JP3474653B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置

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JP3474653B2
JP3474653B2 JP27920794A JP27920794A JP3474653B2 JP 3474653 B2 JP3474653 B2 JP 3474653B2 JP 27920794 A JP27920794 A JP 27920794A JP 27920794 A JP27920794 A JP 27920794A JP 3474653 B2 JP3474653 B2 JP 3474653B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気共鳴イメージング装
置(以下、MRI装置という)に関し、特に被検体の検
査対象部位を装置の磁石の中心に配設するのに好適な手
段を有するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】MRI装置は、核磁気共鳴(以下、NM
Rという)現象を利用して被検体である人体の内部組織
の断層像や局所的なスペクトルを測定し、被検体を無侵
襲的に検査する装置である。一般に、水素等、奇数個の
陽子または中性子を持つ原子核は磁気モーメントを有
し、このような原子核が均質な磁場界(静磁場)の中に
配置されたときに、ラーモア周波数ωで歳差運動を行
う。そしてラーモア周波数ωに一致する高周波磁界を印
加すると原子核は共鳴吸収を行い、高周波磁界の印加を
止めたときに熱平衡状態に戻る。この原子核の振る舞
い、すなわち、磁化Mの変化は周辺に配置されたコイル
に電磁気誘導により起電力を発生し、NMR信号として
検出される。MRI装置では、この電気信号を検出して
診断のための画像化処理を行う。この際NMR信号が人
体のどの位置から得られた信号であるかを識別するため
に、空間によって強度の異なる傾斜磁場を静磁場に重畳
したり、ある特定の周波数帯域を有する高周波磁界を発
生するように構成されている。すなわち、検査部位は均
一な静磁場空間と傾斜磁場の重畳された磁場強度と高周
波磁界の周波数によって定められる。傾斜磁場は通常互
いに直交する3方向の軸の座標位置によって強度の異な
る磁場を発生させる。
【0003】このためMRI装置は、図8に示すように
均一な磁界を発生する磁石81と、直交する3軸方向に
それぞれ傾斜磁場を発生する3つの傾斜磁場コイル82
と、それらコイルを駆動する傾斜磁場電源83と、検査
部位の原子核スピンを励起する高周波磁界を発生する照
射用高周波コイル84と、そのコイルを駆動する高周波
送信器85、励起後の核スピンからのNMR信号を電気
信号として検出する検出用の高周波コイル86と、その
コイルに接続された信号増幅回路87と、NMR信号か
ら被検者の像を生成するための信号処理を行うとともに
傾斜磁場コイル82及び高周波コイル84の駆動並びに
信号検出のタイミングを予め定められたシーケンスに従
って制御するための計算機88と、生成された像を表示
するモニターディスプレイ89と、被検体1を計測位置
に移動させる患者テーブル91とを備えている。これら
装置は、検出用コイルに電磁波ノイズが混入して検査結
果が劣化しないようにするため、電磁場遮蔽された検査
室90に配置され、室外から操作するために制御系とそ
の操作卓92は検査室の外に置かれている。
【0004】一般に静磁場磁石81及び傾斜磁場コイル
82はその中心付近で最適な特性を示すものであり、最
適の検査結果を得るには、目的とする検査断面が磁石8
1の中心及び検出コイル84の中心であって、傾斜磁場
の少なくとも一軸に並行に位置することが望ましい。こ
のため従来は、位置合わせ用光線93(ライトマーカと
称する)が磁石81の端面に取り付けられ、このライト
マーカ93で被検者の体表面を描線し位置合せを行って
いた。成人男子の腰椎を検査する場合を例として位置合
わせの手順を以下に説明する。 (1)被検者1の検査部位に合わせて、腰椎検出用高周
波コイル86を患者テーブルの天板91a上に準備す
る。尚、検査部位によっては磁石内に組み込まれた高周
波コイルを使用する場合や、被検者を患者テーブル上に
寝かせた後に高周波コイルを装着する場合もある。 (2)被検者の検査部位である腰椎と検出用のコイル8
6の位置が合うように被検者を患者テーブル91aに寝
かせる。 (3)患者テーブルの天板91aを水平に移動して、検
査目的部位の体表面をライトマーカ93に合わせる。こ
の際、被検者の体軸の方向が装置の座標軸の一軸と平行
になっていない場合には、天板上のマットや被検者を直
接動かして、平行となるようにする。 (4)天板91aを再び水平移動する。この移動距離は
ライトマーカ93から磁石91の中心までの距離Lであ
り、この距離は一定であるので、実際の商用機ではワン
アクションで自動的にLだけ移動するように構成されて
いる。
【0005】以上の操作で位置合せは終了し、次いで本
計測に入るまえの前処理スキャン及び検査領域決定が行
われる。即ち、 (5)オペレータは電磁遮蔽用のドアを閉めて、操作卓
92に向かう。 (6)目的の検査モードを駆動する前に、被検者毎に装
置の各ユニットの動作パラメータを調整するモード(前
処理スキャン)を起動する。これは、オペレータが操作
卓92上の入力キーを操作することにより傾斜磁場や高
周波磁場の動作タイミング及びその強度が被検者ごとに
調整され、最良な画像が得られるようにする。具体的に
は、X、Y、Z傾斜磁場電源83と高周波送信器85と
を動作させ、X、Y、Zの各コイルを含む傾斜磁場コイ
ル82及び高周波コイル84に電源を流し、それぞれ
に、傾斜磁場と高周波磁場を発生させる。そして、被検
者の検査領域のNMR信号が受信用高周波コイル86に
より検出され、高周波受信器87で増幅と検波された
後、計算機88のデータメモリに記録される。計算機8
8はデータメモリ内のNMR信号に対し種々の演算処理
を行い、各磁場発生手段の印加タイミングや強度を算出
して、目的の値になるように補正する。 (7)検査目的に合致した撮影モードの前に、検査領域
(通常はある厚さを有する平面)を設定するための比較
的高速で粗い画像(スカウトビューと称する)を得る。
このスカウトビューは例えば図7に示すようなサジタル
像71(体軸と平行な垂直断面像)として得られ、モニ
ターディスプレイ89に表示される。 (8)オペレータはこの表示されたスカウトビュー70
上の所望の位置にカーソルライン72を合わせることに
より検査領域を設定する。計算機88はスカウトビュー
70とカーソルライン72の位置関係を計算して、検査
目的部位に合致した撮影ができるように、各傾斜磁場と
高周波磁場の動作を制御して計測を進める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】既に述べたように、検
査部位を画像の座標基準となる傾斜磁場の少なくとも一
軸(例えばZ軸)に並行に配置することが特に重要であ
り、例えば、腰椎の検査の場合最初に撮影するスカウト
ビューが腰椎の正中を的確に描出していれば、その後の
検査で椎体や椎間板に並行に撮影断面が設定することが
できる。
【0007】しかしながら従来装置では上述したように
検査部位にライトマーカ93を合わせて体軸とZ軸とを
合わせているので、体内深部の臓器に対し体表面あるい
は衣類の上から内部臓器の位置を決めなければならな
い。これは熟練を要する作業であり、被検者に対して検
査部位付近を触らなければならない場合もある。更に
は、いかに熟練しても患者個体差までも含めて位置合わ
せを行うことは不可能である。このため、スカウトビュ
ー画像に検査目的とする検査断面の部位が含まれていな
い場合や、目的とする検査断面の一部しか特定すること
ができない場合などが生じる。このような状態は、上記
手順の工程(8)でスカウトビューを表示させたときに
目的とする検査断面が特定できないことにより認識され
る。従ってこれを補正するためには、再び工程(4)か
ら繰り返さなければならない。極端な場合は、工程
(2)から繰り返す必要がある。このように患者の位置
合わせを何度も繰り返すことは、患者及びオペレータ双
方にとって負担が大きく、熟練や勘に頼らずに患者の個
体差を含め確実に位置を把握する手段が望まれていた。
【0008】本発明の目的は患者の検査すべき目的部位
を正確に撮影空間である磁石の中心に配置する機構を備
えたMRI装置を提供することである。本発明の他の目
的は患者の検査すべき目的部位を傾斜磁場の少なくとも
一軸に並行に配置できるようにしたMRI装置を提供す
ることである。更に、本発明の他の目的は被検者を磁石
内に挿入する際の被検者への不安感を極力少なくし、磁
石内への搬入をスムーズに行うことができるMRI装置
を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】これら目的を達成する本
発明のMRI装置は、被検体の置かれる空間に均一な静
磁場と位置によって強度の異なる傾斜磁場と高周波磁場
とをそれぞれ発生させる磁場発生手段と、空間に被検体
の検査部位を挿入する移動手段と、検査部位の核磁気共
鳴信号を検出する検出手段と、検出されたNMR信号を
信号処理する計算機と、該計算機の計算結果を表示する
表示手段と、磁場発生手段及び検出手段を駆動制御する
制御手段とを備え、更に移動手段はその動作を操作する
操作部を備え、制御手段は操作部による移動手段の動作
過程に合せて各磁場発生手段と検出手段とを動作させ被
検体のNMR信号を計測、計算機により演算処理を行
い、結果を表示手段に表示せしめるものである。
【0010】本発明の好適な態様において、表示手段は
第2の表示手段を備え、この第2の表示手段は移動手段
又は静磁場を発生する磁場発生手段の近傍に設置されて
いる。また本発明の別な好適な態様において、移動手段
は被検体の検査部位をその挿入方向と直交する方向に移
動する手段を備えている。さらに、本発明の好適な態様
において、制御手段は、前記被検体の検査部位が所定の
領域内に存在する間、前記移動手段の動作過程に合わせ
て前記各磁場発生手段と前記検出手段とを動作させる。
また移動手段は間欠的に動作可能であり、制御手段は移
動手段の間欠的動作の静止中に合わせて各磁場発生手段
と検出手段とを動作させ被検体のNMR信号を計測す
る。例えば、前記制御手段は、前記移動手段による被検
体の移動と、各磁場発生手段及び検査手段の動作とを交
互に行うよう制御する。また本発明のMRI装置は、移
動手段の移動量または移動速度を検出する移動検出手段
を備え、前記制御手段は、前記移動検出手段が検出した
被検体の移動量又は移動速度に応じて、各磁場発生手段
及び検査手段の動作パラメータを設定する。
【0011】
【作用】被検体を移動させる移動手段の動作に合わせて
傾斜磁場と高周波磁場の発生手段を動作させる。計算機
は得られたNMR信号を一次元のフーリエ変換処理して
逐次マトリクスデーターに組み上げて二次元目のフーリ
エ変換の演算処理を施し演算結果を表示手段に表示す
る。オペレータは表示された演算結果を確認しながら操
作部によって移動手段を操作したり、被検者の設定位置
を修正したり、被検者に体の移動を指示する。これによ
り、被検者の検査部位を正確に撮影領域の中心に合わせ
ることができる。表示手段が、第2の表示手段として移
動手段或いは磁場発生手段の近傍に備えられていること
により、オペレータは第2の表示手段により被検者の近
傍にいて、上記した移動手段の操作や設定位置の修正等
を行うことができる。移動手段が挿入方向への移動のみ
ならずそれと直交する方向への直線的或いは回転移動が
可能であることにより、検査目的部位をより正確に磁石
の中心及び傾斜磁場の軸と合わせることができる。
【0012】移動手段の静止中に各磁場発生手段と検出
手段とを動作させて信号計測することにより高分解能の
位置合せ画像を得ることができる。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例を添付図面に
基づいて説明する。図1は、本発明が適用されるMRI
装置の一実施例を示す概略構成図である。このMRI装
置は、均一な静磁場を発生する磁石2と、この磁石内の
測定空間に配置され、静磁場に重畳される傾斜磁場を発
生させる3軸方向の傾斜磁場コイル3と、高周波磁場を
発生させる高周波コイル4と、3軸の傾斜磁場コイル3
をそれぞれ駆動する駆動電源5と、高周波コイル4の駆
動電源(送信回路)6と、測定空間内に被検者1の検査
部位を挿入する患者テーブル7と、検査部位のNMR信
号を検出する高周波コイル8と、その増幅回路9と、増
幅されたNMR信号を演算処理する電子計算機10と、
その操作卓11と、計算機10の計算結果を表示する表
示するモニタ12とを備えており、磁石2、傾斜磁場コ
イル3、高周波コイル4及び患者テーブル7は電磁場遮
蔽された検査室13内に設置されている。
【0014】計算機10は、高周波コイル8が検出した
NMR信号を演算処理とともに、傾斜磁場コイル3及び
高周波コイル4の各駆動電源5、6を駆動制御し、操作
卓11から入力された撮影条件に従って所定の撮影法
(シーケンス)による動作タイミング及び強度で傾斜磁
場コイル3及び高周波コイル4が動作するように制御す
る制御手段を構成する。また計算機10は、後述する患
者テーブル7の移動機構からの信号により動作し、傾斜
磁場コイル3及び高周波コイル4を、患者テーブル7の
動作過程と合せて所定タイミングで動作させ、位置合せ
のための撮像を制御する。
【0015】患者テーブル7は、被検者1を寝かせる天
板7aと天板7aを挿入方向(図中左右方向)及び垂直
方向に移動するための駆動機構14を備え、更にこの駆
動機構を動作させるための操作板15を備えている。こ
の操作板15は、患者テーブルの近傍に備えられている
ことが好ましく、図示する実施例では、磁石2を覆うガ
ントリカバー(図示せず)の端部に、位置合わせのため
のライトマーカ16と、計算機10の演算結果を表示す
る第2の表示手段であるモニタディスプレイ17と共
に備え付けられている。また天板7aには、検査中に被
検者1が動かないように腰の部分を適度の強度で締め付
けるベルト7bが備えられている。
【0016】患者テーブル7の水平方向の駆動機構14
の一実施例を図2に示す。この駆動機構14は、操作板
15を入力装置とする制御回路201と、制御回路20
1からの信号により駆動されるドライバ202と、ドラ
イバ202によって駆動され天板7aを水平移動させる
モータ203と、天板7aの移動を検出するロータリー
エンコーダ204と、ロータリーエンコーダ204から
のパルス信号を計測するアップダウンカウンタ205
と、アップダウンカンタ205の計測値と予め設定さ
れた設定値とを比較するコパレータ206と、コンパ
レータ206の設定値を設定するためのプリセットデー
タスイッチ207とを備え、コンパレータ206はアッ
プダウンカンタ205の計測値と設定値とが一致する
とき計算機10に信号31を出力する。計算機10は前
述したように、コンパレータ206からの出力によっ
て、高周波コイル3及び傾斜磁場コイル4を駆動し、位
置合せのための撮影、画像表示を開始させる。
【0017】尚、図示しないが患者テーブルは駆動機構
14は垂直方向或いは挿入方向を軸とする回転方向につ
いても同様の機構を備えることができる。次に以上のよ
うな構成におけるMRI装置の位置合わせ機構の動作を
検査目的部位が腰椎である場合を例として説明する。ま
ず、被検者1は患者テーブル2の天板3の上に仰向けに
横たえられ、検査目的部位の腰椎のNMR信号を高感度
で検出するため、天板7aとの間に平板タイプの検出用
高周波コイル8が挿入され、腰の部分をベルト7bで固
定する。
【0018】この状態で、オペレータ(図には示してな
い)は磁石2のガントリカバーに取り付けられている患
者テーブル7の操作板15のスイッチを操作して天板7
aを上下に移動させて被検者の体軸が測定空間のほぼ中
央となるように位置させた後、磁石2の中心に(図中左
方に)向けて水平に移動させて、検査目的部位である腰
椎の体表の位置がライトマーカ16の光線に一致するよ
うに天板7aを調整する。再び、天板7aの移動を行う
ため、オペレータは操作板15の別のキーを操作する。
ライトマーカ16から磁石2の中心までの距離が例えば
87cmであるとすると、天板7aはその半分程度の距
離、例えば50cmまで自動的に送り込まれる。そして
天板7aが50cmを過ぎると、天板7aの移動と共に
位置合せのためのシーケンスにより高周波コイル4及び
傾斜磁場コイル3の動作が進行する。
【0019】この動作を、天板7aの移動機構と制御回
路の詳細を示した図2を参照して詳述する。患者テーブ
ル7の操作板15のスイッチを操作すると制御回路20
1の信号により、ドライバー202に接続された駆動モ
ータ203により天板7aが移動する。天板7aの移動
につれてロータリーエンコーダ204のパルス信号がア
ップダウンカウンタ205で計測される。コンパレータ
206はアップダウンカウンタ205で計測された値と
プリセットデータスイッチ207の設定値50とを比較
し、これらの2つの値が一致すると、信号31を計算機
10に送出する。この信号印加により計算機10は位置
合せのためのパルスシーケンスのタイミングと強度信号
を出力して、傾斜磁場電源5と高周波送信器6と受信器
9を動作させる。
【0020】受信器9より得られた信号は逐次計算機1
0で演算処理され、その結果は磁石2の表面に取り付け
られたモニターディスプレイ17に表示される。この画
像は、検査目的部位が磁石2の中心に近づいた状態、す
なわち37cm以内(87cm−50cm)の画像であ
るので、腰椎近傍が中心位置に移動する状態がモニタで
きる。従ってオペレータはモニターディスプレイ17に
表示されている画像を確認しながら、検査目的部位であ
る腰椎が磁石2の中心に位置するように天板7aの移動
を微調整したり、被検者1に体の位置を移動するように
直接声を掛けて指示する。この場合、移動機構が天板7
aの上下駆動機構を備える場合には必要に応じ上下方向
にも天板7aを微調整する。
【0021】位置合せのために計算機10が制御するパ
ルスシーケンスとしては、好適にはリアルタイムで複数
の画像を逐次表示できるものが採用され、例えばグラデ
ィエントエコー(GE)法、エコープラナー法等の超高
速撮像法が採用される。図3にGE法によるパルスシー
ケンスを示す。この実施例では被検者1の体軸方向(挿
入方向)をz軸とし、左右方向をx軸、前後方向をy軸
として傾斜磁場の駆動軸が決められており、X傾斜磁場
33は、サジタル面を断面として特定する傾斜磁場で、
磁石内のx軸方向の磁場に例えば1mT/mの傾斜磁場
を与える。Y傾斜磁場34は位相エンコード方向の傾斜
磁場、Z傾斜磁場35は読み出し傾斜磁場である。高周
波磁場32は例えば4m秒のパルス波で、かつガウシャ
ン関数で振幅変調を受けているもので、21.3MHz
の中心周波数に1KHzの側帯波を有することになる。
このパルスシーケンスでは、1枚の画像を得るためにY
傾斜磁場の強度を変えて複数回、例えば64回信号が計
測される。
【0022】このパルスシーケンスは、既に述べたよう
に被検者1の検査目的部位が磁石6の中心付近に近づ
き、具体的には天板3の移動量を計測するアップダウン
カウンタ205の値が50cmになるとコンパレータ2
06の出力31が変化することにより作動する。まずx
軸の傾斜磁場33が印加されると同時に高周波磁場32
が印加される。この期間Aでは、患者の体軸方向の所定
厚さのサジタル断面の核スピンが励起される。X傾斜磁
場が前掲の1mT/mの傾斜磁場で、高周波磁場32が
中心周波数21.3MHz±1KHzである場合、励起
される断面の厚さは3cmとなる。次に期間Bで、Y傾
斜磁場34をある振幅強度で印加する。この傾斜磁場の
変化は、期間Aで励起された核スピンの共鳴信号をy軸
方向に位相エンコードする。次に期間Cで、極性が反転
するZ傾斜磁場35を印加することにより核スピンの運
動はエコー信号36となって発生する。このエコー信号
36は近傍に配置された検出コイルに電気信号として検
出される。この信号を増幅、検波してアナログ/デジタ
ル変換のサンプリング37して計算機10のメモリー回
路に記録する。Y傾斜磁場の振幅強度を341、342
343、344と変化させながら、上記の過程を64回繰
り返し、1枚の画像形成に必要な信号を計測する。得ら
れたデータは計算機10で二次元高速フーリエ変換後モ
ニターディスプレイ17に表示される。
【0023】1回の高周波磁場32照射から次の高周波
磁場照射までの繰り返しの周期は15m秒程度であるの
で、1枚の画像を得るための一連のパルスシーケンスの
時間は1秒程度であり、画像再構成のためのの演算処理
と表示は約0.2秒で完了する。ここで表示される画像
は脊椎に沿った断面を示すサジタル像であり、リアルタ
イムで画像が更新、表示される。従って、オペレータは
表示された画像を確認しながら患者テーブル7の操作を
行い、所望検査部位がモニターディスプレイ17の中心
位置に表示されるまで操作する。また、必要に応じて被
検者の設定位置を修正したり、被検者に体の移動を指示
する。これにより、被検者の検査部位を正確に撮影領域
の中心に合わせることができる。
【0024】このように被検者1のセッティングが完了
すると、オペレータは電磁場遮蔽された検査室13から
出て、操作卓11を操作して常法により撮像条件の補
正、断面の決定等の後、検査のための撮像シーケンスを
進める。検査結果である画像や局所的なスペクトルは検
査室外に設置された表示装置12に表示される。尚、以
上の実施例では、オペレータが画像を確認しながら手動
で患者テーブル7を移動させる場合について説明した
が、画像の表示と患者テーブル7の移動とを時系列的に
交互に動作させることも可能である。図4はこのような
機能を追加した第2の実施例を示す図である。ここで
は、コンパレータ206の出力41がハイレベルになる
と、図3と同様のパルスシーケンスによる信号計測43
が実行され、被検者の磁石内への搬入過程がモニターデ
ィスプレイ17に表示される。この間、天板7aは静止
している。撮像が終了すると同時に計算機10から制御
回路201を介して天板7aを移動するドライバ202
にドライバ信号42が送出され、天板7aが移動する。
この移動後の位置は、次いで実行される信号計測43の
結果としてモニターディスプレイ17に表示される。こ
のように天板7aの移動(ドライバ信号41送出)と信
号計測43とをタイムシェアリングで交互に繰返すこと
により、モニターディスプレイ17には動きによるアー
チファクトが少ない画像が表示され、位置合わせの精度
を向上させることができる。オペレータは、所望の検査
部位が画像の中心にきたときに操作板15により天板7
aの移動を停止する命令を入力する。
【0025】尚、被検者を磁石内に挿入する場合には、
所望の検査部位が磁石2の中心付近に近づくにつれ、天
板7aの移動速度を減速することが望ましい。このよう
な実施例を図5に示す。図5では図4に示す実施例と同
様にコンパレータ出力51によって位置合せのための信
号計測53が開始し、信号計測53と天板7aのドライ
バ駆動52とがタイムシェアリングで繰返されている。
但しここではドライバ信号52が出される時間が、漸減
している。即ち、天板7aの移動量を計測するカウンタ
ー205の値が87cmに近づくにつれ、天板の移動す
るドライバ信号52の時間を少なくして1回の移動量を
少なくするか或いは天板7aの移動速度を遅くする。こ
れにより更に位置合せの精度を向上させることができ、
しかも停止時に所謂急停止とならずスムーズな患者移動
が可能となる。
【0026】図4及び図5に示す実施例では計測時間は
一定であり、図3のパルスシーケンスを実行する場合2
2m秒程度要するが、天板7aの移動速度の減速に合せ
て、位相エンコード傾斜磁場の印加量ステップ数を例え
ば64から96に増加させることも可能である。これに
より検査部位が磁石中心に近付くにつれて、計測時間は
1.5倍程度となるが分解能の高い画像が得られること
になり、より正確な検査部位の位置合わせが可能とな
る。
【0027】以上の実施例では、サジタル像により位置
合せする場合について説明したが、サジタル像以外の断
面、例えば図6に示すようなコロナル像で位置合せを行
ってもよいことは言うまでもない。この場合、図3のパ
ルスシーケンスにおいて断面決定のための傾斜磁場をX
傾斜磁場の代りにY傾斜磁場とし、位相エンコード傾斜
磁場をX傾斜磁場とすればよい。例えば、検査部位が腎
臓の場合にはコロナル像で位置合わせを行った方が左右
の臓器の位置を同時に判定することができる。
【0028】更に本発明のMRI装置は以上の実施例に
限定されることなく、特許請求の範囲に記載される範囲
で、その構成を変更し、また実施例で説明した機能以外
の機能を付加することができる。例えば位置合せの断面
を磁石端面に備え付けられたモニターディスプレイ17
上で決定するようにしてもよい。この場合にはモニター
ディスプレイ17の画像にカーソルラインを表示させ
て、このカーソルラインの位置が新たな表示断面となる
ように計算機でスライス用傾斜磁場、位相エンコード用
傾斜磁場、周波数エンコード傾斜磁場を計算、それぞれ
の電源を駆動するように構成する。オペレータはカーソ
ルラインを移動させることにより、最適な位置決め用の
断面をリアルタイムで得ることができる。これにより例
えばサジタル面で概略の位置合せを行い、次いでコロナ
ル面で最終的な位置合せするなど、サジタル面での位置
合せとコロナル面での位置合せを適宜組合せて、目的と
する検査部位を正確に磁石中央で且つ傾斜磁場の軸と一
致させることができる。
【0029】また位置合せのためのシーケンスで得られ
たNMR信号の演算結果を表示する表示手段として、磁
石2のガントリカバー端部に第2の表示手段であるモニ
ディスプレイを設けた場合を説明したが、従来のM
RI装置に備えられているモニタディスプレイをその
まま利用することも可能であり、この場合は患者テーブ
ルの移動操作も検査室外に置かれた操作卓11から行う
構成とする。なお、被検者近傍においてモニタしなが
ら被検者の位置を調整できる点では、前者が有利であ
る。
【0030】また患者テーブル7を操作する操作板15
も患者テーブル7に備え付けても、オペレータが携帯で
きる形態としてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
によれば、被検者が寝かせられた患者テーブルの動作過
程に合せて、MRI装置の各磁場発生手段と検出手段と
を動作させ被検者の核磁気共鳴信号を計測し、その演算
処理の結果を表示手段に表示するようにしたので、オペ
レータは表示手段の画像を確認しながら、被検者の検査
すべき目的部位を正確に撮影空間である磁石の中心に配
置することができる。特に、患者テーブルを操作する操
作板及び表示手段を検査室内に設置することにより、操
作性よく被検者の位置合せを行うことができる。
【0032】更に、本発明によれば位置合せの患者テー
ブルの移動速度を、磁石の中心に近づくにつれ減速する
ようにしたので、停止時に衝撃を与えることなく患者の
磁石内への搬入をスムーズに行い、しかも正確な位置合
せが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を用いたMRI装置の全体構成図。
【図2】 図1の患者テーブルの移動機構の制御ブロッ
ク図。
【図3】 位置合せのための各磁気発生手段とNMR信
号検出の動作シーケンスの一実施例を示す図。
【図4】 本発明の他の実施例による動作を説明する
図。
【図5】 本発明の更に他の実施例による動作を説明す
る図。
【図6】 本発明により表示される位置合せのための画
像の一実施例を示す図。
【図7】 断面決定のための画像を示す図。
【図8】 従来のMRI装置の全体構成図。
【符号の説明】
1・・・・・・被検者 2・・・・・・磁石(静磁場発生手段) 3・・・・・・傾斜磁場コイル(傾斜磁場発生手段) 4・・・・・・高周波コイル(高周波磁場発生手段) 7・・・・・・患者テーブル(移動手段) 7a・・・・・・天板(移動手段) 8・・・・・・高周波コイル(検出手段) 10・・・・・・計算機(制御手段) 12・・・・・・表示装置 14・・・・・・患者テーブル駆動機構 15・・・・・・操作板(操作部) 17・・・・・・モニターディスプレイ(第2の表示手段)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体の置かれる計測空間に均一な静磁場
    と位置によって強度の異なる傾斜磁場と高周波磁場とを
    それぞれ発生させる磁場発生手段と、前記計測空間に被
    検体の検査部位を挿入する移動手段と、前記検査部位か
    ら発生する核磁気共鳴信号を検出する検出手段と、検出
    された核磁気共鳴信号を信号処理する計算機と、該計算
    機の計算結果を表示する表示手段と、前記磁場発生手段
    及び前記検出手段を駆動制御する制御手段とを備えた磁
    気共鳴イメージング装置において、 前記移動手段はその動作を操作する操作部を備え、前記
    制御手段は前記操作部による前記移動手段の動作過程に
    合せて、前記被検体の検査部位が所定の領域内に存在す
    る間前記各磁場発生手段と前記検出手段とを動作させ前
    記被検体の核磁気共鳴信号を計測、前記計算機により演
    算処理を行い、結果を前記表示手段に表示せしめ さらに、前記移動手段の移動量又は移動速度を検出する
    移動検出手段を備え、前記制御手段は、前記移動検出手
    段が検出した被検体の移動量または移動速度に応じて、
    前記各磁場発生手段の動作パラメータを設定する ことを
    特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 【請求項2】前記表示手段は第2の表示手段を備え、該
    第2の表示手段は前記移動手段又は前記静磁場を発生す
    る磁場発生手段の近傍に設置されていることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 【請求項3】前記移動手段は、前記被検体の検査部位を
    その挿入方向と直交する方向に移動する手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項記載の磁
    気共鳴イメージング装置であって、前記制御手段は、前
    記移動手段の動作を制御する機能を備え、前記移動手段
    による被検体の移動と、前記各磁場発生手段及び前記検
    出手段の動作とを交互に行うよう制御することを特徴と
    する磁気共鳴イメージング装置。
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