JP3468889B2 - 酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法 - Google Patents
酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法Info
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Description
鋼、普通鋼等の主として熱延鋼帯の酸洗設備の酸洗浴の
性能管理やステンレス鋼のエッチング浴、普通鋼の前処
理酸洗浴の性能管理に適した酸洗浴中の〔Fe3+〕、
〔Fe2+〕等、の鉄イオン濃度の測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼帯の酸洗工程、特に熱延ステンレス鋼
帯の酸洗においては、酸洗速度、酸洗浴の更新時期を決
定する因子として、〔Fe3+〕、〔Fe2+〕濃度が重要
である。従来よりこの測定をオン・ラインで連続的に安
価に実施できる方法が模索されてきた。 【0003】従来、酸洗浴中の〔Fe3+〕、〔Fe2+〕
濃度の測定においては、浴液を採取し、まず、高周波誘
導加熱プラズマ発光分析(ICP)により鉄イオンの合
計量を測定し、次いで、浴液に重クロム酸を添加して
〔Fe2+〕を〔Fe3+〕に変えることにより、変色点に
おける滴定量から〔Fe2+〕濃度を求めた。そして、
〔Fe3+〕濃度は鉄イオンの合計濃度から、このように
して求めた〔Fe2+〕濃度を差し引くことにより求め
た。 【0004】この方法は、一部機器分析を使用しなが
ら、最終的には滴定分析という手分析に頼らざるを得な
かった。また、液体クロマトグラフィーを使用する方法
もあるが、装置が非常に高価なものになる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来の鉄
イオンの濃度測定方法は、機器による分析により鉄イオ
ンの合計濃度を測定し、滴定分析により手分析で一方の
濃度を求め、合計濃度からこの求めた濃度を差し引き、
他方の濃度を求めており、非能率的であり、測定時間が
長くかかっていた。 【0006】そこで、本発明は、上記の問題点を解消
し、酸洗浴の管理に適した酸洗浴中の鉄イオン濃度を連
続的にかつ自動的に測定する方法を提供しようとするも
のである。 【0007】 【課題を解決するための手段】そのため、本発明では、
酸洗槽の酸洗液中の鉄イオン濃度を銅イオン電極および
酸化・還元電極を用いて連続的に測定する。 【0008】即ち、本発明は、各種鋼帯を酸洗槽を通過
させることにより、連続的に酸洗脱スケールするプロセ
スにおける酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法において、
前記酸洗槽の酸洗液中の鉄イオン濃度を銅イオン電極お
よび酸化・還元電極を用いて測定することを特徴とする
酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法を提供する。 【0009】 【作用】本発明の酸洗液中の鉄イオン中にはFe3+およ
びFe2+のイオンが共存しており、かつ鋼を主体とする
材料の帯材(鋼帯)にはCuがほとんど存在しないた
め、酸洗液中にもCu2+イオンが皆無に近い状態にあ
る。銅イオン電極の特性として、Fe3+イオンに対して
銅イオンの場合の約10倍も敏感、即ち、銅イオンが存
在しない場合には、Fe3+イオンに対して非常に感度よ
く測定できる。従って、Fe3+イオンについては前記銅
イオン電極により測定し、Fe2+イオンについては先
ず、酸化・還元電極により、酸化・還元電位(ORP)
を測定し、次の(1)式の関係式より求める。 【0010】 【数1】 【0011】即ち、上記の(1)式においてE0 、R、
T、Z、F、〔Fe3+〕およびORPは既知とすること
ができるので、〔Fe2+〕を求めることができる。 【0012】以上のように、まず、Fe3+イオン濃度を
銅イオン電極により測定し、Fe2+イオン濃度は酸化・
還元電極により酸化・還元電位(ORP)の測定を行
い、銅イオン電極で測定したFe3+イオン濃度を用いて
(1)式により求めることができる。 【0013】なお、銅イオン電極はCr3+イオンおよび
Ni2+イオンの影響を受けることが心配されるが、Cr
3+イオンについては、酸洗液中には、1g/l程度しか
存在していなく、かつCr3+イオンはFe3+イオンの1
/1000程度の感度でしか反応せず、又、Ni2+イオ
ンについても酸洗液中には2g/l程度しか存在してい
なく、かつNi2+イオンはFe3+イオンの1/1000
0程度の感度でしか反応しないことが判明し、ステンレ
ス鋼を含む鋼系の帯材の酸洗液中のFe3+イオン濃度を
銅イオン電極により測定するに際し、Cr3+イオンおよ
びNi2+イオンは実質上全く悪影響を及ぼさないので精
度良く測定できる。 【0014】このような銅イオン電極、酸化・還元電極
の電位の測定は短時間で応答するので連続測定が可能と
なり、従来のように手分析による滴定分析が不要とな
り、能率的な鉄イオンの測定ができる。 【0015】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して具体
的に説明する。まず、本発明の基本的な方法について述
べるが、酸洗液中にはFe3+およびFe2+イオンが共存
しており、かつ鋼を主体とする材料の帯材(鋼帯)には
Cuがほとんど存在しないため、酸洗液中にもCu2+イ
オンが皆無に近い状態であることに気が付いた。 【0016】ところで、銅イオン電極の特性として、F
e3+イオンに対しては銅イオンの場合の約10倍も敏
感、即ち、銅イオンが存在しない場合には、Fe3+イオ
ンに対して非常に感度よく測定できることにも気付い
た。 【0017】これらのことから、Fe3+イオンの濃度に
ついては感度のよい銅イオン電極を用いて測定し、Fe
2+イオンについては先ず、酸化・還元電極により、酸化
・還元電位(ORP)を測定し、銅イオン電極で測定し
たFe3+イオンの濃度を用いて前述の(1)式の関係よ
りその濃度を求めることができる。このように、Fe 3+
イオン濃度は銅イオン電極により、又、Fe2+イオン濃
度は酸化・還元電極により酸化・還元電位(ORP)の
測定並びにFe3+イオン濃度を用いて(1)式により求
めることができるものである。 【0018】なお、銅イオン電極はCr3+イオンおよび
Ni2+イオンの影響を受けることが心配されたが、Cr
3+イオンについては、酸洗液中には、1g/l程度しか
存在していなく、かつCr3+イオンはFe3+イオンの1
/1000程度の感度でしか反応せず、又、Ni2+イオ
ンについては酸洗液中には2g/l程度しか存在してい
なく、かつNi2+イオンはFe3+イオンの1/1000
0程度の感度でしか反応しないことが判明し、ステンレ
ス鋼を含む鋼系の帯材の酸洗液中のFe3+イオン濃度を
銅イオン電極により測定するに際し、Cr3+イオンおよ
びNi2+イオンは実質上全く悪影響を及ぼさないことも
つきとめた。 【0019】図1は本発明の基本となるFe3+濃度と銅
イオン電極による電極電位の関係について示した図で、
図中、黒丸と破線で示したFe3+濃度曲線1は、Cu
(NO 3 )2 水溶液を作成し、Cu(NO3 )2 濃度を
3条件ふって50℃で電極電位(Ag/AgCl)を測
定し、Fe3+濃度がCu2+濃度の1/10で同一電位を
示すことから、換算したFe3+濃度の関係である。 【0020】一方、図1中、白丸は実線で示したイオン
電極電位曲線2は、Fe3+イオンを所定量含有するよう
に、Fe(NO3 )2 の水溶液を作成し、(Fe3+濃度
として、5×10-4 mol/l、5×10-3 mol/l及び
5×10-2 mol/l)、それぞれの電極電位を50℃で
測定して求めた曲線である。 【0021】この両者の関係から、実際の酸洗液中のF
e3+イオン濃度が0.001〜0.1 mol/l程度であ
るので、銅イオン電極によりFe3+イオンの選定係数1
0-1として、実際の酸洗液中のFe3+イオン濃度を±6
%の精度で測定できることがわかる。 【0022】次いで、実際の酸洗液により、その測定精
度の確認を行った。実際の酸洗液としてはステンレス鋼
帯用の焼鈍・酸洗ラインで用いられている硝酸酸洗液を
一定時間間隔で3サンプル採取した。 【0023】各サンプル酸洗液の本発明による分析は前
述したように、図2に示すような手順で実施した。即
ち、S1においてまず酸洗ラインから酸洗液を採取す
る。次に、S2において、酸化・還元電極によりこの液
の酸化・還元電位(ORP)を測定する。次に、S3に
おいて、銅イオン電極を用いてFe3+イオン濃度を測定
する。最後にS4において、S2、S3で測定したデー
タに基づいて(A)式により測定した(ORP)、
E0 、R、T、Z、F及び測定した〔Fe3+〕の既知の
値を用いてFe2+イオンの濃度が求められる。 【0024】その結果を次の表1に示す。なお、実液で
の本発明法によるFeイオン濃度の分析法の精度を確認
するために、Fe2+イオンおよびFe3+イオンそれぞれ
について従来の湿式分析法による測定結果を同表に併せ
示した。 【0025】 【表1】 【0026】各サンプルともに、本発明法によるFeイ
オン濃度の測定結果は、Fe2+イオン、Fe3+イオンと
もに、測定誤差は±6%以下に入っており、実液で充分
使用できることが確認できた。 【0027】以上、説明の実施例によれば、従来は、鋼
帯用の酸洗槽から酸洗液を一部採取し、これを手分析に
よる滴定分析によりFe2+イオンおよびFe3+イオン濃
度を測定するという非能率な方法を採用していたため、
濃度測定の間隔が長くなり、酸洗浴の濃度管理に適切さ
を欠いていた。 【0028】しかし、本方式はFe3+イオン濃度測定に
銅イオン電極を、又、Fe2+測定に酸化・還元電極を用
いるので、いずれの電極も3〜5秒という非常に短時間
での応答が可能であるので、連続測定が可能となり、コ
ンピュータを活用してオンラインの測定もできるように
なる。 【0029】 【発明の効果】以上、具体的に説明したように、本発明
は、各種鋼帯を酸洗槽を通過させることにより、連続的
に酸洗脱スケールするプロセスにおける酸洗液中の鉄イ
オン濃度測定方法において、前記酸洗槽の酸洗液中の鉄
イオン濃度を銅イオン電極および酸化・還元電極を用い
て測定する酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法を採用した
ので、いずれの電極でも短時間での応答ができ、従来の
ように酸洗液を一部採取し、手分析による滴定分析を行
うような非能率な作業がなくなり、連続測定が可能とな
るため、鋼帯用酸洗浴の濃度管理を適切に行うことがで
き、鋼帯の酸洗不足又は過酸洗を適切に防止することが
できる。
タで、Fe3+濃度とイオン電極電位との関係を示す図で
ある。 【図2】本発明の一実施例に係るイオン濃度の分析手順
を示す図である。 【符号の説明】 1 Cu(NO3 )2 水溶液より求めたFe3+イオン濃
度曲線 2 Fe(NO3 )2 水溶液より測定したイオン電極電
位曲線
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 各種鋼帯を酸洗槽を通過させることによ
り、連続的に酸洗脱スケールするプロセスにおける酸洗
液中の鉄イオン濃度測定方法において、前記酸洗槽の酸
洗液中の鉄イオン濃度を銅イオン電極および酸化・還元
電極を用いて測定することを特徴とする酸洗液中の鉄イ
オン濃度測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30065194A JP3468889B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30065194A JP3468889B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08160003A JPH08160003A (ja) | 1996-06-21 |
JP3468889B2 true JP3468889B2 (ja) | 2003-11-17 |
Family
ID=17887430
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30065194A Expired - Lifetime JP3468889B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 酸洗液中の鉄イオン濃度測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3468889B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IT1303814B1 (it) * | 1998-12-02 | 2001-02-23 | Henkel Kgaa | Apparecchiatura e metodo per controllare processi di decapaggio peracciaio. |
-
1994
- 1994-12-05 JP JP30065194A patent/JP3468889B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08160003A (ja) | 1996-06-21 |
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