JP3488770B2 - 中空導波路およびその製造方法並びに光伝送方法 - Google Patents

中空導波路およびその製造方法並びに光伝送方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視領域ばかりで
なく、石英系光ファイバでは伝送できない赤外波長帯や
紫外波長帯など、広範囲の波長帯における光を伝送可能
な中空導波路及びその製造方法並びに光伝送方法に関す
るものであり、かかる本発明の中空導波路は医療、工業
加工、計測、分析、化学等の分野で有用である各種レー
ザ光の伝送に好適な可撓性を有する中空導波路である。
【0002】
【従来の技術】波長2μm以上の赤外光は、医療、工業
加工、計測、分析、化学等様々な分野で利用されてい
る。特に、波長2.94μm帯のEr−YAGレーザ、
5μm帯のCOレーザ、10.6μm帯のCO2 レーザ
は、発振効率が高く高出力が得られ、また水に対しても
大きな吸収をもつため、医療用の治療機器や工業加工用
などの光源として極めて重要である。
【0003】ところで、従来の通信用に使用されている
石英系光ファイバは、波長2μm以上では分子振動によ
る赤外吸収が大きくなり極めて高損失となる。このため
これらのレーザ光を伝送する導波路として石英系の光フ
ァイバを使用することができない。
【0004】そこで応用範囲の広い赤外波長帯で用いる
新しいタイプの光導波路の開発が活発となっている。現
在、研究開発がなされている波長2μm以上の赤外光用
の導波路は、充実タイプのいわゆる赤外ファイバと中空
導波路に大別できる。
【0005】赤外ファイバの材料を分類すると、重金属
酸化物ガラス(GeO2 ,GeO2−Sb3 3 等)、
カルコゲナイドガラス(As−S,As−Se等)、そ
してハロゲン化物に分けられる。ハロゲン化物は、さら
にハライドガラス(ZnCl2 ,CdF3 −BaF2
ZrF4 等)、結晶性金属ハロゲン化物(KRS−5,
AgCl,AgBr,KCl等)に分けられる。
【0006】中空導波路も構造、材料、形状の観点から
種々の導波路が提案、試作されている。その中で特に金
属パイプ内部に高反射コーティングを施した誘電体内装
金属中空導波路は、大電力伝送のレーザ加工に適用する
ことを目的として提案されたものであり、ゲルマニウム
や硫化亜鉛等の誘電体となる無機材料の薄膜をニッケル
等の金属パイプの内壁に形成した導波路が開発されてい
る。この導波路は、まずエッチング可能なアルミニウム
等の母材となるパイプの外周にゲルマニウムや硫化亜鉛
等の薄膜をスパッタリング法により形成し、さらにその
外周に電気めっき法によって厚肉のニッケル層を形成
し、最後に母材パイプを化学的にエッチング除去するこ
とにより製造される。また、ゲルマニウムや硫化亜鉛薄
膜と機械的強度を保つための厚肉ニッケル層との間に銀
薄膜を介在させて、さらなる低損失な導波路を得ること
もできる。これまでに伝送損失0.05dB/m、伝送容量
3kWを達成し、金属板の切断および溶接に十分なエネル
ギーを伝送できることが確認されている。このような中
空導波路は、充実タイプの赤外ガラスファイバと比較し
て、入出力端での反射が少なく、また冷却効率が高いの
で、特に大電力伝送に有利である。
【0007】一方、紫外領域においても、エキシマレー
ザ等レーザ化学の分野で重要な光源が存在する。しかし
充実タイプの光ファイバでは、レイリー散乱により短波
長ほど損失が急増し伝送路として使用することが本質的
にできない。そのため従来このような紫外領域における
導波路の研究開発はほとんどなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、赤外波長帯
で用いる充実タイプの光ファイバは、一般に屈折率が高
く光入力端での反射損が大きいため大電力伝送には不利
である。特に上述した従来のガラス質の光ファイバは、
一般に融点や軟化点が低いため、わずかな損失でも光フ
ァイバ端面に損傷が生じやすい。また透過域もほとんど
が波長6〜7μm以下でCO2 レーザ光を伝送すること
は困難である。結晶性の赤外ファイバは、透過域がCO
2 レーザの波長帯10.6μmまで達するものもある
が、繰り返し曲げにより塑性変形が生じたり、また潮解
性が大きいなど長期信頼性に問題がある。
【0009】一方、これまでに提案されている無機材料
を内装した中空導波路は、製作工程が複雑で量産には限
界があり、細径化や長尺化が困難である。前述した従来
の誘電体内装金属中空導波路では、内装する薄膜はスパ
タッリング法により形成されるので、その導波路の長さ
は製造装置に依存し、実際に製造される導波路の長さは
高々数mである。また導波路の内径は、最終工程でエッ
チング除去される母材パイプの外径になる。母材パイプ
は完全に除去されなければならず、そのため導波路の内
径を極めて小さくすることはできない。現状の導波路の
最小径は1mm程度である。導波路径が大きいほど機械的
に曲げにくく、また曲げ損失が増大するのに加え、多く
の高次モードのレーザ光が伝搬するので、集光特性が劣
化するという問題がある。
【0010】また、紫外波長帯においては、充実タイプ
の光ファイバでは短波長ほどレイリー散乱による損失が
急激に増加する。このため導波路の開発はほとんど行わ
れていないのが現状であるが、レイリー散乱が無視でき
る中空構造の導波路が有望と考えられる。
【0011】そこで本発明は、上記課題を解決し、石英
系光ファイバが使用できない光の波長帯において、低損
失で量産性に優れ、長尺あるいは細径化が容易で、しか
も長期的信頼性の優れた中空導波路およびその製造方
法、並びに当該中空導波路を用いた光伝送方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の中空導波路は、中空の金属導波路内壁に誘電
体層が内装され、波長が2μm以上の赤外線レーザ光を
伝送する中空導波路において、前記誘電体層が塗膜によ
って形成された酸化ケイ素または窒化ケイ素を主成分と
するケイ酸塩材料または有機ポリシロキサン等のシロキ
サン材料であり、伝送する上記赤外レーザ光の波長に対
して伝送損失が最小となる膜厚に設定されていることを
特徴とする中空導波路である。
【0013】ここで、前記中空の金属導波路は、リン青
銅パイプまたはステンレスパイプ等の金属パイプまたは
これとは別の金属材料からなる金属薄膜を内壁面に設け
た金属パイプ、もしくはフッ素樹脂または石英ガラス等
の非金属パイプの内壁に少なくとも一種類の金属薄膜を
設けて形成されているものが好適である。
【0014】なお、前記金属パイプまたは非金属パイプ
の内壁に形成される金属膜は金、銀、銅、モリブデン若
しくはニッケルのいずれかであることが好ましい。
【0015】また、本発明の光伝送方法は、上記した中
空導波路の中空領域に、可視光および波長2μm以上の
赤外光とを重畳または切り替えて伝送させ、さらに空
気、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガスまたは炭酸
ガスからなる気体を前記中空導波路内部に流入させるこ
とを特徴とする光伝送方法である。
【0016】 また、本発明の中空導波路の製造方法
は、中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素または窒化ケイ
素を主成分とするケイ酸塩材料またはシロキサン材料
らなる誘電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レ
ーザ光を伝送する中空導波路の製造方法であって、有機
溶媒にケイ素化合物、ガラス質形成剤及び有機バインダ
ーを加えて溶解した前駆体溶液またはシロキサンの前駆
体溶液を前記中空の金属導波路の中空領域に供給した後
に排出することにより前記中空の金属導波路内壁に前記
前駆体溶液の塗膜を形成した後、該塗膜を加熱すること
により乾燥、固化することによって前記金属導波路の内
壁にケイ酸塩材料またはシロキサン材料からなり、伝
送する上記赤外レーザ光の波長に対して伝送損失が最小
となる膜厚に設定されている塗膜からなる誘電体層を形
成することを特徴とする中空導波路の製造方法である。
【0017】ここで、加熱により乾燥、固化することに
よってケイ酸塩材料となる前駆体溶液としては、有機溶
媒にケイ素化合物、ガラス質形成剤及び有機バインダー
を加えて溶解した前駆体溶液、ケイ素のアルコキシドあ
るいはこれと他の金属アルコキシドとを任意の溶媒中で
加水分解による重縮合反応を行わせてコロイド粒子を生
成せしめた前駆体溶液、酸化ケイ素微粉末または窒化ケ
イ素微粉末を任意の溶媒に分散させた前駆体溶液、水ガ
ラスを酸処理してコロイド粒子にした前駆体溶液、有機
溶媒で希釈したポリシラザンの前駆体溶液を用いること
ができ、またシロキサン材料となる前駆体溶液として
は、有機ポリシロキサンの前駆体溶液を用いることがで
きる。
【0018】なお、ポリシラザンの前駆体溶液を用いる
場合には、中空の金属導波路の中空領域に空気、窒素ガ
スまたは酸素ガスを供給してポリシラザンを酸化もしく
は窒化させながら加熱により乾燥、固化させるように
し、ポリシラザン以外の上記した前駆体溶液を用いる場
合には、中空の金属導波路の中空領域に空気または不活
性ガスからなる乾燥ガスを供給しながら加熱により乾
燥、固化することが好ましい。
【0019】また、中空の金属導波路内壁に前駆体溶液
の塗膜を形成する際、前駆体溶液を金属導波路の一端か
らポンプにより供給して充填した後、金属導波路の他端
から前記前駆体溶液を真空ポンプで排出して前記前駆体
溶液の塗膜を形成することが好ましい。
【0020】また、前駆体溶液の粘度、固形分含有量及
び塗布速度を調整することはもちろん、前駆体溶液の充
填、排出からなる塗膜形成の工程から加熱による乾燥・
固化工程に至るまでの一連の工程を繰り返すことによ
り、所望の膜厚の誘電体層を形成することができる。
【0021】このように、本発明の中空導波路によれ
ば、ケイ酸塩材料またはシロキサン材料を誘電体として
内装しているので、導波路内に伝送される光のほとんど
が中空領域を伝搬し、光が導波路内を伝搬する際にケイ
酸塩またはシロキサン材料による誘電体層で吸収される
光エネルギーの量はわずかであるため低損失で光伝送を
行うことができ、しかも高い耐熱性を有するため大電力
のレーザ光伝送に適している。
【0022】そして、このような本発明の中空導波路で
あれば、空気、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス
または炭酸ガスからなる気体を前記中空導波路内部に流
入させながら、波長2μm以上の赤外レーザ光に照射位
置を目視により確認するための可視光を重畳または切り
替えた光伝送が可能となる。
【0023】また、本発明の中空導波路の製造方法によ
れば、中空の金属導波路の内部に溶媒で溶解したケイ酸
塩またはシロキサン材料の前駆体溶液を供給・充填し、
これを排出した後、加熱により乾燥、固化させることで
金属導波路の内壁にケイ酸塩またはシロキサン材料によ
る誘電体層が形成され、この誘電体層の厚さは、充填、
排出および乾燥の工程の回数、溶液粘度、固形分含有
量、塗布速度の製造条件によって任意にしかも精度よく
制御することができる。さらにこの製造方法は、可撓性
の優れた細径な導波路の製造にも適用でき、しかも形成
される導波路の長さは製造装置に依存せず長尺化も容易
である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて詳述する。図1は本発明の中空導波路の
一実施形態を示す断面図である。同図に示すように、金
属導波路1と、この金属導波路1の内壁に設けられたケ
イ酸塩またはシロキサン材料からなる誘電体層2と、こ
の誘電体層2の内壁によって区画される中空領域3とで
誘電体内装金属中空導波路4が形成されている。
【0025】中空導波路4内に入射される光(レーザ
光)は、中空領域3と誘電体層2との境界および誘電体
層2と金属導波路1との境界で反射を繰り返し伝搬す
る。ここで、金属導波路1は光学的に伝送特性に関与す
るだけでなく、中空導波路4の機械的強度を保つ働きも
している。したがって、低損失化のためには誘電体層2
に接する金属として、例えば銀や金のように複素屈折率
の絶対値が大きい金属が有効であるが、金属導波路1と
して銀や金などのパイプを用いることは、経済的、機械
的特性を考慮すると実用的ではない。
【0026】一般に、中空導波路4内を伝送するレーザ
光に対し、金属材料は光の吸収が大きいため、レーザエ
ネルギーは金属導波路1内に深く入り込むことはなく、
誘電体層2に接する金属層はその厚さがスキンデプス以
上あれば十分である。したがって、金属導波路1とし
て、安価で機械的特性の優れた厚肉の金属パイプの内壁
に、別の金属材料からなる複素屈折率の絶対値が大きい
金属薄膜をスキンデプス以上の厚さで形成した金属パイ
プを用いても良い。この場合、機械的強度を保つ厚肉の
金属パイプとしては、機械的曲げ特性の優れたリン青銅
パイプや、化学的に安定で内壁表面粗さの小さいパイプ
が安価に入手できるステンレスパイプが特に好適であ
る。またこれらのパイプ内壁に形成される別の金属材料
からなる金属薄膜には、複素屈折率の絶対値が特に大き
い金、銀、銅あるいは硬質で傷のつきにくいモリブデン
が特に好適である。本発明の中空導波路はこのような複
数の金属層からなる金属パイプに対しても有効である。
【0027】また、上記したように誘電体層2に接する
金属層は、その厚さがスキンデプス以上あれば十分であ
るため、金属導波路1としては、上述の金属パイプある
いは金属薄膜内装金属パイプの代わりに、金属薄膜を内
装した非金属パイプを用いてもよい。この場合非金属パ
イプとしては、フッ素樹脂パイプや石英ガラスパイプが
特に好適である。フッ素樹脂パイプは可撓性や耐薬品性
に優れており、石英ガラスパイプは耐薬品性に優れてい
るだけでなく、内壁の表面粗さが極めて小さいので伝送
損失低減に有効である。ガラスパイプの機械的強度は、
ガラスパイプ外面に樹脂を塗布することにより飛躍的に
向上させることができる。これらの非金属パイプに内装
する金属薄膜は、前述した金属パイプの場合と同様に、
複素屈折率の絶対値が特に大きい金、銀、銅あるいは硬
質で傷のつきにくいモリブデンが特に好適である。光学
的にはこれらの金属薄膜が1層で十分であるが、金属層
の付着力を高めるため非金属パイプとこれら金属薄膜と
の間に例えばニッケル層等の金属膜を介在させることは
有効である。この場合、非金属パイプ内部に無電解のニ
ッケルめっき液を流入して排出することにより付着力の
優れたニッケル層を容易に形成できる。
【0028】なお、金属パイプあるいは非金属パイプ内
壁に内装される金属膜の厚さは、上述した通り、スキン
デプス以上あれば十分であるが、あまり厚すぎると金属
薄膜の内部応力および線膨張係数の違いにより付着力の
低下を招く虞があるため、50μm以下とすることが望
ましい。
【0029】次に、誘電体層として用いられるケイ酸塩
またはシロキサン材料について説明する。これらの材料
には、低屈折率で紫外領域から赤外領域までの幅広い領
域で透明なものが存在する。このようなケイ酸塩または
シロキサン材料には、赤外波長帯で材料固有の吸収ピー
クが存在するが、これは波長に対して離散的に存在し、
例えばEr−YAGレーザ、COレーザ、CO2 レーザ
などの実用上重要なレーザの発振波長を避けることがで
きる。赤外領域において、材料固有の吸収ピークを有す
る波長帯以外でもケイ酸塩またはシロキサン材料の吸収
係数はゲルマニウムや硫化亜鉛などの無機材料と比較す
れば大きい。しかし、充実タイプの光ファイバと異な
り、中空導波路は伝送されるレーザエネルギーのほとん
どが、損失の無い中空領域3に集中し、わずかに誘電体
層2に吸収されるだけなので、導波路の伝送損失は極め
て小さい。
【0030】また、誘電体内装金属中空導波路では、内
装される誘電体層の屈折率が21/2に近いほど伝送損失
が小さくなることが理論的に開示されている(A.Hongo,
K.Morosawa,T.Shiota,Y.Matsuura, and M.Miyagi, IEEE
J. Quantum Electron.,vol.26,1510,1990)。従来から
誘電体として用いられていたゲルマニウムの屈折率は
4、硫化亜鉛の屈折率は2.3であるのに対し、ケイ酸
塩またはシロキサン材料の屈折率は1.45〜1.7程
度でより低損失な導波路を実現することができる。さら
に屈折率が低いということは、内装する誘電体層の膜厚
許容範囲が広くなり製作上有利である。
【0031】さらにケイ酸塩またはシロキサン材料は高
い耐熱温度、耐久性を有する。前述のようにケイ酸塩ま
たはシロキサン材料による誘電体層中を伝搬するレーザ
エネルギーはわずかであるが、吸収されたレーザエネル
ギーは全て熱に変換されるので、特に本発明のような高
いレーザエネルギーの伝送路においては、耐熱性、耐久
性は重要である。ケイ酸塩またはシロキサン材料は、熱
変形や熱分解を起こすこと無く、また有害物質発生の懸
念が少ない。このようにケイ酸塩またはシロキサン材料
は、本発明の目的とするレーザ光の伝送路として好適な
材料である。
【0032】なお本実施の形態で説明した中空導波路で
は、CO2 レーザ光などにHe−Neレーザなどの可視
光を重畳または切り替えて伝送させることが可能であ
る。これは目に見えないレーザ光を安全に目的物に照射
するために極めて有効である。さらに同時に乾燥させた
空気、窒素、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス等)、
炭酸ガスなどの気体を導波路内部に流入できるのは中空
導波路の大きな特長である。これらの乾燥ガスは導波路
内部への粉塵や水分の侵入を防止するだけでなく、導波
路の冷却にも効果がある。さらに例えば医療用において
は、レーザ光と同時に患部へ空気、窒素、炭酸ガスなど
を噴射する必要があり、別経路で導入することなく導波
路の中空構造を利用することができる。
【0033】次に、本発明の中空導波路の製造方法につ
いて説明する。ケイ酸塩またはシロキサン材料からなる
誘電体層は、任意の有機溶媒に溶解されたケイ酸塩また
はシロキサン材料の前駆体溶液を、金属導波路となるパ
イプの内部に供給した後に排出することにより塗膜を形
成した後、この塗膜を加熱により乾燥、固化することに
よりパイプ内壁に直接成膜することができる。その膜厚
は固形分含有量、粘度、塗布速度などの使用条件によっ
て制御することができる。内装されるパイプは、コイル
状にすることにより長尺化が容易である。
【0034】図2は本発明の中空導波路の製造方法を示
す説明図であり、同図(a)は金属導波路内壁にケイ酸
塩材料の前駆体溶液の塗膜を形成する工程を示す説明
図、同図(b)は前駆体溶液の塗膜を乾燥・固化する工
程を示す説明図である。
【0035】図2(a)に示すように、容器5内にケイ
酸塩材料の前駆体溶液6(例えば東京応化製OCD)が
収容されている。このケイ酸塩材料の前駆体溶液6は、
ケイ素化合物にガラス質形成剤、有機バインダーを加
え、さらにこれらをアルコール、エステル、ケトンなど
からなる有機溶剤に溶解したものである。パイプ7は図
1で説明した金属導波路1に相当し、前述のように金属
パイプあるいは既に金属薄膜が内装されている非金属パ
イプ等が用いられる。本実施例では、内径700μm、
外径800μmの石英キャピラリーの内壁に銀薄膜がコ
ートされているものを用いた。ケイ酸塩材料の前駆体溶
液6は送液ポンプ8によりパイプ7内部へ充填、排出さ
れこの工程によって、パイプ7の内壁にケイ酸塩材料の
前駆体溶液の塗膜が形成される。
【0036】次に図2(b)に示すように、ケイ酸塩材
料の前駆体溶液の塗膜が形成されたパイプ7を200℃
程度に調節されている電気炉9の中に入れ、前駆体溶液
の塗膜の乾燥を行う。この際、乾燥が十分行われるよう
にパイプ7の内部には、真空ポンプ10とガス流量計1
1とによって空気や窒素ガス、あるいはヘリウムガスな
どの不活性ガスからなる乾燥ガスを流す。
【0037】ケイ酸塩材料からなる膜が所望の膜厚にな
るまで、図2(a)と図2(b)とで示した工程を数回
繰り返し、最後に450℃程度に再設定された電気炉9
により約1時間加熱して完全乾燥させることにより、パ
イプ7内にケイ酸塩材料の薄膜を有する中空導波路が形
成される。このケイ酸塩材料は多量の酸化ケイ素ガラス
(SiO2 )を含んでおり、耐熱性、耐久性が極めて高
い。
【0038】以上の説明では、パイプ7に内装されるケ
イ酸塩材料として、ケイ素化合物にガラス質形成剤、有
機バインダーを加え、さらにこれらを有機溶剤に溶解し
た前駆体溶液を用いた場合について説明した。ケイ酸塩
材料の薄膜は、このような前駆体溶液を用いる以外に
も、シリコンメトキシドやシリコンエトキシドなどのケ
イ素のアルコキシド、あるいはこれと他の金属アルコキ
シドをアルコールなどの適当な溶媒中で加水分解し、重
縮合反応を行わせてコロイド粒子にした前駆体溶液を用
い、これを高温加熱により乾燥、固化することによって
も形成することができる。さらに四塩化ケイ素の火炎加
水分解などで得られる非晶質の酸化ケイ素微粉を適当な
溶媒に分散させることによって、あるいはK2 O−Si
2 などの水ガラスの酸処理によってコロイド粒子にし
た前駆体溶液を用い、これを高温加熱により乾燥、固化
することによっても形成することができる。さらにパイ
プ7に内装されるケイ酸塩材料は、−Si−N−を主鎖
とするポリシラザンをキシレンで希釈しこれをパイプ7
に供給、排出して塗膜を形成した後、、空気、窒素ガス
または酸素ガスの雰囲気のもと高温加熱して形成するこ
ともできる。この場合窒素ガスと酸素ガスの混合の割合
を調節することによって内装されるケイ酸塩材料の光学
定数を変化させることができる。
【0039】また以上の説明では、酸化ケイ素ガラスま
たは窒化ケイ素ガラスを主成分としたケイ酸塩材料から
なる膜を内装誘電体層として用いた場合について説明し
たが、ケイ酸塩材料以外に、シリコーン樹脂、シリコー
ンゴムといった有機シロキサン材料を用いることもでき
る。シロキサン材料の場合も使用する材料の特性に応じ
て、図2(b)の電気炉9の設定温度を適当に変えれば
同様に製作が可能である。シロキサン材料としては、例
えば有機ポリシロキサンのポリジメチルシロキサンを用
いることができ、その前駆体溶液(一例としてOhio Val
ley Special Chemical Inc. 製OV−1)はトルエン、
アセトン、n-ヘキサン、クロロフォルムなどの溶媒によ
って希釈され樹脂分含有量、粘度を調節したものを用い
れば良い。
【0040】次に、本発明の実施の形態の作用について
説明する。図3に、本発明によるケイ酸塩またはシロキ
サン材料からなる誘電体内装銀中空導波路における内装
誘電体薄膜の膜厚と伝送損失との関係(実線)を示す。
横軸は内装誘電体の膜厚、縦軸は基本伝搬モードである
HE11モードの伝送損失を表している。比較のため従
来のゲルマニウム内装銀中空導波路の場合(波線)も合
わせて示してある。但し、ここで伝送する光はCO2
ーザとし波長は10.6μmの場合を示した。また導波
路径は800μmとした。
【0041】ゲルマニウムの屈折率は4であるのに対
し、ケイ酸塩またはシロキサン材料の屈折率は1.45
〜1.7程度と低い。このため図3に示すように、ケイ
酸塩またはシロキサン材料を用いた誘電体内装銀中空導
波路の場合は、従来のゲルマニウム内装銀中空導波路と
比較して、内装する薄膜の膜厚に対する最低損失が約1
/3に低減される。さらに伝送損失は、内装する薄膜の
膜厚に対して周期的に変化するが、ケイ酸塩またはシロ
キサン材料を内装した場合には伝送損失の変化が緩やか
となり、製作上の薄膜の膜厚許容範囲を広くとることが
できる。同図よりCO2 レーザ光を伝送させる場合に
は、ケイ酸塩またはシロキサン材料の膜厚が1〜1.5
μmのとき伝送損失が最小値をとることがわかる。この
最適膜厚は、伝送するレーザ光の波長によってそれぞれ
異なるが、図3に示したCO2 レーザ光の伝送に限ら
ず、ケイ酸塩またはシロキサン材料の吸収波長帯を除く
任意の波長に対しても同様に、伝送するレーザ光の波長
に応じて最適な膜厚に設定すれば、低損失な導波路が実
現可能である。
【0042】一般に本発明で使用するケイ酸塩またはシ
ロキサン材料は、赤外領域において材料固有の吸収損失
が存在する。一例としてCharles J.Pouchert, “The Al
drichLibrary of FI-IR Spectra ”,Edition 1,volume
1,p.1210,1985.(Aldrich chemical company出版)に掲
載されているポリジメチルシロキサンの吸収特性曲線を
図4に示す。この図からわかるように吸収特性曲線は、
波長3.3μm、8μm、9〜10μm、12.5μm
付近に大きな吸収ピークが存在する。このような吸収損
失が大きな波長帯では、誘電体薄膜を内装させても導波
路の低損失化には効果がない。
【0043】しかしながら赤外領域において実用上重要
な光源とされるEr−YAGレーザ、COレーザ、CO
2 レーザの発振波長帯である2.94μm、5μm、1
0.6μmには大きな吸収ピークは見られない。したが
ってこれらのレーザ光は低損失で伝送することができ
る。
【0044】このように内装するケイ酸塩またはシロキ
サン材料からなる誘電体層の膜厚を波長に対して適宜設
定することにより、材料特有の吸収ピークの波長を除け
ば、紫外から赤外の広範囲な波長領域にわたり低損失導
波路の実現が可能である。
【0045】以上述べたように、本発明の中空導波路に
よれば、導波路内に伝送される光のほとんどが中空領域
を伝搬し、光が導波路内を伝搬する際にケイ酸塩または
シロキサン材料からなる誘電体層で吸収される光の量は
わずかであるため、低損失で光伝送を行うことができ
る。しかも、細径導波路に適用できるため可撓性に優れ
ている。
【0046】また、本発明の中空導波路を用いた光伝送
方法によれば、紫外から赤外の広範囲な波長領域の光を
伝送できるため、紫外光または赤外光と可視光とを重畳
あるいは切り替えて伝送することができる。
【0047】さらに、本発明の中空導波路の製造方法に
よれば、中空の金属導波路の中に溶媒で溶解したケイ酸
塩またはシロキサン材料の前駆体溶液を充填し、これを
排出した後乾燥、固化させることで金属中空導波路の内
壁にケイ酸塩またはシロキサン材料の誘電体層が容易に
形成され、この誘電体層の厚さは、充填、排出および乾
燥の工程の回数、溶液の粘度、固形分含有量、塗布速度
などの製造条件によって任意にしかも精度よく制御する
ことができる。さらにこの製造方法は、可撓性の優れた
細径な導波路の製造にも適用でき、しかも形成される導
波路の長さは製造装置に依存せず長尺化も容易となる。
【0048】
【発明の効果】以上要するに、本発明によれば次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0049】(1) 可視光ばかりでなく、石英系光ファイ
バが使用できない広い波長帯において、低損失にレーザ
光を伝送できる。
【0050】(2) 耐熱性、耐久性に優れており、高いエ
ネルギーをもつレーザ光伝送用導波路に適している。
【0051】(3) 導波路の細径化や長尺化が容易であ
り、量産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空導波路の一実施形態を示す断面図
である。
【図2】本発明の中空導波路の製造方法を示す説明図で
あり、(a)は金属導波路内壁にケイ酸塩材料の前駆体
溶液の塗膜を形成する工程を示す説明図、(b)は前駆
体溶液の塗膜を乾燥・固化する工程を示す説明図であ
る。
【図3】本発明の中空導波路における内装誘電体層の膜
厚とレーザ光の伝送損失との関係を示す説明図である。
【図4】本発明の中空導波路に誘電体層として使用され
るシロキサン材料の吸収特性の一例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 金属パイプ 2 ケイ酸塩またはシロキサン材料からなる誘電体層 3 中空領域 4 誘電体内装金属中空導波路 5 容器 6 前駆体溶液 7 パイプ 8 送液ポンプ 9 電気炉 10 真空ポンプ 11 流量計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−148440(JP,A) 特開 平5−188225(JP,A) 特開 昭63−187204(JP,A) 特開 平7−294762(JP,A) 特開 昭63−266404(JP,A) 特開 平5−19124(JP,A) 特開 平1−96603(JP,A) 特開 昭53−107295(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空の金属導波路内壁に誘電体層が内装
    され、波長が2μm以上の赤外レーザ光を伝送する中空
    導波路において、前記誘電体層が塗膜によって形成され
    酸化ケイ素または窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩
    材料であり、伝送する上記赤外レーザ光の波長に対して
    伝送損失が最小となる膜厚に設定されていることを特徴
    とする中空導波路。
  2. 【請求項2】 中空の金属導波路の内壁に誘電体層が内
    装され、波長が2μm以上の赤外レーザ光を伝送する
    空導波路において、前記誘電体層が塗膜によって形成さ
    れたシロキサン材料であり、伝送する上記赤外レーザ光
    の波長に対して伝送損失が最小となる膜厚に設定されて
    いることを特徴とする中空導波路。
  3. 【請求項3】 前記シロキサン材料が有機ポリシロキサ
    ンであることを特徴とする請求項2に記載の中空導波
    路。
  4. 【請求項4】 前記中空の金属導波路が、金属パイプま
    たは金属パイプの内壁面に該金属パイプとは異なる材料
    の金属薄膜を設けたものであることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の中空導波路。
  5. 【請求項5】 前記金属パイプはリン青銅パイプまたは
    ステンレスパイプのいずれかであることを特徴とする請
    求項4に記載の中空導波路。
  6. 【請求項6】 前記中空の金属導波路が、非金属パイプ
    の内壁に少なくとも一種類の金属薄膜を設けて形成され
    ていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の中空導波路。
  7. 【請求項7】 前記非金属パイプはフッ素樹脂または石
    英ガラスのいずれかであることを特徴とする請求項6に
    記載の中空導波路。
  8. 【請求項8】 前記金属パイプまたは非金属パイプの内
    壁に形成される金属膜は金、銀、銅、モリブデン若しく
    はニッケルのいずれかであることを特徴とする請求項4
    または請求項6に記載の中空導波路
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項8に記載の中空導波
    路の中空領域に空気、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活
    性ガスまたは炭酸ガスからなる気体を流入させながら、
    可視光および波長2μm以上の赤外光とを重畳または切
    り替えて伝送させることを特徴とする光伝送方法。
  10. 【請求項10】 中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素ま
    たは窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩材料からなる誘
    電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レーザ光を
    伝送する中空導波路の製造方法であって、有機溶媒にケ
    イ素化合物、ガラス質形成剤及び有機バインダーを加え
    て溶解した前駆体溶液を前記中空の金属導波路の中空領
    域に供給した後に排出することにより前記中空の金属導
    波路内壁に前記前駆体溶液の塗膜を形成した後、該塗膜
    を加熱することにより乾燥、固化することによって前記
    金属導波路の内壁にケイ酸塩材料からなり、伝送する
    上記赤外レーザ光の波長に対して伝送損失が最小となる
    膜厚に設定されている塗膜からなる誘電体層を形成する
    ことを特徴とする中空導波路の製造方法。
  11. 【請求項11】 中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素ま
    たは窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩材料からなる誘
    電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レーザ光を
    伝送する中空導波路の製造方法であって、ケイ素のアル
    コキシド、あるいはこれと他の金属アルコキシドとを任
    意の溶媒中で加水分解による重縮合反応を行わせてコロ
    イド粒子を生成せしめ、このコロイド粒子を含む前駆体
    溶液を前記中空の金属導波路の中空領域に供給した後に
    排出することにより前記中空の金属導波路内壁に前記前
    駆体溶液の塗膜を形成した後、該塗膜を加熱により乾
    燥、固化して前記金属導波路の内壁にケイ酸塩材料か
    らなり、伝送する上記赤外レーザ光の波長に対して伝送
    損失が最小となる膜厚に設定されている塗膜からなる
    電体層を形成することを特徴とする中空導波路の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素ま
    たは窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩材料からなる誘
    電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レーザ光を
    伝送する中空導波路の製造方法であって、酸化ケイ素微
    粉末または窒化ケイ素微粉末を任意の溶媒に分散させた
    前駆体溶液を前記中空の金属導波路の中空領域に供給し
    た後に排出することにより前記中空の金属導波路内壁に
    前記前駆体溶液の塗膜を形成した後、該塗膜を加熱によ
    り乾燥、固化して前記金属導波路の内壁にケイ酸塩材
    料からなり、伝送する上記赤外レーザ光の波長に対して
    伝送損失が最小となる膜厚に設定されている塗膜からな
    誘電体層を形成することを特徴とする中空導波路の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素ま
    たは窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩材料からなる誘
    電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レーザ光を
    伝送する中空導波路の製造方法であって、水ガラスを酸
    処理してコロイド粒子にした前駆体溶液を前記中空の金
    属導波路の中空領域に供給した後に排出することにより
    前記中空の金属導波路内壁に前記前駆体溶液の塗膜を形
    成した後、該塗膜を加熱により乾燥、固化して前記金属
    導波路の内壁にケイ酸塩材料からなり、伝送する上記
    赤外レーザ光の波長に対して伝送損失が最小となる膜厚
    に設定されている塗膜からなる誘電体層を形成すること
    を特徴とする中空導波路の製造方法。
  14. 【請求項14】 中空の金属導波路内壁にシロキサン材
    からなる誘電体層が内装された波長が2μm以上の赤
    外レーザ光を伝送する中空導波路の製造方法であって、
    有機ポリシロキサンの前駆体溶液を前記中空の金属導波
    路の中空領域に供給した後に排出することにより前記中
    空の金属導波路内壁に前記前駆体溶液の塗膜を形成した
    後、該塗膜を加熱により乾燥、固化して前記金属導波路
    の内壁にシロキサン材料からなり、伝送する上記赤外
    レーザ光の波長に対して伝送損失が最小となる膜厚に設
    定されている塗膜からなる誘電体層を形成することを特
    徴とする中空導波路の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記前駆体溶液の塗膜を加熱により乾
    燥、固化する際、前記中空の金属導波路の中空領域に空
    気または不活性ガスからなる乾燥ガスを供給することを
    特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれかに記載
    の中空導波路の製造方法。
  16. 【請求項16】 中空の金属導波路内壁に酸化ケイ素ま
    たは窒化ケイ素を主成分とするケイ酸塩材料からなる誘
    電体層が内装された波長が2μm以上の赤外レーザ光を
    伝送する中空導波路の製造方法であって、有機溶媒で希
    釈したポリシラザンの前駆体溶液を前記中空の金属導波
    路の中空領域に供給した後に排出することにより前記中
    空の金属導波路内壁に前記前駆体溶液の塗膜を形成した
    後、前記中空の金属導波路の中空領域に空気、窒素ガス
    または酸素ガスを供給しながら前記塗膜を加熱により乾
    燥、固化して前記金属導波路の内壁に前記ポリシラザ
    ンを酸化もしくは窒化させたケイ酸塩材料からなり、伝
    送する上記赤外レーザ光の波長に対して伝送損失が最小
    となる膜厚に設定されている塗膜からなる誘電体層を形
    成することを特徴とする中空導波路の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記前駆体溶液を前記金属導波路の一
    端からポンプにより供給して充填した後、前記金属導波
    路の他端から前記前駆体溶液を真空ポンプで排出して前
    記前駆体溶液の塗膜を形成することを特徴とする請求項
    10乃至請求項16のいずれかに記載の中空導波路の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 前記前駆体溶液の塗膜の形成から加熱
    による乾燥、固化に至るまでの一連の行程を繰り返すこ
    とにより所望の膜厚の誘電体層を形成することを特徴と
    する請求項10乃至請求項17のいずれかに記載の中空
    導波路の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記金属導波路が、金属パイプまたは
    別の金属材料からなる金属薄膜を内壁面に設けた金属パ
    イプ、もしくは非金属パイプの内面に金属薄膜を内装し
    たパイプからなることを特徴とする請求項10乃至請求
    項18のいずれかに記載の中空導波路の製造方法。
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