JP6146905B2 - 顎偏位是正用アプライアンスの作製方法 - Google Patents

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本発明は、顎偏位是正用アプライアンスの作製方法に関し、特に、CT撮影で取得した断層画像に基づいて顎偏位是正用アプライアンスを作製する方法に関する。
従来の顎偏位是正用アプライアンスの作製方法としては、本発明者の一人である寿谷が開発した単純X線撮影装置『Sagittarious3000』を使用する方法が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。この方法によれば、患者の顎偏位の状態、すなわち、患者の下顎窩(図5の符号A)における下顎頭(図5の符号B)の位置が理想的な位置からどの方向にどの程度偏位しているのかを正確に、かつ高い客観性をもって特定することができるので、当該顎偏位が是正した状態を咬合器上において正確にシミュレートすることができ、顎偏位を好適に是正するために必要とされるμmオーダの高い寸法精度を有するアプライアンスを設計することができる。
この従来の方法は、以下の手順により行われる。
(手順1)
フェイスボウの装着により患者のフランクフルト平面の位置を特定し、図6に示すように、特定したフランクフルト平面に対して平行に金属製ワイヤーWを患者に貼り付ける。
(手順2)
患者の頭部を、Sagittarious3000の所定位置に固定する。このとき、主線源点と撮影部位(下顎頭Bの頂点近傍)との距離は必ず400mmとなり、撮影部位とフィルム面との距離は必ず40mmとなる。
(手順3)
Sagittarious3000により、患者の左右の撮影部位のX線画像を取得する。
(手順4)
取得したX線画像上において、患者の下顎窩Aにおける下顎頭Bの位置(現在位置P)を左右それぞれ求める。
(手順5)
現在位置Pにある下顎頭Bを理想位置P’に移動させるための顎偏位ベクトルを左右それぞれ求める。
(手順6)
フェイスボウを用いて、咬合器に患者の上顎歯列模型および下顎歯列模型を装着する。
(手順7)
咬合器の左右の顎関節を顎偏位ベクトルに基づいて左右独立に調整し、下顎頭Bの位置が理想位置P’に近づいた状態を咬合器上においてシミュレートする。
(手順8)
シミュレートした状態において好適なアプライアンスを設計する。
上記手順3において、患者の右側の下顎頭Bの頂点近傍を撮影した結果、図7(A)に示すようなX線画像が得られた場合、手順4の詳細は以下の通りとなる。
(手順4−1)
X線画像に第1トレース紙を重ね、下顎窩A、下顎頭BおよびワイヤーWの像をトレースする。
(手順4−2)
ワイヤーWが水平になるように、第1トレース紙を回転させる。これにより、第1トレース紙は、図7(B)に示す状態となる。
(手順4−3)
ワイヤーWに平行な、下顎窩Aの最上縁での接線L1を第1トレース紙に記入する。
(手順4−4)
ワイヤーWに平行な、下顎頭Bの最上縁での接線L2を第1トレース紙に記入する。
(手順4−5)
下顎窩Aの最上縁において接線L1と直角に交わる垂線L3を第1トレース紙に記入する。
(手順4−6)
垂線L3に90°ラインが重なるように第1トレース紙上に分度器を置き、垂線L3に沿って分度器を上下に移動させながら、分度器の45°ライン(下顎窩Aの前上方壁に向かうライン)上において下顎窩Aの幅が最も狭まっている位置を特定する。
(手順4−7)
特定した位置に置かれた分度器の45°ラインに沿って45°線L4を第1トレース紙に記入し、さらに、135°ライン(下顎窩Aの後上方壁に向かうライン)に沿って135°線L5を第1トレース紙に記入する。そして、45°線L4と135°線L5の交点を下顎頭Bの現在位置Pとする。
(手順4−8)
現在位置Pを通る、ワイヤーWに平行な平行線L6を第1トレース紙に記入する。
以上の工程により、第1トレース紙は図7(C)に示す状態となる。
上記手順4の後に行われる手順5の詳細は以下の通りである。
(手順5−1)
第1トレース紙上で、垂線L3上における下顎窩Aの幅d3、45°線L4上における下顎窩Aの幅d4、および135°線L5上における下顎窩Aの幅d5をそれぞれ測定する。上述の通り、主線源点と撮影部位との距離は400mm、撮影部位とフィルム面との距離は40mmなので、第1トレース紙上で測定した寸法を1.1で割った寸法が実際の寸法となる。本具体例では、図7(C)に示すように、実際の幅d3=2.6mm、実際の幅d4=0.4mm、実際の幅d5=3.5mmであった。
(手順5−2)
第1トレース紙に第2トレース紙を重ね、第1トレース紙とは別の色で下顎頭Bの像、垂線L3に相当する線L3’、45°線L4に相当する線L4’、135°線L5に相当する線L5’、および平行線L6に相当する線L6’を第2トレース紙に記入する。
(手順5−3)
幅d3、d4およびd5が図8に示す理想的な寸法に近づくように、第1トレース紙に対して第2トレース紙を平行移動させる。このとき、幅d3、d4およびd5のいずれかを犠牲にして他を理想的な寸法とするのではなく、幅d3、d4およびd5の全てがなるべく理想的な寸法に近づくように心掛ける。図7(C)と図8との比較から明らかなように、本具体例では、下顎頭Bが前方にかなり偏位し、かつ下方にやや偏位している。このため、本具体例では、第1トレース紙に対して第2トレース紙を後方に大きく平行移動させるとともに、上方に僅かに平行移動させる。その結果、第1および第2トレース紙は、図7(D)に示す状態となる。この状態における線L3’と線L6’の交点が下顎頭Bの理想位置P’となる。
(手順5−4)
第2トレース紙上で、垂線L3から線L3’への移動量Δx、および平行線L6から線L6’への移動量Δyを測定し、実際の移動量に換算する。本具体例では、図7(D)に示すように、実際の移動量Δx=−1.8mm、実際の移動量Δy=0.3mmであった。この結果から、図9(A)に示す顎偏位ベクトル(右側)が得られる。
図9(B)は、同様の手順により求めた当該患者の左側の顎偏位ベクトルである。
上記手順7では、上記の通り、咬合器の右側の顎関節を図9(A)の顎偏位ベクトルに基づいて調整するとともに、咬合器の左側の顎関節を同図(B)の顎偏位ベクトルに基づいて調整する。ただし、患者の左右の下顎頭Bが下顎骨を介して繋がっているのと同様、咬合器の左右の顎関節も上顎または下顎に相当する部材を介して繋がっている。このため、左右いずれか一方の顎関節を調整すると、他方の顎関節も連動して動き、その結果、両方の顎関節を顎偏位ベクトルに基づいて調整しきれない場合がある。このような場合は、左右の現在位置Pが同程度に理想位置P’に近づくように心掛けながら調整を行う。例えば、本具体例では、右側の顎偏位ベクトル(同図(A))が他方(同図(B))よりも大きいので、左側の現在位置Pが理想位置P’から遠ざかることのないように注意しながら、右側の現在位置Pを理想位置P’に近づける調整を行えばよい。
なお、図8に示す下顎窩Aと下顎頭Bとの理想的な関係は、寿谷が、矯正治療を受けたことがない東洋系成人の死検体を1981年から1988年の間に多数計測した結果、導き出したものである。
また、手順4および手順5は、トレース紙ではなく、コンピュータを用いて行うこともある。
寿谷一、「顎関節機能障害の診断と治療指針(上)」、補綴臨床、医歯薬出版株式会社、1997年、第30巻、第3号、p.327−336 寿谷一、「顎関節機能障害の診断と治療指針(下)」、補綴臨床、医歯薬出版株式会社、1997年、第30巻、第4号、p.501−514
ところで、近年、フィルムを必要とする単純X線装置からフィルムを必要としないCT撮影装置への置き換えが各所で進められている。そして、これに伴って、上記従来の顎偏位是正用アプライアンスの作製方法を実行できる環境が減りつつある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、単純X線装置の代わりにCT撮影装置を用いても、従来と同様の高い寸法精度で顎偏位是正用アプライアンスを設計することができる、顎偏位是正用アプライアンスの作製方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る顎偏位是正用アプライアンスの作製方法は、フェイスボウを装着した患者に、該装着により特定したフランクフルト平面の位置を示す目印を設ける第1ステップと、前記目印を参照しながら前記フランクフルト平面が水平になるように前記患者の頭部をCT撮影装置に固定する第2ステップと、前記CT撮影装置により、前記患者の左右の下顎頭の頂点近傍における少なくとも1枚の断層画像を得る第3ステップと、前記断層画像上において、前記患者の下顎窩における下顎頭の位置を左右それぞれ求める第4ステップと、第4ステップで求めた位置を理想位置に移動させるための顎偏位ベクトルを左右それぞれ求める第5ステップと、フェイスボウを用いて、咬合器に前記患者の上顎歯列模型および下顎歯列模型をそれぞれ装着する第6ステップと、前記咬合器の左右の顎関節を前記顎偏位ベクトルに基づいて左右独立に調整し、前記患者の下顎窩における下顎頭の位置が前記理想位置に近づいた状態を前記咬合器上においてシミュレートする第7ステップと、前記シミュレートされた状態において噛み合わせがうまくいくようにアプライアンスを設計する第8ステップと、を含むことを特徴とする。
上記顎偏位是正用アプライアンスの作製方法は、第3ステップにおいて、前記下顎頭の左右方向の厚みを1/3した寸法だけ前記下顎頭の頂点から外側にずれた位置と前記頂点との間における断層画像を得ることが特に好ましい。
本発明によれば、従来と同様の高い寸法精度で顎偏位是正用アプライアンスを設計することができる、顎偏位是正用アプライアンスの作製方法を提供することができる。
本発明に係る顎偏位是正用アプライアンスの作製方法のフロー図である。 本発明に係る方法のステップS4およびS5を説明するための図である。 本発明に係る方法のステップS5で求めた顎偏位ベクトルの一例を示す図である。 本発明に係る方法と従来方法を比較した図であって、(A)は本発明に係る方法で取得した断層画像、(B)は(A)の断層画像から求めた顎偏位ベクトル、(C)は従来の方法で取得したX線画像、(D)は(C)のX線画像から求めた顎偏位ベクトルである。 下顎頭および下顎窩を含む人間の頭蓋骨の部分側面図である。 従来方法の手順2を説明するための図である。 従来方法の手順4および手順5を説明するための図である。 下顎窩と下顎頭との理想的な関係を示す図である。 従来方法の手順5で求めた顎偏位ベクトルの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る顎偏位是正用アプライアンスの作製方法の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明に係る顎偏位是正用アプライアンスの作製方法は、順次実行されるステップS1〜ステップS8を含む。
[ステップS1]
初めに、ステップS1として、患者にフェイスボウを装着させ、これにより患者のフランクフルト平面の位置を特定する。そして、特定したフランクフルト平面の位置を示す目印を患者に設ける。一例として、本実施形態では、フランクフルト平面に平行な直線を鉛筆で患者の皮膚上に直接書き入れることとした。直線を書き入れる位置は、従来の方法においてワイヤーWを貼り付けた位置と同じである(図6参照)。
なお、目印を鉛筆で設けることとしたのは、従来の方法のようにワイヤーWを使用すると、CT撮影時にノイズが発生して断層画像が不鮮明になるとの理由による。
[ステップS2]
次に、ステップS2として、患者の頭部をCT撮影装置の所定位置に固定する。このとき、ステップS1で設けた目印(直線)に水平器をあてがい、患者のフランクフルト平面が水平になるようにする。ただし、フランクフルト平面が水平であることを確認する手段は、水平器に限定されない。
単純X線撮影で取得したX線画像とは異なり、CT撮影で取得した断層画像は、通常、特別な配慮をしなくても実際の寸法が分かるようになっている。このため、本発明では、従来の方法のように、主線源点と撮影部位との距離および撮影部位とフィルム面との距離に気を配る必要はない。
なお、本ステップでCT撮影を行ったときの頭部の位置は、正確に再現可能となっていることが好ましい。狙い通りに顎偏位が是正されたか否かを確認するためには、本ステップと全く同じ条件で再度CT撮影を行って是正前後の断層画像を比較することが有効だからである。
[ステップS3]
次に、ステップS3として、CT撮影装置により、患者の右側の下顎頭Bの頂点近傍における少なくとも1枚の断層画像、および患者の左側の下顎頭Bの頂点近傍における少なくとも1枚の断層画像を取得する。患者のフランクフルト平面を水平に維持した状態でCT撮影を行っているので、本ステップでは、フランクフルト平面が水平となった状態の断層画像、例えば、図2(A)に示すような断層画像が得られる。つまり、本発明では、従来の方法における手順4−2(第1トレース紙の回転)は不要である。
ここで、ステップS3で取得される断層画像は、下顎頭Bの左右方向の厚みを1/3した寸法だけ下顎頭Bの頂点から外側にずれた位置と頂点との間における断層画像を含んでいることが好ましい。このような断層画像を後述するステップS4で使用することにより、単純X線装置を用いた従来の方法で求めた顎偏位ベクトルと本発明に係る方法で求めた顎偏位ベクトルとの差をさらに小さくすることができる。
[ステップS4]
次に、ステップS4として、取得した右側の断層画像上において、患者の右側の下顎窩Aにおける下顎頭Bの位置(現在位置P)を求めるとともに、取得した左側の断層画像上において、患者の左側の下顎窩Aにおける下顎頭Bの現在位置Pを求める。
例えば、ステップS3において図2(A)に示すような断層画像が得られた場合、本ステップでは、以下の手順S4−1〜4−7により下顎頭Bの現在位置Pを求める。
(S4−1)
断層画像に第1トレース紙を重ね、下顎窩Aおよび下顎頭Bの像をトレースする。図2(B)は、トレース後の第1トレース紙である。
(S4−2)
下顎窩Aの最上縁における水平な接線L1を第1トレース紙に記入する。
(S4−3)
下顎頭Bの最上縁における水平な接線L2を第1トレース紙に記入する。
(S4−4)
下顎窩Aの最上縁において接線L1と直角に交わる垂線L3を第1トレース紙に記入する。
(S4−5)
垂線L3に90°ラインが重なるように第1トレース紙上に分度器を置き、垂線L3に沿って分度器を上下に移動させながら、分度器の45°ライン(下顎窩Aの前上方壁に向かうライン)上において下顎窩Aの幅が最も狭まっている位置を特定する。
(S4−6)
特定した位置に置かれた分度器の45°ラインに沿って45°線L4を第1トレース紙に記入し、さらに、135°ライン(下顎窩Aの後上方壁に向かうライン)に沿って135°線L5を第1トレース紙に記入する。そして、45°線L4と135°線L5の交点を下顎頭Bの現在位置Pとする。
(S4−7)
現在位置Pを通る水平線L6を第1トレース紙に記入する。
[ステップS5]
次に、ステップS5として、現在位置Pにある下顎頭Bを理想位置P’に移動させるための顎偏位ベクトルを左右それぞれ求める。
例えば、ステップS3において図2(A)に示すような断層画像が得られた場合、本ステップでは、以下の手順S5−1〜5−4により顎偏位ベクトルを求める。
(S5−1)
第1トレース紙上で、垂線L3上における下顎窩Aの幅d3、45°線L4上における下顎窩Aの幅d4、および135°線L5上における下顎窩Aの幅d5をそれぞれ測定する。本具体例では、図2(C)に示すように、幅d3=1.8mm、幅d4=1.6mm、幅d5=1.7mmであった。
(S5−2)
第1トレース紙に第2トレース紙を重ね、第1トレース紙とは別の色で下顎頭Bの像、垂線L3に相当する線L3’、45°線L4に相当する線L4’、135°線L5に相当する線L5’、および水平線L6に相当する線L6’を第2トレース紙に記入する。
(S5−3)
幅d3、d4およびd5が図8に示す理想的な寸法に近づくように、第1トレース紙に対して第2トレース紙を平行移動させる。このとき、幅d3、d4およびd5のいずれかを犠牲にして他を理想的な寸法とするのではなく、幅d3、d4およびd5の全てがなるべく理想的な寸法に近づくように心掛ける。図2(C)と図8との比較から明らかなように、本具体例では、幅d4が理想的である一方、幅d3および幅d5が理想的な寸法よりも狭くなっている。このため、本具体例では、幅d4が変化しないように注意しながら、第1トレース紙に対して第2トレース紙を僅かに前下方向に平行移動させる。その結果、第1および第2トレース紙は、図2(D)に示す状態となる。この状態における線L3’と線L6’の交点が下顎頭Bの理想位置P’となる。
(S5−4)
第2トレース紙上で、垂線L3から線L3’への移動量Δx、および平行線L6から線L6’への移動量Δyを測定する。本具体例では、図2(D)に示すように、移動量Δx=0.6mm、移動量Δy=−0.7mmであった。この結果から、図3(A)に示す顎偏位ベクトル(右側)が得られる。
図3(B)は、同様の手順により求めた当該患者の左側の顎偏位ベクトルである。
上記の通り、CT撮影で取得した断層画像は、実際の寸法が分かるようになっている。このため、本発明に係る方法のステップS5では、断層画像における寸法を実際の寸法に換算する手間を省略することができる。
なお、ステップS4およびS5は、トレース紙ではなく、コンピュータを用いて手動でまたは自動的に行うこともできる。
[ステップS6]
次に、ステップS6として、フェイスボウを用いて、咬合器に患者の上顎歯列模型および下顎歯列模型をそれぞれ装着する。フェイスボウを用いて装着を行うことにより、咬合器の水平面を患者のフランクフルト平面に一致させることができる。つまり、咬合器の前後方向および上下方向を、ステップS3で取得した断層画像における前後方向および上下方向にそれぞれ一致させることができる。
なお、ステップS6は、ステップS7の前であればどのタイミングで実行してもよい。
[ステップS7]
次に、ステップS7として、咬合器の右側の顎関節を図3(A)の顎偏位ベクトルに基づいて調整するとともに、咬合器の左側の顎関節を同図(B)の顎偏位ベクトルに基づいて調整する。ただし、患者の左右の下顎頭Bが下顎骨を介して繋がっているのと同様、咬合器の左右の顎関節も上顎または下顎に相当する部材を介して繋がっている。このため、左右いずれか一方の顎関節を調整すると、他方の顎関節も連動して動き、その結果、両方の顎関節を顎偏位ベクトルに基づいて調整しきれない場合がある。このような場合は、左右の現在位置Pが同程度に理想位置P’に近づくように心掛けながら調整を行う。
なお、本実施形態では、咬合器の左右の顎関節にそれぞれ顎関節顆頭復位装置(Condyle Repositioner)を取り付けてステップS7の調整を行った。
[ステップS8]
最後に、ステップS8として、シミュレートした状態において噛み合わせがうまくいくようにアプライアンスを設計する。つまり、患者の現在の状態において噛み合わせがうまくいくようにアプライアンスを設計するのではなく、下顎頭Bが理想位置P’に近づくように偏位した状態(顎位が是正された後の状態)において噛み合わせがうまくいくようにアプライアンスを設計する。
このようにして設計したアプライアンスを患者に装着すると、当初は噛み合わせがうまくいかず、患者が違和感を覚える。しかしながら、このアプライアンスを装着し続けると次第に顎位が自然に是正されていき、個人差はあるが、2週間程度で顎偏位はほぼ完全に是正される。
続いて、本発明に係る方法で、実績のある従来の方法と同等のアプライアンスを作製することができるかどうか確認した結果について説明する。
図4(A)は、ある患者の左側の下顎頭Bの頂点近傍を本発明に係る方法のステップS3で取得した断層画像、(C)は、同一部位を従来の方法の手順3で取得したX線画像である。また、同図(B)は、(A)の断層画像から求めた顎偏位ベクトル、(D)は、(C)のX線画像から求めた顎偏位ベクトルである。前後方向への移動量Δxが、同図(B)では−1.6mmであるのに対して(D)では−1.5mmであり、僅かに相違しているが、上下方向の移動量Δyは完全に一致した。これは、本発明に係る方法でも、従来の方法と同等のアプライアンスを作製することができることを示している。

Claims (2)

  1. 顎偏位是正用アプライアンスの作製方法であって、
    フェイスボウを装着した患者に、該装着により特定したフランクフルト平面の位置を示す目印を設ける第1ステップと、
    前記目印を参照しながら前記フランクフルト平面が水平になるように前記患者の頭部をCT撮影装置に固定する第2ステップと、
    前記CT撮影装置により、前記患者の左右の下顎頭の頂点近傍における少なくとも1枚の断層画像を得る第3ステップと、
    前記断層画像上において、前記患者の下顎窩における下顎頭の位置を左右それぞれ求める第4ステップと、
    第4ステップで求めた位置を理想位置に移動させるための顎偏位ベクトルを左右それぞれ求める第5ステップと、
    フェイスボウを用いて、咬合器に前記患者の上顎歯列模型および下顎歯列模型をそれぞれ装着する第6ステップと、
    前記咬合器の左右の顎関節を前記顎偏位ベクトルに基づいて左右独立に調整し、前記患者の下顎窩における下顎頭の位置が前記理想位置に近づいた状態を前記咬合器上においてシミュレートする第7ステップと、
    前記シミュレートされた状態において噛み合わせがうまくいくようにアプライアンスを設計する第8ステップと、
    を含むことを特徴とする、顎偏位是正用アプライアンスの作製方法。
  2. 第3ステップにおいて、前記下顎頭の左右方向の厚みを1/3した寸法だけ前記下顎頭の頂点から外側にずれた位置と前記頂点との間における断層画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の顎偏位是正用アプライアンスの作製方法。
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