JP3463078B2 - 気流分級機 - Google Patents

気流分級機

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーシング内に供給し
た固気2相流体を高速旋回流により気流と粉体に分離
し、分級室に供給した粉体材料に高速旋回渦流を発生さ
せることにより、粉体材料を微粉と粗粉に遠心分離する
ようにした気流分級機に関し、特に、粉体回収率の向上
が可能な気流分級機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記気流分級機として図4に示す
ものが知られている。この分級機では、ケーシング51
内の上方部に、上面が内周部から外周部に向かって下り
勾配で傾斜する円錐状の分級板52と、その上方に下面
が内周部から外周部に向かって下り勾配で傾斜する円錐
状の案内板53とを設け、これら分級板52と案内板5
3の間に分級室54を形成し、この分級室54の上方に
設けた粉体供給筒(上部ケーシング)55の上部に粉体
原料の供給管56を、粉体供給筒55の頂部に気流排出
管57を、分級板52の中央開口部に微粉排出管58を
それぞれ接続し、分級板52の外周部に環状の粗粉排出
口59を開口した構造となっている。
【0003】この分級機による分級では、粉体原料と気
流を供給管56から粉体供給筒55内に供給すると、粉
体原料は粉体供給筒55の内周面に沿って旋回しながら
下降し、気流は気流排出管57で捕集される。前記下降
した粉体は分級室54に流入し、微粉と粗粉に遠心分離
され、微粉は微粉排出管58から吸引排出され、粗粉は
粗粉排出口59からケーシング51の下部に排出され
る。
【0004】分級室54による分級作用について更に具
体的に説明すると、粉体原料が分級室54の内周面に沿
って旋回流動するときに、粉体原料の各粒子に遠心力
と、分級室54の中心部に向かう空気抵抗力とが作用
し、これらの力のバランスによって分級点が決定され、
分級室54の外側部分には大きな粒子が旋回し、内側部
分には小さな粒子が旋回することになる。従って、分級
室54の底部中央と外周部のそれぞれに上記のように粉
体排出口を形成することにより、微粉群と粗粉群とに分
離して回収することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
分級機では、粉体供給筒55内において気流の乱れが発
生しやすく、気流が気流排出管57で捕集される際に粉
体を同伴するため、分級後の粉体回収率、すなわち分級
効率の向上が難しいという問題があった。本発明は上記
の点に鑑みなされたもので、その目的は気流分級機の粉
体歩留りを向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、気流排出管の
構造を改良することにより前記気流の乱れを減少させ、
または、気流排出管に排出された粉体を粉体供給筒に返
送・回収することにより、上記目的を達成したものであ
る。
【0007】請求項1に記載の気流分級機は、下端部に
気流流入口を開口した気流排出管をケーシングの上部に
上下方向に設け、該ケーシングの内部に分級板と、該分
級板の上方に案内板とを配備し、これら分級板と案内板
の間に分級室を形成し、該分級室内で粉体を旋回させて
微粉と粗粉に遠心分離し、微粉を前記分級板の中央開口
部に接続した微粉排出管へ排出するとともに、粗粉を前
記分級板の外周部とケーシングとの間に形成された粗粉
排出口から排出するようにした気流分級機において、前
記気流排出管がケーシング内に突出する部分(の外周
面)を倒立円錐台状に形成したことを特徴とする。
【0008】請求項2に記載の気流分級機は、請求項1
において前記気流排出管がケーシング内に突出する部分
を倒立直円錐台状に形成し、その側面の傾斜角度を20
°〜45°としたことを特徴とする。
【0009】請求項3に記載の気流分級機は、請求項1
において前記気流排出管がケーシング内に突出する部分
の直径を、下方部から上方部に向かってラッパ状に拡大
したことを特徴とする。
【0010】請求項4に記載の気流分級機は、下端部に
気流流入口を開口した気流排出管をケーシングの上部に
上下方向に設け、該ケーシングの内部に分級板と、該分
級板の上方に案内板とを配備し、これら分級板と案内板
の間に分級室を形成し、該分級室内で粉体を旋回させて
微粉と粗粉に遠心分離し、微粉を前記分級板の中央開口
部に接続した微粉排出管へ排出するとともに、粗粉を前
記分級板の外周部とケーシングとの間に形成された粗粉
排出口から排出するようにした気流分級機において、前
記気流排出管は本体と、該本体の外周側に同心状に設け
られ下端部を開口した筒状部とからなる二重管であり、
該筒状部の下端部は前記本体下端部より所定距離だけ上
方に位置し、該筒状部の上部は返送管を介して粉体原料
の供給管に接続したものであることを特徴とする。
【0011】請求項5に記載の気流分級機は、請求項4
において前記所定距離を、本体内径の1〜1.25倍と
したことを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1,2に記載の気流分級機においては気
流排出管の、倒立円錐台状部分の側面(外周面)により
気流が整流されて円滑になり、本体への粉体飛込み量が
減少する。この場合、倒立円錐台状部分を請求項2のと
おり形成することで、粉体飛込み量が更に減少する。
【0013】請求項3に記載の気流分級機においては、
倒立円錐台状部分の側面をアール状に形成したことによ
り気流の流れが極めて円滑になり、本体への粉体飛込み
量が著しく減少する。
【0014】請求項4に記載の分級機においては、気流
の乱れによる気流排出管への粉体飛込みが発生した場
合、粉体の大半が、気流排出管を構成する外側の筒状部
に流入し、返送管を介して粉体原料の供給管に回収され
る。
【0015】請求項5に記載の分級機においては、気流
排出管の二重管構造を所定のとおりに限定したので、粉
体の殆どが前記筒状部に流入して粉体原料の供給管に回
収される。
【0016】
【実施例】つぎに本発明を、図面に示す実施例により更
に詳細に説明する。 実施例1(請求項1,2) 図1に示す気流分級機において気流排出管1は、粉体供
給筒(上部ケーシング)5の頂部に鉛直方向に設けた気
流排出用の直円筒管である本体2と、本体2が粉体供給
筒5内に突出する部分の外周側に同心状に設けた倒立直
円錐台状の部材(以下、気流整流部材という)3とから
なり、気流整流部材3の下端部を本体2の下端部に接続
したものである。なお気流整流部材3は、図1に示すよ
うに本体2の気流流入口4を起点としている。
【0017】前記気流整流部材3は、直円錐台に形成と
するとともに、その側面の傾斜角度すなわち該直円錐台
の母線mの、鉛直線l(これは本体2の母線に一致す
る)に対する傾斜角度θを20°〜45°の範囲内に設
定することが好ましく、これにより気流整流部材3周囲
の気流の乱れ防止効果が高まる。図1において、6は粉
体原料の供給管である。
【0018】実施例2(請求項3) 図2に示す気流分級機において気流排出管1は、実施例
1の気流整流部材3に代えて、下方部から上方部に向か
って直径をラッパ状に拡大した、倒立直円錐台状の気流
整流部材7を、本体2が粉体供給筒5内に突出する部分
の外周側に同心状に設けたものである。このように気流
整流部材の外周面をアール状に形成することで、気流の
流れが極めて円滑になる。
【0019】実施例3(請求項4,5) 図3に示す気流分級機において気流排出管11は、実施
例1の本体2と同様の態様で設けた本体12と、本体1
2が粉体供給筒5内に突出する部分の外周側に同心状に
設けられ下端部に気流流入口13を設けた直円筒部14
とからなる二重管であり、気流流入口13は本体12下
端部の気流流入口15より所定距離hだけ上方に位置
し、直円筒部14の上部は返送管16を介して供給管6
に接続したものである。
【0020】前記距離hは、本体12の内径dの1〜
1.25倍とするのが好ましい。また、図3では返送管
16を2本示してあるが、これを本体12の回りに複
数、環状に設けるのが望ましい。この気流分級機では、
粉体供給筒5内の気流の乱れにより粉体の一部が気流排
出管11に流入する場合、その大半または殆どが直円筒
部14に流入し、返送管16および供給管6を介して粉
体供給筒5内に回収される。
【0021】以下、従来の分級機による比較例と、本発
明の実施例に係る分級機による試験例について説明す
る。 〔比較例1〕 ポリエステル樹脂 100重量部 フタロシアニン系顔料 8重量部 低分子量ポリエチレン 3重量部 負帯電性制御剤 2重量部 上記組成の原料をミキサーで混合し、混合物を得た。こ
の混合物をエクストルーダーにより約200℃で溶融混
練した後、冷却して固化し、この固化物をハンマーミル
により粒径200〜2000μmの粒子に粗粉砕した。
この粗粉砕物を粉体原料として衝突式気流粉砕機(図示
せず)で粉砕を行い、粉砕された粉体を、図4に示す固
定壁式風力分級機を使用して微粉と粗粉に分級した。
【0022】すなわち、前記粉砕機の圧縮気体供給ノズ
ルから圧力6kgf/cm2 の圧縮空気を、流量7Nm
3 /minで供給し、粉砕後の粉体を図4の分級機の供
給管56から32kg/hrの割合で供給して微粉と粗
粉に分級し、微粉は分級粉体として回収し、粗粉は再
度、前記粗粉砕物と共に前記粉砕機に供給し、粉砕後の
粉体を再度前記分級機に供給した。その結果、体積平均
粒径7.5μm(コールターカウンターによる測定、以
下同じ)の微粉が28kg/hrの割合(収率87%)
で得られた。
【0023】〔試験例1〕比較例1で得た粗粉砕物を比
較例1と同一の装置・条件で粉砕し、粉砕された粉体
を、図1に示す気流分級機(固定壁式風力分級機)の供
給管6から32kg/hrの割合で供給して微粉と粗粉
に分級し、微粉は分級粉体として回収し、粗粉は再度、
前記粗粉砕物と共に前記粉砕機に供給し、粉砕後の粉体
を再度前記分級機に供給した。その結果、体積平均粒径
7.5μmの微粉が28.5kg/hrの割合(収率8
8%)で得られた。
【0024】〔試験例2〕比較例1で得た粗粉砕物を比
較例1と同一の装置・条件で粉砕し、粉砕された粉体
を、図2に示す気流分級機の供給管6から32kg/h
rの割合で供給して微粉と粗粉に分級し、微粉は分級粉
体として回収し、粗粉は再度、前記粗粉砕物と共に前記
粉砕機に供給し、粉砕後の粉体を再度前記分級機に供給
した。その結果、体積平均粒径7.5μmの微粉が29
kg/hrの割合(収率89%)で得られた。
【0025】〔試験例3〕比較例1で得た粗粉砕物を比
較例1と同一の装置・条件で粉砕し、粉砕された粉体
を、図3に示す気流分級機の供給管6から32kg/h
rの割合で供給して微粉と粗粉に分級し、微粉は分級粉
体として回収し、粗粉は再度、前記粗粉砕物と共に前記
粉砕機に供給し、粉砕後の粉体を再度前記分級機に供給
した。その結果、体積平均粒径7.5μmの微粉が30
kg/hrの割合(収率90%)で得られた。以上の比
較例1および試験例1〜3の結果をまとめると、下記
[表1]のとおりである。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように請求項1,
2に記載の気流分級機では、気流排出管の倒立円錐台状
の外周面により、粉体供給筒(上部ケーシング)内の気
流が整流されて円滑になり、気流排出管本体への粉体飛
込み量が減少するので、粉体回収率すなわち、分級粉体
の歩留りが向上する。請求項3に記載の気流分級機によ
れば、気流排出管の倒立円錐台状部分の側面をアール状
に形成したことにより気流の流れが極めて円滑になり、
本体への粉体の飛込み量が著しく減少するので、粉体回
収率が大幅に向上する。請求項4,5に記載の分級機に
よれば、粉体供給筒内の気流の乱れによる気流排出管へ
の粉体飛込みが発生した場合、粉体の大半または殆ど
が、気流排出管を構成する外側の筒状部に流入し、返送
管を介して粉体原料の供給管に回収されるので、粉体回
収率が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す要部縦断面図である。
【図2】別の実施例を示す要部縦断面図である。
【図3】さらに別の実施例を示す要部縦断面図である。
【図4】従来例の全体構造の概略を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1,11,57 気流排出管 2,12 本体 3,7 気流整流部材 4,13,15 気流流入口 5,55 粉体供給筒 6,56 供給管 14 直円筒部 16 返送管 51 ケーシング 52 分級板 53 案内板 54 分級室 58 微粉排出管 59 粗粉排出口 d 内径 h 距離 l 鉛直線 m 母線 θ 傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−245869(JP,A) 実開 昭62−187685(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B07B 1/00 - 15/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下端部に気流流入口を開口した気流排出
    管をケーシングの上部に上下方向に設け、該ケーシング
    の内部に分級板と、該分級板の上方に案内板とを配備
    し、これら分級板と案内板の間に分級室を形成し、該分
    級室内で粉体を旋回させて微粉と粗粉に遠心分離し、微
    粉を前記分級板の中央開口部に接続した微粉排出管へ排
    出するとともに、粗粉を前記分級板の外周部とケーシン
    グとの間に形成された粗粉排出口から排出するようにし
    た気流分級機において、前記気流排出管は、ケーシング
    内に突出する部分を倒立円錐台状に形成したことを特徴
    とする気流分級機。
  2. 【請求項2】 前記気流排出管は、ケーシング内に突出
    する部分を倒立直円錐台状に形成するとともに、該倒立
    直円錐台状部分の母線と軸線のなす角度を20°〜45
    °に設定したことを特徴とする請求項1に記載の気流分
    級機。
  3. 【請求項3】 前記気流排出管がケーシング内に突出す
    る部分は、下方部から上方部に向かって直径をラッパ状
    に拡大したものであることを特徴とする請求項1に記載
    の気流分級機。
  4. 【請求項4】 下端部に気流流入口を開口した気流排出
    管をケーシングの上部に上下方向に設け、該ケーシング
    の内部に分級板と、該分級板の上方に案内板とを配備
    し、これら分級板と案内板の間に分級室を形成し、該分
    級室内で粉体を旋回させて微粉と粗粉に遠心分離し、微
    粉を前記分級板の中央開口部に接続した微粉排出管へ排
    出するとともに、粗粉を前記分級板の外周部とケーシン
    グとの間に形成された粗粉排出口から排出するようにし
    た気流分級機において、前記気流排出管は本体と、該本
    体の外周側に同心状に設けられ下端部を開口した筒状部
    とからなる二重管であり、該筒状部の下端部は前記本体
    下端部より所定距離だけ上方に位置し、該筒状部の上部
    は返送管を介して粉体原料の供給管に接続したものであ
    ることを特徴とする気流分級機。
  5. 【請求項5】 前記所定距離は、前記本体内径の1〜
    1.25倍であることを特徴とする請求項4に記載の気
    流分級機。
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