JP3493749B2 - 受像管の防眩膜形成装置及び受像管の製造方法 - Google Patents

受像管の防眩膜形成装置及び受像管の製造方法

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尚孝 山下
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管等のパネ
ル面(前面ガラスとも呼ばれる)に防眩膜を形成する際
に用いられる受像管の防眩膜形成装置及び受像管の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来における受像管の防眩膜形成
装置の一例を示す側面概略図である。図示した防眩膜形
成装置は、スピンコート方式を採用したものであり、そ
の基本的な構成要素として、受像管11を回転可能に支
持する回転ヘッド部12と、この回転ヘッド部12に支
持された受像管11のパネル面11aに液状の防眩材料
を塗布する塗布ノズル13とを備えている。回転ヘッド
部12は、図示せぬ搬送装置によって投入された受像管
11を支持しつつ、モータ等の回転駆動源をもって受像
管11を回転させるためのものである。塗布ノズル13
は、回転ヘッド部12に支持された受像管11の上方か
らパネル面11aに適量の防眩材料を滴下するもので、
これは支持アーム14の先端部に取り付けられている。
【0003】この防眩膜形成装置においては、先ず、図
示せぬ搬送装置によって受像管11が回転ヘッド部12
に投入され、その後、塗布ノズル13から適量の防眩材
料がパネル面11aに塗布(滴下)される。次いで、図
示せぬ回転駆動源の駆動力をもって受像管11を高速で
回転させ、これにより受像管11のパネル面11aに防
眩膜を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の防眩膜形成装置においては、受像管11のパネル面1
1aが平面的に見ると長方形をなし、側面から見るとシ
リンドリカル面(円筒面)を呈しているため、受像管1
1を回転させた際にパネル面11a上におけるエアーの
流れ(流速)が不均衡になってしまう。このため、パネ
ル面11aのコーナー部分まで防眩材料が十分に行き渡
らず、パネル面11a上に形成された防眩膜に振り切り
ムラが生じていた。また、受像管11を図5に示すよう
にR方向に回転させた場合は、パネル面11aに塗布さ
れた防眩材料が回転方向Rの上手側から下手側に向けて
図中破線矢印で示すように流動するため、特に、回転方
向Rの上手側にあたるコーナー部分11bでは下手側に
あたるコーナー部分11cよりも防眩材料の不足が起こ
り易いという問題があった。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、パネル面全域に
わたってムラのない均一な防眩膜を形成することができ
る受像管の防眩膜形成装置及び受像管の製造方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたもので、受像管のパネル面に液状
の防眩材料を塗布するとともに、受像管を回転させてパ
ネル面に防眩膜を形成する受像管の防眩膜形成装置にお
いて、受像管のパネル部に嵌合可能なパネル装着孔を有
するカバー体と、受像管の各辺に対応してカバー体に取
り付けられ、受像管の回転時にパネル面のコーナー部分
に対するエアーの流れを抑制する振り切りムラ防止用の
整流板とを備えた構成となっている。また本発明は、パ
ネル面に防眩膜を有する受像管の製造方法であって、受
像管のパネル面に防眩膜を形成する際に、受像管のパネ
ル部に嵌合可能なパネル装着孔を有するカバー体を用い
て、当該カバー体をパネル装着孔を介して受像管のパネ
ル部に装着するとともに、受像管の各辺に対応した振り
切りムラ防止用の整流板をカバー体に取り付けた状態
で、パネル面に液状の防眩材料を塗布して受像管を回転
させることにより、パネル面のコーナー部分に対するエ
アーの流れを整流板で抑制しつつ、パネル面に防眩膜を
形成するものである。
【0007】
【作用】本発明の受像管の防眩膜形成装置及び受像管の
製造方法においては、受像管のパネル部にパネル装着孔
を介してカバー体を装着することにより、見掛け上、防
眩膜の形成領域が大きくなり、その分だけパネル面のコ
ーナー部分での振り切りムラが少なくなる。また、カバ
ー体に振り切りムラ防止用の整流板を取り付けたことに
より、受像管の回転させたときにパネル面のコーナー部
分に対しても十分に防眩材料が行き渡るようになるた
め、パネル面のコーナー部分での振り切りムラがより一
層解消され、パネル面全域にわたって均一な防眩膜を形
成できるようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。図1は本発明に係わる防眩膜形
成装置の一実施例を説明する図である。図1に示す防眩
膜形成装置においては、上記従来例と同様に受像管1を
支持しつつ、その受像管1を高速で回転させる回転ヘッ
ド部(不図示)と、この回転ヘッド部に支持された受像
管1のパネル面1aに液状の防眩材料を塗布(滴下)す
る塗布ノズル(不図示)等の基本的な構成要素に加え、
その特徴部分としてカバー体2と整流板3a,3bとを
具備している。
【0009】カバー体2は、受像管1の外径寸法よりも
大きな例えば円板型の板状物品であり、その中央部に
は、受像管1のパネル外形(図中二点鎖線で示す)と略
同形のパネル装着孔2aが形成されている。このパネル
装着孔2aの孔径は、受像管1のパネル外径寸法よりも
僅かに大きく設定されており、受像管1にカバー体2を
装着する場合には、図2に示すように受像管1の上部、
つまりパネル外周部にパネル装着孔2aを介してカバー
体2が嵌め込まれる。その際、カバー体2の下面外周部
はカバー支持部材4上に載置され、これによって受像管
1に対するカバー体2の上下方向の位置決めがなされ
る。
【0010】一方、整流板3a、3bは、例えばステン
レス鋼等の薄い金属板を曲げ加工にて一体成形したもの
で、受像管1の各辺に対応してカバー体2に取り付けら
れている。さらに詳述すると、受像管1の長辺側には相
対向する状態で一対の整流板3aが取り付けられてお
り、同短辺側には同じく相対向する状態で上記整流板3
aよりも長さの短い一対の整流板3bが取り付けられて
いる。そして、各々の整流板3a,3bは、その一辺3
c,3dがカバー体2の上面に固定されている。
【0011】これらの整流板3a,3bは、受像管1を
例えば図中R方向に回転させたときの振り切りムラを防
止すべく設けられたもので、以下のように配置されてい
る。すなわち、受像管1の長辺側に対応して設けられた
整流板3aはカバー体2に対して、例えば約6°の傾斜
角θ1をもって取り付けられ、同短辺側に対応して設け
られた整流板3bはカバー体2に対して、例えば約1°
の傾斜角θ2をもって取り付けられている。また、それ
ぞれの整流板3a,3bは例えば約25°の成形角θ
3,θ4をもって曲げ加工され、さらに一方の整流板3
aはカバー体2のパネル装着孔2aの直交軸に対して、
例えば約1°の傾斜角θ5をもって取り付けられ、他方
の整流板3bはパネル装着孔2aの直交軸に対して、例
えば約5°の傾斜角θ6をもって取り付けられている。
【0012】続いて、本実施例における防眩膜形成装置
の動作について説明する。先ず、図示せぬ搬送装置によ
って受像管1が回転ヘッド部(不図示)に投入される。
次に、受像管1のパネル部にパネル装着孔2aを介して
カバー体2が嵌め込まれる。次いで、受像管1の上方に
配置された塗布ノズル(不図示)から液状の防眩材料が
パネル面1aに塗布(滴下)される。その後、図示せぬ
回転駆動源により受像管1がカバー体2とともに高速で
回転し、これによって受像管1のパネル面1a上に防眩
膜が形成される。
【0013】ここで、本実施例の場合には受像管1のパ
ネル部にカバー体2が装着されているため、見掛け上、
従来よりも防眩膜の形成領域が大きく確保されている。
したがって、防眩膜を均一に形成させ得る領域も従来に
比べて大きくなり、その分だけパネル面1aのコーナー
部分での振り切りムラを軽減することができる。
【0014】また、パネル面1a上におけるエアーの流
れがカバー体2に取り付けられた整流板3a,3bによ
って制御され、特に図3に示すようにパネル面1aのコ
ーナー部分1b,1cに対しては、エアーの流れ(図中
破線矢印で示す)が整流板3a,3bによって適度に抑
制される。つまり、受像管1の各辺に対応して設けられ
た整流板3a,3bがパネル面1a上における気流のム
ラを打ち消すような役割を果たす。これにより、パネル
面1aに塗布された防眩材料は受像管1の回転に伴う遠
心力によってカバー体2の周縁側(遠心方向)に均等に
引っ張られるようになるため、パネル面1aのコーナー
部分1b,1cにも防眩材料が十分に行き渡るようにな
る。その結果、パネル面1aのコーナー部分1b,1c
での振り切りムラがより一層解消されるため、受像管1
のパネル面1a全域にわたって均一な防眩膜を形成する
ことが可能となる。
【0015】なお、振り切りムラ防止用に設けられた整
流板3a,3bの形状及び配置条件については、処理対
象となる受像管1の機種やカバー体2の構造、さらには
受像管1の回転方向等に応じて適宜変更することが可能
であり、特に図1に示した形状及び配置条件に限定され
るものではない。
【0016】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
受像管のパネル部にパネル装着孔を介してカバー体を取
り付けることで、見掛け上、従来よりも防眩膜の形成領
域が拡大し、さらにカバー体に取り付けられた整流板に
より、パネル面に塗布された防眩材料が遠心方向に均等
に引っ張られるようになるため、パネル面全域にわたっ
て均一な防眩膜を形成することが可能となる。その結
果、パネル面での色ムラが少なくなるため、受像管の品
質向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる防眩膜形成装置の一実施例を説
明する図である。
【図2】カバー体の装着状態を示す図である。
【図3】整流板の機能を説明するための図である。
【図4】従来の防眩膜形成装置の一例を示す側面概略図
である。
【図5】従来の問題を説明する図である。
【符号の説明】
1 受像管 1a パネル面 2 カバー体 2a パネル装着孔 3a,3b 整流板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 龍雄 愛知県稲沢市大矢町茨島30番地 ソニー 稲沢株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−65718(JP,A) 特開 平7−245059(JP,A) 特開 平7−94090(JP,A) 特開 平1−281637(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/20 H01J 29/88

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受像管のパネル面に液状の防眩材料を塗
    布するとともに、前記受像管を回転させて前記パネル面
    に防眩膜を形成する受像管の防眩膜形成装置において、 前記受像管のパネル部に嵌合可能なパネル装着孔を有す
    るカバー体と、 前記受像管の各辺に対応して前記カバー体に取り付けら
    れ、前記受像管の回転時に前記パネル面のコーナー部分
    に対するエアーの流れを抑制する振り切りムラ防止用の
    整流板とを備えたことを特徴とする受像管の防眩膜形成
    装置。
  2. 【請求項2】 パネル面に防眩膜を有する受像管の製造
    方法であって、 前記受像管のパネル面に前記防眩膜を形成する際に、 前記受像管のパネル部に嵌合可能なパネル装着孔を有す
    るカバー体を用いて、当該カバー体を前記パネル装着孔
    を介して前記受像管のパネル部に装着するとともに、前
    記受像管の各辺に対応した振り切りムラ防止用の整流板
    を前記カバー体に取り付けた状態で、前記パネル面に液
    状の防眩材料を塗布して前記受像管を回転させることに
    より、前記パネル面のコーナー部分に対するエアーの流
    れを前記整流板で抑制しつつ、前記パネル面に前記防眩
    膜を形成することを特徴とする受像管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記整流板は、前記受像管の長辺側に対
    応して設けられた第1の整流板と、前記受像管の短辺側
    に対応して設けられた第2の整流板とから成るととも
    に、前記第1の整流板と前記第2の整流板がそれぞれ前
    記カバー体に対して傾斜した状態で取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の受像管の防眩膜形成装
    置。
  4. 【請求項4】 前記カバー体に対する前記第1の整流板
    の傾斜角は、前記カバー体に対する前記第2の整流板の
    傾斜角よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の受
    像管の防眩膜形成装置。
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