JP3468689B2 - シャドウマスク、及びカラー受像管 - Google Patents

シャドウマスク、及びカラー受像管

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JP3468689B2 JP09197998A JP9197998A JP3468689B2 JP 3468689 B2 JP3468689 B2 JP 3468689B2 JP 09197998 A JP09197998 A JP 09197998A JP 9197998 A JP9197998 A JP 9197998A JP 3468689 B2 JP3468689 B2 JP 3468689B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管に使
用されるシャドウマスク、及びこれを内蔵したカラー受
像管に関するものである。詳しくは、シャドウマスク本
体の曲面の変形に伴うカラーブラウン管の色純度の劣化
を防止することができるシャドウマスク、及びカラー受
像管に関し、更に詳しくは、製造工程における熱工程時
のシャドウマスクの熱変形を防止することができるシ
ドウマスク、及びカラー受像管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスク型カラー受像管は、図4
に示すように、パネル1、シャドウマスク2、ファンネ
ル3、偏向ヨーク4、ネック5、電子銃6およびスクリ
ーン8を有している。図4におけるシャドウマスク2
は、電子銃6から放出される電子ビーム7を選別してス
クリーン8に正しくランディングさせるために設けられ
ている。
【0003】シャドウマスク2は、図5に示すように、
シャドウマスク本体9とマスクフレーム10とにより構
成されている。このシャドウマスク本体9とマスクフレ
ーム10とは、シャドウマスク本体9の周囲に形成され
たスカート部11と、マスクフレーム10の内面とが、
シャドウマスクの長辺中央、短辺中央、各対角にあたる
位置で溶接して構成されている。
【0004】従来、シャドウマスク本体9のスカート部
11の長さLは、スカート全面、すなわち各辺中央部と
対角部とでほぼ同じとするか、または、マスクフレーム
10のコーナー部内側にマスクフレーム10を補強する
ための「ボス」がある場合には、その部分をさけるため
にコーナー部のスカート長さが各辺中央部の長さよりも
短くなるように形成されている。また、シャドウマスク
本体9とマスクフレーム10とを溶接する際、スカート
部11の上方(シャドウマスク本体9の曲面側)に溶接
点を設けると、溶接の際のスカート部11の変形が曲面
形状の変形に大きく関与することとなり、一方、スカー
ト部11の下端部に溶接点を設けると、組み立て誤差等
によって溶接点位置が確保できない場合が発生するおそ
れがある。そこで、通常、スカート部11の下端から約
2mm上の位置を溶接点の適性距離としている。
【0005】また、スカート部11とマスクフレーム1
0の溶接点近傍、すなわち、シャドウマスク2の対角部
近傍および長辺、短辺の各中央部近傍には切り込み12
が設けられている。この切り込み12は、金属薄板をプ
レス成型してスカート部11を形成する際の肉余りの防
止のため、また、カラー受像管動作時に電子ビームが射
突することによって生ずるシャドウマスク本体9の温度
上昇にともなう、マスク曲面の変形を防止するためのも
のである。
【0006】このようなシャドウマスク2は、シャドウ
マスク本体9の曲面を保持するために、スカート部11
をマスクフレーム10内に押し込むようにして組み合わ
されて溶接されるので、スカート部11とマスクフレー
ム10との接合部や、溶接機により相互に押圧される溶
接部に応力歪みを残しやすい。
【0007】シャドウマスク型カラー受像管を製造する
際には、スクリーン8形成後のパネル1の内面にシャド
ウマスク2が配設され、そのパネル1とファンネル3と
に対しフリット封着工程および排気工程等が行われる。
そうすると、これらの各工程(フリット封着工程および
排気工程等)の際の加熱等により、シャドウマスク2の
溶接部分およびその周辺に残っていた上記歪みが解放さ
れ、シャドウマスク本体9の曲面を変形させてしまう。
このシャドウマスク本体9の曲面の変形が、カラーブラ
ウン管の色純度を劣化させる。
【0008】また、シャドウマスク本体9に用いるため
の材料としては、厚さ0.1〜0.3mm程度のアルミ
キルド鋼(以下、これを「AK材」と称する)、もしく
は近年の受像管の大型高輝度に伴って開発されたインバ
ー材(低膨脹材料)等が考えられる。マスクフレーム1
0としては、軟鋼材により形成されているものが一般的
である。以上の二種類(AK材製、インバー材製)のシ
ャドウマスクについて製造工程時におけるシャドウマス
ク本体9の変形の大小を調査したところ、インバー材製
のものの方が、AK材製のものに比べて変形が大きいと
いうことが確認できた。
【0009】このシャドウマスク本体9の変形の相違
は、シャドウマスク本体9とマスクフレーム10との熱
膨脹の違いによるものと考えられる。これは、AK材製
シャドウマスク(以下「AKマスク」ともいう。)はマ
スクフレーム10とほぼ同じ熱膨脹率であるが、インバ
ー材製シャドウマスク(以下「インバーマスク」ともい
う。)はマスクフレーム10より熱膨張率が小さいため
に、溶接部での熱膨張差の影響をシャドウマスク本体9
が受け易くなると考えられるからである。
【0010】そこで従来から製造工程時においては、パ
ネル1とファンネル3との封着および排気加熱等によっ
てシャドウマスク本体9等に発生する上記の各種熱変形
を、事前に除去することを目的として、シャドウマスク
2を加熱して歪みによる変形をあらかじめ除去する、ダ
ミーベーキング処理(例えば450度以上で40〜50
分)を行っている。
【0011】従来技術に係るシャドウマスクにおいて
は、以上のようなダミーベーキング処理を行わないでカ
ラー受像管を組み立てた場合、カラー受像管における蛍
光体のホールと電子ビームとの間にずれが生じてしま
う。
【0012】図6は本発明のカラー受像管の一例とし
て、36cm(15型)−90度偏向インバーマスク管
(曲率=2R)をパネル側から見た正面図である。パネ
ル1の内面にはスクリーンが形成されており、このスク
リーンは、図6に示すように、赤(R)、緑(G)、青
(B)を一単位とする蛍光体ホールが整然と配列されて
構成されている。ここで、対角部近傍領域の蛍光体ホー
ルユニット17及び短辺中央部近傍領域の蛍光体ホール
ユニット18に着目する。なお、図6において、蛍光体
ホールユニット17,18は、その概念を示すために誇
張して表現してある。
【0013】図7は、この蛍光体のホールと電子ビーム
との間に生ずるずれを示している。図7(a)は、図6
の対角部近傍領域の蛍光体ホールユニット17の拡大図
を示し、図7(b)は、図6の短辺中央部近傍領域の蛍
光体ホールユニット18の拡大図を示している。カラー
受像管の対角部近傍領域17においては、図7(a)に
示すように、電子ビーム20が蛍光体のホール19の外
側を打ち、カラー受像管の短辺中央部近傍領域18にお
いては、図7(b)に示すように、電子ビーム20が蛍
光体のホール19の内側を打つように、電子ビーム20
と蛍光体のホール19との間にずれが生じる。また、こ
れら対角部近傍領域と短辺中央部近傍領域でのランディ
ングずれ量の和(d1+d2)は、図2(詳細は後述す
る)に示すように、40μmであることが確認された。
【0014】図8は、カラー受像管の短辺中央部近傍領
域および対角部近傍領域の熱処理前後におけるマスク曲
面の変化を示したものである。すなわち、図8(a)は
図6のI−I線矢印方向から見たシャドウマスク表面の
曲率の変化の状態を模式的に表した図であり、一点鎖線
22′はマスク熱処理前の基準曲面を、実線22はマス
ク熱処理後の曲面をそれぞれ示している。また、図8
(b)は図6のII−II線矢印方向から見たシャドウマス
ク表面の曲率の変化の状態を模式的に表した図であり、
一点鎖線23′はマスク熱処理前の基準曲面を、実線2
3はマスク熱処理後の曲面をそれぞれ示している。この
図8に示すように、マスク熱処理前の基準曲面22′,
23′と比較した場合、短辺中央部近傍領域の曲面22
は蛍光体に近づく方向へ移動し、対角部近傍領域の曲面
23は蛍光体から遠ざかる方向へ移動している。そし
て、このとき、短辺中央部近傍領域の曲面22の移動量
d3と対角部近傍領域の曲面23の移動量d4の和(d
3+d4)は、40μmであることが確認された。
【0015】図7および図8の測定結果から、曲面の変
化と完成球での特性の一致を得たので、更に詳細に調べ
ると、図9に示すように、短辺中央部近傍領域と対角部
近傍領域とにおいて、曲面ずれ量の和(図8のd3+d
4)とランディングずれ量(電子ビームと孔とのずれ
量)の和(図7のd1+d2)との間には相関関係があ
ることが確認された。
【0016】精細なカラー画像を得るためには、ランデ
ィングずれ量の和(d1+d2)は15μm以下に抑え
ることが望ましく、そのためには、図9から曲面ずれ量
の和(d3+d4)を15μm以下にする必要があるこ
とがわかる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
に係るシャドウマスクにおいては、各実験(調査)結果
からも明らかなように、シャドウマスク本体に(特に熱
工程での変形の大きなインバー材製のものを用いている
場合はもちろん)、比較的熱変形の小さなAK材製のも
のを用いている場合であっても、パネルとファンネルと
のフリット封着工程および排気加熱工程等によってシャ
ドウマスク本体は熱変形をしてしまうため、より精度の
良いシャドウマスクを得るためには、予めシャドウマス
クを熱処理して、十分に熱変形させて残留歪みを除去し
てから、組み立てる必要があり、ダミーベーキングが不
可欠となっていた。
【0018】このダミーベーキングは、後の熱工程でシ
ャドウマスクに加わる熱量よりも、大きい熱量を与えな
くてはならないので、前述のように最高温度が450度
以上、その保持時間が40〜50分以上とする必要があ
る。また、ダミーベーキング工程全体では約3時間の時
間が必要となる。
【0019】このような、膨大な時間とエネルギーを要
する工程が必要であることは、カラー受像管の製造を行
う上で、生産効率・生産コストの上で大きな課題となっ
ていた。
【0020】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、シャドウマスク曲面のカラー受像管
製造工程中の熱変形を、ダミーベーキング工程なしで防
止し、カラー受像管の色純度を劣化させないとともに、
カラー受像管生産工程のコスト削減と生産性の向上を図
ることが可能であるシャドウマスク、及びカラー受像管
を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
【0022】記目的を達成するための本発明に係るシ
ャドウマスクは、周囲にスカート部を有するシャドウマ
スク本体と、前記シャドウマスク本体の周囲を囲むよう
に備えられたマスクフレームとを有し、前記シャドウマ
スク本体の対角部近傍および短辺中央部近傍における前
記スカート部に切り込みが形成され、前記スカート部と
前記マスクフレームの内面とが、少なくとも対角部及び
短辺中央部で固着されてなるシャドウマスクであって、
対角部における固着点からシャドウマスク本体のシャド
ウマスク曲面までの距離が、短辺中央部における固着点
からシャドウマスク本体のシャドウマスク曲面までの距
離よりも長いことを特徴とする。
【0023】
【0024】また、上記目的を達成するための本発明に
係るカラー受像管は、上記のシャドウマスクを含むこと
を特徴とする。
【0025】
【0026】本発明によれば、対角部における固着点か
らシャドウマスク本体のシャドウマスク曲面までの距離
が、短辺中央部における固着点からシャドウマスク本体
のシャドウマスク曲面までの距離よりも長くしたことに
より、溶接による熱膨脹変位を前記スカート部が吸収
し、前記スカート部の変形がシャドウマスク曲面に影響
を及ぼさなくなるため、シャドウマスクの曲面ずれ量を
小さくし、ランディングずれ量(電子ビームと孔とのず
れ量)の和をも小さくすることができる。したがって、
シャドウマスク曲面のカラー受像管製造工程中の熱変形
を、ダミーベーキング工程なしで防止することができる
ために、カラー受像管の色純度を劣化させずに、カラー
受像管生産工程のコスト削減と生産性の向上を図ること
が可能である。
【0027】
【0028】
【0029】また、本発明に係るシャドウマスク又はカ
ラー受像管においては、対角部における固着点からシャ
ドウマスク本体のシャドウマスク曲面までの距離と、短
辺中央部における固着点からシャドウマスク本体のシャ
ドウマスク曲面までの距離との差が、2mm以上15m
m未満にすることが好ましい。
【0030】この好ましい例によれば、対角部における
固着点からシャドウマスク本体のシャドウマスク曲面ま
での距離と、短辺中央部における固着点からシャドウマ
スク本体のシャドウマスク曲面までの距離との差を2m
m以上にすることにより、本発明の効果を有効に発揮す
ることが可能となる。また、両距離の差を15mm以上
としても実質的効果の差はあまりなく、却って、この差
を15mm以上とすると、溶接位置の確保およびパネル
とシャドウマスクとの適性な距離の確保等が難しくな
る。そこで、この好ましい例によれば、対角部における
固着点からシャドウマスク本体のシャドウマスク曲面ま
での距離と、短辺中央部における固着点からシャドウマ
スク本体のシャドウマスク曲面までの距離との差を上記
範囲に規定することにより、カラー受像管を構成する上
での制約が生じない範囲において、本発明の効果を得る
ことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
および実施例に基づいて説明する。
【0032】図4は、シャドウマスク型カラー受像管の
断面図を示している。このカラー受像管は、その外側が
箱型のパネル1と漏斗型のファンネル3とにより構成さ
れ、パネル1の内面に蛍光体の塗布されたスクリーン8
を有し、これに対面する形でシャドウマスク2が配置さ
れている。また、ファンネル3のネック5内には電子銃
6が備えられており、その電子銃6から放射された電子
ビーム7が、ファンネル3の外周に配置された偏向ヨー
ク4の磁界により偏向してシャドウマスク2の孔を通
り、スクリーン8にランディングしてカラー画像を表示
している。
【0033】図5は、シャドウマスク2の斜視図を示し
ている。この図5に示されているシャドウマスク2は、
シャドウマスク本体9とマスクフレーム10とにより構
成され、両者はシャドウマスク本体9の周囲に形成され
たスカート部11とマスクフレーム10の内側面で溶接
されて組立られている。図5の例では、対角部の点3
1、短辺中央部の点32、及び長辺中央部の点33に溶
接点を設けている。また、スカート部11には、対角部
近傍および短辺中央部近傍に切り込み12が形成されて
いる。溶接点については、スカート部11の上方(シャ
ドウマスク本体9の曲面側)に溶接点を設けると、溶接
の際のスカート部11の変形が曲面形状の変形に大きく
関与し、スカート部11の下方に溶接点を設けると、組
み立て誤差等によって溶接点位置が確保できない場合が
発生するため、スカート部11の下端から約2mm上の
位置を溶接点の適性距離としている。
【0034】本発明者らは、以上のように構成されたシ
ャドウマスクにおいて、ダミーベーキング工程なしでシ
ャドウマスク曲面の熱変形を防止する方法および構成を
模索する中で、特に短辺中央部および対角部の溶接位置
における溶接点の高さに着目した。「溶接点の高さに着
目」とはいっても、上述したように、構造上の制約等を
受けるため、スカート部11の下端から溶接点までの距
離(約2mm)は一定にする方が好ましい場合が多い。
そこで、本発明者らは、溶接点からシャドウマスク曲面
までの距離、つまりスカート部11の長さを変化させ、
その変化させたスカート部11の長さによって、溶接時
の歪みを吸収する構成に考え及んだ。そして、対角部と
短辺中央部とにおけるスカートの長さを変化させて実験
を行い、図3の結果を得た。
【0035】図3は、対角部と短辺中央部とのスカート
長さの差と、曲面ずれ量との関係を示したグラフであ
る。この際、短辺中央部のスカート長さは一定として、
対角部のスカート長さを変化させている。対角部のスカ
ート長さを長くするということは、対角部近傍領域の曲
面とスカート部の溶接位置との距離を離し、相対的にス
カート部の溶接位置を下げたこととなる。
【0036】この図3から明らかなように、従来技術に
係る形状(スカート長さは、短辺中央部の方が対角部よ
りも1mm長い)で熱処理を行わない場合の曲面ずれ量
の和(上記図8のd3+d4)は40μmである。しか
しながら、対角部のスカート長さを延長して、対角部と
短辺中央部とのスカート長さの差を大きくすれば、曲面
ずれ量を減少させることができる。例えば、対角部と短
辺中央部とのスカート長さの差を2mm以上とすれば、
曲面ずれ量を、先に示した図9に基づいてランディング
ずれ量の許容限度から導いた曲面ずれ量の許容範囲であ
る15μm(図3中に「曲面ずれ量の和の許容範囲」と
して示す)以下におさえることが可能となる。つまり、
対角部におけるスカート部を短辺中央部におけるスカー
ト部よりも2mm以上長く形成することにより、本発明
の効果を有効に発揮することが可能となる。また、図3
から明らかなように、対角部におけるスカート部と短辺
中央部におけるスカート部との差をあまりに大きくして
も、実質的効果の差はあまりないことが分かる。したが
って、本発明においては、先に述べた[数1]のように
対角部と短辺中央部とのスカート長さの差を規定してい
る。なお、マスクフレームとの構造上、36cm管の場
合には、対角部と短辺中央部とのスカート長さの差は7
mmが限度であり、このときのランディング変化量はほ
ぼ10μmであった。
【0037】上記の検討は、溶接点をスカート部の下端
から約2mmの位置に設けることを前提としたものであ
るが、スカート部の長さにかかわらず、溶接点の位置を
上記と同様に設けることができれば、同様の効果を得る
ことができる。即ち、図1において、短辺中央部での溶
接点32を、これを挟む両対角部の溶接点31a,31
bを結ぶ直線よりシャドウマスク曲面9′寄りに設けた
場合にも、曲面ずれ量を効果的に低減できることを確認
した。しかも、短辺中央部での溶接点と、これを挟む両
対角部の溶接点を結ぶ直線との距離dを2mm以上にす
ることにより、図3に示したのと同様に、ランディング
ずれ量の許容限度から導いた曲面ずれ量の許容範囲であ
る15μm以下におさえることが可能であることを確認
した。なお、この距離はあまり長くしすぎても曲面ずれ
量の低減効果がそれ程期待できないばかりか、かえって
生産性やコストの点で不利になるから、その上限は15
mm未満とするのが好ましい。
【0038】以上の結果に基づいて、一例として以下の
シャドウマスクを形成した。
【0039】図1は、本発明の実施形態に係るシャドウ
マスク本体の概略図を示している。本実施形態において
は、シャドウマスク本体9の材料としてインバー材を用
いて板厚0.1mmとし、マスクフレームの材料として
軟鋼材を用いて板厚1.2mmとして、36cm管のシ
ャドウマスクを形成した場合について説明する。
【0040】図1におけるシャドウマスク本体9の溶接
高さ15は、対角部、短辺中央部及び長辺中央部のいず
れでも、先に述べたように、スカート部11の下端より
2mm上の位置とした。そして、対角部における溶接部
のスカート部寸法13を16mm(従来は11mm)、
短辺中央部における溶接部のスカート部寸法16を12
mm(従来と同様)、長辺中央部における溶接部のスカ
ート部寸法(図示省略)を15mm(従来は14.5m
m)とした。本実施形態においては、対角部と短辺中央
部とのスカート長さの差を4mmとした。
【0041】以上のような寸法のシャドウマスク本体9
とマスクフレーム10とを用いてシャドウマスク2を形
成すると、対角部のスカート部が、溶接時の熱による歪
みの発生を効果的に吸収することができる。そこで、こ
のシャドウマスク2を用いてカラー受像管を作製する
と、熱工程の際に、シャドウマスク2の溶接時の歪み等
に起因して発生していたシャドウマスク本体9の曲面変
形を減少させることが可能となり、従来のダミーベーキ
ングを行った場合と同等の品質のカラー受像管を得るこ
とができる。これは、シャドウマスク本体9を本実施形
態のようなの形状とすること(スカート部の長さを調整
して溶接時の熱歪みを吸収すること)により、マスク曲
面の基準曲面からの変化をなくすことができるという、
プリベークの効果と同様の効果を得ることができるため
であると考えられる。
【0042】したがって、従来のダミーベーキングを行
ってカラーブラウン管の色純度を保っていた場合と同様
の品質を、本実施形態に係るシャドウマスク2を用いる
ことにより、ダミーベーキングを行わずに得ることがで
きる。
【0043】このような本発明の効果を図2を用いて具
体的に説明する。図2は、本実施形態に係るシャドウマ
スクと従来技術に係るシャドウマスクとの熱工程時にお
ける曲面変形量を示したグラフであり、それぞれのシャ
ドウマスク2は36cmインバーマスクである。横軸
に、曲面変化量の測定箇所として、シャドウマスク中央
部、短辺中央部近傍領域、及び対角部近傍領域の3点を
とり、各測定点での熱工程による曲面の変化量を縦軸と
して表している。グラフでは、対角部近傍領域を基準と
して、他の測定点の変化量を、対角部近傍領域に対する
相対的変化量として表示している。このグラフにおい
て、●は、熱処理を一度行ったときの従来技術に係るシ
ャドウマスク本体の曲面変形量24を示し、◆は、熱処
理を二度行ったときの従来技術に係るシャドウマスク本
体の曲面変形量26を示し、◎は、熱処理を一度行った
ときの本実施形態に係るシャドウマスク本体の曲面変形
量25を示している。ここで、熱処理を二度行ったと
は、ダミーベーキングと、フリット封着工程および排気
工程等での加熱の合計2回の熱負荷にさらされた場合を
想定している。また、熱処理を一度行ったとは、ダミー
ベーキングは行わず、フリット封着工程および排気工程
等での加熱のみにさらされた場合を想定している。
【0044】この図2から明らかなように、本実施形態
に係るシャドウマスク本体の曲面変形量25(◎)は、
従来技術(二度の熱処理)に係るシャドウマスク本体の
曲面変形量26(◆)と比較するとほぼ同程度であり、
従来技術(一度の熱処理)に係るシャドウマスク本体の
曲面変形量24(●)と比較すると、短辺中央部におい
て、曲面変形量の差の値が大きく異なっている。つま
り、同様の処理を行った場合には、従来技術に係るシャ
ドウマスク本体よりも、本実施形態に係るシャドウマス
ク本体の方が、良好な結果(曲面変形量が小さい)を示
している。しかも、本実施形態に係るシャドウマスク本
体の曲面変形量25(◎)は、全測定点で15μm以下
に抑えられているから、図9で説明したように、ランデ
ィングずれ量を、その許容範囲である15μm以下にす
ることができる。
【0045】以上説明したように、本実施形態において
は、対角部におけるスカート部寸法を長くすることによ
り、溶接時における熱膨脹をスカート部で緩和してい
る。しかしながら、ただ単にスカート部寸法を長くする
だけでは、対角部における溶接部近傍の剛性が従来のも
のよりも大きくなってしまう。そうすると、対角部の溶
接部近傍の状態がシャドウマスク本体の曲面に与える影
響も大きくなる。そこで、本実施形態においては、溶接
部近傍の切り込みの位置およびその寸法を調整すること
により、対角部における溶接部近傍の剛性および熱膨脹
をスカート部で緩和するように構成している。したがっ
て、本実施形態によれば、溶接時における熱膨脹がシャ
ドウマスク本体の曲面形状に与える影響を、実質的に問
題のないレベルまで低減することが可能となる。なお、
スカート部の切り込みの位置およびその寸法は、シャド
ウマスクの寸法や曲面形状、シャドウマスク本体及びマ
スクフレームの材質や厚み、溶接条件などを考慮して適
宜決定すればよい。
【0046】上記説明では、36cm(15型)−90
度偏向インバーマスク管(曲率=2R)について説明し
たが、これと異なるサイズ、偏向角、フェースパネル曲
率を有するカラー受像管に適用する場合は、ランディン
グずれ量に対するマスク曲面ずれ量は、当然それぞれ異
なった値となる。
【0047】なお、本実施形態においては、36cm管
の場合について説明したが、本発明はこれに限定される
ものではない。例えば、他のサイズや品種(大型管、ワ
イド管)についても、板厚や曲面形状等の条件に合せ
て、本発明の範囲内で対角軸上の溶接部のスカート部1
1の寸法を調整することにより、本実施形態と同様の効
果を得ることができる。カラー受像管のサイズが(前記
36cm管よりも)大きくなれば、本発明に係る対角部
と短辺中央部とのスカート長さの差、又は短辺中央部で
の固着点と、これを挟む両対角部の固着点を結ぶ直線と
の距離についても、前記36cm管のものよりも当然大
きくなる。つまり、36cm管の場合は、対角部と短辺
中央部とのスカート長さの差または前記距離は7mmが
限度であったが、36cm管よりも大きいサイズのもの
については、スカート長さの差または前記距離の限度も
7mmよりも大きくなる。
【0048】また、本実施形態においては、インバーマ
スクを用いてダミーベーキングを行わずにシャドウマス
クを製作した場合について説明したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、例えば、AKマスクを用いる
場合においても、本発明を実施することにより、熱処理
による曲面変形を減少させるという効果を得ることがで
きる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ャドウマスク曲面のカラー受像管製造工程中の熱変形
を、ダミーベーキング工程なしで防止することが可能で
あるため、カラー受像管の色純度を劣化させずに、カラ
ー受像管生産工程のコスト削減と生産性の向上を図るこ
とが可能であるカラー受像管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシャドウマスク本体の
斜視図である。
【図2】本実施形態に係るシャドウマスクと従来技術に
係るシャドウマスクとの熱工程時における曲面変形量を
示したグラフである。
【図3】対角部と短辺中央部とのスカート長さの差と曲
面ずれ量との関係を示したグラフである。
【図4】カラー受像管の概略断面図である。
【図5】カラー受像管に備えられるシャドウマスクの斜
視図である。
【図6】カラー受像管の正面図である。
【図7】従来技術に係るシャドウマスクにダミーベーキ
ング処理を行わなかった場合の蛍光体のホールと電子ビ
ームとのずれを示す概略図であり、(a)は対角部近傍
領域、(b)は短辺中央部近傍領域での状態をそれぞれ
示す。
【図8】カラー受像管の熱処理によるマスク曲面の変化
を示した図であり、(a)は短辺中央部近傍領域を、
(b)は対角部近傍領域をそれぞれ示す。
【図9】曲面ずれ量の和とランディングずれ量(電子ビ
ームとホールとのずれ量)の和との関係を示したグラフ
である。
【符号の説明】
1 パネル 2 シャドウマスク 3 ファンネル 4 偏向ヨーク 5 ネック 6 電子銃 7 電子ビーム 8 スクリーン 9 シャドウマスク本体 9′ シャドウマスク曲面 10 マスクフレーム 11 スカート部 12 切り込み 13 対角部のスカート長さ 15 溶接点高さ 16 短辺中央部のスカート長さ 17 対角部近傍領域の蛍光体ホールユニット 18 短辺中央部近傍領域の蛍光体ホールユニット 19 蛍光体ホール 20 電子ビーム 31,31a,31b 対角部の溶接点 32 短辺中央部の溶接点 33 長辺中央部の溶接点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/07

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周囲にスカート部を有するシャドウマス
    ク本体と、前記シャドウマスク本体の周囲を囲むように
    備えられたマスクフレームとを有し、前記シャドウマス
    ク本体の対角部近傍および短辺中央部近傍における前記
    スカート部に切り込みが形成され、前記スカート部と前
    記マスクフレームの内面とが、少なくとも対角部及び短
    辺中央部で固着されてなるシャドウマスクであって、
    角部における固着点からシャドウマスク本体のシャドウ
    マスク曲面までの距離が、短辺中央部における固着点か
    らシャドウマスク本体のシャドウマスク曲面までの距離
    よりも長いことを特徴とするシャドウマスク。
  2. 【請求項2】 対角部における固着点からシャドウマス
    ク本体のシャドウマスク曲面までの距離と、短辺中央部
    における固着点からシャドウマスク本体のシャドウマス
    ク曲面までの距離との差が、2mm以上15mm未満で
    ある請求項に記載のシャドウマスク。
  3. 【請求項3】 請求項又はに記載のシャドウマスク
    を含むカラー受像管。
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