JP3464971B2 - 耐光性に優れた印刷塗装金属板 - Google Patents

耐光性に優れた印刷塗装金属板

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JP3464971B2
JP3464971B2 JP2000250599A JP2000250599A JP3464971B2 JP 3464971 B2 JP3464971 B2 JP 3464971B2 JP 2000250599 A JP2000250599 A JP 2000250599A JP 2000250599 A JP2000250599 A JP 2000250599A JP 3464971 B2 JP3464971 B2 JP 3464971B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルカラー広告看板,
装飾用内装材,装飾用床材,装飾用表装材,エレベータ
扉材,家電機器用外板,什器用外板等に使用され、各種
印刷模様がつけられる小ロット多品種用途の印刷塗装金
属板に関する。
【0002】
【従来の技術】昇華性染料を使用して印刷塗装金属板を
製造する場合、オフセット,シルク,グラビア,転写等
の印刷法で昇華性染料を塗装金属板のトップクリア層に
印刷した後、加熱処理によって昇華性染料をクリア塗膜
に浸透させている。昇華性染料を用いた模様印刷には、
硬化性合成樹脂層の塗布膜に転写シートを接触させて加
熱する方法(特開昭51−24313号公報),昇華性
染料を用いた転写印刷により塗装金属板上に印刷層を形
成した後、表面にトップ塗膜を形成し、次いで加熱処理
で塗膜の内側から昇華性染料を浸透させる方法(特開昭
54−104907号公報),鋼板表面にプライマ塗膜
及び有色トップ塗膜を形成したプリペイント金属板の塗
膜に熱昇華性インクを浸透させる方法(特開平7−31
931号公報),金属板素地上に設けられている不透明
樹脂層の内部に昇華形着色剤を浸透させる方法(特開平
7−102733号公報)等がある。
【0003】何れの模様印刷法も、トップ塗膜中に昇華
性染料を浸透させることにより模様を発現させている。
しかし、通常の昇華性染料は、極性の小さな分散染料又
は油性染料であり、可塑剤や有機薬品等によって変質し
やすい。紫外線等の光で分解され、変色又は褪色しやす
い染料でもある。そのため、長期間にわたって屋外に曝
される使用環境では、安定した色彩,模様を維持するこ
とが難しい。光照射による変色や褪色は、塗料不揮発分
に対して0.5〜3質量%の割合で紫外線吸収剤を塗料
に配合することにより防止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、印刷に使用
されるプレコート鋼板の塗膜焼付け条件は最高到達板温
が200〜240℃,保持時間1〜2分であり、昇華性
染料を塗膜に浸透させる転写条件が160〜190℃×
1〜4分である。すなわち、紫外線吸収剤は、印刷塗装
金属板の製造完了までに最低でも2回高温雰囲気に曝さ
れる。そのため、一般に使用されているベンゾフェノン
系又はベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤では、耐熱
性,耐昇華性に劣り、塗膜に含まれる紫外線吸収剤が昇
華によって減量する。紫外線吸収剤の減量は、紫外線吸
収剤の変色や褪色に悪影響を及ぼすばかりでなく、紫外
線吸収剤の昇華に起因して塗膜面が柚肌状になって黄変
する原因となる。黄変現象は、塗膜焼付け条件,転写条
件共に厳しくなる厚い塗装原板ほど顕著に現れる。
【0005】この点、特開平9−206678号公報で
は,塗料不揮発分に対して6〜18質量%の割合で熱安
定性及び溶解性の良好なベンゾトリアゾール系又はトリ
アジン系の紫外線吸収剤を添加している。ベンゾトリア
ゾール系又はトリアジン系の紫外線吸収剤の添加は,多
くの種類の昇華性染料に対して有効であるが、一部の特
に耐光性に劣る昇華性染料については屋外用途に使用可
能なレベルまで変色・褪色を抑制できない。より耐光性
に優れた昇華性染料への変更も考えられるが,出力に使
用するプリンタの種類に応じた適性や色調の制約等を考
慮すると昇華性染料の変更は容易でない。ちなみに,使
用する基本4色のインク(シアン,マゼンタ,イエロ
ー,ブラック)のうち、1色でも耐光性が悪いと屋外用
に使用できない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、耐光性に優れた
樹脂を用いて上塗り塗膜を形成することにより、上塗り
塗膜に浸透させた昇華性染料の変色・褪色を大幅に抑制
し、耐光性が改善された印刷塗装金属板を提供すること
を目的とする。
【0007】本発明の印刷塗装金属板は、その目的を達
成するため、数平均分子量1000〜10000,ガラ
ス転移温度(Tg)20〜60℃,樹脂固形分100質
量部に対するメラミンの割合が20〜150質量部であ
る熱硬化型ポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸系
モノマーに由来する1,2−ベンゼン−ジカルボニル構造
及び/又はジアルコール系モノマーに由来する2,2−ジ
メチルトリメチレン構造が熱硬化型ポリエステル樹脂の
分子構造の一部に含まれる熱硬化型ポリエステル樹脂を
主成分とするクリア塗料から形成され、昇華性染料の浸
透により着色模様が付与された上塗り塗膜が金属板表面
に設けられていることを特徴とする。
【0008】上塗り塗膜には、好ましくは塗料不揮発分
100質量部に対して3〜22質量部のトリアジン系紫
外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を単
独で又は複合して添加してもよい。
【0009】
【実施の形態】本発明に従った印刷塗装金属板は、めっ
き鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板等の下地金属
板1の表面に、必要に応じてベースコート層2及びプラ
イマ層3を設け、表層に透明又は半透明の上塗り塗膜4
を形成している(図1)。表層に上塗り塗膜4がある限
り、下地金属板1と上塗り塗膜4との間にベースコート
層2を設けた印刷塗装金属板(a),更にプライマ層3
を設けた印刷塗装金属板(b),下地金属板1に上塗り
塗膜4を直接設けた印刷塗装金属板(c)の何れであっ
ても良い。なお、本件明細書では、クリア塗膜を包含す
る意味で「上塗り塗膜」を使用しており、また艶消し調
の外観を発現させるためにシリカ等の骨材を上塗り塗料
に添加することもできる。ベースコート層2は白色に限
らず、他の色調を呈するものでも良い。
【0010】ベースコート層2は、下地金属板1やプラ
イマ層3を隠蔽するため好ましくは10〜20μmの膜
厚で形成される。膜厚10μm未満のベースコート層2
では、下地金属板1及びプライマ層3に対する隠蔽能が
弱く、下地金属板1,プライマ層3の色調が混じった塗
膜面になる。逆に20μmを超える厚膜のベースコート
層2では、焼付け時に塗膜中に残留した溶剤が急激に気
化し、「わき」と称されるピンホール状の塗膜欠陥が発
生する虞がある。
【0011】上塗り塗膜4には、転写シートから移行し
てくる昇華性染料を受容して良く染まる樹脂であること
が要求される。この点、数平均分子量1000〜100
00,ガラス転移温度(Tg)20〜60℃,樹脂固形
分100質量部に対するメラミンの割合が20〜150
質量部の熱硬化型ポリエステル樹脂は、昇華性染料に対
する染着性に優れ、得られる画像の保存安定性も良好で
ある。
【0012】熱硬化型ポリエステル樹脂は、二塩基酸と
多価アルコールとの重縮合で合成される樹脂である。二
塩基酸は芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸,或
いはそれらの酸無水和物であり、具体的には無水フタル
酸,オルトフタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,マ
レイン酸,無水マレイン酸,フマル酸,アジピン酸等が
単独で又は2種以上を混合して使用される。良好な耐光
性を得るためには、特に重縮合後に1,2−ベンゼン−ジ
カルボニル構造を形成する無水フタル酸及び/又はオル
トフタル酸が含まれていることが好ましい。フェニル基
を含まないアジピン酸も、好適な二塩基酸として使用さ
れる。
【0013】多価アルコールには、エチレングリコー
ル,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,
プロピレングリコール,ペンチルグリコール,ネオペン
チルグリコール,トリメチロールエタン等があり、単独
又は2種以上を混合して使用できる。良好な耐光性を得
るためには,ペンチルグリコールのような脂肪族鎖が長
いグリコールの使用が好ましく、重合後に2,2−ジメチ
ルトリメチレン構造を形成するネオペンチルグリコール
を使用することが更に好ましい。
【0014】本発明で使用する熱硬化型ポリエステル樹
脂は、数平均分子量が1000〜10000に調整され
ている。1000未満の数平均分子量では上塗り塗膜4
に伸びがなくなるため加工性が劣り、逆に10000を
超える数平均分子量ではメラミンによる架橋部分の割合
が減少するため紫外線照射等によって分解されやすくな
る。硬化剤として使用されるメラミンは、それ自体光安
定性が高く、ポリエステル樹脂に混合することにより樹
脂の耐光性が向上する。耐光性向上作用は20質量部以
上のメラミンで顕著になるが、150質量部を超える過
剰量のメラミンが含まれると架橋密度が高くなり過ぎる
ため加工時に塗膜が割れやすくなる。また、ガラス転移
温度(Tg)が20℃未満では塗膜硬度が低くなり疵付
きやすい塗膜になり、逆に60℃を超えるガラス転移温
度(Tg)では硬度が高くなりすぎ加工性が著しく劣化
する。
【0015】昇華性染料で予め模様を付けた転写シート
を下地金属板1に接触させて加熱すると、昇華した染料
が透明又は半透明の上塗り塗膜4の中に浸透して昇華性
染料染着層5が形成され、厚み方向に染着した模様が発
現する。転写シートは、グラビア印刷,オフセット印
刷,スクリーン印刷等で作製できる。小ロット印刷用に
は、製版工程を必要としないコンピュータグラフィック
スを用いた電子写真法,静電記録法,インクジェット
法,感熱転写法等も採用可能である。
【0016】昇華性染料は、加熱された際に昇華,揮発
等の現象によって上塗り塗膜4に転移し得る染料をい
う。なお、本件明細書では、液相からの揮発をも包含す
る意味で「昇華」を使用している。昇華性染料として
は、たとえばキノフタロン誘導体,アントラキノン誘導
体,アゾ系色素等の分散染料が好適に使用される。ま
た、従来から昇華熱転写,昇華転写捺染等に使用されて
いる昇華性染料は、特に制約なく上塗り塗膜4の印刷に
使用される。
【0017】使用可能な昇華性染料のなかでイエロー系
染料としては、Kayaset Yellow AG,Kayaset Yellow TDN
(以上、日本化薬株式会社製),RTY 52,Dianix Yell
ow5R-E,Dianix Yellow F3G-E,Dianix Brilliant Yell
ow 5G-E(以上、三菱化学株式会社製),ブラスト Yell
ow 8040,DY108 (以上、有本化学株式会社製),Sumik
aron Yellow EFG, Sumikaron Yellow E-4GL (以上、住
友化学株式会社製),FORON Brilliant Yellow SGGLPI
(Sand社製),PSイエローGG(三井東圧染料株式会社
製)等がある。
【0018】マゼンタ系の昇華性染料には、Kayaset Re
d 026, Kayaset Red 130, KayasetRed B (以上、日本
化薬株式会社製),Oil Red DR-99, Oil Red DK-99
(以上、有本化学株式会社製),Diacelliton Pink B
(三菱化学株式会社製),Sumikaron Red E-FBL (住友
化学株式会社製),Latyl Red B (Du Pont社製),Sud
an Red 7B (BASF社製),Resolin Red FB, Ceres Red
7B (以上、Bayer社製)等がある。
【0019】シアン系の昇華性染料には、Kayalon Fast
Blue FG, Kayalon Blue FR, Kayaset Blue 136, Kayas
et Blue 906(以上、日本化薬株式会社製),Oil Blue
63(有本化学株式会社製),HSB9, RTB31(以上、三菱
化学株式会社製),DisperseBlue #1(住友化学株式会
社製),MS Blue 50(三井東圧染料株式会社製),Cere
s Blue GN(Bayer社製),Duranol Brilliant Blue 2G
(ICI社製)等がある。
【0020】各色用の昇華性染料は、単独でも或いは2
種以上を混合して使用される。黒色の色調は、イエロ
ー,マゼンタ,シアン色用の昇華性染料を適宜混合する
ことにより得られる。イエロー,マゼンタ,シアン以外
の色調をもつ昇華性染料としては、60℃以上の昇華温
度を示す染料が好ましい。昇華性染料の選択に際して
は、昇華温度の高い染料の方が比較的分子量が高く、優
れた耐光性,耐熱性を塗膜に付与することから好まし
い。
【0021】下地金属板1に接触した状態で転写シート
を加熱すると、転写シートに含まれている昇華性染料が
昇華し、図1に示すように透明又は半透明上塗り塗膜4
を厚み方向に浸透する。そのため、厚み方向にほぼ均一
に染着された昇華性染料染着層5が透明又は半透明の上
塗り塗膜4に形成され立体感のある印刷模様が得られ
る。得られた印刷模様は、上塗り塗膜4の表層のみに昇
華性染料が濃化したものではないため、擦れ等によって
印刷薄れが生じることなく、また熱転写で意匠を付与し
た後の転写印刷層を透明樹脂で保護する後工程も省略さ
れる。このようにして、必要な模様を必要なときに簡便
に付与できるため、多様なニーズに対応して各種の模様
を付けた意匠鋼板の小ロット生産が容易になる。しか
も、所定模様を付けた意匠鋼板をストックしておく必要
がないので、在庫負担が軽減される。また、透明又は半
透明樹脂層と金属層との間に染料層が単独で存在するこ
とがないため、従来のラミネート鋼板にみられたような
層間剥離も発生しない。
【0022】上塗り塗膜4には、太陽光線や紫外線の透
過による昇華性染料の褪色及び上塗り塗膜4の光沢低下
を防止するため、紫外線吸収剤を添加することができ
る。紫外線吸収剤としては、好ましくは大気雰囲気中、
昇温速度5℃/分の加熱条件下において300℃で10
質量%以下の重量減少となるベンゾトリアゾール系又は
トリアジン系が使用される。具体的には、上塗り塗膜4
の塗料不揮発分100質量部に対し3〜22質量部の配
合割合でトリアジン系単独又はトリアジン系とベンゾト
リアゾール系とを複合して上塗り塗膜4に添加する。ま
た、3.0質量部以下のヒンダートアミン系光安定剤を
配合すると、耐光性が一層向上する。
【0023】ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤に
は、オクチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾー
ル-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピネート(チバ
ガイギー社製 TINUVIN 384),2-「2-ヒドロキシ-3,5-
ビス(α、α'ジメチルベンジル)フェニル」-2H-ベンゾト
リアゾール(チバガイギー社製 TINUVIN 900),メチ
ルー3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)
-4-ヒドロキシフェニル]プロピネートとポリエチレング
リコール(分子量約300)との縮合物(チバガイギー社
製 TINUVIN 1130),2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3",4",5",
6"-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5'-メチルフェニ
ル]-ベンゾトリアゾール(共同薬品株式会社製 Viosor
b 590)等が挙げられる。
【0024】トリアジン系紫外線吸収剤には、たとえば
2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ジデシルオキシプロピル)-オキ
シ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフ
ェニル)-1,3,5-トリアジンと2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ト
リデシルオキシプロピル)-オキシ]-2-ヒドロキシフェニ
ル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジン
の混合物(チバガイギー社製 TINUVIN 400)等が挙げ
られる。
【0025】これらの紫外線吸収剤は、単独でも、2種
以上を混合しても使用できる。紫外線吸収剤の配合量
は、塗料の不揮発成分100質量部に対して3〜22重
量%に調整することが好ましい。耐光性の改善は3質量
部以上の紫外線吸収剤添加で顕著になるが、22重量%
を超える配合量では塗膜の耐汚染性,加工性,塗膜外観
等が劣化する。また、紫外線吸収剤による塗膜の着色も
観察されるようになる。透明又は半透明上塗り塗膜4の
耐光性を更に向上させるため、必要に応じてヒンダート
アミン系光安定剤を塗料不揮発成分に対して3重量%以
下の割合で配合させることが好ましい。ヒンダートアミ
ン系光安定剤としては、次の物質が挙げられる。
【0026】ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)セバケート(三共株式会社製 SANOL LS770),ビス
(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート
(三共株式会社製 SANOL LS765),1-[2-[3-(3,5-ジ-t
-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エ
チル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
(三共株式会社製 SANOLLS2626),4-ベンゾイルオキ
シ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(三共株式会社製
SANOL LS744),8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テト
ラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオ
ン(三共株式会社製 SANOL LS440),2-(3,5-ジ-t-ヒ
ドロキシベンジル-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-
ペンタメチル-4-ピペリジル)(チバガイギー社製 TIN
UVIN 144),コハク酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピ
ペリジル)エステル(チバガイギー社製 TINUVIN 780F
F),コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒ
ドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの重縮合物
(チバガイギー社製 TINUVIN 622LD),ポリ[[6-(1,1,
3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4
-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミ
ノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)イミノ]](チバガイギー社製 CHIMASSORB 944L
D),N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンと
2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペ
リジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジンの重縮合物
(チバガイギー社製 CHIMASSORB 119FL),ビス(1,2,
2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(チバガ
イギー社製 TINUVIN 292),ビス(1-オクタオキシ-2,
2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(チバガ
イギー社製 TINUVIN 123),HA-70G(三共株式会社
製),アデカスタブLA-52,アデカスタブLA-57,アデカ
スタブLA-62,アデカスタブLA-63,アデカスタブLA-6
7,アデカスタブLA-68,アデカスタブLA-82,アデカス
タブLA-87(旭電化工業株式会社製)
【0027】これらの光安定剤は、単独でも、或いは2
種以上を混合しても使用できる。光安定剤を3.0重量
%を超える多量に配合しても、上塗り塗膜4に浸透した
昇華性染料の耐光性を向上させる効果が飽和して増量に
見合った改善が見られず、却って塗装外観が劣化する傾
向がみられる。光安定剤は、好ましくは0.5〜1.5
重量%の範囲で配合される。
【0028】透明又は半透明の上塗り塗膜4は、ベース
コート層2を介して(図1a),ベースコート層2及び
プライマ層3を介して(図1b),或いは下地金属板1
に直接(図1c)形成することができる。何れの場合
も、下地金属板1やベースコート層2の色調が地模様に
なり、染着樹脂層5を介して観察される。そのため、下
地素材の風合いを活かした独特の深み感がある印刷塗装
金属板が得られる。
【0029】
【実施例】転写原板に使用する塗装鋼板の製造 板厚0.5mmの亜鉛めっき鋼板を脱脂・表面調整処理
した後、塗布型クロメート処理を施し、乾燥膜厚が14
μmとなる塗布量で白色ポリエステル系樹脂塗料(日本
ペイント株式会社製)を塗布し、最高到達板温220℃
で1分間焼き付けることにより白色ベースコート層2を
形成した。次いで、乾燥膜厚が18μmとなる塗布量で
クリア樹脂塗料を白色ベースコート層2に塗布した。ク
リア樹脂塗料には、数平均分子量500〜20000,
ガラス転移温度(Tg)10〜80℃,樹脂固形分10
0質量部に対し5〜70質量部のメラミンを配合したポ
リエステル樹脂塗料を使用した。このポリエステル樹脂
塗料は,ジカルボン酸系モノマーとしてアジピン酸,オ
ルトフタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸から選ばれ
た1種又は2種を使用した。また、本発明例1〜9,1
1,13,15,17及び比較例1〜7では、ジアルコ
ール系モノマーとしてネオペンチルグリコールを添加し
た。
【0030】更に、本発明例9,19及び比較例7,9
以外では、上塗り塗膜4用のクリア塗料にトリアジン系
紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を
1:1の割合で混合したものを塗料不揮発成分基準で8
質量%添加した。更に、全てのクリア樹脂塗料にヒンダ
ートアミン系光安定剤を1.5質量%添加した。クリア
樹脂塗料が塗布された鋼板を最高到達板温230℃で1
分間加熱することにより上塗り塗膜4を形成した。形成
された上塗り塗膜4の組成を表1(本発明例)及び表2
(比較例)に示す。
【0031】
【0032】
【0033】転写印刷 シアンの昇華性染料から作製した昇華性染料インキを用
い、インクジェットプリンタで出力用紙にシアンのベタ
模様を出力した。得られた転写紙を塗装鋼板の塗装面に
重ね合わせ、温度160℃,圧力4×104Paで15
0秒間圧着した。圧着完了後、塗装鋼板から転写紙を剥
離した。なお、ほぼ同じ条件下で昇華するシアン,マゼ
ンタ,イエローの昇華性染料の耐光性を比較するとシア
ンが最も耐光性に劣ることから、シアンの耐光性を基準
にすることにより樹脂の組成が耐光性に及ぼす影響を明
確に知ることができる。
【0034】印刷塗装鋼板の性能試験 製造された各印刷塗装鋼板から試験片を切り出し、耐光
性試験,塗膜密着性試験,加工性試験,耐湿性試験,耐
汚染性試験,耐疵付き性試験に供した。耐光性試験で
は,試験温度63℃に設定したサンシャインカーボンア
ークウェザーメータ中、60分照射中に清水を12分間
吹き付ける条件下で試験片を240時間放置した。24
0時間経過後の試験片の色調を測定し、未照射試験片と
の色差ΔEにより耐光性を評価した。なお、240時間
後の色差ΔEが10以上では屋外用として実用に適さ
ず、更に3年以上の長期使用のためには7未満の色差Δ
Eが望まれる。
【0035】塗膜密着性試験では、碁盤目エリクセン試
験(JIS G3320に規定されている碁盤目を入
れ、6mm押し出す)により粘着テープの剥離に伴た塗
膜の剥離状況を観察した。そして、塗膜が全面剥離した
ものを標点1,全面剥離に近い剥離が生じたものを評点
2,著しい剥離が生じたものを評点3,僅かに剥離が生
じたものを評点4,剥離が生じなかったものを評点5と
して塗膜密着性を5段階評価した。
【0036】加工性試験では、20℃の室内で0〜6t
(試験片と同じ厚さの板を1枚挟んだ場合が1t)の1
80度折曲げ加工を施し、曲げの程度に応じた塗膜のク
ラック発生状況を調査した。塗膜にクラックが発生しな
かったもの及び0〜2tで塗膜にクラックが発生したも
のを◎,3〜4tでクラックが発生したものを○,5t
でクラックが発生したものを△,6tでクラックが発生
したものを×と評価した。通常、○以上の評価点であれ
ば、プレコート鋼板用として実用に供し得る。
【0037】耐湿性試験では、JIS Z0208に準
拠し、試験温度49度に設定した湿潤試験を500時間
継続した。試験後に塗膜を観察し、フクレが生じていな
いものを○,フクレが検出されたものを×として耐湿性
を評価した。耐汚染性試験では,塗膜面に油性インクで
赤線及び黒線を描き、20℃に24時間放置した後で、
赤線及び黒線をメタノールで拭き取った。痕跡なく拭き
取れたものを評点5、痕跡が若干残ったものを評点3、
痕跡が著しいものを評点1として耐汚染性を評価した。
通常、油性インクで描いた赤線に関して評点2以上であ
れば、プレコート用鋼板として実用に供し得る。耐疵付
き性試験では、JIS K5400−8.4に準拠し、
鉛筆(三菱ユニ三菱鉛筆株式会社性)を用いて塗膜面に
疵をつけ、疵がつかない限界の鉛筆硬度で耐疵付き性を
評価した。
【0038】表3の調査結果にみられるように、本発明
に従った印刷塗装金属板では、耐光性,塗膜密着性,加
工性,耐疵付き性,耐汚染性及び耐湿性の何れにおいて
も満足する特性が得られていた。なかでも、オルトフタ
ル酸及び/又はネオペンチルグリコールをモノマーとし
て使用した場合に耐光性が一層優れていた。
【0039】これに対し、比較例の印刷塗装金属板で
は、耐光性,塗膜密着性,加工性,耐疵付き性及び耐汚
染性の何れか一つ又は複数に劣っていた(表4)。すな
わち、分子量の小さなポリエステル樹脂を用いた試験番
号1では塗膜密着性及び加工性に劣り、逆に分子量の大
きなポリエステル樹脂を用いた試験番号2,7〜9では
耐光性が不充分であった。また、ガラス転移温度(T
g)の低い試験番号3の塗膜面は疵付きやすく、ガラス
転移温度(Tg)の高い試験番号4では加工性に劣って
いた。更に、メラミン含有量の少ない試験番号5は耐光
性及び耐汚染性に劣り、逆にメラミン含有量の多い試験
番号6では加工性に問題があった。
【0040】
【0041】
【0042】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の印刷塗
装金属板は、分子量,ガラス転移温度(Tg),メラミ
ン含有量が特定された熱硬化型ポリエステル樹脂ででき
た上塗り塗膜に昇華性染料を浸透させて印刷模様を形成
している。そのため、耐光性に優れた印刷模様が得ら
れ、長期間にわたる紫外線照射に曝される環境において
も変色・褪色のない鮮明な模様が持続される。この印刷
塗装金属板は、小ロット多品種生産に適し、意匠性に優
れたフルカラー広告看板,装飾用内装材,装飾用床材,
装飾用表装材,エレベータ扉材,家電機器用外板,什器
用外板等として広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って染着樹脂層5で印刷模様を付
与した印刷塗装金属板の表層部断面を示し,ベースコー
ト層2上に透明又は半透明の上塗り塗膜4を設けた例
(a),プライマ層3及びベースコート層2上に透明又
は半透明の上塗り塗膜4を設けた例(b),下地金属板
1上に透明又は半透明の上塗り塗膜4を直接設けた例
(c)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 167/02 C09D 167/02 (56)参考文献 特開 平6−287509(JP,A) 特開 平8−318592(JP,A) 特開2000−204483(JP,A) 特開 平11−148047(JP,A) 特開 平4−150976(JP,A) 特開 平6−157979(JP,A) 特開 平9−206678(JP,A) 実開 昭55−23770(JP,U) 特表 平9−507094(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 1/00 - 35/00 C09D 167/00 - 167/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量1000〜10000,ガ
    ラス転移温度(Tg)20〜60℃,樹脂固形分100
    質量部に対するメラミンの割合が20〜150質量部で
    ある熱硬化型ポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸
    系モノマーに由来する1,2−ベンゼン−ジカルボニル構
    造及び/又はジアルコール系モノマーに由来する2,2−
    ジメチルトリメチレン構造が熱硬化型ポリエステル樹脂
    の分子構造の一部に含まれる熱硬化型ポリエステル樹脂
    を主成分とするクリア塗料から形成され、昇華性染料の
    浸透により着色模様が付与された上塗り塗膜が金属板表
    面に設けられていることを特徴とする耐光性に優れた印
    刷塗装金属板。
  2. 【請求項2】 トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾト
    リアゾール系紫外線吸収剤が単独で又は複合して上塗り
    塗膜に含まれている請求項1記載の印刷塗装金属板。
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