JP3465868B2 - 冷間鍛造用鋼線 - Google Patents

冷間鍛造用鋼線

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JP3465868B2 JP08993397A JP8993397A JP3465868B2 JP 3465868 B2 JP3465868 B2 JP 3465868B2 JP 08993397 A JP08993397 A JP 08993397A JP 8993397 A JP8993397 A JP 8993397A JP 3465868 B2 JP3465868 B2 JP 3465868B2
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本 寛 岡
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、冷間鍛造、切断
等を行う分野において切断片断面のだれの低減および真
円度が要求される場合に利用される冷間鍛造用鋼線に関
する。 【0002】 【従来の技術】冷間鍛造を行う場合、必ず始めに材料の
切断加工が入る。この切断加工の1つに、図10に示す
ように、一対の丸刃カッターでせん断する方法がある。
この方法では、固定刃1の中心部に支持させた線材2端
をストッパ3にて位置規制し、これを移動刃4にて切断
している。 【0003】この切断方法において、材料の線材2が固
定刃1側にある場合は、せん断による線材2の跳ね上が
りを固定刃1内で拘束できるが、移動刃4側の線材2は
切断片の長さが直径に比べて小さい場合拘束力が小さ
い。そのため、移動刃4側で切断した切断片5のオフカ
ット側の真円度は、固定刃1側でせん断したリメインダ
側にくらべ悪くなる。 【0004】また、移動刃4および固定刃1のどちら側
でせん断した場合でも線材2の表面にはだれが生じる。
切断面の真円度が大きくつぶれ、だれの量が多いと、次
工程で材料を据込む場合、ダイスの形状に対し十分に肉
がはらず欠肉となり、鍛造品端面先端が拘束されない場
合、冷間鍛造後の製品端面のだれとして残る。 【0005】さらに、このような製品端面のだれは、だ
れの量が多いほど切削加工代が多くなり、従って切削加
工費が高くつくほか、材料の歩留まりが低下することと
なる。 【0006】一方、これに対して、線材としての鋼線の
硬さを全体に高くすることによって、せん断時の材料端
面のだれを抑え、切断片形状をよくすることが、一般に
広く行われている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに線材の硬さを全体として高くすることにより材料端
面のだれを抑える方法では、冷間鍛造時の鍛造荷重が必
然的に高くなり、金型寿命が短くなるという課題があっ
た。 【0008】この発明は前記のような課題を解決するも
のであり、鋼線表面の硬さだけを高くし、切断片の真円
度およびだれの向上を図り、以て冷間鍛造後の製品端面
のだれ量を十分に低減できる冷間鍛造用鋼線を得ること
を目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記目的達成のため、こ
の発明にかかる冷間鍛造用鋼線は、鋼線の表面からその
鋼線の半径の1/10内の位置に断面内最高硬さがあ
り、この断面内最高硬さの位置から中心に向って硬さが
低下していき、かつ最高硬さをH、表面からr/2の位
置の硬さをQとした場合、表面硬さ上昇率(H−Q)/
Q×100%を15%〜30%にしたものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
図について説明する。図1はこの発明の冷間鍛造用鋼線
11を示し、この鋼線11は、rを鋼線の半径として、
0.1r内を断面内最高硬さ領域Vとし、この領域より
中心側の領域をその中心に向って硬さが低下する領域W
としたものである。 【0011】ここで、鋼線11の表面だけ硬さを高くす
る方法として、伸線時のダイスアプローチ角度を大きく
し、さらに、切断片のだれ量を少なくするため表面硬さ
の上昇率を15%以上とする。 【0012】しかし、伸線時のダイスアプローチ角度が
大きすぎると、鋼線表面に大きな引張応力が生じること
によって、カッピー破断が現れる恐れがあるので、表面
硬さの上昇率は30%以下とする。 【0013】次にこの発明の実施例を説明する。いま、
供試鋼材としての被切断材にはSUJ2を用い、図2に
示す4種類の硬さ勾配をもつφ18.4mmの鋼線を作
成した。また、図3に表面からの距離に応じて変化する
各鋼種A,B,Cの硬さ勾配を示す。なお、切断には内
径φ18.4mmの丸刃カッターを用いた。 【0014】そして、硬さ勾配が切断片の真円度に及ぼ
す影響を判定するため、切断片の長さ(L)/直径
(D)が0.47でせん断した切断片で測定を行った。
また、真円度は、真円度計を用いて切断片のオフカット
側bおよびリメインダ側a両方で測定を行った。その結
果、図4に示すように表面硬さが高くなるほどオフカッ
ト側およびリメインダ側とも真円度が向上することが確
かめられた。 【0015】また、切断のだれ量を図5に示す部位で測
定したところ、図6および図7に示すように、材料表面
硬さが高くなるほど、オフカット側bおよびリメインダ
側aの両方でだれ量が減少していることが確認された。 【0016】さらに、図8に示すような鍛造製品12に
ついてみると、この鍛造製品12は、L/Dが0.47
でせん断した切断片の据込み、押出しおよび打抜きを順
次行い、外径φ20.21mm、内径φ13.62mm
のリングに形成される。 【0017】このとき、鍛造製品12の端面におけるだ
れ量は、打抜き側Jとは反対のだれ量の多い押出し側K
で内径側1および外径側mを測定した。その結果、図9
に示すように、材料表面硬さの上昇率が高くなるほど、
外径側および内径側ともだれ量n,oが減少しているこ
とが確認された。 【0018】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、鋼線
の表面からその鋼線の半径の1/10内の位置に断面内
最高硬さがあり、この断面内最高硬さの位置から中心に
向って硬さが低下していき、かつ最高硬さをH、表面か
らr/2の位置の硬さをQとした場合、表面硬さ上昇率
(H−Q)/Q×100%を15%〜30%にするよう
に構成したので、切断片のだれおよび真円度を向上でき
るとともに、冷間鍛造後に製品端面のだれ量の低減を図
ることができ、さらに前記だれの切削加工費の低減およ
び材料歩留まりの向上を図れるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の実施の形態による鋼線を示す断面図
である。 【図2】切断のだれ量を試験する対象供試鋼材の硬さ勾
配を示す説明図である。 【図3】供試鋼線の鋼種による硬さ勾配を示す特性図で
ある。 【図4】この発明の鋼線の表面硬さに対する真円度を示
す特性図である。 【図5】鋼線の切断片のだれ測定部位を示す説明図であ
る。 【図6】この発明の鋼線のリメインダ側端面における表
面硬さに対するだれ量を示す特性図である。 【図7】この発明の鋼線のオフカット側端面における表
面硬さに対するだれ量を示す特性図である。 【図8】この発明による鍛造製品を示す断面図である。 【図9】図7の鍛造製品の表面硬さに対するだれ量を示
す特性図である。 【図10】鋼材の切断加工方法を示す要部の断面図であ
る。 【符号の説明】 11 鋼線
フロントページの続き (72)発明者 町 田 有 治 富山県新湊市八幡町3−10−15 日本高 周波鋼業株式会社 富山製造所内 (72)発明者 小 高 根 正 昭 富山県新湊市八幡町3−10−15 日本高 周波鋼業株式会社 富山製造所内 (72)発明者 岡 本 寛 富山県高岡市石丸708番地の16 エヌケ イ精圧株式会社内 (72)発明者 中 田 光 昭 富山県高岡市石丸708番地の16 エヌケ イ精圧株式会社内 (72)発明者 入 澤 捷 史 富山県高岡市石丸708番地の16 エヌケ イ精圧株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−166028(JP,A) 特開 平7−108319(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21J 1/00 - 13/14 B21J 17/00 - 19/04 B21K 1/00 - 31/00 B21F 21/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鋼線の表面からその鋼線の半径の1/1
    0内の位置に断面内最高硬さがあり、この断面内最高硬
    さの位置から中心に向って硬さが低下していき、かつ最
    高硬さをH、表面からr/2の位置の硬さをQとした場
    合、表面硬さ上昇率(H−Q)/Q×100%を15%
    〜30%にしたことを特徴とする冷間鍛造用鋼線。
JP08993397A 1997-03-26 1997-03-26 冷間鍛造用鋼線 Expired - Lifetime JP3465868B2 (ja)

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JPH10263738A JPH10263738A (ja) 1998-10-06
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