JP3492851B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体

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JP3492851B2
JP3492851B2 JP13662396A JP13662396A JP3492851B2 JP 3492851 B2 JP3492851 B2 JP 3492851B2 JP 13662396 A JP13662396 A JP 13662396A JP 13662396 A JP13662396 A JP 13662396A JP 3492851 B2 JP3492851 B2 JP 3492851B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は可逆的な画像の形成
・消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスオートメーションの進展
につれて、各種の情報量が著しく増大しており、この情
報量の増大に伴い情報を出力する機会も増加している。
一般に情報の出力としては、プリンターによる紙へのハ
ードコピー出力やディスプレイ出力がある。しかし、ハ
ードコピー出力は情報が増加すると記録媒体としての紙
を大量に使用することになるので、資源保護の点で問題
がある。また、ディスプレイ出力は表示部に大規模な回
路基板が必要であるため、携帯性およびコストの点で問
題がある。このような背景から、これらの問題を解消可
能なリライタブル記録媒体(可逆性感熱記録媒体)が第
3の記録媒体として期待されている。リライタブル記録
媒体とは、高い視認性を有する画像を多数回にわたって
可逆的に記録・消去でき、表示を保持するためにエネル
ギーを必要としない全固体または半固体の記録媒体であ
る。
【0003】従来このようなリライタブル記録媒体とし
てはサーマルプリンターヘッド(TPH)で記録・消去
可能な有機低分子・高分子樹脂マトリクス系が知られて
いる(例えば、特開昭55−154198号、特開昭5
7−82086号)。この系はリライタブル記録媒体と
しての特性のバランスが比較的良好であり、一部のプリ
ペイドカードに使用されつつある。しかし、この有機低
分子・高分子樹脂マトリクス系には、TPHを用いて短
時間で記録・消去ができる環境温度の範囲が狭いうえ、
繰り返し回数が150〜500回程度と比較的少ないと
いう問題点がある。この結果、このリライタブル記録媒
体の適用分野は著しく限定され、例えば使用環境温度が
広い駅務用IOカードなどへの適用は困難である。さら
に、この系は白濁状態と透明状態が可逆的に変化するも
のであるため、視認性が不十分であるという問題点も有
している。
【0004】発色状態と消色状態とが可逆的に変化する
記録媒体として以下のようなものが知られている。例え
ば特開平4−50290号には、ロイコ染料、顕色材と
しての酸、および消色材としての長鎖アミンを含有し、
熱エネルギーの供給で化学的に発色・消色を繰り返すこ
とが可能な記録材料が開示されている。また、第42回
高分子討論会予稿集(1993年、2736頁)、特開
平4−247985号、特開平4−308790号、特
開平4−344287号には、ロイコ染料と顕色材であ
る長鎖ホスホン酸とを含有し、熱エネルギーを制御して
結晶構造を変化させることにより可逆的に発色・消色す
る記録材料が開示されている。さらに、Japan H
ardcopy ’93、p.413〜416には、ロ
イコ染料と結晶性の高い長鎖4−ヒドロキシアニリド化
合物とを含有し、熱エネルギーの供給により結晶質−非
晶質転移に基づく可逆的な発色・消色を生じる記録材料
が開示されている。
【0005】しかし、これらの記録材料では一般に無色
透明な消色状態が得られず、発色・消色状態のコントラ
スト比をそれほど高くすることができないうえ、背景の
表示を利用することも困難である。また、環境温度が高
いと徐々に色が変化し、保存安定性が不十分である。さ
らに、これらの記録材料では、加熱後の急冷または徐冷
という2種の熱履歴を与えることにより発色状態と消色
状態とを制御している。このような制御を実現するため
に、急冷を必要とする過程では熱源としてTPHやレー
ザーを用い、徐冷を必要とする過程では熱源としてホッ
トスタンパーやヒートローラーを用いている。このこと
からわかるように、従来の発消色型リライタブル記録媒
体は、少なくとも2種類の加熱デバイスを必要とし、し
かも徐冷時に時間がかかるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、単一
の加熱デバイスで記録・消去が可能で発色・消色のいず
れの速度も速く、かつ保存安定性の良好な可逆性感熱記
録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の可逆性感熱記録
媒体は、呈色性化合物と、顕色材と、2値の熱エネルギ
ーの供給または2種の熱履歴による組成系の可逆的な変
化を発現させる可逆材とを含有し、前記可逆材の80重
量%以上が、下記構造式(1)で表されるステロイド骨
格における2位と3位の炭素間の結合および3位と4位
の炭素間の結合が単結合であり、少なくとも3位の炭素
に結合したヒドロキシル基を有し、かつ16位および1
7位の炭素が下記構造式(A)〜(D)で表されるいず
れかの構造を有するステロール化合物であることを特徴
とするものである。
【0008】
【化3】
【0009】本発明の可逆性感熱記録媒体は、さらに、
その融点近傍で呈色性化合物または顕色材の相分離速度
を変化させる相分離制御材を含有していてもよい。前記
相分離制御材としては、たとえば、10以上の最大炭素
鎖長を有する低分子有機材料が挙げられる。
【0010】本発明の可逆性感熱記録媒体においては、
前記顕色材として、たとえば下記一般式(2)で表され
るベンゾフェノン化合物が用いられる。
【0011】
【化4】
【0012】式中、R1 およびR2 はそれぞれハロゲン
原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基または水
酸基、mおよびnは0〜5の整数を示し、m個のR1
n個のR2 は互いに異なっていてもよいが、mおよびn
の少なくとも一方は1以上の整数であり、全てのR1
よびR2 のうち少なくとも1個は水酸基である。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の記録媒体を構成す
る基本的な成分の作用および記録媒体の動作原理につい
て概略的に説明する。
【0014】一般的な意味では、呈色性化合物とは表示
画像を形成する色素の前駆体化合物をいい、顕色材とは
呈色性化合物との相互作用(主に電子またはプロトンの
授受)により呈色性化合物の着色状態を変化させる化合
物をいう。すなわち一般的には、呈色性化合物と顕色材
との組み合わせは、相互作用が増大すると発色状態、相
互作用が減少すると消色状態となるような2種の化合物
の組み合わせをいう。本発明における呈色性化合物およ
び顕色材という用語は、上記のような狭い意味も当然含
むが、より広い意味に解釈されるべきであり、相互作用
が増大すると消色状態となり、相互作用が減少すると発
色状態となる2種の化合物の組み合わせ(狭義には色素
と消色材との組み合わせ)をも含むものとする。ただし
以下においては、説明を簡単にするために、狭義での呈
色性化合物と顕色材との組み合わせを中心として議論
し、後者の意味での色素と消色材との組み合わせに関し
ては適宜補足的に議論する。
【0015】本発明において、可逆材とは、呈色性化合
物、顕色材および可逆材からなる3成分系の可逆的な状
態変化に影響を及ぼす性質を有する低分子有機化合物で
ある。この3成分系が流動状態にある場合には、可逆材
は顕色材(または呈色性化合物)を優先的に溶解する。
そして、この3成分系が固化状態にある場合には、以下
に示す少なくとも2つの長寿命な状態を取り得る。
(1)可逆材が呈色性化合物および顕色材を平衡的な溶
解度に相当する量だけ溶解し、それを超える余剰の呈色
性化合物および顕色材が可逆材と相分離し、呈色性化合
物と顕色材との相互作用が増加して発色した状態(平衡
状態)。(2)可逆材が顕色材(または呈色性化合物)
を平衡的な溶解度を超えて多量に取り込み、呈色性化合
物と顕色材との相互作用が減少して消色した状態(非平
衡状態)。(2)の状態は(1)の状態と比較すれば準
安定または不安定であるが、室温において十分に長寿命
である。
【0016】このような3成分系は、典型的には2値の
熱エネルギーを供給するか、または2種の熱履歴を与え
ることにより、(1)および(2)の2つの状態の間で
可逆的な変化(平衡−非平衡変化)を起こすことができ
る。なお、応力変化を与えることにより2つの状態間の
可逆的な変化を起こすこともできる。
【0017】(1)および(2)の状態は結晶質でも非
晶質でもよい。したがって、状態変化の態様としては結
晶質−非晶質、非晶質−非晶質または結晶質−結晶質の
場合がある。また、可逆材自体がどのような性質を有す
るかについても特に限定されない。例えば、可逆材が結
晶質にも非晶質にもなり得る性質を持つ場合には、通
常、発色状態は相分離により可逆材の粒界に呈色性化合
物および顕色材が偏析した状態であり、消色状態は顕色
材(または呈色性化合物)と可逆材とが相互溶解した非
晶質状態である。また、可逆材が結晶質の場合には、発
色状態は上記と同様に可逆材の粒界に呈色性化合物およ
び顕色材が偏析した状態であり、消色状態は顕色材(ま
たは呈色性化合物)が可逆材とともに混晶を形成して呈
色性化合物(または顕色材)とほぼ完全に相分離し、呈
色性化合物と顕色材との相互作用が減少した状態であ
る。ただし、可逆材としては単独で、または顕色材(も
しくは呈色性化合物)との組み合わせで結晶質にも非晶
質にもなり得る材料が好適である。
【0018】上記で説明した各成分の性質に基づいて、
呈色性化合物、顕色材、可逆材からなる3成分系におけ
る典型的な発消色メカニズムの簡易的なモデルを図1に
示す。この図では、呈色性化合物をA、顕色材をB、可
逆材をCと表している。またこの図は、具体的には溶融
時において顕色材Bの可逆材Cに対する溶解度が高い場
合を示している。また、「:」は相互作用または相互溶
解していることを示し、「*」は流動状態であることを
示している。
【0019】室温(Tr)においては、呈色性化合物A
および顕色材Bの相と可逆材Cの相とが相分離した発色
状態が、溶解度から見て平衡状態に近い。この状態か
ら、組成系を3成分系の融点(Tm)以上に加熱する
と、顕色材Bは流動状態の可逆材Cと相互溶解して、呈
色性化合物Aとの相互作用を失い、結果として系は色を
失う。この溶融状態から急冷することによって系を強制
的に固定すると、可逆材Cは平衡溶解度を越えた量の顕
色材Bを取り込んで非晶質化し、系は室温で無色にな
る。この非平衡状態の非晶質は、ガラス転移点(Tg)
以下の温度で長寿命であり、Tgが室温以上であるなら
ば容易に平衡状態に移ることはない。
【0020】非平衡な非晶質から、組成系を加熱してガ
ラス転移点を越えると、系における顕色材Bの拡散速度
が急激に高まり、本来の平衡状態へ戻る方向に顕色材B
と可逆材Cとの相分離運動が加速される。相分離による
発色が所定の時間内で十分に達成できる温度では、顕色
材Bと相分離した可逆材Cは急速に結晶化するため、発
色温度の下限値は結晶化温度(Tc)と考えてもよい。
結晶化温度以上融点未満で所定時間を経過した組成系
は、より平衡状態に近いより安定な相分離状態となり発
色状態となる。従って、結晶化温度Tc以上融点Tm未
満および融点Tm以上の温度にまで可逆材を加熱するこ
とが可能な、互いに大きさの異なる2値の熱エネルギー
を適宜供給すれば、平衡−非平衡の相変化を可逆的に繰
り返すことができ、それに従って発色・消色状態を繰り
返すことができる。なお、厳密には、発色状態は顕色材
(または呈色性化合物)の平衡溶解度や状態に依存する
ため、組成系の発色濃度は加熱温度と加熱時間の影響を
受けることを考慮する必要がある。
【0021】また、組成系の結晶質−非晶質転移に基づ
く情報の記録/消去について、図2に示す組成系の熱特
性図を参照して説明することもできる。この組成系は室
温下において準安定な非晶質を形成する。この組成系を
非晶質から結晶化温度Tc以上融点Tm未満の温度に加
熱した後に冷却すれば、系はガラス転移温度Tg以下の
温度で安定な結晶質を形成する。この組成系を結晶質か
ら融点Tm以上に加熱して溶融した後、ガラス転移温度
Tg以下の室温まで急冷または自然放冷すれば、系は非
晶質に戻る。すなわち、結晶化温度Tc以上融点Tm未
満及び融点Tm以上の温度に組成系を加熱することが可
能な互いに大きさの異なる2種の熱エネルギーの供給に
より、可逆的に結晶質−非晶質転移を繰り返すことがで
きる。
【0022】この場合、呈色性化合物、顕色材および可
逆材を含有する3成分系は、一般的に以下のように発色
/消色を行う。すなわち、非晶質では可逆材中に呈色性
化合物と顕色材とが均一に混合され両者の相互作用が減
少して消色する。一方、結晶質では結晶化した可逆材の
粒界に呈色性化合物および顕色材が偏析し、呈色性化合
物と顕色材との相互作用が増加して発色する。
【0023】本発明においては、相分離制御材とは以下
のような性質を有する低分子有機材料である。
【0024】1.相分離制御材は、呈色性化合物、顕色
材および可逆材からなる組成物の融点よりも低い融点を
有する。
【0025】2.相分離制御材は、固体状態において呈
色性化合物と顕色材との相互作用による発色状態にほと
んど影響を及ぼさない。
【0026】3.相分離制御材は、その融点以上におい
て顕色材(または呈色性化合物)を溶解する。
【0027】4.相分離制御材の融点前後で比較して、
顕色材(または呈色性化合物)の拡散速度が大幅に変化
する。すなわち、相分離制御材は、その融点近傍におい
て組成系の相分離速度を急激に促進する作用を有する。
【0028】5.溶融した相分離制御材と顕色材(また
は呈色性化合物)との相互作用は、溶融した可逆材と顕
色材(または呈色性化合物)との相互作用より小さい。
【0029】6.相分離制御材は、使用する可逆材と共
通の極性基を少なくとも1個有する。
【0030】図3に、呈色性化合物、顕色材、可逆材お
よび相分離制御材からなる4成分系の典型的な発消色メ
カニズムの一例を示す。この図では相分離制御材をD、
相分離制御材の融点をTmDと表す。その他の表示は図1
と同一である。
【0031】室温(Tr)においては、呈色性化合物A
および顕色材Bの相と可逆材Cの相と相分離制御材Dの
相とが相分離した発色状態が、溶解度から見て平衡状態
に近い。この状態から組成系を融点(Tm)以上に加熱
すると、顕色材Bは流動状態の可逆材Cと相互溶解した
状態となり、呈色性化合物Aとの相互作用を失い、結果
として組成系は色を失う。この4成分系を溶融状態から
冷却すると、可逆材Cおよび相分離制御材Dが融点以下
においても流動性を保つ過冷却液体となり、顕色材Bと
流動状態の可逆材Cとが相互溶解したままガラス転移点
Tg以下の低温で凝固し、可逆材Cは平衡溶解度を越え
た量の顕色材Bを取り込んで非晶質化して無色の非平衡
状態になる。したがって、この4成分系では、3成分系
と異なり、急冷でも徐冷でも無色の非平衡状態を得るこ
とができる。4成分系の非平衡状態の非晶質も、ガラス
転移点(Tg)以下の温度では極めて長寿命であり、T
gが室温以上であるならば容易に平衡状態に移ることは
ない。
【0032】非平衡な非晶質から、4成分系を加熱して
ガラス転移点を越えると、顕色材Bの拡散速度が急激に
高まり、平衡状態へ戻る方向に顕色材Bと可逆材Cとの
相分離運動が加速される。さらに、相分離制御材Dの融
点(TmD)を越えると、液化した相分離制御材Dが顕色
材Bと一部の可逆材Cを溶解し、顕色材Bの拡散速度が
飛躍的に高まり顕色材Bと可逆材Cとの相分離は飛躍的
に加速される。この状態から再び系の温度を相分離制御
材Dの凝固点以下に下げると、顕色材Bの相分離制御材
Dに対する溶解度は急激に低下し、瞬時に顕色材Bと相
分離制御材Dは相分離する。相分離した顕色材Bは呈色
性化合物Aと相互作用して、系はより平衡状態に近いよ
り安定な発色状態となる。
【0033】このような相分離制御材Dを含有する4成
分系の発色速度は、ガラス転移点の前後で2〜4桁、相
分離制御材の融点の前後でさらに3〜4桁変化する。し
たがって、4成分系では系の融点(Tm)以上、および
相分離制御材の融点(TmD)以上で系の融点Tm未満に
加熱することが可能な、互いに大きさの異なる2値の熱
エネルギーを適宜供給すれば、急冷・徐冷の熱履歴によ
る影響を著しく低減しながら極めて高速に平衡−非平衡
の相変化を可逆的に繰り返すことができ、発色・消色状
態を繰り返せる。
【0034】なお、図3に示した動作原理はあくまで一
例であり、この他にも多様な態様があり得る。例えば、
ガラス転移点(Tg)は必ずしも系の凝固点(Ts)以
下とは限らない。また、系の融点(Tm)以上において
可逆材が全量溶解している必要はなく、顕色材を取り込
むことができる量の可逆材が溶解していれば系は冷却後
に消色状態になる。同様に、相分離制御材の融点(Tm
D)以上において、顕色材が全量溶解している必要はな
く、固体状態に比較して相分離(顕色材または呈色性化
合物の拡散)が十分に速い速度で行なわれるならば、溶
解量は数%程度でも有効である。
【0035】上述したように本発明の可逆性感熱記録媒
体では、互いに大きさの異なる2値の熱エネルギーを適
宜供給することで、2つの相分離状態間の状態変化を可
逆的に繰り返させ、呈色性化合物と顕色材との相互作用
の大きさを変化させて情報の記録・消去を行うことがで
きる。上記の組成系の相分離状態の変化は、一般にスピ
ノーダル分解あるいはマイクロ相分離として知られてい
る現象として説明できる。
【0036】本発明の組成系が結晶質であるか非晶質で
あるかは、X線回折あるいは電子線回折や光透過測定な
どの一般的な方法を必要に応じ適宜併用して分析するこ
とができる。例えばX線回折や電子線回折によれば、組
成系が結晶質であればシャープなピークやスポットが観
測されるが、非晶質だとシャープなピークやスポットは
観測されなくなる。一方、光透過測定によれば組成系の
光散乱を評価することが可能であり、多結晶質であれば
光波長が短いほどより強く散乱されて光透過率が低下す
るので、光透過率の波長依存性をみれば吸収による光透
過減少と区別することができ、結晶の粒径も推定でき
る。
【0037】本発明の感熱記録媒体においては、情報の
記録・消去の際に、結晶質−非晶質転移を繰り返すのが
組成系の全体であっても一部であってもよい。また、組
成系に含まれる全成分のうち各成分が個々に結晶質を形
成してもよいし、複数の成分が一体的に結晶質を形成し
てもよい。このような場合、結晶質−非晶質転移を繰り
返すのが組成系の全体であるか一部であるかについて
も、上記と同様の測定で検出することが可能である。ま
た、X線回折や電子線回折のピークやスポットのパター
ンは組成系中のそれぞれの成分に固有のものであるか
ら、得られたパターンを解析することにより組成系中で
結晶質−非晶質転移を繰り返す成分を特定することもで
きる。
【0038】本発明において、組成系に熱エネルギーが
供給された際に生じる状態変化が、結晶質−非晶質転移
及び相分離状態の変化のうちいずれであるかについて
は、含有される各成分の種類やその組み合わせだけでな
く、例えば各成分の配合比にも依存する。なお、組成系
の状態変化のタイプは、準安定な非平衡状態にある組成
系をガラス転移温度Tg以上に加熱して、系の平衡状態
への状態変化が生じている過程で、系の着色状態の変化
の時間依存性を求めることにより推定することができ
る。具体的には、系の反射濃度や光透過率の時間変化を
測定し、ここから求めた系の着色状態の変化の時間依存
性がArrheniusの式に従う場合には熱活性型の
結晶質−非晶質転移、Vogel−Fulcherの式
に従う場合には相分離状態の変化が優先的に生じている
と考えられる。ただし、このような系の結晶質−非晶質
転移及び相分離状態の変化は、常にその一方だけが単独
で生じるわけではなく、これらが同時に進行する場合も
ある。
【0039】本発明では、組成系に互いに大きさの異な
る2値の熱エネルギーを供給する代わりに、融点Tm以
上に加熱した後の冷却速度が互いに異なる2種の熱履歴
を与えることにより、可逆的な結晶質−非晶質転移ある
いは相分離状態の変化に基づき情報の記録・消去を行な
うことも可能である。すなわち本発明の感熱記録媒体
は、熱エネルギーを供給して組成系を融点Tm以上に加
熱した後、室温まで急冷すると準安定な非平衡状態、徐
冷すると平衡状態となり得る。従って、冷却時に急冷及
び徐冷のいずれかを適宜選択することにより、結晶質−
非晶質転移あるいは2つの相分離状態間の状態変化を可
逆的に繰り返させ、呈色性化合物と顕色材との相互作用
の大きさを変化させることができる。また、準安定な非
平衡状態の組成系を平衡状態とする過程で、系に熱エネ
ルギーを供給する代わりに応力を加えてもよい。
【0040】次に、本発明において呈色性化合物、顕色
材、可逆材、相分離制御材として用いることができる化
合物を包括的に説明する。
【0041】本発明において用いられる呈色性化合物と
しては、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、
ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、ア
リールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インド
リン類、スピロピラン類、フルオラン類、シアニン色素
類、クリスタルバイオレットなどの電子供与性有機物
や、フェノールフタレイン類などの電子受容性有機物が
挙げられる。
【0042】より具体的には、電子供与性有機物とし
て、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)、マラ
カイトグリーンラクトン、2−アニリノ−6−(N−シ
クロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオ
ラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−
N−プロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フ
ェニルアミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−
メチル−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−
(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフ
ルオラン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3
−メチルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシ
ルアミノ)フルオラン、2−クロロ−6−(ジエチルア
ミノ)フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)
−3−(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6
−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニ
トロ)アニリノラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ
[a]−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル
−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キ
シリジノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−
エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイ
ンドール−3−イル)−4−アザフタライド、3−(4
−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−
メチルインドール−3−イル)フタライド、3−ジエチ
ルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス
(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)
フタライド、3,6−ジメチルエトキシフルオラン、3
−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラ
ン、DEPM、ATP、ETAC、2−(2−クロロア
ニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、クリスタル
バイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビ
ノール、N−(2,3−ジクロロフェニル)ロイコオー
ラミン、N−ベンゾイルオーラミン、ローダミンBラク
タム、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミ
ン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−
ジメチルインドリン、N−3,3−トリメチルインドリ
ノベンゾスピロピラン、8’−メトキシ−N−3,3−
トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3−ジエチ
ルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジ
エチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチル
アミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、1,2−ベン
ゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジ−p−
トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラン−フェニルヒ
ドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ−5−メチルフル
オランが例示される。また、電子受容性有機物として、
フェノールフタレイン、テトラブロモフェノールフタレ
イン、フェノノールフタレインエチルエステル、テトラ
ブロモフェノールフタレインエチルエステルが例示され
る。これらは単独で用いてもよいし2種以上を混合して
用いてもよい。なお上述したような化合物のうち、シア
ニン色素類やクリスタルバイオレットについては、顕色
材との相互作用が増大すると消色状態となり、相互作用
が減少すると発色状態となる場合がある。本発明では呈
色性化合物を適宜選択すれば多様な色の発色状態が得ら
れることからカラー対応が可能である。また、呈色性化
合物以外に着色染料を組み合わせて用いれば、所望のあ
らゆる着色状態を得ることができる。
【0043】本発明における顕色材としては、呈色性化
合物が電子供与性有機物である場合、フェノール類、フ
ェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノ
ン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金
属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属
塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類などの酸性化合
物、一方呈色性化合物が電子受容性有機物である場合、
アミン類などの塩基性化合物が挙げられる。これらは単
独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
【0044】本発明において用いられる可逆材は、無色
性の良好な非晶質を容易に形成し得ることが望ましい。
可逆材が非晶質で無色透明であるほど、印字部と背景と
のコントラスト比を高くすることができる。このような
性質が要求される可逆材は、分子量が大きく、かつ重量
当りの結晶の融解エンタルピー変化ΔHが小さく、した
がって最大結晶成長速度MCVの小さい化合物であるこ
とが好ましい。可逆材の結晶の融解エンタルピー変化Δ
Hが小さいと、その結晶の融解に要する熱エネルギー量
が少量となるので、省エネルギーの点でも好ましい。以
上のような観点から、可逆材としては、ステロイド骨格
など球状に近く嵩高い分子骨格を有する化合物が好適で
ある。また、分子間で水素結合を形成し得るサイトを複
数有する化合物は、分子量が小さいかあるいは結晶の融
解エンタルピー変化ΔHがある程度大きくても、実質的
な分子量が増大することになるため非晶質を形成しやす
く、可逆材として適用することができる。具体的には、
分子間で水素結合を形成し得る置換基、例えば水酸基、
1級及び2級アミノ基、1級及び2級アミド結合、ウレ
タン結合、尿素結合、ヒドラゾン結合、ヒドラジン基、
カルボキシル基を分子内に複数個有する化合物が例示さ
れる。上述したような観点から、好ましい可逆材として
ステロール化合物が挙げられる。
【0045】逆に、分子量が100未満の低分子化合
物、または分子量が100以上であっても直鎖状長鎖ア
ルキル誘導体や平面状芳香族化合物は、結晶の融解エン
タルピー変化ΔHが大きく非晶質が形成されにくいた
め、可逆材として不適当である。また、水素結合を形成
し得るサイトを複数有していても、分子内で水素結合を
形成する化合物は不適当である。
【0046】本発明において用いられる相分離制御材と
しては、長鎖アルキル基(メチレン鎖)と例えばOH,
CO,COOHなどの極性基を有する結晶性の強い低分
子有機材料が好適である。一般的には、直鎖高級アルコ
ール、直鎖高級多価アルコール、直鎖高級脂肪酸、直鎖
高級多価脂肪酸、それらのエステルとエーテル結合体、
直鎖高級脂肪酸アミド、直鎖高級多価脂肪酸アミドが挙
げられる。
【0047】より具体的には、1−テトラデカノール、
1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−エ
イコサノール、1−ドコサノール、1−テトラコサノー
ル、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノールを代
表とする直鎖高級1価アルコール;1,8−オクタンジ
オール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカ
ンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2
−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、
1,2−ヘキサデカンジオールを代表とする直鎖高級多
価アルコール;パルミチン酸、ステアリン酸、1−オク
タデカン酸、ベヘン酸、1−ドコサン酸、1−テトラコ
サン酸、1−ヘキサコサン酸、1−オクタコサン酸を代
表とする直鎖高級脂肪酸;セバシン酸、ドデカン二酸、
テトラデカン二酸を代表とする直鎖高級多価脂肪酸;1
4−ヘプタコサノン、ステアロンを代表とする直鎖高級
ケトン;ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸n−
プロパノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミ
ド、ラウリン酸ブタノールアミド、ラウリン酸ヘキサノ
ールアミド、ラウリン酸オクタノールアミド、パルミチ
ン酸エタノールアミド、パルミチン酸n−プロパノール
アミド、パルミチン酸イソプロパノールアミド、パルミ
チン酸ブタノールアミド、パルミチン酸ヘキサノールア
ミド、パルミチン酸オクタノールアミド、ステアリン酸
エタノールアミド、ステアリン酸n−プロパノールアミ
ド、ステアリン酸イソプロパノールアミド、ステアリン
酸ブタノールアミド、ステアリン酸ヘキサノールアミ
ド、ステアリン酸オクタノールアミド、ベヘン酸エタノ
ールアミド、ベヘン酸n−プロパノールアミド、ベヘン
酸イソプロパノールアミド、ベヘン酸ブタノールアミ
ド、ベヘン酸ヘキサノールアミド、ベヘン酸オクタノー
ルアミドを代表とする直鎖高級脂肪酸アルコールアミ
ド;エチレングリコールラウリン酸ジエステル、プロピ
レングリコールラウリン酸ジエステル、ブチレングリコ
ールラウリン酸ジエステル、カテコールラウリン酸ジエ
ステル、シクロヘキサンジオールラウリン酸ジエステ
ル、エチレングリコールパルミチン酸ジエステル、プロ
ピレングリコールパルミチン酸ジエステル、ブチレング
リコールパルミチン酸ジエステル、カテコールパルミチ
ン酸ジエステル、シクロヘキサンジオールパルミチン酸
ジエステル、エチレングリコールステアリン酸ジエステ
ル、プロピレングリコールステアリン酸ジエステル、ブ
チレングリコールステアリン酸ジエステル、カテコール
ステアリン酸ジエステル、シクロヘキサンジオールステ
アリン酸ジエステル、エチレングリコールベヘン酸ジエ
ステル、プロピレングリコールベヘン酸ジエステル、ブ
チレングリコールベヘン酸ジエステル、カテコールベヘ
ン酸ジエステル、シクロヘキサンジオールベヘン酸ジエ
ステルを代表とする直鎖高級脂肪酸ジオールジエステル
が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して
用いることができる。例えば、エステル系ワックス、ア
ルコール系ワックス、ウレタン系ワックスのうちに、混
合物の相分離制御材として使用できる材料がある。
【0048】本発明の可逆性感熱記録媒体の実用化にあ
たっては、保存安定性に優れかつ発色速度が速いことが
要求される。すなわち、非平衡な非晶質が不安定である
と、室温で放置したりわずかに加熱されるだけで、相分
離が進行して保存安定性に問題が生じる。そこで、本発
明の感熱記録媒体の保存安定性を向上させるために特に
好適な顕色材、可逆材および相分離制御材について説明
する。
【0049】本発明の感熱記録媒体の保存安定性を向上
させるためには、顕色材としてフェノール性水酸基を有
するベンゾフェノン化合物を用いることが特に好まし
い。このようなベンゾフェノン化合物は可逆材との親和
性が高いことから、感熱記録媒体の保存安定性を向上さ
せることができる。すなわち、相分離状態の変化に基づ
いて情報の記録/消去がなされる場合には、顕色材は平
衡溶解度を越えて可逆材に取り込まれて、準安定な非平
衡状態となる。この過程で、顕色材と可逆材とが高い親
和性を有すると、準安定な非平衡状態において顕色材の
拡散係数が非常に小さく、環境温度が多少高くとも顕色
材と可逆材との相分離はほとんど進行しない。また、組
成系が可逆的な結晶質−非晶質転移を繰り返す場合、結
晶質と非晶質との間のポテンシャル障壁が高いため、準
安定な非平衡状態である非晶質を安定的に形成すること
ができる。このため、環境温度が高くても、準安定な非
平衡状態が十分に長寿命であり、保存安定性の極めて良
好な感熱記録媒体を得ることができる。さらに、ベンゾ
フェノン化合物は一般に紫外線吸収能を有するので、感
熱記録媒体の耐光性が高められることに起因する保存安
定性の向上も期待できる。
【0050】本発明において顕色材として用いられるベ
ンゾフェノン化合物は、ベンゾフェノン骨格中のベンゼ
ン環に少なくとも1個の水酸基が導入されたものであれ
ば特に限定されない。ただし、呈色性化合物との間で十
分な親和性を有することを考慮すると、2個以上の水酸
基が導入されたベンゾフェノン化合物が好ましい。この
場合、一般式(2)におけるR1 、R2 がそれぞれ少な
くとも1個以上の水酸基を有することが好ましい。ま
た、一方のベンゼン環に3個の水酸基が導入されたベン
ゾフェノン化合物がより好ましい。特に、ベンゼン環の
2,3,4位または3,4,5位に水酸基が導入された
ものが最も好ましい。このようなベンゾフェノン化合物
の具体例を表1に示す。この表では、R1 およびR2
表示することによりベンゾフェノン化合物を特定してい
る。
【0051】
【表1】
【0052】次に、本発明の感熱記録媒体の保存安定性
を向上させるために好適な可逆材について説明する。上
述した図1および図3の説明からわかるように、本発明
に係る可逆性感熱記録媒体における画像の保存安定性
は、組成系全体のガラス転移点Tgおよび顕色材(また
は呈色性化合物)の拡散速度に依存する。そこで、保存
安定性を向上するために、拡散速度の遅い顕色材(また
は呈色性化合物)を用いることが考えられるが、この場
合には発色速度が著しく低下するという問題があるた
め、有効な解決手段とはいえない。
【0053】感熱記録媒体の保存安定性の観点から、特
に可逆材のガラス転移点は少なくとも室温(25℃)以
上であることが必要となり、さらには50℃以上である
ことが好ましい。また、可逆材の結晶化温度は、加熱速
度によっても影響を受けるが、ガラス転移点と融点の間
の温度範囲に存在する。一方、高速で記録・消去を行う
ためには、可逆材のガラス転移点は150℃以下である
ことが好ましい。
【0054】そこで、高いガラス転移点を有する可逆材
を検討した結果、特定の分子構造を有するステロール化
合物が好適であることが判明した。このようなステロー
ル化合物は、構造式(1)で表されるステロイド骨格を
有し、(a)ステロイド骨格における2位と3位の炭素
間の結合および3位と4位の炭素間の結合が単結合であ
り、(b)少なくとも3位の炭素に結合したヒドロキシ
ル基を有し、かつ(c)16位および17位の炭素が上
述した構造式(A)〜(D)で表されるいずれかの構造
を有するものである。
【0055】上記のような構造を有するステロール化合
物を具体的に例示すると、(A)の構造を有するものと
してロコゲニン、チゴゲニン、エスミラゲニン、ヘコゲ
ニン、ジオスゲニン、(B)の構造を有するものとして
17−アセトキシプレグネノロン、(C)の構造を有す
るものとして21−アセトキシプレグネノロン、(D)
の構造を有するものとして16−デヒドロプレグネノロ
ンが挙げられる。本発明者らの研究によれば、これまで
は可逆材としてメチルアンドロステンジオールを用いた
場合に高温環境下における保存安定性が最も良好であっ
たが、画像を維持できる環境は90℃で1時間程度であ
った。これに対して、上記のようなステロール化合物を
用いた場合には、100℃で1時間という環境でも画像
を維持することができる。本発明においては、可逆材の
80重量%以上が上述したステロール化合物であること
が必要である。
【0056】また、これらのステロール化合物よりも効
果は少し劣るが、可逆性感熱記録媒体の保存安定性を向
上させる効果を有する可逆材として、上述した構造を有
し、さらに3位の炭素に結合した−OCOCH3 基を有
するステロール化合物を用いてもよい。このようなステ
ロール化合物としては、17−ヒドロキシプレグネノロ
ン 3−アセテート(または5−プレグネン−3β,1
7−ジオール−20−オン 3−アセテート)、17−
ヒドロキシプレグネノロン ジアセテートが挙げられ
る。
【0057】なお、ガラス転移点の高い可逆材として、
例えばコリン酸のようにカルボキシル基を含有するステ
ロイド化合物を用いることも考えられる。ただし、カル
ボキシル基を有するステロイド化合物を用いた場合、系
全体のガラス転移点は高くなるが、発色濃度が大幅に低
下する欠点があることが判明した。例えば可逆材として
メチルアンドロステンジオールにコリン酸を20重量%
添加したものを用いた場合には、メチルアンドロステン
ジオールのみを用いた場合と比較して発色濃度が1/2
以下に低下する。このことから判断して、カルボキシル
基を有するステロイド化合物を用いる場合には、その配
合量は可逆材の10重量%以下であることが好ましい。
【0058】次に、本発明の感熱記録媒体の保存安定性
を低下させることのない好適な相分離制御材について説
明する。本発明において用いられる好適な相分離制御材
は、上述したような長鎖アルキル基と極性基とを有する
ものであって、(a)最大炭素鎖長が10以上の結晶性
の強い低分子有機材料である。相分離制御材の最大炭素
鎖長を10以上と規定したのは、相分離制御材の最大炭
素鎖長が小さすぎると、非平衡状態から平衡状態への変
化が起こりやすくなると考えられ、保存安定性にとって
好ましくないためである。
【0059】なお、ここでいう最大炭素鎖長とは、直鎖
状の相分離制御材中に存在する炭素鎖のうち、主鎖また
は側鎖の極性原子(酸素や窒素)に結合した炭素原子を
仮想的に1つの末端としてカウントしたときに最長の炭
素鎖に含まれる炭素数を意味する。したがって、最大炭
素鎖長は分子中の総炭素数やシグマ結合で結合された炭
素鎖を構成する炭素数とは異なる場合がある。具体的な
化合物について最大炭素鎖長を例示すると、ステアリル
アルコール(C1837OH)、ステアリン酸(C1735
COOH)、ステアロン(C1735COC1735)、エ
チレングリコールステアリン酸ジエステル(C1735
OOC2 4 OCC1735)では18、1,12−ドデ
カンジオール(HOC1224OH)、1,12−オクタ
デカンジオール(HOC1224(OH)C6 13)、ラ
ウリン酸(C1123COOH)、ドデカン二酸(HOO
CC1020COOH)、ラウリン酸イソプロパノールア
ミド(C1123CONHCH2 CH(OH)CH3 )で
は12である。最大炭素鎖長は、室温付近での保存安定
性を確保するには上述したように10以上であることが
必要であり、特に40℃以上での保存安定性を確保する
には20以上であることが好ましい。
【0060】さらに、相分離制御材は以下に示す(b)
〜(e)の条件を満たすことが好ましい。
【0061】(b)高い発色濃度の画像を得るために
は、相分離制御材の総炭素数が36以下、さらには32
以下であることが好ましい。これは相分離制御材の総炭
素数が多くなる(分子サイズが大きくなる)につれて、
特に融点近傍で相分離制御材に対する顕色材(または呈
色性化合物)の溶解度が徐々に低下するためと考えられ
る。なお、発色濃度に影響を及ぼす因子としては、発色
温度や、相分離制御材中に含まれる極性基の種類(カル
ボニル基やカルボキシル基の有無)も挙げられる。
【0062】(c)発色濃度を極端に低下させないため
には、相分離制御材の融点が140℃以下、さらに70
〜120℃であることが好ましい。これは、融点が高い
と、水素結合などによる呈色性化合物と顕色材との相互
作用が熱的に揺らいで発色状態をとる両者の分子ペアの
数が減少することと、相分離制御材に対する可逆材の溶
解度が顕色材(または呈色性化合物)の溶解度よりも高
温側でより急峻に立ち上がるためであると考えられる。
この上限値は、相分離制御材における最大炭素鎖長や含
有極性基の種類や顕色材(または呈色性化合物)の種類
によって多少増減する。
【0063】(d)発色・消色速度を向上させるために
は、相分離制御材の分子量が1000以下であることが
好ましい。これは、相分離制御材の分子量が1000を
超えると、液化しても粘度が高すぎるため顕色材の拡散
速度が大きくならず、しかも相分離制御材に対する顕色
材の溶解性が低下するためである。
【0064】(e)分子中に1個以上のヒドロキシル基
を有する。
【0065】上記のような条件を満たす相分離制御材と
して最大炭素鎖長が20〜36の脂肪族モノアルコール
または脂肪族多価アルコールが挙げられる。
【0066】次いで、本発明の感熱記録媒体において、
保存安定性を維持しながら発色速度を向上できる特に好
適な可逆材および相分離制御材について説明する。
【0067】まず、4成分系の可逆性感熱記録媒体を構
成する相分離制御材として脂肪族モノアルコールを用い
ると、ホットスタンパーを用いて0.1〜0.2秒とい
う短時間のスタンプ時間で発色させることができた。し
かし、相分離制御材として脂肪族モノアルコールを用い
た場合には、発色速度の向上に限界があり、TPHを用
いる場合のように数msの加熱時間では十分な発色濃度
が得られないことが判明した。
【0068】さらに研究を進めた結果、本発明の感熱記
録媒体が発色する過程では、非平衡な非晶質状態の組成
物が構造変化する第1過程と、主成分が拡散する第2過
程とがあることが判明した。この第1過程の構造変化に
は、各成分の分子構造の変化や、非晶質状態の組成物中
での各成分の立体的な配置の変化が含まれる。したがっ
て、発色速度を向上させるためには、第1過程の構造変
化の速度を速めることも重要であることがわかった。す
なわち、相分離制御材は単に顕色材などの拡散速度を増
加させる材料ではなく、構造変化を伴う第1過程を活性
化する材料であることが好ましい。そして、高速な発色
速度を実現する相分離制御材は、両端にOH基を有する
脂肪族多価アルコール、特に最大炭素鎖長が10以上の
直鎖ジオールであることが好ましいことが判明した。こ
の場合、相分離制御材としての直鎖ジオールは、可逆材
としてのステロール化合物と分子構造の類似性を呈し得
ることから、非晶質状態にある組成物の構造変化を活性
化する作用を示すと考えられる。直鎖ジオールの最大炭
素鎖長を10以上と規定したのは、上述したように良好
な保存安定性を得るためである。
【0069】また、このような直鎖ジオールと併用され
る可逆材としては、上述したステロール化合物のうちで
も、特に3位に−OCOCH3 基を有するステロール化
合物が最も好適である。また、3位にOH基を有し、か
つスピロスタン構造(ステロイド骨格の16位および1
7位の炭素が構造式(A)の構造を有する)ステロール
化合物も好適に用いることができる。具体的には、前者
の化合物として5−プレグネン−3β,17−ジオール
−20−オン 3−アセテート、後者の化合物としてロ
コゲニン、チゴゲニン、エスミラゲニン、ヘコゲニン、
ジオスゲニンが挙げられる。
【0070】したがって、本発明において、保存安定性
および発色速度の両者の点で最も良好な性能が得られる
のは、呈色性化合物、フェノール性水酸基を有するベン
ゾフェノン化合物からなる顕色材、3位に−OCOCH
3 基を有するステロール化合物からなる可逆材、最大炭
素鎖長が10以上の直鎖ジオールからなる相分離制御材
を含有する可逆性感熱記録媒体である。ただし以上の説
明からわかるように、本発明においては、呈色性化合
物、顕色材および可逆材の3成分系、呈色性化合物、顕
色材および相分離制御材の3成分系、または呈色性化合
物、顕色材、可逆材および相分離制御材の4成分系に含
有される呈色性化合物、顕色材および相分離制御材のう
ち少なくともいずれかが上述したような好適な材料であ
れば、他の成分は最初に説明した一般的な材料であって
も差し支えない。すなわち、このような成分を含有する
可逆性感熱記録媒体は、保存安定性および発色速度の少
なくともいずれかで、従来の感熱記録媒体よりも優れた
性能を有する。
【0071】次に、本発明に係る可逆性感熱記録媒体に
おいて、呈色性化合物、顕色材、可逆材および相分離制
御材の好ましい配合比について説明する。
【0072】呈色性化合物と顕色材との配合比に関して
は、呈色性化合物1重量部に対し顕色材が0.1〜10
重量部、さらには1〜2重量部であることが好ましい。
この理由は、顕色材が0.1重量部未満だと、記録また
は消去時に呈色性化合物と顕色材との相互作用を充分に
増大させることが困難であり、逆に顕色材が10重量部
を越えると、記録または消去時に呈色性化合物と顕色材
との相互作用を充分に減少させることが困難で、いずれ
の場合もコントラスト比の優れた表示が実現できないお
それがあるからである。
【0073】可逆材の配合比は顕色材1重量部に対し1
〜200重量部、さらには3〜30重量部であることが
好ましい。この理由は、可逆材が1重量部未満では顕色
材を溶解する可逆材の量が不十分なため消色時の残留発
色濃度が高くなり、可逆材が200重量部を越えると発
色時の発色濃度が低下するためである。
【0074】相分離制御材の配合比は顕色材1重量部に
対し1〜50重量部、さらには保存安定性の観点から5
〜20重量部とすることが好ましい。この理由は、相分
離制御材が1重量部未満では発色速度に大きな改善が見
られず、50重量部を越えると組成系のガラス転移点が
低くなりすぎて使用温度下での保存安定性に問題が発生
するからである。
【0075】以下、顕色材に対する可逆材の配合比につ
いてより詳細に説明する。本発明においては、顕色材に
対する可逆材の配合比を、呈色性化合物、顕色材および
可逆材で構成される安定組成物中の顕色材に対する可逆
材の組成比と比較して、15%以上、さらに100%以
上大きくすることが好ましい。
【0076】ここで、呈色性化合物、顕色材および可逆
材からなる安定組成物について図4を参照して説明す
る。呈色性化合物はCVL、顕色材は没食子酸プロピ
ル、可逆材はプレグネノロンである。図4は、呈色性化
合物と顕色材とを同重量とし、可逆材の配合比を顕色材
の1〜12倍まで変えて、発色時と消色時の反射濃度を
調べたものである。図4からわかるように、可逆材の配
合比が顕色材の3倍以下では、急冷・徐冷によらず、室
温において発色状態と消色状態の2状態が存在しなくな
り、薄い発色状態という1つの状態のみが存在するよう
になる。このような薄い発色状態が生じる臨界条件の組
成物を安定組成物と定義する。すなわち、この3成分系
における安定組成物は、顕色材に対して3倍の可逆材が
配合されているものである。なお、安定組成物中の可逆
材の配合比は、可逆材の種類に依存するが、その値が小
さいほど可逆材としての性能が高いといえる。
【0077】この安定組成物の存在を考慮すると、本発
明の可逆性感熱記録媒体における発消色に対しては、安
定組成物からの組成比のずれが影響するものと考えられ
る。このメカニズムについて、図1の原理図に補足を加
える。図1では、室温で発色状態(結晶質)と消色状態
(非晶質)の2状態のみを記載しているが、実際には中
間的な発色濃度を呈する最も安定な第3の状態が存在す
ることが判明している。この最も安定な状態は、組成系
を溶融した後に徐冷して室温に戻すか、ガラス転移点以
上の温度を極めて長い時間(発色に必要な時間より約2
桁長い時間)アニールすることにより得られる。この状
態は、呈色性化合物、顕色材および可逆材の3成分の安
定組成物と余剰の可逆材の結晶を含むものと推定され
る。この状態は、発色状態よりもさらにエネルギー的に
安定になる。また、安定組成物よりも可逆材が少ない組
成物では、呈色性化合物および顕色材の相と安定組成物
の相とが相分離した状態が唯一の状態となり、発色状態
と消色状態は存在しなくなると推定される。そして、こ
の安定組成物からの組成比のずれが、可逆材の結晶化も
しくは非晶質状態からの構造変化の駆動力になり、可逆
性感熱記録媒体の発色速度を支配すると考えられる。
【0078】そこで、顕色材に対する可逆材の配合比率
を変化させた種々の組成物について、TPHを用いて同
一条件で発色させて発色率を測定した結果を図5に示
す。図5から、可逆材の組成が高いほど発色率が高くな
っており、発色感度が高くなっている。流動状態の可逆
材は粘度が高いため顕色材の拡散速度を遅くするので、
可逆材の配合比が多くなるほど発色感度が低下すると予
想される。しかし、図5は、この予想とは逆の結果を示
している。したがって、安定組成物からの組成比のずれ
が、発色速度を支配するという仮説が妥当であることが
わかる。そして、発色速度を高速化するためには、上述
したように具体的には顕色材に対する可逆材の配合比を
安定組成物中の両者の組成比に比較して15%以上、さ
らに100%以上大きくすることが好ましいことがわか
った。なお、可逆材の配合比の上限に関しては、発色時
に十分な発色濃度が得られるという基準が適用される。
【0079】本発明の可逆性感熱記録媒体においては、
呈色性化合物、顕色材、可逆材及び相分離制御材以外の
成分として、着色染料、蛍光染料、紫外線吸収剤、断熱
剤、蓄熱剤などを適宜配合してもよい。このとき、組成
系中に含有される呈色性化合物に応じて着色染料を適宜
選択すれば、発色状態及び消色状態のいずれの場合にお
いてもあらゆる所望の着色状態を得ることが可能とな
る。
【0080】本発明の可逆性感熱記録媒体をバルクの形
態で使用するには、例えば上述した各成分からなる組成
物を無溶媒で融解して混合した後、急冷または自然放冷
して固定する。このとき、融液を鋳型内で成形すれば所
望の形状で得ることができる。また、融液を薄く引き延
ばせば薄膜にすることもできる。一方、組成物を適当な
溶媒に溶解させキャストすることにより薄膜にすること
もできる。このようにして形成される薄膜の膜厚は0.
5〜100μm、さらには1.5〜20μmであること
が好ましい。薄膜の膜厚が薄すぎると、得られる感熱記
録媒体において発色状態での発色濃度が不十分となるお
それがある。逆に薄膜の膜厚が厚すぎると、記録・消去
時に大きな熱エネルギーが必要となって高速での記録・
消去を行なうことが困難になる。また、膜厚が厚すぎる
と、表面からの加熱により膜厚方向に温度差が発生し、
均一な発色状態および消色状態を得ることが困難にな
る。均一かつ高速に記録・消去を実現するためには、ホ
ットスタンパー加熱では膜厚100μm、TPHまたは
レーザー加熱では膜厚20μmがほぼ限界である。
【0081】本発明において、呈色性化合物、顕色材、
可逆材および相分離制御材のみで薄膜を構成した場合、
各成分が低分子化合物であるため、熱を繰り返し与える
と再結晶化により薄膜に欠陥が発生しやすく、記録媒体
として使用することが困難になる。そこで、感熱記録媒
体の強度向上の観点から、記録材料としての組成物を適
当な媒質に担持させてもよい。具体的には、ポリマーシ
ートへの含浸、バインダーポリマー中への分散、無機ガ
ラス中への分散、多孔質基材への含浸、層状物質へのイ
ンターカレーション、マイクロカプセル化が挙げられ
る。
【0082】具体的にポリマーシートに組成物を含浸さ
せるには、組成物を保持できる十分な空間を有するポリ
マーシートを用い、組成物を無溶媒で融解させた融液か
適切な溶媒に溶解した溶液を含浸させる。このとき用い
られるポリマーは、感熱記録媒体の表面の均一性を考慮
すると、組成物の融液あるいは溶液との濡れ性が高いほ
どよい。具体例としてはポリエーテルエーテルケトン
類;ポリカーボネート類;ポリアリレート類;ポリスル
フォン類;四フッ化エチレン樹脂類;四フッ化エチレン
・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、四フッ化
エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、
四フッ化エチレン・エチレン共重合体などの四フッ化エ
チレン共重合体;三フッ化塩化エチレン樹脂類;フッ化
ビニリデン樹脂類;含フッ素ポリベンゾオキサゾール
類;ポリプロピレン類;ポリビニルアルコール類;ポリ
塩化ビニリデン類;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブリレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートな
どのポリエステル類;ポリスチレン類;ナイロン66な
どのポリアミド類;ポリイミド類;ポリイミドアミド
類;ポリエーテルスルフォン類;ポリメチルペンテン
類;ポリエーテルイミド類;ポリウレタン類;ポリブタ
ジエン類;メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸
セルロール、ニトロセルロースなどのセルロース類;ゼ
ラチン;アラビアゴム;中性紙、酸性紙などの各種紙類
が挙げられる。特にセルロース類及び中性紙は、組成物
の融液あるいは溶液が浸透しやすく、かつ得られる感熱
記録媒体の発色濃度が高く消色濃度が低くなる点で好ま
しい。
【0083】バインダーポリマー中に組成物を分散させ
る場合には、組成物の融液あるいは溶液を調製し、必要
に応じてその他の成分を添加し、バインダーポリマーと
ともに各種分散法で分散させる。得られた生成物を適当
な基材上に塗布してもよい。バインダーポリマーとして
は、ポリエチレン類;塩素化ポリエチレン類;エチレン
・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マ
レイン酸共重合体などのエチレン共重合体;ポリブタジ
エン類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエ
ステル類;ポリプロピレン類;ポリイソブチレン類;ポ
リ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニ
ル類;ポリビニルアルコール類;ポリビニルアセタール
類;ポリビニルブチラール類;四フッ化エチレン樹脂
類;三フッ化塩化エチレン樹脂類;フッ化エチレン・プ
ロピレン樹脂類;フッ化ビニリデン樹脂類;フッ化ビニ
ル樹脂類;四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシ
エチレン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六
フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン・エチレ
ン共重合体などの四フッ化エチレン共重合体;含フッ素
ポリベンゾオキサゾールなどのフッ素樹脂類;アクリル
樹脂類;ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル樹脂
類;ポリアクリロニトリル類;アクリロニトリル・ブタ
ジエン・スチレン共重合体などのアクリロニトリル共重
合体;ポリスチレン類;ハロゲン化ポリスチレン類;ス
チレン・メタクリル酸共重合体、スチレン・アクリロニ
トリル共重合体などのスチレン共重合体;アセタール樹
脂類;ナイロン66などのポリアミド類;ゼラチン;ア
ラビアゴム;ポリカーボネート類;ポリエステルカーボ
ネート類;セルロース系樹脂類;フェノール樹脂類;ユ
リア樹脂類;エポキシ樹脂類;不飽和ポリエステル樹脂
類;アルキド樹脂類;メラミン樹脂類;ポリウレタン
類;ジアリールフタレート樹脂類;ポリフェニレンオキ
サイド類;ポリフェニレンスルフィド類;ポリスルフォ
ン類;ポリフェニルサルフォン類;シリコーン樹脂類;
ポリイミド類;ビスマレイミド樹脂類;トリアジン樹脂
類;ポリイミドアミド類;ポリエーテルスルフォン類;
ポリメチルペンテン類;ポリエーテルエーテルケトン
類;ポリエーテルイミド類;ポリビニルカルバゾール
類;ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン類などの熱可
塑性樹脂を用いることができる。
【0084】上記の分散法としては、ミキサー法、サン
ドミル法、ボールミル法、インペラーミル法、コロイド
ミル法、3本ロールミル法、ニーダー法、2本ロール
法、バンバリーミキサー法、ホモゲナイザー法、ナノマ
イザー法を挙げることができる。これらの分散法は、融
液あるいは溶液の粘度や感熱記録媒体の用途、形態に応
じて適宜選択すればよい。さらに基材上への塗布法につ
いては、スピン塗布法、引上げ塗布法、エアドクター塗
布法、ブレード塗布法、ロッド塗布法、ナイフ塗布法、
スクイズ塗布法、含浸塗布法、リバースロール塗布法、
トランスファー塗布法、グラビア塗布法、キスロール塗
布法、キャスト塗布法、スプレー塗布法、カーテン塗布
法、カレンダー塗布法、押し出し塗布法、静電塗布法を
利用することができる。これらの塗布法も、感熱記録媒
体の用途、形態に応じて適宜選択することができる。
【0085】本発明において、記録材料となる組成物を
バインダーポリマー中に分散させる場合、バインダーポ
リマーの配合比が可逆材1重量部当り0.01〜100
重量部、さらには0.05〜20重量部となるように設
定することが好ましい。これは、バインダーポリマーが
0.01重量部未満では感熱記録媒体の強度向上が小さ
く、100重量部を越えると発色時の発色濃度が低下す
る傾向があるからである。
【0086】本発明において、記録材料となる組成物を
無機ガラスに担持させる場合、いわゆるゾル−ゲル法で
作製できる無機ガラスを用いることが好ましい。その際
ゲル化温度があまり高くないことが望ましい。また、多
孔質基材としては各種無機化合物、層状物質としては雲
母、粘土鉱物、滑石、緑石が例示される。
【0087】シェル被膜の内部に組成物を包み込んだマ
イクロカプセルを作製するには、界面重合法、in−s
itu重合法、液中硬化被覆法、水溶液系からの相分離
法、有機溶液系からの相分離法、融解分散冷却法、気中
懸濁法、スプレードライング法を用いることができる。
これらの方法は、感熱記録媒体の用途、形態に応じて適
宜選択することができる。マイクロカプセルのシェル被
膜としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、
フェノール樹脂、フラン樹脂などの縮合系ポリマー;ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、メチルメタクリレ
ート−ビニルアクリレート共重合体などの三次元架橋ビ
ニルポリマーなどの熱硬化性樹脂や、組成物を分散させ
るバインダーポリマーとして例示した熱可塑性樹脂を適
宜用いることができる。また、上記の熱硬化性樹脂及び
熱可塑性樹脂から選択される2種以上用いて、多層のシ
ェル被膜を形成してもよい。この場合、マイクロカプセ
ルの熱安定性を向上させる観点から、シェル被膜の最外
殻には熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、こ
うして得られたマイクロカプセルをバインダーポリマー
や無機ガラスに分散させてもよい。この場合、組成物自
体は媒質への分散性が十分でない場合でも、マイクロカ
プセルを形成して分散させれば良好な分散状態を得るこ
とができる。
【0088】本発明の感熱記録媒体の使用形態は特に限
定されず、バルクとして使用してもよいし、上述したよ
うな各種の媒質や繊維と複合化した形態で使用してもよ
く、さらに適当な基材上に組成物の薄膜からなる記録層
を形成した形態で使用してもよい。このような基材とし
ては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラ
スチックフィルム、プラスチック板、金属板、半導体基
板、ガラス板、木板、紙、OHPシートを用いることが
できる。また、マイクロカプセルを調製した後、塗料や
インクとして基材上に塗布し、この後必要に応じ乾燥さ
せて使用してもよい。この場合、マイクロカプセル毎に
異種の呈色性化合物を用いることによりカラー対応が容
易である。また、異種の呈色性化合物を含有しかつ結晶
化温度Tcや融点Tmが互いに異なる異種の組成物を包
み込んだ複数種のマイクロカプセルや、非平衡状態が着
色状態か無色状態か異なる複数種のマイクロカプセルを
用意し、これらを所望の配合比で混合して用いれば、供
給する熱エネルギーの大きさで着色状態を制御すること
ができる。したがって、例えばシアン、マゼンタ、イエ
ロー各色の呈色性化合物によるフルカラー対応も可能で
ある。
【0089】また本発明の感熱記録媒体においては、組
成物の薄膜からなる記録層の耐久性の向上や、記録層に
熱エネルギーを供給するためのサーマルプリンターヘッ
ド(TPH)へのスティッキング防止の観点から、記録
層上に保護層を設けてもよい。保護層の材料としては、
ワックス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹
脂、水溶性樹脂、ラテックスが挙げられる。保護層の厚
さは0.1〜100μm程度とすることが好ましい。さ
らに、このような保護層中に、熱離型剤、滑材、耐熱
材、帯電防止材を適宜配合してもよい。具体的には、上
述したような成分を溶媒中に溶解あるいは分散させた溶
液を記録層の上に塗布した後、乾燥させることにより保
護層を形成することができる。また、予め接着剤を塗布
した耐熱性フィルムをドライラミネート法で記録層に接
着させて保護層を形成してもよい。一方、基材と記録層
との密着性向上、耐溶剤性向上を図るために、基材と記
録層との間に下引き層を設けてもよい。
【0090】上記の耐熱性フィルムは、記録材料となる
組成物の融点以上の熱変形温度を有するものであれば特
に限定されない。例えばポリエーテルエーテルケトン
類;ポリカーボネート類;ポリアリレート類;ポリスル
フォン類;四フッ化エチレン樹脂類;四フッ化エチレン
・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、四フッ化
エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、
四フッ化エチレン・エチレン共重合体などの四フッ化エ
チレン共重合体;三フッ化塩化エチレン樹脂類;フッ化
ビニリデン樹脂類;含フッ素ポリベンゾオキサゾール
類;ポリプロピレン類;ポリビニルアルコール類;ポリ
塩化ビニリデン類;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートな
どのポリエステル類;ポリスチレン類;ナイロン66な
どのポリアミド類;ポリイミド類;ポリイミドアミド
類;ポリエーテルスルフォン類;ポリメチルペンテン
類;ポリエーテルイミド類;ポリウレタン類;ポリブタ
ジエン類などの高分子化合物のシートを用いることがで
きる。これらは、熱源や感熱記録媒体の用途、形態に応
じて適宜選択して使用することができる。また、接着剤
としては、ドライラミネート法で一般的に用いられるア
クリル樹脂類;フェノキシ樹脂類;アイオノマー樹脂
類;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリ
ル酸・無水マレイン酸共重合体などのエチレン共重合
体;ポリビニルエーテル類;ポリビニルホルマール類;
ポリビニルブチラール類;ゼラチン;アラビアゴム;ポ
リエステル類;ポリスチレン類;スチレン・アクリル酸
共重合体などのスチレン共重合体;酢酸ビニル樹脂類;
ポリウレタン類;キシレン樹脂類;エポキシ樹脂類;フ
ェノール樹脂類;尿素樹脂類が例示される。
【0091】本発明の感熱記録媒体において、結晶質−
非晶質転移あるいは相分離状態の変化に基づく記録・消
去を行なうためには、上述した通り互いに大きさの異な
る2値の熱エネルギーを供給するか、あるいは融点Tm
以上に加熱した後の冷却速度が互いに異なる2種の熱履
歴を供給する。
【0092】記録時に熱エネルギーを供給するには、T
PHやレーザーなどの熱源を用いることが好ましい。こ
のうちTPHは、分解能はさほど大きくないが、感熱記
録媒体を大面積にわたって加熱することができ、かつ装
置の小型化の上で有利である。一方、レーザー光は、ス
ポット径を小径化することにより高密度記録への対応が
容易であり、さらに記録・消去速度を高速化できる点で
好ましい。ただし、レーザー光を使用する場合、透光性
の良好な非晶質の組成物に対してもレーザー光を効率よ
く吸収させるために、レーザー光の波長に吸収帯を有す
る光吸収層を設けるか、あるいは組成物中にレーザー光
の波長に吸収帯を有する化合物を配合することが望まし
い。消去時に熱エネルギーを供給するには、感熱記録媒
体全体を一度に加熱できるホットスタンパーや熱ロール
などの熱源を用いることが好ましい。加熱された感熱記
録媒体を冷却する際には、自然放冷してもよいが、冷ス
タンパー、冷ロール、冷気流またはペルチェ素子を使用
して急冷することが好ましい。さらに本発明の感熱記録
媒体では、エネルギーの異なる複数のTPHあるいはス
ポット径の異なる複数のレーザー光を使用することによ
り、オーバーライト記録を実現することもできる。
【0093】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0094】参考例1 呈色性化合物としてクリスタルバイオレットラクトン
1.0重量部、顕色材として2,4,4’−トリヒドロ
キシベンゾフェノン(表1のNo.3)1.0重量部、
可逆材としてプレグネノロン10.0重量部をそれぞれ
配合した後、加熱溶融して均一な組成物とした。この組
成物のガラス転移温度Tg、結晶化温度Tc、融点Tm
はそれぞれ43.1℃、71.6℃、182.1℃であ
った。熱板上にガラス板を置き、その上に得られた組成
物を載せて溶融させ、この融液にもう1枚のガラス板を
接触させて融液を広げた。こうして、2枚のガラス板の
間に組成物を挟み込んだ試料を作製し、保存安定性の試
験に用いた。この試料を、熱板上において190℃以上
まで加熱した後、室温に急冷すると、組成物は白色の消
色状態となった。この試料を熱板上で60〜80℃に加
熱したところ、青色の発色が生じ、この後室温まで放冷
しても青色の発色状態に変化はなかった。
【0095】なお、この試料について、発色が生じる過
程における波長610nmの光の光透過率の時間変化を
測定した。この測定から、発色過程において組成物の相
分離状態に変化が生じていることを確認した。
【0096】上記の試料を再び190℃まで加熱した
後、室温に急冷して組成物を白色の消色状態に戻した。
この試料を40℃で放置し、波長610nmの光に対す
る反射濃度の経時変化を調べた。この結果、試料の反射
濃度は、発色時の飽和反射濃度を100%として、5時
間後で約4%、50時間で約17%となり、消色状態の
保存安定性が良好であることがわかった。
【0097】一方、上記の組成物を耐熱性の紙に含浸さ
せた別の試料を用意し、波長610nmの光の反射率か
ら発色部と消色部のコントラスト比を求めた。その結
果、コントラスト比は26と非常に高い値を示した。ま
た、発色・消色を繰り返してコントラスト比を測定した
ところ、コントラスト比が半減するまでの繰り返し回数
は500回以上であった。
【0098】さらに、上記の組成物12重量部とバイン
ダーポリマーとしてスチレン・メタクリル酸共重合体
(大日本インキ製、A91P)2重量部とを10wt%
シクロヘキサノン−トルエン混合溶媒に加え、ボールミ
ルを用いて十分に混合し、均一な溶液を調製した。この
溶液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に塗布した後、乾燥させ、膜厚10μmの記録
層を形成した。一方、厚さ3.5μmのポリエーテルエ
ーテルケトンフィルムの表面に厚さ0.1μmのシリコ
ーン系滑性層、裏面に厚さ0.1μmのスチレン・メタ
クリル酸共重合体層をそれぞれ設けた保護層を用意し
た。上記の記録層上に、この保護層をスチレン・メタク
リル酸共重合体層側からドライラミネート法で接着させ
て本発明の感熱記録媒体を得た。
【0099】この感熱記録媒体の全面を青色の発色状態
にした。この感熱記録媒体に対し、TPHを使用し、印
加電圧15〜17V、パルス幅5.2msecで加熱印
字を実施した。その結果、印字部のみが無色透明の消色
状態となり記録を行なうことができた。また、ホットス
タンパーまたは熱ロールを使用して感熱記録媒体を13
0℃程度に加熱したところ、印字部が青色の発色状態に
戻り消去が行なわれることが確認された。なお、バイン
ダーポリマーであるスチレン・メタクリル酸共重合体の
配合量を4重量部として作製された感熱記録媒体でも、
上記と全く同様な結果が得られた。
【0100】参考例2 バインダーポリマーとしてポリスチレン4重量部を用い
た以外は参考例1と全く同様にして、本発明の感熱記録
媒体を得た。この感熱記録媒体の全面を青色の発色状態
にした。この感熱記録媒体に対し、TPHを使用し、印
加電圧15〜17V、パルス幅5.2msecで加熱印
字を実施した。その結果、記録層の印字部のみが無色透
明の消色状態となり記録を行なうことができた。また、
この感熱記録媒体をホットスタンパーあるいは熱ロール
を使用して130℃程度に加熱したところ、印字部が青
色の発色状態に戻り、消去が行なわれることが確認され
た。
【0101】参考例3 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、2,2’,4,4’−テトラヒドロキ
シベンゾフェノン(表1のNo.4)を用いた以外は
考例1と同様にして、保存安定性を試験するための試料
を作製した。なお、本実施例の組成物のガラス転移温度
Tg、結晶化温度Tc、融点Tmは、それぞれ42.8
℃、70.3℃、180.3℃であった。この試料は、
参考例1の試料と同様の発色・消色の挙動を示した。
【0102】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べた。こ
の結果、試料の反射濃度は、5時間後で約4%、50時
間で約15%となり、消色状態の保存安定性が良好であ
ることがわかった。また、発色部と消色部のコントラス
ト比は26であり、コントラスト比が半減するまでの発
色・消色の繰り返し回数は500回以上であった。
【0103】参考例4 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン(表1のNo.5)を用いた以外は参考
例1と同様にして、保存安定性を試験するための試料を
作製した。なお、本実施例の組成物のガラス転移温度T
g、結晶化温度Tc、融点Tmはそれぞれ47.3℃、
74.7℃、185.3℃であった。この試料は、参考
例1の試料と同様の発色・消色の挙動を示した。
【0104】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、5時間後でも50時間後でもほぼ0%であった。さ
らに、60℃で放置した場合でも、反射濃度は5時間後
で約11%であった。このように、本実施例の試料は著
しく良好な保存安定性を有していた。また、発色部と消
色部のコントラスト比は24であり、コントラスト比が
半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は500回以
上であった。
【0105】参考例5 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフ
ェノン(表1のNo.2)を用いた以外は参考例1と同
様にして、保存安定性を試験するための試料を作製し
た。この試料は、参考例1の試料と同様の発色・消色の
挙動を示した。
【0106】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、反射濃度は5時間後でほぼ0%、50時間で約8%
であり、良好な保存安定性を有していた。また、発色部
と消色部のコントラスト比は20であり、コントラスト
比が半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は500
回以上であった。
【0107】参考例6 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン(表1のNo.1)を用いた以外は参考例1と同様に
して、保存安定性を試験するための試料を作製した。な
お、本実施例の組成物のガラス転移温度Tg、結晶化温
度Tc、融点Tmはそれぞれ43.0℃、72.1℃、
181.3℃であった。この試料は、参考例1の試料と
同様の発色・消色の挙動を示した。
【0108】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、反射濃度は5時間後で約9%、50時間で約17%
であり、良好な保存安定性を有していた。また、発色部
と消色部のコントラスト比は25であり、コントラスト
比が半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は500
回以上であった。
【0109】参考例7 可逆材としてプレグネノロンの代わりにスチグマステロ
ールを用いた以外は参考例1と全く同様にして、保存安
定性を試験するための試料を作製した。この試料は、
考例1の試料と同様の発色・消色の挙動を示した。
【0110】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、反射濃度は5時間後で約9%、50時間で約15%
となり、良好な保存安定性を有していた。また、発色部
と消色部のコントラスト比は29であり、コントラスト
比が半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は500
回以上であった。
【0111】参考例8 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン(表1のNo.5)を用いた以外は参考
例7と全く同様にして、保存安定性を試験するための試
料を作製した。この試料は、参考例1の試料と同様の発
色・消色の挙動を示した。
【0112】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、反射濃度は5時間後で約4%、50時間で約5%と
なり、非常に良好な保存安定性を有していた。また、発
色部と消色部のコントラスト比は24であり、コントラ
スト比が半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は5
00回以上であった。
【0113】参考例9 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、3,5−ジメチル−2,3,4,4’
−テトラヒドロキシベンゾフェノン(表1のNo.2
1)を用いた以外は参考例1と全く同様にして、保存安
定性を試験するための試料を作製した。この試料は、
考例1の試料と同様の発色・消色の挙動を示した。
【0114】この試料について参考例1と全く同様に4
0℃で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたとこ
ろ、反射濃度は5時間後で約4%、50時間で約18%
となり、良好な保存安定性を有していた。また、発色部
と消色部のコントラスト比は24であり、コントラスト
比が半減するまでの発色・消色の繰り返し回数は500
回以上であった。
【0115】比較例1 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、没食酸プロピルを用いた以外は参考例
と全く同様にして、保存安定性を試験するための試料
を作製した。この試料は、参考例1の試料と同様の発色
・消色の挙動を示した。
【0116】この試料については、発色部と消色部のコ
ントラスト比は28と高い値を示した。しかし、40℃
で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたところ、
反射濃度は5時間後で約82%、50時間で約92%と
なり、保存安定性に劣ることがわかった。
【0117】比較例2 顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェ
ノンの代わりに、ビスフェノールAを用いた以外は参考
例1と全く同様にして、保存安定性を試験するための試
料を作製した。この組成物は、参考例1の試料と同様の
発色・消色の挙動を示した。
【0118】この試料については、発色部と消色部のコ
ントラスト比は18と高い値を示した。しかし、40℃
で放置したときの反射濃度の経時変化を調べたところ、
反射濃度は5時間後で約85%、50時間で約95%と
なり、保存安定性に劣ることがわかった。
【0119】実施例1 呈色性化合物としてクリスタルバイオレットラクトン1
重量部、顕色材として没食子酸プロピル1重量部、およ
び下記表2に示す種々の可逆材10重量部を配合した
後、加熱して溶融混合し、均一な組成物とした。表2に
は各可逆材の分子構造の特徴およびガラス転移点をまと
めて示す。表2に示されるように、「化1」で表される
可逆材のガラス転移点は、参照例として掲載したメチル
アンドロステンジオールのそれと同等かそれ以上であ
る。
【0120】
【表2】
【0121】熱板上にガラス板を置き、その上に得られ
た各組成物を載せて溶融させ、この融液にもう1枚のガ
ラス板を接触させて融液を広げた。こうして、2枚のガ
ラス板の間に組成物を約5μm厚さになるように挟み込
んだ試料を作製し、保存安定性の試験に用いた。
【0122】図6に、得られた各試料についての高温環
境下における保存安定性を示す。この試験では、試料を
消色状態にし、所定の条件で熱処理した後に発色率(熱
処理後の発色部の反射濃度の飽和反射濃度に対する比
率)を測定した。図6において、縦軸は発色率、横軸は
熱処理条件である。この図からわかるように、可逆材と
してメチルアンドロステンジオールを用いた場合には、
90℃で1.5時間の熱処理が画像を維持できる限界で
あり、100℃で1時間の熱処理ではほぼ完全に画像が
消失している。これに対して、「化1」で表される可逆
材を用いた試料はいずれも、メチルアンドロステンジオ
ールを用いた試料よりも保存安定性が優れていることが
わかる。特に、可逆材としてロコゲニンを用いた場合に
は120℃、1時間の高温環境でも画像を維持できた。
【0123】実施例2 呈色性化合物としてクリスタルバイオレットラクトン1
重量部、顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシベ
ンゾフェノン1重量部、可逆材としてヘケゴニン5重量
部、相分離制御材として1−テトラコサノール15重量
部を配合した後、加熱して溶融混合し、均一な組成物と
した。また、参照例として可逆材にメチルアンドロステ
ンジオールを用いた以外は上記と同様にして組成物を調
製した。
【0124】上記と同様にして保存安定性を試験するた
めの試料を作製して40℃で保存し、保存時間とそれに
対応する発色率を調べた結果を図7に示す。この図か
ら、可逆材としてヘケゴニンを用いた試料は、メチルア
ンドロステンジオールを用いた試料よりも保存安定性に
非常に優れていることがわかる。
【0125】さらに、これらの組成物を、それぞれ熱板
上で加熱し、中性紙(大昭和製紙製SZ原紙、厚さ25
μm)に含浸させた。次に、熱板上で組成物が溶融する
まで加熱した後、室温まで冷却することにより白色の消
色状態にした。続いて中性紙上に膜厚5μmのPETフ
ィルムからなる保護膜を形成し、発色速度を試験するた
めの試料を作製した。これらの試料について、ホットス
タンパーを用い、150℃の発色設定温度で書込みを行
い、飽和反射濃度に至るまでの時間を評価した。その結
果、いずれの試料においても0.2秒で飽和反射濃度に
達し、発色速度が十分に速いことが確認された。
【0126】参考例12 呈色性化合物としてクリスタルバイオレットラクトン1
重量部、顕色材として没食子酸プロピル1重量部、可逆
材としてプレグネノロン5重量部、および下記表3に示
す種々の相分離制御材5重量部を配合した後、加熱して
溶融混合し、均一な組成物とした。
【0127】保存安定性を試験するために、上記と同様
にして得られた各組成物を約5μm厚さになるように2
枚のガラス板の間に挟み込んで試料を作製した。また、
得られた各組成物を中性紙(大昭和製紙製SZ原紙、厚
さ25μm)に含浸させ、その上に5.7μmのPET
フィルムをラミネートして、発色濃度(発色時の反射濃
度)を測定するための試料を作製した。
【0128】まず、保存安定性試験用の試料を40℃で
保存し、発色率が10%に達するまでの時間を調べた。
図8に相分離制御材の融点と10%発色率に達するまで
の時間の対数との関係を示す。4成分系の動作原理から
判断して、保存安定性の向上には相分離制御材の融点が
高いほど有効であることが予想される。しかし、図8に
よれば、相分離制御材の融点と記録媒体の保存安定性と
の間に強い相関があるとはいえない。
【0129】そこで、相分離制御材の最大炭素鎖長と1
0%発色率に達するまでの時間の対数との関係を相分離
制御材の融点をパラメータとしてまとめた結果を図9に
示す。また、図9に掲載した11種の相分離制御材につ
いて、それぞれの融点と最大炭素鎖長を下記表3に示
す。図9から、相分離制御材の融点が同等ならば相分離
制御材の最大炭素鎖長が大きいほど、組成系の保存安定
性が向上することがわかる。
【0130】
【表3】
【0131】なお、顕色材として没食子酸プロピルの代
わりにヒドロキシベンゾフェノン類を用いた場合にも、
相分離制御材の最大炭素鎖長が保存安定性に与える効果
は上記と同様の傾向を示す。ただし、ヒドロキシベンゾ
フェノン類は没食子酸プロピルよりも融点が高く、記録
媒体の保存安定性を向上させるのにより有効である。こ
のため、顕色材として没食子酸プロピルを用いた場合よ
りもヒドロキシベンゾフェノン類を用いた場合の方が、
同程度の保存安定性を与えるのに必要な相分離制御材の
最大炭素鎖長は短くてよい。
【0132】次に、上記で得られた各発色濃度測定用の
試料を発色させて発色濃度を測定した。これらの測定で
は、発色温度を使用した相分離制御材の融点より5℃高
い温度に設定した。
【0133】相分離制御材の総炭素数と発色濃度との関
係をまとめた結果を図10に示す。この図から判断し
て、高い発色濃度を得るためには、相分離制御材の総炭
素数が32以下であることが望ましい。ただし、相分離
制御材の好適な総炭素数は、顕色材の種類および各成分
の組成比に応じて多少増減する。
【0134】また、相分離制御材の融点と発色濃度との
関係をまとめた結果を図11に示す。この図では総炭素
数が30以下の相分離制御材を含有する記録媒体につい
ての結果を示している。この図からわかるように、融点
が120℃以上の相分離制御材を用いた記録媒体では発
色濃度が極端に低下している。
【0135】参考例13 呈色性化合物としてクリスタルバイオレットラクトン1
重量部、顕色材として2,2’,4,4’−テトラヒド
ロキシベンゾフェノン1重量部、可逆材としてプレグネ
ノロン5重量部、相分離制御材として1−ドコサノール
3〜30重量部を配合した後、加熱し、溶融混合して均
一な組成物とした。
【0136】上記と同様にして保存安定性を試験するた
めの試料を作製し、40℃で保存して発色し始めるまで
の時間を調べた。顕色材1重量部当りの1−ドコサノー
ルの配合比(重量部)と発色開始時間との関係を図12
に示す。この図から、本実施例の組成系では、相分離制
御材の配合比が7.5重量部近傍で保存安定性が最も良
好であり、適正な配合比の範囲は5〜15重量部である
ことがわかる。
【0137】参考例14 下記表4および表5に示すように種々の呈色性化合物、
顕色材、可逆材および相分離制御材を配合した後、加熱
して溶融混合し、均一な組成物とした。
【0138】保存安定性を試験するために、上記と同様
にして得られた各組成物を約5μm厚さになるように2
枚のガラス板の間に挟み込んで試料を作製した。40℃
で保存安定性試験を行い、所定時間経過後の発色率を調
べた。また、発色(および消色)速度を測定するため
に、得られた各組成物を中性紙(大昭和製紙製SZ原
紙、厚さ25μm)に含浸させ、その上に5.7μmの
PETフィルムをラミネートしたサンプルを作製した。
発消色速度は、ホットスタンパー(100〜150℃)
を使用して、スタンプ時間と発色率との関係から見積も
って評価した。なお、各試験はいずれも複数回実施し
た。これらの結果を表4および表5に併記する。
【0139】これらの表からわかるように、いずれの記
録媒体も、発消色時間が短く、かつ40℃保存安定性も
良好であり、十分実用的な性能を有するものであった。
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】参考例15 参考例14−6 の組成物を熱板上で加熱し、中性紙(大
昭和製紙製SZ原紙、厚さ25μm)に含浸させた。こ
のようにして得られた記録媒体膜を、熱板上で加熱して
溶融した後、室温まで冷却して白色の消色状態にした。
次に、熱板上で90℃に加熱すると、薄い青色の発色状
態になり、その後室温まで放冷すると濃い発色状態にな
った。次いで、両面に光硬化性シリコーン樹脂を塗布
し、光硬化させて膜厚1μmの保護膜を形成した。
【0143】この試料について、ホットスタンパーを用
いて消色温度を180℃、発色温度を100℃に設定し
たところ、0.3秒以下で発色・消色を繰り返すことが
できた。さらに、同様の記録・消去を繰り返したとこ
ろ、コントラスト比が半減するまでに100サイクル以
上必要であった。
【0144】実施例3 呈色性化合物としてETAC1重量部、顕色材として
2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン1重量
部、可逆材としてヘコゲニン5重量部、相分離制御材と
して1,12−ドデカンジオール(融点82℃)5重量
部、およびバインダーポリマーとしてポリトリブロモス
チレン3重量部を、トルエンとシクロヘキサノンとの混
合溶媒に溶解した。この溶液を基板上に塗布して、7μ
m厚さの記録層を形成した。この記録層上に、膜厚3.
5μmのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)保護
膜をラミネートして感熱記録媒体を作製した。
【0145】この感熱記録媒体について、TPHで発色
・消色を評価した。この際、以下のような評価方法を採
用した。まず、ホットスタンパーを用いて記録媒体の全
面を消色状態にした後、全面をTPHで順次加熱して発
色させた。次に、一部を所定のパターンとなるようにT
PHで消色させて記録した。このときの消色条件は、記
録速度10ms/L、デューティ50%に固定し、消色
に必要十分な電圧を印加した。次いで、この消色パター
ンのみをTPHで再度発色させた。このときの発色条件
は、記録速度20ms/L、デューティ70%に固定
し、印加電圧を変化させて発色する範囲を調べた。
【0146】この実験結果を図13にまとめて示す。図
13において、上の曲線は消色状態から発色させたバッ
クグラウンドの反射濃度の電圧依存性を示し、下の曲線
は発色後の消色パターンを再び発色させた時の反射濃度
の電圧依存性を示す。この図に示されるように、印加電
圧が9.5〜11Vの範囲では、発色したバックグラウ
ンドの反射濃度と、消色パターンを発色させた反射濃度
とがほぼ一致し、事実上消色パターンを消去できてい
る。このことから、TPHによるオーバーライトが可能
になることがわかる。
【0147】比較のために、呈色性化合物としてCVL
1重量部、顕色材として2,4,4’−トリヒドロキシ
ベンゾフェノン1重量部、可逆材としてメチルアンドロ
ステンジオール5重量部、相分離制御材として1−テト
ラコサノール5重量部、およびバインダーポリマーとし
てスチレン・メタクリル酸共重合体3重量部を用いた以
外は、上記と同様にして感熱記録媒体を作製し、上記と
同様の評価を行った結果を図14に示す。この場合、印
加電圧7.5〜10.5Vの全範囲で、消色パターンを
TPHにより加熱してもほとんど発色せず、発色バック
グラウンドとの濃度差が大きい。したがって、消色パタ
ーンが残像となるため、オーバーライトができないこと
がわかる。
【0148】なお、上記の試験において、TPHにより
発色させたバックグラウンドの反射濃度は、ホットスタ
ンパー(スタンプ時間0.2秒)により発色させた場合
の反射に対して、90%以下にとどまる。すなわち、一
般的に比較的低温での熱処理を長時間維持することによ
り発色させた場合ほど飽和反射濃度が大きい。そこで、
TPHによる発色濃度を、ホットスタンパーによる発色
濃度で規格化して、TPHによる発色感度を評価した。
計算された規格化発色率は実施例3で70%、比較例で
8%であった。
【0149】実施例4 表6〜表8に種々の組成系の規格化発色率をまとめて示
す。なお、これらの表においては、呈色性化合物の名称
をCAS No.で表記した。表6〜表8に記載したい
ずれの組成系でも、記録速度20ms/Lでの規格化発
色率は60〜90%であった。
【0150】
【表6】
【0151】
【表7】
【0152】
【表8】
【0153】実施例5 呈色性化合物として3−(4−ジエチルアミノ−2−エ
トキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイン
ドール−3−イル)−4−アザフタライド1重量部、顕
色材として2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノ
ン1重量部、可逆材として5−プレグネン−3β,17
−ジオール−20−オン−3−アセテート7重量部、相
分離制御材として1,12−ドデカンジオール(融点8
2℃)3重量部、バインダーポリマーとしてポリトリブ
ロモスチレン3重量部をトルエンとシクロヘキサノンと
の混合溶液に溶解した。この溶液を基板上に塗布して厚
さ約7μmの記録層を形成した。この記録層上に膜厚
3.5μmのPEEK保護膜をラミネートして感熱記録
媒体を作製した。
【0154】得られた感熱記録媒体について、実施例3
と同様にしてTPHによる発色・消色を評価した。この
とき消色条件は、記録速度3ms/L、デューティ50
%に固定し、消色に必要十分な電圧を印加した。また、
発色条件は、記録速度3ms/L、デューティ70%に
固定し、印加電圧を変化させて発色する範囲を調べた。
この試験結果を図15に示す。この組成系では、記録速
度が3ms/Lと高速であるにもかかわらず規格化発色
率90%以上を達成でき、TPHによる高速応答性を確
認できた。
【0155】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、単
一の加熱デバイスで記録・消去が可能で発色・消色のい
ずれの速度も速く、かつ保存安定性の良好な可逆性感熱
記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る呈色性化合物、顕色材および可
逆材からなる3成分系の可逆性感熱記録媒体の動作原理
を示す図。
【図2】 本発明に係る呈色性化合物、顕色材および可
逆材からなる3成分系の可逆性感熱記録媒体の熱特性を
示す図。
【図3】 本発明に係る呈色性化合物、顕色材、可逆材
および相分離制御材からなる4成分系の可逆性感熱記録
媒体の動作原理を示す図。
【図4】 安定組成物を説明する図。
【図5】 顕色材に対する可逆材の配合比と最大発色率
との関係を示す図。
【図6】 本発明の実施例1における可逆性感熱記録媒
体について熱処理条件と発色率との関係を示す図。
【図7】 本発明の実施例2における可逆性感熱記録媒
体について40℃での保存時間と発色率との関係を示す
図。
【図8】 参考例12における可逆性感熱記録媒体につ
いて相分離制御材の融点と40℃で保存したときの10
%発色時間との関係を示す図。
【図9】 参考例12における可逆性感熱記録媒体につ
いて相分離制御材の最大炭素鎖長と40℃で保存したと
きの10%発色時間との関係を相分離制御材の融点をパ
ラメータとして示す図。
【図10】 参考例12における可逆性感熱記録媒体に
ついて相分離制御材の総炭素数と発色濃度との関係を示
す図。
【図11】 参考例12における可逆性感熱記録媒体に
ついて相分離制御材の融点と発色濃度との関係を示す
図。
【図12】 参考例13における可逆性感熱記録媒体に
ついて相分離制御材(1−ドコサノール)の配合比と発
色開始時間との関係を示す図。
【図13】 本発明の実施例3における可逆性感熱記録
媒体についてオーバーライトによる発色濃度を示す図。
【図14】 本発明の実施例3に対する比較例の可逆性
感熱記録媒体についてオーバーライトによる発色濃度を
示す図。
【図15】 本発明の実施例3における可逆性感熱記録
媒体についてオーバーライトによる発色濃度を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 西沢 秀之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 宮本 浩久 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 杉内 政美 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (56)参考文献 特開 平6−273712(JP,A) 特開 平6−273707(JP,A) 特開 平6−270545(JP,A) 特開 平6−155908(JP,A) 特開 平6−155905(JP,A) 特開 平6−106848(JP,A) 特開 昭60−264285(JP,A) 特開 平5−254255(JP,A) 特開 昭58−224787(JP,A) 特開 昭57−193388(JP,A) 特開 昭57−146689(JP,A) 特開 平8−197853(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 - 5/30

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 呈色性化合物と、顕色材と、2値の熱エ
    ネルギーの供給または2種の熱履歴により組成系の可逆
    的な変化を発現させる可逆材とを含有し、前記可逆材の
    80重量%以上が、下記構造式(1)で表されるステロ
    イド骨格における2位と3位の炭素間の結合および3位
    と4位の炭素間の結合が単結合であり、少なくとも3位
    の炭素に結合したヒドロキシル基を有し、かつ16位お
    よび17位の炭素が下記構造式(A)〜(D)で表され
    るいずれかの構造を有するステロール化合物であること
    を特徴とする可逆性感熱記録媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 融点近傍で呈色性化合物または顕色材の
    相分離速度を変化させる相分離制御材を含有することを
    特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記相分離制御材が10以上の最大炭素
    鎖長を有する低分子有機材料であることを特徴とする請
    求項2記載の可逆性感熱記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記相分離制御材が少なくとも1個の水
    酸基を有する直鎖脂肪族アルコールであることを特徴と
    する請求項3記載の可逆性感熱記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記相分離制御材が両末端に水酸基を有
    する直鎖脂肪族ジオールであることを特徴とする請求項
    記載の可逆性感熱記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記顕色材が、下記一般式(2)で表さ
    れるベンゾフェノン化合物であることを特徴とする請求
    項1記載の可逆性感熱記録媒体。 【化2】 式中、R1 およびR2 はそれぞれハロゲン原子、アルキ
    ル基、アルコキシル基、アミノ基または水酸基、mおよ
    びnは0以上5以下の整数を示し、m個のR1、n個の
    2 は互いに異なっていてもよいが、mおよびnの少な
    くとも一方は1以上の整数であり、全てのR1 およびR
    2 のうち少なくとも1個は水酸基である。
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