JP3488636B2 - 積み荷移動防止具 - Google Patents

積み荷移動防止具

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美治 筑波
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日鐵物流株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複数の積み荷を並べ
て載置して輸送するさい、輸送中の動揺により積み荷が
移動するのを防止し、積み荷の間隔を維持するための積
み荷移動防止具に関する。特に船舶による輸送において
船倉内における積み荷の固定に使用するのに適当なもの
を提供する。
【0002】
【従来の技術】物品の輸送においては輸送中の動揺によ
って積み荷が移動しないようにしなければならないが、
特に船舶による輸送の場合には波浪によって船体が傾斜
するので、重量物では大きな力に耐えるような固定が必
要である。船舶においては同じ形状の積み荷を大量に輸
送することは極めて多いが、専用船によるコンテナの輸
送といった例を除けば、積み荷役ののち積み荷の固定の
作業を行なわなければならない。最も一般的な方法はワ
イヤロープを使用して固縛するものであるが、かなりの
労力を要するうえ積み荷の形状によってはワイヤロープ
の使用が困難な場合もある。
【0003】ワイヤロープの使用が困難な場合はそのつ
ど木材を使用して大工工事により固縛を行なっているの
が現状である。たとえば隧道に使用するコンクリート製
のセグメントを多数輸送する場合、固定作業は積込み完
了後に船内作業専門の大工が行なうが、3時間程度を要
する。また積降ろしにあたっては固定材の取り外し作業
が必要なことは当然であるが、船倉内に散乱した木材の
跡片付けに2時間といった時間が必要であり、廃材の処
理費用もかかることになる。さらには土木工事や建築工
事に使用するPC(プレストレストコンクリート)板の
ように鉄筋が突き出していてワイヤロープによる固縛が
困難なばかりか、木材による固定も難しいといった積み
荷も出できている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題から、船倉内に複数の積み荷を並べて輸送するさい
に、輸送中の動揺により積み荷が移動するのを防止する
ための固定を積み荷の形態にかかわり無く簡便にかつ確
実に行なうための器具を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、複数の積み荷を並べて載置して輸送
するさい、積み荷の間隔を維持するための積み荷移動防
止具において、伸縮することにより長さを積み荷の間隔
に設定可能な荷固め部材と、積み荷の上面に跨がらせて
置ける長さの吊り棒と、前記荷固め部材を吊り棒から垂
下保持する吊り下げ部材とからなることを特徴とする積
み荷移動防止具である。ここにおいて、前記荷固め部材
は、両端の内面にそれぞれ右ねじと左ねじが設けられた
筒状体と、前記右ねじと左ねじにそれぞれねじ込まれた
ねじ棒と、前記それぞれのねじ棒にねじ込まれた回り止
めナットとからなるか、または、両端にそれぞれ右ねじ
と左ねじが設けられたねじ棒と、前記右ねじと左ねじを
それぞれねじ込んだ筒状体と、前記ねじ棒の右ねじと左
ねじにそれぞれねじ込まれた回り止めナットとからなる
ことも特徴とする。またここにおいて、荷固め部材の両
端には積み荷と接触するための板材が結合されているこ
とも特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の積み荷移動防止具は、輸
送に当たって並べて載置された積み荷の間に使用して積
み荷同士の間隔を維持するものである。図1は本発明の
積み荷移動防止具の例を示す正面図であって一部断面を
示している。本発明の積み荷移動防止具は大きく分ける
と荷固め部材1、吊り棒2および吊り下げ部材3によっ
て構成される。
【0007】荷固め部材は全体として棒状になってお
り、伸縮することにより長さを双方の積み荷の間隔に設
定可能になっている。使用にあたっては積み荷の間に持
ってきて長さを伸ばし、突っ張った状態にして固定す
る。図1の例においては荷固め部材1はねじ送り機構に
より伸縮するようになっている。11は筒状体であって
その両端の内面にはそれぞれ右ねじと左ねじが設けられ
ている。すなわちこの例では左半分の断面図でわかるよ
うにナット12を筒状体11の両端にはめ込んで結合す
ることにより製作されている。さらに筒状体の両端には
それぞれねじ棒13、14がねじ込まれている。したが
って両方のねじ棒13、14の回転を止めた状態で筒状
体11を回せば両方のねじ棒が同時に筒状体に出入りし
て荷固め部材1の長さが変わることになる。なおそれぞ
れのねじ棒には回り止めナット15、16をねじ込んで
あり、荷固め部材の長さを設定したのち筒状体11との
間で締め付けることにより輸送中の振動などでねじがゆ
るむことを防止する。
【0008】また図1に示すように荷固め部材の両端、
すなわちそれぞれのねじ棒の一端には積み荷と接触する
ための板材17、18を結合することが望ましい。すな
わちねじ棒の端部そのままを積み荷に接触させると積み
荷を傷めるおそれがあるので、足をつける形で板材を結
合するのである。この例においては鋼製の板材の面にさ
らに木材の板19、20を取り付けて積み荷の保護を図
っている。この面にはたとえばゴム板などを貼りつけて
もよいことは当然である。また筒状体の面には複数の穴
21が円周の対面を貫通する形で設けられていて、これ
に適宜図示しないハンドル棒を突き通すことにより回転
することができる。なお図1の断面図の部分に見るよう
に2本のねじ棒13、14は軽量化などの目的で中空と
し、筒状のものにしてもよいことは当然である。本発明
において機能上は中空であることが必須ではないので、
筒状体11と対比する形でねじ棒と表現したものであ
る。
【0009】また本発明の積み荷移動防止具の他の構成
部分である吊り棒2は、荷固め部材1と平行する形で双
方の積み荷の上面に跨がらせて置くものである。したが
って長さは積み荷の間隔以上である必要があるが形状は
特に限定するものでなく、丸棒であっても断面が角型で
あってもよい。図1の例においては両端に曲がり部分2
2があるが、これは積み荷の上面に穴がある場合にこれ
に挿入して、吊り棒が勝手に移動しないようにするため
にものである。この例のように輸送中に吊り棒が移動し
ないような手段を設けることが望ましく、このため積み
荷の上面に穴や凹部がある場合これに引っ掛けるように
端部を曲げたり、途中に突起を設けると良い。また積み
荷の上面に突起がある場合にはこれに引っ掛けるための
フックなどを吊り棒に設けても良い。
【0010】また本発明の積み荷移動防止具のさらに他
の構成部分である吊り下げ部材3は荷固め部材1を吊り
棒2から垂下保持するためのものである。荷固め部材は
積み荷の積込み時に設置した段階では積み荷の間におい
て突っ張って圧縮力が掛かっており、この状態にある限
りは吊り棒から垂下保持する必要がない。しかしながら
輸送中に揺られて積み荷がわずかでも移動すると荷固め
部材に圧縮力が働かなくなる場合がある。このとき荷固
め部材が積み荷の間に落下することを防止するためにこ
れを吊り棒から吊り下げ部材を介して垂下した状態で保
持するのである。またこのように荷固め部材を垂下保持
することにより、積み荷役後の荷固め部材の所定位置へ
の設置作業が容易になるという利点も有する。すなわち
荷固め部材を人力で保持すること無しに、吊り棒から吊
り下げた状態のまま長さを伸ばして固定すれば良いの
で、作業者が単独でも容易に取り付けができる。
【0011】図1の例においては吊り下げ部材3は2本
あり、荷固め部材の筒状体11の部分の両端近傍を支持
している。吊り下げ部材は帯状の金属板によって構成さ
れているが、筒状体の回転を束縛しないように固着せず
に保持している。また吊り下げ部材の取り付け位置は図
1の例に限定されるものではなく、荷固め部材の伸縮範
囲がやや制限されるのが問題なければ、2本のねじ棒1
3、14にそれぞれ取り付けることも可能である。また
吊り下げ部材は荷固め部材を吊り棒と事実上平行な状態
で垂下保持できれば形態は特に限定しない。たとえば図
1の帯状のものに限らず可撓性の紐状や鎖状のものを使
用してもよい。荷固め部材と吊り棒とを平行に維持する
ことから、上記のように通常はこれらのそれぞれ2箇所
を結合して吊り下げるようにする。
【0012】図2、図3は本発明の積み荷移動防止具の
適用例を示すものであって、図2は船倉の断面を示して
おり、図3はこれと直角方向の一部断面を示している。
この例において積み荷42は隧道用のセグメントでコン
クリート製であり、3段に積まれている。図中41は船
倉の側壁ないし底面である。図2および図3で見るよう
に各段の積み荷と積み荷との間には、積み荷移動防止具
43が積み荷1個について2個所ずつ設けられている。
1段目と2段目および2段目と3段目の積み荷の間には
玉掛けのためダンネージ(万棒)47が設けれており間
隔が保たれているので、各段の積み荷の上部に吊り下げ
部材を置くことができる。なお46は船倉底部に設けた
スキッドである。なおこの例において積み荷移動防止具
43の吊り下げ部材は図1に示したように両端が曲がっ
ており、積み荷の上面に凹部(図示せず)があるのでこ
れに曲がり部分を挿入して吊り下げ部材の移動を防止し
ている。
【0013】本発明の積み荷移動防止具は積み荷の間隔
を維持するに当たって、上記のように積み荷と積み荷の
間だけでなく積み荷と船倉の側壁との間においても使用
することができる。図2において船倉41の壁面との間
における積み荷移動防止具の使用方法について、2つの
例を左右に示している。積み荷と船倉の側壁の間は玉掛
けのため間隔をあける必要があるので、左側の例におい
ては枠体48を設けて間隔を維持している。積み荷の1
段目と2段目は枠体48によって船倉の側壁との間隔が
保持されているが、3段目については本発明の積み荷移
動防止具44を使用している。このため枠体48は積み
荷移動防止具の吊り棒の一端を保持することができるよ
うになっている。このように枠体の使用により積み荷の
段数の一部についてのみ本発明の積み荷移動防止具を使
用することもできる。
【0014】図2の右側の例においては積み荷の各段に
おいて本発明の積み荷移動防止具45を設けたものであ
る。この例においては吊り棒の一端を船倉に側壁に引っ
掛けるための継手(図示せず)を壁面に取り付ける必要
があるが、これが可能であれば先に左側に示した枠体4
8が不要となり好ましい。そのうえ積み荷移動防止具は
積み荷を積載した後に長さを伸縮して固定できるので、
枠体を使用した場合よりも更に完全に積み荷の固縛がで
きて好ましい。
【0015】本発明の積み荷移動防止具は図1の例に限
定されるものではないことは当然であり、吊り棒および
吊り下げ部材の種々の形態については先に述べたとおり
である。荷固め部材については伸縮機構として図1に示
したようなねじ送り機構の他に種々のものが考えられ
る。しかし本発明の場合長さを伸ばしていって容易には
動かなくなった所で固定すれば十分であるので、伸縮に
当たって特に大きな力は必要としない。したがってたと
えば油圧などの動力による伸縮機構は不要で、ねじ送り
機構のものが簡便で最適である。ねじ送り機構を使用し
た荷固め部材においても下記の例のように種々のものが
ある。
【0016】図4はねじ送り機構を使用した荷固め部材
の図1と異なる例の正面図であって一部断面を示してい
る。この例においては図1のものと雄ねじと雌ねじの位
置関係が逆になっており、両端にそれぞれ右ねじと左ね
じが設けられたねじ棒31が中央部にあって、これの両
側に筒状体32、33がねじ込まれている。ねじ棒31
の両側には回り止めナット34、35をねじ込むこと、
荷固め部材の両端、すなわちそれぞれの筒状体32、3
3の一端には積み荷と接触するための板材36、37を
結合することが望ましいことは図1の場合と同様であ
る。なお荷固め部材の長さを変えるためにねじ棒を回転
するには、ねじ棒31の長さの少なくとも一部分、たと
えば図4に示すように中央部の断面を角型、たとえば六
角形にして、これにスパナを掛けて回すようにすればよ
い。またこの図に示したようにねじ棒31を中空のもの
にしてもよいことは前記図1の場合と同様である。なお
積み荷の保護のための木材の板19、20や一部を示し
た吊り下げ部材3についても図1に示したものと同様で
あるが、吊り下げ部材は筒状体32、33の長さ方向の
移動を妨げないように取り付けることは当然である。
【0017】
【発明の効果】本発明の積み荷移動防止具を積み荷と積
み荷の間や、積み荷と船倉の側壁との間などに設けるこ
とにより簡単な作業で迅速に積み荷を固定することがで
きる。積み荷移動防止具の荷固め部材は長さを調節でき
るので積み荷の間隔がそのつど変化しても対応可能で汎
用性があり、繰り返し使用でき廃棄物を発生しないので
経済的である。本発明の積み荷移動防止具は船舶輸送に
おいて課題が発生したためこれを解決すべく開発された
ものであるが、他の輸送手段においても状況に応じて使
用可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積み荷移動防止具の一部断面を示した
正面図
【図2】本発明の積み荷移動防止具の適用例を示す船倉
の断面図
【図3】図2におけるこれと直角方向の一部断面図
【図4】荷固め部材の図1と異なる例の一部断面を示し
た正面図
【符号の説明】
1 荷固め部材 2 吊り棒 3 吊り下げ部材 11 筒状体 12 ナット 13、14 ねじ棒 15、16 回り止めナット 17、18 板材 19、20 木材の板 21 穴 22 曲がり部分 31 ねじ棒 32、33 筒状体 34、35 回り止めナット 36、37 板材 41 船倉 42 積み荷 43、44、45 積み荷移動防止具 46 スキッド 47 ダンネージ 48 枠体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−144568(JP,A) 実開 平4−100984(JP,U) 実開 昭61−154185(JP,U) 実開 平1−158332(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 25/24 B60P 7/15 B65G 57/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の積み荷を並べて載置して輸送する
    さい、積み荷の間隔を維持するための積み荷移動防止具
    において、伸縮することにより長さを積み荷の間隔に設
    定可能な荷固め部材と、積み荷の上面に跨がらせて置け
    る長さの吊り棒と、前記荷固め部材を吊り棒から垂下保
    持する吊り下げ部材とからなることを特徴とする積み荷
    移動防止具。
  2. 【請求項2】 前記荷固め部材は、両端の内面にそれぞ
    れ右ねじと左ねじが設けられた筒状体と、前記右ねじと
    左ねじにそれぞれねじ込まれたねじ棒と、前記それぞれ
    のねじ棒にねじ込まれた回り止めナットとからなること
    を特徴とする請求項1記載の積み荷移動防止具。
  3. 【請求項3】 前記荷固め部材は、両端にそれぞれ右ね
    じと左ねじが設けられたねじ棒と、前記右ねじと左ねじ
    をそれぞれねじ込んだ筒状体と、前記ねじ棒の右ねじと
    左ねじにそれぞれねじ込まれた回り止めナットとからな
    ることを特徴とする請求項1記載の積み荷移動防止具。
  4. 【請求項4】 荷固め部材の両端には積み荷と接触する
    ための板材が結合されていることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれかに記載の積み荷移動防止具。
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CN114228915B (zh) * 2021-12-20 2024-05-07 苏州卓胜工贸有限公司 一种船用集装箱用数显可调式拉杆

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