JP3473074B2 - 誘電体共振器 - Google Patents

誘電体共振器

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JP3473074B2
JP3473074B2 JP32430993A JP32430993A JP3473074B2 JP 3473074 B2 JP3473074 B2 JP 3473074B2 JP 32430993 A JP32430993 A JP 32430993A JP 32430993 A JP32430993 A JP 32430993A JP 3473074 B2 JP3473074 B2 JP 3473074B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体ブロック内に内
導体を形成し、誘電体ブロックの外面に外導体を形成し
てなる誘電体共振器に関する。
【0002】
【従来の技術】誘電体ブロックを用いた従来の誘電体共
振器の構成を図4に示す。以下の図において、点塗り潰
し部は、誘電体ブロックの素地の見える部分(導体非形
成部)を示す。
【0003】従来の誘電体共振器は、例えば、図4
(a)及び(b)に示すように、略直方体形状の誘電体
ブロック1の対向する一対の面1a、1bを貫通して、
3個の共振器孔2a、2b、2c及び各共振器孔間に結
合孔5、5を設け、各共振器孔2a、2b、2cの内周
面には内導体3、3、3が形成され、共振器孔2a、2
b、2cの一方の開口面1a(以下、開放側端面と記
す)を除く誘電体ブロック1の他の五面には外導体4が
形成されている。各内導体3、3、3は、図4(a)に
示すように、開放側端面1aでは外導体4と分離(開
放)され、図4(b)に示すように、開放側端面1aと
対向する共振器孔2a、2b、2cの他方の開口面1b
(以下、短絡側端面と記す)では、その一面に外導体4
が形成されており、外導体4と短絡(導通)されてい
る。
【0004】そして、上記従来の誘電体共振器は、樹脂
部と金属の入出力端子からなる樹脂ピン20、20を介
して外部回路に接続され、この樹脂ピン20により外部
結合容量を得ている。また、各共振器孔2a、2b、2
c毎に形成されるそれぞれの共振器は、各共振器孔2
a、2b、2c間に形成された結合孔5、5により結合
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例
の誘電体共振器においては、フィルタの帯域幅つまり共
振器間の結合度を変えるには、結合孔の大きさを変える
必要がある。すなわち、広帯域のフィルタを得るために
は結合孔の大きさを大きくして、狭帯域のフィルタを得
るためには結合孔の大きさを小さくしている。このた
め、帯域幅の異なる誘電体共振器を必要とする場合、そ
れぞれの帯域幅に応じた共振器孔の大きさの異なる誘電
体ブロックを多数必要とし、成型用金型及び誘電体ブロ
ックの標準化が困難であり、生産性が悪く、成型用金型
コスト、管理コスト等が高くなるという問題があった。
【0006】また、広い帯域幅をとるために結合孔を大
きくするには、誘電体の肉厚及び機械的強度の観点から
誘電体ブロック成型上の限界があり、それ以上の広帯域
化が困難であるという問題があった。
【0007】さらに、結合孔を設けることにより、誘電
体ブロックの実効比誘電率が小さくなり、誘電体共振器
の共振周波数が高くなり、所定の共振周波数を得るため
には共振器長を大きくする必要があり、誘電体共振器の
小型化が困難であるという問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、以上のような従
来の誘電体共振器が持つ種々の問題点を解消し、誘電体
ブロックの短絡側端面に、隣接する内導体及び内導体と
外導体とを接続する短絡電極を設けることにより、結合
孔を不要とし誘電体ブロック及び成型用金型の標準化を
図り、容易に所望の帯域幅を得ることができ、かつ小型
化のできる誘電体共振器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係る誘電体共振器は、誘電体ブ
ロックの対向する一対の面の一方端面を開放側端面と
し、他方端面を短絡側端面とし、前記両端面の少なくと
も一方端面に開口部を有する複数の共振器孔を設け、該
共振器孔の内周面に内導体を形成し、誘電体ブロックの
外面に外導体を形成してなる誘電体共振器において、前
記短絡側端面に、隣り合う共振器孔の内導体同士、及び
入出力段にあたる共振器孔の内導体と外導体とを接続す
帯状の短絡電極が形成され、かつ前記短絡側端面の前
記短絡電極の周囲及び各内導体の周囲であって、前記短
絡電極と各内導体との接続部及び前記短絡電極と外導体
との接続部を除く部分には電極の非形成部が設けられて
いることを特徴とするものである。
【0010】
【0011】請求項に係る誘電体共振器は、誘電体ブ
ロックの対向する一対の面の一方端面を開放側端面と
し、他方端面を短絡側端面とし、前記両端面の少なくと
も一方端面に開口部を有する複数の共振器孔を設け、該
共振器孔の内周面に内導体を形成し、誘電体ブロックの
外面に外導体を形成してなる誘電体共振器において、前
記短絡側端面近傍の誘電体ブロック内に、前記各共振器
孔と交叉する貫通孔を設け、該貫通孔の内周面に、隣り
合う共振器孔の内導体、及び入出力段にあたる共振器孔
の内導体と外導体とを接続する短絡電極を形成したこと
を特徴とするものである。
【0012】請求項に係る誘電体共振器は、誘電体ブ
ロックの対向する一対の面の一方端面を開放側端面と
し、他方端面を短絡側端面とし、前記両端面の少なくと
も一方端面に開口部を有する1個の共振器孔を設け、該
共振器孔の内周面に内導体を形成し、誘電体ブロックの
外面に外導体を形成してなる誘電体共振器において、前
記短絡側端面近傍の誘電体ブロック内に、共振器孔と交
叉する貫通孔を設け、該貫通孔の内周面に、内導体と外
導体とを接続する短絡電極を形成したことを特徴とする
ものである。
【0013】
【作用】上記の構成によれば、短絡側端面または貫通孔
の内周面に形成された、隣り合う内導体を接続する短絡
電極により形成されるインダクタンスにより、各共振器
が結合され、短絡電極の線幅または形状によりインダク
タンスの値を変えることができ、よって共振器間の結合
度を変えることができる。つまり、誘電体共振器の帯域
幅の調整は、短絡電極の線幅または形状を変えることに
より容易に行うことができる。
【0014】また、短絡側端面または貫通孔の内周面に
形成された、隣り合う内導体を接続する短絡電極や入出
力段にあたる内導体と外導体とを接続する短絡電極によ
り形成されるインダクタンスにより、共振器長が見かけ
上大きくなり、誘電体共振器の共振周波数は小さくな
る。つまり、所定の共振周波数を得るためには誘電体ブ
ロック長をその分短くすることができる。
【0015】また、上記短絡電極の一部を削りとること
により、それぞれのインダクタンスの値を調整すること
ができ、誘電体共振器の帯域幅及び共振周波数を調整す
ることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
いて具体的に説明する。図において、従来例と同一部
分、同一機能のものについては同一符号を付す。
【0017】本発明の第1の実施例である誘電体共振器
の構成を図1に示す。図1(a)は誘電体共振器の短絡
側端面を示す外観斜視図であり、同図(b)は(a)の
誘電体共振器の開放側端面を示す外観斜視図である。
【0018】図1(a)及び(b)において、誘電体共
振器は、略直方体形状の誘電体ブロック1の対向する一
対の端面1a、1bの間を貫通して3個の共振器孔2
a、2b、2cが形成され、各共振器孔2a、2b、2
cの内周面には内導体3、3、3が形成され、短絡側端
面1b及び開放側端面1aを除く誘電体ブロック1の他
の四側面には外導体4が形成されている。
【0019】開放側端面1aでは、図1(b)に示すよ
うに、外導体4は形成されておらず、内導体3、3、3
は外導体4と分離(開放)されている。
【0020】そして、図1(a)に示すように、短絡側
端面1bには共振器孔2a、2b、2cの内導体3、
3、3を接続する短絡電極6a、6a及び入出力段にあ
たる共振器孔2a、2cの内導体3、3と外導体4とを
接続する短絡電極6b、6bが形成されている。短絡電
極6a、6bは一定線幅Wで各共振器孔2a、2b、2
cの中央部を通るように一直線上に形成されている。
【0021】この誘電体共振器は、図4に示した従来例
と同様に、開放側端面1aより樹脂ピン(図示せず)を
挿入し、この樹脂ピンを介して外部回路に接続される。
【0022】この構成において、図1(a)に模式的に
示すように、短絡側端面1bには、各共振器孔2a、2
b、2cの内導体3、3、3を接続する短絡電極6a、
6aによるインダクタンスL1、L1が形成され、共振
器孔2a、2cの内導体3、3と外導体4とを接続する
短絡電極6b、6bによるインダクタンスL2、L2が
形成される。
【0023】そして、各内導体3、3、3を接続する短
絡電極6a、6aによるインダクタンスL1、L1によ
り共振器孔2a、2b、2c毎に形成される各共振器は
結合さる。このインダクタンスL1の値は、短絡電極6
aの線幅Wにより変えることができる。つまり、線幅W
を狭くすることによりインダクタンスL1の値を大きく
することができ、各共振器間の結合を大きくすることが
できる。すなわち、短絡電極6aの線幅Wを狭くするこ
とで誘電体共振器の帯域幅を広くすることができる。
【0024】また、共振器孔2b、2cの内導体3、3
を接続する短絡電極6a、6aによるインダクタンスL
1、L1や入出力段にあたる共振器孔2a、2cの内導
体3、3と外導体4とを接続する短絡電極6b、6bに
よるインダクタンスL2、L2により、共振器長が見か
け上大きくなり、その値に応じて誘電体共振器の共振周
波数は小さくなる。つまり、所定の共振周波数を得るた
めには誘電体ブロック長をその分短くすることができ
る。すなわち、短絡電極6a、6bの線幅Wを狭くして
インダクタンスL1、L2の値を大きくすれば、より小
型の誘電体共振器を得ることができる。
【0025】さらに、誘電体共振器製造後においても、
上記短絡電極6a、6bの一部をリュータ等で削りとる
ことにより、それぞれのインダクタンスL1、L2の値
を調整することで、誘電体共振器の帯域幅及び共振周波
数を調整することができ、よって、より高精度の誘電体
共振器を得ることができる。
【0026】次に、本発明の第2の実施例である誘電体
共振器の構成を図2に示す。図2は誘電体共振器の短絡
側端面から見た外観斜視図である。この実施例に係る誘
電体共振器は、図2に示すように、短絡側端面1b近傍
の誘電体ブロック1内に、各共振器孔2a、2b、2c
と直交する貫通孔7を設け、該貫通孔7の内周面の全面
に短絡電極6が形成されている。この短絡電極6によ
り、各共振器孔2a、2b、2cの内導体3、3、3が
接続され、入出力段にあたる共振器孔2a、2cの内導
体3、3と外導体4が接続されている。短絡側端面1b
には外導体4および他の電極等は形成されていない。こ
の実施例においては、第1の実施例において短絡側端面
1bに形成した短絡電極6a、6bに代えて、貫通孔7
内に短絡電極6を形成したものであり、他の構成につい
ては、図1に示した誘電体共振器と同様の構成であり、
その説明を省略する。貫通孔7は、誘電体ブロック成型
後に、要求される特性に応じて形成される。
【0027】この構成においても、貫通孔7内に形成し
た短絡電極6は、第1の実施例に示した短絡電極6a、
6bと同様の機能、作用を果たす。つまり、短絡導体6
の各共振器孔2a、2b、2cの内導体3、3、3を接
続する部分及び共振器孔2a、2cの内導体3、3と外
導体4とを接続する部分によるインダクタンスが形成さ
れる。
【0028】この実施例においては、貫通孔7の径を小
さくすることにより、各部のインダクタンスの値を大き
くすることができる。すなわち、貫通孔7の径を変える
ことにより、各共振器間の結合度を調整して所望の帯域
幅を得ることができるとともに、より小型化された誘電
体共振器を得ることができる。
【0029】この場合は、第1の実施例で得られるイン
ダクタンスに比べ、短絡電極に流れる電流の特定部分へ
の集中が緩和されるので、Qの高いインダクタンスが得
られ、より特性のよい誘電体共振器を得ることができ
る。
【0030】なお、第1の実施例では短絡側端面に形成
した短絡電極を一定線幅で一直線上に形成したが、これ
に限るものではなく、短絡電極の形状は、図3(a)に
示すように波形状に形成してもよく、また線幅の変化す
るものでもよい。また、外導体と接続する短絡電極の外
導体と接続位置は、図3(b)に示すように各共振器孔
の並び方向と垂直な誘電体ブロックの外面であってもよ
く、その接続位置、方向を限定するものではない。同様
に、第2の実施例では貫通孔の内周面の全面に短絡電極
を形成したが、これに限るものではなく、内周面の一部
に形成してもよい。つまり、短絡電極の形状、線幅等
は、要求される帯域幅等の特性に応じて適宜設定して形
成することができる。
【0031】また、上記実施例では、樹脂ピンにより外
部結合容量を形成し外部回路と接続される誘電体共振器
について説明したが、これに限るものではなく、樹脂ピ
ンに代えて、誘電体ブロックの外面に外導体と分離した
入出力電極を形成した誘電体共振器にも本発明を適用で
きる。
【0032】また、上記実施例では、開放側端面に外導
体を形成せずに内導体と外導体を分離したが、これに限
るものではなく、開放側端面にも外導体を形成し、開放
側端面近傍の内導体に内導体非形成部を設けて、内導体
と外導体を分離したものでもよい。つまり、開放側端面
とは、内導体と外導体が分離された側の端面である。
【0033】また、第1及び第2の実施例では、3段の
共振器からなる誘電体共振器にて説明したが、共振器の
段数は、これに限るものではなく、図3(a)及び
(b)に示すように、2段ものでもよく、1段及び4段
以上の共振器からなるものでもよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る誘電
体共振器によれば、従来必要であった各共振器を結合す
るため結合孔を設けることなく、短絡側端面または貫通
孔内に形成された短絡電極によるインダクタンスにより
各共振器が結合され、短絡電極の形状または線幅を変え
ることにより、各共振器間の結合度すなわち誘電体共振
器の帯域幅を容易に変えることができる。
【0035】このため、誘電体ブロックの成型上の制約
もなく、誘電体ブロックの形状等を変えることなく、容
易に帯域幅等の特性の異なる誘電体共振器を得ることが
でき、成型用金型及び誘電体ブロックの標準化ができる
ので、生産性が向上し、金型コスト、部品管理コストを
低減することができる。
【0036】また、結合孔がないので、結合孔による実
効誘電率の低下もなく、加えて短絡電極によるインダク
タンス成分により、共振器長が見かけ上大きくなり、所
定の共振周波数を得る場合、より小型化が可能となる。
【0037】さらに、短絡電極の一部を削り取ることに
より、インダクタンスの値を調整することができ、帯域
幅及び共振周波数を調整することができる。
【0038】したがって、本発明によれば、容易に所望
の帯域幅を得ることができ、小型かつ安価な誘電体共振
器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施例に係る誘電体
共振器の短絡側端面を示す外観斜視図であり、(b)
は、(a)の誘電体共振器の開放側端面を示す外観斜視
図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る誘電体共振器の短
絡側端面から見た外観斜視図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の他の実施例に係
る短絡側端面を示す平面図である。
【図4】(a)は、従来の誘電体共振器の開放側端面と
樹脂ピンの外観を示す分解斜視図、(b)は、(a)の
誘電体共振器の短絡側端面を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 誘電体ブロック 2、2a、2b、2c 共振器孔 3 内導体 4 外導体 5 結合孔 6、6a、6b 短絡電極 7 貫通孔

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体ブロックの対向する一対の面の一
    方端面を開放側端面とし、他方端面を短絡側端面とし、
    前記両端面の少なくとも一方端面に開口部を有する複数
    の共振器孔を設け、該共振器孔の内周面に内導体を形成
    し、誘電体ブロックの外面に外導体を形成してなる誘電
    体共振器において、 前記短絡側端面に、隣り合う共振器孔の内導体同士、及
    び入出力段にあたる共振器孔の内導体と外導体とを接続
    する帯状の短絡電極が形成され、かつ前記短絡側端面の
    前記短絡電極の周囲及び各内導体の周囲であって、前記
    短絡電極と各内導体との接続部及び前記短絡電極と外導
    体との接続部を除く部分には電極の非形成部が設けられ
    ていることを特徴とする誘電体共振器。
  2. 【請求項2】 誘電体ブロックの対向する一対の面の一
    方端面を開放側端面とし、他方端面を短絡側端面とし、
    前記両端面の少なくとも一方端面に開口部を有する複数
    の共振器孔を設け、該共振器孔の内周面に内導体を形成
    し、誘電体ブロックの外面に外導体を形成してなる誘電
    体共振器において、 前記短絡側端面近傍の誘電体ブロック内に、前記各共振
    器孔と交叉する貫通孔を設け、該貫通孔の内周面に、隣
    り合う共振器孔の内導体、及び入出力段にあたる共振器
    孔の内導体と外導体とを接続する短絡電極を形成したこ
    とを特徴とする誘電体共振器。
  3. 【請求項3】 誘電体ブロックの対向する一対の面の一
    方端面を開放側端面とし、他方端面を短絡側端面とし、
    前記両端面の少なくとも一方端面に開口部を有する1個
    の共振器孔を設け、該共振器孔の内周面に内導体を形成
    し、誘電体ブロックの外面に外導体を形成してなる誘電
    体共振器において、 前記短絡側端面近傍の誘電体ブロック内に、共振器孔と
    交叉する貫通孔を設け、該貫通孔の内周面に、内導体と
    外導体とを接続する短絡電極を形成したことを特徴とす
    る誘電体共振器。
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