JP3490768B2 - 内装変速機付き自転車の駆動機構 - Google Patents

内装変速機付き自転車の駆動機構

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JP3490768B2
JP3490768B2 JP15343694A JP15343694A JP3490768B2 JP 3490768 B2 JP3490768 B2 JP 3490768B2 JP 15343694 A JP15343694 A JP 15343694A JP 15343694 A JP15343694 A JP 15343694A JP 3490768 B2 JP3490768 B2 JP 3490768B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内装変速機付きの自転
車の駆動機構に関し、より詳しくは、後輪のハブ体内に
収納した内装変速機とこの内装変速機に入力して前記ハ
ブ体を回転駆動する1枚のチェン用のリアギヤと、この
リアギヤをチェンを介して回転駆動する1枚のチェン用
のフロントギヤとを備え、このフロントギヤを回転駆動
することにより、前記リアギヤや内装変速機を介して後
輪を回転駆動するように構成してある内装変速機付き自
転車の駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】このような内装変速機は、従来公知で実
際に実施もされており、かかる内装変速機付きの自転車
も現実に市場に出回っている。一般に、このような内装
変速機は、遊星ギヤ機構を利用しているものが多く、こ
の遊星ギヤ機構によってリアギヤの回転を減速したり増
速したりして後輪に伝えており、現在のところ、7段変
速のものも存在する。しかし、従来のものは、内装変速
機によってリアギヤの回転を1.6倍程度に増速して最
高速段を得、リアギヤの回転を大幅に減速して最低速段
を得るように設計されていたので、フロントギヤとリア
ギヤとの間でもかなり増速しなければならず、その結
果、リアギヤの歯数に対してフロントギヤの歯数がかな
り多くなって、上述した7段変速のものでは、両者の歯
数差が20枚以上もあった。
【0003】この点について詳述すると、自転車の駆動
機構としては、自転車の種類、換言すると、買い物用の
普通の軽快車であるかスポーツ車であるかによっても多
少異なるが、一般的には、フロントギヤのクランク1回
転に対して、後輪が2.5倍程度で回転する最高速段、
より好ましくは、3回転する程度の最高速段を備えてい
るのが望ましく、その際、最低速段としては、後輪が
1.5倍以下、好ましくは、1回転する程度の最低速段
を備えているのが理想的である。極力、このような要望
を満たしながら、かつ、従来のようにリアギヤの回転を
内装変速機で1.6倍程度に増速して最高速段を得よう
とすれば、必然的に、フロントギヤとリヤギヤとの間で
増速せざるを得ず、7段変速を例にとると、フロントギ
ヤの歯数を44枚にして、リアギヤの歯数を21枚から
22枚程度にしていたのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、フロント
ギヤとリアギヤとの間に歯数差があればある程、フロン
トギヤの磨耗に比してリアギアの磨耗の方が早くなり、
フロントギヤの方がまだ使用し得るにもかかわらず、リ
アギヤのみを取り替えねばならぬような事態が発生す
る。このような事態をできるだけ回避するため、従来に
おいては、リアギヤの方を肉厚の材料で形成したり、同
じ材料で形成する場合には、リアギヤの方に補強用の肉
盛りを設けたり、特殊な表面加工を施したりしていた。
【0005】本発明は、両ギヤの歯数差をできるだけ少
なくして、両ギヤの磨耗を均一化することにより、これ
ら両ギヤを同じ材料で形成することをも可能にし、材料
の共通化とそれに伴う製造の簡素化によりコストダウン
を図り得るとともに、両ギヤの直径を小さくする場合に
は、チェンの対地高さを高くすることも可能にし、例え
凹凸の激しいオフロードを走行する場合においても、チ
ェンが地面に当接することを回避して、所望の最高速段
から最低速段まで幅の広い変速をも可能にする新規で実
用的な自転車の駆動機構を提供しようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1に記載の本発明による内装変速機付き自転
車の駆動機構は、チェンからの駆動力を後輪のハブ体に
伝達する機構であって、後輪のハブ体内に収納された内
装変速機とこの内装変速機に入力して前記ハブ体を回
転駆動する1枚のチェン用のリアギヤと、チェンを介し
て前記リアギヤを回転駆動する1枚のチェン用のフロン
トギヤとを備え、前記内装変速機が、前記リアギヤの回
転を前記ハブ体に等速で伝達する最低速段を有する増速
専用の変速機であり、かつ前記リアギヤの回転を前記ハ
ブ体に2.0倍以上2.5倍以下に増速して伝達する最
高速段を有する複数の増速段を備え、前記フロントギヤ
が、前記リアギヤの歯数に対して、1.5倍以下1.2
倍以上の歯数を有するように構成してあることを特徴と
する。
【0007】請求項2に記載の内装変速機付き自転車の
駆動機構は、請求項1に記載の特徴に加えて、前記内装
変速機が、歯数の異なる4枚の遊星ギヤと、前記4枚の
遊星ギヤに常時噛み合う4枚の太陽ギヤと、前記4枚の
遊星ギヤのうちの1つの遊星ギヤに常時噛み合うリング
ギヤと、前記4枚の遊星ギヤを相対回転自在に保持する
キャリアとを有し、前記リアギヤは前記キャリアに相対
回転不能に固定され、前記キャリアを前記ハブ体に連動
連結するワンウェイクラッチをさらに有していることを
も特徴とする。
【0008】請求項3に記載の内装変速機付き自転車の
駆動機構は、チェンからの駆動力を後輪のハブ体に伝達
する内装変速機付き自転車の駆動機構であって、後輪の
ハブ体内に収納された内装変速機とこの内装変速機に
入力して前記ハブ体を回転駆動する1枚のチェン用のリ
アギヤと、チェンを介してリアギヤを回転駆動する1枚
のチェン用のフロントギヤとを備え、前記内装変速機
が、前記リアギヤの回転を前記ハブ体に等速で伝達する
最低速段を有する増速専用の変速機であり、かつ前記リ
アギヤの回転を前記ハブ体に2.5倍以上3.0倍以下
に増速して伝達する最高速段を有する複数の増速段を備
え、前記フロントギヤが、前記リアギヤの歯数に対し
て、1.2倍以下ほぼ1.0倍以上の歯数を有するよ
に構成してあることを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の内装変速機付き自転車の
駆動機構は、チェンからの駆動力を後輪のハブ体に伝達
する内装変速機付き自転車の駆動機構であって、後輪の
ハブ体内に収納された内装変速機とこの内装変速機に
入力して前記ハブ体を回転駆動する1枚のチェン用のリ
アギヤと、チェンを介して前記リアギヤを回転駆動する
1枚のチェン用のフロントギヤとを備え、前記内装変速
機が、リアギヤの回転をハブ体に等速で伝達する最低速
段を有する増速専用の変速機であり、かつ前記リアギヤ
の回転を前記ハブ体に3.0倍以上3.5倍以下に増速
して伝達する最高速段を有する複数の増速段を備え、
記フロントギヤが、前記リアギヤの歯数に対して、ほぼ
1.0倍以下0.8倍以上の歯数を有するように構成し
てあることを特徴とする。
【0010】請求項5に記載の内装変速機付き自転車の
駆動機構は、請求項4に記載の構成に加えて、前記内装
変速機が、第一遊星機構と第二遊星機構とから構成され
ており、前記第一遊星機構は、歯数の異なる2枚の遊星
ギヤと、前記2枚の遊星ギヤに常時噛み合う2枚の太陽
ギヤと、前記2枚の遊星ギヤの一方に常時噛み合うリン
グギヤと、前記2枚の遊星ギヤを相対回転自在に保持す
るキャリアとを有し、前記第二遊星機構は、歯数の異な
る2枚の遊星ギヤと、前記2枚の遊星ギヤに常時噛み合
う2枚の太陽ギヤと、前記2枚の遊星ギヤの一方に常時
噛み合うリングギヤと、前記2枚の遊星ギヤを相対回転
自在に保持するキャリアとを有し、前記リアギヤは、前
記第一遊星機構のキャリアに相対回転不能に固定され、
前記第一遊星機構のキャリアと前記第二遊星機構のキャ
リアとを連動連結するワンウェイクラッチをさらに備
え、第一遊星機構のリングギヤが、前記第二遊星機構の
キャリアに相対回転不能に噛合されており、前記第二遊
星機構のキャリアと前記ハブ体とを連動連結するワンウ
ェイクラッチと、前記第二遊星機構のリングギヤと前記
ハブ体とを連動連結するワンウェイクラッチと、前記第
一遊星機構のキャリアと前記第二遊星機構のキャリアと
を連動連結するワンウェイクラッチとをさらに備えてい
ことをも特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の請求項1に記載の構成によれば、後輪
のハブ体内に収納する内装変速機が、この内装変速機へ
入力するリアギヤの回転をハブ体に2.0倍以上で、か
つ、2.5倍以下に増速して伝達する最高速段を備える
ものであるから、従来のものと比較して、フロントギヤ
の歯数をリアギヤの歯数に大幅に近づけて、フロントギ
ヤの歯数をリアギヤの歯数の1.5倍以下で、かつ、
1.2倍以上にしても、通常自転車において必要とされ
る最高速段を確保することができる。
【0012】具体的には、内装変速機が最低限2倍の最
高速段を備えていれば、フロントギヤとリアギヤとの間
で1.5倍増速することにより、フロントギヤのクラン
ク1回転に対して、後輪が3回転する最高速段を得るこ
とができ、そのときでも、例えば、フロントギヤの歯数
を21枚とすれば、リアギヤの歯数は14枚で、歯数差
は7枚だけですむ。内装変速機が2.5倍の最高速段を
備えていれば、フロントとリアとの間で1.2倍増速す
るだけで、後輪が3回転する最高速段を得ることがで
き、この場合には、フロントギヤの歯数を18枚とすれ
ば、リアギヤの歯数は15枚で、歯数差は3枚となる。
また、内装変速機の最低速段については、リアギヤの回
転を積極的に減速してハブ体に伝達しなくても、リアギ
ヤの回転を等速でハブ体に伝達する程度に設定するだけ
で、フロントギヤのクランク1回転に対して、後輪が
1.5回転から1.2回転する程度の最低速段を得るこ
とができる。
【0013】このように、必要な最高速段と最低速段と
を確保しながら、従来20枚以上もあったフロントとリ
アの歯数差を大幅に少なくすることができるので、両ギ
ヤの磨耗を均一化して使用寿命の差を少なくすることが
できる。それによって、両ギヤを同じ材料で、かつ、特
殊な加工などを施さずに形成することも可能となり、材
料の共通化による材料費の節減と、同じ材料を使っての
製造による工程の簡素化により、両ギヤのコストダウン
を図ることができる。
【0014】請求項2に記載の構成によれば、前記内装
変速機が、前記構成により合計5段の変速段を備えてい
るため、上述した請求項1による作用に加えて、各変速
段の間の変速差をあまり大きくすることなく、比較的使
い易い変速機付き自転車を提供できるという作用も期待
できる。
【0015】請求項3に記載の構成によれば、後輪のハ
ブ体内に収納する内装変速機が、この内装変速機へ入力
するリアギヤの回転をハブ体に2.5倍以上で、かつ、
3.0倍以下に増速して伝達する最高速段を備えるもの
であるから、フロントギヤの歯数をリアギヤの歯数にさ
らに近づけて、フロントギヤの歯数をリアギヤの歯数の
1.2倍以下で、かつ、ほぼ1.0倍以上にしても、通
常自転車において必要とされる最高速段を確保すること
ができる。
【0016】すなわち、内装変速機が最低限2.5倍の
最高速段を備えていれば、上述したように、フロントと
リアとの間で1.2倍増速するだけで、後輪が3回転す
る最高速段を得ることができるとともに、フロントギヤ
の歯数を18枚、リアギヤの歯数を15枚として歯数差
を3枚にすることができる。内装変速機が3.0倍の最
高速段を備えていれば、フロントとリアとの間で1.0
倍増速するだけで、換言すると、フロントとリアとを等
速で回転させるだけで、後輪が3回転する最高速段を得
ることができ、フロントギヤとリアギヤの歯数を同数に
することもできる。この場合にも、内装変速機の最低速
段については、リアギヤの回転を積極的に減速せずに、
単に等速で伝達する程度に設定するだけで、フロントギ
ヤのクランク1回転に対して、後輪が1.2回転からほ
ぼ1.0回転する程度の最低速段を得ることができる。
【0017】したがって、この請求項3に記載の構成に
よれば、請求項1の構成によって得られる作用がさらに
顕著となり、より一層フロントギヤとリアギヤの歯数差
を少なくし、両ギヤの歯数を同じにすることも可能で、
磨耗の均一化を図ることができるとともに、チェンを地
面に対してほぼ平行になるように張設することも可能と
なる。
【0018】請求項4に記載の構成によれば、後輪のハ
ブ体内に収納する内装変速機が、この内装変速機へ入力
するリアギヤの回転をハブ体に3.0倍以上で、かつ、
3.5倍以下に増速して伝達する最高速段を備えるもの
であるから、フロントギヤの歯数をリアギヤの歯数にさ
らに近づけて、フロントギヤの歯数をリアギヤの歯数の
ほぼ1.0倍以下で、かつ、0.8倍以上にしても、通
常自転車において必要とされる最高速段を確保すること
ができる。
【0019】すなわち、内装変速機が最低限3.0倍の
最高速段を備えていれば、上述したように、フロントと
リアとの歯数を同数にしても、後輪が3回転する最高速
段を得ることができる。内装変速機が3.5倍の最高速
段を備えていれば、フロントとリアとの歯数を同数にす
ることで、後輪が3.5回転もする最高速段を得ること
ができ、逆に、0.8倍に減速したとしても、後輪が
2.8回転する最高速段を得ることができ、この場合、
フロントギヤの歯数を16枚とすれば、リアギヤの歯数
はフロントよりも多い20枚となる。この場合にも、内
装変速機の最低速段については、リアギヤの回転を減速
せずに等速伝達するだけで、フロントギヤのクランク1
回転に対して、後輪がほぼ1.0回転から0.8回転す
る最低速段を得ることができる。
【0020】この請求項4に記載の構成によれば、請求
項1や請求項3の構成によって得られる作用がより顕著
となり、場合によっては、従来とは全く逆に、フロント
ギヤの歯数をリアギヤの歯数よりも少なくすることも可
能となる。
【0021】請求項5に記載の構成によれば、前記内装
変速機が、前記構成により合計9段の変速段を備えてい
るため、上述した請求項4による作用に加えて、各変速
段の間の変速差をあまり大きくすることなく、非常に使
い易い変速機付き自転車を提供できるという作用も期待
できる。
【0022】なお、フロントギヤの歯数を少なくして直
径を小さくすれば、必然的にリアギヤの直径も小さくな
り、チェンの対地高さを高くして、凹凸の激しいオフロ
ードにおいてもチェンが地面に当接することを回避する
ことができる。しかし、フロントギヤの直径をあまり小
さくすると、チェンに作用するテンション力が大きくな
り、チェンの破損を招きかねない。したがって、フロン
トギヤとリアギヤの歯数を決定するにあたっては、チェ
ンの対地高さとテンション力とを考慮して決定するべき
であり、これによってベテランから初心者まで幅の広い
サイクリストにも満足できる実用的な自転車を提供する
ことも可能となる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明の内装変速機付き
自転車の駆動機構によれば、通常の自転車において必要
とされる最低速段と最高速段とを確保しながら、フロン
トギヤとリアギヤとの歯数差を極力少なくし、極端な場
合には、両ギヤの歯数を同数、あるいは、逆に、フロン
トギヤの歯数をリアギヤの歯数よりも少なくすることも
可能となる。したがって、このフロントギヤとリアギヤ
の使用による磨耗を均一化して使用寿命の差を少なく
し、それによって、両ギヤを同じ材料で、かつ、特殊な
加工などを施さずに形成することも可能とし、材料の共
通化による材料費の節減などにより、両ギヤのコストダ
ウンを図ることができる。それでいて、各変速段の間の
変速差もあまり大きくならず、ベテランから初心者まで
幅の広いサイクリストにも満足できる実用的な自転車を
提供することが可能となるのである。
【0024】
【実施例】つぎに、本発明の自転車用駆動機構の実施例
を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明
の自転車用の駆動機構は、自転車の後輪1のハブ体2内
に収納された、いわゆる内装式の変速機Nと、この内装
変速機Nに入力し、内装変速機Nを介して前記ハブ体2
を回転駆動する1枚のチェン用のリアギヤ3と、チェン
4を介して前記リアギヤ3を回転駆動する1枚のチェン
用のフロントギヤ5などからなる。この内装変速機N
は、リアギヤ3の回転をハブ体2に等速で伝達する最低
速段を有する増速専用の変速機である。
【0025】この増速専用の内装変速機Nの第一の実施
例を示したのが図2で、この図に示した内装変速機N1
は、リアギヤ3の回転をハブ体2に等速で伝達する最低
速段を1段として、合計5段の変速段を備えている。
【0026】すなわち、自転車のフレームに固定の固定
軸6周りに、前記ハブ体2やリアギヤ3が回転自在に保
持され、このリアギヤ3からの回転力が、遊星機構Pを
介してハブ体2に伝達されるように構成されている。こ
の遊星機構Pは、一体的に形成された歯数の異なる4枚
の遊星ギヤ7a,7b,7c,7d、これら遊星ギヤ7
a,7b,7c,7dに常時噛み合う4枚の太陽ギヤ8
a,8b,8c,8d、4枚のうちのひとつの遊星ギヤ
7bに常時噛み合うリングギヤ9、ならびに、4枚の遊
星ギヤ7a,7b,7c,7dを相対回転自在に保持す
るキャリア10などからなる。
【0027】前記リアギヤ3は、遊星機構Pのキャリア
10に相対回転不能に固定され、このキャリア10が、
第一ワンウェイクラッチ11を介してハブ体2に連動連
結され、かつ、前記リングギヤ9も、第二ワンウェイク
ラッチ12を介してハブ体2に連動連結されている。そ
して、遊星機構Pの各太陽ギヤ8a,8b,8c,8d
には、それぞれ、爪体13a,13b,13c,13d
が設けられ、後述する操作体を回動操作することによ
り、それぞれの爪体13a,13b,13c,13dを
作用させて、各太陽ギヤ8a,8b,8c,8dを前記
固定軸6に対して固定可能に構成されている。
【0028】ここで、この内装変速機N1における遊星
機構Pの各ギヤの歯数は、下記の通りである。 太陽ギヤ8a: 30枚 太陽ギヤ8b: 42枚 太陽ギヤ8c: 51枚 太陽ギヤ8d: 54枚 遊星ギヤ7a: 37枚 遊星ギヤ7b: 25枚 遊星ギヤ7c: 18枚 遊星ギヤ7d: 13枚 リングギヤ9: 93枚
【0029】したがって、操作体を回動操作して、各爪
体13a,13b,13c,13dを下記のように制御
することで、合計5段の増速変速を得ることができる。
ただし、下記の増速比は、リアギヤ3の1回転に対する
ハブ体2、換言すると、後輪1の回転数の比である。
【0030】第1段:全ての爪体13a,13b,13
c,13dを非作用状態にし、各太陽ギヤ8a,8b,
8c,8dを固定軸6に対して非固定状態にする。する
と、リアギヤ3の回転は、遊星機構Pのキャリア10か
ら第一ワンウェイクラッチ11を介してハブ体2に伝達
される。このときの増速比は、1.00である。
【0031】第2段:爪体13aのみを作用状態にし、
太陽ギヤ8aのみを固定軸6に対して固定状態にする。
すると、リアギヤ3の回転は、遊星機構Pのキャリア1
0に伝達され、太陽ギヤ8aと遊星ギヤ7aとの噛合で
増速された回転がリングギヤ9に伝達されて、この回転
が第二ワンウェイクラッチ12を介してハブ体2に伝達
される。その際、ハブ体2は増速されて回転するので、
第一ワンウェイクラッチ11は、いわゆる空回りとな
り、回転力の伝達には寄与しない。このときの増速比
は、約1.22である。
【0032】第3段:爪体13bのみを作用状態にし、
太陽ギヤ8bのみを固定軸6に対して固定状態にする。
すると、リアギヤ3の回転は、遊星機構Pのキャリア1
0に伝達され、太陽ギヤ8bと遊星ギヤ7bとの噛合で
増速された回転がリングギヤ9に伝達されて、この回転
が第二ワンウェイクラッチ12を介してハブ体2に伝達
される。その際も、第一ワンウェイクラッチ11は、回
転力の伝達には寄与しない。このときの増速比は、約
1.45である。
【0033】第4段:爪体13cのみを作用状態にし、
太陽ギヤ8cのみを固定軸6に対して固定状態にする。
すると、リアギヤ3の回転は、遊星機構Pのキャリア1
0に伝達され、太陽ギヤ8cと遊星ギヤ7cとの噛合で
増速された回転がリングギヤ9に伝達されて、この回転
が第二ワンウェイクラッチ12を介してハブ体2に伝達
される。その際も、第一ワンウェイクラッチ11は、回
転力の伝達には寄与しない。このときの増速比は、約
1.76である。
【0034】第5段:爪体13dのみを作用状態にし、
太陽ギヤ8dのみを固定軸6に対して固定状態にする。
すると、リアギヤ3の回転は、遊星機構Pのキャリア1
0に伝達され、太陽ギヤ8dと遊星ギヤ7dとの噛合で
増速された回転がリングギヤ9に伝達されて、この回転
が第二ワンウェイクラッチ12を介してハブ体2に伝達
される。その際も、第一ワンウェイクラッチ11は、回
転力の伝達に寄与しない。このときの増速比は、約2.
12である。
【0035】このようにして合計5段の増速変速を得る
ことができるので、図1において、フロントギヤ5の歯
数をリアギヤ3の歯数の1.5倍に、例えば、フロント
ギヤ5の歯数を21枚、リアギヤ3の歯数を14枚にす
れば、フロントギヤ5のクランク1回転に対して後輪1
が1.5回転する最低速段と、クランク1回転に対して
後輪1が約3.18回転する最高速段を有する5段変速
が可能となり、その際のフロントギヤ5とリアギヤ3と
の歯数差は7枚となる。
【0036】また、フロントギヤ5の歯数をリアギヤ3
の歯数の1.25倍に、例えば、フロントギヤ5の歯数
を25枚、リアギヤ3の歯数を20枚にすれば、フロン
トギヤ5のクランク1回転に対して後輪1が1.25回
転する最低速段と、クランク1回転に対して後輪1が約
2.65回転する最高速段を有する5段変速が可能とな
り、その際のフロントギヤ5とリアギヤ3との歯数差は
5枚となる。
【0037】したがって、通常必要とされる最高速段と
最低速段とを確保しながら、従来、20枚以上もあった
フロントギヤ5とリアギヤ3との歯数差を大幅に少なく
して、両ギヤ3,5の磨耗を均一化することが可能とな
る。
【0038】図3は、増速専用の内装変速機Nの第二の
実施例を示し、この図に示した内装変速機N2は、リア
ギヤ3の回転をハブ体2に等速で伝達する最低速段を1
段として、合計9段の変速段を備えている。
【0039】すなわち、先に述べた5段変速のものと同
様に、固定軸6周りにハブ体2やリアギヤ3が回転自在
に保持され、このリアギヤ3からの回転力が、遊星機構
を介してハブ体2に伝達されるのである。ところが、こ
の9段変速のものは、前記遊星機構が、第一の遊星機構
P1と第二の遊星機構P2とから構成されている。
【0040】第一遊星機構P1は、一体的に形成された
歯数の異なる2枚の遊星ギヤ14a,14b、これら両
遊星ギヤ14a,14bに常時噛み合う2枚の太陽ギヤ
15a,15b、2枚の遊星ギヤの一方14bに常時噛
み合うリングギヤ16、ならびに、両遊星ギヤ14a,
14bを相対回転自在に保持するキャリア17などから
なる。同様に、第二遊星機構P2の方も、一体的に形成
された歯数の異なる2枚の遊星ギヤ18a,18b、こ
れら遊星ギヤ18a,18bに常時噛み合う太陽ギヤ1
9a,19b、2枚の遊星ギヤの一方18aに常時噛み
合うリングギヤ20、ならびに、両遊星ギヤ18a,1
8bを相対回転自在に保持するキャリア21などからな
る。
【0041】前記リアギヤ3は、第一遊星機構P1のキ
ャリア17に相対回転不能に固定され、このキャリア1
7が、第二遊星機構P2のキャリア21に第一ワンウェ
イクラッチ22を介して連動連結されていて、かつ、第
一遊星機構P1のリングギヤ16が、第二遊星機構P2
のキャリア21に相対回転不能に噛合されている。この
第二遊星機構P2のキャリア21は、第二ワンウェイク
ラッチ23を介してハブ体2に連動連結され、この第二
遊星機構P2のリングギヤ20も、第三ワンウェイクラ
ッチ24を介してハブ体2に連動連結されている。そし
て、第一遊星機構P1の太陽ギヤ15a,15bと第二
遊星機構P2の太陽ギヤ19a,19bには、それぞ
れ、爪体25a,25b,25c,25dが設けられ、
後述する操作体を回動操作することにより、それぞれの
爪体25a,25b,25c,25dを作用させて、各
太陽ギヤ15a,15b,19a,19bを前記固定軸
6に対して固定可能に構成されている。
【0042】さらに、第一遊星機構P1のキャリア17
と第二遊星機構P2のキャリア21とは、第四ワンウェ
イクラッチ26を介して互いに連動連結され、リアギヤ
3を逆回転させると、この第四ワンウェイクラッチ26
を介して第二遊星機構P2のキャリア21が逆回転さ
れ、このキャリア21とハブ体2との間に介装されたコ
ースタブレーキ27により、このハブ体21に制動力が
掛かるように構成されている。なお、この第四ワンウェ
イクラッチ26は従来公知の構造であり、特に詳しい説
明は省略するが、リアギヤ3を正回転させる場合には、
この第四ワンウェイクラッチ26を構成する爪体が爪ケ
ージの作用で退避し、逆回転させる場合にのみ爪が起立
して、第二遊星機構P2のキャリア21を逆回転させる
ように構成されている。
【0043】ここで、この内装変速機N2における各ギ
ヤの歯数は、下記の通りである。 第一遊星機構P1: 太陽ギヤ15a: 42枚 太陽ギヤ15b: 33枚 遊星ギヤ14a: 13枚 遊星ギヤ14b: 24枚 リングギヤ16: 81枚 第二遊星機構P2: 太陽ギヤ19a: 42枚 太陽ギヤ19b: 33枚 遊星ギヤ18a: 14枚 遊星ギヤ18b: 25枚 リングギヤ20: 72枚
【0044】したがって、操作体を回動操作して、各爪
体25a,25b,25c,25dを下記のように制御
することで、合計9段の増速変速を得ることができる。
ただし、下記の増速比は、リアギヤ3の1回転に対する
ハブ体2、換言すると、後輪1の回転数の比である。
【0045】第1段:全ての爪体25a,25b,25
c,25dを非作用状態にし、各太陽ギヤ15a,15
b,19a,19bを固定軸6に対して非固定状態にす
る。すると、リアギヤ3の回転は、第一遊星機構P1の
キャリア17から第一ワンウェイクラッチ22を介して
第二遊星機構P2のキャリア21に伝達され、第二ワン
ウェイクラッチ23を介してハブ体2に伝達される。こ
のときの増速比は、1.00である。
【0046】第2段:爪体25dのみを作用状態にし、
太陽ギヤ19bのみを固定軸6に対して固定状態にす
る。すると、リアギヤ3の回転は、第一遊星機構P1の
キャリア17から第一ワンウェイクラッチ22を介して
第二遊星機構P2のキャリア21に伝達され、太陽ギヤ
19bと遊星ギヤ18bとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ20に伝達されて、この回転が第三ワンウェイ
クラッチ24を介してハブ体2に伝達される。その際、
ハブ体2は増速されて回転するので、第二ワンウェイク
ラッチ23は、いわゆる空回りとなり、回転力の伝達に
は寄与しない。このときの増速比は、約1.26であ
る。
【0047】第3段:爪体25bのみを作用状態にし、
太陽ギヤ15bのみを固定軸6に対して固定状態にす
る。すると、リアギヤ3の回転は、第一遊星機構P1の
キャリア17に伝達され、太陽ギヤ15bと遊星ギヤ1
4bとの噛合で増速された回転がリングギヤ16に伝達
されて、この回転が第二遊星機構P2のキャリア21か
ら第二ワンウェイクラッチ23を介してハブ体2に伝達
される。その際、第二遊星機構P2のキャリア21は増
速されて回転するので、第一ワンウェイクラッチ22
は、いわゆる空回りとなり、回転力の伝達には寄与しな
い。このときの増速比は、約1.41である。
【0048】第4段:爪体25cのみを作用状態にし、
太陽ギヤ19aのみを固定軸6に対して固定状態にす
る。すると、リアギヤ3の回転は、第一遊星機構P1の
キャリア17から第一ワンウェイクラッチ22を介して
第二遊星機構P2のキャリア21に伝達され、太陽ギヤ
19aと遊星ギヤ18aとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ20に伝達されて、この回転が第三ワンウェイ
クラッチ24を介してハブ体2に伝達される。その際
も、第二ワンウェイクラッチ23は、回転力の伝達には
寄与しない。このときの増速比は、約1.58である。
【0049】第5段:爪体25bと爪体25dを作用状
態にし、太陽ギヤ15bと太陽ギヤ19bを固定軸6に
対して固定状態にする。すると、リアギヤ3の回転は、
第一遊星機構P1のキャリア17に伝達され、太陽ギヤ
15bと遊星ギヤ14bとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ16に伝達されて、この回転が第二遊星機構P
2のキャリア21に伝達される。このキャリア21の回
転は、太陽ギヤ19bと遊星ギヤ18bとの噛合で増速
され、第三ワンウェイクラッチ24を介してハブ体2に
伝達される。その際、第一ワンウェイクラッチ22と第
二ワンウェイクラッチ23とは、ともに回転力の伝達に
寄与しない。このときの増速比は、約1.77である。
【0050】第6段:爪体25aのみを作用状態にし、
太陽ギヤ15aのみを固定軸6に対して固定状態にす
る。すると、リアギヤ3の回転は、第一遊星機構P1の
キャリア17に伝達され、太陽ギヤ15aと遊星ギヤ1
4aとの噛合で増速された回転がリングギヤ16に伝達
されて、この回転が第二遊星機構P2のキャリア21か
ら第二ワンウェイクラッチ23を介してハブ体2に伝達
される。その際、第一ワンウェイクラッチ22は、回転
力の伝達には寄与しない。このときの増速比は、約1.
96である。
【0051】第7段:爪体25bと爪体25cを作用状
態にし、太陽ギヤ15bと太陽ギヤ19aを固定軸6に
対して固定状態にする。すると、リアギヤ3の回転は、
第一遊星機構P1のキャリア17に伝達され、太陽ギヤ
15bと遊星ギヤ14bとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ16に伝達されて、この回転が第二遊星機構P
2のキャリア21に伝達される。このキャリア21の回
転は、太陽ギヤ19aと遊星ギヤ18aとの噛合で増速
され、第三ワンウェイクラッチ24を介してハブ体2に
伝達される。その際、第一ワンウェイクラッチ22と第
二ワンウェイクラッチ23とは、ともに回転力の伝達に
寄与しない。このときの増速比は、約2.23である。
【0052】第8段:爪体25aと爪体25dを作用状
態にし、太陽ギヤ15aと太陽ギヤ19bを固定軸6に
対して固定状態にする。すると、リアギヤ3の回転は、
第一遊星機構P1のキャリア17に伝達され、太陽ギヤ
15aと遊星ギヤ14aとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ16に伝達されて、この回転が第二遊星機構P
2のキャリア21に伝達される。このキャリア21の回
転は、太陽ギヤ19bと遊星ギヤ18bとの噛合で増速
され、第三ワンウェイクラッチ24を介してハブ体2に
伝達される。その際、第一ワンウェイクラッチ22と第
二ワンウェイクラッチ23とは、ともに回転力の伝達に
寄与しない。このときの増速比は、約2.46である。
【0053】第9段:爪体25aと爪体25cを作用状
態にし、太陽ギヤ15aと太陽ギヤ19aを固定軸6に
対して固定状態にする。すると、リアギヤ3の回転は、
第一遊星機構P1のキャリア17に伝達され、太陽ギヤ
15aと遊星ギヤ14aとの噛合で増速された回転がリ
ングギヤ16に伝達されて、この回転が第二遊星機構P
2のキャリア21に伝達される。このキャリア21の回
転は、太陽ギヤ19aと遊星ギヤ18aとの噛合で増速
され、第三ワンウェイクラッチ24を介してハブ体2に
伝達される。その際も、第一ワンウェイクラッチ22と
第二ワンウェイクラッチ23とは、ともに回転力の伝達
に寄与しない。このときの増速比は、約3.10であ
る。
【0054】このようにして合計9段の増速変速を得る
ことができるので、フロントギヤ5とリアギヤ3の歯数
を同じに、例えば、両ギヤ3,5の歯数をともに21枚
にしても、フロントギヤ5のクランク1回転に対して後
輪1が1回転する最低速段と、クランク1回転に対して
後輪1が約3.10回転する最高速段を有する9段変速
が可能となる。
【0055】また、フロントギヤ6の歯数を23枚、リ
アギヤ4の歯数を21枚とし、両者の歯数差を2枚にし
ても、各段の増速比は、クランク1回転に対して、第1
段:約1.10、第2段:約1.38、第3段:約1.
54、第4段:約1.73、第5段:約1.94、第6
段:約2.14、第7段:約2.44、第8段:約2.
69、第9段:約3.39となる。逆に、フロントギヤ
6の歯数を少なくし、フロントギヤ6を19枚、リアギ
ヤ4を21枚とし、両者の歯数差を2枚にしても、各段
の増速比は、クランク1回転に対して、第1段:約0.
90、第2段:約1.14、第3段:約1.27、第4
段:約1.43、第5段:約1.60、第6段:約1.
77、第7段:約2.01、第8段:約2.23、第9
段:約2.80となる。
【0056】したがって、この9段変速の内装変速機N
2を用いれば、ほぼ理想的な最高速段と最低速段とを確
保しながら、先の内装変速機N1の場合よりもさらに一
層フロントギヤ5とリアギヤ3との歯数差を少なくする
ことができる。もちろん、両ギヤ3,5の歯数を同数に
することも、逆にフロントギヤ5の歯数をリアギヤ3の
歯数より少なくすることも可能であり、両ギヤ3,5の
磨耗の均一化を考慮すると、両者の歯数を完全に同数に
するのが理論的にみて理想である。しかし、実際のとこ
ろは、上記した例のように両者の歯数差を2枚程度にす
れば、ほとんど両ギヤ3,5の磨耗は均一化されるの
で、本明細書においては、両ギヤ3,5の歯数差が2枚
以内のものをほぼ同数、別の言い方をすると、フロント
ギヤ5の歯数がリアギヤ3の歯数に対してほぼ1.0倍
と称することにし、これを基準として、1.0倍以上、
あるいは、1.0倍以下と表現することとする。
【0057】以上、5段の内装変速機N1と9段の内装
変速機N2について、概略図に基づいて説明したが、図
4に9段の内装変速機N2の具体的な実施の構造を示
し、主として、これまでの概略図で説明できなかった構
造についてのみ説明する。
【0058】まず、第一遊星機構P1のキャリア17と
第二遊星機構P2のキャリア21とを連動連結する第一
ワンウェイクラッチ22は、両キャリア17,21間に
介装されたローラ22aなどからなる、いわゆるローラ
式のワンウェイクラッチで、第一遊星機構P1のキャリ
ア17が正回転すると、ローラ22aが両キャリア1
7,21に係合して、第二遊星機構P2のキャリア21
を正回転させる。しかし、キャリア17が逆回転、ある
いは、第二遊星機構P2のキャリア21の方がキャリア
17より高速で正回転する場合には、ローラ22aが両
キャリア17,21に係合せず、いわゆる空回りの状態
となって回転力の伝達には寄与しないことになる。
【0059】第三ワンウェイクラッチ24も同じくロー
ラ式のワンウェイクラッチで、ハブ体2に回転不能に係
合されたリング状のクラッチ部材24aと、このクラッ
チ部材24aとリングギヤ20との間に介装のローラ2
4bなどから構成されているが、第二ワンウェイクラッ
チ23の方は、いわゆるラチェット式のワンウェイクラ
ッチで、キャリア21側に設けられたラチェット爪23
aと、ハブ体2側に設けられた複数のラチェット歯23
bとからなり、ラチェット爪23aが、ばねによってラ
チェット歯23b側に弾性付勢されている。したがっ
て、第二遊星機構P1のキャリア21が正回転すると、
ラチェット爪23aがラチェット歯23bに係合して、
ハブ体2を正回転させ、キャリア21が逆回転、あるい
は、ハブ体2の方がキャリア21より高速で正回転する
場合には、ラチェット爪23aがラチェット歯23bに
係合せず、いわゆる空回りの状態となって回転力の伝達
には寄与しないことになる。
【0060】なお、5段の内装変速機N1においては、
第一ワンウェイクラッチ11が、前述の第三ワンウェイ
クラッチ24と同じ構造のローラ式ワンウェイクラッチ
で構成され、第二ワンウェイクラッチ12が、前述の第
二ワンウェイクラッチ23と同じ構造のラチェット式ワ
ンウェイクラッチで構成されている。
【0061】つぎに、各太陽ギヤ15a,15b,19
a,19bの爪体25a,25b,25c,25dを操
作する操作体について説明すると、まず、各爪体25
a,25b,25c,25dは、それぞれ各太陽ギヤ1
5a,15b,19a,19bに回動自在に枢支され、
ばねによって固定軸6側に弾性付勢されている。固定軸
6側には、各爪体25a,25b,25c,25dが係
合する突起28a,28b,28c,28dが突設され
ていて、各爪体25a,25b,25c,25dが各突
起28a,28b,28c,28dに係合すると、太陽
ギヤ15a,15b,19a,19bが固定軸6に固定
された状態となり、その自転が阻止されるように構成さ
れている。
【0062】これら爪体25a,25b,25c,25
dを制御するのが操作体29で、この操作体29は、固
定軸6の周りに回動可能に外嵌された筒体からなり、こ
の筒状の操作体29のうち、各突起28a,28b,2
8c,28dに対応する箇所に、爪体25a,25b,
25c,25dが突起28a,28b,28c,28d
に係合するのを阻止して、太陽ギヤ15a,15b,1
9a,19bの固定軸6周りでの自転を許容するための
ガイド突起30a,30b,30c,30dが設けられ
ている。
【0063】その詳細を示すのが図5で、この図には、
第一遊星機構P1の太陽ギヤ15aについて、操作体2
9に設けられたガイド突起30aや爪体25a、ならび
に、突起28aの関係が示されている。この図5におい
て、キャリア17により太陽ギヤ15aの周りに遊星ギ
ヤ14aが公転されると、太陽ギヤ15aは、図中の矢
印方向に自転しようとする。その際、(イ)に示すよう
に、ガイド突起30aが突起28aよりも離れた箇所に
位置する場合には、爪体25aが突起28aに係合し
て、太陽ギヤ15aの自転が阻止される。(ロ)に示す
ように、ガイド突起30aが突起28aに隣接する箇所
に位置する場合には、爪体25aがガイド突起30aに
ガイドされて突起28a上に乗り上げるので、太陽ギヤ
15aはそのまま自転することになる。
【0064】このように、各突起28a,28b,28
c,28dに対応する箇所にガイド突起30a,30
b,30c,30dが、上述したような各変速段を現出
するような位置関係で設けられているので、この操作体
29を適宜回動操作することにより、第1段から第9段
までの各変速段を得ることができるのである。なお、5
段の内装変速機N1においても同じ構造を採用して実施
することができる。
【0065】〔別実施例〕以上、第一と第二の実施例を
基に説明したが、実際の実施に際しては、種々の変更が
可能であり、例えば、5段の内装変速機N1における第
一と第二のワンウェイクラッチ11,12、ならびに、
9段の内装変速機N2における第一から第三のワンウェ
イクラッチ22,23,24については、全てをラチェ
ット式ワンウェイクラッチにしたり、逆に、全てをロー
ラ式ワンウェイクラッチにすることも、さらには、その
他、各種のワンウェイクラッチを採用することもでき
る。また、各太陽ギヤ8a,8b,8c,8d,15
a,15b,19a,19bを固定軸6に対して固定状
態にしたり自転可能にするための構造についても、色々
な構造を採用できることは言うまでもない。
【0066】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駆動機構を取り付けた自転車の側面図
【図2】内装変速機の第一の実施例を示す概略断面図
【図3】内装変速機の第二の実施例を示す概略断面図
【図4】内装変速機の第二の実施例を示す断面図
【図5】太陽ギヤの爪体の制御状態を示す要部の断面図
【符号の説明】
1 後輪 2 ハブ体 3 リアギヤ 5 フロントギヤ N 内装変速機

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チェンからの駆動力を後輪(1)のハブ体
    (2)に伝達する内装変速機付き自転車の駆動機構であ
    って、 前記 後輪(1)のハブ体(2)内に収納された内装変速
    機(N)と 前記 内装変速機(N)に入力して前記ハブ体(2)を回
    転駆動する1枚のチェン用のリアギヤ(3)と チェンを介して前記リアギヤ(3)を回転駆動する1枚
    のチェン用のフロントギヤ(5)と を備え、 前記内装変速機(N)が、前記リアギヤ(3)の回転を
    前記ハブ体(2)に等速で伝達する最低速段を有する増
    速専用の変速機であり、かつ前記リアギヤ(3)の回転
    を前記ハブ体(2)に2.0倍以上2.5倍以下に増速
    して伝達する最高速段を有する複数の増速段を備え、前記フロントギヤ(5)が、 前記リアギヤ(3)の歯数
    に対して、1.5倍以下1.2倍以上の歯数を有する 装変速機付き自転車の駆動機構。
  2. 【請求項2】前記内装変速機(N)が、歯数の異なる4
    枚の遊星ギヤ(7a〜7d)と、前記4枚の遊星ギヤ
    (7a〜7d)に常時噛み合う4枚の太陽ギヤ(8a〜
    8d)と、前記4枚の遊星ギヤ(7a〜7d)のうちの
    1つの遊星ギヤ(7b)に常時噛み合うリングギヤ
    (9)と、前記4枚の遊星ギヤ(7a〜7d)を相対回
    転自在に保持するキャリア(10)とを有し、 前記リアギヤ(3)は前記キャリア(10)に相対回転
    不能に固定され、 前記キャリア(10)を前記ハブ体(2)に連動連結す
    るワンウェイクラッチ(11)をさらに有している、 請求項1に 記載の内装変速機付き自転車の駆動機構。
  3. 【請求項3】チェンからの駆動力を後輪(1)のハブ体
    (2)に伝達する内装変速機付き自転車の駆動機構であ
    って、 前記 後輪(1)のハブ体(2)内に収納された内装変速
    機(N)と 前記 内装変速機(N)に入力して前記ハブ体(2)を回
    転駆動する1枚のチェン用のリアギヤ(3)と チェンを介して前記リアギヤ(3)を回転駆動する1枚
    のチェン用のフロントギヤ(5)と を備え、 前記内装変速機(N)が、前記リアギヤ(3)の回転を
    前記ハブ体(2)に等速で伝達する最低速段を有する増
    速専用の変速機であり、かつ前記リアギヤ(3)の回転
    を前記ハブ体(2)に2.5倍以上3.0倍以下に増速
    して伝達する最高速段を有する複数の増速段を備え、前記フロントギヤ(5)が、 前記リアギヤ(3)の歯数
    に対して、1.2倍以下ほぼ1.0倍以上の歯数を有す
    装変速機付き自転車の駆動機構。
  4. 【請求項4】チェンからの駆動力を後輪(1)のハブ体
    (2)に伝達する内装変速機付き自転車の駆動機構であ
    って、 前記 後輪(1)のハブ体(2)内に収納された内装変速
    機(N)と 前記 内装変速機(N)に入力して前記ハブ体(2)を回
    転駆動する1枚のチェン用のリアギヤ(3)と チェンを介して前記リアギヤ(3)を回転駆動する1枚
    のチェン用のフロントギヤ(5)と を備え、 前記内装変速機(N)が、前記リアギヤ(3)の回転を
    前記ハブ体(2)に等速で伝達する最低速段を有する増
    速専用の変速機であり、かつ前記リアギヤ(3)の回転
    を前記ハブ体(2)に3.0倍以上3.5倍以下に増速
    して伝達する最高速段を有する複数の増速段を備え、前記フロントギヤ(5)が、 前記リアギヤ(3)の歯数
    に対して、ほぼ1.0倍以下0.8倍以上の歯数を有す
    装変速機付き自転車の駆動機構。
  5. 【請求項5】前記内装変速機(N)が、第一遊星機構
    (P1)と第二遊星機構(P2)とか ら構成されてお
    り、 前記第一遊星機構(P1)は、歯数の異なる2枚の遊星
    ギヤ(14a,14b)と、前記2枚の遊星ギヤ(14
    a,14b)に常時噛み合う2枚の太陽ギヤ(15a,
    15b)と、前記2枚の遊星ギヤの一方(14b)に常
    時噛み合うリングギヤ(16)と、前記2枚の遊星ギヤ
    (14a,14b)を相対回転自在に保持するキャリア
    (17)とを有し、 前記第二遊星機構(P2)は、歯数の異なる2枚の遊星
    ギヤ(18a,18b)と、前記2枚の遊星ギヤ(18
    a,18b)に常時噛み合う2枚の太陽ギヤ(19a,
    19b)と、前記2枚の遊星ギヤの一方(18a)に常
    時噛み合うリングギヤ(20)と、前記2枚の遊星ギヤ
    (18a,18b)を相対回転自在に保持するキャリア
    (21)とを有し、 前記リアギヤ(3)は、前記第一遊星機構(P1)のキ
    ャリア(17)に相対回転不能に固定され、 前記第一遊星機構(P1)のキャリア(17)と前記第
    二遊星機構(P2)のキャリア(21)とを連動連結す
    るワンウェイクラッチ(22)をさらに備え、 第一遊星機構(P1)のリングギヤ(16)が、前記第
    二遊星機構(P2)のキャリア(21)に相対回転不能
    に噛合されており、 前記第二遊星機構(P2)のキャリア(21)と前記ハ
    ブ体(2)とを連動連結するワンウェイクラッチ(2
    3)と、前記第二遊星機構(P2)のリングギヤ(2
    0)と前記ハブ体(2)とを連動連結するワンウェイク
    ラッチ(24)と、前記第一遊星機構(P1)のキャリ
    ア(17)と前記第二遊星機構(P2)のキャリア(2
    1)とを連動連結するワンウェイクラッチ(26)とを
    さらに備えている、 請求項4記載の内装変速機付き自転車の駆動機構。
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