JP3097466B2 - 装飾板およびその製造方法 - Google Patents

装飾板およびその製造方法

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JP3097466B2 JP06244067A JP24406794A JP3097466B2 JP 3097466 B2 JP3097466 B2 JP 3097466B2 JP 06244067 A JP06244067 A JP 06244067A JP 24406794 A JP24406794 A JP 24406794A JP 3097466 B2 JP3097466 B2 JP 3097466B2
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  • Architecture (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Finishing Walls (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばエレベータのか
ご室の壁材や乗り場の戸、冷蔵庫パネルなどの装飾パネ
ルに使用される装飾板およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来の金属装飾パネルでは、金属板の表
面に防錆塗装層を形成した後、手描き、模様付きシート
(塩ビフィルム、布等)貼りまたはスクリーン印刷など
により金属板素地の表面に模様や単色の着色を施してい
た。上記のうち、特にスクリーン印刷による着色は一般
的であり多く行われている。しかし、スクリーン印刷に
よる着色方法では、加工工程が多く複雑であり、製造に
多くの時間を有していた。特に、複数色の模様を形成す
る場合には、色数と同数のスクリーン版を必要とし、か
つ重ね塗りをするため工程数も増えてしまう。また、模
様を変えるたびにスクリーン版を製作する必要があるた
め、製造コストが高くなるという問題点もあった。
【0003】上記の問題点を解決するために、金属製の
パネル素地上に設けられている防錆を兼ねた不透明樹脂
からなる塗装層上に透明樹脂層を形成し、この上に転写
形塗装シートに設けられた昇華形着色材を昇華させるこ
とにより、着色模様を形成しさらにトップコート層を形
成する方法が提案されている。この方法によれば、製造
時間を短縮することができるとともに、製造コストを低
減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法を実
施するにあたり最大の欠点は、染料を用いているため
に、光により変退色し所定の色が永続して得られないと
いうことであった。従来よりその対策として、例えば特
開昭52―53942号公報に示されているように、顔
料を含有するベースコート層上に設けたトップコート層
中や、特開平3―29201号公報に示すように、染料
を含有するトップコート層中に紫外線吸収剤や光安定剤
などの退色抑制剤を添加することにより、光による樹脂
の劣化や顔料や染料の退色を防止する方法が提案されて
いる。この方法によれば、光があたるトップコート層の
塗膜中に上記のような退色抑制剤を存在させて、上記退
色抑制剤が塗膜表層に移行してその効果を発揮するもの
であるが、着色模様が形成された着色層の染料の退色抑
制に効果があるか否か確認されていなかった。
【0005】また、特開平6―47338号公報に、被
塗面に上記退色抑制剤を含有する中塗り塗料を塗装し、
さらにその上に上記退色抑制剤を含有する上塗り塗膜を
形成することにより、両層に顔料を含有するかしないか
に係わりなく、塗膜の耐候性が向上し、塗膜の劣化を防
止することが示されている。しかし、この従来例の実施
例には顔料を着色材として用いているものも示されてい
るが、顔料は染料に比べて反応性が低く耐光性に優れて
いるため塗膜中の顔料の退色は余り問題とはならず、上
記従来例の結果を、装飾板には不可欠である反応性の高
い染料に適用した場合に退色抑制の効果の程度は明らか
ではないという課題があった。
【0006】本発明はかかる課題を解決するためになさ
れたもので、染料の変退色を抑えることができ、色が長
期的に安定した装飾板や、それと共に鮮映性と平滑性の
向上した装飾板を得ることができる。さらに上記装飾板
を、簡単に製造時間を短縮して、製造コストを低減して
製造できる装飾板の製造方法を得ることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の装飾板は、染
料が入り込んで着色模様が形成された着色層とトップコ
ート層とをパネル素地に形成したもので、上記着色層に
紫外線吸収剤と光安定剤とを含有し、紫外線吸収剤と光
安定剤との合計の含有率が、0.1〜20wt%のもの
である。
【0008】請求項2の装飾板は、染料が入り込んで着
色模様が形成された着色層とトップコート層とを不透明
樹脂層が設けられたパネル素地に形成したもので、上記
着色層に紫外線吸収剤と光安定剤とを含有し、紫外線吸
収剤と光安定剤との合計の含有率が、0.1〜20wt
%のものである。
【0009】請求項3の装飾板は、上記トップコート層
に、紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸素クエンチ
ャーのうち少なくとも1種を含有するものである。
【0010】
【0011】請求項4の装飾板は、上記着色層が透明樹
脂に昇華形着色材が入り込んで着色模様が形成されたも
のである。
【0012】請求項5の装飾板は、上記透明樹脂または
トップコート層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂および
ポリエステル樹脂の少なくとも一種並びにこれらを含有
する樹脂のものである。
【0013】請求項6の装飾板は、上記着色層およびト
ップコート層の少なくとも一方が複数層積層されている
ものである。
【0014】請求項7の装飾板の製造方法は、パネル素
地に透明樹脂層を形成する工程、昇華形着色材による着
色模様が施された転写形塗装シートを上記透明樹脂層に
重ね合わせる工程、上記昇華形着色材を昇華させて上記
透明樹脂層に着色模様を転写して上記透明樹脂層を着色
層とする工程および上記着色層にトップコート層を形成
する工程を施す製造方法において、上記透明樹脂層に紫
外線吸収剤および光安定剤を合計で0.1〜20wt%
含有させる方法である。
【0015】請求項8の装飾板の製造方法は、上記転写
が熱転写または真空転写の方法である。
【0016】
【作用】請求項1の発明において、着色層に紫外線吸収
剤と光安定剤とを含有し、紫外線吸収剤と光安定剤との
合計の含有率が、0.1〜20wt%であるので、着色
層の膜強度が低下することなく、顔料に比べて反応性の
高い染料の変退色を抑えることができ、色が長期的に安
定する。また、着色層にトップコート層を形成している
ので、装飾面が保護され、仕上がり模様面の深みやつや
を出すことができ、さらに染料の変退色をより抑えるこ
とができ、さらに色が長期的に安定する。
【0017】請求項2の発明において、不透明樹脂層を
形成したパネル素地に着色層とトップコート層を形成
し、上記着色層に紫外線吸収剤と光安定剤とを含有し、
紫外線吸収剤と光安定剤との合計の含有率が、0.1〜
20wt%であるので、上記効果に加えて、パネル素地
不透明樹脂層を形成することにより、平滑性と鮮映性
が向上する。
【0018】請求項3の発明において、トップコート層
に、紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸素クエンチ
ャーのうち少なくとも1種を含有していると染料の退色
抑制効果が得られる。
【0019】
【0020】請求項4の発明において、上記着色層が透
明樹脂に昇華形着色材が入り込んで着色模様が形成され
たものであると、立体感があり、着色材の色が鮮明とな
る。
【0021】請求項5の発明において、上記透明樹脂ま
たはトップコート層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂お
よびポリエステル樹脂の少なくとも一種並びにこれらを
含有する樹脂であると、染料の拡散着色性および定着に
優れた装飾板となる。
【0022】請求項6の発明において、上記着色層およ
びトップコート層の少なくとも一方が複数層積層されて
いると、平滑な厚膜形成が容易になると共に、ピンホー
ルの発生が少なくなる等特性が向上する。
【0023】請求項7の発明において、被装飾板に透明
樹脂層を形成する工程、昇華形着色材による着色模様が
施された転写形塗装シートを上記透明樹脂層に重ね合わ
せる工程、上記昇華形着色材を昇華させて上記透明樹脂
層に着色模様を転写して上記透明樹脂層を着色層とする
工程および上記着色層にトップコート層を形成する工程
を施す製造方法において、上記透明樹脂層に紫外線吸収
剤および光安定剤を合計で0.1〜20wt%含有させ
ると、着色層の膜強度が低下することなく、装飾面が保
護され、仕上がり模様面の深みやつやを出すことがで
き、さらに染料の変退色の抑えられた装飾板を加工工程
が簡単で、製造時間が短縮された製造方法で得ることが
できる。
【0024】請求項8の発明において、上記転写が熱転
写または真空転写であると、染料の発色性、定着性が向
上すると共に、面積によらず短時間に多色の模様形成が
可能になる。
【0025】
【実施例】本発明に係わる紫外線吸収剤と光安定剤は、
昇華形着色材が入り込んで着色模様が形成されている着
色層に含有されるもので、特に着色層には光安定剤とを
含有させておくことが染料の劣化を抑える上で効果が大
きい。さらに、紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸
素クエンチャーのうち少なくとも1種をトップコート層
に含有させることができるが、一重項酸素クエンチャー
については、着色層に含有させると、染料の発色を阻害
する可能性があるため好ましくない。紫外線吸収剤と光
安定剤との合計の含有率は、着色層の0.1〜20wt
%好ましくは1〜10wt%である。上記含有率が20
wt%を越えると膜強度が低下し、実用上不可能であ
り、逆に0.1wt%より少なくなると十分な抑制効果
が得られない。
【0026】紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレ
ート、p―tert―ブチルフェニルサリシレート、p
―オクチルフェニルサルシレートなどのサリチル酸系、
2、4―ジヒドロキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ
ー4―メトキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ―4―
オクトキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ―4―ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2、2’―ジヒドロキシー
4ーメトキシベンゾフェノン、2、2’―ジヒドロキシ
―4、4’―メトキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ
―4―メトキシ―5―スルホベンゾフェノンなどのベン
ゾフェノン系、2―(2’―ヒドロキシ―5’―メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2―(2’―ヒドロキ
シ―5’―tert―ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2―(2’―ヒドロキシ―3’、5’―ジ―te
rt―ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2―
(2’―ヒドロキシ―3’―tert―ブチル―5’―
メチルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2
―(2’―ヒドロキシ―3’、5’―ジ―tert―ブ
チルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2―
(2’―ヒドロキシ―4’オクトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2―エチル
ヘキシルー2ーシアノ―3、3’―ジフェニルアクリレ
ート、エチル―2―シアノ―3、3’―ジフェニルアク
リレートなどのシアノアクリレート系などがあり、これ
らの化合物は単独あるいは組み合わせて用いられる。こ
の中でもベンゾトリアゾール系のものが好適である。
【0027】光安定剤としては、ビス―(1―オクチル
オキシ―2、2、6、6―テトラメチル―4―ピペリジ
ル)セバケート、ビス―(1、2、2、6、6―ペンタ
メチル―4―ピペリジル)セバケート、ビス―(2、
2、6、6―テトラメチル―4―ピペリジル)セバケー
ト、コハク酸ジメチル・1―(2―ヒドロキシエチル)
―4―ヒドロキシ―2、2、6、6―テトラメチルピペ
リジン重縮合物などのヒンダードピペリジン系、ヒンダ
ードアミン系などがあり、分子量200〜3000程度
でそのなかでも分子量800程度のヒンダードアミン系
のものが好適である。これらの化合物は単独あるいは組
み合わせて用いられる。
【0028】一重項酸素クエンチャーとしては、ベンゼ
ンスルホン酸ニッケル塩、p―トルエンスルホン酸ニッ
ケル塩、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル塩、ジ―
n―ブチルジチオカルバミン酸ニッケル塩、テトラブチ
ルホスホニウムビス(1,2―ベンゼンジチオレート)
ニコレート(III)、テトラブチルホスホニウムビス
(4―メチル―1,2―ベンゼンジチオレート)ニコレ
ート(III)などがあり、このなかでもp―トルエン
スルホン酸ニッケル塩は無色性の一重項酸素クエンチャ
ーであるため、染料の色調や色彩の悪影響を及ぼす恐れ
が少なく、幅広い染料と併用して用いることができる。
これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いられ
る。
【0029】本発明に係わる着色層およびトップコート
層に用いられる樹脂としては、公知の塗料が使用でき加
熱、常温または電子線等で硬化架橋する樹脂を主成分と
する塗料であればいずれでも良い。例えばアクリル樹
脂、ウレタン樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも
1種を主成分とした樹脂、並びにこれらを含有する樹脂
があげられる。ただし、いずれの塗料も透明無着色樹脂
塗料であると染料の色を鮮明に得ることができるため好
ましい。
【0030】本発明に係わる着色層およびトップコート
層は、単層でも複層から構成されていても良く、同一の
樹脂でなくても良い。複層の場合は数種の抑制剤を用い
た場合でも分散することができ抑制剤間の反応を防止す
ることができ特性が向上し、さらにいわゆるオレンジピ
ール化を防止し平滑な厚膜形成が容易になると共に、ピ
ンホールの発生が防止される。
【0031】本発明に係わる不透明樹脂層に用いられる
樹脂としては公知の塗料が使用でき、例えばアクリル樹
脂、メラミン樹脂等が用いられる。パネル素地に上記樹
脂からなる不透明樹脂層を形成すると、平滑性や上記着
色層の鮮映性が向上する。なお、不透明樹脂が防錆性を
有するものであることは好ましい。
【0032】本発明に係わる染料としては、公知の染料
が使用できる。例えば、アゾ系、アントラキノン系、キ
ノリン系、ペリノン系等があり、これらの染料の内、昇
華性を有するものは転写形塗装シートに適用できる。
【0033】また、本発明に係わるパネル素地の材質と
しては、鋼板、プラスチック、セラミックス等の金属、
有機、無機、複合材料が使用できるが、軟質物質では上
記各層形成が困難となる。
【0034】図1に本発明の一実施例の装飾板の装飾パ
ネル断面構成図を示す。図において、1はパネル素地、
5は着色層、6はトップコート層、21は不透明樹脂
層、22は昇華形着色材(昇華形カラートナー)、23
1が紫外線吸収剤、232は光安定剤である。即ち、パ
ネル素地1の表面には、例えば白色の塗料からなる不透
明樹脂層21が形成されている。この不透明樹脂層21
上には、例えばアクリル系塗料、ポリエステル系塗料、
ウレタン系塗料等の透明塗料(クリア)からなる透明樹
脂に昇華形カラートナー22と紫外線吸収剤231と光
安定剤232とが入り込み着色層5を構成している。さ
らに、傷つき防止やより退色防止を行うために、着色層
5上に紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸素クエン
チャーの少なくとも一種を含有したトップコート層6が
形成されている。
【0035】図2(a)〜(g)は上記装飾パネルの製
造方法を工程順に示す工程図である。即ち、昇華形プリ
ンター24を用いて、昇華形カラートナー22による着
色模様を転写紙25に印刷することにより、転写形塗装
シート26を製造しておく{図2(a)}。このとき昇
華形プリンター24は、パソコン等に接続して着色模様
を自由にデザインすることができる。一方、パネル素地
1の表面に、下地防錆着色塗装を施すことにより、不透
明樹脂層21を形成する{図2(c)}。この不透明樹
脂層21の乾燥後、この上に紫外線吸収剤と光安定剤と
を含有した透明樹脂を塗装し、これを乾燥させて透明樹
脂層を形成し、透明樹脂層上に転写形塗装シート26を
重ね合わせる{図2(d)}。水平面および垂直面の加
熱加圧ローラ44、45を用いて、転写形塗装シート2
6を適当な温度、圧力で加熱加圧転写または真空転写す
る。これにより、転写形塗装シート26の昇華形カラー
トナー22が昇華して透明樹脂層55の内部に入り込み
{図2(e)}、転写形塗装シートを剥すと透明樹脂層
に着色模様が転写形成され着色層5が形成される{図2
(f)}。最後に紫外線吸収剤、光安定剤および一重項
酸素クエンチャーの少なくとも一種を含有した透明樹脂
を塗装し、これを乾燥させてトップコート層6を形成
し、装飾パネルが出来上がる{図2(g)}。
【0036】実施例1〜3、比較例1〜4. パネル素地である鋼板上にまず、白色塗料{商品名:マ
ジクロン(関西ペイント製)}を厚さ40μm程度にな
るようにスプレー塗装し、170℃ 30分間加熱硬化
を行った。続いて、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤,ヒンダートアミン系光安定剤またはp―トルエンス
ルホン酸ニッケル塩一重項酸素クエンチャーを表1に示
す組み合わせで各5wt%含有した透明塗料{商品名:
マジクロンCクリアー(関西ペイント製)}をスプレー
塗装し、170℃で30分間加熱硬化を行った。
【0037】
【表1】
【0038】次に、アントラキノン系昇華形染料で着色
模様を形成した転写形塗装シートを熱プレスを用いて熱
転写し、さらにその上に表1に示す組み合わせの上記紫
外線吸収剤および/または光安定剤を各5wt%含有し
た透明塗料{商品名:マジクロンCクリアー(関西ペイ
ント製)}をスプレー塗装し、170℃で30分間加熱
硬化を行った。このようにして得た装飾板をサンシャイ
ンウェザーメータ(スガ試験機製)で180時間照射し
た。その後、上記装飾板において上記染料を含有しない
ものに上記と同様の照射を行ったものをリファレンスと
して、色差計で照射前後の変退色の度合いを調べた。評
価は色差(E)≦3以下の場合を○、3<E<5の場合
を△、E≧5を×とした。なお、上記サンシャインウェ
ザーメータの照射は屋外暴露に対し40倍の促進倍率で
ある。
【0039】実施例4、比較例5上記紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸素クエンチ
ャーの少なくとも一種が 含有された透明樹脂層またはト
ップコート層6を形成する操作を3回繰り返し上記層を
3層積層する他は、上記と同様の方法で装飾パネルを製
造し、評価結果を表1に示す。
【0040】比較例6昇華形着色材 による着色模様が施された転写形塗装シー
ト26を透明樹脂層に真空転写で転写して着色層を形成
する他は、表1に示す組み合わせで上記と同様の方法
装飾パネルを製造し、上記と同様に評価し結果を表1に
示す。
【0041】比較例7. 着色層5と トップコート層6のどちらにも紫外線吸収剤
も光安定剤も含有しない他は上記と同様に装飾板を製造
し、実施例と同様に評価し結果を表1に示す。
【0042】表1の評価結果から、着色層とトップコー
ト層のどちらにも紫外線吸収剤も光安定剤も含有しない
比較例7の場合は染料の退色が見られた。一方、着色層
およびトップコート層の少なくとも一方に、紫外線吸収
剤、光安定剤および一重項酸素クエンチャーの少なくと
も一種を含有する場合は、紫外線吸収剤と光安定剤両方
を含有しない比較例7に比べて退色が防止される(○、
△)。しかし、紫外線吸収剤と光安定剤とをトップコー
ト層に含有する場合は退色の防止の程度が少なく
(△)、着色層に紫外線吸収剤と光安定剤を含有する場
合に退色が強く防止され(○)、紫外線吸収剤と光安定
剤を両層に含有しても退色が強く防止される程度は着色
層に含有した場合と同程度であり、特に着色層に紫外線
吸収剤と光安定剤を含有する場合や各層を複層にした場
合にその傾向が強く見られた。
【0043】なお、上記実施例および比較例において、
パネル素地1上に不透明樹脂層21を介して着色層5を
形成したが、着色層21を省略しパネル素地1上に直接
着色層5を形成しても良い。例えば、パネル素地1とし
てステンレス鋼板、黄銅板、アルミニウム板等を使用す
る場合、パネル素地1の表面に鏡面仕上げ、ヘアライン
仕上げ、またはパフ研磨仕上げ等を施し、その上に透明
樹脂層を塗布し、上記と同様に着色模様を形成すること
により、独特の風合いを得ることができる。ただし、パ
ネル素地1として、防錆の必要がある場合は不透明樹脂
層21を形成するのが好ましい。また、上記実施例に用
いた染料に係わらず他の染料でも同様の退色抑制効果が
得られた。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、着色層とトッ
プコート層とをパネル素地に形成し、上記着色層に紫外
線吸収剤と光安定剤とを含有し、紫外線吸収剤と光安定
剤との合計の含有率が、0.1〜20wt%であること
により、着色層の膜強度が低下することなく、染料の変
退色を抑えることができ、長期的に安定した色が得られ
るとともに、装飾面が保護され、仕上がり模様面の深み
やつやを出すことができる。
【0045】請求項2の発明によれば、着色層とトップ
コート層とを不透明樹脂層が設けられたパネル素地に形
成し、上記着色層に紫外線吸収剤と光安定剤とを含有
し、紫外線吸収剤と光安定剤との合計の含有率が、0.
1〜20wt%であることにより、上記と同様の効果に
加えて、平滑性と鮮映性が向上した装飾板を得ることが
できる。
【0046】請求項3の発明によれば、トップコート層
紫外線吸収剤、光安定剤および一重項酸素クエンチャ
ーのうち少なくとも1種を含有することにより染料の変
退色を防止できる装飾板を得ることができる。
【0047】
【0048】請求項4の発明によれば、上記着色層が透
明樹脂に昇華形着色材が入り込んで着色模様が形成され
たものであると、立体感があり、着色材の色が鮮明とな
る。
【0049】請求項5の発明によれば、透明樹脂または
トップコート層が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂および
ポリエステル樹脂の少なくとも一種であると、染料の拡
散着色性が良く定着性に優れた装飾板が得られる。
【0050】請求項6の発明によれば、着色層およびト
ップコート層の少なくとも一方が複数層積層されている
と、厚膜形成が容易になり、優れた特性を有する装飾板
を得ることができる。
【0051】請求項7の発明によれば、被装飾板に透明
樹脂層を形成する工程、昇華形着色材による着色模様が
施された転写形塗装シートを上記透明樹脂層に重ね合わ
せる工程、上記昇華形着色材を昇華させて上記透明樹脂
層に着色模様を転写して上記透明樹脂層を着色層とする
工程および上記着色層にトップコート層を形成する工程
を施す製造方法において、上記透明樹脂層に紫外線吸収
剤および光安定剤を合計で0.1〜20wt%含有させ
ることにより、装飾面が保護され、仕上がり模様面の深
みやつやを出すことができ、着色層の膜強度を低下させ
ることなく、さらに発色性、耐光性等を確保しつつ、解
像度の高い着色模様を形成することができ、また加工時
間を簡単にして製造時間を短縮することができるととも
に、製造コストを低減することができる装飾板の製造方
法を得ることができる。
【0052】請求項8の発明によれば、上記転写が熱転
写または真空転写であると上記効果に加えて、染料の発
色性、定着性が向上すると共に、面積によらず短時間に
多色の模様形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の装飾板の断面構成図であ
る。
【図2】 本発明の一実施例の装飾板の製造方法を工程
順に示す工程図である。
【符号の説明】
1 パネル素地、5 着色層、6 トップコート層、2
1 不透明樹脂層、22 昇華形着色材 23 退色抑
制剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森脇 紀元 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (72)発明者 牧野 克己 稲沢市菱町1番地 三菱電機株式会社 稲沢製作所内 (56)参考文献 特開 平7−331193(JP,A) 特開 平4−314749(JP,A) 特開 平4−153085(JP,A) 特開 平5−246197(JP,A) 特開 平4−89374(JP,A) 特開 平3−140285(JP,A) 実開 昭62−11630(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 3/02 B32B 15/08 B32B 33/00 E04F 13/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パネル素地、このパネル素地に形成さ
    れ、染料が入り込んで着色模様が形成された着色層およ
    びこの着色層に形成されたトップコート層を備えたもの
    において、上記着色層に紫外線吸収剤と光安定剤とを含
    し、紫外線吸収剤と光安定剤との合計の含有率が、
    0.1〜20wt%であることを特徴とする装飾板。
  2. 【請求項2】 パネル素地、このパネル素地に形成され
    た不透明樹脂層、この不透明樹脂層に形成され、染料が
    入り込んで着色模様が形成された着色層およびこの着色
    層に形成されたトップコート層を備えたものにおいて、
    上記着色層に紫外線吸収剤と光安定剤とを含有し、紫外
    線吸収剤と光安定剤との合計の含有率が、0.1〜20
    wt%であることを特徴とする装飾板。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のものに
    おいて、トップコート層に、紫外線吸収剤、光安定剤お
    よび一重項酸素クエンチャーのうち少なくとも一種を含
    有することを特徴とする装飾板。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3の何れかに記載
    のものにおいて、着色層が透明樹脂に昇華形着色材が入
    り込んで着色模様が形成されたものであることを特徴と
    する装飾板。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れかに記載
    のものにおいて、透明樹脂またはトップコート層が、ア
    クリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステル樹脂の少
    なくとも一種並びにこれらを含有する樹脂であることを
    特徴とする装飾板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5の何れかに記載
    のものにおいて、着色層およびトップコート層の少なく
    とも一方が複数層積層されていることを特徴とする装飾
    板。
  7. 【請求項7】 パネル素地に透明樹脂層を形成する工
    程、昇華形着色材による着色模様が施された転写形塗装
    シートを上記透明樹脂層に重ね合わせる工程、上記昇華
    形着色材を昇華させて上記透明樹脂層に着色模様を転写
    して上記透明樹脂層を着色層とする工程および上記着色
    層にトップコート層を形成する工程を施す製造方法にお
    いて、上記透明樹脂層に紫外線吸収剤および光安定剤を
    合計 で0.1〜20wt%含有させることを特徴とする
    装飾板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の製造方法において、転
    写が熱転写または真空転写であることを特徴とする装飾
    板の製造方法。
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