JP3490168B2 - 抗菌性砂の製造方法 - Google Patents
抗菌性砂の製造方法Info
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Description
競技場等に設けられた砂場用、或いはペット用、農園芸
用などに用いることができる抗菌性砂の製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】最近、公園や学校などの砂場の砂は犬猫
の糞尿などで汚染され衛生的に問題視されている。例え
ば砂場に用いられる砂は主に川砂であるが、採取直後は
細菌類による汚染は殆どない。しかし、公園や学校など
の砂場に入れられ数カ月から数年を経過すると砂中の細
菌数は砂1g当たり1000個以上、多い場合は10万
個以上存在する場合もある。この細菌数を減少させる対
策として消毒薬による消毒、オゾン水による殺菌、砂を
焼いて滅菌などの方法がとられているが、処理直後は効
果があるが、持続性がない、ランニングコストがかかる
などの問題があり、現実的な対策とはなっていなかっ
た。 【0003】上記問題を解決する方法として無機系抗菌
剤を砂と同程度の粒度の粒状物にした抗菌性砂を砂に添
加して砂場の砂などに抗菌性を付与することが行われて
いる。無機系抗菌剤とは、銀や銅等の抗菌性を示す金属
を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担持させたもの
であり、これらは有機系の抗菌剤と比較して安全性が高
いうえ、耐熱性にすぐれ揮発及び分解しないため抗菌効
果の持続性が長い特徴を有している。ところが、持続性
に優れる無機系抗菌剤を使用しても屋外の環境下で長期
に使用される場合、雨、特に酸性雨などに曝されること
により抗菌性金属が溶出したり抗菌剤自体が溶解し抗菌
効果の持続性が著しく低下する問題や太陽光で抗菌性金
属イオンが還元されることより抗菌性が著しく低下して
しまうなどの問題があった。また、抗菌剤を砂に担持さ
せる方法として、有機系又は無機系結合剤を用いて造粒
等により、砂と抗菌剤を結合剤と共に練り込み混合して
粒状化する方法と砂の表面のみに抗菌剤を担持させる被
覆加工方法があるが、砂と抗菌剤の混合物を粒状化した
場合は抗菌剤の殆どが多数の砂粒子の内部に存在するこ
とになり、十分に抗菌効果を発揮することが困難であ
り、高価な抗菌剤の有効利用に欠ける問題があった。そ
のうえ、練り込み加工は造粒等の加工工程が長く生産性
を考慮すると表面被覆加工が有効な加工方法である。一
方、表面被覆加工においても加工方法や結合剤の種類に
よっては抗菌剤が結合剤の被膜中に埋没してしまい抗菌
効果が十分発揮されなかったり、結合剤の結合能力が弱
く容易に抗菌剤が脱落するという問題があった。例えば
有機系結合剤であるエポキシ樹脂やアクリル樹脂などを
バインダ−として用いた場合には、バインダ−の被覆能
力が高いため抗菌剤がバインダ−被膜中に埋没すること
により抗菌効果が得られなかったり、無機系結合剤とし
てケイ酸塩と硬化剤に金属亜鉛を用いた場合では抗菌剤
の被膜中への埋没は少ないが、抗菌剤の結合能力が乏し
く容易に抗菌剤が砂から剥離するという問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸性雨や太
陽光に曝される屋外などで長期に使用しても抗菌効果の
低下が起こらず、持続性及び抗菌効果に優れた抗菌性砂
を効率的に得る方法を提供することを課題とするもので
ある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、抗菌性金属を含
有する特定のリン酸塩化合物と酸化亜鉛又は二酸化チタ
ンをガラス質粉末と混合し、ガラス質粉末の軟化温度以
上で加熱することによりガラス質を介して砂の表面に抗
菌剤及び酸化亜鉛又は二酸化チタンを担持させた抗菌性
砂が、優れた抗菌効果を有しており、しかも効率的及び
経済的に製造することができることを見出し、本発明を
完成するに至った。即ち、本発明は酸化亜鉛及び二酸化
チタンから選ばれる少なくとも一種の金属酸化物、下記
一般式〔1〕で表される抗菌剤、ガラス質粉末及び砂か
らなる混合物を、ガラス質の軟化温度以上の温度で加熱
することによりガラス質粉末を軟化させ、ガラス質を介
して砂の表面に抗菌剤を担持させることを特徴とする抗
菌性砂の製造方法である。 M1 a Ab M2 c (PO4 )d ・nH2 O 〔1〕 (M1 は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム及びクロムから選ばれる少なくとも
1種のl価(lは正の整数)の金属イオンであり、Aは
アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモ
ニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくとも1
種のm価(mは正の整数)のイオンであり、M2 は4価
金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であり、
a及びbはいずれもla+mb=1又はla+mb=2
を満たす正数であり、c及びdはla+mb=1の時、
c=2、d=3であり、la+mb=2の時c=1,d
=2である。) 【0006】以下、本発明について詳細に説明する。 ○抗菌剤 本発明における抗菌剤は、下記一般式〔1〕で示され
る。 M1 a Ab M2 c (PO4 )d ・nH2 O 〔1〕 (M1 は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム及びクロムから選ばれる少なくとも
1種のl価(lは正の整数)の金属イオンであり、Aは
アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモ
ニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくとも1
種のm価(mは正の整数)のイオンであり、M2 は4価
金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であり、
a及びbはいずれもla+mb=1又はla+mb=2
を満たす正数であり、c及びdはla+mb=1の時、
c=2、d=3であり、la+mb=2の時c=1,d
=2である。) 【0007】上記一般式〔1〕で示される化合物は、層
状構造又は空間群R3 Cに属する3次元編目状構造を有
する結晶性化合物又はアモルファスである。本発明にお
ける抗菌剤は、物性変化が少ないことから3次元網目状
構造を有する結晶性化合物が好ましい。上記一般式
〔1〕におけるM1 は、いずれも防かび、抗菌性及び防
藻性を示す金属として知られたものであり、これらの中
で銀は、安全性の他、防かび、抗菌性及び防藻性を高め
ることができる金属として特に有効である。 【0008】上記一般式〔1〕におけるAは、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイ
オン又は水素イオンから選ばれる少なくとも1種のイオ
ンであり、好ましい具体例には、リチウム、ナトリウム
及びカリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム又
はカルシウム等のアルカリ土類金属イオン又は水素イオ
ンがあり、これらの中では、化合物の安定性及び安価に
入手できる点からカリウム、ナトリウム及び水素イオン
が好ましいイオンである。 【0009】上記一般式〔1〕におけるM2 は、4価金
属イオンであり、好ましい具体例には、ジルコニウム、
チタン又は錫があり、化合物の安全性を考慮すると、ジ
ルコニウム及びチタンは、特に好ましい4価金属イオン
である。 【0010】上記一般式〔1〕の抗菌剤の好ましい具体
例として、以下のものがある。 Ag0.001 Li1.999 Zr(PO4 )2 Ag0.01Na1.99Zr(PO4 )2 Ag0.01K1.99Sn(PO4 )2 ・1.2H2 O Ag0.1 (NH4 )1.9 Ti(PO4 )2 ・4H2 O 及び化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電荷
量になるようにしながら、上記各式におけるAgをZ
n、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、又はCuと置換し
た化合物である。又、以下の抗菌剤も好ましいものであ
る。 Ag0.005 Li0.995 Zr2 (PO4 )3 Ag0.01(NH4 )0.99Zr2 (PO4 )3 Ag0.05Na0.95Zr2 (PO4 )3 Ag0.2 K0.8 Ti2 (PO4 )3 Ag0.1 H0.9 Zr2 (PO4 )3 Ag0.40H0.15Na0.45Zr2 (PO4 )3 Ag0.60H0.10Na0.30Zr2 (PO4 )3 及び化合物1モル当たりの銀イオンの電荷量と同じ電荷
量になるようにしながら、上記各式におけるAgをZ
n、Mn、Ni、Pb、Hg、Sn、又はCuと置換し
た化合物等である。 【0011】本発明における抗菌剤は、抗菌性金属イオ
ンをリン酸塩系化合物に担持させたものであり、リン酸
塩系化合物を合成する方法には、焼成法、湿式法及び水
熱法等があり、例えば以下のようにして容易に得ること
ができる。 ・網目状構造リン酸塩の合成 焼成法により合成する場合、炭酸リチウム(Li2CO3)又
は炭酸ナトリウム(Na 2CO3)等のアルカリ金属を含有す
る化合物、酸化ジルコニウム(ZrO2)等のジルコニウム
を含有する化合物及びリン酸二水素アンモニウム(NH4H
2PO4)等のリン酸基を含有する化合物を、モル比で約
1:4:6となるように混合し、これを1100〜1400℃で
焼成することにより、一般式〔2〕 A' x Zr2 (PO4 )3 〔2〕 (A' はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン
又はアンモニウムイオンから選ばれる少なくとも1種の
金属イオであり、xはA' が1価であるときは1であ
り、Aが2価であるときは1/2である)で示される化
合物を得る。これを、室温〜100 ℃において、適当な濃
度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬することによ
り、一般式〔1〕で示される化合物を得る。 【0012】なお、一般式〔1〕におけるAイオンが水
素イオンである化合物は、上記一般式〔2〕で表される
化合物を、室温〜100 ℃における硝酸、硫酸及び塩酸等
の無機酸水溶液中に浸漬することにより、一般式H
(1-z) A' z M2 (PO4 )3 (zは0又は1未満の
数)で示される化合物〔3〕を得、更にこれを適当な濃
度で銀イオンを含有する水溶液中に浸漬することによ
り、一般式〔1〕で示される化合物を得る。 【0013】また、湿式法により合成する場合、オキシ
塩化ジルコニウム水溶液を攪拌しながら、この中にシュ
ウ酸を加え、さらにリン酸を加える。苛性ソーダ水溶液
にて反応液のpHを3に調整し、10時間加熱還流後、
沈澱物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し、網目状リン酸ジル
コニウム[NaZr2 (PO4 )3 ]を得る。これを適
当な濃度で抗菌性金属を含有する水溶液中に浸漬するこ
とにより、一般式〔1〕で示される化合物を得る。 【0014】防かび、抗菌性及び防藻性を発揮させるに
は、一般式〔1〕におけるaの値は大きい方がよいが、
aの値が0. 001以上であれば、充分に防かび、抗菌
性及び防藻性を発揮させることができる。しかし、aの
値が0. 001未満であると、防かび、抗菌性及び防藻
性を長時間発揮させることが困難となる恐れがあるの
で、aの値を0. 01以上の値とすることが好ましい。
また、少量の添加で効果を得るためにはaの値は0.1
以上とすることがより好ましい。本発明における抗菌剤
の好ましい粒径は、砂の表面に付着しやすい大きさであ
ることから、0.1〜10μm、より好ましくは0.1
〜3μmである。 【0015】本発明における抗菌剤は熱及び光の暴露に
対して安定であり、500℃、場合によっては800℃
〜1300℃での加熱後であつても構造及び組成が全く
変化せず、紫外線の照射によっても何等変色を起こさな
い。又、本発明で用いるリン酸塩は、液体状態にある水
と接触したり、酸性溶液中でも骨格構造の変化がみられ
ない。従って、抗菌性砂に加工後の使用時において、使
用環境の制約を受けることが極めて少ない。 【0016】○金属酸化物 本発明における金属酸化物は、酸化亜鉛及び二酸化チタ
ンから選ばれる少なくとも一種であり、天然物でも合成
物でもよい。また、形状や粒子径においても特に制限は
ないが、砂の表面へ加工するため粒径は10μm以下と
細かいほうが好ましい。酸化亜鉛及び二酸化チタンは各
々単独で用いても、併用して用いてもよい。 【0017】○ガラス質粉末 本発明に用いるガラス質粉末として公知のものはどれも
採用でき、特に制限はなく、好ましい具体例として例え
ば、フリット、ゆう薬等があるが、その他に産業及び家
庭よりでるガラス廃棄物を破砕したものを使用すること
も可能である。但し、有害物質を含む有鉛ガラス質は安
全性のうえから適当でない。好ましいガラス質粉末は、
抗菌剤の優れた抗菌性を発揮させることができることか
ら、流動温度が1000℃以下のフリットである。一般
的にソーダ系ガラス質は500〜700℃程度の温度に
より軟化を開始し、次第に流動状態となり、さらに温度
が上昇することにより液状に変化することが知られてい
るが、本発明ではこのようなガラス質を用いることが好
ましく、具体例には次のものが挙げられる。 【0018】 無鉛透明ソ−ダ系ガラス質 軟化温度 540℃ 流動開始温度 635℃ 流動時温度 670℃ 溶融温度 695℃ 無鉛透明ほう酸系ガラス質 軟化温度 550℃ 流動開始温度 710℃ 流動時温度 770℃ 溶融温度 795℃ ジルコン乳白亜鉛系ガラス質 軟化温度 610℃ 流動開始温度 810℃ 流動時温度 840℃ 溶融温度 950℃ ジルコン乳白石灰系ガラス質 軟化温度 700℃ 流動開始温度 940℃ 流動時温度 990℃ 溶融温度 1110℃ 本発明に用いるガラス質粉末の好ましい粒径は、混合が
容易であること、適度な結合力を発揮することができる
こと等から、1〜20μmであり、より好ましくは3〜
10μmである。 【0019】○砂 砂は、岩石が自然の作用により細かく砕けたもの、或い
は砕石を更に細かく人工的に砕いたもの、又はそれらの
集合体の総称である。砂の粒径に関して特に制限はな
く、0.02〜5mm程度のものを使用できる。本発明
における砂は、成分、形状、色、比重等についても特に
制限はなく、用途に応じて適宜物性を選択すれば良い。 【0020】○混合及び加熱 抗菌剤、金属酸化物、ガラス質粉末及び砂の上記各成分
を混合する順序に制限はなく、これらの成分を均一に混
合すれば良い。但し、比較的少量の抗菌剤を砂と均一に
混合するには、抗菌剤、金属酸化物及びガラス質粉末
を、予め予備混合し、これを砂と混合する方法が望まし
い。本発明においてガラス質粉末を軟化させる温度はガ
ラス質の軟化温度以上であり、好ましくはガラス質の溶
融温度以下である。なお、本発明において「軟化」は
「液化」をも包含する概念である。 【0021】抗菌性砂を得るための好ましい具体的工程
を以下に説明する。 (工程例1) 抗菌剤と金属酸化物をガラス質粉末と混合攪拌する。 混合攪拌したものに砂を加えてさらに混合攪拌し、砂
の表面にブレンドされた抗菌剤とガラス質粉末をまぶ
す。 これらを焼成炉中でガラス質粉末の軟化温度以上の温
度で加熱させ、ガラス質粉末を軟化させた後、常温まで
放冷した。この例では原料の混合攪拌工程が2度になる
煩雑性を有するものの、抗菌剤をガラス質粉末にほどよ
くまぶすことができる有利性があるため、抗菌剤を効率
的に砂に担持させることができる。 (工程例2) 抗菌剤、金属酸化物、ガラス質粉末及び砂を混合攪拌
する。 混合攪拌したものを焼成炉中でガラス質粉末の軟化温
度以上の温度で加熱させ、ガラス質粉末を軟化させた
後、常温まで放冷した。この例では原料を一括して混合
攪拌するため、製造工程の煩雑さを解消できる有利性が
ある。 (工程例3) ガラス質粉末と砂を混合攪拌する。 混合攪拌したものを焼成炉中でガラス質粉末の軟化温
度以上の温度で加熱させ、ガラス質粉末を軟化させる。 ガラス質が軟化した状態のものに抗菌剤及び金属酸化
物を加えた後、常温まで放冷した。この例では抗菌剤を
添加する際に、加熱条件によりガラス質の粘度状態を制
御する煩雑さがあるものの、抗菌剤の結合能に優れる有
利性がある。 (工程例4) 砂の表面にバインダ−例えば合成樹脂接着剤を塗布さ
せ、このバインダ−を介してガラス質粉末を接着させ
る。 混合攪拌したものを適宜の炉中でガラス質粉末の軟化
温度以上の温度で加熱させ、ガラス質粉末を軟化させ
る。 ガラス質が軟化した状態のものに抗菌剤を加えた後、
常温まで放冷した。この例ではガラス質粉末を予備的に
バインダ−により砂に結合させてから、抗菌剤を添加す
る際に、ガラス質の粘度状態を制御するという煩雑さが
あるものの、砂に対し均一に抗菌剤の担持が可能なため
抗菌剤の有効活用に優れる有利性がある。 【0022】抗菌剤と金属酸化物との配合割合、及び抗
菌剤と砂との配合割合は、使用用途、使用方法、製造方
法などにより適宜変えることができる。例えば、安定し
た抗菌力を得ることができることから、金属酸化物の好
ましい配合割合は、抗菌剤と金属酸化物の合計重量に対
し10〜90重量%であり、優れた結合力を得ることが
できることから、抗菌剤及び金属酸化物の好ましい配合
割合は、抗菌剤、金属酸化物及びガラス質の合計重量に
対し20〜60重量%であり、優れたな抗菌性を有する
砂を得ることができることから、抗菌剤、金属酸化物及
びガラス質粉末の好ましい配合割合は、これらの成分と
砂の合計重量に対し0.05〜5重量%である。 【0023】この様にして得られた抗菌性砂は、その抗
菌剤成分である抗菌性リン酸塩が化学的及び物理的に優
れた安定性を有しており、酸化亜鉛又は二酸化チタンが
その効果をより安定化、向上させているため、抗菌性、
安全性及び加工性に優れる。その上、抗菌剤と砂との混
合時、及びその後の抗菌性砂の使用時に劣化することが
なく、厳しい環境下においても長期間防かび、抗菌性及
び防藻性を有する。 【0024】抗菌性砂の使用に際して、用途により適宜
その使用量又は散布方法を選択すれば良い。例えば、水
の殺菌の場合、抗菌性砂をそのまま適量を殺菌しようと
する水に添加するか、抗菌性砂を詰めたカラムに水を通
す。砂場や農園芸用砂、競技用グランド、競馬場などへ
の使用に際しては、抗菌処理を施していない砂に対し抗
菌性砂を適量散布するか、ミキサ−を使用するか手混合
により、上層にのみ抗菌性砂をよく配合する。なお、使
用する砂場の砂の粒度及び比重に近い抗菌性砂を用いた
方が抗菌性砂の混合安定性がよく、砂場における所望の
部位に抗菌性砂を長期に存在させて、抗菌性を発揮させ
ることができる。 【0025】○用途 本発明の抗菌性砂は、衛生性が必要とされる種々の分野
で有効である。具体的用途としては、例えば公園又は学
校、幼稚園などの砂場、競技場、運動場、競馬場、ゴル
フ場、ペット砂、農園芸用の土砂、水の殺菌などに使用
する濾材、外装用のモルタルなどが挙げられる。 【0026】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 【参考例1】(リン酸ジルコニウム塩系抗菌剤の調製) 硫酸ジルコニウムの水溶液及びリン酸の水溶液をジルコ
ニウムとリンの比が2:3になるように混合することに
より沈澱物を生じさせ、水酸化ナトリウムの水溶液を用
いてpHを2に調整した後、水熱状態下で130℃、1
2時間加熱することにより結晶性リン酸ジルコニウム
〔NaZr2 (PO4 )3 〕を得た。上記で得た結晶性
リン酸ジルコニウムをよく水洗後、これを硝酸銀濃度の
異なる3種の水溶液に添加し、60℃で4時間攪拌した
後、充分水洗、乾燥した。これを軽く粉砕することによ
り、銀の重量百分率が4重量%(抗菌剤A)、7重量%
(抗菌剤B)又は11重量%(抗菌剤C)である以下の
3種の抗菌剤を得た。 〔抗菌剤A〕:Ag0.2 Na0.8 Zr2 (PO4 )3 〔抗菌剤B〕:Ag0.4 Na0.6 Zr2 (PO4 )3 〔抗菌剤C〕:Ag0.55Na0.45Zr2 (PO4 )3 得られた抗菌剤は、平均粒径が0. 78ミクロンである
白色粉末である。 【0027】 【参考例2】(ゼオライト系抗菌剤の調製) 参考例1で合成した結晶性リン酸ジルコニウムに代え
て、市販のゼオライト4Aを用いた以外は参考例1と同
様にして、銀の含有割合が4重量%である抗菌性ゼオラ
イト〔抗菌剤D〕を得た。 【0028】 【参考例3】(ハイドロキシアパタイト系抗菌剤の調
製) 参考例1で合成した結晶性リン酸ジルコニウムに代え
て、ハイドロキシアパタイトを用いた以外は参考例1と
同様にして、銀の含有割合が4重量%である抗菌性ハイ
ドロキシアパタイト〔抗菌剤E〕を得た。 【0029】 【実施例1】(抗菌性砂の調製) 参考例1で得た抗菌剤、金属酸化物、ガラス質粉末及び
砂を、表1に示した各種配合比率で混合攪拌し、各混合
物を焼成炉中で700℃まで加熱し、ガラス質粉末を軟
化させた後、室温まで放冷することにより、抗菌性砂を
調製した(試料イ〜チ)。なお、金属酸化物として用い
た酸化亜鉛、二酸化チタンは顔料用として市販されてい
るものであり、ガラス質粉末は無鉛透明ソ−ダ系ガラス
であり、砂は比重2.6、かさ比重1.3、粒径約0.
5〜2mmの天然の川砂である。 【0030】 【比較例1】本発明における特定のリン酸ジルコニウム
塩系抗菌剤又は本発明における特定の金属酸化物を配合
しないこと以外は実施例1と同様にして、抗菌性砂を得
た(表2の試料リ〜ワ)。 【0031】 【比較例2】実施例1で作製した試料イにおいて、抗菌
剤Aと酸化亜鉛に代えて、抗菌剤D又は抗菌剤Eを用い
た以外は試料イと同様にして、抗菌性砂を得た(表2の
試料カ、ヨ)。 【0032】 【比較例3】実施例1で作製した試料ハにおいて、ガラ
ス質粉末に代えてベントナイトを用いた以外は試料ハと
同様にして、抗菌性砂を得ることを試みたが、抗菌剤を
砂の表面に付着させることができなかった(表2の試料
タ)。 【0033】 【比較例4】参考例1で得た抗菌剤Cを0.3重量%及
び酸化亜鉛を0.7重量%ベントナイトと混合し、粒状
化したものを、700℃で2時間焼成した後冷却し、約
1mmφの粒径を有する抗菌性砂を得た(表2の試料
レ)。また、抗菌剤Cのみを1重量%とベントナイトと
配合した後、同様に造粒し、800℃で焼成することに
より抗菌性砂を得た(表2の試料ソ)。 【0034】 【表1】 【0035】 【表2】【0036】注)上表において、割合の単位は重量%で
あり、結合剤の種類におけるglass 及びbento は、各々
ガラス質粉末とベントナイトを表す。 【0037】 【試験例】(抗菌性の評価) 実施例1、比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4
で作製した抗菌性砂の抗菌力を以下の方法により評価し
た。即ち、被検菌には大腸菌を用い、菌数が105 〜1
06 個となるように調整した菌液15ccに抗菌性砂
0.5gを添加し、37℃で振とうした。振とう開始か
ら0時間後(初発菌数)、1時間後及び3時間後に、こ
れらの試験液について、菌数測定用培地を用いる混釈平
板培養法(37℃2日間)により生菌数を測定した。上
記のようにして得られた抗菌性試験の結果を下記表3及
び表4に示した。なお、抗菌性試験の初発菌数は6.1
×105 、抗菌性砂を添加しない菌液について同様の操
作を行った対照菌数は1時間後5.9×105 、3時間
後4.9×105 であった。 【0038】 【表3】 【0039】 【表4】【0040】上記表3に示した結果(試料イ〜試料チ)
及び上記表4に示した結果(試料リ〜試料ヨ)から、本
発明における特定の抗菌剤又は金属酸化物を配合しない
で作製した砂と比較して、本発明により得た抗菌性砂
は、1時間後において既に優れた抗菌効果を発揮し、抗
菌力が格段に優れていることがわかる。また、試料イ〜
試料チは、1か月間屋外に放置して日射及び風雨に晒し
た後においても、表3に示したと同様に優れた抗菌効果
を示した。一方、結合剤としてベントナイトを用いた試
料タは、ベントナイトの結合力が不足しているため、抗
菌剤を砂の表面に担持させることができず、抗菌剤又は
これと金属酸化物を多量のベントナイトと練り込み混合
した後、焼成して得た試料レ及び試料ソは、抗菌剤を担
持することができたものの、表4に示した通り、本発明
の方法により得た砂に比較して抗菌力が劣っていた。 【0041】なお、表4の結果において、試料ル及び試
料ソは3時間後の菌数が少なく、一見抗菌力が優れてい
るように見えるが、周囲から定常的に菌が侵入してくる
砂場で抗菌性砂を利用する場合を想定すると、短時間で
減菌する能力がないと、砂場の菌数は増加してしまい、
砂場における菌数を低い水準で維持することができず、
実用的でないという問題がある。それに対して、本発明
により得た砂はそのような問題がなく、砂場における菌
数の低減化にも充分に有効である。 【0042】 【発明の効果】本発明により、酸性雨や太陽光に曝され
る屋外などで長期に使用しても抗菌効果の低下が起こら
ず、持続性及び抗菌効果に優れた抗菌性砂を効率的に得
ることができる。本発明により得られる抗菌性砂は、屋
外の厳しい環境下でも高い抗菌効果を長期に持続するこ
とができ、特に砂場の滅菌用、或いは外装用建材の構成
成分等として極めて有用である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】酸化亜鉛及び二酸化チタンから選ばれる少
なくとも一種の金属酸化物、下記一般式〔1〕で表され
る抗菌剤、ガラス質粉末及び砂からなる混合物を、ガラ
ス質の軟化温度以上の温度で加熱することによりガラス
質粉末を軟化させ、ガラス質を介して砂の表面に抗菌剤
を担持させることを特徴とする抗菌性砂の製造方法。 M1 a Ab M2 c (PO4 )d ・nH2 O 〔1〕 (M1 は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バ
リウム、カドミウム及びクロムから選ばれる少なくとも
1種のl価(lは正の整数)の金属イオンであり、Aは
アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモ
ニウムイオン及び水素イオンから選ばれる少なくとも1
種のm価(mは正の整数)のイオンであり、M2 は4価
金属イオンであり、nは0≦n≦6を満たす数であり、
a及びbはいずれもla+mb=1又はla+mb=2
を満たす正数であり、c及びdはla+mb=1の時、
c=2、d=3であり、la+mb=2の時c=1,d
=2である。)
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