JP2008136865A - 3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法及びそのプログラム - Google Patents

3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】歯移動測定装置が歯の3次元デジタルモデルを空間上で座標化して、矯正治療前後の歯の移動状況を計測することができる3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法に関する。
【解決手段】本発明によれば、歯移動測定装置が、時点によって変化する2つの3次元デジタルモデルを形成し、該各モデルに空間座標を適用する。また、これとともに該各モデルを重ね合せる技術を適用することによって、歯の移動を定量的で且つ定性的に測定することができる。また、本発明によれば、歯移動測定装置が歯の移動を計測の時、コンピュータ断層撮影による計測のように、患者に多量の放射線の照射を行う必要無しに、レーザビームスキャニングによる3次元デジタルモデルに空間座標を適用して、歯の移動を定量的且つ定性的に測定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法に関する。より詳しくは、歯移動測定装置が歯の3次元デジタルモデルを空間上で座標化して、矯正治療の前後の歯の移動状況を計測することができる、3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法に関する。3次元リバース・エンジニアリング技術とは、実物を3次元スキャナを用いてスキャンし、コンピュータ内の3次元空間上において座標化した後、仮想の3次元デジタルモデルを生成することである。これは、既存の歯科印象採得(impression taking)をコンピュータ化して、加工の可能なデータに作り出す過程を意味する。
歯科医料、とりわけ矯正学領域において、患者の上下顎解剖学的構造或いは歯の形態を3次元的に再現することは、診断及び治療結果の評価における基本的な仕組みになる。そのため、100年以上、歯科系の分野では、患者から直接印象材として採得して製作した石膏模型を用いてきた。このような印象の過程は、材料の消耗問題、印象過程での交差感染の問題、製作された模型の破損の恐れ、及び保存問題など、多くの臨床的問題をもたらすという不都合がある。
そのため、特許文献1には、歯列校正器の製造方法が示されており、ここでは最初、患者の診断情報を入力装置にてデータに変換し、該変換データをコンピュータに入力格納する。その後、頭部の放射線規格写真及び手(筋)骨放射線写真を用いて、患者の成長方向及び残余成長量を決定する。また最後に、アーチワイヤ、バネ、ゴム紐、磁石などによって歯面に付勢する圧力(力)をシミュレーションし、最適な圧力にて矯正治療をするように、アーチワイヤおよび弾性部材などの歯列校正器を選択するようにする。しかしながら、このような従来の技術は、歯列校正器(ブラケット等)を製造するためのことであって、治療前後の上顎と下顎との重ね合せ比較による歯移動量算出方法に対しては、全く示されていない。
このような問題を補完するために、最近は、工学分野で用いられているレーザビームを用いた3次元スキャナを用いることによって、石膏模型に代わって、より一層組織的で且つ正確に歯及び口腔の形態を計測する試みがなされている。
しかしながら、現在臨床的に応用されている3次元計測システムは、単に一定な時点における口腔内形態に対する単純な計測及び分析に止まっていることが現状である。口腔或いは顎内面の解剖学的構造物及び歯は、経時或いは治療によって躍動的に変化し、取り分け矯正学分野では、治療の前後において多量の歯移動が生じる。
このような変化量の測定は、診断及び治療結果の評価における重要な要素とみなされている。しかしながら、現在の3次元計測システムでは前述のように一定の時点における計測のみが可能である。これは、特に上顎や下顎のような解剖学的構造物の変化を3次元的に測定するための基準線或いは基準面或いは基準空間の設定が不可能であると共に、そのような設定過程を自動化する方法の開発が全無であるという点などが最大の障害要素となっているためである。
そのため、現状では、変化量を計測するためには既存の放射線写真を用いて2次元的に手作業をして計測したり、或いはコンピュータ断層撮影に依存したりしている。放射線を用いた方法は、効率性、正確性の問題だけでなく、患者が多量の放射線照射を受けるため
、患者の経済的な負担、実行段階での複雑さなどで多くの臨床的問題を引き起こす恐れがある。また、3次元的構造物を2次元的に平面計測する過程において生じる誤りの深刻さは、診断及び予後判定における大きな障害要因として指摘されている。
大韓民国特許出願第10-2001-0012088号
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものである。即ち、本発明の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法は、最初、時点によって変化する2つの3次元デジタルモデルを形成する。該形成した各モデルに空間座標を適用し、また各モデルを重ね合せる技術を適用する。これによって、下顎の歯牙歯槽移動(Dentoalveolar Movement of Mandible、以下「DMM」と称する)と、下顎の骨格及び歯牙歯槽の複合移動(Skeletodentoalveolar Complex Movement of Mandible、以下「SDMM」と称する)と、上顎歯の移動との態様を定量的且つ定性的に測定する方法を提供することに、その目的がある。
本発明の他の目的は、安定的構造物の欠如によって既存の方式では計測不可能と見なされた下顎での解剖学的構造物及び歯の位置変化を、定量的且つ定性的に測定することができるようにすることにある。
本発明のさらに他の目的は、歯の移動を計測の時、側方頭部放射線規格写真(Lateral Cephalometry)や断層撮影(Tomography)による計測のように、患者が多量の放射線照射を受ける必要をなくすものである。詳しくは、レーザビームスキャニングによる3次元デジタルモデルに空間座標を適用して、歯の移動を定量的且つ定性的に測定する方法を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明に係る3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法は、3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた移動測定装置が、3次元スキャニングによるデジタルモデルを用いて歯の位置変化を定量的に計測する方法であって、(a)特定の時点(以下、第1の時点と称する)及び該第1の時点後の特定の時点(以下、第2の時点と称する)にて上顎及び下顎を3次元スキャンしたデータによって、前記第1の時点及び前記第2の時点の各々における上下顎の各々の3次元モデルを形成するステップと、(b)前記第1の時点及び前記第2の時点にて、上顎及び下顎の咬合状態を実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルで3次元スキャンしたデータから形成した上下顎咬合外形モデル(上下顎を咬合したときの外側形状のモデル)と、前記ステップ(a)にて形成した上下顎の各々の3次元モデルとによって、前記第1の時点及び前記第2の時点の各々における上下顎咬合状態の3次元モデル(歯の咬合時の内側形状と外側形状の両方を含む。以下、上下顎咬合モデルと称する)を形成するステップと、(c)前記第1の時点にて形成した上顎モデルに3次元基準座標系を設けるステップと、(d)前記3次元基準座標系の設けられた前記第1の時点の上顎モデルに、前記第2の時点にて形成した上顎モデルを重ね合せるステップと、(e)前記設けられた基準座標系を用いて、前記第1の時点及び前記第2の時点の上顎の座標を求め、その移動量を求めるステップと、(f)前記第1の時点の上下顎咬合モデルで、前記上顎モデルに設けられた前記3次元基準座標系を前記下顎モデルの基準座標系として用いるステップと、(g)前記ステップ(b)にて形成した上下顎咬合モデルに、前記ステップ(f)にて第1の時点の下顎モデルに設けられた基準座標系を適用して、前記第1の時点及び前記第2の時点の下顎の座標を求め、その変化量を求めるステップとを含む。
前記ステップ(b)における3次元スキャニングは、実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルの前方において行ってもよい。
望ましくは、前記ステップ(d)における重ね合せは、前記上顎モデルで歯牙矯正の前後に変形を引き起こさない領域(以下、基準領域と称する)を一致させることによって行われる。
また、前記3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法は、前記重ね合せの後、重ね合せた2モデルを区分可能な色で表示するステップを、さらに含むことが望ましい。
前記3次元基準座標系を設けるステップ(c)は、(c1)PMRJと正中口蓋縫合部の上の二つ以上の点とを通過する面をX−Y平面として設けるステップと、(c2)前記PMRJを含み、前記X−Y平面に垂直な平面をX−Z平面として設けるステップと、(c3)前記PMRJを含み、前記X−Y平面及びX−Z平面に垂直な面をY−Z平面として設けるステップとから構成されてもよい。
前記上下顎咬合モデルを形成するステップ(b)は、前記第1の時点の上下顎咬合外形モデルに示された上顎の位置と下顎の位置との各々に、前記ステップ(a)にて形成した第1の時点の上顎モデルと下顎モデルとを重ね合せ、前記第2の時点の上下顎咬合外形モデルに示された上顎の位置と下顎の位置との各々に、前記ステップ(a)にて形成した第2の時点の上顎モデルと下顎モデルとを重ね合せて行われることが望ましい。
前記ステップ(g)の後に、(h1)下顎骨舌側内面の顎舌骨筋線(mylohyoid ridge)を印記し、これを安定して重ね合せた後、第1の時点及び第2の時点の下顎骨を重ね合せてDMMを求めるステップをさらに含んでもよい。
また、前記ステップ(g)の後に、(h2)頬側小帯(buccal frenum)と唇側小帯(labial frenum)の基点或いは終点の3次元座標点を第1の時点及び第2の時点にて求め、その差を計測の後、該部位のSMMを求めるステップをさらに含んでもよい。
本発明の別の側面によれば、本発明に係る3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動測定装置は、3次元スキャニングによるデジタルモデルを用いて歯の位置変化を定量的に計測し、
(a)第1の時点及び該第1の時点後の第2の時点にて上顎及び下顎を3次元スキャンしたデータによって、該第1の時点及び該第2の時点の各々における上下顎の各々の3次元モデルを形成する手段と、
(b)前記第1の時点及び前記第2の時点にて、上顎及び下顎の咬合状態を実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルで3次元スキャンしたデータから形成した上下顎咬合外形モデルと、前記(a)にて形成した上下顎モデルとによって、前記第1の時点及び前記第2の時点の各々における3次元の上下顎咬合モデルを形成する手段と、
(c)前記第1の時点にて形成した上顎モデルに3次元基準座標系を設ける手段と、
(d)前記3次元基準座標系の設けられた前記第1の時点の上顎モデルに、前記第2の時点にて形成した上顎モデルを重ね合せる手段と、
(e)前記設けられた基準座標系を用いて、前記第1の時点及び前記第2の時点の上顎の座標を求め、その移動量を求める手段と、
(f)前記第1の時点の上下顎咬合モデルで、前記上顎モデルに設けられた前記3次元基準座標系を前記下顎モデルの基準座標系として用いると、
(g)前記b)にて形成した上下顎咬合モデルに、前記(f)にて第1の時点の下顎モデルに設けられた基準座標系を適用し、前記第1の時点及び前記第2の時点の下顎の座標
を求め、その変化量を求める手段
とを備えている。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明に係る3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定プログラムは、3次元スキャニングによるデジタルデータから歯のデジタルモデルを形成し、歯の位置変化を定量的に計測するプログラムであって、3次元スキャン済のデータを分析し、該分析データを3次元グラフィックに画面上に示す機能と、各々別個に3次元スキャンされた二つ以上のモデルを、予め決められた基準に基づいて重ね合せる機能と、3次元スキャン済のモデルに、予め決められたデータに基づいて3次元座標系を設けて座標軸を画面上に示し、該スキャン済のモデル上の各点を前記座標系に応じる座標として認識する機能と、歯矯正の前後に3次元スキャンして形成した二つ以上の歯モデルを前記重ね合せ機能によって重ね合せて、それを前記座標設定機能によって座標として分析し、上顎歯移動、SDMM及びDMMを定量的に分析する機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする。
前記重ね合せ機能は、重ね合せた二つ以上のモデルを各々区分される色に設けることによって、歯移動状況の視角による分析を可能にする機能を備えることが望ましい。
上記プログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体も提供される。
本発明の一側面によれば、時点によって変化する2つの3次元デジタルモデルを形成し、各モデルに空間座標を適用し、また、各モデルを重ね合せる技術を適用することによって、上顎歯の移動及びSDMMを定量的且つ定性的に測定することができるという効果を奏する。
本発明の他の側面によれば、安定的構造物の欠如によって既存の方式では計測不可能であると見なされた可動性のあるSDMMを、上顎座標系を用いて定量的で且つ定性的に測定することができるという効果を奏する。
本発明の更に他の側面によれば、歯の移動を計測の時、側方頭部計測放射線写真や断層撮影による計測のように、患者が多量の放射線照射を受ける必要なしに、レーザビームスキャニングによる3次元デジタルモデルに空間座標を適用して、歯の移動を定量的且つ定性的に測定することができるという効果を奏する。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳記する。これに先立ち、本明細書及び請求の範囲で使われた用語や単語は、通常の且つ辞書的な意味として限定解釈されるべきではなく、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に立って、本発明の技術的思想に応じる意味や概念として解釈されるべきである。従って、本明細書に示されている実施の形態と図面に示されている構成とは、本発明の好適な一実施の形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て示すことではないので、この出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物や変形例があり得ることを理解されたい。
図1は、本発明に係る3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法を具現する順序図である。同図の各ステップにて形成される3次元モデルの形状は、図2に示されている。3次元リバース・エンジニアリング技術とは、実物を3次元スキャナを用いてスキャンし、コンピュータ内の3次元空間上で座標化した後、仮想の3次元デジタルモデルを生成することである。これは、既存の歯科印象採得(impression taking)をコンピュータ化して、加工の可能なデータに作り出す過程を意味する。本発明の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法は、該方法を行うソフトウェア(Rapidform(登録商標)2000、http://www.rapid
form.com/index/index/Skin/krおよびhttp://www.3dscanning.co.kr/参照)の搭載されている、コンピュータまたは専用の装置(以下、歯移動自動測定装置200と総称する)によって具現される。該ソフトウェアは、レーザビームを用いる3次元スキャナのスキャンしたデータを分析処理し、該分析処理データを画面上にディスプレイする機能を行う。
以下、図1及び図2を参照して、歯移動自動測定方法を段階的に述べる。
これらの図を参照すれば、まず歯移動自動測定装置200は、特定の時点(以下、第1の時点と称する)及びその後の特定の時点(以下、第2の時点と称する)にて、3次元レーザスキャナ201による歯のスキャンデータを用いて、歯の上下顎の各々に対して3次元モデル202.1、202.2、203.1、203.2を形成する(S101)。該第1の時点は、矯正治療前か又は矯正治療の一部進行した状態であり、該第2の時点は、第1の時点の後か又は矯正治療のさらに進行した状態の時点であることが望ましい。
歯移動自動測定装置200は、第1の時点及び第2の時点にて上下顎の各々に対して3次元モデル202.1、202.2、203.1、203.2を形成後、第1の時点及び第2の時点の各々において、さらに上顎と下顎とが咬合された状態でのスキャニングを行う(S102)。このスキャニングは、実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルに対して行われてよく、主に咬合状態の前方において行われ得る。歯移動自動測定装置200は、該上下顎咬合状態のスキャンデータを用いて、第1の時点及び第2の時点の上下顎咬合モデル202.3、203.3を形成する(S103)。詳しくは、咬合状態のスキャンデータとして構成した上下顎咬合外形モデルにおいて、その上顎位置に、前のステップにて形成した3次元上顎モデル202.1、203.1を重ね合せ、またその下顎位置に、前のステップにて形成した3次元下顎モデル202.2、203.2を重ね合せて、上下顎咬合モデル202.3、203.3を形成する。該上下顎の各々に対する3次元モデル202.1、202.2、203.1、203.2と咬合外形モデルとの重ね合せは、第1の時点の場合は第1の時点のモデル同士で、第2の時点の場合は第2の時点のモデル同士で行われるので、重ね合せた上顎と重ね合せた下顎とは各々正確に一致するようになる。
以後、歯移動自動測定装置200は、第1の時点の上顎モデルに3次元座標系204を設ける(S104)。この座標系は、矯正治療前後の歯移動状況を定量的に計測するための仕組みになる。座標系の設定に対しては、図4の(a)乃至(c)を参照して後述する。また、歯移動自動測定装置200は、第2の時点の上顎モデル203.1を該3次元座
標系の設けられた第1の時点の上顎モデル202.1に重ね合せる205(S105)。
その結果、第2の時点の上下顎咬合モデルが第1の時点の上下顎咬合モデルと重ね合せられる。その後、該座標系によって、第1の時点から第2の時点までの歯の位置移動量を計測する(S106)。該重ね合せは、治療前後において変わらない重ね合せの基準になる解剖学的部位(安定な重ね合せ部位)を一致させるという具合に行われる。該安定な重ね合せ部位に対しては、図3を参照して後述する。
可動性SDMM測定では、下顎に新たな座標系が設定されず安定な座標系として使える頭蓋低座標系である前述の上顎座標系がそのまま使われる。第1の時点にて形成した上下顎咬合モデル202.3において、上顎に設けられた座標系はそのまま下顎の座標系として用いられる(S107)。つまり、下顎座標系の原点は、上顎座標系の原点として設けられる。このように、下顎に予め設けられた座標系によって、歯移動自動測定装置200はSDMMを測定する(S108)。
図3は、上顎モデルにおいて矯正治療の前後で変わらない「安定構造物」領域(以下、基準領域と称する)を示す図である。同面を参照すれば、上顎モデルの安定構造物である「Reference Region」が矢印で示されている。矯正治療前後の上顎を重
ね合せて歯移動量を測定する場合、該重ね合せは、該上顎の基準領域を一致させるという具合に行われる。
図4の(a)は、上顎モデルの座標系の設定においてX−Y平面401を示す。図4の(b)は、上顎モデルの座標系の設定においてX−Z平面405を示す。また図4の(c)は、上顎モデルの座標系の設定においてY−Z平面406を示す。同図を参照すれば、X−Y平面401(解剖学的に、sagittal planeと称する)は正中口蓋縫
合部(midpalatal suture)402及びPMRJ403によって決定される。ここで、正中口蓋縫合部402とは、上顎の口天井(凹部)の左右対称を分ける中央線を示す解剖学的構造物(図4の(b)のX軸ラインを参照)を言う。そして、PMRJ(junction of the incisive papilla and midpalatal suture)403とは、切歯乳頭(incisive papilla)404と正中口蓋縫合部402との接合部であって、口天井前方部の左右対称中央線上の突出した歯ぐき組織に該当する。
X−Z平面405は、PMRJ403を含み、X−Y平面401に垂直な平面として決定される。この平面は、上顎の第1及び第2の小臼歯の頬側咬頭頂と第1の大臼歯の近心頬側咬頭頂を最適に通過する咬合平面と平行な面である。
Y−Z平面406はPMRJ403を含み、X−Y平面401及びZ−X平面405に垂直な面として決定される。
図5は、本発明の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法を施して、上顎矯正治療の前後のモデルを重ね合せた様子を示す図である。同図を参照すれば、赤色のモデルが第1の時点のモデルで、青色のモデルが第2の時点のモデルである。同図において、第1の時点の歯上の各点は「〜.1」として示され、第2の時点の歯上の各点は「〜.2」として示されている。一例として、第1の時点にて「501.1」として示されている点が、矯正治療後第2の時点にて移動して位置した点は、「501.2」として示されている。
図6は、下顎モデルで矯正治療の前後で変わらない領域を示す図である。同図を参照すれば、下顎モデルの安定構造物である「Reference Region」が矢印によって示されている。歯移動自動測定装置200が矯正治療前後の下顎を重ね合せて歯移動量を測定する場合、該下顎の基準領域を一致させるという具合に重ね合せを行った。
今まで、下顎骨は安定構造物の欠如によって第1の時点と第2の時点との間の重ね合せが不可能であると見なされ、前述のように、一次的にSDMM測定方法が使用されていた。しかしながら、純粋なDMMの測定のために、上記の方法と共に新たな下顎骨重ね合せ法が補完的に用いられてもよい。つまり、商用化した口内スキャナを用いたり、カスタマイズされた下顎印象採得方法によって下顎骨体の安定な部位と見なされる下顎骨舌側内面の顎舌骨筋線(mylohyoid ridge)を印記したりして、これを安定して重ね合せて第1の時点及び第2の時点の下顎骨を重ね合せてDMMを測定することが可能である。顎舌骨筋線とは、下顎骨舌面に存在する骨が隆起している部分であって、下顎骨の解剖学的構造物の名称であり、「印記して」との表現は、印象採得(impression
taking)の際、該部位が十分に出るように型を取った後、作られた型において該部位を表示するという意味として用いられる。
図7は、下顎骨の骨格移動の測定のために選定された口腔内の安定な解剖学的構造物を例示する図である。下顎骨は、可動的に蝶番運動及び滑走運動の行われる解剖学的構造物であって、特定部位での下顎の骨格移動(Skeletal Movement of Mandible、以下「SMM」と称する)は、部位別差があることになる。そのため
、一定の部位にて測定されたSDMMで純粋なSMM或いはDMMを導き出すために、歯移動自動測定装置200はまず口内解剖学的構造物中に比較的安定であると考えられる頬側小帯(buccal frenum)及び唇側小帯(labial frenum)の基点或いは終点の3次元座標点を第1の時点及び第2の時点にて求め、その差を計測する。以後、該部位の概略的なSMMを求めることができ、これによって算術的なDMMの測定が可能である。
本発明の他の好適な実施の形態によれば、図1のステップ(S108)の後に測定したSDMMを用いて、SMMまたはDMMを測定するステップ(図示せず)が追加されてもよい。ここで、SDMM及びDMM、SMMの関係式はSDMM−DMM=SMMである。従って、SDMMをステップ(S108)にて求めたので、DMM及びSMMのうちのいずれか一つの値を求めれば、上記の式によって他の一つの値が計算される。
また、本発明の一実施の形態によれば、DMMを求める方法は、商用化された口内スキャナを用いてもよい。または、該DMMを求める方法は、カスタマイズされた下顎印象採得方法によって下顎骨体の安定な部位と見なされる下顎骨舌側内面の顎舌骨筋線を印記して、これを安定して重ね合せて第1の時点及び第2の時点の下顎骨を重ね合せて行われてもよい。前述のように、「顎舌骨筋線」とは、下顎骨舌面に存在する骨が隆起している部分であって、下顎骨の解剖学的構造物の名称であり、「印記して」との表現は、印象採得の際、その部位が十分に出るように型を取った後、作られた型において該部位を表示するという意味として用いられている。
一方、本発明の一実施の形態によれば、SMMを求める方法は、口内解剖学的構造物中に比較的安定的であると考えられる頬側小帯及び唇側小帯の基点或いは終点の3次元座標点を第1の時点及び第2の時点にて求め、その差を計測後、該部位の概略的なSMMを求めることを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法を具現する順序図。 図1の順序図に示された各ステップにて形成される3次元モデルの形状を示す図。 上顎モデルで矯正治療の前後で変わらない領域を示す図。 (a)は、上顎モデルの座標系の設定においてX−Y平面を示す図、(b)は、上顎モデルの座標系の設定においてX−Z平面を示す図、(c)は、上顎モデルの座標系の設定においてY−Z平面を示す図。 本発明の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法を施して、上顎矯正治療の前後のモデルを重ね合せた様子を示す図。 下顎モデルで矯正治療の前後で変わらない領域を示す図。 下顎骨の骨格移動の測定のために選定された口腔内の安定な解剖学的構造物を例示する図。
符号の説明
200 歯移動自動測定装置
201 3次元レーザスキャナ
202.1、202.2 第1の時点の3次元モデル
203.1、203.2 第2の時点の3次元モデル
202.3 第1の時点の上下顎咬合モデル
203.3 第2の時点の上下顎咬合モデル
204 3次元座標系
205 重ね合わされたモデル

Claims (11)

  1. 3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動測定装置が、3次元スキャニングによるデジタルモデルを用いて歯の位置変化を定量的に計測する方法であって、
    (a)第1の時点及び該第1の時点後の第2の時点にて上顎及び下顎を3次元スキャンしたデータによって、該第1の時点及び該第2の時点の各々における上下顎の各々の3次元モデルを形成するステップと、
    (b)前記第1の時点及び前記第2の時点にて、上顎及び下顎の咬合状態を実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルで3次元スキャンしたデータから形成した上下顎咬合外形モデルと、前記ステップ(a)にて形成した上下顎の各々の3次元モデルとによって、前記第1の時点及び前記第2の時点の各々における3次元の上下顎咬合モデルを形成するステップと、
    (c)前記第1の時点にて形成した上顎モデルに3次元基準座標系を設けるステップと、
    (d)前記3次元基準座標系の設けられた前記第1の時点の上顎モデルに、前記第2の時点にて形成した上顎モデルを重ね合せるステップと、
    (e)前記設けられた基準座標系を用いて、前記第1の時点及び前記第2の時点の上顎の座標を求め、その移動量を求めるステップと、
    (f)前記第1の時点の上下顎咬合モデルで、前記上顎モデルに設けられた前記3次元基準座標系を前記下顎モデルの基準座標系として用いるステップと、
    (g)前記ステップ(b)にて形成した上下顎咬合モデルに、前記ステップ(f)にて第1の時点の下顎モデルに設けられた基準座標系を適用し、前記第1の時点及び前記第2の時点の下顎の座標を求め、その変化量を求めるステップとを含む3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  2. 前記ステップ(b)における3次元スキャニングが、
    実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルの前方において行われることを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  3. 前記ステップ(d)における重ね合せが、
    前記上顎モデルで、歯牙矯正の前後に変形を引き起こさない領域である基準領域を一致させることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  4. 前記重ね合せの後、重ね合せた2モデルを区分可能な色で表示するステップを、さらに含むことを特徴とする請求項3に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  5. 前記3次元基準座標系を設けるステップ(c)が、
    (c1)PMRJと正中口蓋縫合部上の二つ以上の点とを通過する面をX−Y平面として設けるステップと、
    (c2)前記PMRJを含み、前記X−Y平面に垂直な平面をX−Z平面として設けるステップと、
    (c3)前記PMRJを含み、前記X−Y平面及びX−Z平面に垂直な面をY−Z平面として設けるステップ
    とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  6. 前記上下顎咬合モデルを形成するステップ(b)が、
    前記第1の時点の上下顎咬合外形モデルに示された上顎の位置及び下顎の位置の各々に、前記ステップ(a)にて形成した第1の時点の上顎モデル及び下顎モデルを重ね合せ、前記第2の時点の上下顎咬合外形モデルに示された上顎の位置及び下顎の位置の各々に、前記ステップ(a)にて形成した第2の時点の上顎モデル及び下顎モデルを重ね合せて行われることを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  7. 前記ステップ(g)の後に、
    (h1)下顎骨舌側内面の顎舌骨筋線(mylohyoid ridge)を印記して、これを安定して重ね合せた後、第1の時点と第2の時点の下顎骨を重ね合せてDMMを求めるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  8. 前記ステップ(g)の後に、
    (h2)頬側小帯(bucal frenum)及び唇側小帯(labialfrenum)の基点或いは終点の3次元座標点を第1の時点及び第2の時点にて求め、その差を計測の後、該部位のSMMを求めるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定方法。
  9. 3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動測定装置であって、3次元スキャニングによるデジタルモデルを用いて歯の位置変化を定量的に計測し、
    (a)第1の時点及び該第1の時点後の第2の時点にて上顎及び下顎を3次元スキャンしたデータによって、該第1の時点及び該第2の時点の各々における上下顎の各々の3次元モデルを形成する手段と、
    (b)前記第1の時点及び前記第2の時点にて、上顎及び下顎の咬合状態を実患者の口腔内咬合状態の歯または手工製作の歯モデルで3次元スキャンしたデータから形成した上下顎咬合外形モデルと、前記(a)にて形成した上下顎モデルとによって、前記第1の時点及び前記第2の時点の各々における3次元の上下顎咬合モデルを形成する手段と、
    (c)前記第1の時点にて形成した上顎モデルに3次元基準座標系を設ける手段と、
    (d)前記3次元基準座標系の設けられた前記第1の時点の上顎モデルに、前記第2の時点にて形成した上顎モデルを重ね合せる手段と、
    (e)前記設けられた基準座標系を用いて、前記第1の時点及び前記第2の時点の上顎の座標を求め、その移動量を求める手段と、
    (f)前記第1の時点の上下顎咬合モデルで、前記上顎モデルに設けられた前記3次元基準座標系を前記下顎モデルの基準座標系として用いると、
    (g)前記b)にて形成した上下顎咬合モデルに、前記(f)にて第1の時点の下顎モデルに設けられた基準座標系を適用し、前記第1の時点及び前記第2の時点の下顎の座標を求め、その変化量を求める手段
    とを備えた3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定装置。
  10. 3次元スキャニングによるデジタルデータから歯のデジタルモデルを形成して歯の位置変化を定量的に計測するプログラムであって、
    3次元スキャン済のデータを分析し、該分析データを3次元グラフィックに画面上に示す機能と、
    各々別個に二つ以上の3次元スキャン済のモデルを、歯移動の前後に変わらない領域を一致させることによって重ね合せる機能と、
    3次元スキャン済のモデルに、予め決められたデータに基づいて3次元座標系を設けて座標軸を画面上に示し、スキャン済のモデル上の各点を前記座標系による座標として認識する機能と、
    歯矯正の前後に3次元スキャンして形成した二つ以上の歯モデルを前記重ね合せ機能に
    よって重ね合せて、これを前記座標設定機能によって座標として分析して、上顎歯移動、SDMM及びDMMを定量的に分析する機能
    とをコンピュータに実現させることを特徴とする3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定プログラム。
  11. 前記重ね合せ機能が、
    重ね合せた二つ以上のモデルを各々区分される色として設定することによって、歯移動状況の視角による分析を可能にする機能
    を含むことを特徴とする請求項10に記載の3次元リバース・エンジニアリング技術を用いた歯移動自動測定プログラム。
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