JP3481249B2 - 非晶質中間バルク層を用いる金属の接合 - Google Patents

非晶質中間バルク層を用いる金属の接合

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JP3481249B2 JP50227096A JP50227096A JP3481249B2 JP 3481249 B2 JP3481249 B2 JP 3481249B2 JP 50227096 A JP50227096 A JP 50227096A JP 50227096 A JP50227096 A JP 50227096A JP 3481249 B2 JP3481249 B2 JP 3481249B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は金属の接合に関し、さらに詳細には、非晶質
中間結合要素を用いて接合を行うことに関する。
構造物に金属を利用する殆どの例では、その金属を他
の金属とある態様で接合する必要があり、多数の方法が
使用されている。接合方法には、ボルト、リベット、ネ
ジ等のような締結具を用いるものがある。また、金属間
直接結合、中間接着層による結合、或いは中間金属接合
層による結合を利用する他の接合方法がある。後者の範
疇には、溶接、ろう付け及びはんだ付けの公知の方法が
含まれる。本発明は接合される材料間に配置される中間
金属接合要素を用いる改良接合方法に関する。
この一般的な既存の接合方法は特定の用途に用いる場
合重大な欠点を有する。溶接では、接合される材料が接
合領域において局部的に溶融され、溶加金属で融着され
るのが普通である。溶接される金属、溶加金属、溶接処
理及び溶接作業員の技量に応じて、最終的な溶接接合部
にはアンダーカッティング、気孔の形成、不完全な融
着、接合部の不完全な浸透、過度の溶融浸透、溶着部の
亀裂、熱変質部の亀裂が見られることがある。接合され
る材料片の組成及び微小構造が所望の状態から局部的に
変化し、接合前と比べて強度が弱く腐食しやすくなるの
が普通である。その結果、使用中に溶接接合部から欠陥
が発生することが多い。
はんだ付け及びろう付けでは、接合される材料片より
も耐化学薬品性が高く融点が低い金属の層が材料片の間
に流し込まれる。はんだ付けもろう付けもはんだまたは
ろう付け層の材料片への接着性を利用して接合を行うと
いう意味において同様な作業である。接合される材料片
の表面を融剤処理すると接合部においてかなりの強度を
得る助けとなる。はんだ付け及びろう付けに用いる合金
は通常、接合される構造用合金材料片と比較して強度が
比較的低く、構造用合金材料片よりも脆いことが多い。
構造用材料として用いる用途の殆どにおいて充分な大き
さの強度を得ることができるのは、接合部が非常に薄
い、数千分の1インチのオーダーのときに限られ、その
結果接合部に三軸応力状態が生じる。はんだ付け及びろ
う付けされた接合部は、気孔が多い、結合が不完全、微
小構造が変化している、作業員の技量に左右されると言
うような溶接接合部の問題点の多くを共有する。溶接接
合部と同様、はんだ付け及びろう付け接合部には構造的
な欠陥が存在することが多い。
中間接合層を用いて金属を接合する改良方法に対する
必要性がある。その方法はこのタイプの他の方法に関し
て述べた問題点を回避するのが望ましい。本発明はこの
必要性を満たしさらにその関連の利点を有するものであ
る。
発明の説明 本発明は金属材料片を接合する方法及びその結果得ら
れる構造物を提供する。本発明のアプローチは接合され
る材料片に用いる多種類の母材金属組成に広く利用可能
である。接合は、中間接合要素を溶融することにより迅
速に、或いは固相でよりゆっくりと行うことができる。
接合される材料片は接合プロセスの間局部的にも溶融さ
れない。接合部の厚さには制約がない。接合部の強度
は、金属原子が接合される材料片の表面から液状或いは
過冷却された液状金属接合要素へ拡散により取り込まれ
ることから生じる。従って、接合部は通常、接合される
材料片より高強度であるため、接合された材料片をテス
トすると接合部それ自体でなくて接合部から離れた所で
材料片に欠陥が生じる。本発明のアプローチは作業員の
技量に殆ど左右されず、また接合される物品の密着表面
に特別な表面仕上げを施す必要はない。従って、このア
プローチは再現性が高く、大規模商業用途に適してい
る。
本発明によると、第1の組成を有する接合すべき第1
の材料片と第2の組成を有する接合すべき第2の材料片
が提供される。接合温度、接合時間、接合圧力及び冷却
速度を含む接合処理手順が選択される。この選択に関連
して、金属接合要素が選択され、提供される。この金属
接合要素は接合可能組成範囲内の初期非晶質組成を有
し、好ましくは少なくとも3つの元素により形成されて
いる。接合可能組成範囲の特徴は、金属接合要素を第1
及び第2の材料片と接触状態にして接合処理手順を実行
した後において非晶質状態を保持している点にある。こ
の方法はさらに、第1と第2の材料片の間への接合要素
の配置、接合要素の領域とそれに隣接する第1及び第2
の材料片の部分との接合処理手順による処理を含む。
一実施例において、接合要素は、接合処理手順完了後
も非晶質状態に保持される初期組成を有するように選択
される。接合処理手順の間、第1または第2の材料片の
いづれかから別の合金元素が表面接触により初期組成内
に拡散した結果生じる、初期組成と関連がある接合要素
の付随組成も存在する。この付随組成もまた接合処理手
順の終了時において非晶質状態を保持する。
従って、最終的な接合構造は接合すべき2つの材料片
と、それらの間の非晶質接合要素とを含む。接合要素は
完全に非晶質であり、接合された材料片はそれらの元の
構造を保持する。非晶質金属は、結合及び冷却の間その
ガラス転移温度よりも高い温度で粘性流動し、界面に存
在するであろう空所を満たし且つ非晶質金属と接合され
る材料片との間の熱膨脹係数の差による残留応力を打ち
消すことによって良好な結合を得るのに役立つ。結合
後、その非晶質金属は高い強度を有する。接合される母
材金属と非晶質結合要素との間の相互拡散による結合及
び結合要素の強度により、接合部の厚さとは無関係に強
い接合部が得られる。即ち、接合部の強度はろう付けに
よる接合部の場合のように三軸応力状態によるものでは
ない。尤も、接合部がその長さ及び深さと比べて薄い場
合、本発明の接合部にはこのような三軸応力状態が存在
するであろう。
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の原理を例示す
る添付図面に関連して行う好ましい実施例の以下の詳細
な説明から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明 図1は本発明のアプローチにより調製した結合構造の
立面図である。
図2(a)−(c)は結合領域における及びそれに隣
接するところの組成の変化を示す、図1の構造に関する
距離の関数としての組成の概略的なグラフである。
図3は本発明のアプローチのプロセスの流れを示す図
である。
図4は接合処理手順の時間−温度−変化を示す図であ
る。
図5は金属接合要素の最初の選択のためのプロセス流
れ図である。
図6は接合可能組成範囲を示す四層図である。
本発明を実施するための最適モード 図1は第1の金属材料片22及び第2の金属材料片24を
接合して形成した構造体20を概略的に示す。非晶質の金
属接合要素26が第1と第2の金属材料片22,24間を延び
て接合媒体として働く。第1の金属材料片22と接合要素
26とは第1の界面28で接触し、第2の金属材料片24と接
合要素は第2の界面30で接触している。金属材料片22,2
4は一定の割合で縮尺されない断片的な図であるため、
接合片26の寸法を図面から知ることはできない。接合要
素26の厚さは強度を失わない程度の所望の厚さで1マイ
クロメータ以下から1インチまたはそれ以上の大きさの
範囲内にある。
一般的に、第1の金属材料片22は接合前初期組成Aを
有するものとして、第2の金属材料片24は初期組成Bを
有するものとして、また接合要素は接合前初期組成Jを
有するものとして説明する。接合による図1の構造体の
形成後、第1の金属材料片22から接合要素26へ材料Aの
一部が意図的に拡散し、第2の金属材料片24から接合要
素26へ材料Bの一部が意図的に拡散する。この接合態様
の結果として、接合要素26から第1の金属材料片22また
は第2の金属材料片24への材料Jの拡散は実質的に存在
しない。
図2(a)−(c)は界面28及び30に垂直な方向の構
造体中の距離の関数としての構造体20の組成を示す。図
2(a)を参照して、第1の金属材料片22の組成は実質
的に完全に材料Aである。少量の材料Aが接合要素26の
第1の変性領域32へ界面28を越えて拡散している。図2
(b)を参照して、第2の金属材料片24の組成は実質的
に完全に材料Bである。界面30を越えて接合要素26の第
2の変性領域34へ少量の材料Bが拡散している。図2
(c)を参照して、接合要素26の組成は中央の非変性領
域36では実質的に完全に材料Jである。それぞれの界面
28,30に隣接する接合要素26の領域32,34における接合要
素の組成は完全に材料Jではなく、第1の変性領域32で
は材料JとAの混合物、また第2の変性領域34では材料
JとBの混合物である。処理の間接合要素の一部が変性
して生じる異なる組成を本明細書では総括的に「付随組
成」と呼ぶ。
領域32及び34において組成が変化しても、接合要素の
初期組成及び付随組成は領域32,34及び36において実質
的に完全に非晶質であることが重要である。全体で実質
的に非晶質状態を保持することによって、接合要素26は
接合作業の間ガラス状態で流動する能力を維持し、接合
完了後卓越した強度及び耐腐食性を保持する。後述する
接合作業の重要な特徴は接合要素26全体を確実に非晶質
に保持することである。
米国特許第4,621,031号に記載されるように、非晶質
材料の層を用い2つの物品を結合することは過去におい
て知られている。その場合、結合される物質が非晶質材
料内に相互拡散しないように注意が払われており、非晶
質材料に対する相互拡散の影響の問題は注目されていな
かった。米国特許第4,621,031号のアプローチは、非晶
質材料の再結晶温度より高い温度を許容しないという点
を除き、従来のろう付けに似ている面もある。米国特許
第4,621,031号のアプローチは多くの状況において実行
可能で高い利用度をもつが、各材料片22,24の母材の一
部を接合要素26に相互拡散させるとそれぞれの界面28,3
0において結合強度が改善されることが発見された。本
発明のアプローチでは、米国特許第4,621,031号とは異
なり、接合時の拡散による組成の変化が接合要素26内に
おける非晶質状態の維持を妨げないように注意を払う必
要がある。米国特許第4,621,031号のアプローチでは低
い展性相が必要とされ、以前非晶質であった領域におい
て結晶の形成が許容される。
米国特許第4,710,235号には2つの材料片の間に結合
を形成するため非晶質材料を用いる別の方法が記載され
ている。この場合、非晶質材料の融点が接合される材料
片の再結晶温度以下である必要があった。このアプロー
チは多くの用途で有用であるが、他の用途に用いる場合
選択可能な非晶質材料の範囲に制約がある。
図3は本発明により2つの金属材料片の接合を行うた
めの好ましいアプローチを示す。接合されるべき第1の
金属材料片22と第2の金属材料片24の提供をそれぞれ4
0,42で示す。第1及び第2の材料片は金属である。第1
及び第2の金属材料片は同一組成及び種類であるが、一
般的には、異なる組成及び種類のものでよい。2つの材
料片22,24は図1にそれぞれ界面28,30として示す接合が
行われる一般的に整合された密着表面を有する。これら
の表面は図示のように完全に整合状態或いは平坦である
必要はない。本発明の良い点は変形により密着表面の不
規則性に適合させ得るように接合要素26を厚くできるこ
とである。結合時に界面となる表面もまた特定の仕上げ
または特定の平滑度をもつ必要はない。それらはごみ、
油及び他の汚染物質がないのが望ましいが、これはこの
ような汚染物質が結合時に界面に捕捉されると界面の強
度が低下する可能性があるからである。使用可能な金属
の種類に制限はない。その例として、ジルコニウム、ハ
フニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅及びコバルトが含
まれる。(ここで言う金属とはその名指しした金属の組
成が少なくとも50%を占める合金を含む)。
接合処理手順の選択を44で、また金属性接合要素の供
給を46で示す。これらのステップは、利用可能なデータ
を用いて、或いは必要な場合所要のデータを作り出し
て、互いのステップを考慮しながら一緒に行われるのが
普通である。44で示す接合処理手順は、接合温度への加
熱、接合される領域への(好ましくは接合される界面に
垂直な方向の)圧力の印加、及び周囲温度への冷却を含
む。加熱速度は、後述するように結晶状態への変化を確
実に回避する点を除き重要でないことが判明している。
加熱の態様については制限がなく、炉による加熱、電気
抵抗加熱、摩擦加熱、レーザによる加熱、及び他の加熱
方法が実行可能なことが判明している。加熱方法は材料
片22及び24の特定の種類に最も適した装置に応じて選択
される。
接合温度は接合要素26の初期組成のガラス転移温度で
あるTgより高い任意の温度でありうる。接合要素26の組
成は接合作業の間幾分変化するが、Tgの値はかかる組成
の変化に応じて大きく変化することはなく、本質的に一
定値を維持する。
図4は接合処理手順の決定において有用な時間−温度
−変化(TTT)図と呼ばれる図である。TTT図は鋼処理の
分野で広く知られ利用されている。その原理を一部修正
した形で用いると非晶質/結晶材料の特性を摘示しその
処理を説明するのに有用である。その図は鋼の種々の相
ではなくて非晶質(ガラス状態)及び結晶状態の有用な
概念を示すように従来のTTT図を修正したものである。
好ましくは、図4に示すような対象となる接合要素の
組成のTTT図を接合処理手順の策定に利用できる。対象
となる特定の接合要素の組成にとってこの種のTTT図が
ない場合は、鋼のTTT図の作成に用いるのと同種の普通
の手順により容易に作成できる。この手順を簡単に説明
すると、その組成のサンプルをある温度に加熱し、その
温度に種々の時間保持し、急冷し、分析する。その構造
体が非晶質か結晶質かを調べる分析はこの2つの状態の
回折パターンが著しく異なるためX線回折により最も容
易に行える。この2つの状態を判別するこの方法は当該
技術分野においてよく知られている。この手順を種々の
温度で繰り返すことにより図4に示す図を作成する。結
晶温度Txは結晶相の鼻部(最も左に延びた点)に対応す
る温度として定義される。
Tgは示差走査熱量計の温度軌跡の吸熱上昇により決ま
る。Tgの値は通常の場合と同様、非晶質(ガラス状態
の)材料の粘性がほぼ1013ポイズである温度として定義
される。基準として、融点Tmをその材料の粘性が102
イズ以下に低下する温度として示す。非晶質材料は結晶
質材料と同じような融解現象は起こさないことを認識さ
れたい。それにもかかわらず、基準値Tmを材料の粘性が
低いため観察者にとってそれが溶融状態の固体として振
る舞うように見える温度を示すようにするのが便利であ
る。TTT図の正確な値及びそれぞれの相の境界は組成に
より異なる。しかしながら、そのばらつきは接合要素の
初期組成のTTT図を付随組成についても使用できるほど
充分に小さいのが普通である。鋼処理技術のように、こ
こで最も関連のある処理手順では、接合処理手順は小さ
なばらつきが有意となるほど特定の限界値及び相の境界
に接近することはない。
図4のTTT図が示す重要なて特性は、非晶質から結晶
状態への変移が温度及び時間に依存することである。接
合処理手順の目的は、接合要素を非晶質状態に維持する
ことであり、このため接合処理手順は接合要素が結晶状
態の界へ移動するのを許さない。接合処理手順はまた処
理がTgより高い温度で行われるようにする必要がある。
接合要素26と少なくともそのすぐ近くの金属材料片2
2,24の部分とは非晶質の界の中の処理温度へ加熱され
る。接合要素を粘性変形させて界面28,30に合致させる
ため接合圧力が印加される。界面28,30が滑らかであれ
ば、接合要素26は薄いものでよく、界面に合致させるた
めに大きく変形させる必要はない。界面28が粗く凸凹で
ある場合、厚い接合要素を大きく変形させて合致させる
必要がある。接合圧力は選択された温度における接合要
素の粘性応じて決定されるが、処理温度が低ければ高い
圧力となる。接合圧力は通常、約10乃至約100気圧であ
る。
ある時間経過後(その選択は後で説明する)、接合要
素26を冷却してTg以下の温度にし、そこから周囲温度へ
下げる。冷却速度は接合要素がTTT図の結晶領域に入ら
ないように充分高いものでなければならない。従って、
接合温度にある時間が長ければ長いほど冷却速度を早く
して結晶領域に入らないようにする必要がある。
これらの原理を説明するため、図4に接合処理手順の
2つの可能なタイプ、即ち手順1及び手順2を示す。手
順1として示す処理手順では、接合要素と少なくともそ
の近くの金属材料片22と24の部分(また場合によっては
その全部)はTmより高い温度に加熱される。その温度で
平方インチ約150ポンド(psi)の圧力が印加される。こ
の温度では結晶状態に変化する可能性は実質的に存在し
ないため、接合要素は界面に沿い完全な接触状態が得ら
れるまでの不定の長い期間その温度に保持される。必要
な冷却速度を決定するため、手順1をその原点に戻す
が、これは時間(対温度)がこの場合の必要な冷却速度
にとって直接関係がないからである。冷却速度は手順1
の冷却部分が結晶領域内に入らないように充分に大きく
なければならない。実際、これは手順1の結晶領域の鼻
部に掛かってはならないことを意味する。選択される冷
却速度は通常、接合要素の中心が実験的或いは商業的公
差により許容される最小のクリアランス内でその鼻部を
通り過ぎるように最も遅い速度となるように選択され
る。一般的に急冷及び冷却方法に共通であるが、冷却速
度が過大であると材料片22または24の内部に高い応力が
生じるおそれがある。このため、場合によっては手順2
のアプローチを用いるのが好ましい。
手順2は完全にTx以下で行われる接合処理手順を示
す。接合要素26と少なくともその近くの材料片22及び24
の部分はTgより高いが結晶相の領域が下方にそして右方
に後退している領域であるTxよりも低い温度に加熱され
る。この温度で接合圧力が印加される。接合圧力は通
常、非晶質材料の粘性は温度が低ければ高いため、手順
1よりも高い。かかる温度では、時間が進行すると結晶
状態へ変移が起こるため、手順1の場合のように手順2
を冷却開始時に原点に戻さない。従って、処理温度への
加熱は接合及び冷却にできるだけ多くの時間が与えられ
るように通常はかなり早い速度で行う。手順1の処理手
順については、冷却を、開始後結晶領域にかからないよ
うに充分早く進める必要がある。手順2により例示され
る方式に従うにあたり、結晶温度Txは、ガラス転移温度
Tgより、2つの温度間で処理が行われるよう充分に高い
ものである必要がある。従来の商業方式において、Tx−
Tgは少なくとも約30℃でなければならないことが分かっ
ている。
手順1の方式によると接合を短時間且つ低い接合圧力
で達成できるが、冷却速度が比較的大きくする必要があ
るため最終的な構造体内に内部応力が生じる可能性が大
きい。手順2の方式では、高い接合圧力が必要であるが
内部応力が発生する可能性は低い。手順2の方式は低い
温度を使用するため、材料片22及び24の一方またはその
両方が特定の望ましい構造体となるよう前もって熱処理
されているか或いは熱的劣化を受けやすい場合にはこの
処理手順の方が適しているであろう。これらの方式の選
択は材料片22及び24の幾何学的形状、構造的熱感受性及
び内部応力(曲げ或いは亀裂が生じる可能性がある)の
受けやすさに左右される。
接合処理手順の選択はまた結晶状態の界の位置及び形
状にもよる。図4は結晶状態の界の鼻部が1乃至10分の
範囲内の時間位置にあることを示すが、これは後述する
接合要素の好ましい組成にとって典型的なものである。
さらに改良を続ければ首尾よくその鼻部をさらに長い時
間位置に移動させ、処理手順の選択においてより大きな
柔軟性を得ることができるであろう。鼻部が充分に右方
に移動できれば、処理温度がTxとTmの間で結晶領域の鼻
部を外れるような処理時間及び冷却速度を用いる接合処
理手順が多くの場合実際的であろう。
接合処理手順は、46において、接合要素26の組成の選
択に関連して決定される。接合要素26の初期組成は、材
料片22及び24に隣接する部分が付随組成に変性した後、
接合要素26全体が非晶質状態として処理されるようなも
のでなければならない。組成のばらつきに対する安定性
に関するこの種の情報は接合要素26の候補材料につき利
用可能な状態にあるのが望ましい。もしそうでなけれ
ば、その情報を調査する必要がある。図5はこの情報を
得るための手順を示し、図6はその分析にとって有用で
あると判明している摘要フォーム図を示す。
60において候補材料の初期組成が選択される。この選
択は材料片22及び24に用いる材質に部分的に基づく。初
期組成は勿論、提案された処理に適した充分に高い速度
で冷却した後も非晶質の構造を保持できるものでなけれ
ばならない。その初期組成は少なくとも3つの意図的に
提供される元素よりなるのが好ましいが、これはかかる
組成が付随組成への部分的変性にとって最適でありその
際非晶質状態に到達する能力が失われないからである。
候補となる組成は、材料片22及び24と化学的及び物理的
に両立可能であると知られている組成である。最も好ま
しくは、その候補となる初期組成は第1の材料片22及び
第2の材料片24に見られる主要な元素の一部をも含む。
一例として、第1の材料片がチタン系合金であり、第2
の材料片がジルコニウム系合金であれば、好ましい候補
材料の初期組成はチタンとジルコニウムを共に含むか或
いチタンとジルコニウムの存在を許容しそれと同時に処
理終了後も非晶質状態を保持すると知られているもので
ある。この選択方法により、少なくともある別の材料の
接合要素への拡散が許容されるとある程度確信される。
62において、接合要素の候補となる初期組成の多数の
サンプルが調製される。ステップ64において、これらの
サンプルは第1の材料片22及び第2の材料片24に用いら
れる材料片と接触状態に置かれて一連の二つ組或いは三
つ組を形成する。その例に続いて、候補となる初期組成
物がチタンとジルコニウムの材料片間にサンドイッチ状
に置かれた多数の三つ組が調製される。次いで、66にお
いて、サンプルが候補となる接合処理手順に従って処理
され、68において、接合要素が完全に非晶質状態を維持
しているか否かをチェックするための評価が行われる。
これらの完全に非晶質のサンプルは接合可能組成範囲内
にあることが決定される。
図6は4つの成分を有する合金系(A,B,C,D)の接合
可能組成範囲を示す正四面体図のアプローチを示し、こ
の合金系は材料片22または24の一方の主要成分である元
素Bを含む。合金系(A,B,C,D)は少なくともある状況
のもとで非晶質状態を得ることができるものとして知ら
れている。接合要素の候補となる初期組成を選択し、そ
れを図6のグラフ上で点Yとして記入する。上述のアプ
ローチに従うか或いは特定組成のサンプルを調製または
分析することによって調製及び分析した合金YとBと間
の拡散対をそれらが非晶質或いは結晶質か否かにつき記
入する。非晶質領域と結晶領域に分割するように描いた
表面が接合可能組成範囲85である。
組成Yは上述したように、組成Bの材料片と、またも
う一方の材料片と接触状態で処理するのに適当である必
要がある。そのもう一方の材料片が同じ組成Bであれば
評価の必要はない。一方、そのもう一方の材料片が組成
Aのような別の組成であれば、Aに対するその候補組成
Yの安定性も調べる必要がある。一見して複雑なようで
あるが、この評価プロセスは実際簡単であり、上述した
アプローチに手引きされると当業者の技量で充分実行で
きる。
接合要素26の材料がいったん決定されると、界面28及
び30に適合するに必要な接合要素の寸法が決まる。この
接合要素を提供するには2つの異なるアプローチがあ
る。その1つは別個の、一体的でない接合要素を調製す
る。もう一方は、接合要素の組成を電気メッキ、スパッ
タリング、電子ビーム蒸着或いは他の方法により材料片
22または24の一方の上に直接被覆物として付着させる。
接合要素は、その実用性がろう付けの場合のように任意
特定の厚さになったか否かに依存しないため、厚さは任
意適当でよい。
48において、接合要素26は第1の材料片22と第2の材
料片24との間に配置される。接合要素を調製する第1の
アプローチでは、2つの材料片22及び24を接合要素26の
周りにサンドイッチ状に配置する。第2のアプローチで
は、接合要素を付着させた材料片を密着表面に沿っても
う一方の材料片と接触状態に置く。
50において、接合処理手順を実行する。接合処理手順
の選択については上述した。
現在において最も好ましいケースとして、5つの成分
系の合金(Zr,Ti,Cu,Ni,Be)を接合要素の主成分として
用いる。任意特定のケースにおいて、これらの元素のう
ちその1つの量をゼロに近付けることができる。(これ
らの合金は、Cu及びNiの溶解特性が類似しているため両
者を一緒にすることができるので、図6のように4成分
図としてに描くことが可能である。しかしながら、図6
はそれらの関係を示すのに便宜的に用いるものであって
本発明の実施にとって必要条件ではない)。この系内の
組成は処理の間非晶質状態を得ることが一般的に可能で
あると知られている。米国特許第5,288,344号を本明細
書の一部を形成するものとして引用する。本発明に利用
可能な他の合金系が他の用途に用いるものとして当該技
術分野で知られている。例えば、本明細書の一部を形成
するものとして引用する米国特許第5,074,935号;5,053,
084号及び5,053,085号を参照されたい。
本発明者等はジルコニウム系、鉄系、ニッケル系、銅
系、チタン系の材料片の接合に特に関心があり、このた
め米国特許第5,288,344号の合金系(Zr,Ti,Cu,Ni,Be)
に研究を集中した。この系の中では好ましい接合要素は
非晶質構造を有し、その組成は銅、ニッケル、コバルト
及び鉄の合計の原子重量%が約10乃至約38%、ジルコニ
ウムの原子重量%が約45乃至約67%、ベリリウムの原子
重量%が約10乃至約35%、それに付随的な不純物があ
り、百分率の合計は百原子重量%である。この範囲の組
成物は、叙上の組成範囲の材料片22及び24と接触状態で
且つ処理条件の範囲で、優れた非晶質保持特性を有する
ことが分かっている。他の種類の材料片22及び24の接合
に関心のある人は他の系に大きな関心があるであろう。
以下の例は本発明の種々の面を示すものであるが、本
発明をいかなる点においても限定するものと考えるべき
ではない。
例1 市販の純粋なチタンの直径8分の1インチの棒2本
を、接合される材料片とするため、密着表面が平らにな
るように研削した。組成が重量%でニッケル8.7%、銅
7.1%、ベリリウム3.0%、残りがジルコニウムである厚
さ25マイクロメータの接合要素を調製して、チタンの棒
の密着表面間に配置した。棒を10ボンドの力で押し付け
た。それらの棒はキャパシタ放電抵抗加熱用電極として
用いるものであった。加熱を行うために、それらの棒を
介して20,40,80ジュールのパルスを、次いで100ジュー
ルのパルス8個を放電させた。放電加熱の後、接合要素
とその近くの材料片の領域をバルクへの熱流により急速
に冷却した。接合完了後棒に簡単な張力荷重を加えた。
57ポンドの荷重で欠陥が生じたが、その欠陥は一方のチ
タン製棒の接合部から離れたところで生じた。従って、
接合部それ自体は棒よりも高い強度をもつことが分かっ
た。
例2 純粋な銅の直径8分の1インチ棒2本を丸削りして先
端部の直径がちょうど16分の1インチにした。例1で用
いたと同じ合金の薄いフォイルをその先端部間に配置
し、それらの棒に10ポンドの圧縮力荷重を加えた。例1
のキャパシタ放電方式によりそれぞれ80ジュールのパル
ス5個により加熱を行った。冷却後、棒に単純な張力荷
重を加えた。7.8ポンドの力の荷重で欠陥が生じたが、
その欠陥箇所は一方の銅棒の接合部から離れた所であっ
た。
例3 AISI1018鋼を冷間圧延したバーから造った直径4分の
3インチの棒2本を,それぞれ端部において機械加工し
平らにした。組成がニッケル8.7重量%、銅7.5重量%、
ベリリウム3.0重量%、残りがジルコニウムの合金の薄
いフォイルを一方の棒の平らな表面上にスポット溶接
し、もう一方の棒を接合要素のもう一方の側と接触状態
に置いた。その棒と接合要素を慣性摩擦溶接によりWk2
が1.445で加熱した。フライウィールを毎分7410回転で
回転させ軸方向荷重として5844ポンドの力を加えたた
め、付与されたエネルギーは13,790フィート−ポンドで
あった。重大なことは溶接における金属のロスは0.003
インチであるが、これは炭素鋼の従来の慣性摩擦溶接で
はかなり小さいものであった。溶接した材料片から引っ
張り試験片を切り出しその張力テストを行った。溶接部
の近くで応力34000psiにおいて欠陥が生じた。
例4 化学的に純粋なジルコニウム10gのサンプルを組成が
ジルコニウム62.6重量%、銅13.2重量%、チタン11.0重
量%、ニッケル9.8重量%、ベリリウム3.4重量%の同量
の接合要素と接触させた。この接合要素は900℃で液状
であり水冷炉床で冷却した。透過電子顕微鏡により高倍
率で見ることによって分かるのであるが、非晶質の接合
合金はジルコニウムを充分に湿潤状態にした。界面には
連続的に結合された領域があった。接合合金は冷却後も
完全に非晶質であり、ジルコニウムとの間で原子的にシ
ャープな界面が形成された。接合されたサンプルを欠陥
が生じるまで曲げた。その欠陥はジルコニウムの分離に
よるものであった。
例5 例5はジルコニウムの代わりに化学的に純粋なチタン
を用いる点を除き同じである。同様な結果が得られ、チ
タンの分離による欠陥が生じた。
本発明の特定の実施例を例示目的で詳細に説明した
が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の
変形例及び改善例が考えられるであろう。従って、本発
明は後記の特許請求の範囲による場合を除き限定される
べきでない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョンソン,ウィリアム,エル アメリカ合衆国,カリフォルニア州 91107,パサデナ,マウンテンビュー・ アヴェニュー 3546 (72)発明者 ボルトン,ジミー,ビー アメリカ合衆国,テキサス州 77301, コンロウ,キャントレル 1701 (72)発明者 ペカー,アタカン アメリカ合衆国,カリフォルニア州 91106,パサデナ,イースト・ヴィラ・ ナンバーファイブ 1001 (56)参考文献 特開 平5−169282(JP,A) 特開 平5−131279(JP,A) 特開 昭57−79087(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/00 - 20/227

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つの金属材料片を接合する方法であっ
    て、 第1の組成を有する接合すべき第1の材料片を提供し、 第2の組成を有する接合すべき第2の材料片を提供し、 接合温度、接合時間、接合圧力及び冷却速度を含む接合
    処理手順を選択し、 接合処理手順の間非晶質状態に保持される初期組成及び
    接合処理手順の間第1の組成及び第2の組成より成る群
    からの別の合金元素が表面接触によりその初期組成へ拡
    散した結果その初期組成に関連することになった付随組
    成を有する金属の接合要素を選択し、 接合要素を第1の材料片と第2の材料片の間へ配置し、 接合要素の領域とそれに隣接する第1及び第2の材料片
    の部分とを接合処理手順で処理するステップより成り、 この処理ステップは接合要素とそれに隣接する第1及び
    第2の材料片の部分とを接合要素の初期組成及び付随組
    成が冷却完了後も非晶質状態を保持するように充分に早
    い速度で冷却するステップを含む、接合方法。
  2. 【請求項2】接合要素を提供するステップは、第1及び
    第2の材料片とは別に接合要素の材料片を調製するステ
    ップを含む請求項1の方法。
  3. 【請求項3】接合要素を提供するステップは、第1及び
    第2の材料片の一方の上に接合要素材料の層を付着させ
    るステップを含む請求項1の方法。
  4. 【請求項4】処理ステップは、接合要素をその融点より
    高い温度に加熱するステップを含む請求項1の方法。
  5. 【請求項5】処理ステップは、接合要素をその融点より
    低い温度に加熱するステップを含む請求項1の方法。
  6. 【請求項6】接合要素を提供するステップは、初期組成
    結晶温度と初期組成ガラス転移温度を有しその初期組成
    結晶温度が初期組成ガラス転移温度よりも少なくとも約
    30℃高い接合要素を提供するステップを含む請求項5の
    方法。
  7. 【請求項7】請求項1の方法により調製した接合構造。
  8. 【請求項8】2つの金属材料片を接合する方法であっ
    て、 第1の組成を有する接合すべき第1の材料片を提供し、 第2の組成を有する接合すべき第2の材料片を提供し、 接合温度、接合時間、接合圧力及び冷却速度を含む接合
    処理手順を選択し、 初期組成が接合可能組成範囲内にある金属製接合要素を
    提供し、 接合可能組成範囲は金属製接合要素を第1及び第2の材
    料片と接触状態にして接合処理手順を実行した後金属製
    接合要素が非晶質状態にあることで特徴付けられる範囲
    であり、 接合要素を第1の材料片と第2の材料片の間へ配置し、 接合要素の領域とそれに隣接する第1及び第2の材料片
    の部分とを接合処理手順で処理するステップより成る接
    合方法。
  9. 【請求項9】金属製接合要素を提供するステップは、 高い温度から充分に早い速度で冷却した後も非晶質構造
    を呈する材料の母材合金組成を選択し、 母材合金組成と第1の組成及び第2の組成のうち選択し
    た1つの組成との組み合わせである異なる合金組成の複
    数のサンプルを調製し、 各合金サンプルを第1の組成及び第2の組成のうち選択
    した1つの組成の材料片と接触状態において複数の反応
    対を形成し、 接合処理手順をその反応対に対して実行し、 サンプルが接合処理手順の後非晶質であるか否かを調べ
    るためにサンプルを評価するステップより成り、 接合処理手順の後非晶質であるサンプルは接合可能組成
    範囲内にある、接合方法。
  10. 【請求項10】接合要素を提供するステップは、第1及
    び第2の材料片とは別に接合要素の材料片を調製するス
    テップを含む請求項8の方法。
  11. 【請求項11】接合要素を提供するステップは、第1及
    び第2の材料片の一方の上に接合要素材料の層を付着さ
    せるステップを含む請求項8の方法。
  12. 【請求項12】処理ステップは、接合要素をその融点よ
    り高い温度に加熱するステップを含む請求項8の方法。
  13. 【請求項13】処理ステップは、接合要素をその融点よ
    り低い温度に加熱するステップを含む請求項8の方法。
  14. 【請求項14】接合要素を提供するステップは、初期組
    成結晶温度と初期組成ガラス転移温度を有しその初期組
    成結晶温度が初期組成ガラス転移温度よりも少なくとも
    約30℃高い接合要素を提供するステップを含む請求項13
    の方法。
  15. 【請求項15】接合要素を提供するステップは、意図的
    に少なくとも3つの元素より成る金属製接合要素を提供
    するステップを含む請求項8の方法。
  16. 【請求項16】請求項8の方法により調製した接合構
    造。
  17. 【請求項17】2つの金属材料片を接合する方法であっ
    て、 チタン、ジルコニウム、鉄、ニッケル及び銅より成る群
    から選択した元素を少なくとも50重量%有する組成の接
    合すべき第1の材料片を提供し、 チタン、ジルコニウム、鉄、ニッケル及び銅より成る群
    から選択した元素を少なくとも50重量%有する組成の接
    合すべき第2の材料片を提供し、 銅、ニッケル、コバルト及び鉄の合計の原子重量%が約
    10乃至約38%、ジルコニウムの原子重量%が約45乃至約
    67%、ベリリウムの原子重量%が約10乃至約35%、それ
    に付随的な不純物があり、百分率の合計が百原子重量%
    の組成と、非晶質構造を有する金属製接合要素を提供
    し、 接合要素を第1の材料片と第2の材料片の間へ配置し、 第1の材料片、接合要素、第2の材料片を接合するに充
    分な温度・時間条件下で第1の材料片と第2の材料片を
    強制的に結合し、 接合要素の結晶を回避するに充分な速度で接合要素を周
    囲温度に冷却するステップより成る接合方法。
  18. 【請求項18】請求項17の方法により調製した接合構
    造。
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