JP3481289B2 - イオン架橋共重合体の製造方法 - Google Patents

イオン架橋共重合体の製造方法

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JP3481289B2
JP3481289B2 JP02702894A JP2702894A JP3481289B2 JP 3481289 B2 JP3481289 B2 JP 3481289B2 JP 02702894 A JP02702894 A JP 02702894A JP 2702894 A JP2702894 A JP 2702894A JP 3481289 B2 JP3481289 B2 JP 3481289B2
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慶幸 岩瀬
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    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−オレフィンと不飽
和カルボン酸の共重合体をアルカリ金属イオンで架橋し
たイオン架橋体(アルカリ金属アイオノマー)の製造方
法に関する。さらに詳しくは、上記イオン架橋体を工業
的に一層有利に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン・アクリル酸共重合体やエチレ
ン・メタクリル酸共重合体で代表されるα−オレフィン
と不飽和カルボン酸の共重合体のイオン架橋体は、一般
にアイオノマーと称せられ、包装材料を初めとして種々
の分野で使用されている。
【0003】イオン化反応は一般には、上記共重合体と
イオン源となる金属化合物とを共重合体の溶融条件下に
混練することによって有利に行うことができる。そのた
めの方法も古くから提案されており、例えばアルカリ金
属アイオノマーの簡便な製造方法として、本出願人の提
案に係る特公昭62−7974号公報が知られている。
この提案は、イオン源としてアルカリ金属の炭酸塩もし
くは重炭酸塩を選び、これを予めα−オレフィンと不飽
和カルボン酸もしくはそのエステルとの共重合体と混練
しておいたものをイオン化反応原料として用いるもので
あり、脱気装置付きの押出機によって効率よくイオン架
橋体を製造する優れた方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらアルカリ
金属の中でもカリウムの化合物を用いた場合には、反応
速度が遅いため、反応条件を厳密に選択しないと、時と
して金属化合物の一部が未反応物として残ることがあっ
た。勿論このようなトラブルは、反応条件や押出機の変
更によって回避できるものであるが、生産速度が低下し
たりあるいは新たな設備投資を要するなどの犠牲が伴う
ものであった。
【0005】また、イオン架橋重合体(アイオノマー)
の製造において、カルボキシル基のアルカリ金属成分に
よる中和乃至イオン化を可及的に低温乃至穏和な条件で
行うことは、重合体中の官能基や極性基の分解を抑制し
て着色を防止し、且つポリマー主鎖の切断や架橋を抑制
して、イオン架橋重合体のポリマー物性を優れたものと
する上で極めて重要なことである。上記反応条件を穏和
なものとすることは、イオン架橋重合体の生産性を向上
させ、混練及び押出作業性を向上させる上でも実際上非
常に重要なことである。
【0006】そこで本発明者らは、上記提案において一
層反応速度を高めるための処方について検討を行った。
その結果、少量のアルカリ金属水酸化物を使用すること
によりその目的が達成できることを知った。
【0007】従って本発明の目的は、押出機において生
産性よくアルカリ金属アイオノマーを製造することが可
能な新規なイオン化方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、α−
オレフィン含量が少なくとも50モル%を占め、不飽和
カルボン酸含量が0.2〜25モル%を占めるα−オレ
フィンと不飽和カルボン酸の共重合体(A)を、アルカ
リ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の微粉末(a)20〜
90重量%とα−オレフィン含量が少なくとも50モル
%を占め、不飽和カルボン酸もしくはそのエステルの含
量が0.2〜25モル%を占めるα−オレフィンと不飽
和カルボン酸もしくはそのエステルの共重合体(b)の
残余の量とを予め溶融混練することにより得られる陽イ
オン供給配合物(B)を用い、溶融混練条件下に反応さ
せて共重合体(A)及び/または共重合体(b)のカル
ボキシル基の少なくとも一部をイオン化する方法におい
て、アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩(a)の
0.01〜0.2当量に該当するアルカリ金属の水酸化
物を併用することを特徴とするイオン架橋重合体の製造
方法に関する。
【0009】
【作用】本発明では、前記先行技術に見られるとおり、
アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の微粉末(a)
とα−オレフィンと不飽和カルボン酸もしくはそのエス
テルの共重合体(b)との予備溶融混練物を陽イオン供
給配合物(B)として使用し、この陽イオン供給配合物
(B)をα−オレフィンと不飽和カルボン酸の共重合体
(A)と溶融混練することにより、共重合体(A)及び
/または共重合体(b)のカルボキシル基のイオン化を
行うが、このイオン化に際して特定量のアルカリ金属の
水酸化物を併用することが特徴である。
【0010】アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の
微粉末(a)をα−オレフィンと不飽和カルボン酸もし
くはそのエステルの共重合体(b)との予備溶融混練物
の形で共重合体(A)のカルボキシル基のイオン化に使
用すると、水酸化アルカリを使用する場合に生じる押出
機の金属腐食、押出作業性の不安定化、生成イオン架橋
重合体の焦げ等の問題を生じることなしに、効率よくイ
オン架橋重合体(アイオノマー)を製造しうるという利
点を与えるものであるが、アルカリ金属の炭酸塩もしく
は重炭酸塩の微粉末(a)の反応性が低いため、反応条
件をシビアに設定しなければならないという問題があ
る。
【0011】本発明によれば、上記(a)及び(b)の
予備溶融混練物、即ち陽イオン供給配合物(B)と共に
特定量のアルカリ金属の水酸化物を併用することによ
り、共重合体(A)及び/または共重合体(b)のカル
ボキシル基とアルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の
微粉末(a)との反応性を高め、より低温及び短時間で
の反応が可能となり、諸物性に優れたイオン架橋重合体
(アイオノマー)を、生産性よくしかもアルカリ金属水
酸化物を使用する場合の前記不具合を生じることなし
に、製造することができる。
【0012】後述する例を参照されたい。α−オレフィ
ンと不飽和カルボン酸の共重合体(A)と、α−オレフ
ィンと不飽和カルボン酸もしくはそのエステルの共重合
体(b)及びアルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の
微粉末(a)の予備溶融混練物とを溶融混練する場合、
例えば260℃のような高温では、炭酸塩と共重合体
(A)及び/または共重合体(b)との反応が十分進行
するとしても(参考例1)、反応温度を240℃に低下
させると、樹脂中にアルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭
酸塩の未反応物が残留し、しかも押し出した樹脂は発泡
している(比較例1)のに対して、本発明に従い、特定
量のアルカリ金属の水酸化物を併用すると、210℃の
ようなより低い温度でも完全な反応が可能となり(実施
例1)、諸物性にも優れている。
【0013】本発明においては、アルカリ金属の炭酸塩
もしくは重炭酸塩(a)の0.01〜0.2当量に該当
するアルカリ金属の水酸化物を併用することも重要であ
り、上記範囲よりも少ないと、炭酸塩と共重合体(A)
及び/または共重合体(b)のカルボキシル基との反応
が不完全となりやすく(比較例6及び7参照)、一方上
記範囲よりも多いと樹脂に焦げを生じたり、かえって未
反応物が増えたりする傾向がある(比較例2参照)。
【0014】
【発明の好適態様】本発明の共重合体(A)及び共重合
体(b)の構成成分であるα−オレフィンとしては、エ
チレン、プロピレン、ブテン−1、スチレン、ペンテン
−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,3−メチルブテン
−1、及び4−メチルブテン−1などを挙げることがで
き、とくにエチレンが最も好適な例である。
【0015】共重合体(A)の構成成分であり、また共
重合体(b)の構成成分となり得る不飽和カルボン酸と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸モノメ
チル、マレイン酸モノエチル、フマル酸、マレイン酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸無水物などを例示できる。無水マレイン酸
の如き酸無水物は本発明の目的のために酸とみなすこと
ができる。
【0016】共重合体(b)の構成成分となり得る不飽
和カルボン酸エステルは、上記例示の如き不飽和カルボ
ン酸とアルコールのエステルであり、その代表例は、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル
などのアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルであ
る。
【0017】共重合体(A)及び共重合体(b)は、二
元共重合体である必要はなく、三成分以上の単量体から
導かれる多元共重合体であってもよい。すなわち共重合
体(A)は、α−オレフィンの1種以上と不飽和カルボ
ン酸の1種以上との共重合体であってもよく、さらに第
三の単量体の1種以上が共重合されたものであってもよ
い。かかる第三の単量体として前記した不飽和カルボン
酸エステルから選択してもよく、あるいは酢酸ビニル、
ビニルエーテル、アクリロニトリル、一酸化炭素の如き
ものから選ぶことができる。
【0018】また共重合体(b)としては、α−オレフ
ィンの1種以上と不飽和カルボン酸の1種以上の共重合
体、α−オレフィンの1種以上と不飽和カルボン酸エス
テルの1種以上の共重合体、α−オレフィンの1種以上
と不飽和カルボン酸の1種以上と不飽和カルボン酸エス
テルの1種以上との共重合体などを使用することができ
る。
【0019】このような共重合体(A)及び共重合体
(b)の例として例えばエチレン/アクリル酸共重合
体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/イタ
コン酸共重合体、エチレン/マレイン酸水素メチル共重
合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アク
リル酸/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタ
クリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/イ
タコン酸/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/マ
レイン酸−モノメチル/アクリル酸エチル共重合体、エ
チレン/アクリル酸/酢酸ビニル共重合体、エチレン/
プロピレン/アクリル酸共重合体、エチレン/スチレン
/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸/アク
リル酸イソブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸/
アクリロニトリル共重合体、エチレン/フマル酸/ビニ
ルメチルエーテル共重合体、エチレン/塩化ビニル/ア
クリル酸共重合体、エレチン/クロルトリフルオロエチ
レン/メタクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸
/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸/無水
マレイン酸共重合体。又この他に第二の共重合体とし
て、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン
/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸イ
ソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタ
クリル酸メチル共重合体、エチレン/プロピレン/メタ
クリル酸メチル共重合体などがある。
【0020】本発明で使用する共重合体(A)及び共重
合体(b)の好適な製造法は直接共重合である。これは
に二種又はそれ以上の単量体混合物をフリーラジカル型
重合触媒により50乃至3000kg/cm2 の高圧及
び150〜300℃の高温下で重合することによって得
られる。
【0021】この共重合体はまたα−オレフィンの重合
体もしくは共重合体に、不飽和カルボン酸等をグラフト
重合する等のグラフト共重合、又はα−オレフィン/カ
ルボン酸誘導体の共重合体の遊離酸への変成によって得
ることもできる。さらにこの共重合体は、重合後イオン
架橋をする前に種々の反応によって変成して、中和反応
を妨げない変成された共重合体にすることができる。例
えば水素化、ハロゲン化はその例である。α−オレフィ
ン/不飽和カルボン酸共重合体と、他のα−オレフィン
/不飽和共重合体もしくは他の炭化水素重合体との混合
物も本発明の方法によりイオン架橋することが可能であ
る。
【0022】共重合体(A)は、α−オレフィンが少な
くとも50モル%を占め、不飽和カルボン酸含量が0.
2〜25モル%を占めるものであるが、好適には、α−
オレフィン含量が75〜99.5モル%、とくに80〜
98モル%、不飽和カルボン酸含量が0.5〜25モル
%、とくに1〜20モル%、第三の単量体が0〜25モ
ル%、とくに0〜20モル%のものである。
【0023】共重合体(A)はまた押出機中で円滑な反
応を行えるものが好ましく、共重合体(A)の重合組成
や目的とするイオン架橋重合体の中和度等によっても異
なるが、エチレンを主体とする重合体にあっては、例え
ば190℃,2160g荷重におけるメルトフローレー
トが、1〜1000g/10分、とくに10〜800g
/10分程度のものを対象とするのが好ましい。
【0024】また共重合体(b)についても、α−オレ
フィン含量が少なくとも50モル%を占め、不飽和カル
ボン酸もしくはそのエステルの含量が0.2〜25モル
%のものが使用できるが、アルカリ金属の炭酸塩もしく
は重炭酸塩の微粉末(a)の分散性あるいは共重合体
(A)との親和性を考慮すると、α−オレフィン含量が
70〜99モル%、とくに75〜95モル%、不飽和カ
ルボン酸もしくはそのエステルの含量が1〜30モル
%、とくに5〜25モル%のものを使用するのが好まし
い。また一般には共重合体(A)より溶融粘度の低いも
のを使用するのが好ましく、例えばエチレンを主成分と
する共重合体にあっては、190℃,2160g荷重に
おけるメルトフローレートが10〜3000g/10
分、とくに20〜2000g/10分のものが好適に使
用される。
【0025】本発明において共重合体(A)のイオン化
に使用される陽イオン供給配合物(B)は、上記共重合
体(b)の溶融条件下、アルカリ金属の炭酸塩もしくは
重炭酸塩の微粉末(a)と混練して得られるものであ
る。アルカリ金属塩の代表例は、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸リチウム、炭酸水素リチウム及びそれらの含水塩であ
る。これら金属塩は乾燥した微粉状で使用し、単独であ
るいは混合物として用いることができる。イオン化反応
において未反応品として残存することを避けるため、平
均粒子径が20μm以下で、かつ25μmを越える粒子
の含量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下の微
粉を使用することが望ましい。
【0026】陽イオン供給配合物(B)中におけるアル
カリ金属塩(a)の含有量が少ないと経済性に乏しく、
イオン化反応に支障を及ぼさない範囲内において高濃度
にすることが望ましい。一般にはアルカリ金属塩濃度を
あまり高くしすぎると、均一な分散物を作ることが難し
いため、アルカリ金属塩濃度が20〜90重量%、とく
に30〜80重量%となるように、共重合体(b)とア
ルカリ金属塩を(b)の融点以上で混合するのがよい。
溶融混合は、バンバリミキサー、ロールミル、その他周
知の混合装置を用いて行うことができる。
【0027】本発明においては、共重合体(A)のイオ
ン源として、このような陽イオン供給配合物(B)と共
に、少量のアルカリ金属水酸化物を併用することによ
り、格別の不利益を伴なうことなく反応速度を効果的に
高めるものである。共重合体(A)のイオン源として固
体状のアルカリ金属水酸化物を使用する方法は知られて
いるが、前記した特公昭62−7947号公報で詳述の
如く種々の欠点を有しており到底工業的に採用し得る方
法ではない。しかるに本発明の如く反応促進のため少量
使用する方法では、これらの欠点が顕在化することがな
い。
【0028】陽イオン供給配合物(B)とアルカリ金属
水酸化物は、共重合体(A)が所望の中和度となるよう
な割合で使用される。そしてアルカリ金属水酸化物は、
アルカリ金属換算でアルカリ金属塩(a)の0.01〜
0.2当量、好ましくは0.03〜0.15当量に該当
する量で使用される。その使用量が少なすぎると反応促
進効果が充分に認められず、一方その量が多くなりすぎ
ると、イオン化反応が急激に進み樹脂温度が上昇し、樹
脂の焼けコゲを起こす原因となるのみならず、その供給
方法によっては、アルカリ金属水酸化物が未反応物とし
て残存するおそれがあるので好ましくない。
【0029】本発明によるイオン化反応は、ベント押出
機、バンバリーミキサーの如き種々の型の装置により、
溶融混練することによって行われる。反応はバッチ式で
も連続法でもよいが、ベント押出機のような脱気装置付
きの押出機を用い連続的に行うのが好ましい。すなわ
ち、反応によって副生する水及び炭酸ガスを脱気装置に
より排出することにより、円滑に反応を行うことができ
る。
【0030】イオン化反応に際し、少量の水を注入する
ことにより、反応を促進させることができる。アルカリ
金属の水酸化物は、粒状であるいは微粉状で反応系に供
給することができる。上記の如く水を注入する場合に
は、アルカリ金属水酸化物を水に溶解して反応系に供給
することもできる。
【0031】イオン化反応の温度は、共重合体(A)及
び(b)の融点以上の温度であり、通常150〜290
℃、好ましくは170〜250℃の範囲である。また反
応に際し加圧は必ずしも必要でないが、加圧条件の方が
混練が良好となりイオン化反応が促進されるので、好ま
しくは0.5〜30MPa程度の加圧下に反応を行うの
がよい。
【0032】
【実施例】
[参考例、実施例と比較例]まず本発明の組成物を調製
するために使用した原料は表1の通りである。
【0033】
【表1】
【0034】また試験方法、使用押出機及び陽イオン供
給配合物の調製を下記に示した。 (1)MFR:東洋精機製作所製試験機を用い、190
℃,2160gの荷重で測定した。 (2)反応性:190℃でホットプレス機を使用して3
mm厚みのプレスシートを作成し、目視で未反応物の有
無を判定した。 [判定規準] ◎:プレスシート中に炭酸塩未反応物なし ○:若干未反応物あり △:かなり未反応物あり ×:未反応物多い (3)イオン化反応方法: (3−1)65mmφベント押出機 サーモプラスチック工業社製の65mmφベント押出機
(L/D=33)を使用して水注入をしながらベントを
真空に引きイオン化反応を行った。 (3−2)44mmφベント2軸押出機 日本製鋼所社製の44mmφベント2軸押出機(L/D
=35)を使用して水注入をしながらベントを真空に引
きイオン化反応を行った。 (4)陽イオン供給配合物の調製:所定量の炭酸塩とエ
チレン共重合体Eもしくはエチレン3元共重合体Bをバ
ンバリーに仕込み混練した。混練物は強制フィーダー付
き押出機を通してペレット化した。
【0035】参考例 上記の44mmφ2軸押出機を用いて表2に示した配合
割合で反応ゾーンの設定温度を260℃にしイオン化反
応を行った。押出量は55kg/hrで押出機設置温度
計の樹脂温度は243℃を示した。得られたイオン化物
中の陽イオン供給配合物の未反応物は観察されずイオン
化反応は良好な結果であった。
【0036】実施例 表2に示したように炭酸カリウム陽イオン供給配合物の
代わりに水酸化カリウム顆粒と炭酸カリウム陽イオン供
給配合物の併用を、また反応ゾーンの設定温度を260
℃から210℃に下げる以外は参考例の操作を繰り返
した。得られたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未
反応物は観察されず、反応ゾーンの設定温度の低下にも
かかわらず、良好なイオン化物が得られた。
【0037】参考例 表2に示したように炭酸カリウム陽イオン供給配合物の
配合割合及び樹脂とその組成割合を変える以外は参考例
を繰り返した。樹脂押出量は49kg/hrと若干低
下しているが得られたイオン化物は未反応物を含まず良
好な結果であった。
【0038】実施例 表2に示したように炭酸カリウム陽イオン供給配合物の
代わりに水酸化カリウム顆粒と炭酸カリウム陽イオン供
給配合物の併用を、また反応ゾーンの設定温度を260
℃から210℃に下げる以外は参考例の操作を繰り返
した。得られたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未
反応物は観察されず、反応ゾーンの設定温度の低下にも
かかわらず、良好なイオン化物が得られた。
【0039】参考例 表3に示したように陽イオン供給配合物として炭酸ナト
リウム陽イオン供給配合物を、樹脂としてエチレン共重
合体Cを使用し押出量を40kg/hrに変える以外は
参考例を繰り返した。得られたイオン化物は未反応物
を含まず良好な結果であった。
【0040】実施例 表3に示したように炭酸ナトリウム陽イオン供給配合物
の代わりに水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウム陽イオン
供給配合物を併用し、反応ゾーン設定温度を260から
205℃に低下する以外は参考例を繰り返した。反応
ゾーン設定温度を260から205℃に低下したにもか
かわらず得られたイオン化物は未反応物を含まず良好な
結果であった。
【0041】実施例 イオン化反応時水注入をしない以外は実施例と同じ操
作を繰り返した。通常イオン化反応時水注入したほうが
架橋反応が促進されるが水注入なしでも得られたイオン
化物は未反応物を含まず良好な結果であった。
【0042】実施例 水酸化ナトリウム顆粒の代わりに40wt%水酸化ナト
リウム水溶液を使用し、水注入をしない以外は実施例
と同じ操作を繰り返した。得られたイオン化物は未反応
物を含まず良好な結果であった。
【0043】比較例 表2で実施例の比較として水酸化カリウムの併用を行
わず、参考例の反応ゾーンの設定温度を260℃から
240℃に低下した以外は参考例の操作を繰り返し
た。得られたイオン化物は反応不十分で発泡しており不
合格であった。水酸化カリウムと炭酸カリウム陽イオン
供給配合物の併用でないと反応ゾーンを260から24
0℃に低下しただけでイオン化反応は不十分となり、実
施例の水酸化カリウムの併用がキーポイントであるを
示していた。
【0044】比較例 表2で実施例の比較として水酸化カリウムの配合量を
実施例の0.1当量(イオン化度8.2モル%)から
0.5当量(イオン化度41モル%)へ増やす以外は実
施例の操作を繰り返した。押出機出口の樹脂温度は2
80℃以上になり得られたイオン化物はコゲが出ており
イオン化反応が急激に進行したものと推定され、不合格
であった。
【0045】比較例 表2で実施例の比較として水酸化カリウムの併用を行
わず、参考例の反応ゾーンの設定温度を260℃から
240℃に低下した以外は参考例の操作を繰り返し
た。得られたイオン化物は反応不十分で発泡しており不
合格であった。水酸化カリウムと炭酸カリウム陽イオン
供給配合物の併用でないと反応ゾーンを260から24
0℃に低下しただけでイオン化反応は不十分となり、実
施例の水酸化カリウムの併用がキーポイントであるを
示していた。
【0046】比較例 表3で実施例の比較として水酸化カリウムの併用を行
わず、参考例の反応ゾーンの設定温度を260℃から
240℃に低下した以外は参考例の操作を繰り返し
た。得られたイオン化物は反応不十分で発泡しており不
合格であった。水酸化カリウムと炭酸カリウム陽イオン
供給配合物の併用でないと反応ゾーンを260から24
0℃に低下しただけでイオン化反応は不十分となり、実
施例の水酸化カリウムの併用がキーポイントであるこ
とを示していた。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】次に65mmφ単軸押出機によるイオン化
反応の実施例と比較例を示した。
【0050】参考例 上記の65mmφ単軸押出機を用いて表4に示した配合
割合で反応ゾーンの設定温度を245℃にしイオン化反
応を行った。押出量は14.0kg/hrで押出機設置
温度計の反応ゾーンの樹脂温度は247℃であった。得
られたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未反応物は
観察されずイオン化反応は良好な結果であった。
【0051】実施例 表4に示したように炭酸カリウム陽イオン供給配合物の
代わりに水酸化カリウム顆粒と炭酸カリウム陽イオン供
給配合物の併用を、また反応ゾーンの設定温度を245
℃から230℃に下げる以外は参考例の操作を繰り返
した。得られたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未
反応物は観察されず、反応ゾーンの設定温度の低下にも
かかわらず、良好なイオン化物が得られた。
【0052】実施例 表4に示したように水酸化カリウム顆粒と炭酸カリウム
陽イオン供給配合物の併用で水酸化カリウム顆粒の添加
量を増やした以外は実施例の操作を繰り返した。得ら
れたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未反応物は観
察されず良好なイオン化物が得られた。
【0053】実施例 表4に示したように陽イオン供給配合物として水酸化ナ
トリウムと炭酸ナトリウム陽イオン供給配合物を、樹脂
としてエチレン共重合体Cを使用する以外は実施例を
繰り返した。得られたイオン化物は未反応物を含まず良
好な結果であった。
【0054】実施例 表4に示したように水酸化ナトリウム顆粒と炭酸ナトリ
ウム陽イオン供給配合物の併用で水酸化ナトリウム顆粒
の添加量を増やした以外は実施例の操作を繰り返し
た。得られたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未反
応物は観察されず良好なイオン化物が得られた。
【0055】
【表4】
【0056】比較例 表4で実施例の比較として水酸化カリウムの併用を行
わず、参考例の反応ゾーンの設定温度を245℃から
230℃に低下した以外は参考例または実施例の操
作を繰り返した。得られたイオン化物は反応不十分で未
反応物が残存しており反応性判定では△であった。水酸
化カリウムを併用せず炭酸カリウム陽イオン供給配合物
単独で反応ゾーンを245から230℃に低下するとイ
オン化反応は不十分となり、実施例の水酸化カリウム
の併用がキーポイントであるを示していた。
【0057】比較例 表4に示したように水酸化カリウム顆粒と炭酸カリウム
陽イオン供給配合物の併用で水酸化カリウム顆粒の添加
量を減らした以外は実施例の操作を繰り返した。得ら
れたイオン化物中の陽イオン供給配合物の未反応物は若
干観察され、反応性評価として△と判定した。ある程度
の水酸化カリウム顆粒の添加量が必要である。
【0058】比較例 表4に示したように実施例の比較として水酸化ナトリ
ウム顆粒と炭酸ナトリウム陽イオン供給配合物の併用で
水酸化ナトリウム顆粒の添加量を減らした以外は実施例
の操作を繰り返した。得られたイオン化物中の陽イオ
ン供給配合物の未反応物は若干観察され、反応性評価と
して△と判定した。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、イオン架橋共重合体を
生産性よく製造することができる。とくに反応条件を適
当に選択すれば、生成物中に未反応のアルカリ金属塩が
残存するというトラブルを回避することができる。本発
明の方法は、生産性に問題があるカリウムアイオノマー
の製造にとくに有用であるが、勿論ナトリウムアイオノ
マーやリチウムアイオノマーの製造においても有効であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−170817(JP,A) 特開 平3−106954(JP,A) 特開 昭57−55942(JP,A) 特開 昭46−3443(JP,A) 特公 昭39−6810(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−オレフィン含量が少なくとも50モ
    ル%を占め、不飽和カルボン酸含量が0.2〜25モル
    %を占めるα−オレフィンと不飽和カルボン酸の共重合
    体(A)を、アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩の
    微粉末(a)20〜90重量%とα−オレフィン含量が
    少なくとも50モル%を占め、不飽和カルボン酸もしく
    はそのエステルの含量が0.2〜25モル%を占めるα
    −オレフィンと不飽和カルボン酸もしくはそのエステル
    の共重合体(b)の残余の量とを予め溶融混練すること
    により得られる陽イオン供給配合物(B)を用い、溶融
    混練条件下に反応させて共重合体(A)及び/または共
    重合体(b)のカルボキシル基の少なくとも一部をイオ
    ン化する方法において、アルカリ金属の炭酸塩もしくは
    重炭酸塩(a)の0.01〜0.2当量に該当するアル
    カリ金属の水酸化物を併用することを特徴とするイオン
    架橋重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩
    (a)がカリウム塩であり、且つアルカリ金属の水酸化
    物が水酸化カリウムである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 イオン化を脱気装置付き押出機で脱気し
    ながら行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 イオン化を少量の水を添加しながら行う
    ことを特徴とする請求項2記載の製造方法。
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