JP3476657B2

JP3476657B2 - プランジャポンプ及び多連プランジャポンプ装置

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Publication number: JP3476657B2
Application number: JP21700597A
Authority: JP
Inventors: 信男東條
Original assignee: Maruyama Manufacturing Co Inc
Current assignee: Maruyama Manufacturing Co Inc
Priority date: 1997-06-05
Filing date: 1997-07-29
Publication date: 2003-12-10
Anticipated expiration: 2017-07-29
Also published as: JPH1150949A; US6053091A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ポンプ室をプラ
ンジャの摺動に対して高圧側シール及び低圧側シールで
シールするプランジャポンプ及び多連プランジャポンプ
装置に係り、詳しくは、高圧側シール及び低圧側シール
の間に吸入口からの液体を潤滑のために導くプランジャ
ポンプ及び多連プランジャポンプ装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】実公昭５６−１５４２６号公報及び実公
平６−１７００６号公報は、プランジャポンプにおいて
ポンプ室をプランジャの摺動に対して高圧側シール及び
低圧側シールでシールするとともに、その高圧側シール
及び低圧側シールの間の環状空間（以下、「環状シール
間空間」と言う。）へ吸入口からの液体を導いて、高圧
側シール及び低圧側シールを潤滑することを開示する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】実公平６−１７００６
号公報のプランジャポンプでは、環状内部空間は周方向
１個所でしか、吸入口へ連通していないので、プランジ
ャポンプを、プランジャの往復動方向へ水平線に揃えて
設置する（以下、「水平方向設置」と言う。）場合、周
方向位置によっては、環状内部空間が吸入口の方へ連通
する周方向個所が下半部となり、環状内部空間からの空
気抜きが不十分となる。

【０００４】実公昭５６−１５４２６号公報のプランジ
ャポンプでは、環状シール間空間へ吸入口からの液体を
導く通路は、環状内部空間の周方向へ１８０°の離れた
位置の２本となっているが、ベンチュリ負圧を利用し
て、環状内部空間に液体を通過させるための往路と復路
の各１本ずつの計２本ということであり、ベンチュリ構
造が必要となり、構造が複雑化する。

【０００５】また、従来のプランジャポンプでは、プラ
ンジャポンプをその中心線の周りに任意の周方向位置で
設置する場合、周方向位置によっては、低圧側シールを
漏出して来た液体が低圧側シールのさらに基端側の内部
空間に溜まり、そのまま排出されない。

【０００６】なお、実公平５１−４４１６５号公報は、
ピストンポンプにおいて、ピストン内に吸入弁を配設
し、ピストン基端側からピストン内の吸入弁を介してピ
ストン先端側のポンプ室へ液体を吸入することを開示す
る。そして、ピストン基端側の空間は、周方向へ相互に
１８０°の位置で吸入管及び戻し管に接続されている。
ピストン基端側の空間は、ポンプ室へ液体を導入するた
めの吸入口側空間となっており、プランジャポンプにお
ける環状シール間空間とは性質が異なる。

【０００７】この発明の目的は、上記問題点を克服する
プランジャポンプ及び多連プランジャポンプ装置を提供
することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明のプランジャポ
ンプ(34)は次の（ａ）〜（ｄ）を有している。（ａ）吸
入口(74)からの液体が吸入されるポンプ室(60)（ｂ）内
周側においてプランジャ(36)に摺接してポンプ室(60)を
シールする高圧側シール(58)（ｃ）高圧側シール(58)に
対してプランジャ(36)の軸方向基端側に配設され内周側
においてプランジャ(36)に摺接して高圧側シール(58)側
をシールする低圧側シール(56)（ｄ）高圧側シール(58)
と低圧側シール(56)との間に形成されプランジャ(36)が
貫通する環状シール間空間(62)

【０００９】また、この発明のプランジャポンプ(34)に
よれば、環状内部空間(48)が、プランジャ(36)の軸方向
へ低圧側シール(56)の基端側に形成され、複数個の排出
通路(92)が、環状内部空間(48)の周方向へ間隔を開けて
環状内部空間(48)から放射方向外方へ延び、放射方向外
端において外部大気空間へ開口している。

【００１０】低圧側シール(56)を漏出して来る液体は環
状内部空間(48)に侵入する。複数個、すなわち少なくと
も２個の排出通路(92)は、環状内部空間(48)の周方向へ
離れて配設されているので、プランジャポンプ(34)は、
そのプランジャ(36)の中心線の周りの周方向位置を多少
変えられて水平設置されても、一方の排出通路(92)は、
環状内部空間(48)の適当に低い位置に連通し、環状内部
空間(48)内の漏出液を大気空間へ排出して、環状内部空
間(48)内の漏出液の滞留を防止できる。

【００１１】なお、排出通路(92)が２個である場合に、
その２個が環状内部空間(62)の周方向へほぼ１８０°離
れた位置となっているときは、プランジャポンプ(34)
は、そのプランジャ(36)の中心線の周りの任意の周方向
位置において水平設置されても、少なくとも１個の排出
通路(92)が環状内部空間(62)の中心点以下の高さになる
ので、環状内部空間(62)の上半部における漏出液の残留
を抑制できる。

【００１２】この発明のプランジャポンプ(34)は次の
（ａ）〜（ｅ）を有している。（ａ）吸入口(74)からの液体が吸入されるポンプ室(60)
（ｂ）内周側においてプランジャ(36)に摺接してポンプ
室(60)をシールする高圧側シール(58)（ｃ）高圧側シー
ル(58)に対してプランジャ(36)の軸方向基端側に配設さ
れ内周側においてプランジャ(36)に摺接して高圧側シー
ル(58)側をシールする低圧側シール(56)（ｄ）高圧側シ
ール(58)と低圧側シール(56)との間に形成されプランジ
ャ(36)が貫通する環状シール間空間(62)（ｅ）環状シー
ル間空間(62)の周方向へ間隔を開けてかつポンプ室(60)
の放射方向外側に形成されプランジャ(36)の軸方向へ相
互に平行に延びプランジャ(36)の軸方向両端においてそ
れぞれ吸入口(74)と環状シール間空間(62)の周辺部とへ
連通する複数個の連通路(78)

【００１３】また、この発明のプランジャポンプ(34)に
よれば、環状内部空間(48)が、プランジャ(36)の軸方向
へ低圧側シール(56)の基端側に形成され、複数個の排出
通路(92)が、環状内部空間(48)の周方向へ間隔を開けて
環状内部空間(48)から放射方向外方へ延び、放射方向外
端において外部大気空間へ開口している。

【００１４】プランジャ(36)の軸方向へ相互に平行に延
びる複数個、すなわち少なくとも２個の連通路(78)が、
環状内部空間(62)へその周方向へ離れた位置で連通する
ことにより、水平設置のプランジャポンプ(34)は、その
プランジャ(36)の中心線の周りの周方向位置を多少変え
られても、一方の連通路(78)は、環状シール間空間(62)
の適当に高い位置へ連通することになる。これにより、
環状シール間空間(62)内の空気は一方の連通路(78)を介
して抜かれ、環状シール間空間(62)における空気の残留
が抑制される。

【００１５】なお、連通路(78)が２個である場合に、そ
の２個が環状シール間空間(62)へその周方向へほぼ１８
０°離れた位置となっているときは、プランジャポンプ
(34)は、そのプランジャ(36)の中心線の周りの任意の周
方向位置において、水平設置されても、少なくとも１個
の連通路(78)が環状シール間空間(62)の中心点以上の高
さになるので、少なくとも環状シール間空間(62)の下半
部における空気の残留を防止できる。

【００１６】低圧側シール(56)を漏出して来る液体は環
状内部空間(48)に侵入する。複数個、すなわち少なくと
も２個の排出通路(92)は、環状内部空間(48)の周方向へ
離れて配設されているので、プランジャポンプ(34)は、
そのプランジャ(36)の中心線の周りの周方向位置を多少
変えられて水平設置されても、一方の排出通路(92)は、
環状内部空間(48)の適当に低い位置に連通し、環状内部
空間(48)内の漏出液を大気空間へ排出して、環状内部空
間(48)内の漏出液の滞留を防止できる。

【００１７】なお、排出通路(92)が２個である場合に、
その２個が環状内部空間(62)の周方向へほぼ１８０°離
れた位置となっているときは、プランジャポンプ(34)
は、そのプランジャ(36)の中心線の周りの任意の周方向
位置において水平設置されても、少なくとも１個の排出
通路(92)が環状内部空間(62)の中心点以下の高さになる
ので、環状内部空間(62)の上半部における漏出液の残留
を抑制できる。

【００１８】この発明のプランジャポンプ(34)によれ
ば、複数個の連通路(78)は、環状シール間空間(62)の周
方向へ分布した異なる位置に形成されている少なくとも
３個の連通路(78)である。

【００１９】例えば、連通路(78)が３個の場合、３個の
連通路(78)が等角度間隔でなくても、例えば、３個の連
通路(78)の間隔が、周方向へ順番に１００°，１００
°，１６０°の間隔であっても、プランジャ(36)の中心
線を水平方向に揃えて設置される水平設置のプランジャ
ポンプ(34)は、そのプランジャ(36)の中心線の周りの任
意の周方向位置において、少なくとも１個の連通路(78)
は、環状内部空間(62)の上半部の周方向個所へ連通す
る。

【００２０】少なくとも３個の連通路(78)が、例えば等
角度間隔等の配置で環状シール間空間(62)の周方向へ分
布して配設されているとともに、各連通路(78)の環状シ
ール間空間側の端は環状シール間空間(62)の周辺部に連
通しているので、水平設置のプランジャポンプ(34)がそ
のプランジャ(36)の中心線の周りの任意の又は所定範囲
内の周方向位置で設置されても、環状シール間空間(62)
の上半部及び下半部に位置する連通路(78)がそれぞれ少
なくとも１個ずつ存在することになる。これにより、環
状シール間空間(62)への液体の導入の際には、吸入口(7
4)からの液体が、下半部の連通路(78)を介して環状シー
ル間空間(62)へ流入し、環状シール間空間(62)内の空気
は、上半部の連通路(78)から抜け、環状シール間空間(6
2)における空気の残留は防止される。

【００２１】この発明のプランジャポンプ(34)によれ
ば、ポンプ室(60)は、ポンプケース部材(18)に嵌挿され
るスリーブ(52)の内周面により画定され、連通路(78)
は、ポンプケース部材(18)のスリーブ嵌挿部の壁面に形
成されている溝(78)である。

【００２２】この発明のプランジャポンプ(34)によれ
ば、ポンプ室(60)は、ポンプケース部材(18)に嵌挿され
るスリーブ(52)の内周面により画定され、連通路(78)
は、スリーブ(52)の外周面に形成されている溝(78)であ
る。

【００２３】スリーブ(52)は、溝(78)以外の外周部分で
は、ポンプケース部材(18)に放射方向外側から支持され
るので、内周面側からの大きな圧力に対する強度を保証
される。

【００２４】この発明のプランジャポンプ(34)によれ
ば、環状内部空間(48)が、プランジャ(36)の軸方向へ低
圧側シール(56)の基端側に形成され、複数個の排出通路
(92)が、環状内部空間(48)の周方向へ間隔を開けて環状
内部空間(48)から放射方向外方へ延び、放射方向外端に
おいて外部大気空間へ開口している。

【００２５】低圧側シール(56)を漏出して来る液体は環
状内部空間(48)に侵入する。複数個、すなわち少なくと
も２個の排出通路(92)は、環状内部空間(48)の周方向へ
離れて配設されているので、プランジャポンプ(34)は、
そのプランジャ(36)の中心線の周りの周方向位置を多少
変えられて水平設置されても、一方の排出通路(92)は、
環状内部空間(48)の適当に低い位置に連通し、環状内部
空間(48)内の漏出液を大気空間へ排出して、環状内部空
間(48)内の漏出液の滞留を防止できる。

【００２６】なお、排出通路(92)が２個である場合に、
その２個が環状内部空間(62)の周方向へほぼ１８０°離
れた位置となっているときは、プランジャポンプ(34)
は、そのプランジャ(36)の中心線の周りの任意の周方向
位置において水平設置されても、少なくとも１個の排出
通路(92)が環状内部空間(62)の中心点以下の高さになる
ので、環状内部空間(62)の上半部における漏出液の残留
を抑制できる。

【００２７】この発明のプランジャポンプ(34)によれ
ば、複数個の排出通路(92)が、環状内部空間(48)の周方
向へ分布した異なる位置に配設される少なくとも３個の
排出通路(92,94)である。

【００２８】なお、少なくとも３個の排出通路(92)は、
環状内部空間(48)の周方向へ等角度間隔の配列でなくて
も（例：３個の排出通路(92)の角度間隔が、周方向へ順
番に１００°，１００°，１６０°の間隔であると
き。）、少なくとも１個の排出通路(92)は、水平設置の
プランジャポンプ(34)がプランジャ(36)の中心線の周り
の任意の周方向位置で、環状内部空間(48)より下方へ延
び出すことが確保される。

【００２９】低圧側シール(56)を漏出して来る液体は環
状内部空間(48)に侵入する。少なくとも３個の排出通路
(92,94)が、環状内部空間(48)の周方向へ分布して、環
状内部空間(48)から放射方向外方へ延び、放射方向外端
において外部大気空間へ連通しているので、プランジャ
ポンプ(34)がプランジャ(36)の中心線の周りの所定範囲
内の又は任意の周方向位置で設置されても、少なくとも
１個の排出通路(92,94)は、環状内部空間(48)から下方
へ延びることになり、これにより、環状内部空間(48)内
の漏出液は排出通路(92,94)を介して外部へ円滑に排出
できる。

【００３０】この発明の多連プランジャポンプ装置(10)
は、回転動力を入力される回転動力入力軸(22)と、回転
動力入力軸(22)の軸線の周りにほぼ等角度間隔で分布し
てかつ回転動力入力軸(22)の軸線に対して相互に平行に
配設されかつ吸入口(74)及び吐出口(76)を共通とされる
前述したプランジャポンプ(34)と、回転動力入力軸(22)
の軸線に対して傾斜して回転動力入力軸(22)に取り付け
られ回転動力入力軸(22)の回転に伴って回転して各プラ
ンジャポンプ(34)のプランジャ(36)を軸方向へ往復動さ
せる斜板(30)とを有している。

【００３１】多連プランジャポンプ装置(10)は、設置状
況により吸入口(74)等の向きが規定され、結果、回転動
力入力軸(22)の中心線の周りの所定範囲内の又は任意の
周方向位置に対して、支障のないようにする要望があ
る。多連プランジャポンプ装置(10)は、所定範囲内の又
は任意の周方向位置に対して、各プランジャポンプ(34)
の環状シール間空間(62)の空気抜き及び環状内部空間(4
8)の漏出液排出を保証される。

【００３２】

【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。図１は三連プランジャポンプ
装置10の垂直断面図である。駆動ケース12、仕切り部材
16、及びマニホールド18は、水平方向へ順に並べられ、
３本の締付けボルト20は、マニホールド18及び仕切り部
材16を挿通して、駆動ケース12に螺着し、駆動ケース1
2、仕切り部材16、及びマニホールド18を水平方向へ締
付ける。ポンプ入力軸22は、駆動ケース12の外部に露出
した接続部23においてモータ24の出力軸に接続され、ボ
ールベアリング26を介して駆動ケース12に回転自在に軸
支される。モータ24は、冷却ファンを内蔵しており、モ
ータ24の運転中、その冷却ファンによる冷却風が、図１
にＷで示すように、ポンプ入力軸22に対して平行に三連
プランジャポンプ装置10の周面部を流れる。なお、冷却
風はＷとは向きが反対のこともあり得る。オイルシール
28は、駆動ケース12の後壁部におけるポンプ入力軸22の
貫通部に設けられ、駆動ケース12内の潤滑油の漏れを阻
止する。斜板30は、ポンプ入力軸22の軸方向に対して所
定角度傾斜して、ポンプ入力軸22の先端部に回転方向へ
一体に取り付けられ、スラストベアリング32を取り付け
られている。

【００３３】３個のプランジャポンプ部34は、ポンプ入
力軸22の中心線の周りに１２０°間隔でかつ中心線を水
平線に揃えて相互に平行に配設されている。各プランジ
ャポンプ部34において、プランジャ36は基端部に膨出部
38を備えている。押圧部材40は、仕切り部材16の中心孔
41に摺動自在に嵌挿され、圧縮コイルばね42により斜板
30の方へ付勢され、膨出部38をスラストベアリング32に
押圧している。オイルシール44は、仕切り部材16のマニ
ホールド18側の段部に嵌挿され、内周側においてプラン
ジャ36に摺接し、駆動ケース12内の潤滑油の漏れを阻止
する。シール押さえ46は、オイルシール44に突き当てら
れて、オイルシール44の抜けを阻止するとともに、プラ
ンジャ36との間に漏出液用環状空間48を形成する。シー
ルケース50、スリーブ52、及び円筒カラー54は、シール
押さえ46側から順にプランジャ36の軸方向へ配列され、
マニホールド18内へ嵌挿されている。低圧側シール56
は、シールケース50のシール押さえ46側の段部に嵌挿さ
れ、内周側においてプランジャ36に摺接するようになっ
ている。高圧側シール58は、スリーブ52の円筒カラー54
側の段部に嵌挿され、内周側においてプランジャ36に摺
接するようになっている。ポンプ室60は、スリーブ52の
内周側に画定され、プランジャ36の往復動により容積を
増減される。環状シール間空間62は、シールケース50の
内周側において低圧側シール56及び高圧側シール58の間
に画定される。中心孔付き吸入弁64は、スリーブ52内へ
円筒カラー54側から摺動自在に嵌挿され、圧縮コイルば
ね72により円筒カラー54側へ付勢されている。中心孔付
き弁座68は、円筒カラー54の内周との間に所定の環状間
隙を開けて、それと同軸に配設され、プランジャ36側の
端部において中心孔付き吸入弁64の弁座の役目を果たし
ている。吐出弁70は、中心孔付き吸入弁64とは反対側の
中心孔付き弁座68の端部に就座自在となっており、圧縮
コイルばね72によりポンプ室60へ付勢されている。

【００３４】吸入口74及び吐出口76は、３個のプランジ
ャポンプ部34に共通に、それぞれマニホールド18の先端
部の上部及び先端面の中央部に設けられている。吸入口
側環状空間80は、各プランジャポンプ部34の中心孔付き
弁座68の外周側に形成され、吸入通路82を介して吸入口
74へ連通しているとともに、中心孔付き吸入弁64の開時
には円筒カラー54と中心孔付き弁座68との間の環状間隙
を介してポンプ室60へ連通している。各膨出部38のポン
プ室60は、吐出弁70の開時には中心孔付き吸入弁64及び
中心孔付き弁座68の中心孔を介して吐出口76へ連通す
る。

【００３５】図２は図１のII−II矢視断面図である。図
１及び図２において、３個の溝78は、ポンプ室60の周方
向へ１２０°間隔の配置でマニホールド18の内周部に形
成され、プランジャ36の軸方向へ平行に延びている。各
溝78は、プランジャ36の放射方向に関して環状シール間
空間62より外側に位置し、環状シール間空間62側の端に
おいて環状シール間空間62へ連通し、吸入通路82側にお
いて吸入口側環状空間80へ連通している。

【００３６】図３は溝78の別の形成例を示している。図
３の溝78が図２の溝78と相違する点は、溝78が、マニホ
ールド18ではなく、スリーブ52の外周面に形成されてい
ることだけである。溝78の形成場所は図２及び図３のど
ちらであってもよい。

【００３７】図４は仕切り部材16についての図１のIV−
IV矢視断面図、図５は図４のV−V矢視断面図である。挿
通孔88は、仕切り部材16のフランジ部周辺部に穿設さ
れ、締付けボルト20（図１）を挿通される。突出壁部98
は、仕切り部材16のフランジ部からマニホールド18の方
へ突出し、各プランジャポンプ部34のプランジャ36が貫
通する計３個の円柱孔部100を仕切り部材16の中心線の
周りに１２０°間隔で備えている。各プランジャポンプ
部34の漏出液用環状空間48は円柱孔部100内に画定され
る。各プランジャポンプ部34において、３個のスロット
92と１個のスロット94とは、漏出液用環状空間48の周方
向へ９０°間隔の配置で突出壁部98に形成され、漏出液
用環状空間48の放射方向へ延びている。各スロット92
は、放射方向外端において突出壁部98の外側面に開口し
ている。スロット94は、突出壁部98の中心にある円柱孔
90を通過して、漏出液用環状空間48の放射方向外端にお
いて、スロット92と同様に、突出壁部98の外側面に開口
している。これにより、各漏出液用環状空間48は、周方
向へ９０°間隔で外部の大気空間へ連通していることに
なる。

【００３８】三連プランジャポンプ装置10の作用につい
て説明する。ポンプ入力軸22は、モータ24の運転に伴
い、モータ24からの回転動力を受け、回転する。斜板30
は、オイルシール28の軸方向に対して所定傾斜角を維持
しつつ、ポンプ入力軸22と一体に回転し、各プランジャ
ポンプ部34において、プランジャ36は、膨出部38を押圧
部材40によりスラストベアリング32に押し付けられて、
往復動する。結果、ポンプ室60の容積が増減し、吸入行
程では、ポンプ室60の容積の減少に伴うポンプ室60内の
圧力の減少により、吐出弁70が中心孔付き弁座68に就座
するとともに、中心孔付き吸入弁64が、圧縮コイルばね
66の付勢力に抗して中心孔付き弁座68から離れ、吸入口
74の液体（通常は水）は、吸入通路82、吸入口側環状空
間80、及び円筒カラー54の内周部と中心孔付き弁座68の
外周部との間の環状間隙を介してポンプ室60内へ吸入さ
れる。吐出行程では、ポンプ室60の容積の減少に伴うポ
ンプ室60内の圧力の増大により、中心孔付き吸入弁64が
中心孔付き弁座68に就座するとともに、吐出弁70は、圧
縮コイルばね72の付勢力に抗して中心孔付き弁座68から
離れ、ポンプ室60内の液体は、中心孔付き吸入弁64及び
中心孔付き弁座68の中心孔を経て吐出口76へ吐出され
る。

【００３９】一方、各吸入口側環状空間80は、３個の溝
78を介して環状シール間空間62へ連通しており、吸入口
74の液体は溝78を経て環状シール間空間62へ流入する。
３個の溝78は、環状シール間空間62の周方向へ１２０°
間隔の配置となっているので、水平設置の三連プランジ
ャポンプ装置10がポンプ入力軸22の中心線の周りの任意
の周方向位置で設置されても、３個の内の少なくとも１
個が、環状シール間空間62の上半部に、また、残りの少
なくとも１個が環状シール間空間62の下半部に位置する
ことになる。したがって、環状シール間空間62への液体
の流入の際は、下半部の溝78から環状シール間空間62内
へ液体が流入しつつ、ほぼ上半部の溝78からは環状シー
ル間空間62内の空気が抜け、環状シール間空間62への液
体の流入が円滑になるとともに、環状シール間空間62の
空気の残留が抑制される。環状シール間空間62に流入し
た液体は、プランジャ36の周部に接触し、低圧側シール
56及び高圧側シール58に対するプランジャ36の摺動の潤
滑液としての役目を果たす。また、ポンプ室60内の液体
の一部は、高圧側シール58を介して環状シール間空間62
へ漏出することがあるが、環状シール間空間62において
溝78からの液体と混合し、漏出を抑制される。

【００４０】環状シール間空間62内の一部の液体は、低
圧側シール56を経て漏出液用環状空間48へ漏出する場合
がある。その場合、漏出液は漏出液用環状空間48に溜ま
る。各漏出液用環状空間48は、漏出液用環状空間48の周
方向へ９０°間隔で設けられた３個のスロット92及び１
個のスロット94を介して外部の大気空間へ連通してい
る。したがって、水平設置の三連プランジャポンプ装置
10がポンプ入力軸22の中心線の周りの任意の周方向位置
で設置されても、３個のスロット92及び１個のスロット
94の少なくと１個が漏出液用環状空間48の下半部に連通
して、そこから下方へ延びて、外部の大気空間へ至って
いるとともに、残りの少なくとも１個が漏出液用環状空
間48の上半部に連通して、そこから上方へ延びて、外部
の大気空間へ至っている。これにより、漏出液用環状空
間48の上半部に連通しているスロット92又はスロット94
から漏出液用環状空間48内へ空気が円滑に流入するとと
もに、漏出液用環状空間48内の漏出液が、漏出液用環状
空間48の下半部に連通しているスロット92又はスロット
94を介して外部へ排出され、漏出液用環状空間48内の残
留を抑制される。

【００４１】モータ24の冷却ファンによる冷却風は、図
１のＷのように、流れて、吸引力により漏出液用環状空
間48内の空気を吸い出し、仕切り部材16における冷却を
行う。これにより、駆動ケース12及びマニホールド18間
の熱の伝導が抑制される。

【００４２】図６及び図７はそれぞれ図２及び図３の構
造の変形例を示す。図６及び図７では、溝78は、ポンプ
室60の周方向へ任意角度、好ましくは１８０°離して、
それぞれマニホールド18の内周部又はスリーブ52の外周
部に形成される。水平設置の三連プランジャポンプ装置
10がポンプ入力軸22の中心線の周りの所定範囲内の又は
任意の周方向位置となっても、一方の溝78は環状シール
間空間62の適当に高い位置又は環状シール間空間62の上
半部の所定位置へ連通することになるので、その溝78を
介して環状シール間空間62内の空気が十分に抜かれる。
環状シール間空間62に流入した液体は、プランジャ36の
周部に接触し、低圧側シール56及び高圧側シール58に対
するプランジャ36の摺動の潤滑液としての役目を果た
す。また、ポンプ室60内の液体の一部は、高圧側シール
58を介して環状シール間空間62へ漏出することがある
が、環状シール間空間62において溝78からの液体と混合
し、漏出を抑制される。

【００４３】図８は図４の変形例を示す。図８では、各
プランジャポンプ部34において、スロット94は廃止さ
れ、仕切り部材16の中心から放射方向へ延びる半径に対
して直角方向へ延びる２個のスロット92のみが残され
る。図８では、スロット92は、各プランジャポンプ部34
において、周方向へ１８０°離れた位置になっている
が、２個のスロット92は、同一の周方向位置でなけれ
ば、１８０°以外の周方向間隔であってもよい。これに
より、水平設置の三連プランジャポンプ装置10がポンプ
入力軸22の中心線の周りの所定範囲内の又は任意の周方
向位置で設置されても、一方のスロット92は、漏出液用
環状空間48の適当に低い位置から下降し、漏出液用環状
空間48内の漏出液を外部の大気空間へ排出し、漏出液用
環状空間48内の残留が抑制される。

【図面の簡単な説明】

【図１】三連プランジャポンプ装置の垂直断面図であ
る。

【図２】図１のII−II矢視断面図である。

【図３】溝の別の形成例を示す図である。

【図４】仕切り部材についての図１のIV−IV矢視断面図
である。

【図５】図４のV−V矢視断面図である。

【図６】図２の構造の変形例を示す図である。

【図７】図３の構造の変形例を示す図である。

【図８】図４の変形例を示す図である。

【符号の説明】

１０三連プランジャポンプ装置（多連プランジャポ
ンプ装置）１８マニホールド（ポンプケース部材）２２ポンプ入力軸２４モータ（原動機）２８オイルシール（ポンプ室）３０斜板３４プランジャポンプ部（プランジャポンプ）３６プランジャ４８漏出液用環状空間（環状内部空間）５２スリーブ５６低圧側シール５８高圧側シール６０ポンプ室６２環状シール間空間７４吸入口７６吐出口７８溝（連通路）９２，９４スロット（排出通路）

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】（ａ）吸入口(74)からの液体が吸入され
るポンプ室(60)、（ｂ）内周側においてプランジャ(36)
に摺接して前記ポンプ室(60)をシールする高圧側シール
(58)、（ｃ）前記高圧側シール(58)に対して前記プラン
ジャ(36)の軸方向基端側に配設され内周側において前記
プランジャ(36)に摺接して前記高圧側シール(58)側をシ
ールする低圧側シール(56)、（ｄ）前記高圧側シール(5
8)と前記低圧側シール(56)との間に形成され前記プラン
ジャ(36)が貫通する環状シール間空間(62)、を有してい
るプランジャポンプであって、環状内部空間(48)が、前
記プランジャ(36)の軸方向へ前記低圧側シール(56)の基
端側に形成され、複数個の排出通路(92)が、前記環状内
部空間(48)の周方向へ間隔を開けて前記環状内部空間(4
8)から放射方向外方へ延び、放射方向外端において外部
大気空間へ開口していることを特徴とするプランジャポ
ンプ。
【請求項２】（ａ）吸入口(74)からの液体が吸入され
るポンプ室(60)、（ｂ）内周側においてプランジャ(36)
に摺接して前記ポンプ室(60)をシールする高圧側シール
(58)、（ｃ）前記高圧側シール(58)に対して前記プラン
ジャ(36)の軸方向基端側に配設され内周側において前記
プランジャ(36)に摺接して前記高圧側シール(58)側をシ
ールする低圧側シール(56)、（ｄ）前記高圧側シール(5
8)と前記低圧側シール(56)との間に形成され前記プラン
ジャ(36)が貫通する環状シール間空間(62)、及び（ｅ）
前記環状シール間空間(62)の周方向へ間隔を開けてかつ
前記ポンプ室(60)の放射方向外側に形成され前記プラン
ジャ(36)の軸方向へ相互に平行に延び前記プランジャ(3
6)の軸方向両端においてそれぞれ前記吸入口(74)と前記
環状シール間空間(62)の周辺部とへ連通する複数個の連
通路(78)、を有しているプランジャポンプであって、環
状内部空間(48)が、前記プランジャ(36)の軸方向へ前記
低圧側シール(56)の基端側に形成され、複数個の排出通
路(92)が、前記環状内部空間(48)の周方向へ間隔を開け
て前記環状内部空間(48)から放射方向外方へ延び、放射
方向外端において外部大気空間へ開口していることを特
徴とするプランジャポンプ。
【請求項３】前記複数個の連通路(78)は、前記環状シー
ル間空間(62)の周方向へ分布した異なる位置に形成され
ている少なくとも３個の連通路(78)であることを特徴と
する請求項２記載のプランジャポンプ。
【請求項４】前記ポンプ室(60)は、ポンプケース部材(1
8)に嵌挿されるスリーブ(52)の内周面により画定され、
前記連通路(78)は、前記ポンプケース部材(18)のスリー
ブ嵌挿部の壁面に形成されている溝(78)であることを特
徴とする請求項２又は３記載のプランジャポンプ。
【請求項５】前記ポンプ室(60)は、ポンプケース部材(1
8)に嵌挿されるスリーブ(52)の内周面により画定され、
前記連通路(78)は、前記スリーブ(52)の外周面に形成さ
れている溝(78)であることを特徴とする請求項２〜４の
いずれかに記載のプランジャポンプ。
【請求項６】前記複数個の排出通路(92)が、前記環状内
部空間(48)の周方向へ分布した異なる位置に配設される
少なくとも３個の排出通路(92,94)であることを特徴と
する請求項１〜５のいずれかに記載のプランジャポン
プ。
【請求項７】回転動力を入力される回転動力入力軸(2
2)、前記回転動力入力軸(22)の軸線の周りにほぼ等角度
間隔で分布してかつ前記回転動力入力軸(22)の軸線に対
して相互に平行に配設されかつ前記吸入口(74)及び吐出
口(76)を共通とされる請求項１〜６のいずれかに記載の
前記プランジャポンプ(34)、及び前記回転動力入力軸(2
2)の軸線に対して傾斜して前記回転動力入力軸(22)に取
り付けられ前記回転動力入力軸(22)の回転に伴って回転
して前記各プランジャポンプ(34)の前記プランジャ(36)
を軸方向へ往復動させる斜板(30)、を有していることを
特徴とする多連プランジャポンプ装置。