A]325及び
右端[B]328のいずれか大きい方と等しくすること
により、現スキャンライン312の領域右331を決定
する。
【0265】ステップS3003では、領域左340を
左端[A]334及び左端[B]337のいずれか小さ
い方と等しくすることにより、次のスキャンライン31
3の領域左340を決定する。同様にステップS300
4において、領域右341を右端[A]335及び右端
[B]338のいずれか大きい方と等しくすることによ
り、次のスキャンライン313の領域右341を決定す
る。
【0266】ステップS3001乃至S3004で使用
される左端及び右端の値はEDGEコマンドによって定
義されるが、これについては図32を参照にして後で詳
しく説明する。
【0267】ステップS3005では、印刷方向、速
度、スキャンマージン、自動トリガー遅延などの印刷情
報が印刷動作を行うために格納される。印刷方向の設定
については図31を参照して、スキャンマージンの設定
については図33及び図34を参照して、また、自動ト
リガー遅延の設定については図35を参照して、詳しく
後述する。
【0268】ステップS3006では、プリンタドライ
バ84はプリンタ制御部110に対して、キャリッジタ
スクを初期化するように指示する。この動作について
は、図36乃至図38を参照して後で詳しく説明する。
キャリッジタスクは記録媒体に対するをプリントヘッド
の位置決め及び、走査を規定するもので、この間、プリ
ントヘッドからインクが吐出される。キャリッジタスク
の初期化後、ステップS3007においてプリンタ制御
部110が必要な処理及びプリンタドライバ84との通
信を行えるように2ms間待機する。そして、処理は図
20へリターンする。
【0269】図31は、本実施の形態においてプリンタ
ドライバにより発行されるDIRECTIONコマンド
を説明するためのフローチャートである。ステップS3
101において、DIRECTIONコマンドが現スキ
ャンライン312のために呼び出されたかどうかを判断
し、その場合には、現走査のための方向の情報をDir
ectionとして設定する。現スキャンライン312
のためではない場合、ステップS3103においてその
DIRECTIONコマンドが次のスキャンライン31
3のために呼び出されたかどうかを判断し、その場合、
次のスキャンラインのための方向の情報をNextDi
rectionとして設定する。
【0270】Direction及びNextDire
ctionは、順方向及び逆方向の走査を示す値を保持
することができる。Direction及びNextD
irectionのための値を判断するには、プリンタ
ドライバ84はまず、一方向印刷と両方向印刷のどちら
が行われているかを判断する。一方向印刷または両方向
印刷は、セクション6.0で説明するように、プリント
モード、記録媒体のタイプ、画像のタイプ、プリントヘ
ッドの構成、プリントヘッドのアライメントに基づいて
判断される。一例では、図27Aを参照して上述したよ
うに、スタンダード画質プリントモードで普通紙に印刷
する場合、連続画像には一方向印刷が用いられ、テキス
ト及びカラー画像に対しては両方向印刷が用いられる。
【0271】一方向印刷が行われている場合、Dire
ction及びNextDirectionは順方向印
刷に設定される。また、両方向印刷が行われている場
合、Direction及びNextDirectio
nは、現スキャンライン312は前のスキャンライン3
11の方向の反対方向、次のスキャンライン313は現
スキャンライン312の反対方向となるように設定され
る。
【0272】図32は、本実施の形態においてプリンタ
ドライバにより発行されるEDGEコマンドを説明する
フローチャートである。EDGEコマンドは、現スキャ
ンライン及び次のスキャンラインの両方について、コラ
ム位置単位で印刷位置の左端及び右端を特定する。プリ
ンタドライバ84は、入力したプリントデータに基づい
てこれらの値を計算することが好ましい。
【0273】ステップS3201において、EDGEコ
マンドがプリントヘッド100a(プリントヘッドA)
のために呼び出されたか、それともプリントヘッド10
0b(プリントヘッドB)のために呼び出されたかを判
断する。プリントヘッドAのために呼び出された場合に
はステップS3202に進み、EDGEが現スキャンラ
イン312のために呼び出されたか否かを判断し、その
場合はステップS3203で現スキャンライン312の
左端[A]324及び右端[A]325を設定する。そ
うでなければステップS3204においてEDGEが次
のスキャンライン313のために呼び出されたかどうか
を判断する。その場合、ステップS3205で次のスキ
ャンライン313のための左端[A]334及び右端
[A]335を設定する。
【0274】また、EDGEがプリントヘッドBのため
に呼び出された場合、同様のステップS3206乃至ス
テップS3209により、現スキャンライン312のた
めの左端[B]327及び右端[B]328、次のスキ
ャンライン313のための左端[B]337及び右端
[B]338を設定する。左端及び右端の値は、次のセ
クション5.1.2で詳述するように、プリンタ制御部
110がプリントヘッド100a及び100bの動きを
制御するために用いられる。
【0275】図33は、本実施の形態においてプリンタ
ドライバによるスキャンマージンの決定を説明するフロ
ーチャートである。ステップS3301において、プリ
ントモードがチェックされる。次のステップS3302
では、プリントモードが連続またはカラーである場合
に、スキャンマージンが必要であるかどうかを判断す
る。そして、図31で決定した現スキャンライン312
のDirectionが順方向である場合、ステップS
3303からステップS3304へ進み、順方向のため
のスキャンマージン307が設定される。また、Dir
ectionが逆方向を示す場合、ステップS3303
からステップS3305に進み、逆方向走査のためのス
キャンマージン310が設定される。
【0276】ステップS3302で、孤立スキャンライ
ンの印刷時などのようにスキャンマージンが必要ではな
いと判断されると、ステップS3302からステップS
3306に進む。そして図31で決定した現スキャンラ
イン312のDirectionが順方向である場合、
ステップS3306からステップS3307に進み、順
方向のスキャンマージンとして0(マージン無し)が設
定される。また、Directionが逆方向を示す場
合は、ステップS3306からステップS3308に進
み、逆方向のスキャンマージンとして0(マージン無
し)が設定される。
【0277】図34は、本実施の形態においてプリンタ
ドライバにより発行されるNEXT_MARGINコマ
ンドを説明するためのフローチャートである。NEXT
_MARGINコマンドは、次のスキャンマージンの値
をScanMarginLeftまたはScanMar
ginRightの適切な方に格納する。ScanMa
rginleftは、スキャンラインに挿入される次の
スキャンマージンが順方向走査のための左スキャンマー
ジンである場合に用いられ、ScanMarginRi
ghtは、次のスキャンマージンが逆方向走査のための
右スキャンマージンである場合に用いられる。ステップ
S3401では、次のスキャンライン313が順方向が
逆方向かを判断し、判断に応じてステップS3402又
はS3403でScanMarginLeftまたはS
canMarginRightを格納する。
【0278】図35は、本実施の形態においてプリンタ
ドライバにより発行されるAT_DELAY(自動遅
延)コマンドを説明するフローチャートである。自動遅
延は、以下に図39a、図39b、図40乃至図42を
参照して説明するように、逆方向の印刷時に起こり得る
サテライティング(後述)を緩和するために用いられ
る。このコマンドは、走査方向を順方向または逆方向に
特定し、10μs単位で最大2550μsを最大として
自動トリガー遅延時間を特定することにより、自動トリ
ガー遅延を設定する。ステップS3501では、次のス
キャンマージンが順方向のためのものか逆方向のための
ものかを判断し、自動遅延のための値をAutoTri
ggerDelayLeftまたはAutoTrigg
erDelayRightにそれぞれステップS350
2又はS3503で格納する。
【0279】(5.1.2 プリント制御動作)図36
は、本実施の形態においてプリンタ制御部により実行さ
れるキャリッジタスク244を説明するフローチャート
である。キャリッジタスク244とプリンタ10におけ
るその他のタスク間の通信は、図18を参照して上述し
た。プリンタ10では、キャリッジタスク244がプリ
ンタ10で印刷が行われている間にキャリッジ41に沿
ったプリントヘッド100a及び100bの走査を制御
する。
【0280】ステップS3601において、キャリッジ
タスク244はプリンタドライバ84が移動コマンドま
たはプリントコマンドをプリンタ10に送ったか否かを
判断する。移動コマンドもプリントコマンドも送られて
いない場合、図18のエンジンコントロールタスク24
1にリターンする。移動コマンドを受信していた場合、
ステップS3602でキャリッジタスク244は移動コ
マンドの引数に従って移動動作を実行し、その後、図1
8のエンジンコントロールタスク241にリターンす
る。プリントコマンドを受信していた場合、印刷処理の
ためにステップS3604に移り、ステップS3605
で処理が開始される。
【0281】ステップS3605では、キャリッジタス
ク244はプリントヘッド100a及び100bの動き
がスキャンラインの終わりで止まるまで待機する。その
後ステップS3607に進み、スキャン予備吐出処理を
行うが、この処理についてはセクション9.0で詳細に
後述する。
【0282】スキャン予備吐出処理を終えるとステップ
S3608に進み、図31で説明したようにDIREC
TIONコマンドを介してプリンタドライバ84により
設定されたDirectionを調べることにより、現
スキャンライン312の走査方向を判断する。走査方向
が順方向である場合はステップS3609に進み、走査
方向が逆方向である場合はステップS3612に進む。
【0283】走査方向が順方向である場合、ステップS
3609において現スキャンライン312の領域左33
0からCrStartPosLを算出する。CrSta
rtPosLは記録媒体の次の順方向の走査のためのプ
リントヘッドのスタート位置を示す。ステップS361
0において、キャリッジタスク244はプリントヘッド
の現在位置CrPositionがCrStartPo
sLからキャリッジモータ39が加速する距離であるR
ampUpを差し引いた値以下であるかどうかを判断す
る。そうではない場合、プリントヘッドはCrStar
tPosLからRampUpを差し引いた値の右に位置
している。従って、キャリッジタスク244はステップ
S3611において、プリントヘッドをCrstart
PosLからRampUpを差し引いた値に対応する位
置まで左に動かす。このように、プリントヘッドをスキ
ャンラインのスタート位置まで動かすので、処理はステ
ップS3607に戻り、走査が開始される前に必要な予
備吐出処理を実行する。ステップS3607乃至S36
11はCrPositionがCrStartPosL
からRampUpを差し引いた値以下になるまで繰り返
され、そうなった場合、プリントヘッドは順方向スキャ
ンラインのスタート位置にあることになる。そして処理
はステップS3615に進む。
【0284】印刷方向が逆方向である場合、ステップS
3612において現スキャンライン312の領域右33
1からCrStartPosRを算出する。CrSta
rtPosRは記録媒体の次の逆方向の走査のためのプ
リントヘッドのスタート位置を示す。ステップS361
3において、キャリッジタスク244はプリントヘッド
の現在位置CrPositionがCrStartPo
sRにキャリッジモータ39が加速する距離であるRa
mpUpを加えた値以上であるかどうかを判断する。そ
うではない場合、プリントヘッドはCrStartPo
sLとRampUpを加算した値の左に位置している。
従って、キャリッジタスク244はステップS3614
において、プリントヘッドをCrstartPosRに
RampUpを加えた値に対応する位置まで右に動か
す。このように、プリントヘッドをスキャンラインのス
タート位置まで動かすので、処理はステップS3607
に戻り、走査が開始される前に必要な予備吐出処理を実
行する。ステップS3607、S3608、S3612
乃至S3614はCrPositionがCrStar
tPosRにRampUpを加えた値以上になるまで繰
り返され、そうなった場合、プリントヘッドは逆方向ス
キャンラインのスタート位置にあることになる。そして
処理はステップS3615に進む。
【0285】ステップS3615において、印刷情報を
取り出す。この印刷情報は、図30に示すように、プリ
ンタドライバ84からのPRINTコマンドに応じてプ
リンタ制御部110により格納されている。自動トリガ
ー遅延、インク滴のサイズ、ヒートパルス制御、及びバ
ッファ制御などの印刷情報の一部は、ステップS361
6においてプリンタ制御部110で実行される熱制御ハ
ンドラ254などの別の対応するタスクに送られる。
【0286】ステップS3617において、キャリッジ
制御パラメータが準備される。この制御パラメータは、
キャリッジモータ39を制御するキャリッジモータドラ
イバ39aを制御するために用いられる。制御パラメー
タの例としては、制御方法(半分/全部/4分の1)、
RampUpテーブル、RampDownテーブル、R
ampUpSteps、ConstantSteps、
RampDownSteps、CrHeatStart
Position、CrHeatEndCount、C
rScanEndPosition、CrStopPo
sitionなどを含む。
【0287】キャリッジモータはステップS3618で
動作を開始し、プリンタ制御部110により制御される
自動トリガー機構により、プリントヘッド100a及び
100bはキャリッジモータ29により記録媒体を走査
しながら、インクを吐出する。このトリガー機構につい
ては、図40乃至図42を参照して、後で詳細に説明す
る。
【0288】キャリッジモータの動作が開始すると、ス
テップS3619で両方向印刷または一方向印刷のいず
れが用いられているかを判断する。標準モードでの印刷
の場合、印刷のタイプがプリントモード(例えば、孤
立、連続、またはカラー)に基づいて判断される。図2
7C乃至27Gを参照して上述したように、印刷のタイ
プは記録媒体のタイプ、プリントヘッドの構成、エラー
拡散モードなどにも依存する。両方向印刷が用いられて
いる場合、処理は図37に示すキャリッジスキャン制御
1を行うためにステップS3620に進む。一方向印刷
の場合、図38に示すキャリッジスキャン制御2を行う
ためにステップS3621に進む。
【0289】図37は、図36のキャリッジタスク24
4により呼び出される、両方向印刷のためのキャリッジ
スキャン制御1を説明するためのフローチャートであ
る。
【0290】キャリッジタスク244はステップS37
01において、現走査のDirectionが順方向
(左)で次の走査のためのNextDirection
が逆方向(右)であるかどうかを判断する。そうである
場合、ステップS3702乃至S3707を実行する。
そうでなければ、キャリッジタスク244はステップS
3708において、現走査のDirectionが逆方
向(右)で次の走査のためのNextDirectio
nが順方向(左)であるかどうかを判断する。そうであ
る場合、ステップS3709乃至S3714を実行す
る。
【0291】現走査が順方向の場合、次のスキャンライ
ン313のためのCrStartPosRを、次のスキ
ャンライン313の領域右341を基にしてステップS
3702で算出する。ステップS3703において、C
rStartPosRと、ScanMarginRig
htとRampUpとを加算することによりTempN
ewPosを算出する。ScanMarginRigh
tはNEXT_MARGINコマンド(図34参照)に
応じてプリンタ制御部110により算出された情報の一
部であることが好ましい。マージンが次の逆方向走査の
前に挿入される場合、ScanMarginRight
はマージンのサイズを保持する。マージンを挿入しない
場合、ScanMarginRightはマージン無し
(0)を示す。
【0292】ステップS3704で、キャリッジタスク
244はTempNewPosが、プリントヘッド10
0a及び100bの右方向の最大移動範囲であるMax
Posよりも小さいかどうかを判断する。TempNe
wPosがMaxPosよりも小さくない場合、Tem
pNewPosはMaxPosより右側の、移動範囲外
であることになる。従って、ステップS3705におい
てTempNewPosはMaxPosと同じ値に設定
される。ステップS3704及びS3705の後、Te
mpNewPosは、スキャンマージン及びモータ加速
距離を考慮した、次の(逆方向の)スキャンラインの開
始位置と同じになる。
【0293】次に、ステップS3706で、CrSca
nEndPosがTempNewPosよりも小さいか
どうかを判断する。CrScanEndPosは、現
(順方向の)スキャンライン印刷終了後の、プリントヘ
ッド100a及び100bの位置である。従って、Cr
ScanEndPosがTempNewPosよりも小
さい場合、次の逆方向のスキャンラインが始まる位置よ
りも手前で現順方向のスキャンラインが終わったことに
なる。この場合、ステップS3707において、CrS
canEndPosをTempNewPosに更新する
ことにより、次のスキャンラインの開始位置まで現スキ
ャンラインを延長する。
【0294】また、現スキャンラインが逆方向の場合、
次のスキャンライン313のための領域左340から、
次のスキャンライン313のCrScanStartP
osLをステップS3709において算出する。そして
ステップS3710においてCrStartPosLか
らScanMarginLeftおよびRampUpを
差し引くことにより、TempNewPosを算出す
る。ScanMarginLeftはNEXT_MAR
GINコマンド(図34参照)に応じてプリンタ制御部
110により計算された情報の一部であることが好まし
い。マージンを次の順方向走査の前に挿入する場合、S
canMarginLeftはマージンのサイズを保持
し、マージンを挿入しない場合、ScanMargin
Leftはマージン無し(0)を示す。
【0295】ステップS3711で、キャリッジタスク
244はTempNewPosが、プリントヘッド10
0a及び100bの左方向の最大移動範囲であるMin
Posよりも大きいかどうかを判断する。TempNe
wPosがMinPosよりも大きくない場合、Tem
pNewPosはMinPosより左側の、移動範囲外
であることになる。従って、ステップS3712におい
てTempNewPosは MinPosと同じ値に設
定される。ステップS3711及びS3712の後、T
empNewPosは、スキャンマージン及びモータ加
速距離を考慮した、次の(順方向の)スキャンラインの
開始位置と同じになる。
【0296】次に、ステップS3713で、CrSca
nEndPosがTempNewPosよりも大きいか
どうかを判断する。CrScanEndPosは、現
(逆方向の)スキャンラインの印刷終了後の、プリント
ヘッド100a及び100bの位置である。従って、C
rScanEndPosがTempNewPosよりも
大きい場合、次の順方向のスキャンラインが始まる位置
よりも手前で現逆方向のスキャンラインが終わったこと
になる。この場合、ステップS3714において、Cr
ScanEndPosをTempNewPosに更新す
ることにより、次のスキャンラインの開始位置まで現ス
キャンラインを延長する。
【0297】図38は、図36のキャリッジタスク24
4により呼び出される、一方向印刷のためのキャリッジ
スキャン制御2を説明するためのフローチャートであ
る。
【0298】ステップS3801においてキャリッジタ
スク244は、現走査のDirectionが順方向
(左)で次の走査のためのNextDirection
が順方向(左)であるかどうかを判断する。その場合、
ステップS3802乃至S3807を実行する。そうで
なければ、キャリッジタスク244はステップS380
8において、現走査のDirectionが逆方向
(右)で次の走査のためのNextDirection
が逆方向(右)であるかどうかを判断する。その場合、
ステップS3809乃至S3814を実行する。
【0299】現走査が順方向の場合、次のスキャンライ
ン313のためのCrStartPosLを、次のスキ
ャンライン313の領域左340を基にしてステップS
3802で算出する。ステップS3803において、C
rStartPosLから、ScanMarginLe
ftとRampUpとを差し引くことによりTempN
ewPosを算出する。ScanMarginLeft
はNEXT_MARGINコマンド(図34参照)に応
じてプリンタ制御部110により算出されることが好ま
しい。マージンが次の走査の前に挿入される場合、Sc
anMarginLeftはマージンのサイズを保持す
る。マージンを挿入しない場合、ScanMargin
Leftはマージン無し(0)を示す。
【0300】ステップS3804で、キャリッジタスク
244はTempNewPosが、プリントヘッド10
0a及び100bの左方向の最大移動範囲であるMin
Posよりも大きいかどうかを判断する。TempNe
wPosがMinPosよりも大きくない場合、Tem
pNewPosはMaxPosより左側の、移動範囲外
であることになる。従って、ステップS3805におい
てTempNewPosはMinPosと同じ値に設定
される。ステップS3804及びS3805の後、Te
mpNewPosは、スキャンマージン及びモータ加速
距離を考慮した、次の(順方向の)スキャンラインの開
始位置と同じになる。
【0301】次に、ステップS3806で、キャリッジ
制御は、現スキャンラインが終了するまで待つ。そして
ステップS3807において、キャリッジ制御はプリン
トヘッド100a及び100bを次の順方向のスキャン
ライン開始のために、TempNewPosに動かし、
図36にリターンする。
【0302】また逆方向への走査の場合、次のスキャン
ライン313のための領域右341から、次のスキャン
ライン313のCrScanStartPosRをステ
ップS3809において算出する。そしてステップS3
810においてCrStartPosRに、ScanM
arginRightおよびRampUpを加えること
により、TempNewPosを算出する。ScanM
arginRightはNEXT_MARGINコマン
ドに応じてプリンタ制御部110により計算されること
が好ましい(図34参照)。マージンを次の順方向走査
の前に挿入する場合、ScanMarginRight
はマージンのサイズを保持し、マージンを挿入しない場
合、ScanMarginRightはマージン無し
(0)を示す。
【0303】ステップS3811でキャリッジタスク2
44はTempNewPosが、プリントヘッド100
a及び100bの右方向の最大移動範囲であるMaxP
osよりも小さいかどうかを判断する。TempNew
PosがMaxPosよりも小さくない場合、Temp
NewPosはMaxPosより右側の、移動範囲外で
あることになる。従って、ステップS3812において
TempNewPosは MaxPosと同じ値に設定
される。ステップS3811及びS3812の後、Te
mpNewPosは、スキャンマージン及びモータ加速
距離を考慮した、次の(逆方向の)スキャンラインの開
始位置と同じになる。
【0304】次に、ステップS3813で、キャリッジ
制御は、現スキャンラインが終了するまで待つ。そして
ステップS3814において、キャリッジ制御はプリン
トヘッド100a及び100bを次の逆方向のスキャン
ライン開始のために、TempNewPosに動かし、
図36にリターンする。
【0305】<5.2 自動インク吐出及びサテライテ
ィング制御>図39a及び図39bは、本実施の形態に
おけるサテライティング制御を示す図である。図39a
はサテライティング、具体的には、プリントヘッドで記
録媒体を高速で走査する場合に、インクをプリントヘッ
ドから吐出することで起こる可能性のある画質低下を示
す図である。一画素を印刷するためにインクジェットプ
リントヘッドから主要なインク滴が吐出されるとき、小
さいサテライト滴も一緒に吐出されることがしばしばあ
る。インクジェットプリントヘッドは、プリントヘッド
が記録媒体を順方向にスキャンする場合に、サテライト
滴が主要インク滴と重なるように、記録媒体に対してわ
ずかに傾けるのが普通である。しかし、逆方向にスキャ
ンする場合、この傾きによりサテライト滴が主要インク
滴の端近くまたは完全に離れた場所に付着する傾向があ
り、結果として、逆方向走査の場合、小さいサテライト
滴は記録されたそれぞれの画素の隣りに付着することに
なる。
【0306】図39aは、順方向走査中にインクの吐出
により印刷された画素351と、逆方向走査中にインク
の吐出により印刷された画素352を示す。画素352
の横にはサテライト滴が付着し、縦並び方向の画素の左
側にギザギザ355を作っている。ギザギザの左辺35
5は、特に、連続画(無彩色のグラフィック画像)にお
いては、明らかに画質を低下させることになる。
【0307】図39bは、サテライティングによる画質
低下を軽減するための、本実施の形態の印刷された画素
を示す。
【0308】サテライティングによる画質低下は、プリ
ントデータに基づくプリントヘッドの順方向及び逆方向
の往復走査による記録媒体上への順方向及び逆方向印刷
について、対処することができる。本実施の形態によれ
ば、プリントデータに基づいてプリントヘッドの正逆往
復走査の一方向で印刷し、正逆往復走査のもう一方の方
向では、プリントデータが前述の方向で印刷された垂直
方向に一致する画素の位置から横方向に所定距離ずれる
ように、プリントデータを印刷する。この所定距離は、
印刷された画素の大きさの1/4であることが好まし
い。横方向にシフトすることにより、特に連続画像デー
タを印刷する際に、サテライティングの影響をマスクす
ることができる。
【0309】図39bにおいて、逆方向走査中に印刷さ
れた画素362は、順方向走査中に印刷された画素36
1から、1/4画素分の遅延として示されているAT_
DELAY360分だけオフセットされている。その結
果、印刷された画素列のばらつきは、左側365と右側
366に分離される。オフセットすることによりサテラ
イト滴をマスクする効果があり、ばらつきが目立ちにく
いように描画される。
【0310】上述の通り、サテライティングは連続画像
データの場合に目立ちやすい。従って、本発明の実施の
形態においては、上記のような画素のシフトは、連続画
像を逆方向走査で印刷するときに限って行う。そして、
画素シフトは孤立の(例えばテキスト)画像や、カラー
画像に対しては行わないことが好ましい。
【0311】図40乃至図42は、自動インク吐出で画
素を逆方向に印刷する際に遅延を行う場合の、プリント
ヘッドによる記録媒体スキャン中の自動インク吐出を説
明するための図である。プリンタドライバ84からのA
T_DELAYコマンドは、逆方向のスキャンラインに
対しては、画素の大きさの1/4に対応する自動トリガ
ー遅延を設定し、順方向のスキャンラインに対しては、
自動トリガー遅延0を設定する。
【0312】図40は、本実施の形態において、プリン
タ制御部により実施されるキャリッジモータの動作開始
を説明するためのフローチャートである。図36に示す
キャリッジタスク処理のステップS3618からCR
MOTOR STARTコマンドを受け取る。これに応
じて、キャリッジモータ割り込みのためのハードウエア
のタイマをステップS4001でスタートさせる。この
ハードウエアタイマは図41及び図42を参照して後述
するように、キャリッジモータ制御をするために使用さ
れる。キャリッジモータドライバ39aはステップS4
002で動作を開始し、ステップS4003でルックア
ップテーブルを更新する。このルックアップテーブル
は、時間を定義したり、キャリッジモータを駆動するた
めの位相電流モードを設定するといったキャリッジモー
タ制御中に使用される。そして図36にリターンする。
【0313】図41は、本実施の形態において、プリン
タ制御部により実施されるキャリッジ割り込み処理を説
明するためのフローチャートである。この処理は、図4
0のステップS4001で開始される。ステップS41
01において割り込みが起きると、キャリッジ割り込み
処理S4102に入る。
【0314】図41の割り込み処理では、ステップS4
103において、モータ39が加速中であるかどうかを
判断する。モータ39が加速中である場合、ステップS
4104でモータが目標速度に達するように駆動する。
プリントヘッド100a及び100bの現在位置を示す
CrPositionはステップS4105で更新さ
れ、キャリッジモータ制御のためのカウンター及びルッ
クアップテーブルはステップS4106で更新される。
【0315】モータ39が加速していない場合、ステッ
プS4107でモータが定速領域(つまり、印刷領域)
で動作しているかどうかを判断する。モータが定速領域
で動作している場合、ステップS4108及びS410
9でモータを駆動し、CrPositionを更新す
る。そしてステップS4110で、プリントヘッドで記
録媒体をスキャンしながらプリントヘッドからインクを
吐出するように、図42を参照して詳細に後述する自動
トリガー処理を開始する。そして、キャリッジモータ制
御のためのカウンター及びルックアップテーブルをステ
ップS4111で更新する。
【0316】ステップS4112において、モータ39
が減速しているかどうかを判断し、減速している場合に
は、ステップS4113に進む。ステップS4113で
モータ39は駆動されて、モータのCrPositio
nはステップS4114で更新され、キャリッジモータ
制御のためのカウンター及びルックアップテーブルをス
テップS4115で更新する。
【0317】ステップS4112でモータ39が減速し
ていないと判断された場合、モータ39は停止してい
る。従って、モータ制御はステップS4116で終了
し、モータ割り込みのためのハードウエアタイマも止ま
る。
【0318】図42は、本実施の形態において、サテラ
イティングをマスクするために、プリンタ制御部により
行われる自動トリガー遅延を含む、プリントヘッドのノ
ズルの自動トリガーを説明するフローチャートである。
自動トリガーはプリンタ制御部110により行うことが
好ましく、また自動トリガー遅延は、図35を参照して
上述したように、プリンタドライバ84からAT_DE
LAYコマンドによりプリンタ制御部110へ提供する
ことが好ましい。本実施の形態によれば、プリンタドラ
イバ84は順方向走査の場合には自動トリガー遅延を0
に設定し、逆方向走査の場合にはプリントヘッド100
a及び100bの動作タイミングを画素の大きさの1/
4に対応する時間分遅延する。
【0319】図42のステップS4201において、プ
リンタ制御部110は、プリントヘッドのノズルが加熱
されているかどうかを判断する。加熱されている場合、
プリンタ制御部110は、プリントヘッドが記録媒体を
スキャンしながらインクを吐出するようにプリントヘッ
ドのノズルを自動的に駆動する。そしてステップS42
02において、CrHeatEndCount[A]が
0であるかどうかを判断する。CrHeatEndCo
unt[A]が0でない場合、ステップS4203にお
いてその値を減らす。同様に、CrHeatEndCo
unt[B]が1であるかどうかをステップS4204
で判断し、CrHeatEndCount[B]が0で
ない場合には、ステップS4205でその値を減らす。
【0320】ステップS4206において、CrHea
tEndCount[A]及びCrHeatEndCo
unt[B]が両方とも0であるかどうかを判断し、0
である場合には、プリンタ制御部110の熱制御レジス
タをリセットし、加熱を停止する。加熱を停止すると、
インクはプリントヘッドから吐出されない。
【0321】ステップS4201で、自動トリガー制御
がキャリッジ割り込み制御により呼び出されたときに加
熱されていない場合には、ステップS4209に進む。
ステップS4209において、プリンタ制御部110は
現走査方向が順方向(左)であるかどうかをプリンタド
ライバ84からのDIRECTIONコマンドに基づい
て判断する。順方向である場合、ステップS4210及
びS4211において現在のプリントヘッドの位置を示
すCrPositionがプリントヘッドAまたはBの
CrHeatStartPos以上であるかどうかを判
断し、以上である場合にはステップS4212乃至S4
214の処理を行う。
【0322】ステップS4212では、ソフトウエアの
ループにより自動トリガー遅延を自動トリガー制御に導
入する。遅延時間は、プリンタドライバ84によりAT
_DELAYコマンドにより設定される。しかし、ステ
ップS4212は現走査方向が順方向である場合にのみ
実施されるので、本実施の形態においてはAT_DEL
AYにより設定される遅延は0(マージン無し)である
ことが好ましい。従って、処理はすぐにステップS42
13及びS4214に進み、記録媒体を走査中のプリン
トヘッドによるインクの自動吐出を行えるように自動ト
リガー及び加熱が開始される。
【0323】ステップS4209において、現走査方向
が順方向ではない場合、処理はステップS4215に進
み、現走査方向が逆方向(右)であるかどうかを判断す
る。逆方向の場合、ステップS4216及びS4217
において現在のプリントヘッドの位置であるCrPos
itionがプリントヘッドAまたはBのCrHeat
StartPos以下であるかどうかを判断し、以下で
ある場合には、ステップS4218及びS4219の処
理を行う。
【0324】ステップS4218では、ソフトウエアの
ループにより自動トリガー遅延を自動トリガー制御に導
入する。遅延時間は、プリンタドライバ84によりAT
_DELAYコマンドにより設定される。逆方向走査で
印刷される画素の位置をオフセットするために、プリン
タドライバ84は、プリントヘッド100a及び100
bが画素の大きさの1/4に対応する時間に遅延を設定
することが好ましい。遅延後、すぐにステップS421
9及びS4220へ進み、プリントヘッドが記録媒体を
スキャンしながらインクを自動吐出するように、自動ト
リガー及び加熱動作が開始される。
【0325】上記構成によれば、逆方向走査では画素の
印刷を遅延するために、遅延した画素のサテライト滴を
マスクすることができる。
【0326】<6.0 ヘッド位置合わせに基づくプリ
ンタ制御>本セクションでは、マルチプリントヘッドプ
リンタを用いる本実施の形態における印刷システムにつ
いて説明をする。この印刷システムでは、プリントヘッ
ドが効果的に位置合わせ(アライメント合わせ)されて
いるか否かを判断し、また、プリントデータの印刷を制
御するための複数の異なる印刷方式の内の1つを、前述
の位置合わせ状態の判断に基づいて選択する。特に、本
実施の形態はユーザからプリントジョブがリクエストさ
れる毎にプリントヘッド100a及び100bの位置合
わせをする必要があるかどうかをユーザに知らせるプリ
ンタドライバ84に関する。ユーザが位置合わせを行わ
ずにプリントリクエストを続けることを選択した場合、
プリンタドライバ84はリクエストした画像をプリント
ヘッド100aと100bのどちらか一方だけを用いて
プリンタ10に印刷させるようにすることで、プリント
ヘッド100a及び100bの位置合わせが適切でない
場合に起こる有害な影響を削減する。
【0327】または、プリンタドライバ84により位置
合わせを行うことを促されているにもかかわらず、ユー
ザが位置合わせを行わないことを選択した場合に、プリ
ンタドライバ84はプリンタ10に一方向にのみプリン
トヘッド100a及び100bを走査させてリクエスト
された画像を印刷させる。このように、プリントヘッド
100a及び100bで両方向ではなく一方向に走査を
行うことで、プリントヘッド100a及び100bが位
置合わせされていない場合でも、より質の高い画像を印
刷することができるため、画質を向上させることができ
る。
【0328】上記説明の通り、プリンタ10は、プリン
トヘッド100a及び100bを有するインクカートリ
ッジ43a及び43bを保持するカートリッジホルダ3
7a及び37bとを有する。プリンタ10は、プリント
ヘッド100a及び100bに画像データを印刷させな
がら、記録媒体を走査させることにより、記録媒体上に
画像を印刷する。プリンタドライバ84が画像を印刷す
るためにプリントヘッド100a及び100bに記録媒
体を走査させるやり方は、印刷する画像のタイプ、望み
の解像度、及び使用される記録媒体のタイプを含むいく
つかの要因に依存する。例えば、プリンタドライバ84
は、画質を向上させるために、プリントヘッド100a
及び100bに連続して数回記録媒体の同じスキャンラ
インを走査させる。印刷方式に応じて印刷をするよう
に、プリンタ10に命令をする。また、同じ印刷方式
で、プリンタ10にある方向で現スキャンラインをまず
印刷させ、さらにそれと反対の方向で印刷させることも
できる。例えば、両方向印刷である。印刷方式は印刷中
のプリントヘッドの速度を制御するためにキャリッジモ
ータ39の速度を指定することもでき、また、ユーザが
望む画像の印刷を達成するために、プリントヘッド10
0a及び100bのプリントヘッドノズルのある特定パ
ターンの使用を指定することもできる。上記要因の組み
合わせに基づいて、様々な印刷方式を用いることができ
る。プリンタドライバ84は、記録媒体のタイプ、プリ
ントモード、及び与えられたプリントジョブリクエスト
で用いられる印刷に関連する条件に基づいて、望みの画
質を達成するために特定の印刷方式を選択する。
【0329】位置合わせ処理(不図示)は、プリンタド
ライバ84がプリントヘッド100a及び100bの位
置合わせがされたかどうかが不明であると判断したとき
に、プリンタ10にプリントヘッド100a及び100
bの位置合わせを行うように指示する。プリントヘッド
100a及び100bがお互いに位置合わせされていな
かったり、プリンタ10内で位置合わせされた適切な位
置に無かったりする場合に、プリントヘッド100a及
び100bの位置がずれることがある。プリントヘッド
100a及び100bが適切に位置合わせされていない
可能性があるとプリンタドライバ84が判断すると、ユ
ーザがプリントジョブリクエストを出したときに、プリ
ンタドライバ84はユーザに対して位置合わせ処理をす
るように促す。ユーザが位置合わせを行うことを選択す
ると、プリンタドライバ84は位置合わせ処理を実施す
る。実施後は、プリントヘッド100a及び100b
は、プリンタドライバ84により充分に位置が合わせら
れたと見做される。ユーザが位置合わせをしないことを
選択すると、プリンタドライバ84は画像を印刷するた
めにプリントヘッド100aと100bのいずれか一方
を選択し、更に、選択したプリントヘッドで記録媒体を
一方向にスキャンしながら画像を印刷するように、選択
したプリントヘッドを制御する特定の印刷方式を選択す
る。本実施の形態によれば、プリントヘッド100a及
び100bの位置合わせが適切になされていない場合で
も、プリンタ10にプリントヘッド100a及び100
bのどちらか一方のみを用いてリクエストされた画像を
印刷するように指示する特定の印刷方式を使用すること
により、プリントリクエストを実行させることができ
る。これにより、プリントヘッド100a及び100b
の位置合わせが適切ではない場合であっても、印刷され
た画像の質を向上させることができる。
【0330】本発明の実施の形態によれば、プリントヘ
ッド100a及び100bの位置合わせが適切ではない
と判断され、位置合わせが適切になされないままプリン
トヘッドを1つのみ用いても実行できない特定のプリン
トモードを利用することをユーザのプリントリクエスト
が要求している場合、プリンタドライバはプリントリク
エストを拒否する。
【0331】図43は、本実施の形態の、プリンタドラ
イバ84内で実行されるソフトウエア位置合わせ処理を
示すフローチャートである。ステップS4301で処理
を開始し、プリンタドライバ84はアプリケーションソ
フトウエアモジュール8によりユーザからプリントジョ
ブリクエストを受け取る。プリンタドライバ84はプリ
ントヘッド100a及び100bが位置合わせされてい
るかどうかをステップS4302で判断する。プリンタ
ドライバ84は、例えば、(1)ユーザがプリンタのイ
ンクカートリッジ43aまたは43bの一方または両方
を交換したことを示す知らせをプリンタ10から受けた
場合、(2)前回、位置合わせ処理を実行してから、所
定時間が経過し、または所定数のプリントジョブを実行
したことを示す知らせを受けた場合、(3)プリントヘ
ッド100a及び100bの位置合わせがなされていな
いことを示す知らせをプリンタ10から受けた場合等、
プリンタの状態及びその他の条件に基づいてプリントヘ
ッド100a及び100bの位置合わせがなされていな
い可能性を判断する。
【0332】ステップS4302でプリントヘッド10
0a及び100bが充分に位置合わせされていると判断
されると、プリンタ10は、プリンタドライバ84から
提供されるコマンド及びデータに従って、リクエストさ
れたプリントジョブを印刷するように、プリンタドライ
バ84により指示される(ステップS4303)。従っ
て、プリントヘッド100a及び100bの位置合わせ
をこれ以上行う必要がない場合、現在のプリントジョブ
リクエストのプリントモード及びプリントに関する状態
に基づいて高品質の画像印刷を確実に行うために、プリ
ンタドライバ84は特定の印刷方式を選択する(ステッ
プS4303)。位置合わせされた状態で印刷を行う場
合にプリンタドライバ84が行う特定印刷方式の選択に
ついては、図44を参照して詳細に後述する。
【0333】また、ステップS4302でプリントヘッ
ド100a及び100bが充分に位置合わせされていな
いとプリンタドライバ84が判断すると、現在のプリン
トジョブを実行するために写真画質モードの使用をユー
ザがリクエストしているかどうかを判断する(ステップ
S4304)。現在のプリントジョブが写真画質モード
が選択されている場合、プリントヘッド100a及び1
00bの位置を合わせるために位置合わせ処理を開始す
るかどうかを尋ねるダイアログボックスをディスプレイ
4上に表示する(ステップS4305)。ユーザがキー
ボード5やポインティングデバイス6を用いて位置合わ
せを行わないことを指示した場合(ステップS430
7)、位置合わせされたプリントヘッド100a及び1
00bを両方用いなければ写真画質モードで画像を印刷
することはできないので、プリントジョブはキャンセル
される。(ステップS4308)。
【0334】ユーザが位置合わせを行うことを指示した
場合(ステップS4307)、ステップS4312に進
み、プリンタドライバ84は位置合わせ処理を開始す
る。位置合わせ処理を終了すると、プリンタドライバ8
4はプリンタ10に、プリンタ84がプリンタ10に提
供したコマンド及びデータに従って、リクエストされた
プリントジョブを、位置合わせを行う印刷のための特定
の印刷方式に基づいて印刷するように指示する(ステッ
プS4303)。
【0335】また、このプリントジョブで写真画質モー
ドが選択されていない場合(ステップS4304)、プ
リンタドライバ84はディスプレイ4に表示したダイア
ログボックスを通じて、プリントヘッド100a及び1
00bの位置合わせのずれに関するメッセージを見たい
かどうかをユーザに尋ねる(ステップS4306)。ユ
ーザがメッセージを見たくない場合には、ステップS4
316に進み、プリンタドライバ84はプリンタ10
に、プリンタ84がプリンタ10に提供したコマンド及
びデータに従ってリクエストされたプリントジョブを、
位置合わせを行わない印刷のための特定の印刷方式に基
づいて印刷するように指示する(ステップS431
6)。位置合わせを行わない印刷に関するプリンタドラ
イバ84が行う印刷方式の選択に関しては、図44を参
照して詳細に後述する。
【0336】ユーザが位置合わせのずれに関するメッセ
ージを見たい場合には、ステップS4309に進み、プ
リンタドライバ84は、プリントヘッド100a及び1
00bの位置を合わせるために、位置合わせ処理を開始
するかどうかを尋ねるダイアログボックスをディスプレ
イ4上に表示する(ステップS4309)。ユーザがダ
イアログボックスのメッセージを読んだ後、プリントリ
クエストをキャンセルすると決めた場合には(ステップ
S4310でNO)、プリントジョブはキャンセルされ
る(ステップS4311)。また、ユーザがダイアログ
ボックスのメッセージを読んだ後、位置合わせを実行す
ると決めた場合(ステップS4310でYES)、処理
はステップS4312に進み、プリンタドライバ84は
位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理が終了する
と、プリンタドライバ84はプリンタ10に、プリンタ
84がプリンタ10に提供したコマンド及びデータに従
って、リクエストされたプリントジョブを、位置合わせ
印刷のための特定の印刷方式に基づいて印刷するように
指示する(ステップS4303)。また、ユーザがダイ
アログボックスのメッセージを読んだ後、位置合わせを
実行しないと決めた場合(ステップS4310でCAN
CEL)、ディスプレイ4上のダイアログボックスを介
して、これから先、プリントジョブをリクエストする度
に、プリントヘッド100a及び100bの位置合わせ
がずれていることを通知して欲しいかどうかをユーザに
尋ねる(ステップS4313)。これから先、位置合わ
せのずれを示すメッセージを見ないとユーザが決めた場
合には(ステップS4314でNO)、メッセージはO
FFされて、ユーザがインクカートリッジ43a及び4
3bのいずれか一方または両方を交換するまで、メッセ
ージを表示しない(ステップS4315)。そしてステ
ップS4316に移り、以下に詳しく説明するようにリ
クエストされたプリントジョブを実行する。また、これ
からも位置合わせのずれを示すメッセージを見るとユー
ザが決めた場合には(ステップS4314でYES)、
ステップS4316に進み、プリンタドライバ84はプ
リンタ10に、プリンタ84がプリンタ10に提供した
コマンド及びデータに従って、リクエストされたプリン
トジョブを、位置合わせを行わない印刷のための特定の
印刷方式に基づいて印刷するように指示する(ステップ
S4316)。
【0337】ステップS4316で位置合わせをせずに
印刷を開始するとステップS4317に進み、プリント
ヘッド100a及び100bの一方は黒を含むカラーイ
ンクを印刷可能であり、もう一方のプリントヘッドは黒
インクのみ印刷可能な組み合わせであるかどうかをプリ
ンタドライバ84は判断する(ステップS4317)。
好ましくは、カラーインク及び黒インクの両方を印刷可
能なプリントヘッドをプリンタ10が有する場合、その
プリントヘッドはプリントヘッド100aであり、キャ
リッジ容器37aに収容され、もう一方のプリントヘッ
ドはプリントヘッド100bであり、そのプリントヘッ
ドのタイプに関係なく、キャリッジ容器37bに収容さ
れる。プリンタ10がカラーインクプリントヘッドと黒
インクプリントヘッドとを有する場合(ステップS43
17でYES)、次にプリンタドライバ84は、プリン
トジョブは黒インクのみで画像を印刷することを要求し
ているかどうかを判断する(ステップS4318)。プ
リントジョブを黒インクのみで行う場合(ステップS4
318)、プリンタドライバ84は黒インクプリントヘ
ッド、すなわち本実施の形態ではプリントヘッド100
bのみを用いてプリントジョブを実行するようにプリン
タ10に指示する(ステップS4319)。反対に、プ
リントジョブがカラーインクを用いて印刷することを要
求している場合には(ステップS4318)、プリンタ
ドライバ84は、カラーインクプリントヘッド、すなわ
ち本実施の形態ではプリントヘッド100aのみを用い
てプリントジョブを実行するようにプリンタ10に指示
する(ステップS4320)。
【0338】ステップS4317において、黒インクプ
リントヘッド2つや、カラーインクプリントヘッド2つ
といった、他の可能なプリントヘッド100a及び10
0bのすべての組み合わせの場合、プリンタドライバ8
4は、カラーインクプリントヘッド、すなわち、本実施
の形態ではプリントヘッド100aのみを用いてプリン
トジョブを実行するようにプリンタ10に指示する(ス
テップS4320)。従って、上述の構成によりユーザ
はプリントヘッド100a及び100bが充分に位置合
わせされておらず、ユーザが位置合わせを希望しない場
合でも、プリントジョブリクエストを進めることができ
る。さらに、そういった場合に、プリントヘッド100
a及び100が充分に位置合わせされていなくても高画
質の印刷を確実に提供することができるように、プリン
タドライバ84は特定の印刷方式よりプリントヘッドの
片方を使用するように選択することができる。
【0339】図44は、図43に示すプリンタドライバ
ソフトウエア位置合わせ処理に従った、例えば位置合わ
せ処理を行った場合など、位置合わせを伴う画像の印刷
及び位置合わせを伴わない画像の印刷の印刷方式を含
む、一連のプリントモードテーブルを示す。具体的に
は、位置合わせを伴うプリントモードテーブル385
は、図43のステップS4303で示すように位置合わ
せされたプリントヘッド100a及び100bで画像を
印刷するときにプリンタ10で使用される複数の印刷方
式を有する。テーブル385は、それぞれの印刷方式に
ついて2つの属性を含む。それらは、(1)印刷解像
度、(2)プリントヘッド100a及び100bが画像
を印刷するときの、走査パス(通過)回数及び印刷方向
である。
【0340】これらの属性は、画像の解像度を示すドラ
フトモード、スタンダードモード、高画質モードなどの
画像解像度を示すプリントモードに応じて、印刷方式毎
にそれぞれ異なる。また、属性は、レギュラーモードま
たは写真画質モード等、画質モードによっても異なり、
更に普通紙、高解像度紙、光沢紙など、記録媒体の種類
によっても異なる。位置合わせを伴うプリントモードテ
ーブル385では、プリントモードの様々な組み合わせ
や記録媒体の種類に応じて、位置合わせを伴う印刷のた
めに12の異なる印刷方式が用意されている。例えば、
スタンダードプリントモード、レギュラー画質モード
で、高解像度紙を用いて位置合わせを伴う印刷を行う場
合、印刷方式はテーブル385において以下に示す属性
により定義される。(1)印刷解像度は720×720
dpi、(2)プリントヘッド100a及び100bに
より各スキャンラインを2回ずつパス(通過)し、どち
らの方向(両方向)でも印刷を行う。なお、例えばドラ
フトモードで写真画質の画像を印刷しようとしたり、ド
ラフトモードで光沢記録媒体を用いようとしている場合
など、テーブル385上の印刷方式のいくつかは、定義
により適用することができない。
【0341】テーブル385に示すある印刷方式では、
図44のテーブル386に示すサブ印刷方式、「1pa
ss_U/B*1」を使用しなければならない。「1p
ass_U/B*1」サブ印刷方式は、1回のパスでそ
れぞれの行を印刷し、走査方向と使用されるノズルのパ
ターンはプリンタ10に搭載されたプリントヘッド10
0a及び100bのタイプと現スキャンラインで印刷し
ようとしている画像のタイプとにより決定する。すでに
説明したように、プリンタ10に搭載された取り付けら
れたプリントヘッド100a及び100bは、カラーイ
ンクプリントヘッド(「BC−21e」)と黒インクプ
リントヘッド(「BC−23」)をどのように選択し、
組み合わせても良い。あるスキャンラインで印刷する画
像のタイプの例としては、テキストの連続行を示す孤立
黒、黒の連続部分またはグラフィックスなどのグレース
ケール画像である連続黒、カラーテキスト及び/または
画像であるカラーがある。
【0342】位置合わせを伴うプリントモードのテーブ
ル385によれば、スタンダード解像度モード、レギュ
ラー画質モード、普通紙使用を求めるプリントリクエス
トに対応する印刷方式は、1pass_U/B*1サブ
印刷方式である。テーブル386によれば、現スキャン
ラインで上に印刷しようとしている画像が連続黒のグラ
フィック画像である場合、そのスキャンラインを印刷す
るためにプリントヘッド100a及び100bは1回パ
スすることを求められる。更に、カラーインクプリント
ヘッドのカラーノズルが全く使用されない場合、カラー
インクプリントヘッドの黒インク用ノズル63本が一方
向で印刷を行うために用いられ(一方向印刷)、黒イン
クプリントヘッドのノズル127本が順方向の印刷での
み用いられる(一方向走査は、順方向でも逆方向でも起
こり得る)。従って、安定した高画質の印刷を提供する
ために、走査回数、印刷方向、及びノズルの選択は、プ
リンタ10に搭載されたプリントヘッド100a及び1
00bのタイプ、現スキャンライン上に印刷する画像の
タイプ、更に、現プリントジョブでリクエストされたプ
リントモード及び記録媒体のタイプに応じて、印刷方式
の一部として行われる。
【0343】位置合わせを伴わないプリントモードのテ
ーブル387は、図43のステップS4316で説明し
たように、プリントヘッド100a及び100bの位置
合わせをせずに画像を印刷する場合にプリンタ10によ
り利用される複数の印刷方式を有する。テーブル387
は通常、印刷方式毎に提供される2つの属性を含む。そ
れらは、(1)印刷解像度、(2)プリントヘッド10
0a及び100bが画像を印刷するときの走査パス回数
及び走査方向である。
【0344】これらの属性は、画像の解像度を示すドラ
フトモード、スタンダードモード、高画質モードなどの
画像解像度を示すプリントモードに応じて、印刷方式毎
にそれぞれ異なる。また、属性は、レギュラーモードま
たは写真画質モード等、画質モードによっても異なり、
更に普通紙、高解像度紙、光沢紙など、記録媒体の種類
によっても異なる。位置合わせを伴わないプリントモー
ドテーブル387では、プリントモードの様々な組み合
わせや記録媒体の種類に応じて、位置合わせを伴わない
印刷のために12の異なる印刷方式が用意されている。
例えば、スタンダードプリントモード、レギュラー画質
モードで、高解像度紙を用いて位置合わせを伴わない印
刷を行う場合、印刷方式はテーブル387において以下
に示すように属性により定義される。(1)印刷解像度
は720×720dpi、(2)プリントヘッド100
a及び100bにより各スキャンラインを2回ずつ走査
し、片方の方向(一方向)でのみ印刷を行う。なお、例
えばドラフトモードで写真画質の画像を印刷しようとし
たり、ドラフトモードで光沢記録媒体を用いようとして
いる場合など、テーブル385上の印刷方式のいくつか
は、定義により適用することができない。
【0345】テーブル387に示すある印刷方式では、
図44のテーブル388に示すサブ印刷方式、「1pa
ss_U/B*2」を使用しなければならない。「1p
ass_U/B*2」サブ印刷方式は、1回のパスでそ
れぞれの行を印刷し、走査方向と使用されるノズルのパ
ターンはプリンタ10に搭載されたプリントヘッド10
0a及び100bのタイプと現スキャンラインで印刷し
ようとしている画像のタイプとにより決定する。すでに
説明したように、プリンタ10に搭載されたプリントヘ
ッド100a及び100bは、カラーインクプリントヘ
ッド(「BC−21e」)と黒インクプリントヘッド
(「BC−23」)をどのように選択し、組み合わせて
も良い。図43を参照して説明したように、位置合わせ
を伴わない印刷中は、プリントヘッド100a及び10
0bのいずれか一方のみが選択されて使用される。ある
スキャンラインで印刷する画像のタイプの例としては、
テキストの連続行を示す孤立黒、黒の連続部分またはグ
ラフィックスなどのグレースケール画像である連続黒、
カラーテキスト及び/または画像であるカラーがある。
【0346】位置合わせを伴わないプリントモードのテ
ーブル387によれば、スタンダード解像度モード、レ
ギュラー画質モード、普通紙使用を求めるプリントリク
エストに対応する印刷方式は、1pass_U/B*2
サブ印刷方式である。テーブル388によれば、現スキ
ャンライン上に印刷しようとしている画像が連続黒のグ
ラフィック画像である場合、そのスキャンラインを印刷
するためにプリントヘッド100a及び100bは1回
通過することを求められる。更に、位置合わせを伴わな
い印刷において、カラーインクプリントヘッドが選択さ
れて用いられる場合、カラーインクプリントヘッドのカ
ラーノズルは全く使用されず、カラーインクプリントヘ
ッドの黒インク用ノズル63本が一方向で印刷を行うた
めに用いられる(一方向印刷)。しかし、位置合わせを
伴わない印刷において、黒インクプリントヘッドが選択
されて用いられる場合、黒インクプリントヘッドのノズ
ル127本が順方向でのみ印刷に用いられる(一方向走
査は、順方向でも逆方向でも起こり得る)。従って、安
定した高画質の印刷を影響するために、走査回数、印刷
方向、及びノズルの選択は、プリンタ10に取り付けら
れたプリントヘッド100a及び100bのタイプ、現
スキャンラインに印刷する画像のタイプ、更に、現プリ
ントジョブに対してリクエストされたプリントモード及
び記録媒体のタイプに応じて、印刷方式の一部として行
われる。
【0347】<7.0 デュアルヘッド多色印刷>図4
5はカラーデータを記録媒体に印刷するときに使用され
るコンピュータにより実行可能な各処理を示すフローチ
ャートである。図示のように、これらのステップは言語
モニタ205に含まれ、ホストプロセッサー2のCPU
70により実行することが好ましい。なお、これらのス
テップは、プリンタ10のCPU91により実行するこ
とも可能である。
【0348】図45は両方向印刷を用いてプリントデー
タのバンドに含まれる黒プリントデータ以外のプリント
データを印刷する工程と、一方向印刷を用いてプリント
データのバンドに含まれる黒プリントデータを印刷する
工程とを有する。
【0349】詳しく説明すると、まず処理はステップS
4501で始まり、ここでプリンタドライバ84からプ
リントデータのバンドを受信する。図18に示す構成に
よれば、このバンドは、実際にはプリンタプロバイダー
204から受信される。受け取ったプリントデータは、
黄色、マゼンタ、シアン、または黒のインク滴を記録媒
体の特定の画素位置に吐出するかどうかを示す2値化デ
ータを含むことが好ましい。その特定の画素位置とは、
インクカートリッジ43a及び43bを用いてカートリ
ッジホルダ37a及び37bが1回走査する間に印刷さ
れる画像の位置のことである。上記の例では、インクカ
ートリッジ43aは図7に示すプリントヘッド62を利
用し、インクカートリッジ43bは図7のプリントヘッ
ド64を利用する。更に、インクカートリッジ43aは
黄色、マゼンタ、シアン、及び黒の高浸透性のインクを
保持することが好ましく、インクカートリッジ43bは
低浸透性の黒インクを保持することが好ましい。
【0350】図46は、図45に示す処理に対応する印
刷手順を示す図である。図示のように、破線390より
上部にカラー領域があり、破線390より下部に黒領域
がある。また、図46は、印刷中にプリントヘッド62
で記録媒体を複数回パスした場合のプリントヘッド62
のインクノズルの相対位置を示す。本実施の形態によれ
ば、それぞれのパスで示されるノズルは、当該通過で印
刷を行うノズルである。また、ノズルのグループ間のギ
ャップは、グループが異なることを示すためのもので、
実際値とは異なる。
【0351】図45に示す手順において、図46のパス
1に対応するプリントデータのバンドをステップS45
01で受信する。ステップS4502では、受信したバ
ンドがカラーデータを含むかどうかを判断する。ここで
は、バンドの画素のいずれかが、黄色、マゼンタ、シア
ンのインク滴のいずれかを用いて印刷される、または過
去に印刷された場合に、カラーデータを含むと判断され
る。ステップS4502で受信したプリントデータのバ
ンドがカラーデータを含むと判断されると、ステップS
4504に進み、現在のパスが逆方向のパスであるかど
うかを判断する。
【0352】本実施の形態においては、この第1のパス
は順方向であるとし、処理はステップS4504からS
4505に進む。ステップS4505において、まだ印
刷されていない黒データが存在するかどうかを判断す
る。このようなまだ印刷されていない黒データについ
て、図45を参照して後で説明するが、ここではそのよ
うなデータは無いものとして、ステップS4506に進
む。ステップS4506では受信したバンドを印刷する
ためにプリンタ10に送る。
【0353】図46のパス1は、ステップS4506で
行う、受信したバンドの印刷に用いられるノズルを示
す。好ましくは、プリントヘッド62で1回の走査を行
う時に、それぞれのインクにつきノズル23本を使用し
て印刷する。なお、ステップS4506の後、インクカ
ートリッジ43aは、第1のパスが開始した端と反対側
の、プリンタ10の端に位置する。
【0354】次にステップS4506からS4508に
進み、以前に受信したバンドはプリントデータの最後の
バンドであるかどうかを判断する。ここでは、まだ続き
のバンドが存在するため、ステップS4501へ戻る。
そして、第2のパスで用いられるプリントデータのバン
ドを受信する。ここでは、図46に示すようにカラーデ
ータを含むため、ステップS4502からステップS4
504に進む。パス1は順方向であるので、パス2は逆
方向である。従って、処理はステップS4509に進
み、受信したバンドの黒プリントデータを、好ましくは
プリントバッファ109を用いて蓄えておく。そしてバ
ンドの残りのデータをステップS4510でプリンタ1
0に送る。図46の、パス2は、黄色、マゼンタ、シア
ンのインク滴のみが印刷された状態を示している。
【0355】なお、パス1が完了すると、記録媒体はノ
ズル23本に対応する距離だけ送られ、これによりパス
1でマゼンタ及び黄色のノズルを用いて印刷された画素
は、パス2ではシアンとマゼンタのノズルをそれぞれ用
いて印刷される。
【0356】処理はステップS4508から4501へ
戻り、プリントデータの次のバンドを受信する。そして
ステップS4502からS4504に進む。パス3は順
方向であるために、ステップS4505に進む。上述の
通り、ステップS4509でパス2の黒プリントデータ
を蓄えてあったので、ステップS4505からS451
2に進み、蓄えておいたデータをプリントバッファ10
9から検索して取り出す。次にステップS4514にお
いて、ステップS4501で受信したプリントデータの
バンドと、取り出した黒データとを両方共、印刷するた
めにプリンタ10に印刷用に送る。図46に示すよう
に、シアン、マゼンタ、黄色ノズルと共に、プリントヘ
ッド62の下部の複数の黒ノズルを受信したバンドの黒
データを印刷するために使用し、上部の複数の黒ノズル
をパス2で印刷されたバンドの蓄えておいた黒データを
印刷するために用いられる。このようにすることによ
り、黒データは順方向でのみ印刷されることになる。従
って、逆方向の黒インクでの印刷による画質の低下を防
ぐことができる。
【0357】図46に示すように、パス4及びパス5で
は、パス2及びパス3で説明した動作とそれぞれ同様の
動作を行う。しかし、図46に示すように、プリントヘ
ッド62の黄色及びマゼンタノズルに関しては、これら
のノズルに対応するデータが無いために、黄色ノズルは
パス4で、また、マゼンタ及び黄色ノズルはパス5で用
いられない。
【0358】次に、パス6に対応するプリントデータの
バンドをステップS4501で受信する。黄色、マゼン
タ、シアンインクに対応するデータを含んではいない
が、このバンドの画素は、パス3〜5で、黄色、マゼン
タ、シアンインクを用いてすでに印刷されている。従っ
て、処理はステップS4504に進む。パス6は逆方向
であるので、ステップS4509に進み、受信したバン
ドの黒プリントデータをバッファ109に蓄える。ステ
ップS4510においてパス6の黒データ以外のデータ
は印刷のためにプリンタ10に送られる。この場合、受
信したプリントデータのバンドは、黒プリントデータし
か含まないので、プリントヘッド62はパス6のための
ステップS4510で、印刷をすることなく、単に記録
媒体を横切ることになる。そしてステップS4508か
らステップS4501に戻り、次のバンドのプリントデ
ータを受信する。
【0359】ここでは、受信したバンドは、図46に示
す黒領域に対応するので、ステップS4502からステ
ップS4515に進む。ステップS4515ではこれま
でに印刷されたバンドがカラーデータを含んでいたかど
うかを判断する。パス6に対して分析されたプリントデ
ータのバンドは、カラーデータを含むと判断されたた
め、処理はステップS4516に進み、前回のパスが逆
方向であったかどうかを判断する。パス6は逆方向であ
るので、ステップS4517に進む。ステップS451
7において、蓄えられた黒データをプリントバッファ1
09から検索して取り出す。ここで前回印刷されたバン
ドがカラーデータを含み、且つ、前回のパスが逆方向の
場合にのみステップS4517に進むので、前回印刷さ
れたバンドの黒データが蓄えられており、まだ印刷され
ていないと考えることができる。従って、次のステップ
S4519で取り出した黒データをプリンタ10に送
る。
【0360】なお、パス5の後、記録媒体はノズル23
本分だけ送られ、パス6の後では記録媒体は更にノズル
23本分だけ送られる。従って、取り出された黒データ
は、プリントヘッド62のノズル24〜46を用いてパ
ス7で印刷される。そしてステップS4520に進み、
取り出された黒データのバンドはプリントヘッド64及
び、上述のように低浸透性の黒インクを保持するインク
ジェットカートリッジ43bを用いてパス8で印刷する
ためにプリンタ10に送られる。なお、黒インクで印刷
を逆方向に行うことで画質が低下しないように、パス8
は順方向に行われる。
【0361】そしてステップS4520からS4508
に進み、そして、次のバンドを印刷するならば、ステッ
プS4501へ戻る。次のバンドがカラーデータを含ま
ない場合、上述の通り、処理はステップS4515から
直接ステップS4520へ進む。
【0362】上記動作はステップS4508で最後のバ
ンドが印刷されたと判断されるまで繰り返される。最後
のバンド印刷後、ステップ4522に進み、前回のパス
が逆方向であったかどうかを判断する。逆方向でない場
合、処理は終了する。逆方向であった場合、まだ印刷さ
れていない蓄えておいた黒データをプリンタ10に送
り、ステップS4524で順方向で印刷をする。処理は
これで終了する。
【0363】上記のように処理をすることにより、所定
データを逆方向で印刷することが好ましくないと判断さ
れると、そのデータを逆方向で印刷しないようにするこ
とができる。なお、上記処理は黒プリントデータの印刷
を順方向のみで行うことに限るものではなく、他のタイ
プのプリントデータを逆方向でのみ印刷することも可能
である。
【0364】<8.0 予備吐出とパルス幅変調>この
セクションでは、本実施の形態の予備吐出処理及びパル
ス幅変調制御について説明する。
【0365】<8.1 予備吐出制御>予備吐出は、イ
ンクジェットプリンタにおいて、乾いたり、凝固したイ
ンクをプリントヘッドノズルから除去するために行われ
る。本実施の形態における予備吐出のタイミングはセク
ション8.1.1で説明する。本実施の形態における予
備吐出のタイミングを制御するためのシステムの一例
は、セクション8.1.2で説明する。
【0366】(8.1.1 予備吐出のタイミング)図
47は、予備吐出処理が所定時間間隔で行われる場合
の、予備吐出制御を説明するための図である。図47
は、画像402が印刷された記録媒体401を示す。図
47において、画像402は小さいフォントのテキスト
403と、大きいフォントのテキスト404とを含む。
【0367】また、図47は、画像402を印刷中の、
カートリッジホルダ405の異なる時点における位置を
示す。カートリッジホルダ405は、セクション1.0
で図5を参照して説明したプリンタ10のカートリッジ
ホルダ37a及び37bのいずれか一方である。カート
リッジホルダ405は、図6に示すインクジェットカー
トリッジ43aのようなインクジェットカートリッジを
搭載することが好ましい。また、インクジェットカート
リッジは、図7に示すプリントヘッド61またはプリン
トヘッド62のようなプリントヘッドを有することが好
ましい。
【0368】矢印409〜433は、画像402の印刷
のためのマルチスキャン前、マルチスキャン中、マルチ
スキャン後における記録媒体401に対するカートリッ
ジ405の動きを示し、従って、カートリッジ405に
より運ばれるプリントヘッドの動きを示すことになる。
円で囲まれた数字は、画像402の一部が印刷されてい
る最中の走査を示す矢印409〜433の開始位置の付
近にある。これら円で囲まれた数字は、画像402を印
刷するための走査の順番を示している。従って、図47
に示すように、第1の走査は画像402の最上部で始ま
り、最後の走査は画像402の最下部となる。
【0369】また、図47は、カートリッジホルダ40
5のASF(自動給紙)位置437、拭き取り領域43
8、予備吐出領域439を示している。カートリッジホ
ルダ405は、上記セクション1.0及び4.0で詳し
く説明したように、自動給紙処理を開始するためにAS
F位置437に移動する。
【0370】本実施の形態によれば、拭き取り領域43
8及び予備吐出領域439は、図5に示すホームポジシ
ョン46に位置する。拭き取り領域438は、ワイパー
44a及び44bを含む。拭き取り領域438では、カ
ートリッジホルダ405に保持されたプリントヘッドが
拭き取り機構により拭き取られ、余分なインク、汚れ、
紙片、その他の破片などをプリントヘッドから拭き取
る。
【0371】予備吐出領域439もホームポジション4
6に位置し、予備吐出受42a及び42bを有する。プ
リントヘッドはノズルから予備吐出受42a及び42b
のいずれかにインクを吐出し、乾燥したり、凝固したイ
ンクをノズルから取り除く。
【0372】ASF位置437、拭き取り領域438、
予備吐出領域439のいずれかにおけるカートリッジホ
ルダ405の位置は、図47では、カートリッジホルダ
405を示すことにより、または位置または領域の下の
カートリッジホルダ405の動きを示す矢印により示さ
れている。
【0373】記録媒体401の左側にイベントリスト4
41を示す。イベントリスト441の円で囲まれた記号
は、画像402が印刷されるときに起こるイベントを示
している。また、図47において、印刷開始443は円
で囲まれた記号Stにより表す。自動給紙444は円で
囲まれた記号ASFにより、また初期給紙時拭き取り/
予備吐出445は円で囲まれた記号LPにより表す。自
動予備吐出イベント447〜451も、それぞれ円で囲
まれた記号AP”、AP1、AP2、AP3、AP4と
してイベントリスト441に示されている。
【0374】記録媒体401の右側に時間線453を示
す。時間線は図47の上から下に向かって進み、画像4
02を印刷する際のカートリッジホルダ405の走査
と、イベントリスト441に示されたイベントとの時間
関係を示す。従って、時間線453において、画像40
2を印刷する際のカートリッジホルダ405によるそれ
ぞれの走査の開始は、カートリッジホルダ405の走査
動作を表す矢印409〜433の開始地点に示された円
で囲まれた番号と同一の番号を円で囲んで表している。
同様に、イベントリスト441に示されるイベントは、
時間線453上でイベントリスト441で用いられるも
のと同じ記号を用いて表され、また、イベントリスト4
41及び時間線453において同一イベントに対応する
同一記号の参照番号は共通にしている。例えば、イベン
トリスト441の円に囲まれたStと、時間線453の
円に囲まれたStは、両方とも印刷の開始443を表し
ている。
【0375】図47により示される予備吐出制御におい
て、自動予備吐出処理が2秒間隔をベースに実行され
る。詳しくは、イベントリスト441と時間線453で
は、印刷の開始443と、その後に行われる自動給紙4
44及び初期給紙時拭き取り/予備吐出445を示して
いる。従って、矢印409は印刷開始443の地点であ
る円に囲まれた記号Stの位置から、記録媒体401の
自動給紙444のための円に囲まれた記号ASFまでの
カートリッジホルダ405の動きを示す。また、矢印4
10は、カートリッジホルダ405が、初期拭き取りで
拭き取り領域438を過ぎて、初期予備吐出のために予
備吐出領域439へ動くことで、初期給紙時拭き取り/
予備吐出445を終えるところを示している。
【0376】給紙時拭き取り/予備吐出445の後、円
で囲まれた記号AP”により表された第1の自動予備吐
出447が行われる。具体的には、給紙時拭き取り/予
備吐出445と印刷開始間で十分に長い遅延(例えば2
秒)が起きた場合、インクノズルがつまらないようにす
るために自動予備吐出447が行われる。このような遅
延は、例えば、データがホストプロセッサーに処理され
ている時や、プリンタに送られている時に起こる。さら
に、遅延は、ユーザが記録媒体をプリンタに手差し給紙
している時にも起こり得る。
【0377】自動予備吐出447を行うために、カート
リッジホルダ405は、予備吐出領域439の下の、円
で囲まれた記号AP”の隣に示されたカートリッジホル
ダ405の位置が表すように、予備吐出領域439に位
置される。そして、プリントヘッドノズルは、乾燥し
た、または凝固したインクを取り除くために、予備吐出
を行う。
【0378】カートリッジホルダ405による走査が3
回行われ、2秒間(459)が経過する前に、第4の走
査が開始される。この時間間隔は、初期給紙時拭き取り
/予備吐出445(または、できるようであれば自動予
備吐出447)から計測される。これらの4回の走査の
ためのカートリッジホルダ405の動きを矢印411〜
414に示し、4回の走査の開始は円に囲まれた番号1
〜4により示す。
【0379】2秒間459が経過すると、カートリッジ
ホルダ405は現走査を終え、自動予備吐出処理のため
に予備吐出領域439に移動する。このように4回目の
走査の後、カートリッジホルダ405は矢印415が示
すように、自動予備吐出448のために自動吐出領域4
39へ動く。自動予備吐出448の後、カートリッジホ
ルダ405は記録媒体401の走査を再スタートする。
【0380】上記処理は、画像402が記録媒体401
に印刷されるまで続けて行われる。具体的には、自動予
備吐出処理は、ある走査中に、前回予備吐出を行ってか
ら2秒以上経つと行われる。時間が経過したときには、
現走査を終了していることが好ましく、その後にカート
リッジホルダ405は、予備吐出のために予備吐出領域
439に動かされる。走査中に所定時間が経過し、カー
トリッジホルダ405が予備吐出領域439から離れる
方向に動いている時には、現行の走査が終了した後、カ
ートリッジホルダ405を予備吐出領域439へ動かす
際に次の走査を終了する。
【0381】こうして、図47において、カートリッジ
ホルダ405が矢印416〜419に対応する第5〜8
回目の走査を行い、矢印420が示すように自動予備吐
出449のために予備吐出領域439へ動き、その後矢
印421〜423に対応する第9〜11回目の走査を行
い、第12回目の走査を行い、矢印424及び425に
表されるように自動予備吐出450のために予備吐出領
域439へ移動する(第12回目の走査は、第11回目
の走査が予備吐出領域439から離れていくために行わ
れる)。そして、矢印426〜429に対応する第13
〜16回目の走査を行い、矢印430が示すように自動
予備吐出451のために予備吐出領域439へ動き、矢
印431及び432に対応する第17、18回目の走査
を行って、画像402の印刷を完了する。
【0382】画像402が印刷されると、矢印433が
示すように記録媒体を排紙するために、カートリッジホ
ルダ405は記録媒体401から離れる。この排紙処理
は、上記セクション3.0において詳しく説明した。
【0383】上記の予備吐出制御の結果、インクジェッ
トヘッドのノズルからのインク吐出が適切となるよう
に、頻繁に予備吐出を行うことになり、画質を確実に保
つことになる。しかし、予備吐出の何回かは必要ないも
のである。特に、連続走査中に一定のフォントサイズの
テキストを印刷する場合、プリントヘッドのノズルの1
つのブロックが各走査で繰り返し使用される傾向があ
る。各走査において同じブロックのノズルが使用されて
いる限り、テキストを印刷する動作では、そのブロック
のノズルには乾燥したり凝固したインクが残っていない
ことになる。
【0384】従って、例えば小さいフォントのテキスト
403を印刷するための走査中は、図47の第5〜8回
目の走査(矢印416〜419に対応)での画像形成品
質を維持するための自動予備吐出448(円で囲まれた
記号AP1に対応する)は、少なくともある程度不必要
である。前回の走査が、その走査で使用されたブロック
のノズルに乾燥または凝固したインクが詰まることをす
でに防いでいるのである。同様に、大きいフォントのテ
キスト404を印刷するための走査間の自動予備吐出4
51(円に囲まれた記号AP4に対応する)も、少なく
ともある程度不必要である。こういった不必要な予備吐
出処理は、特に高速画像形成が望まれる場合には、画像
形成速度を許容以上に遅くすることになる。
【0385】画像形成速度を向上させる技術の一つは、
自動予備吐出処理間の時間間隔を広げることである。し
かし、すべての予備吐出の時間間隔を広げることによ
り、画質を許容以上に低下させることもある。
【0386】図48及び図49は、予備吐出の時間間隔
を広げすぎたことにより起こる画質の低下を示す図であ
る。図48は、画像462が印刷された記録媒体461
を示す。図48において、画像462は小さいフォント
のテキスト463と、大きいフォントのテキスト464
を含む。
【0387】また、図48は、画像462を印刷中のカ
ートリッジホルダ405の異なる時点における位置を示
す。カートリッジホルダ405の例としては、セクショ
ン1.0で図5を参照して説明したプリンタ10のカー
トリッジホルダ37a及び37bがある。カートリッジ
ホルダ405は、図6に示すインクジェットカートリッ
ジ43aのようなインクジェットカートリッジを搭載す
ることが好ましい。また、インクジェットカートリッジ
は、図7に示すプリントヘッド61またはプリントヘッ
ド62のようなプリントヘッドを有することが好まし
い。
【0388】矢印469〜491は、画像462の印刷
のためのマルチスキャン前、マルチスキャン中、マルチ
スキャン後における記録媒体461に対するカートリッ
ジ405の動きを示し、従って、カートリッジ405に
より運ばれるプリントヘッドの動きを示すことになる。
円で囲まれた数字は、画像462の一部が印刷されてい
る最中の走査を示す矢印409〜433の開始位置の付
近にある。これら円で囲まれた数字は、画像462を印
刷するための走査の順番を示している。従って、図48
に示すように、第1の走査は画像462の最上部で始ま
り、最後の走査は画像462の最下部となる。
【0389】また、図48は、カートリッジホルダ40
5のASF位置437、拭き取り領域438、予備吐出
領域439を示している。カートリッジホルダ405
は、上記セクション1.0及び4.0で詳しく説明した
ように、自動給紙処理を開始するためにASF位置43
7に移動する。
【0390】拭き取り領域438及び予備吐出領域43
9は、図5に示すホームポジション46に位置すること
が好ましい。拭き取り領域438では、カートリッジホ
ルダ405に保持されたプリントヘッドが拭き取り機構
により拭き取られ、余分なインク、汚れ、紙片、その他
の破片などをプリントヘッドから拭き取る。プリントヘ
ッドはノズルから予備吐出領域439にインクを吐出
し、乾燥したり、凝固したインクをノズルから取り除
く。ASF位置437、拭き取り領域438、予備吐出
領域439のいずれかにおけるカートリッジホルダ40
5の位置は、図48では、カートリッジホルダ405を
示すことにより、または位置または領域の下のカートリ
ッジホルダ405の動きを示す矢印により示されてい
る。
【0391】記録媒体461の左側にイベントリスト5
01を示す。イベントリスト501の円で囲まれた記号
は、画像462が印刷されるときに起こるイベントを示
している。図48において、印刷開始503は円で囲ま
れた記号Stにより表す。自動給紙504は円で囲まれ
た記号ASFにより、また初期給紙時拭き取り/予備吐
出505は円で囲まれた記号LPにより表す。自動予備
吐出イベント507、508、510も、それぞれ円で
囲まれた記号AP”、AP1、AP2として、円で囲ま
れた記号DWにより表すデータ待ち509と共にイベン
トリスト501に示されている。データ待ちイベント
は、印刷中にホストプロセッサー2がプリントデータを
プリンタ10にスプールする時のポーズを示している。
【0392】記録媒体461の右側に時間線513を示
す。時間線は図48の上から下に向かって進み、画像4
62を印刷する際のカートリッジホルダ405の走査
と、イベントリスト501に示されたイベントとの時間
関係を示す。従って、時間線513において、画像46
2を印刷する際のカートリッジホルダ405によるそれ
ぞれの走査の開始は、カートリッジホルダ405の走査
動作を表す矢印469〜491の開始地点に示された円
で囲まれた番号と同一の番号を円で囲んで表している。
同様に、イベントリスト501に示されるイベントは、
時間線513上でイベントリスト501で用いられるも
のと同じ記号を用いて表され、また、イベントリスト4
41及び時間線513において同一イベントに対応する
同一記号の参照番号は共通にしている。例えば、イベン
トリスト501の円に囲まれたStと、時間線513の
円に囲まれたStは、両方とも印刷の開始503を表し
ている。
【0393】図48により示される予備吐出制御におい
て、自動予備吐出処理が6秒間隔をベースに実行され
る。詳しくは、イベントリスト501と時間線513で
は、印刷の開始503と、その後に行われる自動給紙5
04及び初期給紙時拭き取り/予備吐出505を示して
いる。従って、矢印469は印刷開始503の地点であ
る円に囲まれた記号Stの位置から、記録媒体461の
自動給紙504のための円に囲まれた記号ASFまでの
カートリッジホルダ405の動きを示す。また、矢印4
70は、カートリッジホルダ405が、初期拭き取りで
拭き取り領域438を過ぎて、初期予備吐出のために予
備吐出領域439へ動くことで初期給紙時拭き取り/予
備吐出505を終えるところを示している。
【0394】給紙時拭き取り/予備吐出505の後、円
で囲まれた記号AP”により表された第1の自動予備吐
出507が行われる。具体的には、印刷が実際に開始さ
れるまでに6秒間の遅延時間(514)が経過した場合
に、自動予備吐出507が行われる。このような遅延
は、例えば、データがホストプロセッサーに処理されて
いる時や、プリンタに送られている時に起こる。さら
に、遅延は、ユーザが記録媒体をプリンタに手差し給紙
している時にも起こり得る。
【0395】また、このような遅延は、データが処理さ
れている間やプリンタにロードされている間、特にデー
タがプリンタに接続されたローエンドホストプロセッサ
ーにより処理されているときに起こり得る。また、記録
媒体461の給紙や、画像462の印刷を実際に始める
場合など、印刷動作がユーザの介入を待たなければなら
ない場合にも遅延が起こる。6秒間の遅延時間(51
4)が経過すると、予備吐出領域439の下の円で囲ま
れた記号AP”の隣に示されたカートリッジホルダ40
5の位置が表すように、カートリッジホルダ405は予
備吐出領域439に位置され、自動予備吐出507が行
われるようにする。そして、プリントヘッドノズルは、
乾燥した、または凝固したインクを取り除くために、予
備吐出を行う。
【0396】遅延が自動予備吐出507をトリガするの
に十分でない場合であっても、遅延は画質に有害な影響
を与えるのに十分である。特に、6秒よりわずかに短い
の遅延では、図49(a)に示すような画質の低下を容
易に引き起こすこともある。こういった画質の低下は、
第1のスキャンラインで印刷したテキストの左側に画素
のギザギザや画素のずれとなって現れる。特に、プリン
トヘッドノズル内の乾燥したインクまたは凝固したイン
クにより、画素がずれたり、変形したりする。
【0397】ともかく、図48で印刷を開始すると、カ
ートリッジホルダ405により11回の走査を行い、6
秒間(515)が経過する前に、12回目の走査が開始
される。この時間間隔は、自動予備吐出507(また
は、適応できるようであれば、初期給紙時拭き取り/予
備吐出505)から計測される。これらの12回の走査
のためのカートリッジホルダ405の動きを矢印471
〜482に示し、12回の走査の開始は円に囲まれた番
号1〜12により示す。
【0398】予備吐出を行う時間間隔が長いために、第
1〜12回目の走査中に、画質の低下が起こることがあ
る。特に、小さいフォントのテキスト463を印刷して
いるときには、プリントヘッドノズルで使わないブロッ
クがある。この間に、このブロックのノズル内のインク
が乾いたり凝固し始める。そして、第10回目の走査で
大きいフォントのテキスト464の行が始まると、これ
らのノズルは数画素分、正しく吐出できないことがあ
る。こういった不適切な吐出による画質低下の例を、図
49(b)に示す。
【0399】図48において、6秒間(515)が経過
すると、カートリッジホルダ405は現走査を終えた時
に自動予備吐出処理のために予備吐出領域439に移動
する。従って、12回目の走査の後、カートリッジホル
ダ405は矢印483が示すように、自動予備吐出50
8のために自動吐出領域439へ動く。自動予備吐出5
08の後、カートリッジホルダ405は記録媒体461
の走査を再スタートする。
【0400】上記処理は、画像462が記録媒体461
に印刷されるまで続けて行われる。具体的には、自動予
備吐出処理は、ある走査中に、前回予備吐出を行ってか
ら6秒間が経過すると行われる。時間が経過したときに
は、現走査を終了していることが好ましく、その後にカ
ートリッジホルダ405は、予備吐出のために予備吐出
領域439に動かされる。走査中に所定時間が経過し、
カートリッジホルダ405が予備吐出領域439から離
れる方向に動いている時には、現行の走査が終了した
後、カートリッジホルダ405を予備吐出領域439へ
動かしながら次の走査を終了する。
【0401】こうして、図48において、カートリッジ
ホルダ405が矢印484〜487に対応する第13〜
16回目の走査を行う。そして、データ待ちイベント5
09が起こる。このデータ待ちイベントはかなりゆっく
りであり、第17回目の走査を開始する前に6秒間(5
16)が経過するので、自動予備吐出510を行う。そ
の場合、予備吐出を行うことができるように、カートリ
ッジホルダ405は、矢印488で示すように予備吐出
領域439へ動く。そうでなければ、第17回目の走査
を予備吐出を行わずに実施する。
【0402】第17回目の走査を予備吐出をせずに実行
した場合、図49(c)に示すような画質の低下が起こ
る場合がある。データ待ちイベント509の間はすべて
のプリントヘッドノズルは不要な状態であるので、ノズ
ル内のインクが乾いたり凝固し始めたりすることがあ
り、その場合、第17回目の走査で、最初の数画素に有
害な影響を及ぼすことになる。起こり得る画質の低下の
例を、印刷したテキストの最初の文字の左側に画素のギ
ザギザや画素のずれとなって現れた場合として図49
(c)に示す。
【0403】図48で、さらにもう一回、カートリッジ
ホルダ405は、矢印489及び490に対応する第1
7及び18回目の走査を行い、画像462の印刷を終え
る。
【0404】画像462が印刷されると、矢印491が
示すように記録媒体を排紙するために、カートリッジホ
ルダ405は記録媒体461から離れる。この排紙処理
は、上記セクション3.0において詳しく説明した。
【0405】上記説明した印刷処理においては、予備吐
出の間隔を長くすると、図49に示すような画質の低下
となって現れる。明らかに、図49に示す画質の低下
は、データ待ちイベントによる印刷の遅延が、インクが
乾き始めたり固まり始めたりするのに十分なほど長く、
かつ、自動予備吐出をトリガするには短い場合に起こる
可能性がある。
【0406】ローエンドホストプロセッサーのためのデ
ータ待ちイベントは、自動予備吐出をトリガするのに十
分長い時間である傾向がある。従って、低速のローエン
ドホストプロセッサーから画像を印刷するユーザほど、
図49に示すような問題は起こり得るものの、実際に直
面することは少ない。より高価な、高速のハイエンドホ
ストプロセッサーから印刷をするユーザの方が、こうい
った問題に直面する可能性が高い。従って、ハイエンド
ホストプロセッサーからの使用にプリンタが適するよう
にするためには、上記詳細に説明した予備吐出の問題を
解決する必要がある。
【0407】上記は、異なるフォントサイズのテキスト
からなる画像を印刷する場合の画質低下を示したが、そ
のような画質低下は、カラーまたは無彩色グラフィック
画像を印刷するときにも起こり得る。例えば、図7に示
すプリントヘッド62のようなカラープリントヘッドを
用いてグラフィック画像を印刷中に、自動予備吐出を行
う時間間隔を長くした場合に、画質低下が起こり得る。
このようにプリントヘッドを用いてカラーで画像の一部
を印刷したとき、ある一色のノズル数に対応する距離だ
け、走査ごとに記録媒体を送る。プリントヘッド62で
は、記録媒体はノズル24本に対応する距離だけ、走査
ごとに送られる。セクション5.0ですでに説明したよ
うに、それぞれの走査について使用可能な黒ノズル64
本のうちノズル48本だけが使用され、16のノズルの
ブロックは使用されない。そして、印刷が黒のみの印刷
に変化すると、以前は使用されなかった黒ノズル16本
を含む黒ノズル64本がすべて使用される。これら前に
使用されていないノズルからは、乾燥または凝固したイ
ンクが原因で吐出が不適切になることがあり、図49
(b)に示すように線に沿った画質の低下を招く。従っ
て、画質低下の上記問題点も、カラー印刷装置において
解決しておかなければならない。
【0408】図50は、自動予備吐出処理のための固定
時間間隔を用いた場合の上記問題点を解決する、本実施
の形態の自動予備吐出制御を説明するための図である。
【0409】インクを吐出するために少なくとも所定数
のノズルを有するプリントヘッドを用いて印刷を行うイ
ンクジェット印刷装置において、印刷中、第1の所定時
間後に印刷の質を保持するために、プリントヘッドのノ
ズルからインクを吐出する予備吐出処理が行われる。プ
リントヘッドのノズルは、印刷するデータに基づいて駆
動され、予備吐出処理は、駆動するノズル数が変わった
ときに行われる。なお、予備吐出処理は、第1の時間間
隔より長い第2の時間間隔まで遅延できるようにするこ
とが好ましい。2回目の時間間隔の後、予備吐出処理が
行われる。
【0410】さらに詳しく説明すると、図50は、画像
522が印刷された記録媒体521を示す。図50にお
いて、画像522は小さいフォントのテキスト523
と、大きいフォントのテキスト524とを含む。また、
図50は、画像522を印刷中のカートリッジホルダ4
05の異なる時点における位置を示す。カートリッジホ
ルダ405は、セクション1.0で図5を参照して説明
したプリンタ10のカートリッジホルダ37a及び37
bである。カートリッジホルダ405は、図6に示すイ
ンクジェットカートリッジ43aのようなインクジェッ
トカートリッジを搭載することが好ましい。また、イン
クジェットカートリッジは、図7に示すプリントヘッド
61またはプリントヘッド62のようなプリントヘッド
を有することが好ましい。
【0411】矢印529〜551は、画像522の印刷
のためのマルチスキャン前、マルチスキャン中、マルチ
スキャン後における記録媒体521に対するカートリッ
ジ405の動きを示し、従って、カートリッジ405に
より運ばれるプリントヘッドの動きを示すことになる。
円で囲まれた数字は、画像522の一部が印刷されてい
る最中の走査を示す矢印529〜552の開始位置の付
近にある。これら円で囲まれた数字は、画像522を印
刷するための走査の順番を示している。従って、図50
に示すように、第1の走査は画像522の最上部で始ま
り、最後の走査は画像522の最下部となる。
【0412】また、図50は、カートリッジホルダ40
5のASF位置437、拭き取り領域438、予備吐出
領域439を示している。カートリッジホルダ405
は、上記セクション1.0及び4.0で詳しく説明した
ように、自動給紙処理を開始するためにASF位置43
7に移動する。
【0413】拭き取り領域438及び予備吐出領域43
9は、図5に示すホームポジション46に位置すること
が好ましい。拭き取り領域438では、カートリッジホ
ルダ405に保持されたプリントヘッドが、拭き取り機
構により拭き取られ、余分なインク、汚れ、紙片、その
他の破片などをプリントヘッドから拭き取る。プリント
ヘッドはノズルから予備吐出領域439にインクを吐出
し、乾燥したり、凝固したインクをノズルから取り除
く。ASF位置437、拭き取り領域438、予備吐出
領域439のいずれかにおけるカートリッジホルダ40
5の位置は、図50では、カートリッジホルダ405を
示すことにより、または位置または領域の下のカートリ
ッジホルダ405の動きを示す矢印により示されてい
る。
【0414】記録媒体521の左側にイベントリスト5
61を示す。イベントリスト561の円で囲まれた記号
は、画像522が印刷されるときに起こるイベントを示
している。また、図50において、印刷開始563は円
で囲まれた記号Stにより表す。自動給紙564は円で
囲まれた記号ASFにより、また初期給紙時拭き取り/
予備吐出565は円で囲まれた記号LPにより表す。自
動予備吐出イベント567、570、572も、それぞ
れ円で囲まれた記号AP”、AP1、AP2としてイベ
ントリスト561に示されている。さらに、走査直前予
備吐出(JBSP)イベント568及び573は図50
において円で囲まれた記号JBSPにより表され、ノズ
ル数変更予備吐出(NNCP)イベント569は円で囲
まれた記号NNCPにより表され、また、データ待ち
(DW)イベント571は円で囲まれた記号DWにより
表されている。これらのイベントについて以下に詳しく
説明する。
【0415】本実施の形態において、ノズル数変更予備
吐出は、印刷するデータが、前回の予備吐出動作から第
1の期間駆動されなかったノズルの駆動を必要とする場
合に実行される。走査直前予備吐出は、プリントヘッド
のノズルが、第2の期間、一つも駆動されていない場合
に実行される。自動予備吐出は、前回の予備吐出から第
3の期間が経過した場合に実行される。第3の期間は、
第1または第2の期間よりも長い。その結果、ノズル数
変更またはデータ待ちイベント等により起こる走査前の
ポーズにより予備吐出処理がトリガーされなければ、よ
り長い第3の期間が経過するまで予備吐出処理は遅延さ
れることになる。
【0416】図50において、記録媒体521の右側に
時間線574を示す。時間線は図50の上から下に向か
って進み、画像522を印刷する際のカートリッジホル
ダ405の走査と、イベントリスト561に示されたイ
ベントとの時間関係を示す。従って、時間線574にお
いて、画像522を印刷する際のカートリッジホルダ4
05によるそれぞれの走査の開始は、カートリッジホル
ダ405の走査動作を表す矢印529〜552の開始地
点に示された円で囲まれた番号と同一の番号を円で囲ん
で表している。同様に、イベントリスト561に示され
るイベントは、時間線574上でイベントリスト561
で用いられるものと同じ記号を用いて表され、また、イ
ベントリスト441及び時間線574において同一イベ
ントに対応する同一記号の参照番号は共通にしている。
例えば、イベントリスト561の円に囲まれたStと、
時間線574の円に囲まれたStは、両方とも印刷の開
始563を表している。
【0417】図50により示される予備吐出制御におい
て、自動予備吐出処理が6秒間隔をベースに実行され
る。しかし、記録媒体521を走査するために用いられ
るノズル数変更時や、すべてのノズルの使用が一時停止
されたときなど、所定のイベントにより、早めの予備吐
出をトリガーすることができる。
【0418】詳しくは、イベントリスト561と時間線
574では、印刷の開始563と、その後に行われる自
動給紙564及び初期給紙時拭き取り/予備吐出565
を示している。従って、矢印529は印刷開始563の
地点である円に囲まれた記号Stの位置から、記録媒体
461の自動給紙564のための円に囲まれた記号AS
Fまでのカートリッジホルダ405の動きを示す。矢印
530は、カートリッジホルダ405が、初期拭き取り
で拭き取り領域438を過ぎて、初期予備吐出のために
予備吐出領域439へ動くことで初期給紙時拭き取り/
予備吐出565を終えるところを示している。
【0419】給紙時拭き取り/予備吐出565の後、円
で囲まれた記号AP”により表された第1の自動予備吐
出567が行われる。具体的には、給紙時拭き取り/予
備吐出565と印刷が実際に開始されるまでの間に所定
時間が経過した場合に、自動予備吐出567が行われ
る。所定時間は、例えば、データがホストプロセッサー
に処理されている時や、プリンタに送られている間に経
過する。さらに、ユーザが記録媒体をプリンタに手差し
給紙している時にも経過することもある。
【0420】図50では、上記所定時間は6秒間(57
5)である。6秒が経過すると、ノズルは、インク吐出
エラーが起きやすい「危険領域」に入る。従って、印刷
を開始する前に予備吐出を行う必要がある。自動予備吐
出567を行うために、カートリッジホルダ405は、
予備吐出領域439の下の円に囲まれた記号AP”の隣
に示されたカートリッジホルダ405の位置が表すよう
に、予備吐出領域439に位置する。そして、プリント
ヘッドノズルは、乾燥した、または凝固したインクを取
り除くために、予備吐出を行う。
【0421】印刷前に更なる遅延があった場合、プリン
トヘッドのノズルは、インクが乾き始めたり、凝固し始
めたりするのに充分長い時間使用されないこともある。
その場合、本実施の形態においては、印刷(予備吐出も
含む)が所定時間、図50では3秒間、行われないかど
うかを判断する。印刷がこの所定時間行われていない場
合、走査直前予備吐出568が行われ、ノズル内に乾燥
した、または凝固したインクが確実の残らないようにす
る。この処理により、図49(a)を参照して説明した
線に沿った画質の低下を防ぐことができる。
【0422】印刷が開始されると、前回の予備吐出処理
からの経過時間を計測する。図50に示す例では、前回
の予備吐出処理は、走査直前予備吐出568であり、自
動吐出を行う時間間隔は6秒である。しかし、この時間
が過ぎる前に、矢印531〜539が示すように、カー
トリッジホルダ405による走査が9回行われる。これ
らの9回の走査で、小さいフォントのテキスト523が
すべて印刷される。矢印540で示される10回目の走
査で大きいフォントのテキスト524を印刷するために
は、これまでに使用されていないノズルを駆動してイン
クを吐出しなければならない。本実施の形態では、図5
4を参照して後述するように、使用するノズル数の変更
を検知する。
【0423】図50では、前回の予備吐出処理から3秒
間の第1の時間が経過した後に、ノズル数の変更が起き
ている。従って、ノズルは、駆動するノズル数の変更が
上述の図49(b)に示すような画質の低下を引き起こ
す可能性のある「影響を受けやすい領域」で動作してい
ることになる。従って、ノズル数変更予備吐出569が
実施される。しかし、3秒間の第1の時間が経過する前
の変化である場合、ノズルは、画質の低下が起きにくい
「安全領域」で駆動している。その場合、前処理は行わ
ない。
【0424】好ましくは、走査を行う前に、その走査が
ノズル数の変更を伴うかどうかを判断する。カートリッ
ジホルダ405は、印刷を行う前に、使用していなかっ
たプリントヘッドノズルのクリーニングができるよう
に、走査を行う前に予備吐出領域439まで移動する。
そして、ノズル数変更予備吐出を行った後、印刷を続行
する。この様子は図50では、カートリッジホルダ40
5が第9回目の走査を終えた後に予備吐出領域439ま
で動き、大きいフォントのテキスト524のための第1
0回目の走査を円で囲まれた数字10でカートリッジホ
ルダ405が始める前に予備吐出を行う動作を示してい
る。この処理は、カートリッジホルダ405が現走査を
終え、予備吐出領域439へ動くために次の走査を行う
可能性のある、図47及び図48を参照して説明した予
備吐出制御とは対照的な処理である。
【0425】図50において、走査直前予備吐出568
から、矢印542が示す第12回目の走査が開始される
までに6秒が経過する。しかし、経過時間中にノズル数
変更予備吐出569が行われているために、自動予備吐
出570は行われない。その代わりに、矢印543〜5
46が示す第13〜16回目の走査の後に行われる自動
予備吐出572まで、予備吐出は延期される。自動予備
吐出572は、第16回目の走査中にノズル数変更予備
吐出569が実行されてからの6秒間(576)の経過
によりトリガーされる。
【0426】自動吐出処理を実行するために、カートリ
ッジホルダ405は矢印547が示すように予備吐出領
域439へ動く。第16回目の走査で、予備吐出領域4
39から離れる方向にカートリッジホルダ405が動い
ている場合(すなわち、矢印546が予備吐出領域43
9の反対方向を指している場合)には、カートリッジホ
ルダ405を予備吐出領域439へ動かしながら、次の
スキャンラインを印刷することが好ましい。この処理
は、上記のノズル数変更予備吐出処理で次のスキャンラ
インを印刷しないこととしたのとは対照的である。
【0427】また、図50はデータ待ち571が十分に
長く、自動予備吐出572の後、所定時間(例えば3
秒)ノズルがどれも駆動されない場合も示している。こ
の場合、第17回目の走査が始まる前に走査直前予備吐
出573が行われ、これにより図49(c)に示すタイ
プの画質の低下を避けることができる。
【0428】走査直前予備吐出573の後、第16及び
17回目の走査を行って、画像522の印刷を完了す
る。画像522が印刷されると、矢印551が示すよう
に記録媒体を排紙するために、カートリッジホルダ40
5は記録媒体521から離れる。この排紙処理は、上記
セクション3.0において詳しく説明した。
【0429】図51は、本実施の形態における予備吐出
制御のタイミングを示すフローチャートである。
【0430】ステップS5101において、プリンタ1
0に記録媒体を給紙する。そして、タイマを0にセット
して、ステップS5102に進む。
【0431】ステップS5103では、行送り及び印刷
処理を行う。ステップS5104でタイマが閾値1より
も小さいかどうかを判断する。閾値1は予備吐出処理が
一般的に不必要である、安全な時間間隔を表す。タイマ
が閾値1より小さくない場合は、ステップS5105に
進む。
【0432】ステップS5105において、プリンタ1
0が「影響を受けやすい領域」で動作しているか、「危
険領域」で動作しているかを判断する。具体的には、ス
テップS5105では、タイマが閾値2よりも小さいか
どうかを判断する。タイマが閾値2以上の場合は、プリ
ンタ10は「危険領域」で動作していると判断し、処理
はステップS5106に進み、予備吐出処理などのサポ
ート動作を実行する。
【0433】反対に、タイマが閾値2よりも小さい場合
は、プリンタ10は「影響を受けやすい領域」で動作し
ている。その場合、ステップS5107に進み、サポー
トが必要であるかどうかを判断する。例えば、記録媒体
上に印刷するために駆動されるノズルの数が変わった場
合、サポートが必要である。サポートが必要である場
合、処理はステップS5108に進み、サポート処理を
行う。ステップS5106またはS5108のいずれか
の実行後、タイマはステップS5109で0にリセット
される。
【0434】ステップS5110において、プリンタ1
0がページの最後に達したかどうかを判断する。プリン
タ10がページの最後に達した場合には、ステップS5
111において、記録媒体を排紙する。それ以外の場
合、処理はステップS5103に進み、印刷を続行す
る。
【0435】(8.1.2 実施例)図52〜図56
は、図50及び図51を参照して説明した予備吐出制御
のタイミングを実施するための例を説明するためのフロ
ーチャートである。この例では、所定機能は、例えば図
8を参照して上述した、例えばプリンタファームウエア
内のプリンタ制御部110により実行されることが好ま
しい。その他の機能も、ホストプロセッサー2上で実行
されるプリンタドライバ84により実行されることが好
ましい。
【0436】図52は、好ましくはプリンタ制御部11
0により実行される、予備吐出タイマ更新機能を示すフ
ローチャートである。この機能は、図19のステップS
1912から毎秒呼び出され、やはりプリンタ制御部1
10により実行することが好ましい。これにより、予備
吐出タイマはプリンタ制御部110により毎秒更新され
る。
【0437】さらに詳しく説明すると、予備吐出タイマ
更新機能が呼び出されると、ステップS5201におい
て、自動予備吐出が使用許可されたかどうかをまず判断
する。自動予備吐出は、例えばプリンタドライバ84か
らユーザによって使用許可または使用禁止を設定できる
ようにすることが好ましい。さらに、高速印刷モードで
は、自動予備吐出は、印刷速度を上げるために使用禁止
にすることができる。同様に、高画質印刷モードでは、
自動予備吐出は印刷の質を上げるために使用許可するこ
とができる。キャノン社製BC−21(e)などの特定
のプリントヘッドは、予備吐出処理の間隔が長くても影
響を受けにくく、こういったプリントヘッドにおいては
自動予備吐出を使用禁止にする事ができる。
【0438】自動予備吐出が使用許可されると、ステッ
プS5202に進む。自動予備吐出が使用禁止される
と、ステップS5206まで処理をスキップする。
【0439】ステップS5202において、プリントヘ
ッドA(上記参照番号100a)が存在するかどうかを
判断する。例えば、使用可能なプリントヘッドを有する
カートリッジが、カートリッジホルダ37aに適切に搭
載されているかどうかを判断する。プリントヘッドAが
ある場合には、ステップS5203でプリントヘッドA
用の予備吐出タイマPFT_Aを進める。同様に、ステ
ップS5204において、プリントヘッドB(上記参照
番号100b)が存在するかどうかを判断し、存在する
場合には、ステップS5205においてプリントヘッド
B用の予備吐出タイマPFT_Bを進める。本実施の形
態では、PFT_A及びPFT_Bは、上述の自動予備
吐出処理567、570、572などの自動予備吐出処
理を制御するために用いられる。
【0440】ステップS5206において、予備吐出タ
イマ更新機能を前回呼び出してから印刷または予備吐出
が行われたかどうかを判断する。印刷または予備吐出が
行われた場合にはステップS5207に進み、印刷無し
タイマNPTを0にセットする。そうでない場合はステ
ップS5208に進み、印刷無しタイマNPTを進め
る。このようにして印刷無しタイマNPTは前回の印刷
または予備吐出処理から経過した時間を保持する。
【0441】本実施の形態では、印刷無しタイマNPT
は、上述の走査直前予備吐出処理568及び573など
の走査直前予備吐出の制御のために用いられる。また、
印刷無しタイマNPTは自動予備吐出が使用許可されて
いるかどうかに関わらず、更新される。
【0442】ステップS5209において、PFCHE
CKコマンドが実行される。このコマンドは、プリンタ
制御部110により実行される予備吐出チェック機能を
呼び出す。この予備吐出チェック機能について、以下に
図53を参照して説明する。ステップS5209の後、
図19のフローチャートにリターンする。
【0443】図53は、本実施の形態における、好まし
くはプリンタ制御部110により実行される予備吐出チ
ェック処理を説明するためのフローチャートである。ス
テップS5301において、カートリッジホルダ405
が正しい方向、すなわち予備吐出領域439へ向かって
いるかどうかを判断する。カートリッジホルダ405が
正しい方向に動いていない場合、処理は機能の最後にス
キップして、図52にリターンし、さらに図19の処理
にリターンする。図19のステップS1912が次の1
秒後の割り込みにより呼び出されると、カートリッジホ
ルダが正しい方向に動くまで、この処理が繰り返され
る。カートリッジホルダが正しい方向に動いていると判
断されると、ステップS5302に進む。
【0444】上記ステップS5301の処理は、カート
リッジホルダ405が予備吐出領域439から離れる方
向に走査をしている最中に自動予備吐出処理の時間間隔
が経過した場合を確認するためのものであり、カートリ
ッジホルダ405が予備吐出領域439に戻る次の走査
でも印刷が行われる。
【0445】ステップS5302で、PFT_Aがプリ
ントヘッドAのための予備吐出設定時間よりも大きいか
どうかを判断する。同様に、ステップS5303におい
て、PFT_BがプリントヘッドBのための予備吐出設
定時間よりも大きいかどうかを判断する。図50を参照
して説明した上記例では、設定時間は両方とも6秒間で
あったが、時間を必ず同じにする必要はなく、プリント
ヘッドAとプリントBに異なるプリントヘッドを使用し
ている場合に対応するためには、むしろ異なる方がよ
い。
【0446】予備吐出タイマPFT_Aまたは予備吐出
タイマPFT_Bの少なくともいずれかがそれぞれの設
定時間よりも大きい場合には、対応するプリントヘッド
が図50を参照して上述した「危険領域」で動作してい
るため、予備吐出処理を行う必要がある。従って、処理
はステップS5304に進み、予備吐出(印刷)機能が
呼び出されて、自動予備吐出処理が実行される。予備吐
出(印刷)機能は、図56を参照して詳細に後述する。
【0447】図54は、本実施の形態におけるプリンタ
ドライバ84によるノズル数変更予備吐出リクエストの
生成を説明するフローチャートである。
【0448】ステップS5401において、プリンタド
ライバ84は、プリントジョブのページの開始時点で、
PREVIOUS FEED及びCURRENT FE
EDを0に設定する。ステップS5402において、プ
リンタドライバ84はLOADコマンドをプリンタ10
に送り、セクション3.6.1で上述したように、記録
媒体をプリンタ10に給紙する。
【0449】プリンタドライバ84は、印刷する次のス
キャンラインのラスターラインの高さを判断する。ステ
ップS5403において、プリンタドライバ84は、S
KIPコマンドを使って、プリンタ10にXスキャンラ
イン分だけ記録媒体を進めるように命令する。ステップ
S5404で、CURRENT FEEDがXに設定さ
れる。
【0450】ステップS5405では、CURRENT
FEEDがTHRESHOLD_1以下であって、P
REVIOUS FEED(前の走査のCURRENT
FEED)がTHRESHOLD_1よりも大きい場
合に、ノズル数が変更したと判断する。本実施の形態で
は、THRESHOLD_1はラスターラインで印刷に
用いられるプリントヘッドの幅よりも1小さい。例え
ば、図7に示すプリントヘッド61では、THRESH
OLD_1はラスターライン127行であることが好ま
しい。
【0451】具体的には、PREVIOUS FEED
がTHRESHOLD_1よりも大きい場合、プリンタ
10はプリントヘッドの幅以上に、前回の走査で記録媒
体を送っている。その結果、前の走査と現走査との間に
白領域が存在するため、前の走査で印刷されたデータ
が、水平白領域によりスキャンラインが他のスキャンラ
インから分離された、いわゆる孤立データであることを
示す。通常は、単独データを印刷するために、プリント
ヘッドのすべてのノズルが使用されることはない。特
に、少なくとも、プリントヘッドの上部または下部のノ
ズルが使用されないことが多い。
【0452】CURRENT FEEDがTHRESH
OLD_1以下である場合、現スキャンラインと前のス
キャンラインを分離する白領域は存在しない。従って、
現スキャンラインデータは、テーブルやチャートのデー
タなど、プリントヘッドのすべてのノズルが通常使用さ
れる、連続走査データである。従って、CURRENT
FEEDがTHRESHOLD_1以下であり、PR
EVIOUS FEEDがTHRESHOLD_1より
も大きいかどうかを判断することにより、孤立データの
印刷から連続データの印刷へ移行したときに起こるノズ
ル数の変化を検知することができる。
【0453】ステップS5406では、CURRENT
FEEDがTHRESHOLD_2よりも大きく、P
REVIOUS FEEDがTHRESHOLD_2以
下である場合に、ノズル数が変更したかどうかを判断す
る。本実施の形態においては、THRESHOLD_2
はある1色(例えば、シアン、マゼンタ、黄色)のイン
クを吐出するために用いられるカラーノズルの数と等し
い、すなわち、ある1色のインクを吐出するためのカラ
ープリントヘッドの一部のノズル数よりも1少ないこと
が好ましい。例えば、図7に示すプリントヘッド62に
おいては、THRESHOLD_2は、好ましくは23
である。
【0454】さらに詳しく説明すると、CURRENT
FEEDがTHRESHOLD_2よりも大きい場
合、カラープリントヘッドを用いて記録することのでき
るカラーインクのラスターラインの数よりも現スキャン
で印刷されるラスターラインの数の方が多いため、現走
査のデータはカラーデータである可能性が高い。また、
PREVIOUS FEEDがTHRESHOLD_2
以下である場合、前の走査がカラーデータであった可能
性が高い。従って、このテストにより、カラーデータの
印刷から無彩色の印刷に移行したことが判断できる。
【0455】カラー印刷を行っている間、ある1走査で
使用された黒ノズルの数は、通常、ある1色のためのカ
ラーノズルの数と等しい。例えば、セクション8.0で
説明したように、プリントヘッド62の黒ノズル46本
のみがカラー印刷の時に通常用いられ、黒ノズル18本
は使用されない。しかし、無彩色印刷の場合、黒ノズル
すべてが使用されるのが一般的である。従って、カラー
印刷から無彩色印刷へ移行した後では、使用される黒ノ
ズル数が変わるために、通常、ノズル数が変わる。
【0456】ステップS5405またはS5406でノ
ズル数が変わったと判断した場合には、ステップS54
07でノズル数変更予備吐出リクエストがプリンタ10
に送られる。プリンタドライバ84で用いられるように
設定されたコマンドがノズル数変更予備吐出リクエスト
を含まない場合、存在するコマンドを範囲外引数と共に
送ることにより、この指示を送ることができる。そし
て、プリンタのファームウエアは範囲外因数を有するコ
マンドをノズル数変更予備吐出リクエストとして認識す
るように更新することができる。例えば、本実施の形態
によれば、引数0行のラスターSKIPコマンドを、ノ
ズル数変更予備吐出リクエストとして用いることができ
る。
【0457】そして、ステップS5408において、ス
キャンラインがPRINTコマンドを用いて印刷され
る。ステップS5409では、PREVIOUS FE
EDがCURRENT FEEDと等しくなるように設
定する。ページの終わりに到達していない場合には、ス
テップS5410からステップS5403に戻り、次の
スキャンラインの処理を行う。そうでなければ、ページ
終了のための処理を行う。
【0458】図55は、好ましくはプリンタ制御部11
0により実施される、本実施の形態の走査予備吐出処理
を説明するためのフローチャートである。この処理は、
プリンタ10がスキャンラインを印刷するためのPRI
NTコマンドを受信する毎に実施される。
【0459】ステップS5501において、ノズル数変
更予備吐出リクエストを受信したかどうかを判断する。
図54のステップS5407を参照して上述したとお
り、本実施の形態においては、このリクエストは、引数
0行のSKIPコマンドの形態を有する。このようなリ
クエストを受信すると、処理はステップS5502に進
み、そうでなければ、ステップS5505までスキップ
する。
【0460】ステップS5502において、予備吐出タ
イマ、すなわち、図52を参照して説明したPFT_A
またはPFT_Bが、閾値T1よりも大きいかどうかを
判断する。予備吐出タイマがこの閾値よりも小さい場
合、図50を参照して上述したように、プリントヘッド
は「安全領域」で動作している。従って、予備吐出処理
は必要なく、印刷を遅らせるだけなので、ステップS5
505にスキップする。
【0461】予備吐出タイマがこの閾値よりも大きい場
合、プリントヘッドは「影響を受けやすい領域」(また
は「危険領域」)で動作しており、予備吐出を行わなけ
ればならない。従って、処理はステップS5503に進
み、予備吐出(印刷)機能が呼び出されて、ノズル数変
更予備吐出(NNCP)処理が行われる。この予備吐出
(印刷)機能は、後で図56を参照して詳しく説明す
る。ステップS5504において、ノズル数変更予備吐
出リクエストはリセットされる。
【0462】ステップ5505で、印刷無しタイマNP
Tが印刷無し閾値T2を越えているかどうかを判断す
る。印刷無しタイマNPTがこの閾値を超えている場
合、処理はステップS5506に進み、予備吐出(印
刷)機能が呼び出され、走査直前予備吐出(JBSP)
処理が実行される。
【0463】図56は、本実施の形態における、予備吐
出(印刷)機能を説明するためのフローチャートであ
る。この機能は、プリンタ制御部110により実施され
ることが好ましい。
【0464】ステップS5601で、予備吐出ルックア
ップテーブルポインタを検索して取得する。ステップS
5602でカートリッジホルダ405が予備吐出領域4
39にあるかどうかを判断する。カートリッジホルダ4
05が予備吐出領域439に無い場合には、ステップS
5603で予備吐出領域439に移動される。
【0465】図53を参照して上述した通り、自動予備
吐出処理のためにステップS5304から予備吐出(印
刷)機能が呼び出された場合には、カートリッジホルダ
405はプリンタ10の予備吐出領域439と同じ側に
ある。同様に、走査直前予備吐出処理のために図55の
ステップS5506から予備吐出(印刷)機能が呼び出
された場合には、少なくとも時間間隔T2の間、印刷は
実施されない。従って、カートリッジホルダ405はや
はり、プリンタ10の予備吐出領域439と同じ側にあ
る。好ましくは、ノズル数変更予備吐出の場合にのみ、
カートリッジホルダ405はステップS5603におい
て印刷を行わずに記録媒体上を動く。その結果、予備吐
出による遅延をさらに短縮することができ、印刷速度全
体を上げることができる。これらのどちらの場合でも、
ステップS5603でカートリッジホルダ405を予備
吐出領域439まで動かすための時間は、短時間で済
む。
【0466】ステップS5604で、プリントヘッドの
構成をチェックする。プリントヘッドの構成に基づい
て、予備吐出カウントパターン周波数及びパルス幅変調
が、後述のセクション8.2で説明するように、ステッ
プS5605で決定される。決定した周波数及び変調
は、ステップS5606で制御ロジック94に送られ、
これによりステップS5607の予備吐出を開始する。
【0467】ステップS5608、S5609、S56
10において、予備吐出タイマはすべてリセットされ
る。具体的には、PFT_A、PFT_B、NPTがす
べて0にリセットされる。そして処理は予備吐出(印
刷)処理からリターンする。
【0468】<8.2 パルス幅変調制御>図57はイ
ンクジェットノズルヒートパルス幅と出力濃度との関係
を説明する図である。図57では、一定幅のヒートパル
ス604を用いてインクジェットプリントヘッドのノズ
ルから吐出されるインクによる印刷をするときの、スキ
ャンライン602上の印刷濃度601を示す。
【0469】プリントヘッドがスキャンライン602上
を走査するに従って、インクジェットノズルからの吐出
が繰り返されるために、プリントヘッド温度603は上
昇する。プリントヘッドが熱くなると、同じヒートパル
ス幅で駆動したとしても、ノズルからはより多くのイン
クが吐出されることになる。その結果、プリントデータ
とは関係なく、印刷方向605に進むに従って、印刷濃
度は不適切に高くなる。
【0470】図58は、ヒートパルス幅変調を説明する
ための図である。図58に示すように、スキャンライン
上をプリントヘッドが動くにつれて、異なるヒートパル
ス幅が用いられる。ヒートパルスはプリントヘッドの温
度609を最適温度610近辺に保つように変調され、
これにより、印刷濃度を一定に保っている。
【0471】図59は、ノズルヒートパルス駆動時間の
制御を説明するためのフローチャートである。ステップ
S5901でプリンタ10はプリントヘッドパルス幅シ
ーケンスを駆動するための制御率を設定するコマンドを
受信する。コマンドは、ホストプロセッサー2から送ら
れ(ステップS5902)、そのようなコマンドを受信
しない場合には、プリンタ10はデフォルト値100%
を維持する。ステップS5901で受信した駆動の制御
率は、ROM92にあらかじめ格納されたテーブルから
のルックアップ値に適用する因数であり、ステップS5
912で詳しく説明する。
【0472】ステップS5903で、プリンタ10はヘ
ッド温度の計算に用いる制御率のコマンドを受け取る。
コマンドは、ホストプロセッサー2から受信し(ステッ
プS5904)、このコマンドを受け取らない場合に
は、プリンタ10はデフォルト値100%を維持する。
ヘッド温度計算の制御率は、ヘッド温度を計算するため
に用いられる予め保持されたヒートアップ計数に対する
増倍率として用いられる。この動作については、ステッ
プS5915に関連して詳しく後述する。
【0473】好ましくは、ステップS5901〜S59
04は、セクション3.6で定義したパルス率変更コマ
ンド([PCR])を利用して行われる。上述したよう
に、[PCR]コマンドは、ヘッド温度を算出するため
に用いられるヒートアップ係数の割合や、ノズルからイ
ンク滴を吐出するときにプリントヘッド100a及び1
00bのそれぞれのノズルについてパルス幅駆動シーケ
ンスのためのパルス幅の率を変更するといった、パルス
制御テーブルの割合を変更するために用いられる。
【0474】プリンタ10ではプリントヘッド駆動パラ
メータの直近の値をリアルタイムで維持するために、例
えば、50msecの時間間隔で、ステップS5906
から5915の処理が繰り返し行われる。具体的には、
図19を参照して説明したように、ステップS5906
からS5915では、ヘッド温度を計算し、ノズルから
インク滴を吐出するために用いられるパルス幅シーケン
スのパルス幅タイミングを割り出すために、例えば50
msecの時間間隔で、他の50msec毎に実行され
る他のタスクと共に、繰り返し実行される。
【0475】図59において、ステップS5906で現
在の周辺温度(Tenv)をプリンタ10の温度センサ
ー103aから、図61により後述するように、好まし
くはリアルタイムに読みだす。現在の周辺温度はサーミ
スタから読み出された直近の値であるが、より好ましく
は、サーミスタから読み出された実際値は、ばらつきを
滑らかにしたり、温度計の読みとり誤差を割引き、アナ
ログ−デジタルサンプリングノイズなどのノイズを除去
するといった目的で、ローパスフィルタにかけられる。
【0476】ステップS5906で読み出した周辺温度
envに基づいて、ステップS5907で目標温度T
tgtを算出する。目標温度は、現在の周辺温度に基づ
く、プリンタ10の好ましい駆動温度である。一般的に
は、プリンタ10は、図19により上述したように、目
標の温度に達するように、500msec毎の割り込み
レベルで、プリントヘッド100a及び100bの不図
示のヒーターを介して制御される。目標温度は、現在の
周辺温度に基づく、プリントヘッドの駆動に最も適した
温度である。目標の温度と周辺温度の関係は互いに逆で
あり、つまり、周辺温度が低い場合には、目標温度は比
較的に高くなり、逆に周辺温度が高い場合には、目標温
度は比較的に低くなる。例えば、周辺温度がTenv
5℃など、非常に低い場合、好ましい目標温度は、例え
ばTtgt=35℃である。また、周辺温度がTenv
=35℃など、非常に高い場合、好ましい目標温度は、
例えばTtgt=15℃である。
【0477】ステップS5909では、プリントヘッド
100a及び100bから実際にインク滴を吐出するこ
とによる、プリントヘッド温度に対する影響を計算す
る。具体的には、ステップS5906で読み出した周辺
温度は、プリントヘッド100a及び100bの外側に
搭載されたサーミスタから読み出された周辺温度に基づ
くものである。反対に、プリントヘッドの駆動パラメー
タの適切な制御は、プリントヘッドノズル近くのインク
の内部温度により直接的な影響を受ける。通常、そのよ
うな狭い場所にサーミスタを取り付けるのは現実的では
ないと考えられている。それと同時に、活発なインク滴
の吐出はインク温度を上昇させ、インク滴を吐出しなけ
れば、インク温度は通例下がることが知られている。ス
テップS5909の目的は、インク滴の吐出によるプリ
ントヘッド温度の影響を算出する事により、この計算を
行うことである。
【0478】ステップS5909で行うプリントヘッド
の温度の計算は、例えば50msecなど、前の時間内
で実際に吐出されたインク滴の数に、ある程度基づいて
行われる。所定時間内におけるインク滴吐出のそれぞれ
には、熱係数重みがつけられている。所定時間内のイン
ク滴吐出の回数に応じて、プリントヘッドの温度にイン
ク滴の吐出が与える影響を算出することが可能である。
【0479】また、このようなヒートアップ係数は、使
用されるプリントヘッドのある特定のタイプや、そのヘ
ッドで用いられるインクの特性や、ヘッドによるプリン
トアウトの解像度などによって異なることが知られてい
る。ヘッド/インク/解像度のそれぞれの異なる組み合
わせによって、印刷されたドット数に対応する、ヒート
アップ係数値は変わる。従って、ROM92にはヒート
アップ係数値が予め格納されている。この状態を図60
に示す。
【0480】図60に示すように、ROM92の一部は
予め格納されたヒートアップ係数のためのテーブル62
1を含む。テーブルは複数のテーブル622a、622
bなどを含み、それぞれのテーブルがプリントヘッド、
インクの特性、解像度のそれぞれの異なる組み合わせに
対応している。複数のテーブルのそれぞれは、1、2、
3(参照番号は623、624、625)のラベルつけ
られた、表のようにアクセスされる係数を有し、例え
ば、50msecといったある特定の時間間隔で吐出さ
れるインク滴の数に基づいてルックアップ処理によりア
クセスされる。プリンタ10は、デフォルトまたはコマ
ンドに基づいてテーブル621に保持されたテーブルか
ら一つのヒートアップテーブルを選択し、さらに、50
msec毎に吐出されるインク滴の数に基づいて、選択
されたテーブルからヒートアップ係数を選択する。
【0481】テーブル621からルックアップ処理によ
り取得した係数は、インク滴の吐出がプリントヘッドの
温度に与える影響を算出するために用いられる。適切な
計算の例としては、以下のものがある。
【0482】ΔTmain=(係数1×(吐出された黒
インク滴の数))+(係数2×(吐出された色インク滴
の数))+(係数3×(ヒーターのデューティーサイク
ル))−係数4 ここで、係数1は、吐出された黒インク滴の数に基づく
ヒートアップ係数、係数2は、吐出された色インク滴の
数に基づくヒートアップ係数、係数3はヒーターの現在
のデューティーサイクルに基づくヒートアップ係数、係
数4は不活動状態に基づくプリントヘッドの温度低下を
示す。もちろん、使用された実際の係数及び計算は、ヘ
ッド/インク/解像度の組み合わせに依存する。例え
ば、上記の計算は4色のプリントヘッドには適している
が、全黒のプリントヘッドでは、吐出された色インク滴
の数に依存しない別の計算を用いる。
【0483】周辺温度Tenv、目標温度Ttgt、及
びプリントヘッド温度の影響ΔT ainを用いて、ス
テップS5910では以下の式を用いて差Tdiff
計算する。
【0484】 Tdiff=Ttgt−Tenv−ΔTmain ステップS5911では、温度差Tdiffに基づい
て、パルス幅駆動シーケンスのためのパルス幅時間を格
納するROM92のルックアップテーブルにアクセスす
る。適するテーブルを図60に図示し、以下に説明す
る。
【0485】図60に示すように、ROM92は駆動時
間を保持するためのルックアップテーブルを有する。駆
動時間は、インク滴を吐出するためにノズルヒーターを
駆動するために用いられるパルスシーケンスのためのパ
ルス幅のことである。一般的なパルスシーケンスは図5
9の参照番号640で示しており、パルス幅Tpre
プレヒートパルス、パルス幅Tintの無活動の期間、
及びパルス幅Tmai のメインヒーティングパルスと
を有する。このようなパルスシーケンスは、プリントヘ
ッド100a及び100bのそれぞれのノズル内のノズ
ルヒーターに与えられ、印刷のためにインク滴が吐出さ
れる。テーブル630の目的は、Tre 、Tint
mainを、ステップS5910で算出した温度差に
ある程度基づいて算出することである。
【0486】同時に、パルス駆動シーケンスのパルス幅
は、プリントヘッド、インク特性、解像度などによって
それぞれ異なることがわかる。従って、図60に示すよ
うに、テーブル630はテーブル632a、632bな
ど個々のテーブルを含んでいる。各テーブル632a,
632b等は、プリントヘッド、インク特性、解像度の
各組み合わせに応じて作成されている。630に示すよ
うに、テーブルそれぞれはプレヒートパルスTpre
パルス幅のためのエントリー634と、無活動期間T
intのパルス幅のためのエントリー635と、メイン
ヒーティングパルスTmainのパルス幅のためのエン
トリー636とを含む。どのエントリーにも、ステップ
S5910で算出した温度差Tdiffに基づいてルッ
クアップ処理によりアクセスすることができる。
【0487】プリンタ10は、デフォルトまたはコマン
ドに基づいて、630に格納されているテーブルから駆
動時間のテーブルを一つ選択する。その後、プリンタ1
0は選択したテーブルのエントリーにアクセスし、ステ
ップS5910で算出した温度差及びヘッド/インク/
解像度の組み合わせに基づいて、プレヒートパルス、無
活動時間、メインヒーティングパルスの適切な時間を探
し出す。
【0488】図59に戻って説明すると、ステップS5
912で、ステップS5901で受信した駆動のための
制御率に基づいて、ルックアップ処理によりテーブル6
30から得た駆動時間を更新する。このステップの目的
は、プリンタ10に実際の装着されたプリントヘッド
と、テーブル630に格納されたプリントヘッドの組み
合わせの違いを考慮に入れて、ルックアップテーブル6
30に予め格納された値を更新することができるように
することである。詳しく説明すると、上述の通り、プリ
ンタ10のROM92には駆動時間のための複数のテー
ブルが予め格納されており、それぞれのテーブルはプリ
ントヘッド/インク/解像度の各組み合わせのために作
られているが、ヘッド/インク/解像度のすべての組み
合わせに対応できるわけではない。従って、ステップS
5912での更新により、これまでには分からなかっ
た、または格納されていなかったプリントヘッド/イン
ク/解像度の組み合わせを使用することができる。
【0489】ステップS5912の更新は、ステップS
5911のルックアップ処理で得られた駆動時間に、ス
テップS5901で受信した制御率を掛けることにより
行うことが好ましい。このため、デフォルトの制御率は
100%である。パルス率変更コマンド[PCR]によ
り命令可能な制御率は、1%と200%の間に制限され
ている。従って、パルス時間は、効果的に無視できるパ
ルス時間から、テーブル630に保持された値の2倍ま
で更新することができる。
【0490】そして処理はステップS5914に進み、
プリンタ10は、ヘッド温度を算出するためにヒートア
ップ係数を探し出す。図60のテーブル621を参照し
て上述したように、ヒートアップ係数は、プリントヘッ
ド、インク、及び解像度の各組み合わせに基づいて得ら
れ、約50msecのパルス幅を有する1周期内に印刷
されるドット数に基づいて、テーブル622aなどの1
つから探し出される。
【0491】ステップS5915では、ステップS59
03で受信した制御率に基づいてヒートアップ係数を更
新する。ここでもこのような更新の目的は、テーブル6
21のどれにも保持されていない、プリントヘッド、イ
ンク、解像度のある組み合わせが利用できるようにする
ことである。
【0492】好ましくは、ステップS5915でのヒー
トアップ係数の更新は、ステップS5914でルックア
ップ処理を行うことにより得た係数を、ステップS59
03で受信した制御率により掛けることにより行われ
る。このため、デフォルトの制御値は100%である。
制御率変更コマンド[PCR]により命令可能な制御率
は、1%と200%の間に制限されているため、ヒート
アップ係数は、効果的に無視できる値から、テーブル6
21に保持された値の2倍まで、更新することができ
る。
【0493】図5916において、プリンタ10は、プ
リンタ10にプリントデータを送るホストプロセッサー
2からのコマンドと、プリンタ10に送られたデータを
印刷するように指示するコマンドとに応じて、ステップ
S5912で更新した駆動時間に基づいて、ノズル駆動
を制御する(ステップS5917)。そして、ステップ
S5906〜S5915を例えば50msec間隔で繰
り返し、ホストプロセッサー2からの命令に対して、ス
テップS5916で更新された駆動時間を基にして、ノ
ズル駆動を制御する。なお、駆動の制御率並びにヘッド
温度算出のための制御率は、ホストプロセッサー2から
随時送られ、上記ステップS5901及びS5903で
プリンタ10により対処される。
【0494】図61は駆動時間決定のためのリアルタイ
ムな周辺温度の使用方法について説明するフローチャー
トである。本発明の実施の形態によれば、プリントヘッ
ドのノズルの駆動時間を決定するために用いられる周辺
温度Tenvはリアルタイムの周辺温度TenvRであ
る。
【0495】従って、ステップS6101において、リ
アルタイムの周辺温度TenvRは図9に示す温度セン
サー103aを用いて計測され、A/D変換器及びI/
Oポート96を介してリトリーブされる。ステップS6
102において、ハード電源投入タイマを進める。そし
てステップS6103でリアルタイムの周辺温度T
nvRをハード電源投入タイマを利用して更新する。こ
れは、プリンタ10の連続動作が周辺温度に与える影響
に対処するためである。
【0496】ステップS6104において、TenvR
が0℃よりも低いかどうかを判断し、その場合、T
envRをステップS6105で0℃に設定する。同様
に、ステップS6106において、TenvRが70℃
よりも高いかどうかを判断し、その場合には、T
envRを70℃に設定する。
【0497】ステップS6108において、図59及び
図60を参照して説明したように、TenvR及びT
envを用いてヘッド目標温度をリトリーブする。
【0498】図62は、自動予備吐出処理が一定時間間
隔をベースに行われた後の、ヒートパルス幅変調の制御
について説明する図である。
【0499】図62に示すように、安定した印刷濃度を
保つために、それぞれのスキャンライン上においてパル
ス幅変調は変化する。予備吐出処理は、前回の予備吐出
制御から3秒が経過したスキャンラインの後に行われ
る。
【0500】それぞれの予備吐出処理の後、カートリッ
ジホルダ405は、印刷が再開できるようになる前に、
予備吐出領域439から印刷領域644へ動かなければ
ならない。カートリッジホルダ405により運ばれるプ
リントヘッドの温度ははこの動作の間に低下する。その
結果、図62に示すように、予備吐出処理の後、印刷を
再開するときには最大パルス幅647が与えられる。パ
ルス幅はプレヒートパルスと、無活動期間と、最大パル
ス幅647として示すような、メインパルスを含む。
【0501】図62に示すヒートパルス変調の制御は、
ある固定の短い時間間隔をベースに予備吐出が行われて
いる場合に、印刷の質を保つためには十分であるかもし
れないが、ヒートパルス変調は、上記セクション8.
1.1で説明した、時間間隔を異ならせることにより予
備吐出の実施タイミングを分けることのできる本実施の
形態の予備吐出に、より適切に対応するように更新する
ことができる。
【0502】図63は、本実施の形態におけるプリント
ヘッドのヒートパルス幅変調を説明するための図であ
り、ヒートパルス幅は、前回の予備吐出から第1の時間
間隔に、最大となる。
【0503】図63において、予備吐出処理651は、
前回の予備吐出処理653を行ってから6秒間隔(65
2)の後に行われる。6秒間隔(652)は、ノズル数
変更が検出されない場合の、長い間隔の一例である。こ
のような長い時間間隔については、図50及び図51を
参照して上述した。
【0504】長時間間隔の第1部分の間、カートリッジ
ホルダ405により運ばれるプリントヘッドのノズル
は、「安全領域」で動作している。この安全領域は、駆
動ノズル数の変更があった場合であっても、予備吐出が
行われないように設定された閾値により定義され、やは
り図50及び図51を参照して説明した。動作の安全領
域中においては、ノズルは乾燥したり、凝固したりしな
い傾向がある。従って、図59〜図62を参照して説明
したパルス幅変調で、十分な画質を提供することができ
る。
【0505】安全領域の後、カートリッジホルダ405
により運ばれるプリントヘッドのノズルは、同じく図5
0及び図51を参照して上述した「影響を受けやすい領
域」で動作していることになる。この影響を受けやすい
領域での動作中は、プリントヘッドのノズル内で、イン
クが乾燥し始めたり凝固し始めたりすることがある。従
って、本実施の形態によれば、この影響を受けやすい領
域での動作中は、ノズルを駆動するために最大パルス幅
654を使用する。同様に、予備吐出が、図50及び図
51を参照して上述した「危険領域」での動作に至るま
で遅延された場合、ノズルを駆動するために、最大パル
ス幅が引き続き使用される。
【0506】予備吐出処理の後、カートリッジホルダ4
05が予備吐出領域439から印刷領域まで移動する間
に起こるプリントヘッドの温度低下に対応するために、
最大パルス幅656がノズルを駆動するために用いられ
る。そして、図59〜図62を参照して上述したパルス
幅変調が再開され、ノズルがまた影響を受けやすい領域
または危険領域で動作するようになるまで続けられる。
【0507】図64は、本実施の形態におけるヒートパ
ルス幅変調を説明するためのフローチャートであり、前
回の予備吐出から第1の時間が経過すると、ヒートパル
ス幅が最大となる。このパルス幅変調制御は、図59〜
図62を参照して上述したパルス幅変調の更新を示すも
のである。
【0508】図64に示すパルス幅変調制御は、リアル
タイムでパルス幅変調を更新するために、プリンタ制御
部110により、例えば50msecなどの周期で繰り
返し実施されることが好ましい。具体的には、図64に
示すパルス幅変調制御は図19のステップS1906か
ら、例えば50msec毎に実施される。
【0509】ステップS6401において、記録媒体が
プリンタ10に給紙されたかを判断する。記録媒体が給
紙されていない場合、印刷を行わず、ステップS19に
リターンする。給紙されていれば、ステップS6402
に進み、予備吐出処理中であるかどうかを判断する。予
備吐出処理中である場合には、図56を参照して上述し
たようにプリントヘッドの構成に基づいてパルス幅変調
を制御し、図19にリターンする。そうでない場合に
は、ステップS6403及びS6404に進む。ステッ
プS6403及びS6404において、パルス幅変調パ
ラメータが図59〜図62を参照して上述したようにし
て決定される。本発明の実施の形態においては、パルス
幅パラメータはパルス数の形態で返される。パルス数が
大きいほど、ノズルから吐出されるインクの量をより多
くするヒートパルスを示し、パルス数が小さいほど、ノ
ズルから吐出されるインクの量をより少なくするヒート
パルスを示す。
【0510】ステップS6405において、予備吐出タ
イマ(PFT_AまたはPFT_B)が、プリントヘッ
ドノズル動作における「影響を受けやすい領域」を定義
する閾値(例えば3秒)よりも大きいかどうかを判断す
る。予備吐出タイマが閾値よりも大きい場合、ステップ
S6406に進んで、最大パルス幅がパルス幅変調に用
いられる。この工程により、ノズル内のインクが乾燥ま
たは凝固しやすいような時には、最大パルス幅が用いら
れる。最大パルス幅を使用することにより、画質を低下
させる原因となるノズルのつまりが起こる可能性を下げ
ることができる。そしてステップS6411に進む。
【0511】予備吐出タイマが閾値を越えていない場合
は、ステップS6407において、ステップS6404
で得たパルス数が以前に決められたパルス幅の数よりも
小さいかどうかを判断する。決められたパルス数が以前
のパルス幅の数よりも小さい場合、ステップS6408
において現在のパルス数を前回のパルス数から1を引い
た値に設定する。
【0512】同様に、ステップS6409において、ス
テップS6404で得たパルス数が、前回決められたパ
ルス幅数よりも大きいかどうかを判断する。決められた
パルス数が前回のパルス幅数よりも大きい場合、ステッ
プS6410において現在のパルス数を前回のパルス数
に1を加えた値に設定する。
【0513】ステップS6407〜S6410の動作に
より、パルス幅変調機能の呼び出し1回につき、現在の
パルス幅数の変更率を1に制限することができる。この
結果、パルス幅変調における変化は、従来のシステムに
比べてなめらかになり、結果として得られる1スキャン
ラインの印刷濃度を均等にすることができる。
【0514】ステップS6411では、現在のパルス幅
数をヒートパルスの時間に変換し、ステップS6412
で制御ロジック94に送る。そして図19にリターンす
る。
【0515】<9.0 複数のインクを用いたカラー印
刷>上述の通り、プリンタドライバ84は入力したマル
チレベルのRGBデータを、印刷に用いる2値のCMY
Kデータに変換するために、様々な処理を実行する。図
65は、1画素分のRGBデータを黄色インク、マゼン
タインク、シアンインク、高浸透性の黒インク、低浸透
性の黒インクそれぞれに対応する2値データに変換する
ための、コンピューターにより実行可能な処理工程を示
すフローチャートである。処理は、プリンタドライバ8
4に保持し、RAM86からCPU70により実行する
ことが好ましい。
【0516】図65の処理は、マルチレベル値に対応す
る低浸透性黒インクの第1の量を決定する第1の決定工
程と、マルチレベル値に対応する高浸透性黒インクの第
2の量を決定する第2の決定工程と、マルチレベル値に
対応する第1の量の低浸透性黒インクと、マルチレベル
値に対応する第2の量の高浸透性黒インクとを用いて画
素を印刷する印刷工程とを有する。
【0517】具体的に説明すると、ステップS6501
で処理が開始されると、入力画素のRGBデータを受信
する。入力されたRGBデータは、8ビットの赤、緑、
青データからなる多値RGBデータであることが好まし
い。RGBデータはステップS6502で対応するCM
YKマルチビット値に変換される。次にステップS65
04において、ステップS6502で得たシアンデータ
値が出力補正される。また、ステップS6502で得た
マゼンタデータ値がステップS6505で出力補正さ
れ、さらにステップS6506及びS6507ではステ
ップS6502で生成された黄色データ値及び黒データ
値に対して、出力補正が行われる。さらにステップS6
508において、ステップS6502で生成された黒デ
ータ値に対する出力補正を行う。なお、ステップS65
08における出力補正は、ステップS6507で出力補
正された黒データに対して行われるが、ステップS65
07における出力補正では、高浸透性黒インクに対応す
る出力補正後の値が生成され、ステップS7608にお
ける出力補正では、低浸透性黒インクに対応する値が生
成される。
【0518】図66は、ステップS6504〜S650
8の処理で使用されるグラフの例を示す。図66のそれ
ぞれのグラフの線は、特定タイプのインクのための出力
補正を行うために用いられる、対応する入力値及び出力
値を示す。例えば、染料黒インクに対応する出力補正を
行うためには、ステップS6502で生成された黒の入
力値を水平軸上に置いて、仮想垂直線を染料黒インクを
表すグラフの線と交わるように描き、さらに仮想水平線
を交点から番号付垂直まで描く。入力カラー値の出力補
正された値は、仮想水平線が番号付垂直軸と交わる点に
基づいて決められる。
【0519】ステップS6504〜S6508で上述し
たように出力補正を行った後、出力補正されたそれぞれ
の値は、中間調化される。具体的には、出力補正された
シアンデータは、ステップS6510で中間調化され、
出力補正されたマゼンタデータは、ステップS6511
で中間調化され、出力補正された黄色データは、ステッ
プS6512で中間調化され、出力補正された染料黒デ
ータは、ステップS6513で中間調化され、出力補正
された顔料黒データは、ステップS6514で中間調化
される。なお、ステップS6510〜S6514で行わ
れる中間調化処理により、「0」か「1」の値に変換さ
れる。その結果、ステップS6501で入力したデータ
に対応する画素を印刷する時には、インク滴を全く使わ
ないか、または上述したそれぞれのタイプのインク滴を
全て用いるか、またはそれらを組み合わせるかにより印
刷される。とりわけ、従来のシステムと対照的に、染料
黒インクと顔料黒インクの両方をその画素を印刷するた
めに用いてもよい。ステップS6516では、ステップ
S6510〜S6514のいずれかのステップで生成さ
れた中間調化されたデータは、上述のように、その後に
行われる印刷のためにプリントバッファ99に保持され
る。
【0520】さらに、図65の処理により得られた2値
データを、黄色、マゼンタ、シアン、高浸透性黒インク
の小さなインク滴と、低浸透性黒インクの大きなインク
滴とを印刷するために用いることが好ましい。上記で
は、このような構成により、カラー領域でも良好な品質
を保ちながら、高品質のテキスト画像及び黒領域を生成
することができる。
【0521】<10.0 状態に基づくプリンタ制御>
図67〜図82は、プリンタドライバがプリンタの状態
をどのように得、プリンタ動作を制御するためにそうい
った状態をどのように使用するかを説明するための図で
ある。特にこれらの図は、デフォルト値からプリンタ用
の動作制御パラメータに更新するため、及び/またはデ
フォルトの方法とは異なるプリンタの現在の状態を考慮
した方法でプリントデータを導き出すようにプリンタで
印刷するためにプリントドライバによってプリントデー
タを導き出す方法を更新するために、どのようにプリン
タドライバがプリンタの状態、及び/またはコンピュー
ター機器の現在の環境に関係するプリンタの状態を利用
するかを説明するものである。
【0522】プリンタをその状態に基いて制御を行うこ
とで、多くの利点が得られる。具体的には、起こり得る
すべてのプリンタの状態に対応するために、プリンタの
処理を行うタイミングはしばしば処理マージンを長くと
った設計時間に固定されていることが多い。このように
処理マージンを長くとることにより、非常に多くの様々
な状態に対応する処理を行うことができるが、ある特定
の状態では、この長いマージンは非効率なものである。
例えば、様々な温度に亘って良好なプリンタ動作を実現
するために、温度は、設計マージンを長くする要因とな
るプリンタ状態の一例である。設計マージンを大きくす
ることで、様々な温度において良好な印刷出力を実現す
ることができる。しかし、そのような印刷出力のコスト
は、ある温度(例えば、非常に低いまたは非常に高い温
度)では良好な印刷出力を確実にすることができる反
面、別の温度(例えば、通常の室温)では効率を下げる
こととなる。従って本発明の実施の形態では、プリンタ
の状態を温度として得、その状態に基づいてどのように
プリンタを制御し、更に/またはそのような状態に基づ
いてどのようにプリントデータを導き出すかを更新す
る。
【0523】<10.1 状態取得>図67〜図69
は、プリンタの処理パラメータを更新するためにプリン
タドライバがどのように状態を取得し、その状態を使用
するか、及び/またプリンタドライバがどのようにプリ
ントデータを導き出すかを示す。こういった更新によ
り、デフォルトの処理とは異なる別の処理になる。
【0524】図67は、図9及び図18に示すものと同
様の機能ブロック図であり、プリンタ10と通信するコ
ンピューター機器1を示している。図67に示すよう
に、コンピューター機器1は、オペレーティングシステ
ム81、プリントリクエストに影響を与えるアプリケー
ションプログラム82a、プリンタドライバ84、プリ
ントデータ保持部107を有する。コンピューター機器
1は、セントロニクスやネットワークインタフェースな
どを用い、双方向通信線76を介してプリンタ10と通
信する。プリンタ10はプリンタ制御部(ソフトウエ
ア)110を有し、プリンタドライバ84からのプリン
トデータをプリントバッファ109に格納し、プリント
エンジン101にこのようなデータを印刷させる。
【0525】図68は、プリンタドライバ84がどのよ
うにプリンタ10から状態を取得し、取得した状態に基
づいて、デフォルトのプリントデータ生成処理を更新
し、及び/またはプリンタのためのデフォルトの処理パ
ラメータを更新するかを示すフローチャートである。図
68において、左側に示す処理は、コンピューター機器
1でプリンタドライバ84により実行される処理であ
り、右側に示す処理は、プリンタ10においてプリンタ
制御部110により実行される処理である。こういった
すべての処理は、アプリケーションプログラム82aか
らの特定プリントジョブの実行リクエストに応じて行わ
れる。
【0526】ステップS6801において、プリンタド
ライバ84はコンピューター機器1の現在の環境を取得
する。現在の環境は、例えば、時間、日付、位置情報、
及びコンピューター及びそのオペレーティングシステム
81から得られるその他の環境情報である。以下に示す
ように、そのような環境情報は、ドライバ84によっ
て、プリンタの状態に基づいて行われる更新をさらに改
善するために用いられる。例えば、ある処理は、1日の
ある時間帯で、実施される頻度が高めまたは低めだった
り全く実施されなかったりする。
【0527】ステップS6802ではプリンタドライバ
84はプリンタ状態を取得する。プリンタドライバ84
は、[STATUS]コマンドを双方向通信線76を介
してプリンタ10に送ることにより、プリンタの状態を
取得する。プリンタドライバ84によりリクエストさ
れ、プリンタ10から提供されるプリンタ状態の例とし
てはプリンタの温度、プリンタのためのファームウエア
のバージョン及びその能力及び現在の構成、プリンタの
現在及び処理中の動作(例えば、クリーニング、位置合
わせ、清掃、給紙)、プロセッサーの速さとパワー、及
び、プリンタのEEPROMから得られる様々な情報が
ある。
【0528】プリンタドライバ84における処理は、ス
テップS6805に進み、プリンタドライバ84は、上
記のようにして取得したプリンタの状態に基づいて、及
び/またはコンピュータ機器1の環境に基づいて、プリ
ンタの処理パラメータを更新する。ステップS6805
で変更される処理パラメータは、例えば、プリントヘッ
ドの予備吐出処理の時間間隔の調整、スミヤ時間の調
整、自動給紙(ASF)の調整、行送りの速度、プリン
トヘッドの清掃速度の調整などがある。プリンタドライ
バ84は、双方向信号線76を介してプリンタ10へ適
切なコマンドを送信することにより、これらの処理パラ
メータをデフォルト値から更新する。この処理について
は、後で例を挙げてより詳しく説明する。プリンタ10
はステップS6806で、デフォルト値の代わりに更新
された処理パラメータを格納することにより、こういっ
たコマンドに対応する。
【0529】プリンタドライバ84での処理はステップ
S6807に進み、プリンタドライバ84はプリンタ1
0の状態に基づいて、及び/またはコンピューター1の
環境に基づいて、ユーザインタフェースなどのプリンタ
ドライバ84自身の処理を更新する。このようなデフォ
ルト処理からの、処理更新の一例として、処理中のプリ
ンタ処理が終了するまで、手差し給紙を遅延するメッセ
ージの表示など、ユーザに特別のメッセージを表示す
る。
【0530】そしてステップS6809に進み、プリン
タドライバ84は、デフォルトのデータ処理から、プリ
ントデータを導き出す方法を、プリンタ10の状態また
はプリンタ10の状態及びコンピューター機器1の現在
の環境に基づいて更新する。このようなプリントデータ
処理の更新の例として、インクにじみ及び/またはイン
クスミヤ(こすれ)の影響を軽減するようにプリンタ補
正テーブルを更新したり、データ圧縮アルゴリズムをよ
り効率的なアルゴリズムに変更したり、プリンタ10が
圧縮したデータよりも圧縮しないデータの方により迅速
に対応できるときにデータ圧縮をオフにするなど、デー
タ圧縮処理を更新したりする。このようにして生成した
プリントデータは、[DATA]コマンドを用いて双方
向通信線76を介してプリンタ10に送られ、プリンタ
10はこのコマンドに応じてステップS6810でデー
タを印刷する。
【0531】プリンタ10から得られる重要な状態変数
の一つは、プリンタの現在温度である。ここで言うプリ
ンタの温度は、プリンタの構成要素(例えば、プリント
ヘッドや、プリンタ回路基盤など)のいずれかの内部温
度ではなく、プリンタの周辺温度である。プリンタの周
辺温度は、広義ではプリンタが印刷をしている環境の温
度を示し、インクの乾燥時間、インクの粘度、記録媒体
の滑り易さ(つまり、プリンタ10が記録媒体を給紙ト
レイから給紙して、排紙トレイに排紙する能力)など、
様々な物理的現象を広く制御する。
【0532】図69は、プリンタ制御部110により実
行される、温度を取得するための処理手順を示す。図6
9に示す手順は、図19のステップS1916を詳しく
説明したものであり、図61で示す工程によれば、プリ
ンタの状態温度をリアルタイムの周辺温度TenvR
基づいて取得する。
【0533】図69に示す工程全体の効果は、プリンタ
がキャップをされた状態で少なくとも2時間使用されな
かった場合に、プリンタ状態温度をリアルタイム周辺温
度T envRに設定することである。図69示す処理
は、1分毎の割り込みレベル(図19参照)で実行さ
れ、その毎に動作分カウンターを進める(ステップS6
901)。ステップS6902では、プリンタのキャッ
プされた状態を調べる。プリンタが現在キャップされた
状態でない場合には、ステップS6904に進み、キャ
ッピングカウンタは0にリセットされ、次の1分毎の割
り込みまで、処理は終了する。反対に、ステップS69
02においてプリンタが現在キャップされた状態である
と判断されると、ステップS6905に進み、キャッピ
ングカウンタを進める。ステップS6906及びS69
07でキャッピングカウンタが、キャップされた状態で
120分間経過したことに対応する120に達したかど
うかを判断する。キャッピングカウンタが120に達し
ていない場合、次の1分毎の割り込みまで、処理を終了
する。反対に、キャッピングカウンタが120に達して
いる場合には、プリンタ状態温度TenvLをリアルタ
イムの温度であるTen vRの現在値に設定する。その
後、次の1分毎の割り込みまで、処理は終了する。
【0534】<10.2 にじみの低減>図70〜図7
2は、にじみを低減するために、プリンタドライバ84
がどのようにプリンタの状態に基づいてプリントデータ
の処理をデフォルト処理から更新するかを示す。図70
〜図72に示す例では、更新は、プリンタ状態温度T
en vLに基づいて行われ、その更新では、インクにじ
みが起きやすい高温下で、プリントヘッドから吐出され
るインクの全体量を削減するように働く。
【0535】図70はにじみ低減の処理を示し、プリン
タドライバ84がプリンタの状態に基づいてカラーテー
ブルの選択をする、従って、ステップS7001では、
プリンタドライバ84はプリンタ状態温度TenvL
取得する。ステップS7002において、プリンタ状態
温度と固定の値(T1)、好ましくは32℃とを比較す
る。プリンタ状態温度TenvLが固定温度T1を越え
る場合には、処理はステップS7003に進み、インク
にじみの可能性が高いことに基づいて、カラー補正テー
ブルを選択する。具体的には、ステップS7003で
は、高温下で、プリンタ10から吐出されるインクの量
を制限するカラーテーブル2を選択する。また、高温下
では高湿度になることが推定できるため、インクの乾燥
にかかる全体時間が延びる。
【0536】反対に、ステップS7002においてプリ
ンタ状態温度TenvLが固定閾値T1以下である場
合、ステップS7004に進み、カラーテーブル2ほど
プリンタ10から吐出されるインクの量を制限すること
のないカラー補正テーブルを選択する。具体的には、プ
リンタ温度TenvLが比較的低く、インクにじみが起
こる可能性が低いために、カラーテーブル1を選択し、
デフォルト処理ができるようにする。
【0537】図71は、カラーテーブル2に保持される
値に対して、カラーテーブル1に保持される値を示す。
図71は、シアン、マゼンタ、黄色、黒のインクそれぞ
れのための値のグラフである。グラフは、カラーテーブ
ルから得られるマルチレベル出力値をマルチレベル入力
値の関数として示すものである。テーブル1のための値
を実線で示す。図71に示すように、シアン、マゼン
タ、黄色、黒のインクのテーブル1の出力値は、入力値
が上昇するにつれ、徐々に上昇する。
【0538】テーブル2の値は点線で示し、0から24
0までの入力値に対する値は、テーブル1の値と同じで
ある。しかし、入力値240を越えると、テーブル2の
値は一定に保たれるため、高温下でのインクの吐出量を
制限し、インクにじみが起きる可能性を減らすことがで
きる。
【0539】図70に示す例では、プリンタ状態温度T
envLに応じて、プリンタドライバ84は異なるカラ
ーテーブルを選択している。しかし、異なるルックアッ
プテーブルから選択をする代わりに、プリンタドライバ
84はルックアップテーブルの値を更新することも可能
である。図72はこのもう一方の例を示す。
【0540】ステップS7200において、プリンタド
ライバ84はプリンタ状態温度T nvLを取得する。
次にステップS7201において、標準プリンタカラー
補正テーブルがメモリにロードされる。ステップS72
02において、プリンタ状態温度を、例えば32℃の固
定の所定閾値(T1)と比較する。プリンタ状態温度T
envLが固定閾値T1以下である場合には、ロードさ
れたプリンタカラー補正テーブルの更新は行わない。反
対に、プリンタ状態温度が固定閾値T1を超える場合に
は、ステップS7203に進み、プリンタドライバ84
はカラー補正ルックアップテーブルの値を、インクにじ
みが起きる可能性が減るように更新する。適切な更新
は、図71で点線が示す値を得るような値に変更するこ
とである。
【0541】上記によれば、プリンタドライバがプリン
タ状態に基づいてデフォルトのデータ処理からデータ処
理を更新するので、インクにじみを低減することができ
る。
【0542】<10.3 スミヤの低減>「スミヤ」
は、排紙トレイ上にある記録媒体に印刷されたインクが
十分に乾いていないために、次の記録媒体がプリンタか
ら排出されている(または印刷がなされた)ときに、そ
の先端が排紙トレイ上の記録媒体の乾いていないインク
をこすり、汚してしまう現象である。
【0543】スミヤを制御するために、プリンタ制御部
110は、図73A及び図73Bに示すスミヤ制御処理
を実行する。図73Bの処理は単純で、単にノンゼロス
ミヤタイマを1秒毎の割り込みに応じて減らすだけであ
る(図19のS1911参照)。図73Aは、次に排紙
される記録媒体の先端により乾ききっていないインクの
スミヤが起こる可能性を減らすために、現在印刷中のド
ット濃度に関連して、どのようにスミヤタイマを使用す
るかを示している。
【0544】ステップS7301において、プリンタ1
0は給紙トレイから記録媒体を給紙し、ステップS73
02でプリンタ制御部110はスミヤタイマを0にセッ
トする。ステップS7304では、プリンタによる通常
の印刷動作を行い、各走査の間に、プリンタ制御部11
0は走査でのドットの濃度が、ドライバが設定可能な閾
値を越えているかどうかを判断する(ステップS730
5)。いずれのスキャンラインにおいてもドット濃度が
閾値を超えなければ、記録媒体上に吐出されたインクの
量が少なく、スミヤが起こる可能性が大幅に低減されて
いるため、特別な処理は必要ない。反対に、ステップS
7305でいずれかのスキャンラインにおいて印刷した
ドット濃度がドライバが設定可能な閾値を超えていると
判断した場合には、ステップS7306に進み、スミヤ
タイマをドライバが制御した値にセットする。これによ
りスミヤタイマは0では無くなるため、上述の通り図7
3Bの処理によって、減少する。
【0545】図74及び図75に示す例によれば、ドラ
イバが設定可能な印刷濃度閾値と、ドライバが制御可能
なスミヤタイマ値はプリンタの状態に基づいて決定され
るため、プリンタの状態に応じてスミヤパラメータを制
御することができる。
【0546】図73AのステップS7307において、
ページの最後に到達したかどうかを判断し、到達したと
判断されるまでステップS7304に戻って処理を繰り
返す。ページの最後に到達したと判断されると、印刷さ
れたページが最終ページである場合には(ステップS7
309でYES)、現在印刷された記録媒体は単純に排
出される(ステップS7310)。しかし、現在印刷さ
れた記録媒体が最終ページでない場合にはステップS7
311に進み、スミヤタイマが0まで減少したかどうか
を確認する。スミヤタイマが0になるまで、現在印刷さ
れた記録媒体は排紙されない。しかし、スミヤタイマが
0になると同時にステップS7312に進み、現在印刷
された記録媒体は排紙トレイに排紙され、新しい記録媒
体が給紙トレイから給紙されて、処理はステップS73
04に戻る。
【0547】図74及び図75は、プリンタドライバ8
4が、プリンタ10の現在の状態に基づいてどのように
スミヤタイマを設定し、スミヤ制御のための濃度を設定
するかを示すフローチャートである。図74において、
ドライバ84は、プリンタの状態に応じてスミヤタイマ
の値を算出し、スミヤタイマの値をプリンタ10に送
る。具体的には、ステップS7401において、ドライ
バ84はプリンタの状態をプリンタ状態温度TenvL
の形態で取得する。ステップS7402において、温度
の値が、通常の範囲T〜Tにあるかどうかを判断す
る。典型的な範囲は15℃〜35℃である。プリンタ状
態温度TenvLが範囲T〜T内にある場合、スミ
ヤタイマは、インクのスミヤが起こる可能性が低いこと
に鑑みて、短いインク乾燥時間を想定して第1の値に設
定される(ステップS7404)。反対に、プリンタ状
態温度TenvLが範囲T〜T外にある場合、ドラ
イバ84は、スミヤが起こる確率が高いことを鑑み、長
いインク乾燥時間を想定して、第1のスミヤタイマ値よ
りも大きい、第2のスミヤタイマ値を選択する。ステッ
プS7407において、ドライバ84は選択したスミヤ
タイマ値をプリンタ10に送る。
【0548】図75は、ドライバ84がプリンタ状態に
基づいてドット濃度閾値を更新し、更新した値をプリン
タ10に送る動作を示す。ステップS7501におい
て、ドライバ84はプリンタ状態をプリンタ状態温度T
envLの形態で取得する。ステップS7502では、
ドライバ84はプリンタ状態が例えば15℃〜35℃な
どの範囲T〜T内にあるかどうかを判断する。プリ
ンタ状態温度が範囲T〜T内にある場合、短いイン
ク乾燥時間を想定し、高濃度閾値に対応して第1の濃度
閾値を選択する。反対に、プリンタ状態温度が範囲T
〜T外にある場合、ステップS7505またはS75
06の適切な方に進み、長いインク乾燥時間を想定し、
低濃度閾値に対応してスミヤ閾値は第1の閾値よりも小
さい第2の閾値に設定される。ステップS7507で
は、ドライバ84は選択した閾値をプリンタ10に送
る。
【0549】<10.4 自動給紙(ASF)速度>図
76及び図77は、プリンタ10の状態、またはプリン
タ10の状態及びコンピューター機器1の現在の状態に
応じて、プリンタドライバ84がプリンタ10が給紙ト
レイから用紙を給紙する速度をどのように更新するかを
説明するためのフローチャートである。
【0550】図76及び図77に示す例では、給紙速度
を更新するために用いるプリンタ状態は、プリンタ状態
温度TenvLである。特に、温度が低い場合、低温で
は摩擦が低くなることに加えて、プリンタ10のゴムで
覆われた給紙ローラーが堅くなるために、給紙トレイの
用紙は滑りやすくなる傾向がある。従って、低温度下で
は、低速度でも確実な給紙速度が選択される。反対に、
高温度下では、記録媒体を給紙するのが比較的容易であ
るため、速い給紙速度が選択される。
【0551】図76において、ステップS7601では
プリンタドライバ84はプリンタ状態温度TenvL
プリンタ10から取得し、ステップS7602において
温度が予め設定された、例えば18℃などの閾値T1よ
りも低いかどうかを判断する。プリンタ状態温度T
envLが閾値T1以下である場合には、自動給紙部に
よる給紙速度を遅くする(ステップS7604)。反対
に、温度が十分に高い場合、記録媒体は高速度でも給紙
される確実性が高いので、プリンタドライバ84は自動
給紙のために高速度を選択する。
【0552】ステップS7606において、プリンタド
ライバ84は選択した給紙速度を、[LOAD]コマン
ドのパラメータを用いてプリンタ10に送信する。
【0553】図77は、プリンタ10の状態及びコンピ
ューター機器1の現在の環境を共に用いて、ドライバ8
4が給紙速度を選択する場合の例を示す。特に、図77
に示す例では、コンピューター機器1の現在の状態に基
づいて、夜間にはより低い(従ってより騒音の少ない)
速度がプリンタドライバ84により常に選択される。反
対に、昼間は、プリンタ状態温度が十分に高い場合には
高速の給紙速度が選択され、そうでなければ、低速の給
紙速度が選択される。
【0554】ステップS7701において、プリンタド
ライバ84は現在のプリンタ状態温度TenvLを取得
し、ステップS7702においてコンピューター機器1
から現在の構成及び時間を取得する。ステップS770
3において、プリンタドライバ84は、取得した時間
が、例えば午前5:00〜午後10:00の間にあるか
を判断することにより、夜間であるかどうかを判断す
る。取得した時間が通常の昼間の時間帯外である場合、
ステップS7705に進み、低速の給紙速度が必ず選択
される。
【0555】反対に、ステップS7703でプリンタド
ライバ84が夜間ではないと判断すると、ステップS7
706に進み、プリンタドライバ84はプリンタ状態温
度T envLが高速の給紙速度を選択するのに十分な位
に高いかどうかを判断する。プリンタ状態温度が十分に
高い場合、高速度が選択され(ステップS7708)、
高くない場合、低速度が選択される(ステップS770
7)。
【0556】処理はステップS7710に進み、プリン
タドライバ84は選択した給紙速度を[LOAD]コマ
ンドのパラメータを用いて、プリンタ10に送る。
【0557】<10.5 予備吐出のタイミング>図7
8は、プリンタの状態に基づいてプリンタドライバ84
がどのように予備吐出処理のタイミングを制御するため
のプリンタ10の動作パラメータを更新するかを説明す
るためのフローチャートである。
【0558】図78に示す例では、予備吐出のタイミン
グに影響を与えるプリンタ状態は、プリンタの状態温度
envLである。具体的には、動作温度が低い場合、
インクの粘度が高くなりやすいため、予備吐出をより頻
繁に行う必要があるため、予備吐出処理の時間間隔とし
て短い時間を選択する。反対に、動作温度が高い場合、
インクの粘度は低いため、比較的に長い予備吐出処理間
隔で、それほど頻繁に行う必要が無くなるため、予備吐
出処理の時間間隔として長い時間を選択する。
【0559】ステップS7801において、プリンタド
ライバ84はプリンタ状態温度T nvLを取得し、ス
テップS7802でプリンタ状態温度を固定閾値T1、
例えば18℃と比較する。温度TenvLが閾値T2よ
りも低い場合、例えば3秒おきなど、デフォルトの比較
的短い予備吐出間隔が選択される(ステップS780
4)。反対に、温度TenvLが閾値T1よりも高い場
合、例えば6秒おきなど、比較的長い予備吐出処理間隔
が選択される(ステップS7805)。どちらの場合に
しても、その後、処理はステップS7806に進み、プ
リンタドライバ84は選択した予備吐出処理間隔を[P
REFIRE_CYC]コマンドを用いてプリンタ10
に送る。
【0560】<10.6 手差し給紙の遅延>図79及
び80は、プリンタ10の状態に基づいて、プリンタド
ライバ84がどのように自身の処理を更新するかを説明
するためのフローチャートである。
【0561】図79は、プリンタドライバ84によりデ
ィスプレイ2上に表示されるユーザインタフェース69
0の一部を示す図である。図79はユーザインタフェー
ス690のための「設定」タブのダイアログを示し、ま
た、図79に示すように、設定タブのダイアログは、記
録媒体のタイプ、サイズ、方向をユーザが設定できるよ
うにする領域691と、ユーザが手差し給紙を行い、自
動給紙処理を行わないことを特定するためのチェックボ
ックス692を含む。チェックボックス692を選択す
ると、プリンタドライバはプリンタ10に、給紙トレイ
14からの自動給紙を行わずに、手差し給紙部17(図
3参照)に挿入された媒体をプリンタ10内に取り込む
ように命令する。
【0562】しかし、図5A及び図5Bを参照して説明
したように、現在印刷中の用紙のための行送り動作、給
紙トレイ14からの用紙の給紙動作、クリーニング機構
が設けられたホームポジション46における清掃処理を
含む様々な動作を行うために、ラインフィードモータ3
14が1つ用いられるだけである。従って、プリンタの
準備が整う前、例えば、プリンタが清掃処理を終える前
にユーザが手差し給紙を行おうとした場合、トラブルが
起こる可能性がある。
【0563】従って、本実施の形態における処理によれ
ば、プリンタドライバ84が手差し給紙状態(チェック
ボックス692により)に設定され、プリンタの現在の
状態が清掃処理中であることを示す場合、プリンタが清
掃処理を終えるまで手差し給紙を延期するようにユーザ
にリクエストするメッセージを表示するようにプリンタ
ドライバ84はプリンタ10の状態に基づいてその動作
を更新する。
【0564】図80のステップS8001において、プ
リンタドライバ84はチェックボックス692がユーザ
により選択されたことを判断することにより、プリンタ
ドライバを手差し給紙モードに設定する。チェックボッ
クスが選択されていない場合、上記説明した処理により
自動給紙が進む。
【0565】反対に、手差し給紙モードが選択された場
合、ステップS8002及びS8004において、プリ
ンタドライバ84はプリンタ10から状態を取得し、清
掃処理中であるかどうかを判断する。ステップS800
5でプリンタドライバ84が清掃処理中ではないと判断
すると、処理は直接ステップS8010に進み、プリン
タドライバはディスプレイ2上に、手差し給紙部17に
用紙を手動で挿入するようにユーザ向けのメッセージを
表示する。反対に、清掃処理中である場合には、ステッ
プS8006に進み、プリンタドライバ84はディスプ
レイ2上に手差し給紙部17に用紙を挿入することを延
期するようにユーザ向けのメッセージを表示する。具体
的には、上述の通り、清掃処理と、給紙処理のために1
つのモータを兼用しているので、清掃処理中に手差し給
紙部17に用紙を挿入すると、給紙処理が失敗する可能
性がある。
【0566】ステップS8006で表示したメッセージ
は、清掃処理が終了したことを示すプリンタ状態がプリ
ンタ10からプリンタドライバ84に送られるまで表示
され続ける(ステップS8007及びS8008)。プ
リンタ状態が清掃処理が終了したことを示すと、処理は
ステップS8010に進み、上述したように、プリンタ
ドライバ84は手差し給紙部17に用紙を挿入しても大
丈夫である旨をユーザに知らせるメッセージを表示す
る。
【0567】ステップS8011において、プリンタド
ライバ84は手差し給紙部17にユーザが用紙を挿入す
るのを待ち、挿入されると、ステップS8012でプリ
ンタドライバ84は[LOAD]コマンドを用いて、プ
リンタ10に手差し給紙部から用紙を給紙するように命
令する。
【0568】<10.7 清掃速度>図81は、プリン
タ10の状態、またはプリンタ10の状態及びコンピュ
ーター機器1の現在の構成に基づいて、プリンタドライ
バ84によるプリンタ10で行われる清掃速度の更新を
示す。
【0569】図81において、プリンタドライバ84に
より行われる動作は、点線695で囲んでいる。この点
線内に示すように、プリンタドライバ84により行われ
る機能は、プリンタ10の状態を取得し、コンピュータ
ー機器1の現在の構成を取得し、清掃速度を低速度また
は高速度に更新し、清掃処理を命令する工程を含む。
【0570】詳しくは、ステップS8101及びS81
02において、プリンタドライバ84はプリンタ状態温
度TenvL及びコンピューター機器1の構成情報を取
得する。ステップS8103では、プリンタドライバ8
4は清掃速度を設定する。清掃速度は、プリンタ状態温
度または、プリンタ状態温度及びコンピューター機器1
の現在の構成に基づいて設定される。特に、図76及び
図77における給紙速度の選択処理と同様に、清掃速度
はプリンタの状態のみに基づいて選択しても(例えば、
プリンタ状態温度が高い場合にはインクの粘度が低くな
るため、迅速に清掃を行うように、高速清掃速度が選択
される)、プリンタ状態温度に加えて、時間に基づいて
選択してもよい(例えば、夜間動作時には、遅く、静か
な清掃速度を選択し、昼間動作時には、プリンタ状態温
度に基づいて清掃速度を選択する)。
【0571】ステップS8104において、プリンタの
清掃が必要であるときに、プリンタドライバ84はプリ
ンタ10に[RECOVER]コマンドを送ることによ
り、清掃処理を実行させる。
【0572】この清掃実行のコマンドの受信に応じて、
プリンタ10はプリンタ制御部110により、プリンタ
ドライバ84により設定された低速または高速で、図8
1に示すような清掃処理を実行するように制御される。
【0573】このように構成することにより、清掃速度
がプリンタ状態に基づいて、そのプリンタ状態に適する
ように選択されるため、迅速な清掃処理を実現する高速
清掃速度であっても良好な清掃結果を得ることができ
る。
【0574】<10.8 圧縮モード>図82は、プリ
ンタ10の状態に基づくプリンタドライバ84の動作の
更新を説明する図である。プリンタドライバ84の動作
の更新は、プリントデータの圧縮を、プリントデータを
プリンタ10に送信する前に行うかどうかについての更
新である。圧縮データを送るかどうかの判断はプリンタ
10の状態に基づいて行われ、この場合、プリンタ10
の状態は、DMA(direct memoryacc
ess)がプリンタのファームウエアで許可されている
かどうかを示す。
【0575】説明の都合上、プリントデータの圧縮は、
プリントデータを圧縮することでプリントデータ量を最
小にしてプリンタに送信できるように、プリンタドライ
バ84におけるデフォルト処理として行われるものとす
る。圧縮データを送信することにより送信時間を最短に
することができるが、プリンタドライバ側でデータを圧
縮する時間及びプリンタ側でデータを伸長する時間がか
かることになる。
【0576】DMAモードがプリンタファームウエア上
で許可されている場合、プリンタドライバ84はプリン
トデータを直接、プリント制御部110を通常介さず
に、プリントデータバッファ109に送ることができ
る。DMAモードでは、圧縮していないプリントデータ
を直接プリントデータバッファ109に格納するのに必
要な時間の方が、プリントデータを圧縮し、圧縮したプ
リントデータを送信し、プリントデータを伸長してプリ
ントデータバッファ109に格納するためにかかる時間
よりも短い。従って、プリンタ10のファームウエア上
でDMAモードが許可されているとプリンタドライバ8
4が判断すると、プリンタドライバ84は、プリントデ
ータを圧縮して圧縮したプリントデータを制御部110
に送信するのではなく、プリントデータをプリントデー
タバッファ109に直接送るように、その動作を更新す
る。図82はこの動作を示す。
【0577】ステップS8201において、プリンタド
ライバ84は、プリンタ10のファームウエアがDMA
動作可能であり、そのような動作が許可されているかど
うかを示すステータス情報の形式でプリンタ状態を取得
する。プリンタドライバ84が、DMAモードが許可さ
れていると判断すると(ステップS8202でYE
S)、プリンタドライバ84はプリントデータ圧縮をオ
フにし(ステップS8204)、圧縮されていないプリ
ントデータをプリントデータバッファ109にDMAで
直接送信する(ステップS8205)。反対に、プリン
タドライバ84がDMAが許可されていないとプリンタ
状態から判断すると、プリンタドライバ84はデフォル
ト処理モードを維持し、プリントデータを送信前に圧縮
し(ステップS8206)、圧縮したプリントデータを
プリンタ制御部110に送信する(ステップS820
7)。
【0578】以上の実施形態は、特にインクジェット記
録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用され
るエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例え
ば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギ
ーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いるこ
とにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0579】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0580】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に
優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。
【0581】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0582】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書に記載された構成も本発明に含
まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対し
て、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構
成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネ
ルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構
成を開示する特開昭59−138461号公報に基づい
た構成としても良い。
【0583】加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘ
ッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリ
ッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着さ
れることで、装置本体との電気的な接続や装置本体から
のインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの
記録ヘッドを用いてもよい。
【0584】また、以上説明した記録装置の構成に、記
録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加する
ことは記録動作を一層安定にできるので好ましいもので
ある。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対して
のキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは
吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子
あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などが
ある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを
備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0585】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
も良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもで
きる。
【0586】以上説明した実施の形態においては、イン
クが液体であることを前提として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化も
しくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジ
ェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下
の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範
囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、
使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば
よい。
【0587】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、
またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し
加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒
体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0588】このような場合インクは、特開昭54−5
6847号公報あるいは特開昭60−71260号公報
に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に
液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換
体に対して対向するような形態としてもよい。本発明に
おいては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0589】
【他の実施形態】なお、本発明は、複数の機器(例えば
ホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プ
リンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一
つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ
装置など)に適用してもよい。
【0590】また、本発明の目的は、前述した実施形態
の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記
録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるい
は装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュ
ータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納された
プログラムコードを読み出し実行することによっても、
達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体
から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施
形態の機能を実現することになり、そのプログラムコー
ドを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実
行することにより、前述した実施形態の機能が実現され
るだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、
コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステ
ム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、
その処理によって前述した実施形態の機能が実現される
場合も含まれることは言うまでもない。
【0591】さらに、記憶媒体から読み出されたプログ
ラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カー
ドやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わ
るメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示
に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備
わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、
その処理によって前述した実施形態の機能が実現される
場合も含まれることは言うまでもない。
【0592】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、そ
の記憶媒体には、先に示すフローチャートに対応するプ
ログラムコードが格納されることになる。
【0593】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スピードの不均一さの増加を示す高速なキャリッジモー
タをインクジェットプリンタにおいて用いた場合におい
て、その結果として生じ得る画像劣化を防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるプリンタに接続し
て用いられるコンピューター機器の外観図である。
【図2】図1に示すプリンタの前面斜視図である。
【図3】図1に示すプリンタの後面斜視図である。
【図4】図1に示すプリンタの後面切取斜視図である。
【図5】図1に示すプリンタの前面切取斜視図である。
【図5A】図1に示すプリンタの上下方向の平面図であ
る。
【図5B】図1に示すプリンタのラインフィードモータ
及びキャリッジモータの両方により駆動される、クラッ
チ板及びギヤの正面図である。
【図5C】本発明の実施の形態におけるプリンタにおけ
る自動給紙動作を示すフローチャートである。
【図5D】本発明の実施の形態におけるプリンタのため
のキャッピング及び清掃動作を示すフローチャートであ
る。
【図6】本発明において用いられる使い捨てインクカー
トリッジの例を示す図である。
【図7】本発明において用いられるプリントヘッドのヘ
ッド構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるプリンタにインタ
フェースしたホストプロセッサーのハードウエア構成を
示すブロック図である。
【図9】図8に示すホストプロセッサーとプリンタの機
能ブロック図である。
【図10】図8に示す制御ロジックの内部構成を示すブ
ロック図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるプリンタのメモ
リー構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるプリンタの詳細
な全体動作を説明するフローチャートである。
【図13】本発明にかかるプリント制御の流れを示すフ
ローチャートである。
【図14】印刷動作中のコマンドの流れを示すテーブル
を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるプリンタにおけ
るハード電源オン時の手順を示すフローチャートであ
る。
【図16】本発明の実施の形態におけるプリンタにおけ
るソフト電源オン時の手順を示すフローチャートであ
る。
【図17】本発明の実施の形態におけるプリンタにおけ
るソフト電源オフ時の手順を示すフローチャートであ
る。
【図18】本発明の実施の形態にかかる、アプリケーシ
ョンプログラム、ホストプロセッサーで実行中の他の処
理及びプリンタで実行中の様々なタスク間の通信を示す
図である。
【図19】タイマ処理を制御するための、周期ハンドラ
における制御部タイマの制御を示すフローチャートであ
る。
【図20】プリンタドライバのソフトウエア処理の流れ
を示すフローチャートである。
【図21A】本発明の実施の形態における自動給紙手順
を示すフローチャートである。
【図21B】図21Aの自動給紙手順の続きを示すフロ
ーチャートである。
【図21C】図21Aの自動給紙手順における早期成功
ロジックを示すフローチャートである。
【図21D】図21Aの自動給紙処理における給紙速度
選択処理を示すフローチャートである。
【図21E】図21Aの自動給紙処理におけるリカバリ
ー処理を示すフローチャートである。
【図22】プリンタにおける1枚目の自動給紙手順を示
すフローチャートである。
【図23】プリンタにおける排紙処理後の自動給紙手順
を示すフローチャートである。
【図24】行送り、給紙、及び排紙の速度選択のための
プリンタドライバのロジックを示すフローチャートであ
る。
【図25】本発明の実施の形態における排紙速度オーバ
ーライドロジックを示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施の形態における行送り速度オー
バーライドロジックを示すフローチャートである。
【図27A】テキスト、無彩色連続画及びカラー画像を
印刷するためのためのキャリッジ制御を示す図である。
【図27B】1スキャンライン内に無彩色連続画像部分
及びカラー画像部分の両方を含む場合のキャリッジ方向
制御を説明する図である。
【図27C】プリントモード、プリントヘッドのタイ
プ、用紙のタイプ、プリントデータのタイプに基づい
て、印刷方向および他の印刷情報を決定するためのテー
ブルを示す図である。
【図27D】プリントモード、プリントヘッドのタイ
プ、用紙のタイプ、プリントデータのタイプに基づい
て、印刷方向および他の印刷情報を決定するためのテー
ブルを示す図である。
【図27E】プリントモード、プリントヘッドのタイ
プ、用紙のタイプ、プリントデータのタイプに基づい
て、印刷方向および他の印刷情報を決定するためのテー
ブルを示す図である。
【図27F】プリントモード、プリントヘッドのタイ
プ、用紙のタイプ、プリントデータのタイプに基づい
て、印刷方向および他の印刷情報を決定するためのテー
ブルを示す図である。
【図27G】プリントモード、プリントヘッドのタイ
プ、用紙のタイプ、プリントデータのタイプに基づい
て、印刷方向および他の印刷情報を決定するためのテー
ブルを示す図である。
【図28】本発明におけるプリントヘッドの動きを説明
するための図である。
【図29】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるSKIPコマンドを説明するためのフローチャー
トである。
【図30】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるPRINTコマンドを説明するためのフローチャ
ートである。
【図31】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるDIRECTIONコマンドを説明するためのフ
ローチャートである。
【図32】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるEDGEコマンドを説明するフローチャートであ
る。
【図33】本発明においてプリンタドライバによるスキ
ャンマージンの決定を説明するフローチャートである。
【図34】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるNEXT_MARGINコマンドを説明するため
のフローチャートである。
【図35】本発明においてプリンタドライバにより発行
されるAT_DELAY(自動遅延)コマンドを説明す
るフローチャートである。
【図36】本発明においてプリンタ制御部により実行さ
れるキャリッジタスクを説明するフローチャートであ
る。
【図37】図36のキャリッジタスクにより呼び出され
る、第1のキャリッジスキャン制御を説明するためのフ
ローチャートである。
【図38】図36のキャリッジタスクにより呼び出され
る、第2のキャリッジスキャン制御を説明するためのフ
ローチャートである。
【図39A】本発明におけるサテライト制御を示す図で
ある。
【図39B】本発明におけるサテライト制御を示す図で
ある。
【図40】本発明において、プリンタ制御部により実行
されるキャリッジモータ開始を説明するためのフローチ
ャートである。
【図41】本発明において、プリンタ制御部により実施
されるキャリッジ割り込み処理を説明するためのフロー
チャートである。
【図42】本発明において、サテライティングを緩和す
るためにプリンタ制御部により実施される自動トリガー
割り込みを説明するためのフローチャートである。
【図43】本発明の実施の形態におけるプリンタドライ
バ内で実行されるソフトウエア位置合わせ処理を示すフ
ローチャートである。
【図44】図43に示すプリンタドライバ内で実行され
るソフトウエア位置合わせ処理に対応する位置合わせを
伴う/伴わない印刷の一連のプリントモードテーブルを
示す図である。
【図45】カラーデータを印刷するためのプロセッサー
により実行可能な各処理を示すフローチャートである。
【図46】2つの異なるインクジェットプリントヘッド
を用いてカラーデータ及び黒データを印刷する様子を示
す図である。
【図47】予備吐出処理が所定時間間隔で行われる場合
の、予備吐出制御を説明するための図である。
【図48】不十分な予備吐出により起こり得る画質の低
下を説明するための図である。
【図49】不十分な予備吐出により起こり得る画質の低
下を説明するための図である。
【図50】本発明における予備吐出制御を説明するため
の図である。
【図51】本発明における予備吐出制御のタイミングを
説明するためのフローチャートである。
【図52】本発明におけるプリンタ制御部による予備吐
出用タイマの更新を説明するためのフローチャートであ
る。
【図53】本発明においてプリンタ制御部により行われ
る予備吐出チェックを説明するためのフローチャートで
ある。
【図54】本発明におけるプリンタ制御部によるノズル
数変更予備吐出リクエストの生成を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図55】本発明におけるプリンタ制御部による走査予
備吐出処理を説明するためのフローチャートである。
【図56】本発明における予備吐出(印刷)機能を説明
するためのフローチャートである。
【図57】インクジェットノズルヒートパルス幅と出力
濃度との関係を説明する図である。
【図58】ヒートパルス幅変調を説明するための図であ
る。
【図59】ノズルヒートパルス駆動時間の制御を説明す
るためのフローチャートである。
【図60】プリンタに保持されたヒートアップ係数のテ
ーブルと、駆動時間のテーブルの分解図である。
【図61】駆動時間決定のためのリアルタイム周辺温度
の使用方法について説明するフローチャートである。
【図62】複数スキャンラインを印刷中のヒートパルス
幅変調を説明するための図である。
【図63】前回の予備吐出から第1の時間の経過後にヒ
ートパルス幅が最大となることを示す、本発明における
ヒートパルス幅変調を説明するための図である。
【図64】前回の予備吐出から第1の時間の経過後にヒ
ートパルス幅が最大となることを示す、本発明における
ヒートパルス幅変調を説明するためのフローチャートで
ある。
【図65】1画素のRGBデータに基づいて、5つの異
なるインクのための2値データを生成するための、コン
ピューターにより実行可能な処理工程を示すフローチャ
ートである。
【図66】5つの異なるインクそれぞれの入力値に対し
て出力補正を行うための、入力値と出力値の関係を示す
グラフを示す図である。
【図67】プリンタと通信するコンピューター機器を示
す機能ブロック図である。
【図68】プリンタドライバがどのようにプリンタから
状態を得、プリントデータ生成処理をどのように更新す
るかを示すフローチャートである。
【図69】プリンタ制御部により実施される動作を示す
フローチャートである。
【図70】にじみ低減のための処理を示すフローチャー
トである。
【図71】カラーテーブル1とカラーテーブル2とに保
持される値のグラフを示す図である。
【図72】にじみ低減のための別の処理を示すフローチ
ャートである。
【図73A】スミヤ制御処理を実行するためのフローチ
ャートである。
【図73B】スミヤ制御処理を実行するためのフローチ
ャートである。
【図74】プリンタドライバによるスミヤタイマの値の
決定のし方を示すフローチャートである。
【図75】プリンタドライバによるスミヤ制御のための
濃度閾値の決定のし方を示すフローチャートである。
【図76】プリンタが給紙トレイから用紙を給紙する速
度をプリンタドライバがどのように更新するかを説明す
るためのフローチャートである。
【図77】プリンタが給紙トレイから用紙を給紙する速
度をプリンタドライバがどのように更新するかを説明す
るためのフローチャートである。
【図78】予備吐出処理のタイミングを制御するための
プリンタの動作パラメータをプリンタドライバがどのよ
うに更新するかを説明するためのフローチャートであ
る。
【図79】プリンタドライバによりディスプレイ上に表
示されるユーザインタフェースの一部を示す図である。
【図80】プリンタの状態に基づいて、プリンタドライ
バがどのように自身の処理を更新するかを説明するため
のフローチャートである。
【図81】プリンタにおける清掃速度の更新を説明する
フローチャートである。
【図82】プリンタドライバの動作の更新を示すフロー
チャートである。
フロントページの続き (72)発明者 スティーブン ノイス アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92626, コスタ メサ レッドヒル アベニュー 3191 キヤノン ビジネス マシーンズ, インコーポレイテッド 内 (72)発明者 桝本 和幸 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92626, コスタ メサ レッドヒル アベニュー 3191 キヤノン ビジネス マシーンズ, インコーポレイテッド 内 (72)発明者 山田 顕季 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92626, コスタ メサ レッドヒル アベニュー 3191 キヤノン ビジネス マシーンズ, インコーポレイテッド 内 (72)発明者 金光 伸二 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92626, コスタ メサ レッドヒル アベニュー 3191 キヤノン ビジネス マシーンズ, インコーポレイテッド 内 (72)発明者 平林 弘光 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92626, コスタ メサ レッドヒル アベニュー 3191 キヤノン ビジネス マシーンズ, インコーポレイテッド 内 (56)参考文献 特開 平10−58782(JP,A) 特開 平11−291577(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/51 B41J 19/18

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリントヘッドを往復走査させる走査手
    段を備え、前記走査手段によるプリントヘッドの走査範
    囲内の記録領域の両端部に、前記走査手段により前記プ
    リントヘッドを加速して定速状態にするときに記録品質
    が低下する領域を有し、前記記録領域にプリントヘッド
    の往復走査によりプリントデータに従った記録を行う
    録装置におけるプリント制御方法であって、現在の走査の 前記プリントデータの内容を判断し、前記
    現在の走査のプリントデータと前記前回の走査のプリン
    トデータとの間に白領域が存在せず、画像が連続してい
    るか否かを判断する判断工程と、前記判断工程において、前記画像が連続していないと判
    断された場合は、前記記録品質が低下する領域において
    も記録を行う第1の走査処理により記録動作を行い、前
    記画像が連続していると判断された場合は、前記走査範
    囲が前記第1の走査処理よりも広く、前記記録品質が低
    下する領域においては記録を行わない第2の走査処理に
    より記録動作を行う プリント工程とを備えることを特徴
    とするプリント制御方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の走査処理により前記プリント
    ヘッドが走査する範囲は、前記第1の走査処理による走
    査範囲の少なくとも一方に、前記記録品質が低下する所
    定幅の領域を付加した範囲であることを特徴とする請求
    項1に記載のプリント制御方法。
  3. 【請求項3】 前記判断工程は、前記現在の走査のプリ
    ントデータと前記前回の走査のプリントデータによるプ
    リント内容が、少なくとも前記記録品質が低下する領域
    において連続的な部分を有するか否かを判断することを
    特徴とする請求項1に記載のプリント制御方法。
  4. 【請求項4】 前記プリント内容に基づいて前記プリン
    トヘッドの走査方向を決定する方向決定工程を更に備え
    ることを特徴とする請求項に記載のプリント制御方
    法。
  5. 【請求項5】 前記方向決定工程は、現在の走査のプリ
    ントデータと前回の走査のプリントデータによるプリン
    ト内容が、少なくとも前記記録品質が低下する領域にお
    いて、連続的な部分を有するか否かを判断して前記プリ
    ントヘッドの走査方向を決定することを特徴とする請求
    に記載のプリント制御方法。
  6. 【請求項6】 前記プリント工程は、前記方向決定工程
    により現在の走査のプリントデータと前回の走査のプリ
    ントデータによるプリント内容に連続的な部分が存在し
    ないと判断された場合、前記第1の走査処理を用いて
    該前回の走査とは逆の方向へ前記プリントヘッドを走査
    して現在の走査の記録を行い、前記方向決定工程により
    現在の走査のプリントデータと前回の走査のプリントデ
    ータによるプリント内容に連続的な部分が存在すると判
    断された場合は、前記第2の走査処理を用いて該前回の
    走査と同じ方向へ前記プリントヘッドを走査して現在の
    走査の記録を行うことを特徴とする請求項に記載のプ
    リント制御方法。
  7. 【請求項7】 前記記録品質が低下する領域は前記プリ
    ントヘッドの走査における加減速領域であることを特徴
    とする請求項1に記載のプリント制御方法。
  8. 【請求項8】 プリントヘッドを往復走査させる走査手
    段を備え、前記走査手段によるプリントヘッドの走査範
    囲内の記録領域の両端部に、前記走査手段により前記プ
    リントヘッドを加速して定速状態にするときに記録品質
    が低下する領域を有し、前記記録領域にプリントヘッド
    の往復走査によりプリントデータに従った記録を行う
    録装置を制御するべく、コンピュータ可読メモリに格納
    され、ホストコンピュータにおいて実行され得るプリン
    タドライバであって、現在の走査の 前記プリントデータの内容を判断し、前記
    現在の走査のプリントデータと前記前回の走査のプリン
    トデータとの間に白領域が存在せず、画像が連続してい
    るか否かを判断する判断工程のコードと、前記判断工程において、前記画像が連続していないと判
    断された場合は、前記記録品質が低下する領域において
    も記録を行う第1の走査処理により記録動作を行い、前
    記画像が連続していると判断された場合は、前記走査範
    囲が前記第1の走査処理よりも広く、前記記録品質が低
    下する領域においては記録を行わない第2の走査処理に
    より記録動作を行う プリント工程のコードとを備えるこ
    とを特徴とするプリンタドライバ。
  9. 【請求項9】 前記第2の走査処理により前記プリント
    ヘッドが走査する範囲は、前記第1の走査処理による走
    査範囲の少なくとも一方に、前記記録品質が低下する所
    定幅の領域を付加した範囲であることを特徴とする請求
    に記載のプリンタドライバ。
  10. 【請求項10】 前記判断工程は、前記現在の走査のプ
    リントデータと前記前回の走査のプリントデータによる
    プリント内容が、少なくとも前記記録品質が低下する領
    において連続的な部分を有するか否かを判断すること
    を特徴とする請求項に記載のプリンタドライバ。
  11. 【請求項11】 前記プリント内容に基づいて前記プリ
    ントヘッドの走査方向を決定する方向決定工程のコード
    を更に備えることを特徴とする請求項10に記載のプリ
    ンタドライバ。
  12. 【請求項12】 前記方向決定工程は、現在の走査のプ
    リントデータと前回の走査のプリントデータによるプリ
    ント内容が、少なくとも前記記録品質が低下する領域
    おいて、連続的な部分を有するか否かを判断して前記プ
    リントヘッドの走査方向を決定ことを特徴とする請求項
    11に記載のプリンタドライバ。
  13. 【請求項13】 前記プリント工程は、前記方向決定工
    程により現在の走査のプリントデータと前回の走査のプ
    リントデータによるプリント内容に連続的な部分が存在
    しないと判断された場合、前記第1の走査処理を用い
    て該前回の走査とは逆の方向へ前記プリントヘッドを走
    査して現在の走査の記録を行い、前記プリント工程は、
    前記方向決定工程により現在の走査のプリントデータと
    前回の走査のプリントデータによるプリント内容に連続
    的な部分が存在すると判断された場合に、前記第2の走
    査処理を用いて該前回の走査と同じ方向へ前記プリント
    ヘッドを走査して現在の走査の記録を行うことを特徴と
    する請求項12に記載のプリンタドライバ。
  14. 【請求項14】 前記記録品質が低下する領域は前記プ
    リントヘッドの走査における加減速領域であることを特
    徴とする請求項に記載のプリンタドライバ。
  15. 【請求項15】 プリントヘッドを往復走査させる走査
    手段を備え、前記走査手段によるプリントヘッドの走査
    範囲内の記録領域の両端部に、前記走査手段により前記
    プリントヘッドを加速して定速状態にするときに記録品
    質が低下する領域を有し、前記記録領域にプリントヘッ
    ドの往復走査によりプリントデータに従った記録を行う
    記録装置であって、 実行可能な処理ステップを格納する領域を含むメモリ
    と、 前記実行可能な処理ステップを実行するプロセッサと、 プリンタへのインタフェースとを備え、 前記実行可能な処理ステップが、現在の走査の 前記プリントデータの内容を判断し、前記
    現在の走査のプリントデータと前記前回の走査のプリン
    トデータとの間に白領域が存在せず、画像が連続してい
    るか否かを判断する判断ステップと、前記判断工程において、前記画像が連続していないと判
    断された場合は、前記記録品質が低下する領域において
    も記録を行う第1の走査処理により記録動作を行い、前
    記画像が連続していると判断された場合は、前記走査範
    囲が前記第1の走査処理よりも広く、前記記録品質が低
    下する領域においては記録を行わない第2の走査処理に
    より記録動作を行う プリントステップとを備えることを
    特徴とするプリント制御装置。
  16. 【請求項16】 前記第2の走査処理により前記プリン
    トヘッドが走査する範囲は、前記第1の走査処理による
    走査範囲の少なくとも一方に、前記記録品質が低下する
    所定幅の領域を付加した範囲であることを特徴とする請
    求項15に記載のプリント制御装置。
  17. 【請求項17】 前記判断ステップは、前記現在の走査
    のプリントデータと前記前回の走査のプリントデータに
    よるプリント内容が、少なくとも前記記録品質が低下す
    る領域において連続的な部分を有するか否かを判断する
    ことを特徴とする請求項15に記載のプリント制御装
    置。
  18. 【請求項18】 前記実行可能な処理ステップが、前記
    プリントデータの内容に基づいて前記プリントヘッドの
    走査方向を決定する方向決定ステップを更に備えること
    を特徴とする請求項17に記載のプリント制御装置。
  19. 【請求項19】 前記方向決定ステップは、現在の走査
    のプリントデータと前回の走査のプリントデータによる
    プリント内容が、少なくとも前記記録品質が低下する領
    において、連続的な部分を有するか否かを判断して前
    記プリントヘッドの走査方向を決定することを特徴とす
    る請求項18に記載のプリント制御装置。
  20. 【請求項20】 前記プリントステップは、前記方向決
    定ステップにより現在の走査のプリントデータと前回の
    走査のプリントデータによるプリント内容に連続的な部
    分が存在しないと判断された場合、前記第1の走査処
    理を用いて該前回の走査とは逆の方向へ前記プリントヘ
    ッドを走査して現在の走査を記録し、 前記プリントステップは、前記方向決定ステップにより
    現在の走査のプリントデータと前回の走査のプリントデ
    ータによるプリント内容に連続的な部分が存在すると判
    断された場合に、前記第2の走査処理を用いて該前回の
    走査と同じ方向へ前記プリントヘッドを走査して現在の
    走査の記録を行うことを特徴とする請求項19に記載の
    プリント制御装置。
  21. 【請求項21】 前記クリティカルゾーンは前記プリン
    トヘッドの走査における加減速領域であることを特徴と
    する請求項15に記載のプリント制御装置。
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