JP3469268B2 - 下顎位計測・表示方法 - Google Patents

下顎位計測・表示方法

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JP3469268B2
JP3469268B2 JP08123993A JP8123993A JP3469268B2 JP 3469268 B2 JP3469268 B2 JP 3469268B2 JP 08123993 A JP08123993 A JP 08123993A JP 8123993 A JP8123993 A JP 8123993A JP 3469268 B2 JP3469268 B2 JP 3469268B2
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勝宏 中澤
正忠 古賀
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有限会社デンタルシンクタンク
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、歯形を取ってその咬み
合わせ状態のシミュレーションを行う装置である所謂咬
合器による咬合計測結果を基にして、頭蓋或いは基準位
に対する下顎骨の三次元的な位置関係を計測しこれを三
次元的に表示するようにした下顎位計測・表示方法に関
する。
【従来の技術】従来、歯形を取って歯の咬み合わせ状態
がどうか等のシミュレーションを行うための装置として
公知の咬合器が存在する。この装置は、歯の咬み合わせ
の分析に用いたり、義歯作成(例えば、作成した石膏等
のモデルを実際にこの装置でもって咬み合わせてみて、
該シミュレーションで顎関節に合わせて義歯を作る)等
の際に使用されるものであり、歯の態形、歯の芽出方
向、咬合状態等は全ての人間に取って全て異なるもので
あることから、各人に最も適合する義歯を作成するため
に必須の装置である。現在、数種の咬合器が開発されて
いるが、該装置の基本的な機構はほぼ同一である。とこ
ろで、歯科の診断、治療の分野において、下顎骨は頭蓋
に対して解剖学的に遊離していて神経筋システムで制御
されているので、頭蓋に対する下顎骨の位置又は下顎窩
に対する下顎頭の位置を正常にすること、或いは、モニ
タリングすることは、全ての歯科的治療の出発点であ
る。即ち、保存補綴治療、TMJ治療、矯正治療、外科
的矯正治療等は、頭蓋に対する下顎頭の位置をしっかり
とふまえて診断、治療し、その適確な評価を行いつつ経
過などをモニタリングしておくことが必要である。そこ
で、従来、前記公知の装置である咬合器が、下顎骨の自
然に近い正しい位置を計測するするため等の目的のため
に開発されている。しかしながら、上記咬合器のみで
は、該咬合計測で用いられたフラッグの二次元的なマー
クから歯科医が下顎の位置を推考することになり、例え
ば下顎のねじれなどの立体的なイメージを取得するのが
極めて困難なことであった。また、下顎頭の動態をいろ
いろな方向から観察し、臨床的な考察をするといった場
合にも、前記咬合器における計測データのままでは、そ
の本来的な機能を発揮し得ないのが実情であった。特に
最近、歯並び等を矯正する矯正歯科が頻繁に利用されて
いるが、現状では、患者各個々人に最も適合した歯並び
や咬み合わせ等は如何なるものであるかの点について、
未だ不明な点も少なからずあるのが実情である。例え
ば、矯正治療完了時において、患者が満足したような状
態であっても、前記頭蓋に対する下顎骨の位置又は下顎
窩に対する下顎頭の位置が正常でないことを原因とし
て、当該下顎の関節に異常な負荷がかかることにより、
経時的(例えば矯正治療完了後6ケ月後等)に顎の関節
が痛くなってくる顎関節症が惹起することがある。この
ような場合、矯正歯科治療でどのような咬合を作るかと
いう目標をはっきりと明示することが重要であるが、前
記咬合器のみの咬合計測ではこれに対処し得ないのが実
情である。上記顎関節症とは、顎関節部に何らかの異常
な症状があることであり、その症状は疼痛や違和感、関
節雑音、機能障害等を呈するものである。また、顎関節
症を考える上でもっとも重要な要素は咬合であり、咬合
というのは左右の顎関節と歯列からなるので、顎関節症
の治療には顎関節部の立体的な成り立ちを適確に理解し
把握する必要がある。更に、顎関節症にはさまざまなタ
イプのものがあるが、どのタイプの場合でも最終的には
咬合の再構成治療を必要とするものが大部分であり、し
かも、該咬合の再構成治療の多くは補綴処置であるの
で、きちんとした補綴ができなければ顎関節症の治療を
することは徒労に終わることになる。従って、この場合
の治療においても、その前提として、顎関節部の立体的
な成り立ちを適確に理解し把握する必要がある。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
実情に鑑み開発されたものであり、その目的とするとこ
ろは、咬合器による咬合計測結果を基にして、頭蓋或い
は基準位に対する下顎骨の三次元的な位置関係を計測し
これを三次元的に表示し、矯正診断、矯正治療や義歯作
成の当初において最も自然に近い正しい矯正治療による
歯の位置や義歯位置を、各歯科医個人の技量や勘の判断
によるのではく、常時、客観的且つ迅速に確認しつつ矯
正したり、義歯作成を行うのに用いることができると共
に、矯正治療や義歯完成後における正しいトレーニング
の指導基準としても用いることができ、更に患者に対し
て現在の患者の顎が三次元的にどのような状態であるか
を示し、治療に対する患者の理解を得るのに有用な下顎
位計測・表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
歯形を取ってその咬み合わせ状態のシミュレーションを
行う装置である公知の所謂咬合器による咬合計測データ
を基にして、頭蓋或いは基準位に対する下顎骨の三次元
的な位置関係を計測しこれを三次元的に画像表示するよ
うにした下顎位計測・表示方法であって、前記咬合器に
より被計測者の下顎位の咬合計測データを得る工程と、
前記咬合計測データの情報処理としてコンピュータを用
いて該咬合計測データ解析を行う際、空間における立体
の位置を表わすのに必要且つ十分条件としての任意の3
点における総計6次元分の数値を与えた後、前記咬合計
測データを入力項目に沿って入力しデータ解析を行って
下顎骨の三次元的な位置関係の画像データを作成する工
程とを具備し、前記作成された画像データと予め保存さ
れている最も自然に近い理想的な正しい歯の咬み合わせ
状態の位置を示すデータとをCRTに重ね合わせて合成
表示するようにした下顎位計測・表示方法である。請求
項2記載の発明は、この請求項記載の如く工程順序でも
って前記咬合器による咬合計測データを採取するように
した下顎位計測・表示方法である。請求項3記載の発明
は、前記合成表示が、作成された画像データと最も自然
に近い理想的な正しい歯の咬み合わせ状態の位置を示す
データとの三次元的な位置関係を確認できる任意の方向
からの合成表示による下顎位計測・表示方法である。請
求項4記載の発明は、前記作成された画像データと予め
保存されている最も自然に近い理想的な正しい歯の咬み
合わせ状態の位置を示すデータとの合成表示手段を、そ
れぞれ異なる色で画像表示するようにした下顎位計測・
表示方法である。
【作用】上述のような本発明によれば、咬合器により得
られた咬合計測データを基にして、これをデータ解析す
ることにより下顎骨の三次元的な位置関係の画像データ
を作成すべき計測ができるとともに、上記作成された画
像データを、予め保存されている最も自然に近い理想的
な正しい歯の咬み合わせ状態の位置を示すデータと合成
してCRTに重ね合わせて画像表示できる。その結果、
上記合成した画像表示をもって、歯科矯正や義歯作成の
当初において最も自然に近い正しい矯正治療による歯の
位置や義歯位置を、各歯科医個人の技量や感の判断によ
るのではく、常時、客観的且つ迅速に確認しつつ矯正し
たり、義歯作成を行うのに用いることができ、矯正や義
歯完成後における正しいトレーニングの指導基準として
も用いることができ、更に、患者に対して現在の患者の
顎が三次元的にどのような状態であるかを示し、治療に
対する患者の理解を得るのに有効に利用できる。
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。近年、顎
関節症の原因が咬合異常であるか否かについてはかなり
議論されてきている。本発明者は、顎関節症と咬合異常
とが非常に関係が深いことに着目し、咬合の検査、診査
法について長年研究した結果、本発明を開発するに至っ
た。本発明者の他、多くの研究者や臨床家が咬合の検査
法について報告しているが、そのほとんどが高価な検査
機器を用い、しかも、その機器によるデータの読み方が
難しくかなり習熟しないと診断を下せないのが一般的で
あった。また、上記従来の咬合検査法の多くは測定点が
切歯点のみであることから、下顎体全体の運動異常が把
握できないという不都合のあるものである。本発明者
は、顎関節症の顎運動論的な病態把握を咬頭嵌合位の異
常にしぼって、前述した従来公知の咬合器、例えばSA
M或いはPANADENT(咬合器製造会社の機器名)
咬合器における下顎位計測するためのMPI或いはCP
Iシステム(システムの名称、以下「MPI或いはCP
Iシステム」という)を用いて咬頭嵌合位における下顎
体のひねり等を調べた結果、MPIシステムの計測デー
タのみでは実際の顎関節部における適確な状況を把握し
にくいことが判明した。そこで、上記MPI或いはCP
Iシステムの計測データを視覚化し、顎関節症の原因で
ある咬合異常の診断の補助とするように試みたところ、
これが極めて有用なものであった。従って、本発明の方
法は、下顎位計測のための基礎的な機器として、前記従
来公知の適宜咬合器の機能を利用し、上顎に対する下顎
の位置を静的かつ三次元的に記録するものである。ここ
に、本発明においては、この発明の実現のためのに、先
ず、入力される数値、基礎データ収集のために適宜咬合
器における下顎位の計測が必要であり、次に、該咬合器
の咬合計測生データから、基準位に対する特定の下顎の
位置を計算し、そして、それをコンピュータグラフィク
スによって複数種の方向から三次元表示を行うものであ
り、これをCRT上に画像として表示するようにしたも
のである。詳述すれば、本発明は、咬合器の計測結果と
下顎位の自然に近い正しい位置との齟齬をコンピュータ
により計算し、当該齟齬を三次元的に画面表示し、その
結果、下顎位が如何なる位置状態にあるのが最も自然に
近い正しい位置であるかを一目瞭然に画面表示するもの
である。そして、歯科医師等が当該画面表示を視認しな
がら、どの部分が異常で、どの部分が正常か等を判断
し、本発明は顎関節症の診断、治療等々に用いられるこ
とになる。先ず、以下、前記咬合器におけるMPI或い
はCPIシステムの下顎位置の計測方法の順序を示す。
本実施例において使用した咬合器は、SAM或いはPA
NADENT咬合器と該咬合器における下顎位計測する
ためのMPI或いはCPIシステムを用いた。但し、本
発明においては、下顎位の計測データを得るための手段
や順序が下記の実施例に限定されるものではなく、本発
明の計測方法を実現可能であるならば、これを変更して
実施できることは勿論である。 1.咬合器に、操作者が基準と決めた顎位で上下顎模型
のマウントをする。 2.上顎模型をマウンティング・プレートごとMPI或
いはCPIシステムに移す。 3.調査の対象とすべき咬合の記録を上下歯列間に介在
させて固定する。 4.適当な色の咬合紙を、咬合器の構成部である顆頭球
部と記録紙を貼付したMPI或いはCPIシステムの記
録部の間に挟んで位置を印記する。 5.前記基準位は記録紙の中心に針で印がつくか或いは
中心が確認できる座標状になっているので、記録紙上で
二つの顎位の比較が二次元的にできる。但し、これは下
顎頭の位置での比較ではなく、あくまでも咬合器の構成
部である顆頭球部での比較なので、若干の差が拡大され
ている可能性がある。上記動作を左右顎位について行
う。 6.MPI或いはCPIシステムの背面についているゲ
ージで、咬合器の構成部である顆頭球部での軸方向への
ずれを調べる。但し、これも、上記5と同じように実際
の下顎頭部での変位とは若干異なっている。 7.インサイザル・テーブル上で、インサイザル・ピン
が指す高さ位置の差を記録する。 以上のような結果、前記咬合器のMPI或いはCPIシ
ステムにおける下顎位の計測データが得られる。次に、
上記データの情報処理として、コンピュータを用いてデ
ータ解析を行った。この際に注意しなければならないこ
とは、空間における立体、即ち下顎体の頭蓋に対する位
置関係を完全に三次元的に表現するために、計測項目を
インサイザル・ピン(前記SAM或いはPANADEN
T咬合器における部材)の長さを含むもの、つまり実際
の3点6次元を満足する方法に改めることである。詳述
すると、上記3点6次元方法に改めずに、単に前記デー
タ解析を行った場合、上顎に対する下顎の位置が三次元
的に計測できたように思えるが、矢状面の下顎の位置を
見ると、下顎が平行移動しているのにすぎず、実際に存
在しているはずの二つの下顎位の間にあるべき下顎のひ
ねりなどのずれが表現されないことになる。即ち、正し
い下顎のずれが表現されないことになる。これは、空間
における立体の座標を表わす必要十分条件を満たしてい
ないことによって生じるものであり、インサイザル・テ
ーブル上の点の座標は、左右の顆頭球状の座標から算出
されうるもので、数学的には全く同じであることから、
全部で3点5次元分しか計測されていないことにより生
じる結果である。故に、空間における立体の位置を表わ
す必要十分条件は任意の3点における総計6次元分の数
値が与えられていることであるので、二つの下顎位にお
けるインサイザル・ピンの高さの差を要素に入れると、
先の条件が成り立ち、立体同士の比較ができるようにな
る。なお、上記方法で計測する場合の計測項目の入力テ
ーブルは、当該計測方法を実現できるものであるなら
ば、特に限定されるものではない。次に、データ解析の
際に上述のような方法に改めた後、前記咬合器のMPI
或いはCPIシステムにより得られた下顎位の計測デー
タの情報処理として、コンピュータを用いてデータ解析
を行い画像データを作成するための計測項目の入力方法
について述べる。本発明の計測方法においては、下記表
1中の各入力項目に示すよう入力項目が存在する。操作
者は、該当するデータを夫々の入力項目に沿って入力
し、入力完了後、入力データをファイルに保存し、入力
画面を終了すると、画像データが作成される。なお、本
発明においては、表1中のような各入力項目に限定され
るものではなく、本発明の計測方法を実現可能であるな
らば、その入力項目を変更して実施できる。
【表1】 次に、画像データが作成された後、CRT上に当該画像
データを表示する場合について述べる。本発明の表示方
法においては、例えば表2、表3に示すように、下記A
〜Iまでの9つの表示方法を選択することで、種々の方
向から下顎位全体又は顆頭部を拡大、縮小しながら画像
表示を行えるようになっている。
【表2】
【表3】 A:水平面 B:右側面 C:前面 D:左側面 E:右前30度 F:前30度 G:左前30度 H:全体表示(右側面・左側面・前面・水平面) I:拡大表示(右側面・左側面・右前面・左前面・右水
平・左水平)。 上記表2、表3中のCRの表示は、予めデータ保存され
ている最も自然に近い理想的な正しい歯の咬み合わせ状
態の位置を示し、COの表示は、前記計測項目に沿って
入力されて作成された被計測者各人のずれた状態の下顎
位置を示すものである。次に、上記9タイプの各CO画
面を、表2、表3に示すように、予めデータ保存されて
いる夫々の各CO画面に対応するCR画面と重ね合わせ
て合成表示する。この場合、例えば、上記CR表示を白
色とし、CO表示を赤色とすると、合成表示上の各画面
のずれを明瞭に読み取ることができる。ここに、本発明
によれば、上記CR表示とCO表示とを重ね合わせて画
面上に合成表示することができ、この操作者(歯科医
師)は、正常な下顎位置に対する異常の有無の確認とと
もに、異常である場合、例えば、どの部分がどの方向に
どれ位ずれているか等々を極めて簡易且つ明瞭に目視、
確認できることにより、顎関節症等を始めとする歯科の
適確且つ迅速な診断、治療のために広範に本発明を用い
ることが可能となる。なお、下記表4は、本発明が、各
CR画面とCR画面との合成表示を前記9タイプの表示
方法の中から選択することにより、特定の画像を比較・
拡大して表示できるようにした状態を示すものである。
また、この発明における前記各画像情報をコンピュータ
によりデータファイルのコピーができることは勿論であ
る。更にまた、本発明に係る下顎位計測・表示方法を具
現するコンピュータ手段としては、入力、画像作成、画
像表示、データ保存等の基本的な機能を有するものであ
れば、特に限定されるものではない。
【表4】 本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その
要旨の範囲内において種々の変更実施が可能である。な
お、本発明における計測方法により前述の如くデータ処
理をすると、前記のように下顎の位置を立体的に把握で
きることになるが、このデータ処理の祭において発明者
が主に留意した事項は以下の如くである。 1.下顎体が三次元的に表現されるようにすること。 2.画像表現方法としては前記CR、COともに陰面処
理がなされていること。 3.MPI或いはCPIシステムの測定点での値を、標
準的な成人の下顎体の大きさに換算して表示すること。 4.表示するべき画面はコンピュータの処理能力を考慮
して、必要最小限にしぼること。 また、画面表示の場合、基準とすべき下顎位を中心位
(下顎窩において関節円板を介して下顎頭が最も前方か
つ最も上方にある位置)における歯牙接触位とし、それ
に対して、咬頭嵌合位における下顎体がどのような位置
関係にあるかを明瞭にするために、例えば、上記中心位
を青色とし、上記咬頭嵌合位を緑色で表現するようにし
ても良い。上記中心位とは、顎関節部に牽引も圧迫も全
く生じていないニュートラルな状態をいう。ここに、咬
合器による咬合計測結果を基にして、頭蓋或いは基準位
に対する下顎骨の三次元的な位置関係を計測しこれを三
次元的に表示するという本発明の初期の目的が実現され
る。次に、この発明の方法が顎関節症の診断、治療に対
して有用なことを説明する。即ち、例えば、顎関節症の
発症原因の1つに、顎関節部に加わる外力があげられて
いる。この症例の場合、顎関節部の慢性外傷と咬合との
関わりを考える上で、すべての咬合の機能の出発点であ
る咬頭嵌合位において、顎関節部にどのような外力が働
いているか、その変位を見ることが重要である。顎関節
部に加わる外力には、圧迫(コンプレッション)と牽引
(ディストラクション)がある。上記牽引は、下顎頭が
どちらかの方向に引き下げられる場合をいうが、これが
慢性的に継続すると、関節包や関節円板支持組織の弛緩
をきたし関節円板の転移の原因ともなり、また、関節包
やその内面にある滑膜の炎症あるいは変性をきたす原因
となる。上記圧迫は、それが生じる方向によってその与
える影響も異なるが、顎関節部に最も重篤な影響を及ぼ
す方向は後方であり、当該部には関節円板後部組織が存
在し、圧迫などの外力により容易に変形したり、当該部
には血管や神経が豊富に分布していることから、変位や
力に対して敏感に反応し易い。従って、本発明の方法を
もって、咬頭嵌合位において噛みしめたときの下顎頭を
含む下顎体の位置的変化を記録し、また、グラフィック
スで立体的に画像再現し、頭蓋に対する下顎頭の位置を
しっかりとふまえて診断、治療してその適確な評価を行
いつつ経過などをモニタリングすることは、上記顎関節
症例のような治療に極めて重要且つ有用なことである。
更に、頭蓋に対する下顎頭の位置をしっかりとふまえて
診断、治療してその適確な評価を行いつつ経過などをモ
ニタリングすることは、顎関節症に限らず歯科一般臨床
にとって極めて重要且つ有用なことである。次に、この
発明の方法が顎関節症の一具体的症例の診断、治療に対
して有用なことを説明する 患者は右側顎関節部のクリックと右側頭頸部の自発痛を
主訴として来院した23才の女性である。問診と診査の
結果、右顎関節部に顎関節内症で相反性のクリックがあ
る段階で、左側顎関節部は顎関節内症があり、慢性のク
ローズド・ロックの段階であった。そこで、上記症例に
対して、前述した本発明の方法にて、MPI或いはCP
Iシステムによるデータをコンピュータに入力し入力テ
ーブルと画像処理を施して、該患者の下顎体をCRT上
に、前記表2、表3に沿って9つの画面を画像表示し
た。上記画像表示から、該患者の下顎位は、みかけ上の
中心位に比べて、咬頭嵌合位では下顎全体が左側へ平行
移動し、更に後方へ回転移動していることがわかった。
更に、顎関節部における左右の下顎頭が後下方に変位
し、全体的に左側に変位していることなどがわかった。
このような状態においては、両側の顎関節部において外
側靭帯の牽引が生じ円板後部組織の圧縮が生じていると
ともに、右側下顎頭の後内方への変位により錘体鼓室裂
方面の圧迫があるものと診断できた。上記診断結果によ
り、セラピューティック・ポジションでリポジショニン
グ・アプライアンスを製作し、装着させる治療を施し
た。治療の結果、2カ月後には右側関節円板のリキャプ
チャーに成功した。この段階においてはあえて左側関節
円板のリキャプチャーは行わなかった。更に1.5カ月
後には関節円板も安定したので、改めて中心位を記録
し、治療前の中心位の記録と比較した。その結果、右側
顎関節部は術前とほとんど変化がないが、左側顎関節部
は下顎頭が後下方に変位し、軸方向へのずれがあまりな
かった。従って、このことから、右側顎関節部で関節円
板のリキャプチャーができても、円板後部組織を介在し
ていたときと関節円板が間に介在しているときとでは、
あまり下顎頭の位置に変化がないことがわかった。むし
ろ、リポジショニング・アプライアンスにより、左側顎
関節部の円板後部組織に肥厚が生じてきた。ここに、本
発明の方法による下顎位の計測が有用なもので有り、且
つ、該計測結果の画像表示による診断結果がいかに有用
なものであるかが判明できた。このように、本発明の方
法、及び、本発明によって実現できる基準位に対する特
定の下顎位置(例えば中心位と中心咬合位)の三次元グ
ラフィクス画像表示は、下記のような場合において更に
有用なものである。 1.保存、補綴治療の前後における下顎位の確認として
の使用。 2.顎関節症の診断と治療において下顎頭と関節円板と
の動態を考察する資料としての使用。 3.スプリント療法の効果の判定、又はそのモニタリン
グの資料としての使用。 4.矯正治療の診断、治療、更にその後の補綴処置にお
ける下顎頭、下顎骨のモニタリングの資料としての使
用。 5.矯正外科併用治療の診断、治療、更にその後の補綴
処置での下顎頭、下顎骨のモニタリングの資料としての
使用。 6.下顎位置の三次元グラフィクス画像表示或いはその
写真やハードコピー等を用いて現在の患者の顎が三次元
的にどのような状態であるかを示し、前記1乃至5に関
する歯科医師の診断、治療計画等を患者に説明しなが
ら、患者或いは患者が子供等である場合はその保護者に
対して、治療に向けての理解、協力を得るための使用。
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、上述の如
く下顎位計測・表示方法としたことにより、咬合器によ
る咬合計測結果を基にして、頭蓋或いは基準位に対する
下顎骨の三次元的な位置関係を計測しこれを三次元的に
表示でき、矯正歯科や義歯作成の当初において最も自然
に近い正しい矯正治療による歯の位置や義歯位置を、各
歯科医個人の技量や勘の判断によるのではなく、常時、
客観的且つ迅速に確認しつつ矯正治療、義歯作成を行う
のに用いることができると共に、矯正治療や義歯完成後
における正しいトレーニングの指導基準としても用いる
ことができ、更に患者に対して現在の患者の顎が三次元
的にどのような状態であるかを示し、治療に対する患者
の理解を得るのに有用な下顎位計測・表示方法を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 19/045

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】歯形を取ってその咬み合わせ状態のシミュ
    レーションを行う装置である公知の所謂咬合器による咬
    合計測データを基にして、頭蓋或いは基準位に対する下
    顎骨の三次元的な位置関係を計測しこれを三次元的に画
    像表示するようにした下顎位計測・表示方法であって、
    前記咬合器により被計測者の下顎位の咬合計測データを
    得る工程と、前記咬合計測データの情報処理としてコン
    ピュータを用いて該咬合計測データ解析を行う際、空間
    における立体の位置を表わすのに必要且つ十分条件とし
    ての任意の3点における総計6次元分の数値を与えた
    後、前記咬合計測データを入力項目に沿って入力しデー
    タ解析を行って下顎骨の三次元的な位置関係の画像デー
    タを作成する工程とを具備し、前記作成された画像デー
    タと予め保存されている最も自然に近い理想的な正しい
    歯の咬み合わせ状態の位置を示すデータとをCRTに重
    ね合わせて合成表示するようにしたことを特徴とする下
    顎位計測・表示方法。
  2. 【請求項2】前記咬合器による咬合計測データは、この
    咬合器に操作者が基準と決めた顎位で上下顎模型のマウ
    ントをする工程、上顎模型をマウンティング・プレート
    ごと該咬合器に移する工程、調査の対象とすべき咬合の
    記録を上下歯列間に介在させて固定する工程、適当な色
    の咬合紙を咬合器の一構成部である顆頭球部と記録紙と
    を貼付した咬合器の記録部の間に挟んで位置を印記する
    工程、記録紙上で左右二つの顎位を二次元的に比較する
    工程、咬合器の背面におけるダイヤル・ゲージで顆頭球
    部での軸方向へのずれを調べる工程、インサイザル・テ
    ーブル上にインサイザル・ピンが接触する時の長さの違
    いを咬合紙を用いて記録する工程の順序でもって得るよ
    うにしたものである請求項1記載の下顎位計測・表示方
    法。
  3. 【請求項3】前記合成表示は、作成された画像データと
    最も自然に近い理想的な正しい歯の咬み合わせ状態の位
    置を示すデータとの三次元的な位置関係を確認できる任
    意の方向からの合成表示によるものである請求項1乃至
    2記載の下顎位計測・表示方法。
  4. 【請求項4】前記作成された画像データと予め保存され
    ている最も自然に近い理想的な正しい歯の咬み合わせ状
    態の位置を示すデータとの合成表示は、夫々異なる色で
    画像表示されるものである請求項1乃至3記載の下顎位
    計測・表示方法。
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